欧州評議会開発銀行 有価証券報告書
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和２年４月７日
【会計年度】 自 平成31年１月１日 至 令和１年12月31日
【発行者の名称】 欧州評議会開発銀行
(Council of Europe Development Bank)
【代表者の役職氏名】 ロルフ・ウェンツェル
(Rolf Wenzel)
総裁
(Governor)
【事務連絡者氏名】 弁護士 柴 田 弘 典
同 甲 立 亮
同 深 田 大 介
同 中 山 希
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目１番１号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 03-6775-1120
【縦覧に供する場所】 該当なし
1/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
第１【募集（売出）債券の状況】
該当事項なし
第２【外国為替相場の推移】
該当事項なし
2/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
第３【発行者の概況】
１【発行者が国である場合】
該当事項なし
２【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
３【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
注(1) 会計年度中、取引は各取引で用いられた通貨で記載されている。欧州評議会開発銀行(以下「当行」又は「CEB」とい
う。)の勘定は2019年12月31日現在の以下の為替レートに基づき、ユーロで作成されている。
＊ ＊
略称 通貨 通貨対ユーロ 略称 通貨 通貨対ユーロ
ALL アルバニア・レク 121.60 HRK クロアチア・クーナ 7.4395
AUD オーストラリア・ドル 1.5995 HUF ハンガリー・フォリント 330.53
BRL ブラジル・レアル 4.5157 JPY 日本円 121.94
CAD カナダ・ドル 1.4598 NOK ノルウェー・クローネ 9.8638
CHF スイス・フラン 1.0854 NZD ニュージーランド・ドル 1.6653
CNY 中国人民元 7.8205 PLN ポーランド・ズローティー 4.2568
CZK チェコ・コルナ 25.408 SEK スウェーデン・クローナ 10.4468
DKK デンマーク・クローネ 7.4715 TRY トルコ・リラ 6.6843
GBP 英ポンド 0.85080 USD 米ドル 1.1234
HKD 香港ドル 8.7473
*表中の数字は四捨五入されている。
(2) 当行の会計年度は暦年である。
(3) 本書に記載の表中の数値が四捨五入されている場合、合計は数値の総和とは必ずしも一致しない。
（１）【設立】
a. 設立の根拠、設立年月日及び沿革
当行は、1956年４月16日の欧州評議会閣僚委員会によって設立された。当初、当行の主な目的は第二
次世界大戦直後における欧州諸国へ又は欧州諸国間で移住した難民の再定住化に関する社会プログラム
に融資を行うことであった。当行はその後、その活動の範囲を、自然災害又は生態学的災害の被災者へ
の援助の提供及び欧州の社会的統合の強化に直接貢献するその他の社会的目標の支援へと拡大してき
た。かかるその他の社会的目標には現在、教育及び職業訓練、衛生、公共住宅、中小零細企業(MSMEs)
における雇用、都市及び地方の生活水準の改善、環境保護、歴史的及び文化的な遺産の保存並びに行政
及び司法による公共サービスのインフラストラクチャーの分野が含まれる。
当行の活動期間は限定されていない。
当行はフランス共和国ストラスブルグ市67075に所在し、事業活動の本部はフランス共和国 パリ市
75116 クレベール通り55番に所在する。
3/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
b. 目的
1956 年４月16日の欧州評議会閣僚委員会の決議によって採択された定款(その後の改正を含む。以下
「定款」という。)によれば、当行の主たる目的は、貸付又は債務の保証を行うことにより、欧州にお
ける社会的統合を推進することである(詳細については、定款第２条を参照のこと。)。
当行は、その目的に一致した運用を条件として、定款の授権に基づき資金を借り入れ、拠出金を受け
入れることができる。
c. 加盟
定款により下記の者(以下「加盟国」という。)が当行に加盟することができる。
(ⅰ)欧州評議会の全ての加盟国
(ⅱ)当行の理事会が承認したその他の欧州の国
(ⅲ) 当行の理事会が承認した欧州に重点を置いている国際機関
定款を受諾し、それぞれ額面1,000ユーロで当行より発行される参加証書を引き受けることにより加
盟国となる。
当行の加盟国は、当行の義務に対して責任を負わない。
当行の加盟国は全て、当行の理事会が設定する条件の下に、当該暦年終了の６ヶ月前に通知をなすこ
とによって、当行から脱退することができる。
2019 年12月31日現在、当行の加盟国は41ヶ国である。
現在の加盟国は以下のとおりである。
アルバニア リヒテンシュタイン
ベルギー リトアニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ ルクセンブルク
ブルガリア マルタ
クロアチア モルドバ共和国
キプロス モンテネグロ
チェコ共和国 オランダ
デンマーク 北マケドニア
エストニア ノルウェー
フィンランド ポーランド
フランス ポルトガル
ジョージア ルーマニア
ドイツ サンマリノ
ギリシャ セルビア
バチカン スロバキア共和国
ハンガリー スロベニア
アイスランド スペイン
アイルランド スウェーデン
イタリア スイス
コソボ トルコ
ラトビア
4/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
d. 法的地位並びに特権及び免責
ⅰ 法的地位
当行は、欧州評議会に付属し、その最高権威の下で運営される。欧州評議会の特権及び免責に関す
る一般協定に係る1959年３月６日付第三議定書(以下「第三議定書」という。)によって、当行は法人
格を有し、特に以下の事項を行う能力を有する。
(a) 契約の締結
(b) 不動産及び動産の取得及び処分
(c) 訴訟の提起
(d) 当行の法定の目的に関わる取引の遂行
当行の運営、行為及び契約は、第三議定書、定款及び定款に基づき制定された諸規則により規律さ
れる。さらに、一定の場合には国家の法令が適用されうる。但し、それは当行が当該法令の適用に明
示的に同意し、かつ、当該法令が第三議定書及び定款に抵触しない範囲に限られる。
第三議定書に基づき、当行は、当行が被告である場合、加盟国又は当行が貸付契約を締結し、若し
くは債務保証をした国の裁判管轄に服する。
ⅱ 特権及び免責
第三議定書に基づき、当行は、特に加盟国内で下記の特権及び免責を享受する。
(a) 法令上の一般的救済方法によって争うことのできない強制執行可能な判決が当行に対して送達さ
れる前における、当行の財産及び資産に対するあらゆる形式の没収、差押え又は強制執行からの
免除。
(b) 行政措置又は立法措置による当行の財産及び資産に対する捜索、徴用、没収、収用又はその他あ
らゆる形式の差押えからの免除。
(c) 当行の財産及び資産に対するあらゆる性質の制限、規制、支配及び支払停止の免除。
(d) 通貨の種類を問わず、通貨を保有し、口座を管理し、通貨を交換する権利、並びに送金先の国及
び送金元の国を問わず、その資金をあらゆる国内外に自由に送金する権利。
(e) 全ての直接税及び一定の間接税からの免除。
e. 本邦との関係
なし。
（２）【資本構成】
定款に基づき、下記の者が当行の加盟国となることができる。
a. 欧州評議会の全ての加盟国
b. 当行の理事会が承認した欧州評議会の加盟国でないその他の欧州の国
c. 当行の理事会が承認した欧州に重点を置いている国際機関
定款を受諾し、当行より発行される参加証書を引受けることにより加盟国となる。参加証書はそれぞ
れ額面1,000ユーロで発行される。当行の各加盟国はそれぞれ保有する参加証書１通につき１票の投票権
を有する。
5/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
201 9年12月31日現在引受済資本金
(単位：千ユーロ)
加盟国 引受済資本金 請求未了資本金 請求済資本金 引受済資本金割合
フランス 915,770 814,114 101,656 16.735％
ドイツ 915,770 814,114 101,656 16.735％
イタリア 915,770 814,114 101,656 16.735％
スペイン 597,257 530,958 66,299 10.914％
トルコ 388,299 345,197 43,102 7.096％
オランダ 198,813 176,743 22,070 3.633％
ベルギー 164,321 146,083 18,238 3.003％
ギリシャ 164,321 146,083 18,238 3.003％
ポルトガル 139,172 123,724 15,448 2.543％
スウェーデン 139,172 123,724 15,448 2.543％
ポーランド 128,260 114,023 14,237 2.344％
デンマーク 89,667 79,712 9,955 1.639％
フィンランド 69,786 62,039 7,747 1.275％
ノルウェー 69,786 62,039 7,747 1.275％
ブルガリア 62,459 55,526 6,933 1.141％
ルーマニア 59,914 53,264 6,650 1.095％
スイス 53,824 43,229 10,595 0.984％
アイルランド 48,310 42,948 5,362 0.883％
ハンガリー 44,788 39,816 4,972 0.818％
チェコ共和国 43,037 38,260 4,777 0.786％
ルクセンブルク 34,734 30,878 3,856 0.635％
セルビア 25,841 22,973 2,868 0.472％
クロアチア 21,376 19,003 2,373 0.391％
キプロス 19,882 17,676 2,206 0.363％
スロバキア共和国 18,959 16,854 2,105 0.346％
アルバニア 13,385 11,899 1,486 0.245％
ラトビア 12,808 11,387 1,421 0.234％
エストニア 12,723 11,311 1,412 0.233％
北マケドニア 12,723 11,311 1,412 0.233％
リトアニア 12,588 11,191 1,397 0.230％
スロベニア 12,295 10,930 1,365 0.225％
アイスランド 10,144 9,018 1,126 0.185％
マルタ 10,144 9,018 1,126 0.185％
ジョージア 9,876 8,780 1,096 0.180％
ボスニア・ヘルツェゴビナ 9,689 8,614 1,075 0.177％
モンテネグロ 6,584 5,853 731 0.120％
コソボ 6,559 5,831 728 0.120％
モルドバ共和国 5,488 4,878 610 0.100％
サンマリノ 4,867 4,206 661 0.089％
リヒテンシュタイン 2,921 2,374 547 0.053％
バチカン 137 107 30 0.003％
2019年合計 5,472,219 4,859,802 612,417 100.000％
2018年合計 5,472,219 4,859,802 612,417
6/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
（３）【組織】
当行は、以下の理事会、管理委員会、総裁及び監査委員会といった機関により、組織化、管理及び監
督が行われている。
a. 理事会
理事会は、議長(ドミニク・ラミオ(Dominique LAMIOT))及び各加盟国の１名の代表者によって構
成される。
理事会は、当行の活動に関する全般的な方向性について設定し、当行の加盟国となるための条件
を決定し、増資の決定を行い、年次報告書、計算書類及び当行の一般貸借対照表の承認を行ってい
る。理事会は、理事会及び管理委員会の議長を選任し、総裁及び監査委員会の委員の任命を行う。
b. 管理委員会
管理委員会は、議長(ミグレ・タスキエネ(Miglé TUSKIEN Ė))及び各加盟国の１名の代表者に
よって構成される。
管理委員会は、運営方針についての立案及び監督並びに当行の加盟国政府によって提出された投
資事業の承認を含む、理事会に委譲された権限を行使する。また、同委員会は、当行の運営予算に
関する投票を行う。
c. 総裁
総裁は、当行の法定代理人である。総裁は、当行の事業の代表であり、(管理委員会の全般的な
監督の下)当行の職員に対する責任を有する。
総裁は、管理委員会のガイドラインに従い、当行の財務方針を指揮し、全ての取引において当行
を代表する。総裁は、当行に提出された融資依頼についての技術的、財務的側面に関する審査を行
い、管理委員会にこれらの照会を行う。
総裁はロルフ・ウェンツェル(Rolf WENZEL)氏である。同氏は、カルロ・モンティチェッリ
(Carlo MONTICELLI)氏(財務戦略)、ロザ・マリア・サンチェス-ジェブラ・アロンソ(Rosa María
SÁNCHEZ-YEBRA ALONSO)氏(社会開発戦略)及びトマス・ボーチェック(Tomáš BOČEK)氏(対象グルー
プ諸国)の３名の副総裁によって補佐されている。
d. 監査委員会
監査委員会は、理事会によって任命された３名のメンバーで構成されている。同委員会は、外部
監査人によって年次決算書が審査された後、その正確性について検証を行う。
CEB の理事、管理及び統制組織の事務局員は、欧州評議会開発銀行の部分協定の事務局員から提
供される(組織の事務総長はジェルジ・ベルゴー(György BERGOU))。
7/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
a. 理事会
理事会は、理事会自体によって選出される議長及び各加盟国によって任命される代表者各１名により
構成される。2019年末現在(特段の記載がある場合を除き)の構成員は以下のとおりである。
ドミニク・ラミオ(Dominique LAMIOT)(フランス) 議長
エミール・ルッファー(Emil RUFFER)(チェコ共和国) 副議長
特命全権大使、欧州評議会チェコ共和国常任代表、在ストラスブルグ
アルバナ・ドートラリ(Albana DAUTLLARI) アルバニア
特命全権大使、欧州評議会アルバニア常任代表、在ストラスブルグ
ジル・ヘイヴァート(Gilles HEYVAERT) ベルギー
特命全権大使、欧州評議会ベルギー常任代表、在ストラスブルグ
イヴァン・オーリッチ(Ivan ORLI Ć) ボスニア・ヘルツェゴビナ
特命全権大使、欧州評議会ボスニア・ヘルツェゴビナ常任代表、在ストラスブ
ルグ
カティア・トドロヴァ(Katya TODOROVA) ブルガリア
大使、欧州評議会ブルガリア常任代表、在ストラスブルグ
トマ・ガリ(Toma GALLI) クロアチア
特命全権大使、欧州評議会クロアチア常任代表、在ストラスブルグ
スピロス・アッタス(Spyros ATTAS) キプロス
特命全権大使、欧州評議会キプロス常任代表、在ストラスブルグ
エミル・ルファー(Emil RUFFER) チェコ共和国
特命全権大使、欧州評議会チェコ共和国常任代表、在ストラスブルグ
エリック・ラーセン(Erik LAURSEN) デンマーク
特命全権大使、欧州評議会デンマーク常任代表、在ストラスブルグ
ラスムス・ルミ(Rasmus LUMI) エストニア
特命全権大使、欧州評議会エストニア常任代表、在ストラスブルグ
ニナ・ノードストーム(Nina NORDSTRÖM) フィンランド
特命全権大使、欧州評議会フィンランド常任代表、在ストラスブルグ
ジャン－バティスト・マッテイ(Jean-Baptiste MATTEI) フランス
大使、欧州評議会フランス常任代表、在ストラスブルグ
イラクリ・ギヴィアシュヴィリ(Irakli GIVIASHVILI) ジョージア
大使、欧州評議会ジョージア常任代表、在ストラスブルグ
ロルフ・マファエル(Rolf MAFAEL) ドイツ
特命全権大使、欧州評議会ドイツ常任代表、在ストラスブルグ
パナイオティス・ベグリティス(Panayiotis BEGLITIS) ギリシャ
特命全権大使、欧州評議会ギリシャ常任代表、在ストラスブルグ
マルコ・ガンシ(Marco GANCI) バチカン
特使、欧州評議会バチカン常任オブザーバー、在ストラスブルグ
アーグネシュ・ケルテース(Ágnes KERTÉSZ) ハンガリー
特命全権大使、欧州評議会ハンガリー常任代表、在ストラスブルグ
クリスチャン・アンドリ・ステファンソン(Kristján Andri STEFÁNSSON) アイスランド
大使、アイスランド大使館、在パリ
ブレイファン・オーレイリー(Breifne O’REILLY) アイルランド
特命全権大使、欧州評議会アイルランド常任代表、在ストラスブルグ
ミケーレ・ジャコメッリ(Michele GIACOMELLI) イタリア
大使、欧州評議会イタリア常任代表、在ストラスブルグ
ミモザ・アーメタジ(Mimoza AHMETAJ) コソボ
コソボ総領事、在ストラスブルグ
8/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
イヴァルス・パンデュール(Ivars PUNDURS) ラトビア
特命全権大使、欧州評議会ラトビア常任代表、在ストラスブルグ
ダニエル・オスペルト(Daniel OSPELT) リヒテンシュタイン
特命全権大使、欧州評議会リヒテンシュタイン常任代表、在ストラスブルグ
ライマ・ユレヴィチエネ(Laima JUREVI ČIEN Ė) リトアニア
特命全権大使、欧州評議会リトアニア常任代表、在ストラスブルグ
ステファン・ミュラー(Stephan MÜLLER) ルクセンブルク
特命全権大使、欧州評議会ルクセンブルク常任代表、在ストラスブルグ
ジョセフ・A・フィレッティ(Joseph A. FILLETTI) マルタ
大使、欧州評議会マルタ常任代表、在ストラスブルグ
ゾラン・ジャンコビッチ(Zoran JANKOVI Ć) モンテネグロ
特命全権大使、欧州評議会モンテネグロ常任代表、在ストラスブルグ
ローランド・ボッカー(Roeland BÖCKER) オランダ
特命全権大使、欧州評議会オランダ常任代表、在ストラスブルグ
ゾラン・バーブトブ(Zoran BARBUTOV) 方 北マケドニア
臨時代理大使、欧州評議会北マケドニア常任代表、在ストラスブルグ
エリザベス・ワラス(Elisabeth WALAAS) ノルウェー
特命全権大使、欧州評議会ノルウェー常任代表、在ストラスブルグ
ヤヌシュ・スタインチェク(Janusz STA ŃCZYK) ポーランド
特命全権大使、欧州評議会ポーランド常任代表、在ストラスブルグ
ジョアン・マリア・カブラル(João Maria CABRAL) ポルトガル
特命全権大使、欧州評議会ポルトガル常任代表、在ストラスブルグ
コリーナ・ツェルゲル(Corina C ĂLUG ĂRU) モルドバ共和国
大使、欧州評議会モルドバ共和国常任代表、在ストラスブルグ
ラヴァン・ルス(Razvan RUSU) ルーマニア
特命全権大使、欧州評議会ルーマニア常任代表、在ストラスブルグ
シルヴィ・ボリーニ(Sylvie BOLLINI) サンマリノ
特命全権大使、欧州評議会サンマリノ共和国常任代表、在ストラスブルグ
アレキサンドラ・ジュロビッチ(Aleksandra DJUROVI Ć) セルビア
特命全権大使、欧州評議会セルビア常任代表、在ストラスブルグ
マレク・エストック(Marek EŠTOK) スロバキア共和国
特命全権大使、欧州評議会スロバキア共和国常任代表、在ストラスブルグ
アンドレイ・スラプニチャー(Andrej SLAPNI ČAR) スロベニア
特命全権大使、欧州評議会スロベニア常任代表、在ストラスブルグ
マニュエル・モントッビオ(Manuel MONTOBBIO) スペイン
特命全権大使、欧州評議会スペイン常任代表、在ストラスブルグ
マーテン・エンバーグ(Mårten EHNBERG) スウェーデン
特命全権大使、欧州評議会スウェーデン常任代表、在ストラスブルグ
クリスチャン・ミューリ(Christian MEUWLY) スイス
大使、欧州評議会スイス常任代表、在ストラスブルグ
カーン・エセネル(Kaan ESENER) トルコ
特命全権大使、欧州評議会トルコ常任代表、在ストラスブルグ
理事会の構成
理事会は議長及び各加盟国によって任命される代表者各１名により構成される。各加盟国は、各々代
表者代行１名を任命することができる。欧州評議会の事務総長は、会議に参加し、又は代理人を出席さ
せることができる。
理事会は当行の最高機関である。定款に定められた目的を変更する権利を除いて、理事会は当行に関
するあらゆる権限を有する。
9/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
理事会の権限
ⅰ 理事会は以下の事項を行う。
(a) 欧州評議会の加盟国が当行の加盟国になるための条件を決定する。
(b) 欧州評議会の加盟国でない欧州の国及び欧州に重点を置いている国際機関が当行の加盟国になる
ことを承認し、かかる承認の条件を決定し、かかる加盟国の引き受ける参加証書の数を決定す
る。
(c) 定款に添付の表に記載されている加盟国間の資本の配分の調整を行う。
(d) 資本を増減し、払い込まれる引受済資本の割合及び払込期日を定める。
(e) 定款に定められた目的の遵守を確保する。
当行の年次報告書、計算書類及びその他の財務書類を承認する。
機関の活動に関する一般ガイドラインを定める。
(f) 当行の運営を停止若しくは終了させ、又は清算時にその資産を分配する。
(g) 加盟国の資格を停止させる。
(h) 定款を変更する(但し、定められた目的の変更を除く。)。
(i) 定款を解釈し、定款の解釈又は適用に関わる決定に対する異議申立てに対する判断を下す。
(j) 他の国際機関との協力に関する一般協定の締結を承認する。
(k) 理事会の議長及び管理委員会の委員長を選任する。
(l) 総裁を任命し、総裁の提案に基づき、必要に応じて１人以上の副総裁(その内の１人が総裁の不
在時には総裁を代行する。)を任命し、それらを解任し、又は辞任の承認を行う。
(m) 監査委員会の委員を任命する。
(n) 外部監査人を任命し、在任期間を定める。
(o) 手続規定を定める。
(p) 定款で明示的に理事会に付与されたその他の権限を行使する。
ⅱ 理事会は、管理委員会の提案に基づき上記(d)及び(f)に関する決定をなし、上記(c)、(m)及び(n)に
ついては、管理委員会の意見を聴取した後に決定をなす。管理委員会は、財務上の影響を及ぼすそ
の他全ての決定に対して意見を表明する。
ⅲ 上記ⅰに定められた権限以外の全ての権限は管理委員会に委譲される。
定款により管理委員会に委譲された権限は、例外的な場合かつ特定の期間のみ、理事会が再び保有
できる。
ⅳ 理事会は年に１度開催される。理事会は、必要に応じて追加的に開催することができる。
ⅴ 理事会は、必要に応じて、国際機関の代表者、又はその他の利害関係者を招待し、その手続に参加
させることができる。但し、投票権は与えない。
10/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
投票及び決議
ⅰ 会議における理事会の決議は、加盟国の代表者の３分の２が出席した場合にのみ有効となる。
決議は投票により行われる。賛成票及び反対票のみが多数決の判定に関し有効となる。
ⅱ 会議間において、書面により決議することができる。
ⅲ 当行の各加盟国は、保有する参加証書１通につき、１票の投票権を有する。
ⅳ 払込期限が到来した資本金の一部を期限に払込まない加盟国は、かかる未払が継続する限り、その
期限の到来した未払金額に関して投票権を行使できないものとする。
ⅴ 決議は、賛成又は反対の票を投じた加盟国の過半数及び投票数の３分の２以上の多数をもってなさ
れるものとする。
ⅵ 以下の事項は、賛成又は反対の票を投じた加盟国の４分の３以上及び投票数の４分の３以上の多数
をもって決議される。
(a) 上記「理事会の権限」ⅲに規定される決議
(b) 新規加盟国の加盟に起因しない、上記「理事会の権限」ⅰ(c)に従い承認される定款に添付され
ている配分表の調整
ⅶ 上記「理事会の権限」ⅰ(f)及び(h)に記載されている決議は、投票した加盟国の満場一致により採
択される。
b. 管理委員会
管理委員会は、理事会が任命する委員長及び当行の各加盟国の代表者各１名により構成される。2019
年末現在(特段の記載がある場合を除き)の構成員は以下のとおりである。
ミグレ・タスキエネ(Migl ė TUSKIEN Ė)(リトアニア) 委員長
財務省副大臣、在ビリニュス
エンドレ・トゥルク(Endre TÖRÖK)(ハンガリー) 副委員長
国家経済省国際金融部門部長代理、在ブタペスト
エリオン・ルーチ(Erjon LUÇI) アルバニア
財務省大臣代理、在ティラナ
ロナルド・デ・スワート(Ronald DE SWERT) ベルギー
連邦財務局ベルギー財務省国際及び欧州金融業務部長、在ブリュッセル
リェルカ・マリッチ(Ljerka MARI ĆC) ボスニア・ヘルツェゴビナ
連邦監督機関理事長代理、在サラエボ
ゲルガナ・ベレムシュカ(Gergana BEREMSKA) ブルガリア
財務省国際金融機関及び協力理事局局長、在ソフィア
スティペ・ズパン(Stipe ŽUPAN) クロアチア
財務省大臣補佐官、在ザグレブ
キリアコス・カコウリス(Kyriakos KAKOURIS) キプロス
財務省管理財務局局長、在ニコシア
ペトル・パヴェレク(Petr PAVELEK) チェコ共和国
財務省公共事業予算担当大臣代理、在プラハ
スティーン・リュ・ラーセン(Steen Ryd LARSEN) デンマーク
財務省顧問、在コペンハーゲン
リーナ・ライゴ(Riina LAIGO) エストニア
財務省EU及び国際部門顧問、在タリン
アルト・エノ(Arto ENO) フィンランド
財務省財務顧問、在ヘルシンキ
11/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ステファン・タバリエ(Stéphane TABARIÉ) フランス
経済財務省財務部二国間関係及び欧州金融機関部門部長、在パリ
ニコロス・ガグア(Nikoloz GAGUA) ジョージア
財務省大臣代理、在トビリシ
クリストフ・ハルツァー(Christof HARZER) ドイツ
財務省多国間開発銀行部門部長(Ⅶ A2)、在ベルリン
パナギオティス・アンドラサキス(Panagiotis ANDRESAKIS) ギリシャ
経済・開発省国際組織局国際経済組織・開発銀行課課長、在アテネ
ファビオ・サレルノ師(Reverend Fabio SALERNO ) バチカン
欧州評議会バチカン常任オブザーバー代理、在ストラスブルグ
エンドレ・トゥルク(Endre TÖRÖK)、管理委員会副委員長 ハンガリー
国家経済省国際金融部門部長代理、在ブタペスト
オーラヴル・シグルズソン(Ólafur SIGURÐSSON) アイスランド
外務省外国貿易経済局局長、在レイキャビック
デス・オリアリー(Des O'LEARY) アイルランド
財務省国際金融機関部門部長、在ダブリン
ジェルソミーナ・ヴィゴロッティ(Gelsomina VIGLIOTTI) イタリア
経済財務省財務部門国際金融関係課課長、在ローマ
ラム・ミタ(Lum MITA) コソボ
財務省国際金融協力部門部長、在プリシュティナ
インタ・ヴァサラウゼ(Inta VASARAUDZE) ラトビア
財務省経済分析部門部長、在ラトビア
ダニエル・オスペルト(Daniel OSPELT) リヒテンシュタイン
特命全権大使、欧州評議会リヒテンシュタイン常任代表、在ストラスブルグ
ダリウス・トラケリス(Darius TRAKELIS) リトアニア
財務省EU及び国際部門部長、在ビリニュス
アルセーヌ・ジャコビー(Arsène JACOBY) ルクセンブルク
財務省多国間事業、開発及びコンプライアンス部門部長、在ルクセンブルク
ジョゼフ・リカリ(Joseph LICARI) マルタ
元欧州評議会マルタ代表、在スウィーキィー
ドラガン・ダルマノビッチ(Dragan DARMANOVI Ć) モンテネグロ
財務省財務局局長、在ポドゴリツァ
ヤン・ハイスマ(Jan HEIDSMA) オランダ
外務省顧問、在ハーグ
デヤン・ニコロフスキ(Dejan NIKOLOVSKI) 北マケドニア
財務省国際金融関係及び公債管理部門部長、在スコピエ
バンタ・ワイサー(Bente WEISSER) ノルウェー
外務省国際開発金融機関部門上級顧問、在オスロ
ピョートル・ノヴァック(Piotr NOWAK) ポーランド
財務省事務次官、在ワルシャワ
ジョゼ・アゼヴェド・ペレイラ(José AZEVEDO PEREIRA) ポルトガル
財務省経済政策及び国際事業部部長、在リスボン
ドゥミトロ・ウドレア(Dumitru UDREA) モルドバ共和国
財務省事務次官、在チシナウ
ボニ・クク(Boni CUCU) ルーマニア
国家財政省国際金融関係総局局長、在ブカレスト
ニコラ・チェカロリ(Nicola CECCAROLI) サンマリノ
財務省顧問、在サンマリノ
ゾラン・チロヴィッチ(Zoran ĆIROVI Ć) セルビア
元セルビア共和国証券委員会委員長、在ベオグラード
12/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
エヴァ・ゴンカルヴェソヴァ(Eva GONCALVESOVÁI) スロバキア共和国
財務省国際関係部部長、在ブラティスラヴァ
マルティン・ズドヴィッチ(Martin ZDOVC) スロベニア
財務省国際金融局事務次官、在リュブリャナ
レオナルド・ロドリゲス(Leonardo RODRÍGUEZ) スペイン
経済企業省財務及び国際金融事務国際金融機関局長代理、在マドリッド
エヴァ・ヴィベルグ(Ewa WIBERG) スウェーデン
財務省国際部門部長、在ストックホルム
ダニエル・バーチマイヤー(Daniel BIRCHMEIER) スイス
多国間協力部門経済事務局連邦部門部長、在ベルン
ケマル・チャータイ・イミルギ(Kemal Çağatay İMİRGİ) トルコ
財務庁対外経済関係局長、在アンカラ
管理委員会の権限及び構成
ⅰ 定款に従い、管理委員会は理事会により委譲された全ての権限を有する。
ⅱ 管理委員会は、理事会により任命された任期３年(任期を３年とする第２期目の再任可能)の委員長
及び各加盟国により任命された代表者各１名により構成される。各加盟国は代表者代行１名を任命
することができる。欧州評議会の事務総長は、会議に参加し、又は代理人を出席させることができ
る。
ⅲ 管理委員会は、委員長により又は５名の委員による要求により、年に最低４回招集される。
ⅳ 管理委員会は、必要に応じて、国際機関の代表者、又はその他の利害関係者を招待し、その手続に
参加させることができる。但し、投票権は与えない。
投票及び決議
ⅰ 会議における管理委員会の決議は、加盟国の代表者の３分の２が出席した場合にのみ有効となる。
ⅱ 当行の各加盟国は、保有する参加証書１通につき、１票の投票権を有する。
決議は多数決により行われる。賛成票及び反対票のみが多数決の判定に関し有効となる。
ⅲ 会議間において、書面により決議することができる。
ⅳ 払込期限の到来した資本金の一部を期限に払込まない加盟国は、かかる未払が継続する限り、その
期限の到来した未払金額に関して投票権を行使できないものとする。
ⅴ しかしながら、管理委員会は、以下の決議事項については、賛成又は反対の票を投じた加盟国の過
半数及び投票数の過半数をもって決議するものとする。
(a) 上記「理事会の権限」ⅰ(c)、(d)、(f)、(m)及び(n)に従い、理事会に対してなされる提案及び
意見
(b) 管理委員会の手続規定の採択又は改正
ⅵ さらに、管理委員会は賛成又は反対の票を投じた加盟国の過半数及び投票数の３分の２以上の多数
をもって、定款第13条litt.c.に規定された許容性に関する意見を得ていない投資事業に関連した決
議を行うものとする。
管理委員会は、随時その委員の一部から成る委員会を設置し、その委員会に対し別途指定した権限
を委譲することができる。
c. 総裁
13/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
総裁は、当行の全ての取引において当行を代表する。総裁は、管理委員会の指示と監督の下に、当行
の日常の管理業務を行う。総裁は、管理委員会が明示的に承認しない限り、資金の借入、貸付又は債務
保証をしない。
総裁は理事会の決議によって５年の任期で１回限り再選されうる。
ロルフ・ウェンツェル(Rolf WENZEL) が当行の総裁である。同氏は、2016年４月８日に、2016年12月
18日から始まる５年の任期について再選された。
総裁は、2019年12月31日現在３名の副総裁により補佐される。
・ カルロ・モンティチェッリ(Carlo MONTICELLI) 副総裁(財務戦略担当)
・ ロザ・マリア・サンチェス-ジェブラ・アロンソ (Rosa María SÁNCHEZ-YEBRA ALONSO) 副総裁
(社会開発戦略担当)
・ トマス・ボーチェック(Tomáš BOČEK) 副総裁(対象グループ諸国担当)
総裁は、管理委員会によって承認された職務の内容を考慮に入れて副総裁の責任を決定する。
副総裁は、５年の任期で１回限り再選されうる。
d. 監査委員会
監査委員会は、理事会が任命した３名の委員で構成され、2019年の監査証明を担当する監査委員会の
構成は以下のとおりである。
・ クリスチャン・トルナイ(Krisztián TOLNAI)(ハンガリー)
国家経済省財政監査部門特別監査員、在ブタペスト
・ ルドミラ・ポパ(Ludmila POPA)(モルドバ共和国)
財務省PIFC制作部門長代理、在キシナウ
・ ヤセック・ドミニク(Jacek DOMINIK)(ポーランド)
財務省国際協力部門顧問長、在ワルシャワ
監査委員会は、毎年、当行の会計を調査し、運営に関する計算書類及び貸借対照表が適切であること
を確認する。監査委員会報告書には、貸借対照表及び運営に関する計算書類が帳簿と一致しているか否
か、並びに各会計年度末現在の当行の状況を正しくかつ公正に示しているか否かが明記される。
14/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
（４）【業務の概況】
a. プロジェクト向融資
2019 年度において、CEBは加盟国24ヶ国に対して４十億ユーロ近い貸付を承認した。これらの貸付
*
は、欧州各地の13.9十億ユーロの投資総額を集めることになる 。
*CEB 加盟国の全リストについては、「（１）設立 c. 加盟」を参照のこと。
ⅰ 持続可能かつ包括的な成長の支援
CEB の投資は、欧州の持続可能かつ包括的な成長に寄与している。本活動路線に基づき融資したプ
ロジェクトは、社会公共インフラストラクチャーの開発、雇用の創出及び維持、労働市場へのアクセ
スの確保並びに手頃な価格の公共住宅支援の提供に重きを置いている。
CEB の融資は、加盟国が直面する社会的課題に対する柔軟な統合ソリューションの実施をますます支
援している。公共部門のインフラストラクチャー及びサービスへの投資は、気候変動緩和及び適応手
段並びに/又は社会的弱者を対象とする特定の活動と結びついている。そのため、本活動路線(持続可
能かつ包括的な成長)に基づき承認された一部の融資とその他２つの活動路線(難民、避難民及び移民
の統合並びに気候変動対策)に関連する融資との間で、ある程度重複する部分が存在する。
2019 年度において、CEBは持続可能かつ包括的な成長を全面的又は部分的に支援するため、43件の貸
付を承認した。これらの貸付の50％近くは、中央政府から課される複雑かつ長期的な社会問題に対処
する任務が増加している地方自治体、地域及び国有/地方自治体所有の企業に関するものである。
地方の借入人の増加は、当行が、経済的及び社会的包摂の実現、生活水準の改善並びに多様性の向
上に重点を置きながら、包括的かつ持続可能な欧州の都市及び地域の開発を支援していることを証明
している。
本活動路線に基づくCEBの融資は、以下の事項を可能にする。
－ MSMEによる手頃な価格の融資ソリューションへのアクセス：2019年度において、CEBは0.8十億
ユーロのMSME向融資を承認した。資金調達は、新たな生産的資産の購入及び新たな施設の建設/
拡張の実施による受益者の新規事業の立上げや既存事業の拡大を可能にする。また融資は、企
業によるエネルギー効率の改善を含む革新的技術及び工程の最適化への投資を支援する。
CEB の貸付が支援する融資ソリューションは、2018年度同様リーシングを含む一方、小規模企業
及び低所得世帯は、引き続きこの分野における当行の主要な対象の２つである。
－ 分野をまたいだ都市部及び地方のインフラストラクチャーの改善：2019年度において、加盟国
10ヶ国における分野をまたいだ都市部及び地方のインフラストラクチャーへの投資を支援する
ため、CEBは0.6十億ユーロを超える貸付を承認した。
これらの貸付は、都市及び地域の公共交通機関、持続可能な移動性ソリューション、給水及び
汚水収集システムの開発、公共住宅並びに高齢者介護といった多様な活動をカバーしている。
これらは、当行のパートナーが分野をまたいだ戦略を策定した時又は緊急の優先事項のための
予算面での支援を必要とする時に、柔軟で統合された融資ソリューションを提供するCEBの取組
みの一環である。
これらの貸付の一部は、EUとの共同投資による支援である。
－ 教育及び職業訓練：CEBは、加盟国４ヶ国における教育インフラストラクチャーの建設及び復旧
を支援するため、2019年度において0.6十億ユーロ超を動員した。将来的な投資は、デイケア施
設、スポーツ施設及び幼稚園から最先端の研究機関及び職業訓練施設まで及ぶ。エネルギー効
率策は全てのプロジェクトで目標となる一方、１つのプログラムでは特定災害(地震)の防災に
関する活動を伴う。
15/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－ 手頃な価格の公共住宅支援：CEBは、低所得世帯及び/又は一人親世帯、避難民、移民及び難
民、高齢者並びに障害者等の社会的弱者のための持続可能な手頃な価格の住宅供給支援に融資
している。2019年度単年で、当行はドイツ、アイルランド及びモンテネグロにおける手頃な価
格の公共住宅供給支援に融資するため、0.5十億ユーロ近くを承認した。
全てのリノベーション工事には修復及びエネルギー効率の改善措置が含まれる。あるプロジェ
クト(シュトゥットガルトにおける手頃な価格の公共住宅の拡大)の場合、CEBの融資は市の建築
遺産の保全にも寄与する。
－ 保健医療のインフラストラクチャー及びサービスへの投資：人的資源としての公衆衛生への投
資及び保健医療への公平なアクセスの促進は、欧州の社会的統合にとって必要不可欠である。
そのため、病院や高齢者及び障害者向けの常設介護施設の建設並びに近代医療機器の購入は、
CEBの優先分野である。
本分野の要素に取り組むこともある、先述した分野をまたいだ都市部及び地方のインフラスト
ラクチャーへの投資に加え、当行は、ボスニア・ヘルツェゴビナ、フランス、エストニア及び
セルビアにおける特定の保健医療プロジェクトのため、100百万ユーロ超を承認した。これらの
プロジェクトは、精神科及び小児科のユニット/病院並びに最先端の研究施設の近代化に重点を
置いている。
－ 適切な拘置環境：2019年度に本分野において承認された追加の10百万ユーロの貸付は、キシナ
ウにおける新たな刑務所施設の完成を支援する。また、欧州刑事施設規則(EPR)に対応したイン
フラストラクチャー及び関係者向けの適切なトレーニングへの支援も行う。この貸付は、刑務
所の過密状態により全体的に不衛生な現在の拘留状況を改善するためのモルドバ共和国政府へ
の支援に貢献する。
ベルギーの万人のためのグリーン教育インフラストラクチャーへの投資
貸付金：300百万ユーロ
借入人：ベルギーのフランス語共同体(Communauté française de Belgique)
対象となる受益者：ワロニア・ブリュッセルの児童及び教師
以下の事項のため、合計1.3十億ユーロを超える投資により、本プロジェクトはワロニア・ブリュッ
セルの既存の学校インフラストラクチャーの拡張及び修復を目指している。
－ 24歳以下の若年層の大幅な増加に対応し、最新の学習環境を提供する。
－ インフラストラクチャーの使いやすさを改善することで、障害者の包摂を促進する。
－ 特別教育プロジェクトを通じた取組みを含め、移民及び難民の子供の統合を促進する。同伴者
のいない少数民族向けの新たな居住施設も建設される。
－ エネルギー効率策の実施及び再生可能エネルギー資源の活用の計画により、既存の及び将来の
教育インフラストラクチャーの二酸化炭素排出量を削減する。
ボスニア・ヘルツェゴビナの零細企業向融資
貸付金：５百万ユーロ
借入人：マイクロフィン(Mikrofin)
対象となる受益者：ボスニア・ヘルツェゴビナの低所得者、小規模起業家(特に女性起業家)、小規
模農家及び一般家庭
小規模事業は、ボスニア・ヘルツェゴビナの経済において重要な役割を果たしており、失業率がEU
加盟国の平均より非常に高い国において主要な雇用の源泉である。本プロジェクトは、零細企業及び
16/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
自営業による生産的投資及び収入を生む活動のための資金調達を支援する。従来の金融システムにア
クセスできない約3,800の零細企業、農家及び家族経営の事業者が、CEBの資金の恩恵を受けると見込
まれる。
ポーランドのMSME向けのリース・ソリューション
貸付金：120百万ユーロ
借入人：SGイクイップメント・リーシング(SG Equipment Leasing)
対象となる受益者：ポーランドのMSME
MSME 分野の雇用は、ポーランドの労働力全体の３分の２を超えている。しかし、従来の銀行は、一
般に破産率が高いためリスク水準の高い新規事業及び初期段階の事業へのサービス提供を敬遠する。
そのため、融資への不十分なアクセスは、引き続きMSME発展のための重要な課題であり、本分野のさ
らなる発展に対する主要な障壁である。
本プロジェクトは、建設業、卸売業、小売業及び製造業等の広範囲な分野において事業を行うMSME
が実施する適格な投資にリース又は貸付の形で融資する。その結果、本プロジェクトは、新たな常勤
及び季節的な仕事の創出並びに既存の雇用の保護を促進する。SGイクイップメント・リーシングとの
過去の融資契約を通じて達成された成果に基づき、本プロジェクトは約2,850のMSMEを支援し、3,800
の新たな仕事の創出に寄与すると見込まれる。
ポーランドのシフィエンティクシシュ地方におけるインフラストラクチャー投資
貸付金：34.2百万ユーロ
借入人：シフィエンティクシシュ地方
対象となる受益者：1.2百万人の住民
ポーランド南東部に位置するシフィエンティクシシュは、ポーランドで２番目に小さい地方であ
る。CEBの融資は、同地方がポーランドのその他の地方と同等になるよう開発し、社会的包摂を促進す
るよう設計された一連の投資からなるシフィエンティクシシュの2023年開発戦略を支援する。かかる
投資には、既存の公共交通システム及び道路網の改良並びに既存の医療インフラストラクチャーの近
代化が含まれる。これらの投資により同地方の公共サービス及び周辺地域との接続が改善され、その
結果地元住民にとって公共サービス及び地方の労働市場へのアクセスが向上する。
フランスのメトロポール・エクス・マルセイユ・プロヴァンス(Métropole Aix-Marseille-
Provence)向けの持続可能な移動性ソリューション
貸付金：100百万ユーロ
借入人：メトロポール・エクス・マルセイユ・プロヴァンス
対象となる受益者：メトロポール・エクス・マルセイユ・プロヴァンスの住民
メトロポール・エクス・マルセイユ・プロヴァンスは、2016年に92の地方自治体で設立された地方
間公共協力メカニズムである。２百万人近い住民を抱えるメトロポール・エクス・マルセイユ・プロ
ヴァンスは、欧州で最も密集した大都市圏である。過去数年間にわたる公共交通インフラストラク
チャーへの投資の遅れ及び分断された地方の労働市場により、通勤渋滞が生じてきた。
本プロジェクトは、同地方の移動性アジェンダの一環としてマルセイユの地下鉄網の近代化を支援
する。マルセイユの地下鉄は1977年に開通し、２路線で構成され、一部が地下を走っており、28の駅
で年間約80百万人を輸送する。地下鉄は、現在1977年から1984年に製造された36編成で運行されてい
る。完全自動化並びに乗客のアクセス及び安全性の向上のため、全てのインフラストラクチャー及び
17/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
全車両が一新される。「ネオマ(Neomma)」又はヌーヴォー・メトロ・デ・マルセイユ(Nouveau Métro
de Marseille)として知られる本プロジェクトは、地方交通の使用を2025年度までに大都市圏全体でお
よそ50％増加させ、温室効果ガスの排出量を削減する予定である。
ドイツのブランデンブルグ州における都市部及び地方での社会的投資
貸付金：150百万ユーロ
借入人：ブランデンブルグ州投資銀行(Investitionsbank des Landes Brandenburg)
対象となる受益者：ブランデンブルグ州の低所得者、障害者、高齢者、移民及び難民並びに様々な
住民
ブランデンブルグの住民は2.5百万人で、ドイツで10番目に人口の多い州である。同州はドイツ再統
一により1990年に再建され、高度工業化地域及び農村地域で構成される。本プロジェクトには、新た
なユニットの建設及び既存の施設の改修を通じた、手頃な価格での賃貸住宅の提供が含まれる。新た
な住宅ユニットは、特に子供のいる家庭、障害者、高齢者、移民、難民及び避難民に恩恵をもたら
す。
また、CEBの融資は、ブランデンブルグ州全体の都市部及び地方における社会的投資を支援する。こ
れらには、デジタル・インフラストラクチャー及びデジタル・サービスの開発を通じたものを含む、
学校、道路網及び公共交通システムの近代化が含まれる。
イタリアの教育インフラストラクチャーの回復への投資
貸付金：300百万ユーロ
借入人：預託貸付公庫(Cassa Depositi ePrestiti S.p.A.)
対象となる受益者：イタリア全域の児童及び教師
本プロジェクトに基づくCEBの融資により、イタリア全域で、特に事故及び地震による被害を受けた
学校が改良及び改修され、学校の安全性が向上する。小中学校の受入能力も向上し、その結果全員に
とってより質の高い教育が可能となる。
融資は、その他の欧州の金融機関及び国際金融機関の支援を受ける2.7十億ユーロの投資プログラム
である、イタリアの学校建設計画の実施に寄与する。預託貸付公庫(CDP)は契約を締結し、リージョン
(イタリアの一次行政区画)が作成し、2018年から2020年の学校投資計画に含まれる優先順位に基づき
リージョン経由で地方自治体、地方及び大都市に資金を割り当てる。
アイルランドのエネルギー効率の高い公共住宅
貸付金：150百万ユーロ
借入人：住宅金融庁(Housing Finance Agency)
対象となる受益者：アイルランドにおいて公共住宅の提供に責任を負う認定住宅供給機関(AHBs)及
び地方当局(LAs)
本プロジェクトは、過去10年にわたる公共住宅の需要の増加に対処するため、アイルランドを支援
することを目指している。特に、2019年から2022年の期間、エネルギー効率の高い新たな住居の建設
及びアイルランド全域の既存の賃貸公共住宅の改修のため、AHBs及びLAsが求める資金の一部を供給す
る。低所得世帯、社会福祉の対象者、高齢者、障害者及びホームレスは、新たな住宅ユニットの対象
となる。
18/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
本プロジェクトは、本分野における住宅金融庁との過去の連携を活用する。また、本プロジェクト
は、公共住宅の供給を加速させ2021年度までに47,000ユニット増加させるという、 アイルランド再
建：住宅・ホームレス問題に関する行動計画 (2016年７月)に基づく政府の計画の一環でもある。
エストニアの最先端の精神科施設
貸付金：25百万ユーロ
借入人：北エストニア・メディカル・センター(North Estonia Medical Centre)
対象となる受益者：エストニアの患者及び医療関係者
本プロジェクトに基づき、現在の北エストニア・メディカル・センター(エストニア最大の病院)の
医療キャンパスに最新の精神科施設が建設される。運用を開始すると、新施設により、患者に対し専
門分野を横断した精神科治療における欧州最高水準の治療が可能になる。新たなインフラストラク
チャー及びサービスにより、年間約3,200人の入院患者及び約85,000人の通院患者が恩恵を受けると見
積もられている。
新たな最先端クリニックは、スタッフの労働環境も大きく改善し、現在エストニア国外に居住し働
いている精神病専門家が帰国する契機となる可能性もある。さらに、エネルギー効率への配慮も、新
施設の設計及び建設の特徴である。
ⅱ 難民、避難民及び移民の統合
難民、移民及び避難民の援助は、CEBの規則上の優先事項の１つである。本活動路線に基づく当行
の支援は、緊急時の支援及び社会的包摂に対する長期的な融資を含んでいる。
長期的活動は、多分野統合プログラムの一部であることが多い。2019年度において、CEBは、ベル
ギー、ドイツ、スペイン及びスウェーデンの難民、避難民及び移民の統合に貢献する複数の貸付を承
認した。資金調達は、公共住宅の開発、教育及び職業訓練への平等なアクセス、起業能力の改善並び
に手頃な価格のMSME向融資に対して行う。
本活動路線に基づく貸付は、CEBが運営している移民及び難民基金(MRF)並びにEU及びその他のCEB
への二国間支援者からの助成金で行われる活動を補っている。
本活動路線に基づく2019年度の助成金支援活動に関するさらなる詳細は、本書の「d. 協力関係及
び支援者 ⅱ 支援者」の項目に記載されている。
スペインのマイクロ信用供与を通じた社会的包摂の促進
貸付金：100百万ユーロ
借入人：ヌエヴォ・マイクロバンク(Nuevo MicroBank)
対象となる受益者：スペイン全域の小規模事業、小規模企業及び個人
スペインの失業率は近年減少しつつあるものの、2019年末現在で依然14.7％であった。EU圏外から
の移民コミュニティ(全人口の約５％に相当)でみると、失業率は25％に上昇した。
本プロジェクトは、従来の金融システムへのアクセスが限られているか又はアクセスできない小規
模事業、小規模企業並びに移民及び社会的弱者家族等の個人による金融資源へのアクセスを容易にす
ることにより、スペインにおける雇用創出の支援及び社会的包摂の促進を目指している。本プロジェ
クトは、13,272人(うち、30％が女性及び10％が移民)が恩恵を受けたCEBによる過去の融資プロジェク
トを基礎としている。
スウェーデンのストックホルム市の幼稚園/学校
19/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
貸付金：200百万ユーロ
借入人：ストックホルム市
対象となる受益者：移民及び難民を含む、ストックホルムに居住する児童及び教師
ストックホルム市は、950,000人の住民を擁するスウェーデン最大の都市である。人口は常に増加し
ており、2040年までに1.3百万人に達すると見込まれる。ストックホルムの人口全体の32％超が移民又
はスウェーデン以外の出身者と考えられる。本プロジェクトは、児童数の増加並びに移民及び難民を
統合するための特定の教育プロセスの提供の必要性の両方に対処するため、幼稚園及び小学校で必要
となる追加の受入能力の創出を目指している。本プロジェクトは、特にストックホルムの全14地区に
おいて、36の新たな教育施設の建設及び36の既存施設の修復、改修又は拡張を支援する。投資によ
り、児童18,000人分の追加定員及びより良い学習環境が整備される。
ドイツのニュルンベルクにおける公共住宅
貸付金：110百万ユーロ
借入人：wbgニュルンベルク不動産株式会社(wbg Nürnberg GmbH Immobilienunternehmen)
対象となる受益者：低所得者、高齢者、障害者、学生、一人親世帯並びに移民及び難民
ニュルンベルクは、バイエルンで２番目に大きい都市であり、国内及びEU加盟国からの移民並びに
多数の難民がEU圏外から到着したことにより、近年は人口が著しく増加している。本プロジェクト
は、819の新たな住居の建設、既存ユニットの近代化並びに不動産、土地及び既存住居の購入を含む公
共住宅に関するサブ・プロジェクトに融資する。既存住居の改良により、障害者にとっての使いやす
さが向上し、エネルギー及び水利用の効率が改善される。
ⅲ 気候変動対策：緩和策及び適応策の開発
CEB は、二酸化炭素排出量を削減し、気候変動に対する回復力の高い社会を構築するプロジェクト
を支援している。また、気候変動に関する検討事項を他のプロジェクトの立案及び実行に組み入れる
ため、CEBはパートナーと協働している。かかる目的のため、また当行の運営がパリ協定と次第に合
致するよう、CEBは以下の原則を奨励するプロジェクトの審査・監視システムを導入している。
－ プロジェクトが国の低排出方針に従うこと。
－ プロジェクトの気候変動に対する回復力を高めるため、物理的な気候リスクを特定すること。
－ 気候変動に関する融資の優先順位をつけ、目標を定め、報告すること。
－ 気候変動に関する指標を審査し、監視し、報告すること。
CEB は、社会包摂的な気候変動対策プロジェクトの支援を目指している。つまり、当行は、気候変
動の緩和・適応プロジェクトを融資する際に、社会の利益の最適化を試みている。
2019 年度において、CEBは、本活動路線に基づき１十億ユーロ超の貸付を承認した。融資は、単独
のプロジェクト及びプロジェクトの一部分を対象とする。年度中に承認された融資全体の26％に相当
し、気候変動の緩和策に関する703百万ユーロ及び適応策に関する334百万ユーロで構成される。
リトアニアの住宅のエネルギー効率改善
貸付金：100百万ユーロ
借入人： 政府
対象となる受益者：低所得者を含むリトアニアの住民
リトアニアの住宅ストックには、約39,000の集合住宅(800,000のアパート)が含まれている。その
90％は1993年より前の技術基準に基づき建設されており、建物外面の低耐熱性、不十分な暖房システ
20/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ム及び適切な換気設備の欠如により、エネルギー性能が低い傾向にある。これらの建物の年間熱消費
量は、1993年より後に建設された集合住宅と比べて２倍である。
本プロジェクトは、リトアニア全域でのエネルギー効率の改善及び約230の集合住宅の改修を支援
する。約8,000から9,000世帯が、生活の質の向上、快適な住環境及びエネルギー費用の削減による直
接の恩恵を受ける。さらに、改修により約15,000トンの二酸化炭素の削減が見込まれる。
セルビアの持続可能な水道及び下水道サービス
貸付金：200百万ユーロ
借入人：政府
対象となる受益者：セルビアの住民
本プロジェクトは、セルビアの気候変動適応プランに沿って、給水及び排水管理への投資に融資す
る。給水については、60の地方自治体における優先的措置を通じた水道網の近代化に資金が充当され
る。かかる措置により、セルビアの人口の30％近くに相当する２百万人を対象に給水の無駄を削減
し、給水範囲を拡大し、水質を向上させる。
本プロジェクトは、1.1百万ユーロの技術支援助成に支えられている。かかる助成は、革新プロ
ジェクトのためのイタリア基金、スロバキア包括的成長口座及びスペイン社会的統合口座からの
250,000ユーロの拠出により資金提供されている。さらに、CEBの社会配当金勘定から350,000ユーロ
を拠出した。
ギリシャの洪水防止策
貸付金：70百万ユーロ
借入人：政府
対象となる受益者：アッティカ、マケドニア中部及びペロポネソスの住民
近年、ギリシャは豪雨による深刻な洪水に複数回見舞われており、死傷者並びにインフラストラク
チャー及び住宅への甚大な被害が発生している。CEBが提供する貸付は、排水溝及び排水管並びに保
水構造等、政府の洪水リスク管理計画の一部である洪水防止策に融資される。本プロジェクトによ
り、今後ますます頻発かつ激化が予想されるギリシャの洪水からの回復力が高まり、当該地域の住民
に対する気候変動の影響を軽減する。また、ヴラブロナのアルテミス神殿等、同国の豊かな文化遺産
の一部をなし、洪水被害を受けやすい場所に位置する遺跡も保護する。
イタリアの気候変動適応及び災害対策への投資
貸付金：50百万ユーロ
借入人：ジェノバ市
対象となる受益者：ジェノバの住民
本プロジェクトは、ジェノバが取り組む自然災害からの回復力向上及び自然災害に対する脆弱性の
軽減への主要な投資を支援する。特に、都市の地形が原因で同市が特にさらされやすい洪水及び地滑
り等の気候変動による影響を軽減する。かかる投資はまた、労働力が減少する経済の脆弱性及び同市
の高齢化に関連した社会的課題にも対処する。
CEB の支援は、死傷者を出した2018年のモランディ橋の悲惨な崩落及びその後の同市及び周辺地域
の住民への負担を受けて、ジェノバにとっての重要な局面で行われる。
21/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
承認された事業(国ごと)
(単位：千ユーロ)
2015 年から2019年の
2019 年 2018年 累積合計
国 金額 ％ 金額 ％ 金額 ％
ベルギー 300,000 7.53 791,400 4.51
ボスニア・ヘルツェゴビナ 26,135 0.66 4,500 0.12 41,635 0.24
ブルガリア 370,000 2.11
クロアチア 200,000 5.02 50,000 1.28 350,000 2.00
キプロス 40,000 1.00 72,000 0.41
チェコ共和国 185,000 4.64 300,000 7.70 935,000 5.33
エストニア 25,000 0.63 25,000 0.14
フィンランド 50,000 1.26 220,000 5.64 410,000 2.34
フランス 221,200 5.55 42,000 1.08 1,233,800 7.03
ジョージア 25,000 0.63 5,000 0.13 46,500 0.27
ドイツ 381,200 9.57 380,000 9.75 1,613,200 9.20
ギリシャ 70,000 1.76 72,000 0.41
ハンガリー 167,000 4.28 232,700 1.33
アイスランド 10,000 0.06
アイルランド 150,000 3.77 668,000 3.81
イタリア 420,000 10.55 447,000 11.47 1,367,000 7.79
ラトビア 15,000 0.38 77,000 0.44
リトアニア 125,000 3.14 15,000 0.38 175,000 1.00
マルタ 29,000 0.17
モルドバ共和国 20,000 0.50 12,000 0.31 32,000 0.18
モンテネグロ 20,000 0.50 70,000 0.40
オランダ 310,000 7.78 400,000 10.26 1,176,600 6.71
北マケドニア 10,000 0.06
ポーランド 340,332 8.54 566,429 14.53 2,392,807 13.64
ポルトガル 145,000 3.72 305,000 1.74
ルーマニア 150,000 3.77 179,000 4.59 554,000 3.16
セルビア 324,000 8.13 250,000 6.41 574,000 3.27
スロバキア共和国 50,000 1.26 50,000 1.28 749,500 4.27
スロベニア 50,000 1.28 100,000 0.57
スペイン 250,000 6.28 600,000 15.39 1,947,000 11.10
スウェーデン 200,000 5.02 560,000 3.19
トルコ 100,000 2.51 550,000 3.14
合計 3,982,867 100.00 3,897,929 100.00 17,540,142 100.00
22/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
支出済融資(国ごと)
(単位：千ユーロ)
2015 年から2019年の
2019 年 2018 年 累積合計
国
金額 ％ 金額 ％ 金額 ％
13,600 0.48 13,800 0.50 38,991 0.33
アルバニア
212,500 7.47 42,500 1.53 415,000 3.52
ベルギー
12,423 0.44 13,737 0.50 63,760 0.54
ボスニア・ヘルツェゴビナ
60,000 2.11 60,000 2.16 302,500 2.56
ブルガリア
47,674 1.67 37,776 1.36 258,324 2.19
クロアチア
11,500 0.40 14,500 0.52 67,000 0.57
キプロス
200,000 7.03 150,000 5.41 745,000 6.31
チェコ共和国
125,000 4.39 110,000 3.97 425,000 3.60
フィンランド
26,607 0.93 121,830 4.39 814,777 6.90
フランス
3,402 0.12 1,323 0.05 21,501 0.18
ジョージア
95,340 3.35 163,701 5.90 722,192 6.12
ドイツ
43,012 1.51 73,287 2.64 240,029 2.03
ハンガリー
5,000 0.18 10,000 0.08
アイスランド
70,000 2.46 85,000 3.06 271,000 2.30
アイルランド
259,779 9.13 212,000 7.64 624,929 5.30
イタリア
3,600 0.13 3,600 0.03
ラトビア
15,986 0.56 30,000 1.08 115,986 0.98
リトアニア
1,877 0.07 6,999 0.25 21,349 0.18
モルドバ共和国
13,091 0.46 8,467 0.31 43,308 0.37
モンテネグロ
147,057 5.17 544,517 19.63 741,575 6.28
オランダ
14,137 0.50 7,393 0.27 69,347 0.59
北マケドニア
346,565 12.17 550,405 19.85 1,803,591 15.28
ポーランド
85,000 2.99 121,000 1.03
ポルトガル
42,290 1.49 20,851 0.75 214,697 1.82
ルーマニア
139,200 4.89 26,000 0.94 226,200 1.92
セルビア
252,000 8.85 3,963 0.14 771,463 6.54
スロバキア共和国
10,000 0.35 25,000 0.90 95,000 0.80
スロベニア
249,953 8.78 197,000 7.10 1,341,453 11.37
スペイン
174,998 6.15 48,280 1.74 223,278 1.89
スウェーデン
165,000 5.80 205,000 7.39 989,789 8.39
トルコ
合計 2,846,591 100.00 2,773,329 100.00 11,801,639 100.00
次へ
23/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
承認された事業(相手方別)
(単位：千ユーロ)
国 相手方 プロジェクトの概要 金額
ベルギー ベルギーのフランス語共同体 ベルギーのフランス語共同体の教育分野、すなわち若者を支援するための保育施設、小中学校、 300,000
高等教育機関並びに行政インフラストラクチャーの建設及びリノベーションに対する投資。最終
受益者は、移民及び難民の子供を含む既存及び将来の教育機関における生徒、学生及びスタッフ
であり、新しい施設及び改修された施設並びにさらなる環境の創出から恩恵を受ける。
ボスニア・ヘル 政府 特に精神医療分野へのインフラストラクチャー投資、新しい施設の建設、損傷したインフラストラ 11,135
ツェゴビナ クチャー又は一時的なインフラストラクチャーの再建及び適応並びに備品並びに医療機器及び非医
療機器の供給。最終受益者は、国内の10,000を超える患者及び医療スタッフである。
MKD マイクロフィンD.O.O.バニャ・ 収入を生む活動の創出及び保護並びに自営業の創出及び保護だけでなく零細企業の創出及び発展 5,000
ルカ(MKD Mikrofin D.O.O. Banja を支援するためのマイクロ・ローン商品を通じた生産性のある投資。最終受益者は、銀行からの
融資を制限されているか、一切融資を受けることができないボスニア・ヘルツェゴビナの低所得
Luka)
者、零細起業家、特に女性起業家、小規模農家及び一般家庭である。
プロクレジット銀行D.D.サラエ 生産的固定資産の取得及び営業所の建設又は増築などの投資並びに運転資本。最終受益者は、国 10,000
ヴ ォ (Procredit Bank D.D. 内の適格なMSMEの従業員であり、新たな正規雇用及び季節雇用の創出並びに既存の雇用の維持に
よる恩恵を受ける。
Sarajevo)
クロアチア クロアチア復興開発銀行(Croatian 都市及び地方の公共インフラストラクチャーの近代化及び復旧への投資だけでなくMSMEの利益と 200,000
なる生産性のある投資プロジェクト。最終受益者は、クロアチア国内のMSMEの従業員及び求職者
Bank for Reconstruction and
並びに町、自治体及び地域の住民であり、改善された公共インフラストラクチャー及びサービス
Development)
の恩恵を受ける。
キプロス 政府 飲料水の輸送のためのインフラストラクチャーを建設することにより、キプロスの現在及び将来 40,000
の飲料水の必要量の一部を確保する給水システムを強化するための投資。このプロジェクトは約
400,000人の住民又は総人口の42％に直接恩恵をもたらす。
チェコ共和国 ブルノ上下水道(Brno Waterworks ブルノ－モドジツェ廃水処理プラントの汚泥ラインの再建及び増築のための投資。最終受益者 35,000
は、南モラビア地域の住民の大半を占める広範なブルノ地域の住民であり、廃水収集及び廃水処
and Sewerage)
理の改善による恩恵を受ける。
SG エクイップメントファイナン MSME 並びに地方及び都市の公共インフラストラクチャーの復旧及び近代化を目的とするサブ・プ 150,000
ロジェクトのための生産性のある投資。最終受益者は、雇用の創出及び維持による恩恵を受ける
ス・チェコ共和国s.r.o.(SG
MSMEの従業員及び求職者並びにチェコ共和国及びスロバキア共和国内の公共サービス、主に輸送
Equipment Finance Czech
に対する投資による恩恵を受ける自治体及び地域の住民である。
Republic s.r.o.)
24/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
エストニア Pohja‐Eesti Regionaalhaigla－ タリンにあるNEMC医療キャンパスに、古くなった既存の複合施設に代わる新たな精神科クリニッ 25,000
クの建物を建設。最終受益者は、改善された精神科ケアサービス及び治療の質、安全性及びそれ
北エストニア・メディカル・セン
らへのアクセスにより恩恵を受ける約3,200人の入院患者及び85,000人の外来患者である。さら
ター(NEMC)
に、415人の従業員及び医学生が、新しく改善された労働条件、勉強条件及び研究条件の恩恵を受
ける。
フィンランド トゥルク市 2018 年に承認されたプロジェクトに対する追加要請は、都市インフラストラクチャーに対する投 50,000
資への部分融資であり、建物の追加建設及び既存施設のリノベーションを予定している。PFF(公
共部門融資機関)は、 子供、若年層、家族、生徒、教員、自治体の施設を利用する住民、高齢者並
びに障がい者及びサービスアパートメントに居住する高齢の市民など幅広い人々に恩恵をもたら
す。
フランス リール・パスツール研究所 リール・パスツール研究所(IPL)のキャンパス内にある既存の建物及びインフラストラクチャーの 21,200
(Institut Pasteur de Lille) 改修工事で、建設及び構造物工事、アスベストの除去、火災、エネルギー及び環境基準の整備並
びに機器の購入を含む。直接的な最終受益者は、326人のIPL従業員並びに420人の従業員、訓練
生、その他施設の保健スタッフ及び支援スタッフである。さらに、長寿健康予防センターの患者
もこのプロジェクトによる恩恵を受ける。
メトロポール・エクス・マルセイ 鉄道車両、自動操縦システム並びに駅、建物及びプラットフォームのリノベーション及び近代化 100,000
ユ・プロヴァンス を含むマルセイユの地下鉄システム及びネットワークを改善するための投資。最終受益者は、メ
トロポール・エクス・マルセイユ・プロヴァンスの住民約２百万人及び地下鉄ネットワークとつ
ながる新規の利用者であり、地下鉄システムの質、効率及び安全性の改善による恩恵を受ける。
イル・ド・フランス水道一部事業 ２つの要素に基づく投資：飲料水供給ネットワークの部分的な更新及び低圧力逆浸透膜(LPROM)処 100,000
組合(Syndicat des Eaux d'Ile‐ 理ユニットの建設。最終受益者は、イル・ド・フランス地域の自治体の住民であり、飲料水の質
及びその供給の改善による恩恵を受ける。地域全体のエンドユーザーは、飲料水資源の保全並び
de‐France)
にエネルギー消費量の削減及び温室効果ガス排出量の削減により恩恵を受ける。
ジョージア JSCプロクレジット・バンク(JSC 固定資産取得、営業所の建設又は増築及び運転資本を含むMSMEにより実施された投資。最終受益 25,000
者は、新たな正規雇用及び季節雇用の創出並びに既存の雇用の維持により恩恵を受けるジョージ
ProCredit Bank)
ア国内の適格なMSMEの従業員及び求職者である。
ドイツ ブランデンブルク州投資銀行(ILB) ブランデンブルク州のインフラストラクチャー及び公共住宅プログラムの実施のための適格投資 150,000
への部分融資。最終受益者は、低所得者、障がい者、高齢者、移民及び難民並びにブランデンブ
ルク州の幅広い住民であり、教育インフラストラクチャー、社会インフラストラクチャー及びデ
ジタルインフラストラクチャーに対する投資の結果として地域のサービス及び施設へのアクセス
が改善されることにより恩恵を受ける。
ライプツィヒ住宅建設企業MBH 低所得者向け賃貸住宅の建設、リノベーション及び近代化並びに託児所の建設を通じたライプ 58,000
ツィヒ市内における手頃な公共住宅の需要の高まりに対する部分融資。最終受益者は、低所得
(Leipzig eWohnungs‐ und
者、幼児、高齢者及び障がい者、学生、一人親家庭並びに移民及び難民である。
Baugesellshaft MBH)
25/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
シュツットガルト住宅都市建設企 手頃な公共賃貸住宅ユニットの供給を増やし、シュツットガルトの建築遺産の保存を融資するた 63,200
業(Stuttgarter Wohnungs‐ Und めの新規の建設並びに既存の建物の取得及びリノベーションに対する部分融資。最終受益者は、
低所得者であり、若年家族、一人親、高齢者、学生並びに移民及び難民が含まれる。
Städtebaugesell)
wbgニュルンベルク不動産株式会社 819 の新しい住居の建設、障がい者が利用しやすくなるような既存ユニットの近代化、エネルギー 110,000
効率及び水効率の改善並びに不動産、土地及び既存の住居の購入を含む公共住宅サブ・プロジェ
クトに対する部分融資。最終受益者は、低所得者、高齢者、障がい者、学生、一人親並びに移民
及び難民である。
ギリシャ 政府 深刻な洪水から住民、インフラストラクチャー、環境的資産及び文化的資産並びにその他の生産 70,000
的資産を保護するための一部の都市部又は都市周辺地域における洪水防止インフラストラク
チャーの改善及び近代化。最終受益者は、アッティカ、中央マケドニア及びペロポネソスの都市
部及び都市周辺地域の高リスク洪水地帯に住む住民である。
アイルランド 住宅金融庁PLC 2019 年から2022年の間、アイルランド共和国内におけるエネルギー効率の高い新しい住居の建設 150,000
及び既存の賃貸公共住宅の改修。最終受益者は、一人親家庭、主に母子家庭、高齢者、障がい者
及びホームレスなど、社会福祉を受けている低所得世帯である。
イタリア 預託貸付公庫 学校インフラストラクチャーの安全性の向上、近代化及び強化、特に事故及び地震被害の防止に 300,000
取り組むためのサブ・プロジェクトへの投資。最終受益者は、イタリア中の学校システムにアク
セスしている生徒及び教師であり、改修された安全な学校インフラストラクチャーの恩恵を受け
るとともに、既存の建物の増築による収容能力向上による恩恵も受ける。
ジェノヴァ市 戦略プログラムに沿った、2019年から2021年までの期間における地方自治体の必要予算を支援す 50,000
るための投資で、ジェノヴァ市の新たに承認されたレジリエンス戦略の実施を目的とした投資に
重点を置く。最終受益者は、ジェノヴァ市の住民及び首都圏の人々及び観光客である。
リグーリア州 地域の戦略的優先事項、特に統合された都市安全システム、都市再生並びに既存のインフラスト 70,000
ラクチャー及び都市施設の維持並びに土壌の保護、市民保護及び公共行政サービスの近代化に関
連する投資に取り組むことを目的とした投資。最終受益者は、リグーリア州の人口の大部分であ
り、都市レベル及び地方レベルでの投資による恩恵を受ける。
リトアニア カウナス市 市の予算に含まれる新しい構造物の建設、既存の建物の修復、リノベーション又は増築並びに関 25,000
連する設備、施設及びインフラストラクチャーに対する投資。最終的な受益者は、子供、教育機
関に在籍する学生、文化イベントに参加する市民及びスポーツをする人々を含む、カウナス市と
カウナス地域の幅広い住民である。
政府 エネルギー効率改善プロジェクト及び集合住宅の改修工事への投資により、エネルギー消費量の 100,000
削減と暖房費の削減に至り、結果として環境への負荷が軽減され、住民の生活環境が改善され
る。最終受益者は、リトアニア国内の集合住宅に住む低所得世帯を含む住民である。
26/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
モルドバ共和国 プロクレジット銀行(Procredit 建設、卸売業、小売業、製造業及び農業などの幅広い分野で活動しているMSMEにより実施された 10,000
適格投資の部分融資。最終受益者は、国内の適格なMSMEの従業員及び求職者であり、新たな正規
Bank)
雇用及び季節雇用の機会並びに既存の雇用の維持による恩恵を受ける。
政府 2013 年に承認されたキシナウ刑務所プロジェクトへの追加要請は、「行政及び司法インフラスト 10,000
ラクチャー」活動部門におけるプロジェクトの総費用の増加分を部分融資することである。最終
受益者は、改善された拘留条件から恩恵を受ける受刑者及び改善された労働条件から恩恵を受け
る刑務所の職員である。
モンテネグロ 政府 合計７つの就学前教育施設の建設、再建設及び改修であり、そのうちの４つは国の首都であるポ 10,000
ドゴリツァに位置し、３つは北部のベラネ、ビイェロ・ポリェ及びプラヴに位置する。最終受益
者は、近代的かつ十分な就学前教育施設へのアクセスによる恩恵を受ける０歳から６歳までの約
1,675人の子供及び彼らと同じクラスに組み入れられる、特別なニーズを有する子供である。
2017 年に承認されたプロジェクトを拡大するため、低中所得世帯に住宅を提供することを目的と 10,000
した投資への部分融資を行うよう追加要請。優先的なターゲットグループは、若いカップル、障
がい者がいる世帯、公務員及び低所得世帯である。
オランダ ラボバンク(Cooperative Rabobank 2016 年に承認されたプロジェクトに対する追加要請は、医師の診察、保健医療施設、オフィスス 150,000
ペースなどの医療施設及び介護施設の建設又は再建設並びに新たな機器の購入並びに学校、オ
U.A.)
フィススペースなどの教育施設の建設又は再建設並びに新たな機器の購入のための投資に対する
部分融資である。CSL(分野横断型ローン)は、特に医師、患者、高齢者、教師及び生徒、障がい者
及び特別な支援を必要とする人々を含む、オランダ国内の幅広い住民に恩恵をもたらす。
ナショナル・エネルギーベスパー 2018 年に承認されたプロジェクトに対する追加要請は、「環境保護」活動部門におけるエネル 150,000
ファンド(Nationaal ギー効率投資プロジェクトに対する部分融資及び学校向け省エネルギーローン(学校ESL)の試験的
プロジェクトの導入。最終受益者は、住宅所有者及び住宅所有者団体であり、エネルギー消費の
Energiebespaarfonds)(NESFF)
削減の結果家計の出費を抑える、エネルギー効率化対策のための優先的融資へ容易にアクセスす
ることが可能となる。
クレディッツ(Qredits) マイクロ・クレジット又はSMEローンを通常の金融部門にアクセスができない起業家に向けて部分 10,000
融資し、2017年に承認されたプロジェクトを拡大するよう追加要請。最終受益者は、移民及び不
利な立場にある女性を含むオランダ国内の起業家であり、経済成長及び雇用による恩恵を受け
る。
27/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ポーランド ワルシャワ市 ウルシヌフ地区及びビエラニー地区における新たな近代美術館の建設並びに新しい設備の購入を 86,047
含む２つの病院の建設、増築及び改修のための地方自治体の投資への(公共部門融資機関を通じ
た)部分融資。最終受益者は、ワルシャワ首都圏の幅広い住民であり、文化の向上並びに保健サー
ビスの利用可能性及び質の改善を通じた生活の質の向上の恩恵を受ける。
ペカオ・リーシング 建設業、卸売業、小売業、製造業などの広範囲な分野においてMSMEが実施する適格な投資に対す 100,000
る貸付又は融資の形をとる部分融資。最終受益者は、雇用機会の恩恵を受ける国内全域の適格な
MSMEの従業員及び求職者である。
シフィエンティクシシュ地方 効率的な輸送インフラストラクチャーの整備、より良い保健サービスの提供並びに文化的インフ 34,286
ラストラクチャー及び観光インフラストラクチャーの向上への投資に対する部分融資。最終受益
者は、地域全体の改善された保健インフラストラクチャーの恩恵を受けるシフェントクシスキェ
地方の住民であり、特に道路利用者及びサイクリスト、社会文化施設のスタッフ及び訪問者並び
に患者及び医療スタッフである。
SGイクイップメント・リーシン 建設業、卸売業、小売業、製造業などの幅広い分野で活動しているMSMEが新たな正規雇用及び季 120,000
グ・ポルスカ(SG Equipment 節雇用の創出の促進並びに既存の雇用の維持を目的として実施した適格投資に対する貸付又は融
資の形をとる部分融資。最終受益者は、国内全域の適格なMSMEの従業員及び求職者である。
Leasing Polska)
ルーマニア ユニクレディット・リーシング・ 自動車、機械設備、オフィス及び生産施設の購入を含む受益者の中核的な事業活動を支えるため 150,000
コーポレーションIFN SA MSMEにより実施される、適格なサブ・プロジェクトの固定資産及び生産的資産に対する貸付又は
融資の形をとる投資。最終受益者は、ルーマニア国内におけるMSMEの従業員及び求職者である。
(UniCredit Leasing Corporation
IFN SA)
セルビア 政府 収容能力を増やし、新しい診断技術及び治療技術、ロボット手術設備、より洗練された患者モニ 54,000
タリング及び治療的診断の新しい分野を取り入れるため、ベオグラードの小児大学病院に新たな
建物を建設するための部分融資。最終受益者は、セルビアの住民、特に公共の保健サービス及び
医療機関の質の向上及びアクセスの改善から直接恩恵を受ける若い患者並びに病院スタッフ及び
医学生である。
セルビア国内における約60の自治体の水道供給システムの水質保護及び水の損失を減らすための 200,000
優先的措置の復旧及び実施並びに廃水処理施設及び関連する下水処理ネットワークの建設。最終
受益者は、セルビア国内の60の自治体の約２百万人の住民であり、飲料水の質の向上、その流通
の改善及び水質汚染の減少及び気候変動に対する水道サービス及び衛生サービスの回復力の改善
により恩恵を受ける。
エネルギーパフォーマンスを向上させ、火災安全性及びユーザー補助機能を改良するためにベオ 40,000
グラードの約28の中央政府庁舎をエネルギー効率的にリノベーション。最終受益者は、ベオグ
ラードの選ばれた中央政府庁舎の約7,000人の政府職員及び１日当り15,000人の訪問者である。
ユニクレディット・バンク・セル セルビアのMSMEに対する投資を容易にすることにより正規雇用及び季節雇用の創出及び維持に寄 30,000
ビアJSC (UniCredit Bank Serbia 与するための適格な固定資産、生産設備及び運転資本の部分融資。最終受益者は、銀行からの融
資を制限されているか、一切融資を受けることができない適格なMSMEの従業員及び国内の求職者
JSC)
である。
28/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
スロバキア共和 ヴショーベツナ・ウヴェロヴァ・ 営業所の建設及び増築、固定資産及び生産設備の獲得並びに都市インフラストラクチャー及び地 50,000
国 バンカ (Vub Banka) 方インフラストラクチャーの建設及び復旧に対する投資。最終受益者は、雇用の創出及び維持の
恩恵を受けるスロバキア共和国内のMSMEの従業員及び求職者と、建設、近代化及び復旧プロジェ
クトの恩恵を受ける自治体及び地域の住民である。
スペイン フンタ・デ・カスティーリャ・ 2014 年から2020年の欧州地域開発基金(ERDF)運用プログラム及び2014年から2020年の地域開発プ 150,000
ラ・マンチャ(Junta de ログラム(RDP)に基づくカスティーリャ・ラ・マンチャの寄付金の部分融資。特に、貸付により地
域の持続可能かつ包括的な経済発展を促進させる投資及び農業分野の競争力を高める投資への部
Comunidades de Castilla La
分融資を行う。最終受益者は、雇用創出、新しいテクノロジーへのアクセス及び改善された環境
Mancha)
を通じた生活の質の向上から恩恵を受けるカスティーリャ・ラ・マンチャ地域の市民である。
ヌエヴォ・マイクロバンク 雇用の創出支援及び社会的統合の促進をするため事業マイクロ・ローン及び家族マイクロ・ロー 100,000
ンを通じたヌエヴォ・マイクロバンクによる小規模事業及び個人への貸付に対する部分融資。最
終受益者は、銀行からの融資を制限されているか、一切融資を受けることができない起業家、零
細起業家並びにスペイン国内において社会的に弱い立場にある移民及び世帯である。
スウェーデン ストックホルム市 72のインフラストラクチャー・サブ・プロジェクト(35の保育施設と37の小学校)への適格投資に 200,000
対する(公共部門融資機関を通じた)部分融資。特に、貸付は、36の新しい教育施設の建設及び36
の既存の施設の復旧、リノベーション又は増築を部分融資する。最終受益者は、ストックホルム
の全14地域の既存及び将来の学校における就学前及び義務教育期間の子供であり、移民及び難民
の子供を含む。彼らは新しい施設及び改修された施設並びに18,000のさらなる環境の創出から恩
恵を受ける。
トルコ 政府 公立学校及び病院の再建及び改修並びにイスタンブール地震リスク軽減・防災プロジェクト 100,000
(ISMEP)に基づくプロジェクト管理コストに対する融資。最終受益者は、イスタンブールの住民、
特に将来起こりうる地震の脅威に常にさらされている、最も立場の弱い人々である。30千人を超
える子供、学生及び教師が、現在の貸付から直接恩恵を受けることが期待されている。
合計 3,982,867,226
次へ
29/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
b. 影響力のある投資
2019 年度において、36のプロジェクトが完了した。CEBの融資は合計３十億ユーロで、これらのプ
ロジェクトにより370,000を超える雇用がMSMEで創出及び維持されており、欧州全域で8.7百万人を超
える人々にとっての地方自治体のインフラストラクチャー及びサービスへのアクセス及び利用の改善
＊
が確保された 。
*完成報告は、2019年に最終化された。CEBの借入人が提出したプロジェクト完了報告書に基づき統合されたデー
タ。
c. 社会分野の知識の向上
CEB は、特定のプロジェクトへの助言に加えて、部門の成長、ベストプラクティス及び国際基準を
特定及び促進する。これは、プロジェクトの出資者による社会分野の戦略の見直し並びに現在進行中
及び将来のプロジェクトの最適化に役立ち、その結果当行の融資の社会及び環境への影響が最大化す
る。
より良い生活環境を実現するには
欧州におけるエネルギー貧困に関する研究は、エネルギー効率の改善と関連する規制政策が家庭エ
ネルギー消費とエネルギー貧困率の低下に寄与していることを示している。計量経済学に基づくと、
家庭のエネルギー効率スコアが10％上昇した場合、家庭のエネルギー支出は7.1％へと2.4％減少する
可能性があることが示されている。さらに、家庭エネルギー消費は、家庭のエネルギー効率に関する
最低規制基準を設定する高い影響力を有する典型的なエネルギー効率政策を政府が実施した数年後に
は4.4％減少する可能性がある。
低炭素の未来のためのエネルギー効率の高いリノベーションへの投資に関する技術報告書では、
CEBがエネルギー効率の改善を支援するその活動を拡大する可能性を探るとともに、CEBが公共団体、
住宅所有者及び中小企業を支援することで、融資された投資の社会的及び環境的な影響を高めること
ができる分野をいくつか提示している。
ヨーロッパにおいて社会的で手頃な価格の住宅を開発するには
欧州における非営利民間組織が提供する社会的で手頃な価格の住宅に関する技術報告書は、欧州に
おける住宅取得能力の危機について論じており、この分野における当行の経験を基に作成されてい
る。かかる技術報告書では、社会的で手頃な賃貸住宅の供給における民間非営利分野の参加に関する
４つの特徴的なモデルを提示しており、これらのモデルは、全ての人にとって手頃で質の高い住宅ソ
リューションを確保するために様々な国で適用することができる。
学校の建物を最大限に活用し、学習環境を改善するには
フランスのセーヌ・サン・ドニの学校設計と学習環境は、フランスのセーヌ・サン・ドニにおけ
る、前期中等教育インフラ投資のテーマ別レビューからの主要な調査結果と勧告を提示する。かかる
レビューは、英語版とフランス語版があり、建設工事及び改装工事、IT機器及び教育機器並びにス
ポーツ施設及びレジャー施設の質の高さを認め、また、障がいのある学生のアクセスを確保するため
の配慮を評価している。また、かかるレビューは、将来的なデザインの調整や、既に利用可能な革新
的な空間の教育的な可能性を教師や生徒が十分に活用できるようにするための方法も提案している。
かかるレビューは、革新的な学習環境に関するシリーズの一部である。
30/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
国際金融機関(IFIs)が欧州のマイクロファイナンスをより良く支援するには
欧州マイクロファイナンス・ネットワーク(European Microfinance Network)と共同で作成され
た、マイクロファイナンスを通じた欧州における包括を支援する技術報告書は、これまでのCEBのマ
イクロファイナンス事業及び当行とその他の欧州国際金融機関(IFIs)や欧州マイクロファイナンス・
ネットワークとのやりとりを活用している。かかる技術報告書は、マイクロファイナンス機関がその
社会的及び財政的な目標を達成するためのIFIsによる様々な支援方法を探求している。
効果的な囚人の更生を確保するには
アイルランドにおける囚人の更生：少ないリソースでより多くのことを行うことに関するテーマ別
レビューでは、アイルランドの刑務所における更生システムのケース・スタディを紹介している。特
に、かかるテーマ別レビューでは、囚人の更生、社会復帰及び再犯との闘いにおけるベストプラク
ティスを反映するために、緊縮財政時代にアイルランドで実施された様々な改革について議論する。
全ての刊行物は、次のサイトにて入手可能である。
https://coebank.org/en/news‐and‐ publications/ceb‐publications/
革新的な学習環境
この概念は、学習の連続体、又は学習のための総合的な環境の創造を前提とした教育のための新し
いビジョンに関連している。これは、教師主導の学習のための、机の配列、黒板及び一連の有限的な
時間間隔(授業)のある伝統的な教室から離れる動きを表している。この新しい環境は、学業成績の向
上とは別に、生徒とその家族が学校空間をより容易に利用できるようにし、学校に焦点を当てたより
広いコミュニティの形成に貢献することを目的としている。
d. 協力関係及び支援者
ⅰ 協力関係
2019 年において、CEBは、同業者の多国間金融機関及び当行の中核的活動に関わるその他国際組織
との協力関係を引き続き強化した。
(a) 欧州連合
欧州連合は、CEBにとって引き続き特別なパートナーであり、また主要な支援者である。EUとの
パートナーシップでは、ヨーロッパにおける持続可能で包摂的な成長の促進を目指しており、社会
的に最も弱い者の包摂に貢献し、雇用、教育及び訓練、ジェンダーの平等並びに持続可能な発展を
支援する活動に注力している。
貸付金と助成金の組合せは、かかる目的にとって依然として極めて重要な手段である。これは、
レバレッジ効果を生み、より大規模で複雑なプロジェクトへの融資を可能にする。2019年のCEBの
貸付金の一部は、EUの助成金と組み合わされており、合計３十億ユーロ超の投資のレバレッジを効
かせると見込まれている。
欧州連合は、2021年以降、欧州戦略投資基金(「ユンカープラン」)に取って代わるインベストEU
基金の実行パートナーとして、CEBを推薦した。2019年中、CEBは提案された新しい地位に関連する
運用要件の実装に取り組んだ。
CEB はまた、EUの新規の近隣開発国際協力機関(NDICI)の提案されている新しい基金の構造を引き
続き入念に監視した。
31/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(b) 気候変動枠組条約
2018 年以来、CEBは、気候変動枠組条約(UN FCCC)において、常任オブザーバーの地位を有してい
る。CEBは、第25回気候変動枠組条約締約国会議(COP25)への参加に加え、2019年を通じてそのプロ
ジェクト・ポートフォリオをパリ協定の目標とさらに一致させようと努力した。したがって、CEB
は、その全てのプロジェクトにおいて環境持続可能性と気候変動の緩和及び適応策を統合するた
め、そのプロジェクトの審査プロセスを継続的に改善した。さらに、当行は、2020年以降、主要な
持続可能な開発目標(SDGs)へのその貢献度の評価を可能にする業務上の枠組みを定義した。
(c) 移民及び難民受入れに関する欧州のネットワーク
2019 年、CEBは移民及び難民受入れに焦点を当てたEU主導の２つのイニシアチブ、すなわち、移
民及び難民受入れのための都市パートナーシップ(「 受入れのための パートナーシップ(the
Partnership for Inclusion)」)と移民受入れのための都市及び地域(「 受入れのための地域
(Regions4Integration) 」)の活動に積極的に貢献した。
受入れのためのパートナーシップは、2016年、オランダがEU議長国を務めていた時期に開始され
た。2019年には、受入れのためのパートナーシップの活動は、最も弱い立場にある難民や移民を含
む労働市場の統合におけるベスト・プラクティスの特定と、その年に実施された評価作業の結果に
基づくパートナーシップの今後の道筋の定義に焦点が当てられた。この分野におけるCEBの経験
は、引き続き本パートナーシップの活動に反映される。
Regions4Integration は、欧州の市長や地域指導者が、移民と難民の受入れの前向きな事例を紹
介し、知識とベスト・プラクティスを共有し、包摂的な都市を建設し社会的一体性を確保する付加
価値として多様性を促進するための政治方針として、2019年４月に欧州地域委員会によって発足し
た。受入れのためのパートナーシップが限られたメンバーに基づいて活動し、大都市に焦点を当て
ているのに対し、Regions4Integrationは、120超のメンバーを持ち、地方や小都市及び町を含む地
域に発言権を提供することを目的としている。具体的な資金ニーズに取り組むことに加えて、CEB
は2019年欧州都市・地域週間にブリュッセルでワークショップを企画するなどを通じて、
Regions4Integrationの知識共有部分を積極的に支援した。
32/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(d) 民間セクター運営の統一指標
民間セクター運営の統一指標(HIPSO)イニシアチブは、IFC、EIB、EBRD及び複数の国の開発銀行
を含む、26の多国間金融機関から成っている。参加金融機関が使用する統一の実績指標を定めるこ
とを目的としている。統一された枠組みによって、借入人の報告義務を軽減し、金融機関が相互に
学び合う能力を高めることができる。
CEB は、2019年10月のHIPSOの年次総会に参加した。かかる総会は、プロジェクト及び市場レベル
の効果並びに間接的/誘発的な効果をより良く把握するために、全てのHIPSO指標の改訂に焦点を当
てた。新しい測定基準は、必要に応じて2020年上半期に使用される予定である。
(e) 健康及び社会介護パートナーシップ
社会健康保護ネットワーク(P4H)は、世界保健機関(WHO)の創設した、保健融資及び社会健康保護
のグローバルネットワークである。欧州障害者サービス提供者協会(EASPD)は、障害者の機会均等
を推し進める非営利団体である。その会員には、約17,000の社会サービス及びその傘下の協会が含
まれる。
2019 年において、当行は、ヨーロッパにおける健康及び社会保護システムの専門的な知識を提供
することによって引き続きP4H及びEASPDに貢献した。
(f) 地方ガバナンスの財政及び投資に関する世界観測機関
地方ガバナンスの財政及び投資に関する世界観測機関は、OECD及び都市・自治体連合(UCLG)が主
導し、特にCEBが財政的支援を行っているイニシアチブである。かかる機関は、地方ガバナンスの
財政強化を目的として、中央政府、地方政府及び国際機関の間の対話とパートナーシップを促進す
ることを目的としている。
2019 年、かかる観測機関は、120ヶ国超の地方財政及び地域組織に関するデータを含む広範な報
告書を発表した。オンライン・データベースを含め、かかる観測機関が収集した情報及びデータ
は、定期的に更新される。
ⅱ 支援者
CEB は、支援者から調達した資金を社会的弱者及び貧困地域のためのプロジェクトへの支援に活用し
ている。28のCEB加盟国、米国及び英国の２の非加盟国並びに欧州連合は、欧州委員会及び欧州投資銀
行を通じて、CEBの信託基金に拠出している。
2019 年にCEBは、スロバキア共和国、スイス、ドイツから4.4百万ユーロを集め、54百万ユーロの助成
金を付与した。これらの助成金は、避難民を支援するという当行の優先的目標に沿って、主に移民と難
民に恩恵をもたらした。
欧州連合は依然として当行の最大の支援者であり、これまでに500百万ユーロ超を拠出している。
(a) 地域住宅プログラム(RHP)
地域住宅プログラムにとって、2019年は、新たに7,200人の生活困窮者が新しい家に入居した記
録的な年となり、RHPが支援する難民及び避難民の総数は、その目標の36,000人の50％を超える約
19,000人となった。
また、RHPは、2019年にCEBにより調達された資金の大半を占めた。本プログラムの進捗状況を評
価し、また、パートナー国がより多くの住宅を供給できるようにするため、RHPの支援者は、本プ
ログラムの期間を2022年末まで１年間延長することに同意した。また、支援者は、この追加期間中
33/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
もRHPのパートナー国を支援し続けるための追加拠出を約束した。EUは2.0百万ユーロ、ドイツは
1.0百万ユーロ、ノルウェーは700,000ユーロ、スイスは500,000ユーロ、またスペインは100,000
ユー ロを拠出すると約束した。
地域住宅プログラムは、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ及びセルビアの
共同イニシアチブである。地域住宅プログラムは、西バルカン諸国での1990年代の紛争中に住む場
所を失った社会的に最も弱い人々に対して、耐久性に優れた住宅を提供している。かかるプログラ
ムは、国際社会によって支えられており、CEBによって管理されている。
支援者によるRHPへの寄付
EU 234百万ユーロ
米国 24百万ユーロ
ドイツ 10百万ユーロ
ノルウェー 7.0百万ユーロ
スイス 6.4百万ユーロ
イタリア 5.0百万ユーロ
デンマーク 1.3百万ユーロ
トルコ 1.0百万ユーロ
ルクセンブルク 500,000ユーロ
スペイン、ルーマニア、キプロス、スロバキア共和国、チェコ共和国及び 500,000ユーロ
ハンガリー
帰郷
戦争中、ドゥシャンと彼の妻ブランカは、クロアチアの小都市シュリヴォヴァツから逃れ、彼らの
家は焼失した。彼らは、2002年にシュリヴォヴァツに戻るまで、セルビアのプリイェポリェ近郊の共
同住居に住んだ。彼らはそこで、水も電気もない小さな１室の小屋に約15年間住んだ。2019年、彼ら
はRHPのおかげでやっと元の家の敷地にある新しい家に引っ越した。
(b) 移民及び難民基金(MRF)
MRF は、移民及び難民に関連する課題に対応する加盟国を支援するために、CEBが設立した信託基
金である。2015年の設立以来、22のCEB加盟国がMRFに拠出した。CEB及び欧州投資銀行(EIB)も資金
支援を行っている。現在まで、CEBは、助成金に28百万ユーロを承認した。バルカンルート沿いに
位置するプロジェクトが、これらの助成金の大部分、すなわち22百万ユーロを占めている。
2019 年、当行はアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、フィンランド、イタリア、北マケドニ
ア、ポルトガル、セルビアにおけるプロジェクトにMRFの残りの資金、すなわち1.8百万ユーロを割
り当て、移民や難民に対する緊急支援と社会的包摂措置をカバーした。
34/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
支援者によるMRFへの拠出金
CEB 8.0百万ユーロ
ドイツ 5.0百万ユーロ
EIB 5.0百万ユーロ
フランス 3.0百万ユーロ
イタリア 3.0百万ユーロ
スペイン 1.5百万ユーロ
スウェーデン 540,000ユーロ
ルクセンブルク 500,000ユーロ
ノルウェー 500,000ユーロ
スロバキア共和国 300,000ユーロ
アイルランド、リトアニア、ポーランド、キプロス、アルバニア、ハンガリー、 1.1百万ユーロ
チェコ共和国、マルタ、バチカン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、サンマリノ、
アイスランド、ブルガリア及びリヒテンシュタイン
保護の下で
ニアスとアリはまだ未成年だった頃にスウェーデンに到着した。到着後、彼らは、MRFからの資金
提供を受けて、マルメ市が主催する一連の活動に参加した。かかる活動は、14歳から20歳までの学生
を対象としている。これらの活動の目的は２つあり、１つ目は新しく到着した人が新しいコミュニ
ティの一員であることを実感できるようにすること、また２つ目は彼らの学業成績を向上させること
である。
MRF が資金提供をする活動は、２人のティーンエージャーがこの国に到着したときに感じた文化的
ギャップを克服するのに役立った。また、課外活動もこの２人の学生の学力向上に役立った。「私の
習慣は勉強することですが、娯楽や課外活動なしでは、より良い学びを得ることができないと私は思
います。活動を企画し、活動を一緒に取り組む人たちは、友達のようで、家族のようで、楽しくて親
切だ。」とニアスは言う。最終的に、これらの活動は、この２人のティーンエージャーが、自分たち
が受け取ったものを庇護地域に還元できる、自分たちのための将来を考えることを可能にした。「将
来？私の夢は看護師になってお年寄りと働くことだ。私は助けを必要としている人たちを助けたいだ
け。」とアリは言う。
移民のためのより良い住宅
2019 年10月、アルバニア当局は、ギリシャとの国境近くにあるカプシュティカに、MRFの資金提供
により建設された移民レセプションセンターを開設した。同センターは、非正規移民の登録と彼らへ
の一時的な住宅の提供においてアルバニア当局を支援する。また、同センターは、これらの移民が、
食料及び住まい等の基本的人権を享受できるようにする。
35/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(c) EUのトルコにいる難民のためのファシリティ(FRiT)
キリスはシリアとの国境近くに位置する都市であり、シリア難民の流入によりその人口が倍増し
ている。EUは、トルコ及びCEBと協力して、人口の劇的な増加によって引き起こされた保健サービ
スへの圧力を緩和しようとしてきた。EUは、 庇護地域 及びシリア難民のために質の高い保健サービ
スを提供する300床の州立病院の建設資金を提供する。
EUからの当該プロジェクトへの投資額は、50百万ユーロに上り、EUのトルコにいる難民のための
ファシリティ(FRiT)を通じて実施されている。CEBはEUからの投資を管理しており、病院の建設と
設備を監督している。2019年末までに工事の16％が完了し、当該病院は2021年４月までに稼働する
見込みである。また、EUの投資は、建設期間を超える雇用と新しいサービスの創出を通じて、キリ
スの社会的及び経済的な発展を支援する。
FRiT は総額６十億ユーロを管理し、トルコ国内の難民と 庇護地域 のニーズが、包括的かつ協調的
な方法で対処されることを確保することを目的とした、共同調整メカニズムを提供している。かか
るファシリティは、人道支援、教育、保健、自治体インフラ、社会経済支援に重点を置いている。
FRiT の詳細については、次のサイトを参照のこと。
https://ec.europa.eu/neighbourhood‐ enlargement/news_corner/migration_en.
(d) スペイン社会的統合口座(SCA)
SCA は、2009年にスペインによって設立された信託基金であり、CEBが運営する。かかる基金の目
的は、社会性の高いCEBのプロジェクトへの技術的支援の融資を行うことである。2017年にスペイ
ンは、かかる基金に2.0百万ユーロを補充し、寄付金は合計4.0百万ユーロとなった。
2019 年には、SCAは助成金の承認において合計920,000ユーロを占めた。例として、SCAは公共建
物のエネルギー効率を改善しようとするセルビアによる運動を支援している。EUの候補国であるセ
ルビアは、公共建物の改修に関するエネルギー共同体協定に署名した。
当行は、2019年11月、ベオグラードの中央政府庁舎の改修を対象とする40百万ユーロの貸付を承
認した。
この改修工事により、建物のエネルギー性能が向上し、職員や訪問者の安全と警備状況が改善さ
れる。SCAの助成金は200,000ユーロで、エネルギー監査や複雑な改築の詳細設計を含むプロジェク
トの準備段階に資金を提供する。
残りの技術支援のニーズは、スロバキア包括的成長口座と西バルカン半島投資フレームワークに
よってカバーされ、支援者が共通の目的のためにどのように協力するかが強調される。
(e) スロバキア包括的成長口座(SIGA)
SIGA は、包括的な成長及び環境の持続可能性を支持するCEBの活動を支援するために、2016年に
スロバキア当局によって開設された。スロバキア共和国は、2019年にかかる基金に2.0百万ユーロ
を補充し、寄付金は合計4.0百万ユーロとなった。
2019 年に、SIGAから1.5百万ユーロの助成金が承認された。最大の助成金550,000ユーロは、ボス
ニア・ヘルツェゴビナの精神医療の改善を支援している。６つの精神科病院が建設又は再建され、
患者へのケアと彼らの生活状況が改善される。かかるプロジェクトは、11百万ユーロのCEBの融資
を受けており、エネルギー費用及び水消費量の大幅な削減にもつながる。SIGAが資金提供する技術
支援は、入札書類の起草や詳細設計を含む、当局によるプロジェクトの準備に役立つ。
(f) 革新プロジェクトのためのイタリア基金(IFIP)
36/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
IFIP は2017年にイタリアで設立された。IFIPは、当行が革新的な社会プロジェクトを開発するの
を支援している。IFIPは、政府開発援助(ODA)の対象である西バルカン諸国並びにジョージア及び
モルドバ共和国でのプロジェクトの技術支援に融資している。
2019 年、IFIP下での助成金の承認総額は840,000ユーロであった。例として、IFIPはコソボの公
共住宅プログラムの開発を支援している。費用が40百万ユーロと見積もられているかかるプログラ
ムは、戦後本国に帰還した人々、特に社会的弱者及び中所得世帯に住宅を提供する。IFIPの助成金
111,000ユーロの資金提供を受ける技術支援は、当局が現在の住宅事情を分析し、公共住宅のニー
ズを推定し、本プログラムの目的、範囲、構成要素、提案される成果物及び期待される成果を決定
するのに役立つ。
元気を取り戻すこと
ランカと彼女の息子 ペタル は、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争後25年間様々な賃貸アパート
を転々としていた。2019年12月、彼らはフォチャの新しいアパートに引っ越した。ペタルは脳性ま
ひという永久的な運動障害を患っており、彼は障害者に対応している適切な場所に住む必要があ
る。これまでのアパートのほとんどは、障害者に対応していなかった。新しいアパートでインタ
ビューを受けたランカは、「私たちは、生活環境を改善する機会を与えてくれた支援者と地域社会
に感謝しています。1ヶ月程度ごとに引っ越さなくても良いということはとても大切です」と話し
た。
フォチャの住宅は、CEBの資金提供を受けたプロジェクトの下で建設され、1990年代の紛争中に
住む場所をなくし、それ以来 低水準 の住居に住んでいる社会的弱者に住居を提供している。CEB及
びWBIFの二国間支援者は、金利補助金や技術支援の形で、かかるプロジェクトに４百万ユーロ超の
助成金を提供してきた。CEBの資金は、当行の社会配当金勘定、ノルウェー信託口座及びSCAから拠
出された。IFIPは、WBIFの資金が全額充当され次第、SIGAと協同して将来の技術支援のニーズに対
応する。
ゴラジュデ出身のオグニェンとその家族は、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争中、ミルジェ
ヴィナ村の共同住居に避難した。この建物は元鉱山会社のもので、最も近い町のフォチャから14キ
ロ離れていた。老朽化し、じめじめしてカビだらけな建物だった。2019年12月、家族はフォチャ市
の新しいアパートに引っ越した。彼の妻マルジャナは、「それは、特に赤ちゃんも抱えていたこと
で、ひどい生活だった。しかし、ここに引っ越してから、私たち全員にとって全てが変わった」
と、この動きを歓迎した。
(g) 西バルカン半島投資フレームワーク(WBIF)
WBIF は、欧州委員会、欧州評議会開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行及び複数の二国間
支援者の共同イニシアチブとして、2009年に設立された共同体である。
かかる枠組みは、エネルギー、環境、社会、輸送機関及びデジタルインフラ部門における戦略投
資に融資及び技術的支援を提供している。また、民間部門の開発イニシアチブを支援している。か
かる枠組みに、世界銀行グループ、ドイツ復興金融公庫及びフランス開発庁が後に加盟した。
2019 年、WBIFの二国間支援者は、セルビアのエネルギー効率化プログラムを支援する312,000
ユーロの技術支援の助成金を承認した。WBIFの技術支援は、SIGAからの400,000ユーロの助成金及
びSCAからの200,000ユーロの助成金により補完されている。
37/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
合計約200,000平方メートルを占める約30の政府庁舎が近代化され、エネルギー効率が改善され
る。これらの事業は、温室効果ガスの排出を削減し、セルビアが気候変動緩和とCO 排出削減の目標
2
を達成するのを支援する。かかるプロジェクトは、CEBから40百万ユーロの融資を受けている。
(h) 社会配当金勘定(SDA)
SDA は、1996年にCEB加盟国により設立された。SDAは主に、社会的性質を有する配当を構成する
当行の年間利益からの配分を通じて、加盟国からの拠出金により資金調達されている。2019年末現
在、利用可能な資金は16百万ユーロであった。かかる勘定は、特に社会的なプロジェクトを支援す
るための貸付保証、技術支援、金利補助金及び助成金の拠出を提供するために使用されている。
2019 年には、2.5百万ユーロの助成金がSDAから承認された。例として、2019年1月に、当行は、
ボスニア・ヘルツェゴビナのマイクロファイナンス機関であるマイクロフィンに対する５百万ユー
ロの融資を承認した。マイクロフィンは、CEBから受領した資金を、農家や零細事業に従事する一
般家庭を含む低所得者に対し融資する。マイクロフィンに対するCEBの融資は、SDAの貸付保証のお
かげで可能になった。
ボスニア・ヘルツェゴビナにおける零細起業家の支援
フォチャ市の近くの地方に住むダニカは、マイクロフィンの典型的な顧客だ。彼女は、野菜や果
物の農業で稼いだ収入で家計を支えている。彼女の主な収入源は、ジャガイモ、ニンニク、豆類の
ほか、プラム、プラムブランデー及びクルミの販売である。ダニカは、全ての商品をフォチャの地
域市場で販売している。彼女はマイクロフィンの顧客として約10年になる。彼女は、マイクロフィ
ンとの最後の融資である500ユーロを使って小豚を購入し、６ヶ月の給餌後にフォチャ市場で再販
売する予定である。
e. 当行が供与する貸付及び保証の方針及び概略
定款及び第三議定書に従い、管理委員会は、当行が供与する貸付及び保証を規律する一般的な規則及
び原則を含む貸付及び事業融資の方針並びに貸付規則を決議第1562号(2013)に基づき認可した。さら
に、当行が認可する貸付又は保証ごとに、借入人及び当行は貸付契約又は保証契約を締結する。
当行の成文規則に基づき、貸付は、下記の法人に対して供与される。
ⅰ 当行の加盟国
ⅱ 当行の加盟国の保証のある当行の加盟国によって承認された法人
ⅲ 当行の加盟国が承認した法人。但し、管理委員会が、当該貸付が当行の成文規則に従って適切な保
証によりカバーされていると認めた場合に限る。
当行は、原則として、市場金利に沿って通常貸付を行う。当行は、代理手数料を差し引き、当行が市
場で獲得する利益を貸付の受益者に譲渡する。利用可能な資金の取扱いは、効率的かつ厳格に行われて
いる。
貸付及び保証の申請は全て、当行加盟国の政府により欧州評議会及び当行に提出されるものとする。
欧州評議会は、申請書及びその添付書類に記載されている目的事業につき、欧州評議会の政治的及び社
会的な目的に合致しているか否かを確認する。同時に、当行の総裁は事業の専門的及び財政的な見地か
ら報告書を作成する。欧州評議会による調査の結果、目的事業が上述の要件に合致していることが判明
し、総裁が専門的及び財政的な見地から当該事業に満足した場合には、申請書は、欧州評議会の許容す
る旨の意見書及び総裁の報告書とともに、最終的な承認を得るために管理委員会に提出される。当行
は、一般的に事業の総費用の50％までを融資することに同意している。
38/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
次へ
39/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
f. 2019 年における財務活動
ⅰ 財務ポートフォリオ
当行の貸借対照表の資産の部には、以下の１種類の金融ポートフォリオ及び３種類の有価証券ポー
トフォリオを含む４種類の財務ポートフォリオが計上されている。
・財務金融ポートフォリオは、１年満期までの短期私募債で構成される。
このポートフォリオの戦略的目的は、全ての必要な通貨の日々のキャッシュ・フローを管理す
ることである。３ヶ月満期までの短期私募債は、購入時に、最低BBB+の格付を取得していなくて
はならない。３ヶ月満期から１年満期までの短期私募債は、購入時に最低A-の格付を取得してい
なくてはならない。
2019 年12月31日現在、かかるポートフォリオの短期私募債総額は、2,171百万ユーロであっ
た。
・短期流動性有価証券ポートフォリオは、１年満期までの短期有価証券で構成される。
これらの有価証券は銀行預金の代替をなし、当行の短期流動性ポジションの強化において、財
務金融ポートフォリオを補完する。
３ヶ月満期までの短期国債は、購入時に最低BBBの格付を取得していなくてはならず、３ヶ月
満期から１年満期までの短期有価証券は、最低A-の格付を取得していなくてはならない。
2019 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける短期有価証券総額は、1,966百万ユーロ
である。
・中期流動性有価証券ポートフォリオは、１年満期から15年満期までの投資有価証券で構成され
る。
かかるポートフォリオの戦略的目的は、満足のいく利回りを達成する一方で、当行の流動性ポ
ジションを強化することである。
中期有価証券は、購入時に最低A+の格付を取得していなくてはならない。
2019 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける有価証券総額は、2,007百万ユーロで
あった。
・長期流動性有価証券ポートフォリオは、１年満期から30年満期までの投資有価証券で構成され
る。
かかるポートフォリオの有価証券は、購入時に最低A+の格付を取得していることが要求され
る。
2019 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける有価証券総額は1,883百万ユーロであっ
た。
ⅱ デリバティブ
CEB の管理委員会が採用する金融及びリスク方針に従い、当行は貸付、投資及び資金調達取引から
生じる市場リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブを使用する。当行は、エンドユーザー
として、デリバティブをヘッジ目的のみに使用する。
2019 年12月31日現在、当行が所有するヘッジ対象の種類別のデリバティブの内訳は、債券発行が
64％、貸付が31％及び有価証券が５％であった。
これらの金融商品に特有のリスクを避けるため、当行は、厳格なリスク管理方針を実施しており、
その原則の概略は、下記「(５)経理の状況」の注Bに記載されている。
信用リスクを制限するために、当行は、全てのスワップ取引相手方と担保契約を締結している。し
たがって、2019年12月31日現在、CEBのスワップ契約の全てに担保が付与されている。取得した担保
40/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
によって保証されない積極的市場価額の金額として計算される残余信用リスクは、最低限に抑えられ
ている。
ⅲ 2019年の資金調達
(a) 債券の発行
管理委員会が設定した年間借入承認に従い、CEBは、国際資本市場において債券を発行する。
2019年において、当行は、満期が１年以上である３件の既発債の再発行を含む11件の資金調達活動
において、総額4.5十億ユーロの借入を行った。この金額は、2018年の資金調達額(６件の既発債の
再発行を含めた11件の資金調達活動によって構成される4.9十億ユーロ)をわずかに下回るもので
あった。2019年の資金調達活動は、以下の３つの主要な目標を達成した。
－ 当行の貸付活動から生じる需要を満たすこと
－ 当行の満期債務の返済を可能にすること
－ 当行の流動性を管理委員会が定める水準に維持すること
活動資金を調達するのに必要な資金源を確保するために、当行は、継続して、広範な機関投資家
を対象とした主要通貨建の指標銘柄に、特定の通貨での債券の発行又は投資家の特殊な需要に応え
るために設計された特有のストラクチャーを組み合せている。
2019 年に当行が調達した資金の39.8％が米ドル建、38.9％がユーロ建、17.2％が英ポンド建、
2.3％がノルウェー・クローネ建、1.2％が豪ドル建、そして0.7％がニュージーランド・ドル建で
あった。かかる取引により、当行は、投資家基盤を拡大すると同時に、調達した資金を受けて当行
が活動する市場を多角化することができた。
米ドル建では、２件の銘柄が発行された。５年満期の１十億米ドル指標銘柄が２月に発行され、
３年満期の１十億米ドル指標銘柄が９月に発行された。
ユーロ建では、３件の銘柄が発行された。250百万ユーロの2022年10月指標銘柄が１月に再発行
され、10年満期の１十億ユーロ指標銘柄が１月に発行され、当行の第３回目となる７年満期の500
百万ユーロのソーシャル・インクルージョン・ボンドが４月に発行された。
英ポンド建では、２件の銘柄が発行された。３年満期の600百万英ポンド指標銘柄が１月に発行
され、100百万英ポンドの同銘柄が10月に再発行された。
これにより、2019年において、米ドル、ユーロ及び英ポンド市場は資金調達量の観点から最も重
要な市場のうちの１つであった。
その他の通貨建では、４件の銘柄が発行された。10年満期の50百万豪ドル銘柄が１月に発行さ
れ、35百万豪ドルの同銘柄が５月に再発行され、５年満期の１十億ノルウェー・クローネ指標銘柄
が２月に発行され、10年満期の54.5百万ニュージーランド・ドル銘柄が４月に発行された。
スワップを行った後、借入資金は全額ユーロ建となった。
2019 年に実施された起債の満期の平均は、2018年と同様、5.7年であった。下表は、資金調達の
詳細を原通貨建で示している。
2019 年に発行された債券
額面価額
払込日 満期日 通貨 期間 主幹事会社
(百万)
バンク・オブ・アメリカ(BoA)/香港上
2019年１月17日 2022年３月17日 GBP 3.16年 600 海銀行(HSBC)/トロント・ドミニオン
証券(TD証券)
41/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(*)
4.34年 ドイツ銀行(DB)/ラボバンク(Rabo)
2019年１月22日 2023年５月25日 EUR 250
BoA/クレディ・アグリコル・コーポ
2019年１月30日 2029年１月30日 EUR 10.00年 1,000 レート・アンド・インベストメント・
バンク(CACIB)/HSBC/TD証券
大和証券(Daiwa)/カナダ・ロイヤル銀
2019年２月１日 2029年８月１日 AUD 10.50年 50
行(RBC)
2019年２月25日 2024年２月26日 NOK 5.00年 1,000 TD証券
バークレイズ(Barc)/シティバンク
2019年２月27日 2024年２月27日 USD 5.00年 1,000 (Citi)/DB/ゴールドマン・サックス
(GS)
BoA/CACIB/DZ銀行(DZ)/アイエヌジー
2019年４月10日 2026年４月10日 EUR 7.00年 500
(ING)
2019年４月17日 2029年４月17日 NZD 10.00年 54.5 Daiwa
(*)
10.20年 Daiwa
2019年５月20日 2029年８月１日 AUD 35
BNPパリバ(BNPP)/モルガン・スタン
2019年９月24日 2022年９月26日 USD 3.01年 1,000
レー(MS)/野村證券(Nomura)/RBC
(*)
2.42年 BoA/ナットウェスト(NatWest)
2019年10月15日 2022年３月17日 GBP 100
(*) 既発債の再発行
当行貸付金の借換を確保し、次期年度におけるキャッシュギャップを回避するために、2019年に
借入プログラムに基づいて実施された起債のうち、2018年が72.4％であったのに比べ、57.1％が５
年近くか又は５年以上の最終満期であった。
多通貨EMTNプログラムは、当行の発行の法的枠組みを金融市場の規制の変更に適応させるため、
2018年12月に更新された。豪ドル及びニュージーランド・ドルMTN(オーストラリアのプログラム)
は、2015年９月に最後に更新された。また、CEBのユーロ・コマーシャル・ペーパープログラム
は、2017年12月に更新された。
(b) 債券の傾向
2019 年12月31日現在、支払利息を除いた有価証券に表章される債券の未償還額は、20.5十億ユー
ロとなり、前年度末の18.9十億ユーロから増加した。
2019 年、当行は、長期債の買戻し、期限前償還を一切行わなかった。満期ごとの債券の内訳は、
下記図表のとおりである。
42/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
g. リスク管理
リスク管理の包括的な目標は、当行の業務の弾力性及び長期的な財政の持続性を確保し、さらには
CEBがその社会的使命を遂行できるようにすることである。投資主及び投資家に対する当行の信頼性を
保つには、リスク管理の質も重要である。かかる信頼性のレベルは格付機関によって評価され、CEBの
リスク特性の査定において必要な要素を表している。
ⅰ リスク管理及び統制の枠組み
(a) 目的及び原則
リスク管理の主要な目的は、当行の長期的な財政の持続性及び業務の弾力性を確保し、さらには
CEBがその社会的使命を遂行できるようにすることである。当行は国際的にも最良の銀行慣行の実
践に努め、業務分野全体で健全かつ慎重なリスク文化を促進している。
当行は、外部の監督には従わないものの、関連するEU銀行規制、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)
及び国際的にも最良の銀行慣行の勧告をリスク管理の枠組みの基準として考慮している。
当行におけるリスク管理の基盤は、以下の原則に従って規定される。
・組織全体にわたる健全なリスク文化を発展及び促進する。
・リスク特性の監視に対する戦略的決定手段としてのリスク選好を確立する。
・全ての関連する最良の銀行慣行の実施を目指す。
・当行の活動、商品、資金源及び取引に内在する全ての物質的リスクを継続的に特定、理解及び査
定する。
43/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(b) リスクの枠組み
包括的な手段として、リスク管理憲章は、当行におけるリスク管理ガバナンスの目的及び原則を
明記し、リスクが常に効率的かつ整合的な方法で全てのCEBの商品及び活動において管理されるこ
とを保証している。また、リスク管理憲章は、リスク管理の枠組みを設定し、国際的な最良の慣行
及び健全な要求の整合性並びにリスク・エクスポージャーの特定、査定、統合、報告、監視及び管
理に係るリスク政策の実施の監督を保証している。
管理委員会が承認した財務及びリスク政策(FRP)は、信用リスク、金利リスク、外国為替リス
ク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクのような、当行が通常の業務を遂行するにあたり直
面する主なリスクを対象とする。かかる政策は、FRP「ガイドライン」及びFRP「ハンドブック」
(FRPを業務詳細として置き換えている随時更新文章)において展開されており、信用リスク委員会
に対して定期的に情報を公表している。さらに、リスク管理の枠組みは定期的に見直されている。
財務リスク部門は、主なリスクに対するCEBのエクスポージャー及び内部で定義される健全な枠
組みの遵守について、管理委員会及び理事会に対して四半期ベースで報告している。
同様に、CEBの総裁年次財務報告書は、リスク管理の手順及び実施について明記している。かか
る報告書は、外部のリスク報告に寄与し、18-K様式に従って米国証券取引委員会に提出される。
(c) リスク体制
リスク及び統制局(R&C)は、CEB内部におけるリスク管理の枠組みの実行について責任を負い、総
裁に直接報告を行う他の運営局及び事業局から独立している。R&C内部の異なる部門は、特定のリ
スク分野(信用リスク、オペレーショナルリスク、市場リスク及び流動性リスク)に特化している。
総裁が議長を務める以下の意思決定委員会は、リスク管理の政策の制定及び監視について責任を
負う。
・信用リスク委員会(CRC)は、週に１度開催され、内部の信用リスク評価と勧告に基づき、貸付及
び資金エクスポージャーに関する与信決定を行う。
・資産及び負債委員会(ALCO)は、１ヶ月に１度(又は必要な場合はさらに頻繁に)開催され、金利、
外国為替及び流動性リスクの将来的な予測に基づき、戦略的な志向及び意向を形成する。加え
て、四半期に１度は特別ALCOが、資産及び負債管理並びに資金調達に関する課題に対処する。
・オペレーショナルリスク及び組織委員会(CORO)は、オペレーショナルリスクに関する課題を半年
に１度検討し、これらのリスクを軽減、監視及び規制するための方法が採られていることを確認
する。
(d) 統制機関
内部監査は、CEBの内部統制システム及びリスク・ガバナンスにおける常設の独立した機能であ
る。既存の政策、手続及びベストプラクティスに従って事業、運営業務及びパフォーマンスが効率
的に行われ、管理されていることについて独立的かつ客観的な保証を提供する。さらに、CEBの運
営に関して、将来的な改善の提案も行う。
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与、脱税の
リスク並びに誠実性、汚職問題及び詐欺問題への対処を課せられている。OCCOは、当行の金融及び
ローン事業における誠実性を保護し、風評リスクを防ぎ、企業理念の規範を促進している。
最高情報セキュリティー責任者(CISO)は、情報及び情報技術(IT)リスクの軽減のため、CEB全体
のセキュリティーの枠組みの設計及び手続の開発を行うことにより、当行のセキュリティーポリ
シーを設定する。
44/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
監査委員会は、優れた財務管理の方針、当行の収支決算の検査及びその正確性の確認に基づいた
当行の運営を保証することに責任を負う。理事会によって加盟国から交代で選任される任期３年の
代表者３名(退任者はアドバイザーとして引き続き任期１年で留任する。)で構成される。監査委員
会の報告書は、その抜粋が財務書類に添付される他、年次財務書類が承認のため提出される際に、
当行の監督機関に提出される。
外部監査人は、外部報告に関し、当行の財務書類のIFAC専門監査基準に従った監査並びに内部統
制及びリスク管理のプロセスの審査を行う責任を負う。外部監査人は、意見書を含む多くの報告書
を作成する。監査委員会の意見及び管理委員会の推薦に基づき、入札手続の後に、理事会により任
期４年で任命され、また任期は３年に１度更新することができる。
さらに、当行は国際格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ及びフィッ
チ・レーティングスによる評価を受ける。これらの格付機関は、当行の財務状況及び長期的な信頼
性を毎年詳細に分析し、年間の格付を付与する。
その優れた格付(フィッチ・レーティングスのAA+(ポジティブ)、スタンダード・アンド・プアー
ズのAAA(安定的)及びムーディーズのAa1)により、当行は優位な立場で資金を調達し、その結果、
借入人が社会事業の資金調達のために行う貸付の費用を著しく減らすことができる。
ⅱ 信用リスク
信用リスクは、銀行借入人又は取引相手方が合意した条件に従ってその義務を履行しないことによ
り生じる潜在的な損失と定義される。
当行は、借入人及び財務上の取引相手方が契約上の義務について債務不履行となる可能性がある
か、又は当行の投資の価値が損なわれる可能性があるため、融資活動及び財務活動の両方において信
用リスクにさらされている。また、当行の資本又は貸倒損失に係る引当金に対して悪影響を及ぼす可
能性がある格付の引下げにより、信用リスクが生じることがある。決済リスク及び未決済リスクもま
た、信用リスクに含まれる。同様に、担保リスクも信用リスクの一部とされる(担保は、本質的には
信用リスクを軽減させる手段である。)。概して、信用リスクとは、融資先又は取引の信用エクス
ポージャーの値と信用の質の関数である。
リスク管理(RM)は、質的及び量的要因に基づいて信用リスク評価を行い、新たな取引に対して内部
格付を付与する。さらに、RMは融資先の信用の質を考慮してリスク条件及び対策を決定し、信用制限
を定める。最終的に、RMは全ての取引相手方の内部格付を毎年見直す。
ⅲ 市場リスク
市場リスクは、金利又は為替の不利な変動の結果生じる損失のリスクと定義される。CEBは、金利
リスク及び外国為替リスクを最小限に抑えるため、これらのリスクをヘッジしている。
金利リスク：当行は、全ての市場環境において当行の財務の健全性及び収益性を維持すると同時
に、貸借対照表の構造の最適化、リスク選好に沿った正味金利収入の安定及び増加並びに市場機会か
らの利益の獲得を目指し、貸借対照表全体にわたるその金利リスク状況を管理している。CEBの戦略
は、持続可能な収益特性を維持すること、及び当行の経済価値の変動性を制限することである。当行
は、ヘッジ目的に限りデリバティブ商品を使用し、可能な場合にはナチュラルヘッジを行う。当行
は、金利リスクに対する耐性が安定的かつ包括的なリスク指標に置き換えられ、適切な制限によって
支えられることを保証する。
為替リスク：当行は、外国為替リスクを最小限に抑えること、及び非常に限定的な外国通貨のオー
プン・ポジションを保つことを目指している。ユーロ以外の通貨損益から生じる残存リスクは、毎日
45/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
測定され、一連の基準値及び制限を通じて管理される。正味オープン・ポジションは１通貨につき１
百万ユーロ相当に制限されている。
ⅳ 流動性リスク
流動性リスクは、期限が到来した支払義務を適時に履行できないこと又は持続可能な費用による履
行が不可能であることに起因して損失が発生するリスクと定義される。流動性管理は、市場動向にか
かわらず財務の弾力性を保護するための重要な役割を果たす。
当行は、市場において資金調達を行うことなく市場混乱の時期に耐えることができる十分な流動性
を維持することにより、慎重なアプローチを採用する。CEBは、流動性リスクを流動性ギャップの指
標(流動性曲線)を通じて測定しており、進行中の業務運営から生じることが予測される純支払額を、
新たな資金調達又は資産売却のために市場へアクセスすることなく支払うことができる期間である
「自給期間」を特定することにより、当行は、その短期流動性を管理する。
さらに、当行は、中期の指標を設定し、また、厳しい財務状況において当行の需要を満たすために
十分な流動性を確保できるよう、流動性準備金又はバッファーを保持する。当行の流動性バッファー
は、高い市場価値と信用性を有する流動性の高い資産を多く含んでいる。
ⅴ オペレーショナルリスク
オペレーショナルリスクは、法的リスクを含む不適切若しくは破綻した内部プロセス、人員及びシ
ステム又は外部的事象の発生を原因とする潜在的損失と定義される。さらに、CEBは、その事業に関
連する風評リスクを考慮する。
オペレーショナルリスク部門は、所定の方法を基に日々のオペレーショナルリスク管理を調整す
る。リスク軽減手段及び実行計画は実施され、専用のITツールを使用して集中的に監視される。
恒久的な内部統制の枠組みは、各業務分野における内部統制がその設計及び有効性の点で常に適切
であることを保証している。
全ての業務プロセスは、業務分野との共同により、詳しい手続及び管理マップを維持するためにモ
デル化されている。
オペレーショナルリスク管理政策は、オペレーショナルリスクの特定、評価、管理及び報告に係る
方法を成文化する。これは、CEB全体における有効かつ整合的な管理を確保するための健全な実務に
ついて定めている。加えて、事業継続計画(BCP)は、当行の事業活動の混乱に対するヘッジを行う。
バーゼル委員会の提案に従い、CEBは、当行の健全性資本に対するオペレーショナルリスクの資本
費用の算出に際して基礎的指標手法を採用している。
h. ガバナンス及び人事
ⅰ コンプライアンス
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、コンプライアンス違反のリスクを管理し、当行を財
務損失及び評判損失から守る。OCCOは、マネーロンダリング防止、テロの資金供与の阻止及び有害な
税慣行の防止並びに高水準の誠実性、倫理、不正及び腐敗防止に対するCEBのコミットメントが当行
のプロジェクト・サイクルの全ての段階に組み込まれることを確保する。個人データ保護及び情報セ
キュリティーは、CEBにおけるOCCOの責務の大部分を占めており、最高情報セキュリティー責任者
(CISO)により管理されている。
過去１年にわたり、OCCOの活動は、CEBの事業量及び数字と同様の成長となり、取引相手方の事前
のインテグリティ・デュー・ディリジェンス後に意思決定機関に参加した。同時に、OCCOは、関連す
46/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
る方針及びガイドラインを作成、検討及び更新し、EUの柱の評価及び個人データ保護のリスク・マッ
ピングなどの銀行レベルの事業を調整し、その他の局及び部門にいくつかの内部方針及び規則の修正
に関する情報を提供する。さらに、OCCOの実績及び忍耐は、同産業部門の他社に評価され、認められ
ており、CEBの最高コンプライアンス責任者が民間セクター、IFI及びSMEのカテゴリーの「2019年最
高コンプライアンス責任者」を受賞した際により広く評価された。
2019 年、OCCOは、当行の内部規制枠組みを改良して維持し、特にコンプライアンス違反の/非協力
的な国や地域に対するCEBの政策並びにインテグリティ・デュー・ディリジェンスのガイドライン及
び手続などのコンプライアンスに関連する内部プロセスを強化した。
これに加えて、コンプライアンスは、EU資金調達、受益者の情報公開及びデータ保護へのアクセス
からの除外に関する柱のための「EUの柱の評価」に対し、CEBの準備を任されたワーキング・グルー
プを上手く誘導した。
OCCO は、最新の個人データ保護の規制枠組みを実施するにあたり、CEBのピア・グループとの提携
に沿って、個人情報を区別して正しく処理するために図上演習データの開発及び最新、最適な国際的
慣行と連携した詳細な措置計画に乗り出した。
倫理及びコンプライアンス分野における外部との協力及び協調の拡大にあたり、CEBは、より広く
コンプライアンス及び倫理についての交換のためのフォーラムの場を提供する倫理ネットワーク国際
機関(ENMO)の一員となった。
CEB のピア及び多くの国際的組織/民間企業と連携して、CEBは年に１回の社内の対話集会を企画し
た。これは、「職場の誠実性文化の促進」に焦点を当て、総裁による「経営トップの姿勢」で2019年
国際腐敗防止デーが特徴づけられ、CEBが品位及び誠実性を促進して不正と闘う決定を反映してい
る。OCCOは、コンプライアンス連絡官を対象とした年に１回の講習会及び新しいCEBの職員の研修ク
ラスを通じて、2019年コンプライアンスのベストプラクティスに従って職員を引き続き教育した。
ⅱ 内部監査
内部監査局(IA)は、CEBの内部統制システムにおける、常設の独立した上位の機能である。IAは、
総裁及びCEBの統制機関に対し、事業及び運営が効率的に行われ、管理されていることを保証する。
内部監査憲章は、IA機能の目的、地位及び権限について明記している。IAは、IAによる検証が独立
的かつ客観的に行われていることを保証するため、当行のいかなる運営活動にも関与しない。
IAは、CEBの活動が、既存の政策、手続及びベストプラクティスに沿って行われているか検証し、
またそれらの関連リスクを評価する。さらに、改善方法に関する提案も行う。
監査の任務は、数ヶ年のリスクに基づき定期的に作成される監査計画に基づいた年次活動計画に
従って行われる。
ⅲ 評価
評価局(EVO)は、当行の業務、イニシアチブ及び商品に対する厳格で客観的な評価を請け負うこと
により、CEBの知識及び説明責任のニーズを果たす任務を負っている。設立以降、EVOは最高基準の職
業上の誠実性及び独立性とともに、かかる任務を果たすために尽力し続けている。
2019 年の主要な評価業務は、司法基盤の事業レベルでの評価並びに企業レベルでの移民及び難民基
金(MRF)の評価から成る。刑務所施設の事業は、CEBが2005年に司法施設の資金調達を始めてからかか
る部門において最初に完了した事業である。かかる評価の完了により、CEBが唯一の国際金融機関と
される部門の事業について、当行に有用な独自の洞察が備わった。MRFの評価は、CEBの歴史の中で初
めて企業レベルの評価が行われたものである。
47/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
これは、徹底した制度分析及び現地調査が行われた６つの事例研究により補完された大規模なポー
トフォリオの監査の周辺で構築された。かかる評価は、CEBが将来、同様の助成金専用の施設を設置
すること、又はより一般的に、助成金の管理及び移民関連の問題への取り組みを強化することを決定
した場合に、考慮するべき一連の教訓及び推奨事項を定めている。
また、EVOは、年間を通じて知識管理への取り組みを改善した。EVOのコミュニケーションのツール
ボックスには、関連する知識の共有プラットフォームにCBE固有の経験を生かすための新商品が追加
された。並行して、EVOは、専門職協会及び国際的組織が企画する、当行の認知度への寄与及び社会
開発目標の達成における加盟国の支援に取り組む組織としての当行のイメージの強化を目的としたイ
ベントに参加した。
ⅳ 企業の社会的責任(CSR)
唯一の社会的責務を負うヨーロッパの開発銀行として、CEBは 企業の社会的責任(CSR)、さらに広
く見れば、持続可能性を自身の業務及び事業融資の中核に自然と取り入れている。
実際では、気候変動などの環境問題への取組みに積極的に貢献しながら、当行自身の環境フットプ
リントを最小化し、従業員の取組みを高め、CEBが出資を提供している事業により、欧州での人々の
生活状況の改善を確保している。
全ての当行の局及び関連する部門は、企業責任者及び研究部長並びにCSR責任者の協調の下、当行
内のCSRに対応するネットワークを表している。これに対応する者は定期的に集まり、持続可能性に
関連する全てのテーマについて議論する。
当行のパフォーマンスは、ESG(環境、社会、ガバナンス)評価機関により定期的に評価及び測定さ
れる。
2018 年に、評価機関大手のISS-ESGが当行の企業の社会的責任のパフォーマンスを包括的に見直し
た後、CEBはB-の格付を獲得し、「Prime」の評価を受けた。
2019 年に、サステイナリティクスはCEBの評価を見直し、当行に対して「Outperformer」の評価を
行った。別の有名な非金融評価機関であるMSCI ESGは、CEBにAAの格付を割り当て「Leader」の評価
を行った。
(a) 持続可能な開発目標(SDGs)への重点的な取り組み
2020 年から2022年に係る開発計画は、CEBが持続可能な開発目標(SDG)での課題を実現するため
に、加盟国を支援できる枠組みを目指している。戦略的レベルでは、CEBは当行の責務及び３つの
活動路線に最も近い一連の10の主要なSDGsを優先する。当行のこれらの優先事項に対する貢献は、
以下の３つのグループに分類される。
・CEBの社会的責務の中核と関係する問題：特に、社会的弱者のグループに焦点を当てた社会的統
合及び包括性の促進。これは、２つの広い目標、すなわち、SDG１(貧困をなくそう)及びSDG10
(人や国の不平等をなくそう)と一致している。
・分野横断的な問題：すなわちSDG５(ジェンダー平等を実現しよう)及びSDG13(気候変動に具体的
な対策を)がCEBの全事業で審査されている。
・社会的観点：以下の６つのSDGsが包括的及び持続的成長の促進と特に共鳴している：SDG３(すべ
ての人に健康と福祉を)、SDG４(質の高い教育をみんなに)、SDG６(安全な水とトイレを世界中
に)、SDG８(働きがいも経済成長も)、SDG11(住み続けられるまちづくりを)及びSDG16(平和と公
正をすべての人に)。
48/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
CEB の社会的及び環境上持続可能な開発への全体的な貢献は、グローバル・レポーティング・イ
ニシアティブ指標(GRI)などの2019年のCSR報告書に反映されている。
ⅴ 人事
(a) 従業員
CEB は、206名の正職員を雇用しており、そのうち46％が男性、54％が女性である。かかる正職員
のうち、143名は専門職員(45％が女性、55％が男性)、63名が補助職員(75％が女性、25％が男性)
である。CEBの職員の平均年齢は48歳であり、平均の在職期間は11年である。
改善され、そして合理化されたCEBの採用プロセスを通じて、2019年に当行は14名の新たな職員
を雇用した。うち７名が女性(５名は専門職レベル、２名はサポートレベル)、７名が男性(うち１
名は管理職レベル、３名が専門職レベル、３名はサポートレベル)である。
当該職員の高い専門知識は、金融、経済及びリスク管理という伝統的な銀行分野に留まらず、土
木工学、教育、住宅及びプロジェクト管理といった範囲にまで及んでおり、当行は、かかる専門知
識に継続して信頼を寄せている。
(b) ジェンダー戦略及びプログラム
数年間にわたって、当行は、国際的な組織として改訂欧州社会憲章に規定された権利及び原則の
奨励に努めながら、多様性及び結束のある文化を発展させてきた。したがって、職員は直接的又は
間接的な差別、特に人種、民族、社会的出身、皮膚の色、国籍、障がい、年齢、結婚暦又は家族状
況、性別又は性的指向及び政治的、哲学又は宗教的意見を理由とした差別を受けず、平等な待遇を
受ける権利を有する。
さらに、2018年１月から、CEBはジェンダー平等戦略を実施したが、これは同一賃金、採用及び
昇進の機会、リーダーシップ育成並びにフレックスタイム制などの重要な分野に対する考え方を調
べる従業員への調査に依拠している。
ジェンダーに配慮した経営文化を促進する一環として、2019年に指導プログラムが開始され、か
かるプログラムにおいて12名の女性(B6からA3までの階級)と９名の指導者(女性３名、男性６名の
A4からA6までの階級)がペアで分けられた。
ジェンダーの平等及び多様性戦略の原則は、CEBの内部方針及びプロセス、特に選任及び訓練方
針の規則の主流となっているだけではなく、CEBのインターンシップ・プログラムで対外的に伝え
られる。
パフォーマンス管理ガイドラインを通じて、査定官は、女性及び男性の貢献を公平に評価して報
酬を与える環境を推進し、ジェンダーの多様性の手本として活動することを奨励されている。
さらに、ジェンダーの平等及び多様性イニシアチブの有効性を測定する指標が使用され、管理委
員会に伝えられている。
最後に、ジェンダー平等ワーキング・グループは、様々なチーム及び年功レベルを代表する職員
から構成され、CEBに機会の平等に関する質問及び将来のイニシアチブを提案するフォーラムの場
を提供する。
(c) EDGE 認証
CEB は、自身の男女数の均等及びジェンダー平等の立場、また自身の措置計画に重点を置く必要
がある状況を理解するために、人事部門は、国際的な評価方法の実施及びジェンダー平等の３段階
49/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
の認証基準を通じてEDGEに協力した。したがって、2019年に、CEBは、EDGE認証の第１レベルを獲
得し、2020年に第２レベルへの到達を目標としている。
(d) 職員の福祉プログラム
CEB は、職員に定期的な医療訪問、在宅勤務、フレックスタイム制、建物内のカフェテリア及び
ジムの利用を提供している。2019年、職員の福祉を向上させるため、人事部門は、任意のインフル
エンザ予防接種のキャンペーン、全職員に対する心理社会的リスク防止についてのセミナー、管理
職のための仕事における福祉の環境整備に関する研修を計画した。さらに、６月に総裁により企画
されたCEBデーなどの全職員を集める職員の社会的イベントに加えて、今年度、初めて企業向け
サービス局が12月にファミリーデーを企画した。
i. 本邦との関係
当行は、今日に至るまで20年超にわたり、日本の金融市場において安定した活動を行ってきた。
50/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
（５）【経理の状況】
以下に掲げる財務書類は、KPMGオーディット (フランスにおける独立監査人) により監査されてい
る。KPMGオーディットは、当該財務書類は、欧州連合により採用されるIFRS基準に従って、2019年12
月31日現在の当行の財務状況並びに同年の財務成績及びキャッシュ・フローを、全ての重要な点にお
いて適正に表示しているとの意見を述べている。
欧州連合によって採用されたIFRS基準に従って作成された財務書類
当行の目的
当行の主たる目的は、難民の移動や他の強制的な人口移動の結果、難民、避難民又は移民が存在する
ことになったこと、及び自然災害や環境災害の被害者が存在することになったことを受けて、欧州諸国
が直面している、又は直面するかもしれない社会問題の解決を支援することである。
当行が寄与している投資事業は、これらの人々をその滞在国において援助すること、又は帰国する条
件が整った時にこれらの人々を祖国へ帰還させること若しくは可能な場合は受入国へ移住させることを
目的とする。これらの事業は、当行の加盟国に承認されなければならない。
当行は、さらに、貧しい地域での雇用創出、低所得層のための住宅提供又は社会的インフラストラク
チャーの創設を可能にするため、当行の加盟国により承認された投資事業の実現に寄与する。
(定款第２条)
活動分野
欧州評議会開発銀行(CEB又は当行)は、社会的一体性の利益になるよう、社会的志向の投資事業の実
行に寄与している。当行は、管理委員会の決議第1611号(2019)に従い、以下の３つの主要な分野別活動
路線を通じてこれを実行している。
・包括的な成長 ：全ての人々にとっての豊かな未来を確保するため、経済的機会へのアクセスを保証す
る取組み
・社会的弱者グループへの支援 ：より多様な社会を育てるため、社会的に最も弱い立場にある市民の統
合を支援
・環境維持 ：環境維持を促進し、気候変動を緩和し適応する住みやすい社会を支援
プロジェクトは、上記の分野別活動路線の１つ又は複数に該当する可能性がある。これらの分野別活
動路線は、難民、移民、避難民その他社会的弱者グループに対する援助、低所得者層のための住宅の供
給、都市部及び地方の生活水準の改善、自然災害又は環境災害、環境保護、歴史的及び文化的な遺産の
保護及び復旧、保健、教育及び職業訓練、行政及び司法のインフラストラクチャー、並びに自立可能な
雇用の創出及び維持のためのMSMEの支援の活動分野において、CEBの明確な社会的使命及び当行の全て
の活動の基礎となる発展論理の両方を反映したものになっている。
会計基準
CEB は、2019年１月１日より、ヘッジ会計(ミクロヘッジ)に関する会計基準IFRS第９号「金融商品」
のフェーズ３及びIFRS第16号「リース」を適用している。IFRS第９号のフェーズ１(「金融商品の分類
及び測定」)及びフェーズ２(「金融商品、融資約定及び一定の保証金の信用リスクの減損」)は、当行
において2018年１月１日より適用されている。
下記の貸借対照表は、注Bに詳細が記載のIFRS第９号フェーズ３の初回適用による影響を考慮して、
2019年１月１日現在の比較データを含む。
51/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
貸借対照表
(単位：千ユーロ)
(*)
2019年１月１日 2018年12月31日
注記 2019年12月31日
資 産
現金及び中央銀行における残高 677,861 450,113 450,113
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 D 313,302 256,852 256,852
ヘッジ・デリバティブ金融商品 D 838,246 710,648 710,648
株主資本を通じて公正価値で測定する金融
H 4,117,841 4,099,228 4,099,228
資産
償却原価での金融資産 H
貸付金 15,807,267 14,882,674 14,882,657
前渡金 2,169,183 1,379,693 1,379,693
負債証券 1,977,538 2,138,720 2,138,720
有形資産及び無形資産 I 57,824 55,572 55,572
その他資産 J 182,729 374,506 374,506
資産合計 26,141,791 24,348,006 24,347,989
負債及び株主資本
負 債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 D 187,340 435,279 435,279
ヘッジ・デリバティブ金融商品 D 531,460 442,831 442,831
償却原価での金融負債 K
信用機関及び顧客に対する負債額 153,940 184,266 184,266
発行済負債証券 21,228,068 19,533,779 19,556,765
その他負債 J 583,134 395,904 395,904
社会配当金勘定 L 48,544 52,178 52,178
引当金 M 320,501 257,605 257,605
負債合計 23,052,987 21,301,842 21,324,828
株主資本
資本金 N
引受済資本金 5,472,219 5,472,219 5,472,219
(4,859,802) (4,859,802) (4,859,802)
未払込資本金
払込請求済資本金
612,417 612,417 612,417
一般準備金 2,456,101 2,358,647 2,352,515
処分予定利益 97,453
104,685 97,453
当期純利益
資本金、一般準備金及び当期純利益合計
3,173,203 3,068,517 3,062,385
株主資本に直接認識された損益 (84,399) (22,353) (39,224)
株主資本合計 3,088,804 3,046,164 3,023,161
負債及び株主資本合計 26,141,791 24,348,006 24,347,989
(*) IFRS第９号フェーズ３の初回適用による影響に関して調整された数値（注B参照）
52/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
損益計算書
(単位：千ユーロ)
注記 2019年 2018年
利息及び類似の収入
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 40 (3,538)
償却原価での貸付金及び前渡金 71,827 59,828
償却原価での負債証券 62,432 64,937
利息費用及び類似の手数料
償却原価での信用機関及び顧客に対する負債額 2,233 1,193
償却原価での発行済負債証券 25,215 32,292
その他利息費用及び類似の手数料 (5,158) (5,376)
金利差益 O 156,589 149,336
損益を通じて公正価値で測定する金融 商品からの純損益 Q 665 (237)
株主資本を通じて公正価値で測定する 金融 資産からの
純利益 47 398
手数料(収入) 1,242 4,120
手数料(費用) (2,010) (2,382)
銀行業務純益 156,533 151,235
一般営業費用 R (49,027) (47,118)
有形資産及び無形資産の減価償却費 I (4,786) (3,845)
総営業収入 102,720 100,272
リスク費用 S 1,965 (2,819)
純利益 104,685 97,453
包括利益計算書
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
純利益 104,685 97,453
損益計算書に再分類される可能性のある項目 (11,941) (20,799)
株主資本を通じて公正価値で測定する負債証券の価格変動 (1,148) (20,098)
ヘッジ・デリバティブ金融商品の価格変動 (10,793) (701)
損益計算書に再分類されない項目 (50,105) (6,262)
年金計画関連の保険数理計算上の差異 (42,523) (5,518)
その他の退職年金関連の保険数理計算上の差異 (7,774) (714)
資本性金融商品の価格変動 192 (30)
包括利益のその他の要素合計 (62,046) (27,061)
包括利益 42,639 70,392
53/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
株主 資本勘定変動報告書
(単位：千ユーロ)
資本金及び準備金 株主資本に直接認識された損益
株主資本
を通じて
公正価値 ヘッジ・ 保険
で測定す デリバ 数理
資本性
払込請求済 準備金 る負債 ティブ
計算上の 金融 株主資本
資本金 及び実績 合計 証券 金融商品 差異 商品 合計 合計
2018年１月１日
現在の株主資本 612,417 2,352,515 2,964,932 50,458 (62,621) (12,163) 2,952,769
2018会計年度の
利益 97,453 97,453 97,453
株主資本に直接
認識された資産
及び負債の価格
変動 (20,098) (701) (6,232) (30) (27,061) (27,061)
2018年12月31日
現在の株主資本 612,417 2,449,968 3,062,385 30,360 (701) (68,853) (30) (39,224) 3,023,161
資本性金融商品
の再分類 (459) 459
IFRS第９号
フェーズ３の
適用による影響
（注B） 6,132 6,132 (2,652) 19,523 16,871 23,003
2019年１月１日
現在の株主資本 612,417 2,456,100 3,068,517 27,249 18,822 (68,853) 429 (22,353) 3,046,164
2019会計年度の
利益 104,685 104,685 104,685
株主資本に直接
認識された資産
及び負債の価格
変動 (1,148) (10,793) (50,297) 192 (62,046) (62,046)
2019年12月31日
現在の株主資本 612,417 2,560,786 3,173,203 26,101 8,029 (119,150) 621 (84,399) 3,088,804
54/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書
(単位：千ユーロ)
12月31日に終了した年度 2019年 2018年
当期利益 104,685 97,453
+/-有形資産及び無形資産の減価償却費積立 4,786 3,845
+/-減損引当金 (1,972) 2,833
+/-投資活動による純損益 17,707 20,550
+/-未収の受取利息の変動 16,665 (16,843)
+/-未収の支払利息の変動 (64,017) 19,316
+/-その他の変動 12,273 12,836
業績に含まれる非通貨項目の合計 (14,558) 42,538
+信用機関及び顧客への営業に関連するキャッシュ・フロー 2,457,279 2,749,557
-信用機関及び顧客への営業に関連するキャッシュ・フロー (3,177,668) (3,202,862)
+金融資産又は金融負債に影響するその他の営業に関連するキャッシュ・
フロー 5,788,488 7,512,879
-金融資産又は金融負債に影響するその他の営業に関連するキャッシュ・
フロー (5,518,097) (7,946,699)
+/-非金融資産又は非金融負債に影響する営業に関連するキャッシュ・
フロー 2,266 (16,070)
営業活動の結果による資産及び負債の純キャッシュ・フロー (447,732) (903,194)
営業活動による純キャッシュ・フロー合計(a) (357,606) (763,202)
+償却原価での負債証券に関連するキャッシュ・フロー 150,000 48,600
-償却原価での負債証券に関連するキャッシュ・フロー
+/-有形資産及び無形資産に関連するキャッシュ・フロー (7,108) (6,501)
投資活動による純キャッシュ・フロー合計(b) 142,892 42,099
+/-加盟国からの/へのキャッシュ・フロー (2,320) (1,719)
+償却原価での発行済負債証券によるキャッシュ・フロー 10,597,526 12,226,594
-償却原価での発行済負債証券によるキャッシュ・フロー (9,263,466) (11,857,395)
財務活動による純キャッシュ・フロー合計(c) 1,331,741 367,481
現金及び現金同等物における外国為替レート変動の影響(d) 7,166 133
現金及び現金同等物における純増加/(減少)(a)+(b)+(c)+(d) 1,124,193 (353,490)
期首における現金及び現金同等物 1,425,892 1,779,382
現金及び中央銀行における残高 450,181 539,482
信用機関の要求に応じた支払可能な前渡金及び定期預金 975,711 1,239,900
期末における現金及び現金同等物 2,550,085 1,425,892
現金及び中央銀行における残高 677,948 450,181
信用機関の要求に応じた支払可能な前渡金及び定期預金 1,872,137 975,711
現金及び現金同等物の変動 1,124,193 (353,490)
55/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
財務書類に対する注記
注A：当行によって 適用される主要な会計方法の概要
1. 会計基準
適用される会計基準
当行の個別の計算書類は、欧州連合によって採用された国際財務報告基準(IFRS)に従って作成されてい
る。
2018年１月１日現在、当行はIFRS第９号「金融商品」を適用している。IFRS第９号は、IAS第39号「金融
商品：認識及び測定」を置換するものである。これは、金融商品の分類及び測定(フェーズ１)、金融商
品、融資約定及び一定の保証金の信用リスクの減損(フェーズ２)並びに一般ヘッジ会計又はミクロヘッジ
(フェーズ３)について、新たな原則を規定している。
但し、2018年会計年度においては、当行はIAS第39号に基づくヘッジ会計原則を維持するために当該基準
が提供したオプションを選択していたため、ヘッジ会計(ミクロヘッジ)に関するIFRS第９号の原則は、
2019年１月１日現在において初回適用された。
IFRS第９号のフェーズ３の目的は、ヘッジ会計の基礎の一部を変更することにより、企業のリスク管理
活動と財務書類とをうまく連携させることである。
第一に、IFRS第９号のフェーズ３は、ヘッジ関係のヘッジ費用を特定し、それを資本に個別に計上す
る。IAS第39号に基づき、オプションの時価、フォワードポイント及び通貨ベーススプレッドで表示される
ヘッジ費用は、損益計算書に計上される。
CEBにとってこれらの変動は、ヘッジ対象が以下のヘッジ商品に指定されるヘッジ関係に主な影響を及ぼ
した。
－公正価値ヘッジに指定された固定/変動通貨スワップ
－キャッシュ・フロー・ヘッジに指定された変動/変動通貨スワップ
第二に、IFRS第９号は、ヘッジ関係の有効性を証明する基準を以下のとおり変更した。
－80％から125％の範囲内におけるヘッジ対象の公正価値の変動及びヘッジ商品の公正価値の変動の相関関
係に係るIAS第39号の要件は必須ではなくなる。
－IFRS第９号は、ヘッジ関係が有効性の基準を満たすか否かの査定に係る特定の方法を規定しないが、以
下の場合に限り質的及び量的な有効性テストを認める。
・ヘッジ対象及びヘッジ商品との間で経済関係が存在する場合
・信用リスクが経済関係に起因する価値変動に影響を及ぼさない場合
・ヘッジ関係が実証済リスク管理戦略と整合し続ける場合
2019年１月１日現在、当行はまた、IFRS第16号「リース」も適用している。この基準は、IAS第17号
「リース」を置換するものであり、借手におけるリースの会計上の処理を修正するものである。基準の範
囲内の全てのリースは、借手の貸借対照表において認識されなくてはならない。
契約期間中にリースされた資産の使用権を表した金額は有形資産として認識され、リース負債に相当す
る金額は負債として認識される。
損益計算書において、使用権は契約の全期間にわたって減価償却され、利息費用はリース負債と認識さ
れる。
表示通貨
財務書類の表示通貨はユーロである。財務書類及び注記において表示される金額は、別段の定めのない
限り、千ユーロ単位である。
56/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
2. 外貨取引
財務書類はユーロ建で記載される。
外貨建通貨資産及び負債は、会計年度末日に適用される為替レートでユーロ(CEBの機能通貨)に換算され
る。この取引換算から生じた為替変動は、損益計算書に計上される。
先物通貨取引は、かかる通貨の残存期間に適用される先物為替レートを用いて時価で評価される。ス
ポット為替ポジションは、会計期間末日のスポット為替レートで評価される。為替差額の結果は損益計算
書に計上される。
3. 予測の使用
IFRS の適用において、判断及び価値評価を必要とする主要な評価範囲は、信用リスクに関連している。
これらの要素を除き、CEBの活動の性質は、判断及び評価の複雑性の観点から、財務書類の作成において重
大な予測又は決定的な仮定を必要としない。しかしながら、経済及び人口統計の想定は、退職給付の社会
的約定の評価に使用される。
4. 金融資産及び金融負債
金融商品とは、現金又はその他の金融資産を受領するか若しくは支払う契約上の権利又は義務をいう。
CEBの銀行業務は一般に、貸付金、負債証券、発行済負債証券及びデリバティブ(スワップ、先物)等の広範
囲の資産及び負債を対象とした金融商品の形態の契約上のものである。
財務書類において、金融資産及び金融負債の分類及び評価方法は、その契約上の特性及びCEBがこれらの
金融商品を運営する方法による。
しかしながら、この区別は、保有目的(市場活動又はヘッジ取引)とは関係なしに貸借対照表において常
に公正価値で測定されるデリバティブ商品には適用されない。
金融資産及び金融負債の分類及び測定
当初認識時に、金融資産及び金融負債は、貸借対照表において、３つの区分(償却原価、損益を通じて公
正価値で測定する、株主資本を通じて公正価値で測定する)に分類され、かかる区分により会計上の処理及
びこれに続く測定が決定される。この分類は、契約上のキャッシュ・フローの特性及び当行の金融商品の
運営方法(事業モデル)に基づく。
契約上のキャッシュ・フローの特性の分析
契約上のキャッシュ・フローの特性の分析は、その特性が基本融資契約の特性と類似している商品にの
み実効金利法を用いて金融資産からの利益の計上の可能性を制限することを目的としているが、これは関
連キャッシュ・フローの高い予測可能性を意味している。かかる特性を有さないその他の金融商品は全
て、それらが保有される事業モデルとは関係なしに、損益を通じて公正価値で測定する。
元本の返済及び元本残高に係る利息の支払いのみを表す契約上のキャッシュ・フローは、基本融資契約
(SPPIフロー：元本及び利息の支払いのみ)に矛盾しない。
基本融資契約において、利息は主に金銭の時価及び信用リスクの対価から成る。基本的でない金融資産
は全て、それらが保有される事業モデルと関係なしに、損益を通じて公正価値で測定して認識しなければ
ならない。
モデルの分析
57/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
事業モデルとは、キャッシュ・フロー及び利益を生むために商品が運営される方法をいう。金融資産の
分類及び評価の方法を決定するために、３つの事業モデルを区別することが必要である。
－金融資産から契約上のキャッシュ・フローを回収することに基づくモデル
－金融資産及びこれらの資産の売却から契約上のキャッシュ・フローを回収することに基づくモデル
－その他の金融資産、特に契約上のキャッシュ・フローの回収が付随する取引資産に特定のモデル
4.1. 償却原価での金融資産
金融資産は、以下の２つの基準、すなわち、事業モデルが契約上のキャッシュ・フローを回収するため
の商品の保有(「回収目的保有」)から成ること、並びにキャッシュ・フローが元本及び元本に係る利息の
支払いのみから成ることが満たされた場合、償却原価で分類される。
事業モデル基準
金融資産は、当該商品の全期間にわたる支払いに関連するキャッシュ・フローを回収するために保有さ
れる。
キャッシュ・フロー基準
キャッシュ・フロー基準は、負債証券の契約上の条件が指定期日に元本及び元本残高に係る利息の支払
いのみであるキャッシュ・フローを生じさせた場合に当てはまる。「償却原価での金融資産」という区分
には、付与された貸付金、契約上の支払いの回収目的保有証券(短期国債、国債及びその他の負債証券)が
含まれる。
認識
当初認識時に、金融資産は公正価値(当該商品に直接起因する取引費用を含む。)で計上される。その
後、これらは償却原価(当該期間中の未収利息並びに元本及び利息の返済純額を含む。)で評価される。こ
れらの金融資産は、当初予想信用損失(注S)に関する減損計算の対象ともなる。利息は、契約開始時に決定
される実効金利法を用いて計算される。
公正価値ヘッジ取引において、資産の簿価は、IFRS第９号に従ってヘッジされたリスクに起因する損益
に関して調整される。
58/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
4.2. 株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産
負債性商品
負債性商品は、以下の２つの条件が満たされた場合、株主資本を通じて公正価値で分類される。
事業モデル基準
金融資産は、その目的が契約上のキャッシュ・フローの回収及び金融資産の売却の両方(「回収及び売却
目的保有」)により達成される事業モデル内で保有される。後者は、付随的ではないが、事業モデルの不可
欠な要素である。
キャッシュ・フロー基準
その原則は、償却原価での金融資産に適用される原則と全く同じである。契約上のキャッシュ・フロー
回収目的又は売却目的で保有され、キャッシュ・フロー基準を遵守する有価証券は、主にこの区分に分類
される。
認識
当初認識時に、金融資産は時価(当該取引に直接起因する取引費用を含む。)で認識される。これらはそ
の後公正価値で測定され、公正価値の変動は株主資本の「株主資本に直接認識された損益」に計上され
る。これらの金融資産は、償却原価での負債性商品に適用されるものと同一条件での予想信用損失の計算
の対象ともなる。処分時に、それまで振替可能株主資本において認識された価値の変動は、損益計算書に
再分類される。もう一方で、利息は、損益計算書において契約開始時に決定された実効金利法に従って認
識される。
公正価値ヘッジ取引において、資産の簿価は、IFRS第９号に従ってヘッジされたリスクに起因する損益
に関して調整される。
資本性金融商品
株式等の資本性金融商品への投資は、取引ごとに選択により、株主資本を通じて公正価値で測定する金
融資産として分類される。株式売却時に、これまで株主資本に計上されていた価値の変動は、損益計算書
において認識されない。配当金のみが、投資に係る利益を表し、資本の払戻しを表さない限り、損益計算
書において認識される。これらの商品は、減損の対象とはならない。
4.3. 損益を通じて公正価値で測定する金融資産
損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、事業モデルの「回収目的保有」若しくは「回収及び売却
目的保有」の基準又はキャッシュ・フローの基準を満たさない取引目的で保有されない負債性商品に関す
るものである。
これらの金融商品は、損益計算書に直接計上される当初取引費用である時価で計上される。末日時点
で、時価の変動は、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」に計上され
る。
59/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
4.4. 金融負債
発行済金融商品又はその要素は、適法な契約の経済的実質に従って、負債に分類される。
発行済金融商品は、当行にその保有者への契約上の支払義務がある場合、負債性商品とみなされる。
発行済負債証券
発行済負債証券は、最初に取引費用を含む発行価格で計上され、その後実効金利法を用いて償却原価で
評価される。
IFRS第９号の適用において、公正価値でのヘッジ取引の観点から、発行済債券の簿価はヘッジリスクに
関する損益に応じて調整される。
4.5. 融資約定及び保証約定
損益を通じて公正価値で測定するデリバティブ商品として認識されない融資及び金融保証約定は、なさ
れ、受領した約定に関して注Tに表示される。これらは、予想信用損失について償却される。これらの引当
金は、「引当金」の項目に表示される。
4.6. 償却原価での金融資産及び株主資本を通じて公正価値で測定する負債性商品の減損
信用リスク減損モデルは、予想損失に基づく。このモデルは、償却原価区分又は株主資本を通じて公正
価値で測定する区分に分類される貸付金及び負債性商品、損益を通じて公正価値で計上しない融資約定及
び特定の金融保証約定に適用される。
一般的アプローチ
当行は、３つの「ステージ」を識別しており、それぞれが資産の当初認識以降の取引相手方の信用リス
クの進化に関する特定の状況に対応している。
12ヶ月間の予想信用損失「ステージ１」 ：
報告日現在、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増加しなかった場合、この商品に関して
12ヶ月間の予想信用損失に相当する額の減損(翌12ヶ月以内の債務不履行リスクに起因する。)が認識され
る。
減損されない資産の全期間の予想損失「ステージ２」 ：
減損は、減損される金融資産がないという当初認識以降に金融商品の信用リスクが著しく増加した場
合、全期間の予想損失(満期時)に等しい。
減損された資産の全期間の予想損失「ステージ３」 ：
資産が減損された場合、減損はまた満期時の全期間の予想信用損失に等しい。
この一般モデルは、IFRS第９号の減損の範囲内で全ての金融商品に適用される。
利息収入は、ステージ１及びステージ２の残高の簿価総額により計算される。
ステージ３の範囲内での残高に関して、金利収入は償却原価残高(すなわち減損引当金に関して調整され
た簿価総額)に基づき計算される。
債務不履行の定義
60/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
債務不履行の定義は、バーゼルの比率が用いる定義と同じである。したがって、取引相手方は、90日超
の支払遅滞が判明した場合、債務不履行に陥っているとみなされる。
減損金融資産
金融資産は、当該金融資産の将来のキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす１又は複数の事象が生じた場
合、減損され、ステージ３に分類される。
個々のレベルで、減損の客観的表示には、以下の事象に関連する観測可能なデータが含まれる。すなわ
ち、支払期限が90日を超える契約上の支払いが存在すること、結果として現存するリスクと認められるこ
とに繋がる取引相手方の重大な財政難を認識又は観測したことである。
信用リスクの著しい増加
信用リスクの著しい増加は、合理的かつ妥当なあらゆる情報を考慮し、末日時点における当該金融商品
の債務不履行リスクと当初認識時点における債務不履行リスクとを比較して、評価される。
悪化という評価は、金融商品の当初認識時点における債務不履行の格付又は発生確率と報告日時点に存
在するこれらとの比較に基づく。
予想損失の測定
予想信用損失は、金融商品の予想期間にわたり損失が生じる発生確率により加重された信用損失の見積
り(すなわち現金不足の現在価値)として定義される。これらは、各エクスポージャーについて個々の基準
で計算される。
実際には、ステージ１及びステージ２のエクスポージャーに関して、予想信用損失は、債務不履行時損
失率(LGD)に債務不履行時エクスポージャー額(EAD)を乗じ、エクスポージャーの実効金利で割り引いた債
務不履行確率(PD)として計算される。これは、翌12ヶ月以内の債務不履行リスク(ステージ１)又は満期ま
での全期間にわたる債務不履行リスク(ステージ２)に起因する。
ステージ３に分類されるエクスポージャーに関して、予想信用損失は、実効金利で割り引いた、当該商
品の全期間にわたるキャッシュ・フロー不足として計算される。キャッシュ・フロー不足は、期限到来時
の契約上のキャッシュ・フローと予想キャッシュ・フローとの差額を表している。
実施された方法は、現行の概念及び枠組み(特にバーゼルの枠組み)に基づく。
債務不履行確率(PD)
債務不履行確率は、既定期間にわたる債務不履行の発生確率の見積りである。
予想信用損失の測定には、満期時における１年間の債務不履行確率及び全期間の債務不履行確率の両方
の見積りが必要となる。満期時における１年間のPD及び全期間のPDは、サイクル全体の長期間平均に基づ
きPD規制により計算され、現在の状況を示すために調整されたある時点における(PIT)確率である。
十分な量の内部データがないことを考慮し、CEBは、当行の取引相手方のポートフォリオに従って標準化
されたPDデータの外部提供業者を利用する。
債務不履行時損失率(LGD)
債務不履行時損失率は、債務不履行日現在の実効金利で割り引かれた、契約上のキャッシュ・フローと
予想キャッシュ・フローとの差額である。LGDは、EADの比率として表示される。
61/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
予想キャッシュ・フローの見積りには、契約上の条件に含まれる場合は保有担保又はその他の信用補完
の売却によるキャッシュ・フローが含まれ、当該担保の取得費用及び売却費用を控除して事業体ごとに個
別に計上されない。
十分な量の内部データがないことを考慮し、CEBは、当行の取引相手方のポートフォリオ、信用補完及び
「低サイクル」効果に従って標準化されたLGDデータの外部提供業者を利用する。
債務不履行時エクスポージャー額(EAD)
商品の債務不履行時エクスポージャー額は、債務不履行時に借入人が所有する予想残高である。この額
は、予想される支払特性に基づき決定され、商品の種類に基づき、契約上の返済予定、予想早期償還及び
信用契約に係る将来の予想引出額を考慮している。
将来的な予測情報
予想信用損失額は、過去の事象、現在の状況及び合理的かつ妥当な経済情勢の予測を考慮した発生確率
－加重シナリオに基づき算定される。
予想信用損失算定時の将来的な予測情報に関連する原則は、「注S リスク費用」に詳細が記載される。
4.7. リスク費用
リスク費用には、償却原価で又は株主資本を通じて公正価値で計上された負債性商品、融資約定及び金
融保証約定に関連する12ヶ月間の予想損失及び全期間の予想損失(ステージ１及びステージ２)に関する減
損引当金及び同戻入金が含まれる。リスク費用には、減損に係る客観的証拠がある金融資産(ステージ３)
に関する減損引当金及び同戻入金、回収不能額の相殺額並びに減損資産からの回収額も含まれる。
4.8. デリバティブ商品
2018年度、当行は、IAS第39号に基づくヘッジ会計原則を維持するというIFRS第９号が定めたオプション
を選択した。2019年１月１日以降、CEBは、IFRS第９号に基づくヘッジ会計原則(ミクロヘッジ)を適用して
いる。
ヘッジ・デリバティブ金融商品は、ヘッジ対象の金利リスク及び/又は外国為替リスクを制限する金融商
品である。
デリバティブ金融商品は、CEBがそのリスクを管理及びヘッジするために使用される。これらは、ヘッ
ジ・デリバティブである。ヘッジ取引は、個々の商品又は取引(ミクロヘッジ取引)に関連している。
デリバティブは以下の２つの区分に分類される。
－デリバティブ取引
デリバティブ商品は、ヘッジ商品とみなすことができる場合を除き、当初から取引商品として扱われ
る。デリバティブ商品は、時価がプラスの場合は貸借対照表の資産側の「損益を通じて公正価値で測定す
る金融商品」の項目に計上され、時価がマイナスの場合は貸借対照表の負債側に計上される。損益は、損
益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」の項目に計上される。
－デリバティブ及びヘッジ会計
特定された金融商品(貸付金、負債証券、発行証券)に関する固定金利付の資産及び負債の金利リスクを
特にカバーするために、当行は公正価値でのヘッジを使用する。
62/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
金利キャッシュ・フロー・ヘッジは、貸借対照表において認識された金融商品(変動利付貸付金、有価証
券又は負債)に関連する将来のキャッシュ・フローの変動にさらされる商品をヘッジするために使用され
る。このヘッジ関係は、損益計算書に影響を及ぼす可能性のある商品の将来のキャッシュ・フローのマイ
ナスの変動に対してヘッジすることを目的としている。
金融商品がヘッジ・デリバティブとして適格とされるために、当行は当初の利用からヘッジに関する情
報を保持している。かかる情報は指定資産又は負債、ヘッジリスク、使用されたデリバティブ商品の種類
並びにヘッジの過去及び将来の有効性評価に使用される評価方法を明確に記している。
ヘッジは、IFRS第９号に定義されるヘッジの有効性要件を全て満たさなければならない。かかる有効性
は、ヘッジの最初の利用及びその後のヘッジの全期間を通じて確保されていなければならない。
公正価値によるヘッジ関係の場合、デリバティブは貸借対照表において公正価値で再評価される。一方
で、公正価値の変動は損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」の項目に
計上される。これは、予想リスクに関するヘッジ商品の再評価と対称的である。貸借対照表において、認
識された資産又は負債に対するヘッジ関係の場合、ヘッジ項目の再評価はヘッジ商品の分類に基づいて計
上される。損益計算書に計上された影響は、ヘッジの終局的な非有効性を示している。
キャッシュ・フローによるヘッジ関係の場合、ヘッジ・デリバティブ金融商品の公正価値の変動は、そ
の非有効部分が「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」として損益計算書に計上され
る一方で、その有効部分について「株主持分に直接認識された損益」として計上される。金利デリバティ
ブの場合、ヘッジ商品に関連する金利収入又は金利費用と対称的に、デリバティブ金融商品の未収利息部
分は、損益計算書の「利息及び類似の収入又は費用」に計上される。
ヘッジが中断されるか又は有効性テストを充足することができない場合は、ヘッジ・デリバティブは取
引ポートフォリオへ移行され、かかる区分に適用される方針に従って計上される。当初においてヘッジさ
れているとみなされた金利商品の場合、貸借対照表に計上されたかかる商品の再評価額は、その残存期間
の実効金利法で償却される。特に早期償還されたために、貸借対照表にヘッジ項目がもはや計上されない
場合、かかる金額は直ちに損益計算書に移行される。
4.9. 公正価値評価
金融資産及び金融負債の公正価値は、IFRS第13号により要求される市場価値及び追加的な価値の調整に
より構成される。
－時価
「損益を通じて公正価値で測定する金融商品」、「ヘッジ・デリバティブ金融商品」及び「株主資本を
通じて公正価値で測定する金融資産」の区分の金融資産及び金融負債は、その時価で評価及び計上され
る。時価は、対等取引において知識のある自発的な当事者間において交換され得た資産、又は支払われ得
た負債に関する価格に相当する。
時価は、以下のとおり決定される。
－活発な市場における見積価格の使用
－以下のような評価手法の利用
－認識された財務上の仮定に基づく数学的な計算方法
－活発な市場において取引される商品の価格を利用して、又は活発な市場がない場合には統計的推定若
しくはその他の定量法に基づいて決定された価値のパラメーター
63/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
一方で、デリバティブ商品(外国為替、金利及び通貨スワップ)は、一般的に承認されたモデル(割引
キャッシュ・フロー手法、ブラック・ショールズ・モデル、補間法)に基づいて観測可能なパラメーターを
用いて評価される。
－評価調整
評価調整により、公正価値の範囲内での取引相手方の信用リスク及び当行の信用リスクを統合すること
ができる。
取引相手方のリスクの評価調整(信用評価調整－CVA)は、取引相手方のうち１社が債務不履行の場合に、
当行が取引から全時価を回収し得ないリスクを反映している。
当行の信用リスクの評価調整(自己信用評価修正－OCA及び債務評価調整－DVA)は、当行の発行済負債証
券及びデリバティブ金融負債の評価額に対するCEBの信用リスクの影響を反映する。
これらの調整は、取引相手方ごとに算出され、債務不履行エクスポージャー、債務不履行確率及び債務
不履行の際の回収率に基づいて算出される。
債務不履行時におけるエクスポージャーは、リスク要因のシミュレーションによるリスクへのエクス
ポージャーを定量化するモデルを用いて見積られる。かかるモデルは、クレジット・サポート・アネック
ス(CSA)担保契約の性質に左右される担保の変動を考慮に入れる。
CVA及びDVAは、正の評価の場合は貸借対照表の資産側の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商
品」の項目に計上され、負の評価の場合は貸借対照表の負債側に計上される。損益は、損益計算書の「純
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」に認識される。
64/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
4.10. 金融資産及び金融負債の償却
金融資産の償却
当行は、当該資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合又はCEBが当該資産か
らのキャッシュ・フローを受けるための契約上の権利並びに実質的に当該資産の所有に関するリスク及び
利益の全てを譲渡した場合のいずれも、金融資産の全部又は一部を償却する。これら全ての条件が満たさ
れなかった場合、当行は、貸借対照表において当該資産を維持し、当該資産の譲渡の結果生じた義務に関
して負債を認識する。
金融負債の償却
当行は、当該負債が全部又は一部消滅した場合、金融負債の全部又は一部を償却する。
レポ契約
レポ契約に基づき一時的に売却された有価証券は、引き続きCEBの貸借対照表においてその原ポートフォ
リオに認識される。これに対応する負債は、「償却原価での金融負債」に償却原価で認識される。
リバース・レポ契約に基づき一時取得された有価証券は、当行の貸借対照表において認識されない。こ
れに対応する債権は、「償却原価での金融資産」に償却原価で認識される。
5. 金利収入及び金利費用
金利収入及び金利費用は、損益計算書において、実効金利法を用いることにより全ての金融商品に認識
される。
実効金利とは、金融商品の予想残存期間を通じて見積られる将来の現金支出又は現金収益を金融資産又
は金融負債の純簿価まで正確に割り引く利率である。この計算には、授受された手数料(利息と類似する場
合)、取引費用並びに全てのプレミアム及び割引が含まれる。
6. 固定資産
当行の貸借対照表に計上される固定資産は、有形活動資産及び無形活動資産を含む。
これらの固定資産は、直接関連のある費用を加えた購入価格で計上される。
減価償却は、定額法を用いて当行が予測する資産の予想耐用年数に従って計算され、資産の残存価値は
償却基礎価額から差し引かれる。
末日ごとに、固定資産は償却原価(減価償却及び可能性のある減損を差し引いた価格)で評価され、必要
があれば、耐用年数の存続期間及び残存価値に関する会計調整が実施される。
－有形資産
以下は活動施設の「建物」分野の内訳である。全てその耐用年数に従って減価償却される。
(1)
－主要な建物、ファサード及び屋根材 －
－一般設備及び専門設備 10年
－不動産の定着物及び付属物 10年
注(1) 当行の本部がパリの中心に所在していることを考慮し、その残存価値は「主要な建物、ファサード及び屋根材」
に指定されているが、これは減価償却の対象となっていない。
土地は減価償却されない。その他の有形固定資産は、以下の存続期間に従って減価償却される。
－付属物及び家具 10年
－ 車 両 ４年
65/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－事務所及びIT備品 ３年
－無形資産
無形資産(ITソフトウェア)は、以下の存続期間に従って償却される。
－アプリケーションソフトウェア ５年
－システムソフトウェア ３年
－オフィスソフトウェア １年
7. 退職職員給付金
当行の年金計画は、当行及び職員からの拠出によって資金提供された確定給付型年金計画である。給付
金は労働年数及び最終勤務年度の基本報酬の割合に基づいて計算される。
その他の退職給付金計画(医療保険、財務調整及び退職年金)も、同様に確定給付型年金計画である。
これらの計画は、当行側の約定を表し、評価され、引当金が設定されている。IAS第19号に基づき、会計
上及び人口統計上の条件を考慮し、これらの約定に関して保険数理計算上の評価が実施される。保険数理
計算上の損益は、貸借対照表の「引当金」の項目に「包括利益計算書」の取引相手方ごとに計上される。
これらの約定に関する引当金の額は、予測単位積増方式に従い独立した保険数理人によって決定され
る。
8. 社会配当金勘定
社会配当金勘定(SDA)は、CEBの目的に適合しかつ管理委員会が指定する適格諸国において実施されるプ
ロジェクトに助成金を提供するために使用される。SDAの運用原則は、2016年11月17日に承認された管理委
員会の決議第1589号(2016)により改訂されている。改訂により、当行の加盟国は全て保証制度の対象とな
ることとなった。
2019年11月、管理委員会はCEBの貸付金へのSDA保証の提供に用いる方法を改訂した。新たな方法は、バ
リュー・アット・リスク、すなわち一定の期間及び確率における予想最大損失額の概念に基づいている。
これにより、当行はリスクへの慎重なアプローチを維持しつつも、より多額の借入金、すなわち現行の方
法の下で補填される金額の２倍以下を保証することができる。管理委員会は、決議第1612号(2019)におい
てSDAの方針を改訂することによりかかる新たな方法を採用した。
SDAにより提供される助成金は、技術支援、金利補助金、保証及び助成金付与の形態とされることがあ
る。
66/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－金利補助金
金利補助金は、CEBの借入人が負担する利息額を減らすために使用される。金利補助金は、貸付金の各債
券につき、当行が適用する金利と借入人が事実上支払う金利との差を補う。
－保証
CEBが付与する貸付への保証により、当行は、社会的影響は大きいものの、信用リスクが高いプロジェク
トへ資金を提供することが可能になる。その金額、トリガー事由及び回収方法は個別の事案ごとに決定さ
れる。
－技術支援
技術支援は、CEBの借入人によるプロジェクトの準備及び遂行を支援するために利用される。そのため、
プロジェクトの準備、実行又は監視及び報告、調達管理並びに影響評価のために必要な、事前の実現可能
性、実現可能性及び技術の研究、企画及び実施の計画、制度上及び法律上の評価並びにその他の助言サー
ビスのために資金が提供される。
－助成金付与
助成金付与は、緊急事態の枠組みにおいて行われるか又は加盟国に共通する原因への拠出の形で行わ
れ、他の国際機関と協力して遂行される。
SDAから拠出される助成金は、総裁によって承認される300千ユーロ以下の技術支援の助成金を除き、管
理委員会によって承認される。
SDAは、当行の年間利益の配分時に支払われる社会的性格の配当を通じて、当行の加盟国からの拠出金に
よって主に資金提供されている。
9. 関連当事者
IAS第24号に関して、当行はいかなる機関の子会社でもない。財務書類は関連当事者との関係によって影
響を受けるものではない。
当行の議長及び任命職員に関連する情報については、下記10.の項に記載されている。
10. 議長及び任命職員への報酬
CEBの定款では、当行の組織、運営及び監督は下記の機関に分掌されている。
－理 事 会
－管理委員会
－総 裁
－監査委員会
理事会及び管理委員会は、それぞれ１名の議長及び各加盟国が任命した１名の代表から構成されてい
る。副議長は各機関の構成員から選任される。理事会の議長及び管理委員会の議長は理事会によって任期
３年で選任され、その任期は１度更新することができる。議長及び副議長の年間報酬は、在任期間中は管
理委員会によって固定されている。
総裁は理事会で任命され、任期は５年であるが１回は再任されることができる。総裁は、１名以上の副
総裁に補助される。かかる副総裁は、管理委員会からの意見に従って、理事会の委員との協議を経て、総
裁の提案に基づいて理事会によって任命され、任期は５年であるが１回は再任されることができる。その
報酬は、当行の年間予算の承認範囲内で管理委員会によって固定されている。
67/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
CEBの議長及び任命職員はストック・オプション又はその他の種類の賞与を受領しない。総裁及び副総裁
は、医療保険及び社会保険並びにCEBの年金計画に加入している。
CEBの在任の議長及び任命職員の報酬総額は以下のとおり要約される。
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
職員報酬
理事会議長 45 45
管理委員会議長 45 45
(1)
理事会副議長
5 6
管理委員会副議長 6 6
報 酬
総 裁 ウェンツェル(Wenzel) 376 367
副総裁 モンティチェッリ(Monticelli) 286 279
副総裁 サンチェス-ジェブラ・アロンソ(S ánchez-Yebra Alonso)
286 279
(2)
副総裁 ボーチェック(Bo ek)
191
注(1) 月額500ユーロの報酬が支払われる。現理事会副議長は、2019年３月30日に就任した。同職は、2019年第１四半期中空
席となっていた。
(2) 副総裁ボーチェックは、2019年５月１日に就任した。同職は、2019年の最初の４ヵ月間及び2018年の１年間空席と
なっていた。同副総裁の任務は、2021年８月15日に終了する。
11. 課 税
欧州評議会の特権及び免責に関する一般協定に対する第三議定書は、当行の資産、収入及びその他の財
産は全ての直接税から免除されると規定している。
68/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
注B：2019年１月１日現在のIFRS第９号フェーズ３の適用による影響
IFRS 第９号フェーズ３の適用による影響は、ヘッジ費用の会計上の処理によって左右される。この結
果、通貨ベーススプレッドに関連するヘッジ費用は、2019年１月１日現在の株主資本に直接認識された損
益に計上される。
CEB にとってこれらの変動は、指定ヘッジ商品を公正価値ヘッジの固定/変動通貨スワップ及びキャッ
シュ・フロー・ヘッジの変動/変動通貨スワップとするヘッジ関係と関連している。
以下の表は、IFRS第９号フェーズ３の初回適用による影響の詳細を表している。
(単位：千ユーロ)
IFRS第９号
2019年１月１日
IFRS第９号
2018年12月31日 フェーズ３の
フェーズ３
適用による影響
資 産
現金及び中央銀行における残高 450,113 450,113
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 256,852 256,852
ヘッジ・デリバティブ金融商品 710,648 710,648
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 4,099,228 4,099,228
償却原価での金融資産
貸付金 14,882,657 17 14,882,674
前渡金 1,379,693 1,379,693
負債証券 2,138,720 2,138,720
有形資産及び無形資産 55,572 55,572
その他資産 374,506 374,506
資産合計 24,347,989 17 24,348,006
負債及び株主資本
負 債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 435,279 435,279
ヘッジ・デリバティブ金融商品 442,831 442,831
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 184,266 184,266
発行済負債証券 19,556,765 (22,986) 19,533,779
その他負債 395,904 395,904
社会配当金勘定 52,178 52,178
引当金 257,605 257,605
負債合計 21,324,828 (22,986) 21,301,842
株主資本
資本金
引受済資本金 5,472,219 5,472,219
(4,859,802) (4,859,802)
未払込資本金
払込請求済資本金
612,417 612,417
一般準備金 2,352,515 6,132 2,358,647
処分予定利益 97,453
当期純利益 97,453
資本金、一般準備金及び当期純利益合計 3,062,385 6,132 3,068,517
株主資本に直接認識された損益 (39,224) 16,871 (22,353)
株主資本合計 3,023,161 23,003 3,046,164
負債及び株主資本合計 24,347,989 17 24,348,006
－ヘッジ対象の価格変動(貸付金の17千ユーロ及び発行済負債証券の−23.0百万ユーロ)は、通貨スワッ
プのヘッジを行う際に通貨ベーススプレッドがヘッジ対象の公正価値から除かれることによるもので
ある。
69/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－6.1百万ユーロの一般準備金への影響として、通貨スワップに係る通貨ベーススプレッドが公正価値
ヘッジに指定され、通貨ベーススプレッドがこれまでに損益計算書に記載されたヘッジ対象の価格(貸
付金、発行済負債証券及び株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産)から除かれた。
－株主資本に直接認識された損益16.9百万ユーロの変動は、上記の通貨スワップに係る通貨ベーススプ
レッドに起因し、通貨ベーススプレッドがヘッジ対象の調整(株主資本を通じて公正価値で測定する金
融資産)から除かれることによるものである。
注C：リスク管理
リスク管理の主要な目的は、当行の長期的な財政の持続性及び業務の弾力性を確保し、さらにはCEBがそ
の社会的使命を遂行できるようにすることである。そのため、当行は業務分野全体で健全かつ慎重なリス
ク文化を促進することにより、国際的にも最良の銀行慣行(BBP)の実践を目指している。
本注記は、当行が通常の事業過程において直面する主な金融リスク、すなわち信用リスク、市場リス
ク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクに対する当行のエクスポージャーに関する情報を提供して
いる。また、本注記は、かかるリスクの特定、評価、監視、報告、緩和及び統制するための適切なツール
をCEBにもたらす目的、方針、手続、制限及び統制に関する情報も提供している。
当行は、加盟国の規制には服さないものの、銀行規制に係る欧州連合指令及びバーゼル銀行監督委員会
の勧告をリスク管理の枠組みの基準として考慮している。
CEBは、最良の銀行慣行に沿う監視手続を含むリスク及び統制政策を定期的に見直している。
－リスク選好度
当行は、リスク選好度を、当行の開発計画に記載されている戦略的目標の達成のために当行がそのリス
ク許容範囲内において負う意思のあるリスクの総体的なレベル及び種類と定義する。
CEB のマンデートを履行するための鍵となる手段は、有利な利率で資金を融資することであり、そのため
には資本市場において競争力のある利率で資金を調達することが必要となる。この目的のため、特に強固
な信用リスク特性の保持が最も重要となる。
CEB の財務及びリスク特性は、量的及び質的な主要指標並びに健全性に関する枠組み(4.を参照のこと。)
に基づく制限から示されるリスク選好度によって決まる。
当行は、そのリスク管理について堅実な方法を採用しており、これにより当行の長期にわたる財政の持
続可能性の確保に対するリスクが軽減される。当行は、オンバランスシート及びオフバランスシート両方
の取引に起因してCEBの事業から生じる全てのリスクを認識、査定、監視、報告、緩和及び統制するための
包括的なリスク管理枠組みを開発、導入した。
－リスク体制
リスク及び統制局(R&C)は、リスク管理の枠組みの実行、とりわけ、当行全体におけるすべてのリスクの
認識、監視及び報告について責任を負っている。R&Cは、他の局と協調して、リスクに関する方針及び手法
を提案し、それらの適用を監督し、全体的に一貫したリスク管理が行われるようにし、リスク報告を徹底
させる。
R&C は、他の運営局及び事業局から独立し、総裁に対して直接報告を行う。R&C内部の部署は、信用リス
ク、市場リスク(リスク観点からの資産及び負債管理(ALM)を含む。)及びオペレーショナルリスクの分野を
対象としている。
財務総局は、業務上のALM及び当行の流動性ポジションについて責任を負う。
70/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－意思決定委員会
当行は、各分野でリスク管理方針の設定及び監視について責任を負う異なる意思決定委員会を設置して
いる。総裁はこれら全ての委員会の議長を務める。
－信用リスク委員会(CRC)は、週に１度開催され、内部信用リスクの分析と勧告に基づき、貸付及び資金
エクスポージャーに関する与信決議を行う。
－資産及び負債委員会(ALCO)は、貸借対照表全体を通じた金利、為替及び流動性リスクの将来的な予測
に基づき、戦略的な志向及び意向を形成するために１ヶ月に１度又は必要に応じてより高い頻度で開
催される。
－オペレーショナルリスク及び組織委員会(CORO)は、CEBのオペレーショナルリスクに関する課題を半年
に１度検討し、これらのリスクを軽減、監視及び規制するための十分な方法が採られていることを確
認する。
－IT運営委員会は、情報システムの問題を見直し、業務の回復性及び事業の継続性を確保するために適
切な措置を講じる。さらに、IT関連の決定が事業の利害関係及び優先事項と適切に合致することを十
分に確保するために、副総裁が委員長を務めるITプロジェクト委員会により、定期会合を通じて、事
業要件の予測及びITに関する共有ビジョンの発展が行われている。
－統制機関
内部監査(IA)は、CEBの内部統制システムにおける、常設の独立した機能である。IAの目的は、総裁及び
CEBの統制機関に対し、事業及び運営業務が効率的に行われ、管理されていることについて独自のかつ客観
的な保証を提供することである。IAは、CEBの活動が、既存の政策、手続及びベストプラクティスとの適合
性のもと行われているかを検査し、またそれらに関連するリスクの評価を行っている。さらに、CEBの運営
に関して、将来的な改善の提案も行う。
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与並びに脱税のリ
スク並びに誠実性、汚職問題及び詐欺問題への対処を課せられている組織単位である。OCCOの任務は、金
融リスク及びレピュテーションリスクから当行を保護すること、企業倫理規範を促進すること並びにCEBの
コンプライアンスリスクの効率的な管理について自主的に貢献することである。OCCOの主な活動は、運営
及び取引相手方に対する誠実性のデュー・ディリジェンスによるチェックの実施、当行の金融及びローン
事業における誠実性の保護並びに当行の基準及び方針に対する違反により生じるリスクからの職員及び合
議制組織の誠実性及び義務論の保護である。また、OCCOは、調達方法の選択手続が内部規則に沿っている
ことの確認を行う。
コンプライアンス・ユニットの最高情報セキュリティー責任者(CISO)は、CEBの情報資産及び技術が適切
に保護されていることを確保する。CISOは、セキュリティーポリシーの設定、セキュリティーの枠組みの
設計、並びにCEB全体の情報及び情報技術(IT)リスク軽減のための手続の特定、開発、導入及び維持に関し
て責任を負う。CISOは、事故への対応、適切な基準及び統制の設定、セキュリティー技術の管理、セキュ
リティーに対する認識の向上、並びに情報セキュリティーポリシー及び手続が適用されていることの確認
を行う。
監査委員会は、理事会によって加盟国から交代で選任される任期３年の代表者３名(退任者はアドバイ
ザーとして引き続き任期１年で留任する。)で構成されている。同委員会は、当行の収支決算を検査し、そ
の正確性を確認する。監査委員会の報告書は、その抜粋が財務書類に添付される他、毎年財務書類が承認
のため提出される際に、当行の監督機関に提出される。
外部監査人は、監査委員会の意見及び管理委員会の推薦に基づき、入札手続の後に、理事会により任期
(1)
４年で任命され、３年の追加任期は１度更新することができる。外部監査人は、当行の財務書類のIFAC
71/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
の専門監査基準に従った監査並びに内部統制及びリスク管理のプロセスの審査を行う責任を負う。外部監
査人は、意見報告書を含む多岐に亘る報告書を起草する。
さらに、当行はフィッチ・レーティングス、ムーディーズ及びスタンダード・アンド・プアーズの３つ
の国際的な格付機関による評価を受ける。これらの格付機関は、当行の財務状況及び長期的な信頼性並び
に環境、社会及びガバナンスの基準を詳細に分析し、年間格付を付与する。
注(1) 国際会計士連盟
－リスク管理に関する内部報告及び外部報告
リスク及び統制局は週に１度、融資活動及び財務活動に関する信用リスクについて、 信用リスク委員会
に対して報告する。
１ヶ月ごとに、財務総局は、金利及び為替相場のエクスポージャー並びに資金調達及び流動性ポジショ
ンについて、 資産及び負債委員会 に報告する。
四半期リスク管理報告書は、R&Cが作成し管理委員会及び理事会に提示される。当該報告書は、信用リス
ク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクといった主なリスクに対するCEBのエクスポー
ジャー及び内部で定義される健全性の枠組みの進展について株主に情報を提供する。
当行はまた、格付機関に対してその毎年の評価のために広範な情報を提供する。また、米国証券取引委
員会に提出された発行登録書との関係で、18-K様式により作成されたCEBの年次報告書にも、当行のリスク
管理の情報が含まれている。
最後に、CEBの総裁年次財務報告書には、当行において実施されているリスク管理のプロセス及び実務に
ついて公平な見解が示されており、そのリスクのエクスポージャーについての詳細なデータが提供されて
いる。
1. 信用リスク
－評価過程の概要
信用リスクは、銀行借入人又は取引相手方が合意した条件に従ってその義務を履行しないことにより生
じる潜在的な損失と定義される。当行は、借入人及び財務上の取引相手方が契約上の義務について債務不
履行となる可能性があるか、又は当行の投資の価値が損なわれる可能性があるため、融資活動及び財務活
動の両方において信用リスクにさらされている。また、当行の資本又は貸倒損失に係る引当金に対して悪
影響を及ぼす可能性がある格付の引下げにより、信用リスクが生じることがある。決済リスク及び未決済
リスクもまた、信用リスクに含まれる。同様に、担保リスクも信用リスクの一部とされる(担保は、本質的
には信用リスクを軽減させる手段である。)。概して、信用リスクは、融資先又は取引の信用エクスポー
ジャーの値と信用の質の関数である。
－信用リスクの特定及び評価
信用リスク管理は、当行のバランスシート及びオフバランスシート上の事業における当行の融資及び資
金運用活動から生じる全ての商品及び活動に内在する全ての信用リスクの潜在的な要因を特定する。当行
は、新たな商品及び活動が導入又は実施される前に、これらに係るリスクが適切なリスク管理の手続及び
統制に服することを確認する。信用リスクは、格付の引下げ、支払義務に係る(クロス)デフォルトの形で
発生するか、又は取引の決済手続に際して発生する可能性がある。
信用リスクは、(ⅰ)リスク原則に従って信用取引が遂行されていることの確保のために適切な内部管理
を実施し、また(ⅱ)借入人又は仲介者との関係による影響を受けることなく独立した判断を下すため、融
資又は財務の担当者から独立して、信用リスク部(CRU )(リスク及び統制局、財務リスク部門)によって評価
72/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
される。信用エクスポージャーは、毎日測定、監視及び統制される。制限の違反(もしあれば)は、上級管
理職に報告される。
内部信用格付は、当行の独立した内部の信用リスク評価の結果を示すものである。内部信用格付は、支
払義務を全額、また適時に履行することに係る借入人の能力及び意思に関する意見である。かかる内部信
用格付は、通常、リスク要因の質的及び量的な評価並びに最終的に不履行の原因となる可能性のある潜在
的なシナリオに基づく。内部信用格付は、財務総局並びに貸付及び社会開発局の全ての取引相手方に対し
て指定される。当行は、当行が負う潜在的なリスクを適切に理解していることを確認しつつ、特定の取
引、商品又は取引相手方に関して外部格付を利用することができる。当行の事業から発生する信用リスク
を監視するために定められた限度は、定期的に検討される。内部格付の方法は、随時検討され、調整され
る。内部格付は、国際格付機関の格付の等級に従って格付けされ、そのため、各内部格付の等級は、以下
の表に記載される格付の等級に対応する。
格付一覧表
CEB 長期 CEB 長期
内部格付 内部格付
ムーディーズ S&P／フィッチ ムーディーズ S&P／フィッチ
10 Aaa AAA 5 Ba1 BB+
9.5 Aa1 AA+ 4.5 Ba2 BB
9 Aa2 AA 4 Ba3 BB‐
8.5 Aa3 AA‐ 3.5 B1 B+
8 A1 A+ 3 B2 B
7.5 A2 A 2.5 B3 B‐
7 A3 A‐ 2 Caa1 CCC+
6.5 Baa1 BBB+ 1.5 Caa2 CCC
6 Baa2 BBB 1 Caa3 CCC‐
5.5 Baa3 BBB‐ 0.5 Ca CC
0.25 C C
0 D D
－信用リスクの軽減
CEB は、取引残存期間中の信用リスクを監視し軽減するため、信用リスクの軽減(CRM)手法を積極的に活
用している。信用リスクの軽減手法としては、保証、担保又は契約上の保護(契約上のコベナンツ)があ
る。
新規取引に関する信用リスクの軽減手法は、CRUによって提案され、信用リスク委員会の承認に服する。
既存取引に関する信用リスクの軽減手法は、取引相手方に係る年次精査において信用リスク委員会に提示
される。
新規プロジェクトに関する信用リスクは、評価手続において評価され、関連する内部委員会からの承認
を必要とする。全てのプロジェクトは、管理委員会からの承認を得るために同委員会へ提出される。
管理委員会は、当行の財務及びリスク方針を通じて、財務活動の全体的な枠組みを設定する。この枠組
み内で、財務取引は、CRUにより評価され、承認のため信用リスク委員会に提出される。
最後に、大口エクスポージャー及び集中に関する制限も決定され、信用リスク委員会に報告される。
73/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－信用リスク・エクスポージャーの概要
以下の表は、2019年12月31日現在及び2018年12月31日現在における、当行の貸付及び社会開発局(L&D)
(すなわち、貸付及び融資約定)並びに財務総局(すなわち、預金、有価証券及びデリバティブ)の両方に対
する信用リスク・エクスポージャーを示している。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
貸 付 2,967 10,381 2,079 15,427 2,612 9,686 2,327 14,625
融資約定 1,796 3,736 546 6,079 1,392 4,012 588 5,992
預 金 904 1,945 2,849 672 1,159 1,831
有価証券 3,979 1,877 5,856 4,422 1,597 6,019
スワップ-アドオン 324 74 398 212 113 325
外国為替 67 67 45 45
スワップ担保-
正味現在価値を
カバーしない 2 1 3 8 2 10
合 計 10,038 18,016 2,627 30,680 9,362 16,570 2,915 28,847
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 貸付及び 融資約定は、CRM後に報告される。
・ 貸付、預金及び有価証券は、額面価格で、未収利息を除き、報告される。
貸付及び社会開発局の活動
－貸付事業
貸付事業における信用リスクは、主に銀行借入人又は取引の相手方による契約上の義務の不履行又は格
付の引下げから生じる。
－貸付ポートフォリオ
2019年12月31日現在、貸付残高は2018年度末と比較して5.5％増加し(802百万ユーロのプラス)、15.4十
億ユーロとなった。2019年度において、2018年度の場合と同じく、不払いは記録されていない。
以下の表は、貸付ポートフォリオの取引相手方の格付及び属性別のリスク特性である。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
ソブリン、国有
金融機関及びIFIs 671 5,109 1,931 7,710 759 4,624 2,164 7,547
準ソブリンの団体
及び金融機関 1,918 2,160 6 4,085 1,618 1,967 10 3,596
その他金融機関 298 3,102 22 3,422 175 3,094 21 3,290
非金融機関 80 10 120 210 60 132 192
合 計 2,967 10,381 2,079 15,427 2,612 9,686 2,327 14,625
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後に報告された 貸付
貸付ポートフォリオの大部分について、信用補完(担保及び保証)により、信用リスクの質が高まってい
る。2019年度末現在、当行は、貸付ポートフォリオに関して、6.6十億ユーロの保証及び0.4十億ユーロの
担保を保有している。
貸付残高のリスクの分析結果に対する信用補完の影響は以下に示される。
74/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
補完前 補完後 補完前 補完後
金額 ％ 金額 ％ 金額 ％ 金額 ％
AAA/AA 2,321 15％ 2,967 19％ 1,911 13％ 2,612 18％
A/BBB 8,766 57％ 10,381 67％ 8,273 57％ 9,686 66％
BIG 4,341 28％ 2,079 13％ 4,441 30％ 2,327 16％
合 計 15,427 100％ 15,427 100％ 14,625 100％ 14,625 100％
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 貸付
2019年12月31日現在、 投資適格 に格付されたCRM後の貸付残高は、貸付ポートフォリオ合計の86.5％で
あった(2018年度末は84.1％)。国際格付機関による格付を付与されていない取引相手方に対する貸付残高
は、ポートフォリオ合計に対してCRM前は4.9十億ユーロ、すなわち31.8％、CRM後は1.3十億ユーロ、すな
わち8.3％であり、内部格付は、CRM前は1.5から9.5、CRM後は4.0から10の範囲に及ぶ。外部格付を付与さ
れていない取引相手方に対する貸付残高は、CRM前は64.6％が(内部格付により)投資適格に格付され、CRM
後は97.2％が(内部格付により)投資適格に格付された。
以下の表は、残存期間別の貸付残高の内訳を示している。
(単位：百万ユーロ)
満期
2019年 ％ 2018年 ％
１年以下 2,311 15％ 2,119 14％
１年超５年以下 7,257 47％ 5,554 38％
５年超10年以下 3,745 24％ 3,989 27％
10年超20年以下 1,992 13％ 2,783 19％
20年超 121 1％ 180 1％
合 計 15,427 100％ 14,625 100％
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 貸付
以下の表は、格付別及び国別の貸付残高(CRM後)の内訳を示している(ソブリン格付(のみ)ではなく、取引
相手方の格付を反映している。)。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA/AA A/BBB BIG 合 計 AAA/AA A/BBB BIG 合 計
対象国
ポーランド 1,618 1,618 1,690 1,690
トルコ 1,404 1,404 1,415 1,415
スロバキア共和国 637 637 450 450
ハンガリー 548 548 595 595
ルーマニア 536 536 598 598
キプロス 443 443 484 484
クロアチア 335 335 336 336
チェコ共和国 13 264 276 18 217 235
ブルガリア 207 207 197 197
リトアニア 200 200 202 202
セルビア 196 196 107 107
アルバニア 101 101 99 99
北マケドニア 96 96 89 89
スロベニア 49 18 67 50 21 71
ボスニア・ヘル
ツェゴビナ 65 65 59 59
モンテネグロ 40 40 28 28
モルドバ共和国 27 27 28 28
ラトビア 16 16 15 15
75/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
エストニア 7 7 11 11
ジョージア 1 1
小 計 20 4,852 1,949 6,821 29 4,499 2,182 6,710
非対象国
フランス 374 1,474 32 1,880 361 1,497 34 1,892
スペイン 1,859 6 1,865 1,950 10 1,961
ベルギー 413 637 1,050 279 651 930
ドイツ 836 67 902 803 25 827
オランダ 719 3 722 672 672
イタリア 598 598 435 435
フィンランド 292 207 499 326 87 412
アイルランド 353 353 288 288
スウェーデン 281 281 105 105
ポルトガル 260 260 201 2 203
アイスランド 12 89 100 8 98 106
*
オーストリア
64 64 45 45
デンマーク 20 20 33 33
小 計 2,935 5,529 130 8,594 2,578 5,187 145 7,910
超国家 12 5,529 130 8,594 5 5
合 計 2,967 10,381 2,079 15,427 2,612 9,686 2,327 14,625
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後に報告された 貸付
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
*CEBの非加盟国：CEBの加盟国において実施されているが、オーストリアの取引相手方によって保証されている事業
－事業の残存高/融資約定
事業の残存高には、管理委員会が承認し、かつ未融資の全ての事業が含まれる。融資約定は、融資を要
する事業で、そのための枠組融資契約が締結されている。事業の残存高は、2019年12月31日現在8.5十億
ユーロ(2018年12月31日は7.9十億ユーロ)となり、85.9％(2018年12月31日は87.7％)は、 投資適格 に格付さ
れた。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
事業の残存高 2,187 5,133 1,201 8,521 1,796 5,128 967 7,891
融資約定 1,796 3,736 546 6,079 1,392 4,012 588 5,992
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 将来のCRMを考慮して報告された融資約定
融資約定は、2019年12月31日現在6.1十億ユーロ(2018年12月31日は6.0十億ユーロ)となった。2019年12
月31日現在、融資約定のうち91.0％が 投資適格 に格付された(2018年12月31日は90.2％)。
以下の表は、CEBの加盟国内の取引相手方ごとの、信用格付別のCRM後の融資約定の内訳である(ソブリン
格付(のみ)ではなく、取引相手方の格付を反映している。)。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
対象国
ポーランド 570 570 678 678
ルーマニア 250 250 278 278
チェコ共和国 150 150 75 75
スロバキア
共和国 13 13 187 187
セルビア 163 163 62 62
トルコ 165 165
76/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ブルガリア 100 100 150 150
ハンガリー 67 67 124 124
キプロス 141 141 119 119
クロアチア 259 259 57 57
リトアニア 144 144 77 77
スロベニア 75 75 25 25
北マケドニア 57 57 69 69
ボスニア・ヘル
ツェゴビナ 45 45 53 53
モルドバ共和国 59 59 51 51
ラトビア 23 23 35 35
モンテネグロ 45 45 38 38
マルタ
ジョージア 13 13 14 14
アルバニア 7 7 21 21
小 計 1,793 389 2,182 1,747 529 2,276
非対象国
ドイツ 814 153 967 550 3 553
フランス 269 193 58 519 290 245 59 595
スペイン 524 524 819 819
イタリア 675 675 535 535
ポルトガル 154 100 254 211 211
ベルギー 150 75 225 100 100
スウェーデン 337 337 312 312
オランダ 180 180 207 207
アイルランド 85 85 205 205
フィンランド 40 55 95 30 80 110
オーストリア 30 30 63 63
アイスランド 5 5
小 計 1,790 1,943 158 3,891 1,389 2,265 59 3,714
超国家 7 7 3 3
合 計 1,796 3,736 546 6,079 1,392 4,012 588 5,992
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 将来のCRMを考慮して報告された融資約定
財務総局の活動
－資金運用事業
資金運用事業に係る信用リスクは、主に、預金、有価証券への投資及びヘッジ目的でのデリバティブ取
引の開始により生じる。
以下の表は、融資事業に対するエクスポージャーの取引別の内訳である。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
預 金 269 634 1,942 3 2,849 242 430 1,113 46 1,831
有価証券 928 3,052 1,277 600 5,856 1,063 3,359 1,397 200 6,019
スワップ-アドオン 324 71 4 398 212 109 4 325
外国為替 67 67 12 28 5 45
スワップ-
正味現在価値を
カバーしない 2 1 3 8 2 10
合 計 1,197 4,079 3,290 607 9,174 1,326 4,029 2,624 250 8,230
77/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－預金
財務・金融ポートフォリオは、「ノストロ」勘定、１年以下の銀行預金、デリバティブの担保として受
領した現金及び(リバース)買戻条件付売却(レポ)取引等の短期のものから構成される。レポ取引は、全て
の要求通貨の日々のキャッシュ・フロー管理を目的としている。適格な取引相手方は、３ヶ月以下の投資
については最低限 6.5(BBB+) 、また３ヶ月超１年以下の投資については 最低限 7.0(A-) の内部格付を有して
いなければならない。
以下の表は、預金の種類別及び信用格付別の内訳である。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
ノストロ 269 162 253 3 687 242 110 118 2 473
金融市場 473 1,689 2,162 320 995 43 1,358
合 計 269 635 1,942 3 2,849 242 430 1,113 46 1,831
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 預金
以下の表は、金融市場商品の満期別及び信用格付別の内訳である。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
１ヶ月以下 234 1,051 1,285 170 510 2 683
１ヶ月超３ヶ月以下 239 339 578 50 179 41 270
３ヶ月超６ヶ月以下 50 305 355
１年以下 299 299 50 50
合 計 473 1,689 2,162 320 995 43 1,358
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 預金
－有価証券ポートフォリオ
当行は、３つの有価証券ポートフォリオとして、 短期流動性ポートフォリオ (最長満期１年の短期有価証
券)、 中期流動性ポートフォリオ (１年超最長15年の満期)及び 長期ポートフォリオ (１年超最長30年の満期)
を管理している。適格な取引相手方は、最長満期３ヶ月のものについては、ソブリンは最低6.0(BBB)及び
金融機関は最低6.5(BBB+)の内部格付、満期が３ヶ月超２年以下の投資(ソブリン、準ソブリン、機関、超
国家及び金融機関により発行された債券)については最低7.0(A-)の格付並びに２年超の投資については、
最低8.0(A+)の格付を有していなければならない。
以下の表は、有価証券ポートフォリオをポートフォリオ別、満期別及び格付別に示している。
(単位：百万ユーロ)
(単位：百万ユーロ)
2019年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
長期ポートフォリオ 644 1,149 40 50 1,883 １年以下 35 640 1,197 550 2,422
１年超
中期ポートフォリオ 284 1,635 88 2,007 173 167 40 50 429
２年以下
２年超
短期ポートフォリオ 267 1,149 550 1,966 195 775 40 1,010
５年以下
５年超 525 1,469 1,994
合 計 928 3,052 1,277 600 5,856 合 計 928 3,052 1,277 600 5,856
78/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で報告され、未収利息を除く、 有価証券
以下の表は、有価証券ポートフォリオの(取引相手方の)国別及び信用格付別の内訳である。
(単位：百万ユーロ)
2019年 2018年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
加盟国
フランス 1,635 391 2,026 1,752 450 2,203
オランダ 199 159 4 362 234 80 187 501
ドイツ 154 295 25 473 154 295 5 453
ベルギー 71 310 381 48 203 251
スペイン 188 188 85 85
イタリア 600 600 200 200
フィンランド 116 116 126 126
ノルウェー 10 10 67 67
チェコ共和国 46 46 46 46
ルクセンブルク 42 42 42 42
スイス 105 105 280 68 348
スウェーデン 8 8 157 157
小 計 395 2,445 918 600 4,357 497 2,782 998 200 4,477
超国家 533 119 652 566 179 746
小 計 533 119 652 566 179 746
ヨーロッパ
英国 225 225 329 329
オーストリア 89 89 88 88
小 計 89 225 314 88 329 417
その他
オーストラリア 221 221 180 180
カナダ 123 40 163 92 92
米国 23 23
日本 94 94 48 48
ニュージーランド 52 52 38 38
韓国 4 4
小 計 399 134 533 309 71 380
合 計 928 3,052 1,277 600 5,856 1,063 3,359 1,397 200 6,019
・ バーゼル委員会が推奨する格付(２番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で報告され、未収利息を除く、 有価証券
－デリバティブ
CEBは、その貸付、投資及び資金調達取引に関する市場リスクをヘッジするために、金利スワップ(IRS)
及び通貨金利スワップ(CIRS)を使用する。
デリバティブ取引には、信用リスク委員会による発行体である取引相手方の信用度の事前承認並びに取
引相手方との間でのISDAマスターアグリーメント及びクレジット・サポート・アネックス(CSA)担保契約の
締結が必要とされる。スワップ取引の取引相手方は、新規スワップ取引の開始日において最低6.5(BBB+)の
格付を必要とする。現金又は負債性証券は、適格な担保となる。適格負債証券の担保として受領されるた
めには、当該債券の格付は最低7.0(A-)でなければならない。スワップ取引は全て 正味現在価値 で評価され
ており、取引相手方ごとのポジションの監視が毎日行われているため、毎日から月に３回までのCSAのマー
ジン・コール・オプションに従って、追加担保を要求することができる。CEBは、そのスワップ関連の枠組
みにおいて、関係する全てのデリバティブの取引相手方とCSA担保契約を締結した。
市況に適応するため及び最善の資金調達コストを確保するため、当行は既に９つの取引相手方と完全な
双方的CSAを締結しており、それらはデリバティブ・ポートフォリオの想定元本の89.1％を占める。これ
79/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
は、正味現在価値(NPV)がこれら取引相手方に有利である場合、当行は担保を差し入れる必要があり、それ
ゆえに潜在的な資金需要を増加させることを暗示する。
2019年12月31日現在、デリバティブの信用リスク・エクスポージャーには、398百万ユーロ(2018年度は
325百万ユーロ)のスワップ(アドオン)及び2.7百万ユーロ(2018年度は10百万ユーロ)の信用補完を受けたカ
バーされていないNPVが含まれている。2019年度末、当行は、担保として現金(90.4％)及び国債(9.6％)の
630.7百万ユーロを受領した。
以下の表は、スワップの想定元本の種類別及び満期別の内訳である。
(単位：百万ユーロ)
2019 年 2018 年
１年以上 ５年以上 １年以上 ５年以上
１年未満 10年以上 合計 １年未満 10年以上 合計
５年未満 10年未満 ５年未満 10年未満
合計(a) 3,430 15,396 7,646 3,393 29,866 3,525 13,823 7,437 2,822 27,607
通貨スワップ 2,032 6,655 537 289 9,513 3,108 5,894 616 210 9,828
金利スワップ 1,398 8,741 7,109 3,104 20,352 417 7,929 6,821 2,612 17,779
このうち担保付(b) 3,430 15,396 7,646 3,393 29,866 3,525 13,823 7,437 2,822 27,607
(b)/(a) 100％ 100％ 100％ 100％ 100％ 100％ 100％ 100％ 100％ 100％
－集約－大口エクスポージャー
集約リスクは、特定の国若しくは債務者又は特定の種類の商品若しくは個別の取引に対する配分が、
ポートフォリオに占める割合に対して高すぎることから生じる。大口エクスポージャーとは、単一の取引
相手方又は関連する取引相手方のグループに対する全体的なエクスポージャー(貸付、有価証券、預金及び
デリバティブ)で、健全性株主資本(払込済資本金、準備金及び純利益)の10％を超過しているものである。
2019年12月31日現在の健全性株主資本は、合計3.2十億ユーロである。
CEBは、バーゼル委員会の勧告及び欧州連合指令の基準に沿って、単一の取引相手方又は関連する取引相
手方のグループに対するエクスポージャーが健全性株主資本の25％の上限を超えることがなく、また大口
エクスポージャーの累計が健全性株主資本の800％を超えることがないように努めている。ソブリン・エク
スポージャーは、大口エクスポージャーの計算からは除外され、参照目的でのみ表示される。
2019年12月31日現在、エクスポージャーが健全性株主資本の10％、すなわち317百万ユーロを超える12の
取引相手方又は取引相手方のグループが存在しているため、これらは大口エクスポージャーであるとみな
されている(2018年度は11の取引相手方)。しかしながら、2018年度と同様、いずれの取引相手方又は関連
する取引相手方のグループもCEBの健全性株主資本の25％の上限を超えていない。2019年12月31日現在、こ
れらの取引相手方に対する貸付残高合計は5.4十億ユーロに達しており、CEBの健全性株主資本の169％に相
当するが、上限である800％を大幅に下回っている(2018年度は4.7十億ユーロ、すなわち152％)。
エクスポージャーをリスクで加重した場合、10％の健全性株主資本の上限を超過した取引相手方はな
かった(2018年度は１つの取引相手方で325百万ユーロ)。
名目エクスポージャーの代わりに潜在的なリスクの質を考慮したとしても、大口エクスポージャーに該
当する取引相手方はない(2018年度末は１つの取引相手方のみ)。また、その場合、25％の上限を超える取
引相手方もない。これは下表の「リスク加重資産」の欄に表示されている。
(単位：百万ユーロ)
2019 年
株主資本の
エクスポー
リスク加重
取引相手方
エクスポー
貸付(a) 財務活動(b) ジャー合計
資産
ジャー ％
(a)+(b)
ソシエテ・ジェネラル (SOCIETE GENERALE)
1 575 34 610 305 19％
2 BPCE 270 298 568 284 18％
80/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
クレディ・アグリコルSA (CREDIT AGRICOLE S.A.)
3 531 12 543 271 17％
4 ワロン地方 528 528 106 17％
バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア・SA(BBVA MADRID)
5 500 500 254 16％
6 ブランデンブルグ州 425 425 13％
サンタンデール銀行SA(BANCO SANTANDER SA)
7 321 90 411 210 13％
オランダ自治体金融公庫(BNG BANK N.V)
8 290 83 373 12％
ロイズ・バンキング・グループPLC (LLOYDS BANKING GROUP PLC)
9 370 370 185 12％
バンク・ぺカオ・SA (BANK PEKAO SA)
10 360 360 180 11％
預託貸付公庫(CASSA DEPOSITI EPRESTITI SOCIETA)
11 339 339 170 11％
コーペラティブ・ラボバンクUA (COOPERATIEVE RABOBANK UA)
12 269 67 336 67 11％
合 計 3,907 1,454 5,361 2,031
(単位：百万ユーロ)
2018 年
株主資本の
エクスポー
リスク加重
取引相手方 エクスポー
貸付(a) 財務活動(b) ジャー合計
資産
ジャー ％
(a)+(b)
ソシエテ・ジェネラル (SOCIETE GENERALE)
1 596 55 651 325 21％
クレディ・アグリコルSA (CREDIT AGRICOLE S.A.)
2 525 17 541 271 18％
3 ワロン地方 520 520 104 17％
4 ブランデンブルグ州 425 425 14％
バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア・SA(BBVA MADRID)
5 389 389 198 13％
オランダ自治体金融公庫(BNG BANK N.V)
6 300 93 393 13％
7 BPCE 296 83 379 190 12％
BNPパリバ (BNP PARIBAS)
8 45 317 362 181 12％
欧州投資銀行 (EUROPEAN INVESTMENT BANK)
9 344 344 11％
バンク・ぺカオ・SA (BANK PEKAO SA)
10 325 325 163 11％
ロイズ・バンキング・グループPLC (LLOYDS BANKING GROUP PLC)
11 325 325 163 11％
合 計 3,033 1,621 4,654 1,593
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後(担保を付さない。)に報告された貸付
・ 「財務活動」には、有価証券、金融市場、ノストロ、スワップNPV及びスワップ(アドオン)が含まれる。
81/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(1)
－CEBの公的部門に対するエクスポージャー
下表は、公的部門の取引相手方に対するエクスポージャーの種類別(貸付金、有価証券)の内訳を示した
ものである。
(単位：百万ユーロ)
2019 年 2018 年
貸付金 有価証券 合計 貸付金 有価証券 合計
EU加盟国
フランス 470 1,603 2,072 482 1,732 2,215
スペイン 1,406 188 1,594 1,503 85 1,588
ドイツ 841 448 1,289 803 448 1,251
イタリア 522 600 1,122 318 200 518
ベルギー 1,002 1,002 843 843
オランダ 450 199 650 537 234 772
スロバキア共和国 567 567 403 403
フィンランド 470 76 545 372 76 448
キプロス 443 443 484 484
アイルランド 353 353 288 288
ポルトガル 260 260 203 203
リトアニア 200 200 202 202
＊
オーストリア
89 89 88 88
スロベニア 49 49 50 50
ルクセンブルク 42 42 42 42
ラトビア 16 16 15 15
エストニア 7 7 11 11
ユーロ圏小計(a) 7,055 3,244 10,299 6,515 2,905 9,420
その他
ポーランド 870 870 894 894
ルーマニア 536 536 598 598
ハンガリー 515 515 595 595
クロアチア 335 335 336 336
スウェーデン 281 8 288 105 8 112
ブルガリア 207 207 197 197
チェコ共和国 23 46 69 30 46 76
デンマーク 20 20 33 33
その他小計(b) 2,786 54 2,840 2,789 53 2,842
EU加盟国合計(a)+(b) 9,841 3,298 13,139 9,304 2,958 12,262
非EU加盟国
トルコ 1,404 1,404 1,415 1,415
セルビア 196 196 107 107
アルバニア 101 101 99 99
北マケドニア 96 96 89 89
ボスニア・ヘルツェゴビナ 65 65 59 59
モンテネグロ 40 40 28 28
モルドバ共和国 27 27 28 28
アイスランド 12 12 8 8
ジョージア 1 1
非EU加盟国小計(c) 1,942 1,942 1,834 1,834
その他諸国
日本 94 94 48 48
ニュージーランド 52 52 38 38
韓国 4 4
その他諸国小計(d) 150 150 85 85
超国家機関 12 652 664 5 746 751
超国家機関小計(e) 12 652 664 5 746 751
合計(a)+(b)+(c)+(d)+(e) 11,795 4,100 15,895 11,143 3,789 14,932
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された貸付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された有価証券
82/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
*CEBの非加盟国：貸付金に係る保証及び担保の受領
注(1) 公的部門には、国家、地域及び地方政府、政府系金融機関並びに特別金融機関が含まれる。
2. 市場リスク及び流動性リスク
－金利リスク
金利リスクとは、金利の不利な変動による当行のエクイティの経済価値(EVE)又は利益の減少として定義
される。金利リスクへのエクスポージャーは、金融商品の契約上の満期又は金利改定日の期間差異によっ
て発生する。
金利リスクへの対応における主な目標は、均衡の取れた持続可能な収益特性を保持し、かつ当行の経済
価値の変動を抑制することである。当行は、自己資金の投資の目標デュレーションを設定し、半年ごとに
見直している。
当行の貸借対照表はユーロで管理されており、主に２つの資金源に分けられる。
－エクイティを原資とする調達活動：固定金利でユーロ建の商品(長期ポートフォリオに組み込まれた証
券かローンかを問わない。)への投資により行われる。自己資金の投資の現在の目標デュレーション
は、７年である。
－借入を原資とする調達活動：金利スワップ(IRS)及び通貨スワップ(CIRS)を利用してヘッジした結果変
動金利の金融商品に転換される資産及び負債を用いて行われる。但し、当行は、調達費用を最適化す
るために、資産及び負債を固定金利で保持するよう決定することがある。
当行は、バーゼル委員会の勧告に従い、当行の利益及びEVEの両方に対する金利変動の影響を測定するた
めの指標を定め、限度を設定している。当行が限度を定めているのは、以下のとおり自己資金のデュレー
ション、自己資金を含む経済価値感応度(EVS)及び収益感応度(EaS)についてである。
－自己資金のデュレーションは、正でなければならず、11年を限度としている。2019年度末現在、自己
資金のデュレーションは5.7年であった。
(1)
－自己資金を含む経済価値感応度(EVS)指標 は、金利変動によるEVEの変動を測定する。したがって、
当該 指標は、自己資金のデュレーションにより定められる想定金利リスクと、貸借対照表における実
際の金利リスクとの差を表す。EVSの限度は、+/-10ベーシス・ポイント(bps)の平行移動によるショッ
(2)
クを想定した場合の自己資金 の0.5％未満、すなわち現在(+/-)17.1百万ユーロを絶対値として定め
られている。2019年度末現在、EVSは-0.3百万ユーロであった。
－収益感応度指標は、金利変動による将来の１年間の収益の変動を査定する。 当該 指標は、動的な方法
で、すなわち将来の活動を組み入れて策定される。金利変動は、平行移動による金利ショックとして
定義される。収益感応度は、+/-10bpsの金利変動を想定した場合の自己資金の0.08％を限度としてい
る。2019年度末現在、収益感応度は0.7百万ユーロであった。
またCEBは、ギャップ分析(金利ギャップ及び指数ギャップ)並びに財務省証券ポートフォリオの時価評価
感応度を用いている。
注(1) 構造的要素のみを含む。
注(2) 払込済資本金、準備金、純利益、社会配当金勘定及び退職給付引当金
金利ギャップ
下表は、金利ギャップ、すなわち当行の金利リスクのエクスポージャーの静的観点を示している。資産
及び負債は、満期までの期間又は金利が改定される時期、すなわち金利の更新時期で分類されている。各
時期分類の資産及び負債の差により、金利変動に対する感応度が測定される。
83/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－エクイティを原資とする調達活動：ユーロ建で固定金利の有価証券に投資する長期ポートフォリオ及
び固定金利のローンにより生じる金利リスク。これらの資産は、主に１年後の満期時に金利改定され
る。
－借入を原資とする調達活動：資産及び負債の金利感応度は、ミクロヘッジ戦略を通じて調整される。
これらの金融商品は、主に、短期(１年未満)で金利改定される。金利リスクは、資産及び負債の契約
上の満期又は金利改定日の期間差異によって発生する。
金利リスクの償却の特性
(単位：千ユーロ)
１年超
１ヶ月超 ３ヶ月超
2019年12月31日現在 １ヶ月以下 ３ヶ月以下 １年以下 ５年以下 ５年超 無期限 合計
資 産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
株主資本を通じて公正価値で測
＊
定する金融資産
1,218,391 1,984,482 813,851 101,118 4,117,841
償却原価での金融資産
＊
貸付金
2,986,432 9,775,399 1,409,336 262,767 992,066 381,267 15,807,267
前渡金 1,293,967 578,509 299,000 (2,293) 2,169,183
負債証券 212,623 110,000 577,800 1,125,343 (48,228) 1,977,538
差入保証金 176,297 176,297
その他の資産 1,215,804 1,215,804
資産小計 6,565,572 12,338,390 2,632,187 840,567 2,117,409 1,647,666 26,141,791
負 債
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客への負債額 (53,333) (100,606) (153,940)
＊
発行済負債証券
(6,822,571) (12,139,863) (356,430) (1,000,000) (909,203) (21,228,068)
預かり保証金 (571,444) (571,444)
引当金 (320,501) (320,501)
その他の負債 (779,035) (779,035)
負債小計 (7,447,349) (12,139,863) (356,430) (1,000,000) (2,109,345) (23,052,987)
株主資本 (3,088,804) (3,088,804)
当期合計(純額) (881,777) 198,526 2,275,757 840,567 1,117,409 (3,550,483)
当期累計(純額) (881,777) (683,250) 1,592,507 2,433,074 3,550,483
*ヘッジ後
指数ギャップ
指数ギャップは、期間を基準としたリスク、すなわち、同一の参照カーブを有するが期間の異なる金融
商品の金利の相対的な変動に対するエクスポージャーを測定する。2019年度末現在、CEBが有する期間を基
準としたリスクは、主に、Euribor 3Mレート、Euribor 6Mレート及びユーロEoniaレートにそれぞれ連動す
る金融商品によるものである。
金利変動による財務省証券ポートフォリオの感応度
CEB は、金利変動による財務省証券ポートフォリオの時価の変動を測定している。2019年度末現在、以下
のとおりである。
－長期ポートフォリオ：当該ポートフォリオの時価は、+10bpsの金利の平行移動ごとに14.7百万ユーロ
減少する。+200bpsの平行移動では267百万ユーロ減少する。
－短期及び中期の流動性ポートフォリオ：これらのポートフォリオは、ヘッジ後の公正価値での投資か
又は残存期間が１年以下の投資により構成されるため、時価は金利変動にそれほど敏感ではない。
信用スプレッドの変動による財務省証券ポートフォリオの感応度
短期及び中期の流動性ポートフォリオの時価は、+10bpsの信用スプレッドの平行移動ごとに10.8百万
ユーロ減少し、+200bpsの移動では202百万ユーロ減少する。これらのポートフォリオは株主資本を通じて
公正価値で計上されるため、かかる時価の変動は、当行の株主資本に影響を与えうる。
84/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
－外国為替取引リスク
外国為替取引リスクとは、外国為替相場の不利な変動に起因する、「オンバランスシート」及び「オフ
バランスシート」のポジションに係る潜在的損失である。
CEBは、外国為替ポジションを保有せず、資産及び負債を体系的にユーロにヘッジする戦略をとってい
る。ユーロ以外の通貨に対する利益を保有することで生じる残存リスクは、月次ベースで監視及びヘッジ
される。通貨ごとの未決済のポジション(純額)は、各月末時点で１百万ユーロ相当額を限度としている。
2019年度末現在、かかるポジションはすべての外国通貨で当該限度を下回った。
(単位：千ユーロ)
デリバティブ ポジション(純額) デリバティブ ポジション(純額)
通貨別内訳 資 産 負 債 資 産 負 債
商品 2019 年 商品 2018 年
スイスフラン 29,523 371,058 342,485 950 44,868 357,408 313,320 780
英ポンド 113,667 2,054,799 1,941,997 865 99,768 1,950,387 1,851,543 924
米ドル 313,661 5,433,267 5,120,375 769 149,947 5,707,169 5,557,930 708
日本円 297,163 2 (296,602) 559 269,261 (2) (268,621) 642
その他の通貨 1,400,041 703,756 (695,525) 760 1,181,301 507,528 (673,051) 722
合 計 2,154,055 8,562,882 6,412,730 3,903 1,745,145 8,522,490 6,781,121 3,776
上記の表は、ヘッジ考慮後の残存外国為替取引へのエクスポージャーが著しくないことを示している。
－流動性リスク
流動性リスクは、支払債務の期限到来時に確実に全額を支払うことができないことから生じる損失を被
るリスクである。CEBは商業銀行とは異なり顧客預金業務を行っておらず、また中央銀行を通じてリファイ
ナンスを利用することができないため、このリスクは重要である可能性がある。
したがって、当行における流動性リスク管理は、特に、不利な市況により市場における長期資金の利用
が制約される場合に、財務面での柔軟性保護に関して非常に重要な役割を果たす。当行は、異なる期間水
準における流動性指標を設定することにより、また定期的活動を継続しつつ、極端な市場環境において市
場を利用することができない期間が生じた場合でも持ちこたえるための十分な流動資産を保有することに
より、健全性に関する慎重なアプローチを維持している。
当行は、その市場価値及び流動性が厳しい市況において維持される高格付けを取得している流動性の高
い有価証券から構成される流動性準備金を保有していることの確認を行う。これらの有価証券の大半は、
流動性カバレッジ比率(LCR)の枠組みに基づく適格流動性資産(HQLA)として適格である。2019年度末現在、
ヘアカット後のHQLAの額は3.6十億ユーロだった。
当行の資金調達戦略は、資産及び負債の満期特性の著しいギャップを回避し、債券発行プログラム、資
金調達市場及び投資家基盤を多様化することである。この戦略は、管理委員会が承認した年間借入認可内
で進められる。
流動性リスク指標及び制限
CEBの流動性リスクに対する耐性は、包括的なリスク指標に置き換えられ、適切な制限によって支えられ
ている。その主要な指標は流動性ギャップ(流動性曲線)及び流動性比率である。これらの指標は、貸付金
返済の中断、新規資金調達市場を利用できないこと、デリバティブ・ポートフォリオの悪評価による付随
的担保要件及び財務省証券ポートフォリオの価値下落を含む、厳格なストレス・シナリオに基づき計算さ
れる。
85/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
・ 自給期間(SSP) は、短期流動性リスクを抑制することについての重要な測定基準である。これは、当
行が、市場にアクセスせず、また取引可能な流動資産の売却/回収を行うことなく、継続事業から生
じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる期間を評価するもので
ある。最低自給期間は６ヶ月である。2019年末現在、これは９ヶ月となった。
・ 存続水準(SH) は、当行が、市場にはアクセスしないものの、市場で取引可能な流動資産の売却/回収
を含む継続事業から生じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる
期間を評価するものである。最低存続期間は、18ヶ月から24ヶ月の便宜期間を有する12ヶ月であ
る。2019年末現在、これは19ヶ月となった。
流動性ギャップ指標と同様に、 短期流動比率(STLR) は、流動性の源泉と、正確な期間水準すなわち、
１ヶ月、３ヶ月、６ヶ月及び１年での使途とを比較した比率である。最後に、CEBは、 流動性カバレッジ比
率(LCR) 及び 安定調達比率(NSFR) の要件を監視する。
2019 年、デリバティブ契約に関する双方向証拠金要件への移行という状況において、CEBは、デリバティ
ブ・ポートフォリオの悪評価による付随的担保要件を評価するための新たなストレス・テスト・モデルを
開発した。
金融資産及び金融負債の満期特性
以下の表は、金融資産及び金融負債の満期特性を示している。金融商品(貸付金、借入金及びデリバティ
ブ)の契約上の最終満期までの元利金のキャッシュ・フロー(割引前)が、示されている。キャッシュ・フ
ローは、金利スワップの純額及びその他のスワップの総額に基づき示されている。利息キャッシュ・フ
ローは、クロージング日現在の金利カーブに基づき予測される。
(単位：千ユーロ)
流動資産/負債残高 固定資産/負債残高
１年超
１ヶ月超 ３ヶ月超
2019年12月31日現在 １ヶ月以下 ３ヶ月以下 １年以下 ５年以下 ５年超 合計
資 産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
株主資本を通じて公正価値で測
506,330 780,070 984,798 948,070 918,303 4,137,571
定する金融資産
償却原価での金融資産
(186,414) 202,805 2,089,070 7,753,400 6,514,507 16,373,368
貸付金
1,292,318 578,195 298,279 2,168,792
前渡金
75,620 4,472 168,516 788,783 1,356,157 2,393,549
負債証券
176,297 176,297
差入保証金
2,542,012 1,565,542 3,540,664 9,490,253 8,788,967 25,927,438
資産小計
負 債
償却原価での金融負債
963 8,659 15,610 89,116 37,724 152,072
信用機関及び顧客への負債額
965,659 954,600 1,670,996 12,586,108 5,230,221 21,407,584
発行済負債証券
571,444 571,444
預かり保証金
48,544 48,544
社会配当金勘定
1,586,610 963,259 1,686,606
負債小計 12,675,224 5,267,945 22,179,644
オフバランスシート取引
融資約定 (409,500) (234,980) (1,793,050) (3,361,419) (644,327) (6,443,277)
定期性金融商品
1,143,154 1,322,464 899,811
受取り 7,661,057 871,306 11,897,793
支払い (1,179,709) (1,279,660) (754,882) (7,162,937) (950,752) (11,327,940)
オフバランスシート取引
(446,055) (192,176) (1,648,121)
小計 (2,863,299) (723,773) (5,873,423)
509,347 410,108 205,938
合計 (6,048,271) 2,797,250 (2,125,629)
(単位：千ユーロ)
流動資産/負債残高 固定資産/負債残高
１年超
１ヶ月超 ３ヶ月超
2019年１月１日現在 １ヶ月以下 ３ヶ月以下 １年以下 ５年以下 ５年超 合計
資 産
450,181 450,181
現金及び中央銀行における残高
株主資本を通じて公正価値で測
179,080 1,058,316 1,005,353 904,985 1,021,696 4,169,429
定する金融資産
償却原価での金融資産
59,751 171,919 1,874,552 7,742,822 5,671,462 15,520,506
貸付金
86/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
705,302 269,689 404,217 1,379,207
前渡金
5,620 4,464 213,615 871,653 1,521,927 2,617,280
負債証券
367,359 367,359
差入保証金
1,767,292 1,504,388 3,497,737 9,519,460 8,215,084 24,503,962
資産小計
負 債
償却原価での金融負債
117,599 6,667 6,667 53,333 184,266
信用機関及び顧客への負債額
15,688 1,105,365 2,408,480 10,920,677 19,923,470
発行済負債証券 5,473,259
387,572 387,572
預かり保証金
52,178 52,178
社会配当金勘定
573,037 1,112,031 2,415,147
負債小計 10,974,011 5,473,259 20,547,486
オフバランスシート取引
(485,000) (653,000)
融資約定 (1,452,500) (2,899,980) (789,098) (6,279,578)
定期性金融商品
238,182 1,039,826 2,645,786
受取り 6,690,760 759,138 11,373,692
(236,279) (1,060,660) (2,558,526)
支払い (6,484,936) (909,405) (11,249,806)
オフバランスシート取引
(483,097) (673,834) (1,365,240) (2,694,156) (939,365) (6,155,692)
小計
711,158 (281,478) (282,650) (4,148,706) 1,802,460 (2,199,216)
合計
3. オペレーショナルリスク
CEBは、オペレーショナルリスクの特定、評価、管理及び報告に係る手法を成文化するオペレーショナル
リスク管理方針を実施した。この書類は、オペレーショナルリスクがCEB全体において有効かつ整合的に管
理されることを確保する健全な実務について定めている。
オペレーショナルリスクとは、不適切又は機能不全の内部プロセス、人員及びシステム又は外部的事象
を原因とする潜在的な損失リスクと定義され、これには法的リスクが含まれる。さらに、CEBは、その活動
に関連した風評リスクを考慮する。
バーゼル委員会の勧告及び最良慣行の適用を慎重に選択することにより、当行は引き続き当行のオペ
レーショナルリスクの評価及び適切な緩和策の実施に真摯に取り組んでいる。
CEBのオペレーショナルリスクの枠組みは、オペレーショナルリスク及び組織委員会(CORO)の半年に１度
の会合において見直し及び承認が行われる。COROは総裁が議長を務め、経営幹部により構成されており、
CEBが運用する受容可能なオペレーショナルリスク水準の設定を行い、局長らがそれぞれの局内においてか
かるリスクを監視及び管理するために必要な対策を講じることを保証する。オペレーショナルリスクの資
本費用は、四半期ごとに算出され、リスク管理報告書において開示される。
オペレーショナルリスク部門は、様々な業務分野と緊密に協力し、当行のオペレーショナルリスクにつ
いて日々の管理を調整する責務を負う。枠組み全体は、集中的かつ電子的に管理される。すなわち諸リス
ク及びかかるリスクの評価は、所定の方法及びリスク軽減手段及び実行計画に従う。また、管理の枠組み
の有効性を保証するため、並びにリスクのマッピング及び評価を完了させるため、オペレーショナルリス
クに係る事故(「危うく事故になりかけた」事例を含む。)の事例集も組み込まれている。
オペレーショナルリスク部門は、恒久的な内部統制の枠組みがその設計及び有効性の点で常に適切であ
ることを保証している。各局は、主要なリスクを対象とした重要な統制に関するテストの実施後の各々の
恒久的な統制環境の効率性について、毎年報告を行っている。当該結果はCOROに報告されている。
オペレーショナルリスク部門は、包括的手続及び管理マップを維持するため、業務部門と共同し、手続
のモデルを制定する責任も負う。専用のイントラネット・サイトは、全てのスタッフに手続へのアクセス
を提供する。
事業活動の混乱に対する防衛のため、CEBは事業継続計画(BCP)を整備した。かかる計画は、危機管理計
画、データセンター、緊急対策室、ユーザーバックアップ拠点及び遠隔通信ソリューションを含む基本的
な技術的枠組み並びに事業分野固有の計画から成る。
CEBは、必要自己資本を算出するために、(バーゼルⅡに基づき提案された)基礎的指標手法を採用した。
当行は過去３年間の平均銀行業務純益に基づいてかかる資本費用を算出する。この費用は、健全性資本に
相当する。
87/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
2019年12月31日現在、オペレーショナルリスクの資本費用は2018年12月31日現在の23.2百万ユーロから
ほぼ変わらず、23.4百万ユーロとなった。
4. 健全性に関する枠組み
多国間開発銀行(MDB)として、CEBは、加盟国の規制枠組み、バーゼル委員会の勧告又は欧州連合指令の
対象とはならない。しかしながら、必要な調整を全て行うことによって当行のMDBとしての地位を考慮し、
最良の銀行慣行(BBP)に従うことが当行の方針である。この目的のため、当行は、当行の活動から生じるリ
スクを査定及び監視するために、一連の「健全性比率」を制定した。
かかる比率及び指標は、主に、資本、レバレッジ、流動性、市場における信用リスク、金利リスク及び
外国為替取引リスクの６分野で構成される。
資本
(1)
－自己資本比率(CAR)は、標準化されたアプローチに基づき、当行の健全性資本(EP)が総リスク加重資産
(RWA) に占める割合を測定する。当行は、信用リスク、市場リスク及びオペレーショナルリスクから生じる
事業における想定外の損失を吸収するための十分な資本を維持することを目的として、かかる比率を定義
し、また監視している。
CAR は、貸付活動及び財務活動におけるRWAが減少したこと並びに引受済資本金が比例的に増加したこと
により、2018年末の30.4％からわずかに減少して、2019年12月末現在30.3％となった。
かかる比率に対する実際の下限は10.5％に設定されているが、当行は、第１級の財務ファンダメンタル
ズを保証する20％超の比率の維持を目指している。さらに、当行は、十分なバッファーを目標とし、25％
超の水準の余裕幅を検討している。最後に、94.5％の資本要件の大部分を占める信用リスクは、その内訳
が貸付ポートフォリオにおける信用リスク(80.9％)及び融資事業における信用リスク(13.6％)であった。
かかる比率は以下のとおり算出される。
健全性資本
自己資本比率＝
リスク加重資産
－健全性資本：払込済資本金、準備金及び純利益
－リスク加重資産： S[債務不履行エクスポージャー×リスク加重後の要因]
(2)
－ギアリング・レシオ(GR)は、自己資金 に対するスワップ後及び保証後の貸付残高の比率であり、当行
の貸付事業に対する(リスク上限に代わる)規模上限となる。かかる比率は、その他の多国間開発銀行の貸
付の規模に対する指標を提供することが意図されている。
スワップ後及び保証後の貸付残高
ギアリング・レシオ＝
自己資金
－自己資金：引受済資本金、準備金及び純利益
その上限は自己資金の2.5倍であるため、当行は20.1十億ユーロまで貸付を行うことが可能であった。
2019年末現在、かかる比率は、2018年末現在の1.85に対して1.92であったが、これは、貸付ポートフォリ
オの増加及び自己資金が少しだけ増加したことに起因する。
注(1) 加重資産は、リスクに応じて加重された銀行の資産又はオフバランスシート・エクスポージャーである。
注(2) CEBの自己資金：引受資本、準備金及び純利益
88/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
レバレッジ
－負債比率(IR)は、(スワップ後の)負債残高総額を健全性資本(Ep)と比較する指標である。負債残高総額
には、有価証券、ユーロ・コマーシャル・ペーパー(ECPs)、銀行貸出及び定期預金口座によって裏付けら
れた負債も含まれるが、有担保のものは除かれる。その上限はEpの10倍(31.7十億ユーロ)に設定されてい
る。2019年末現在、資本より負債が若干高い比率で増加したことにより、かかる比率は6.42(2018年は
6.25)であった。
－財務活動資産比率(TAR)は、(スワップ後の)金融資産総額を健全性資本と比較する指標である。金融資産
総額は、スワップ後の(長期、中期及び短期の)有価証券ポートフォリオ、すなわち銀行預金、レポ及び
「ノストロ勘定」(有担保のものを除く。)の残高で構成される。その上限はCEBの健全性資本の５倍(15.9
十億ユーロ)に設定されている。かかる比率は、2018年12月31日現在の登録水準(2.63)から若干上昇し、
2019年12月31日現在には2.68となった。
流動性
－短期流動性比率は、長期にわたる市場混乱又は不況時において純流動性要求に対処する当行の能力を
(1) (2)
様々な時点において測定するための指標である。現金の源泉 (流動資産)及び使途 (流動性必要額)の間
で生じ得る「流動性ギャップ」の分析は、将来の様々な期間について行われる。すなわち、１ヶ月、３ヶ
月、６ヶ月、12ヶ月及びそれ以降の各期間について、資産クラス、格付及び満期に応じてそれぞれリスク
に関する掛目を適用することにより、厳しい市場環境や不利な経済状況における対応力を計る。流動資産
の最低額は、各期間の純流動性必要額の100％に設定されている。
2019年12月31日現在、短期流動性比率は、１ヶ月については358％(2018年は570％)、３ヶ月については
237％(2018年は227％)、６ヶ月については186％(2018年は169％)及び１年については139％(2018年は
124％)であった。
－自給期間は、当行が、新規の資金調達のために市場にアクセスすることなく、又は資産の売却若しくは
回収を行うことなく、ストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる期間を測定
するための指標である。その下限は６ヶ月超に設定されている。
2019年12月31日現在、かかる指標は、2018年12月31日現在の10ヶ月に対し、９ヶ月であった。
注(1) 現金の源泉：制約の付されていない現金及び短期銀行間預金の引出し、担保が設定されていない良質な流動性有価証
券の返済又は売却並びに貸出金の返済
注(2) 現金の使途：出資金の払戻し、融資約定に係る支払い及びデリバティブの担保として受領した現金(担保金額)の返戻
要求
市場における信用リスク
－最低内部格付は、当行が、発行者、債務者及び取引相手方との取引を締結する購入日における最低格付
(1)
を決定するための指標である。当行の最低内部格付は、短期投資については7.0(A-) 以上、長期投資につ
(2)
いては8.0(A+) 以上である。2019年12月31日現在、2018年12月31日現在の購入日における最低内部格付が
定められた基準値を下回った取引相手方/取引はなく、当行の内部格付は定められた限度内であった。
注(1) 満期までの期間が３ヶ月未満のものの最低内部格付は、ソブリン債については6.0(BBB)、短期債券及び預金について
は6.5(BBB+)となる。
89/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
注(2) 満期までの期間が２年以内のものの最低内部格付は、ソブリン、準ソブリン、機関、超国家機関及び金融機関の発行
した債券については7.0(A-)となる。
金利リスク
(1)
－経済価値感応度は、+/-10ベーシス・ポイントの金利ショックによる、自己資金(市場リスク(MR) )を含
む当行の経済価値の変動を測定するための指標である。その絶対値は、自己資金(MR)の0.5％未満、すなわ
ち17.1百万ユーロ未満と設定されている。2019年12月31日現在、経済価値感応度の金額は、2018年12月31
日現在の絶対値16.6百万ユーロに対する0.8百万ユーロと比較して-0.3百万ユーロであり、定められた限度
内であった。
注(1) 自己資金(MR)：払込済資本金、準備金、純利益、社会配当金勘定及び退職給付金引当金
外国為替取引リスク
(1)
－正味スポット・オープン・ポジション は、オンバランスシート及びオフバランスシートの両方のポジ
ションを含む、外国通貨建ての資産総額から負債総額を控除した額である。その絶対値は、１通貨当り１
百万ユーロ未満と設定されている。2019年12月31日現在、各通貨における正味スポット・オープン・ポジ
ションは2018年12月31日現在の認められた限度を下回っていた。
注(1) 月末時点
次へ
90/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
注D：損益を通じて公正価値で測定する金融商品及びヘッジ・デリバティブ金融商品
IFRS第９号によってそのヘッジ関係が承認されていない当行のヘッジデリバティブは、貸借対照表の
「損益を通じて公正価値で測定する金融商品」の項目に計上される。
IFRS第９号に基づいて公正価値ヘッジ又はキャッシュ・フロー・ヘッジとして認識される当行のヘッジ
デリバティブは、貸借対照表の「ヘッジ・デリバティブ金融商品」の項目に計上される。これらのオペ
レーションは、金融資産及び負債(貸付金、株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産、発行済負債証
券)をヘッジする。
金融商品には、金利スワップ、通貨スワップ及び先物為替スワップが含まれる。
IFRS第13号「公正価値測定」の適用に伴い、CEBは、以下の事項に関連する評価方法を調整した。
－デリバティブ金融資産の公正価値の範囲内での取引相手方の信用リスク(信用評価調整－CVA)
－デリバティブ金融負債の評価額の範囲内でのCEB自体の信用リスク(債務評価調整－DVA)
－発行済負債証券の評価額の範囲内でのCEB自体の信用リスク(自己信用評価修正－OCA)
2019年12月31日現在、CEBは、DVAに係る資産として148千ユーロ(2018年12月31日現在は241千ユーロ)、
及びCVAに係る負債として603千ユーロ(2018年12月31日現在は967千ユーロ)のデリバティブ商品に係る公正
価値の調整を計上した。これらの調整は、損益計算書の取引相手方ごとに計上される。
OCAは、公正価値で測定する区分に指定された発行済負債商品に対し、CEBの不履行リスクを示すために
作成される修正である。CEBが発行した負債証券が償却原価で測定する区分に全て指定されることにより、
OCAはゼロとなる。
以下の表は、これらの金融商品の公正価値を示す。
(単位：千ユーロ)
ポジティブ ネガティブ
2019年12月31日
時価 時価
損益を通じて公正価値で測定する金融商品
金利デリバティブ金融商品 1,738 (61)
外国為替デリバティブ金融商品 311,416 (186,676)
CEB自体の信用リスクの価額調整(債務評価調整－DVA) 148
取引相手方の信用リスクの価額調整(信用評価調整－CVA) (603)
合 計 313,302 (187,340)
ヘッジ・デリバティブ金融商品
金利デリバティブ金融商品 636,950 (494,854)
外国為替デリバティブ金融商品 201,296 (36,606)
合 計 838,246 (531,460)
(単位：千ユーロ)
ポジティブ ネガティブ
2019年１月１日
時価 時価
損益を通じて公正価値で測定する金融商品
金利デリバティブ金融商品 8,634 (146)
外国為替デリバティブ金融商品 247,977 (434,166)
CEB自体の信用リスクの価額調整(債務評価調整－DVA) 241
取引相手方の信用リスクの価額調整(信用評価調整－CVA) (967)
合 計 256,852 (435,279)
ヘッジ・デリバティブ金融商品
金利デリバティブ金融商品 586,052 (354,261)
外国為替デリバティブ金融商品 124,596 (88,570)
合 計 710,648 (442,831)
注E：金融資産及び金融負債
91/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
金融資産及び金融負債は、会計評価基準及び公正価値に従い、以下の表に示されている。
(単位：千ユーロ)
振替可能
非振替可能
損益を通じて
株主資本を
株主資本を
2019年12月31日現在 測定する 償却原価 純簿価 公正価値
通じて測定
通じて測定
公正価値
する公正価値
する公正価値
資 産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861 677,861
損益を通じて公正価値で測定する
313,302 313,302 313,302
金融資産
ヘッジ・デリバティブ金融商品 838,246 838,246 838,246
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産 4,116,697 1,144 4,117,841 4,117,841
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 17,976,450 17,976,450 17,976,450
負債証券 1,977,538 1,977,538 2,380,866
金融資産合計 1,151,548 4,116,697 1,144 20,631,850 25,901,239 26,304,567
負 債
損益を通じて公正価値で測定する
187,340 187,340 187,340
金融負債
ヘッジ・デリバティブ金融商品 531,460 531,460 531,460
償却原価での金融資産
信用機関及び顧客に対する負債額 153,940 153,940 153,940
発行済負債証券 21,228,068 21,228,068 21,295,703
社会配当金勘定 48,544 48,544 48,544
金融負債合計 718,800 21,430,551 22,149,352 22,216,987
92/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(単位：千ユーロ)
振替可能 非振替可能
損益を通じて
株主資本を 株主資本を
2019年１月１日現在 測定する 償却原価 純簿価 公正価値
通じて測定 通じて測定
公正価値
する公正価値 する公正価値
資 産
現金及び中央銀行における残高 450,113 450,113 450,113
損益を通じて公正価値で測定する
256,852 256,852 256,852
金融資産
ヘッジ・デリバティブ金融商品 710,648 710,648 710,648
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産 4,098,276 952 4,099,228 4,099,228
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 16,262,367 16,262,367 16,262,367
負債証券 2,138,720 2,138,720 2,508,571
金融資産合計 967,500 4,098,276 952 18,851,200 23,917,928 24,287,779
負 債
損益を通じて公正価値で測定する
435,279 435,279 435,279
金融負債
ヘッジ・デリバティブ金融商品 442,831 442,831 442,831
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 184,266 184,266 184,266
発行済負債証券 19,533,779 19,533,779 19,668,476
社会配当金勘定 52,178 52,178 52,178
金融負債合計 878,110 19,770,223 20,648,333 20,783,030
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産又は償却原価での負債証券の項目に分類された有価証券
のうち、2019年中及び2018年中に担保として提供されたものはなかった。
注F：金融商品の時価測定
IFRS第13号「公正価値測定」の適用に伴い、CEBは、注Dに記載されたとおり、取引相手方のリスク(CVA)
並びに自身の信用リスク(DVA及びOCA)が含まれるように、その金融商品の公正価値測定の枠組みを調整し
た。
当行の金融資産及び負債は、その公正価値測定の信頼性を反映して３段階のヒエラルキーにより分類さ
れる。
レベル１－取引市場で相場価格を有する流動資産及び負債並びに金融商品
レベル２－その市場価値が観察可能なパラメーターに基づく評価手法を用いて測定される金融商品
レベル３－その市場価値が観察不能なパラメーターも含めた評価手法を用いて測定される金融商品
このレベルは以下を含む。
－レベル３のデリバティブが組み込まれた発行済負債証券であり、入手可能な市場価格がないもの。
－複合的なモデルによる評価が必要であり、観察不能な市場データによる影響を受けやすいことが顕著な
仕組債を含むデリバティブ商品。
－支払の条件がその他の超国家的な金融機関により用いられる条件と同等である貸付金。優先債権者の地
位を考慮して、当行は、この種の債権の売却を行っていない。さらに、貸付金の大半が変動金利(ヘッジ
取引を含む。)によるものであるため、かかる取引の公正価値に対する市場金利の変動の影響は僅少であ
る。したがって、当行は、これらの資産の公正価値は純簿価と一致すると見積っている。
公正価値で測定された金融商品は、以下の表に示されている。
93/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 レベル１ レベル２ レベル３ 合計
資 産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 313,302 313,302
ヘッジ・デリバティブ金融商品 838,246 838,246
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 3,017,208 1,100,633 4,117,841
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 17,976,450 17,976,450
負債証券 2,380,866 2,380,866
金融資産合計 6,075,935 2,252,181 17,976,450 26,304,566
負 債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 187,340 187,340
ヘッジ・デリバティブ金融商品 531,460 531,460
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 100,607 53,333 153,940
発行済負債証券 20,984,827 310,876 21,295,703
社会配当金勘定 48,544 48,544
金融負債合計 21,133,978 1,083,009 22,216,987
(単位：千ユーロ)
2019年１月１日 レベル１ レベル２ レベル３ 合計
資 産
現金及び中央銀行における残高 450,113 450,113
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 256,852 256,852
ヘッジ・デリバティブ金融商品 710,648 710,648
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 2,567,614 1,531,614 4,099,228
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 16,262,367 16,262,367
負債証券 2,501,246 7,325 2,508,571
金融資産合計 5,518,973 2,506,439 16,262,367 24,287,779
負 債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 435,279 435,279
ヘッジ・デリバティブ金融商品 442,831 442,831
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 117,599 66,667 184,266
発行済負債証券 19,043,670 624,806 19,668,476
社会配当金勘定 52,178 52,178
金融負債合計 19,213,447 1,569,583 20,783,030
注G：金融資産及び金融負債の相殺
2019年12月31日現在、CEBの貸借対照表において相殺の対象となる事業はなかった。当行はIAS第32号の
改訂の基準を満たすような相殺協定を有していない。
以下の表は、金融資産及び金融負債の純額、並びにIFRS第７号の改訂により要求される包括協定に基づ
く取引(スワップ及び貸付における担保契約に基づき受領した現金預金又は有価証券)を考慮に入れた金融
資産及び金融負債の純額を示している。
(単位：千ユーロ)
金融資産及 担保として
担保として
2019年12月31日 び金融負債 取得した 純額
受領した/取得し
た現金
の純額 有価証券
資 産
償却原価での貸付金 15,807,267 (499,775) 15,307,493
デリバティブ金融商品 1,151,548 (571,649) (59,496) 520,403
差入保証金 176,297 (176,397) (100)
94/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
その他相殺されない資産 9,006,679 9,006,679
資産合計 26,141,791 (748,046) (559,271) 24,834,474
負 債
デリバティブ金融商品 718,800 (176,397) 542,403
預かり保証金 571,444 (571,649) (205)
その他相殺されない負債 21,762,743 21,762,743
負債合計 23,052,987 (748,046) 22,304,941
(単位：千ユーロ)
金融資産及 担保として
担保として
2019年１月１日 び金融負債 取得した 純額
受領した/取得し
た現金
の純額 有価証券
資 産
償却原価での貸付金 14,882,674 (543,407) 14,339,267
デリバティブ金融商品 967,500 (387,641) (71,910) 507,949
差入保証金 367,311 (367,470) (159)
その他相殺されない資産 8,130,521 8,130,521
資産合計 24,348,006 (755,111) (615,317) 22,977,578
負 債
デリバティブ金融商品 878,110 (367,470) 510,640
預かり保証金 387,478 (387,641) (163)
その他相殺されない負債 20,036,254 20,036,254
負債合計 21,301,842 (755,111) 20,546,731
注H：株主資本を通じた公正価値及び償却原価での金融資産
株主資本を通じた公正価値での金融資産
2019年12月31日現在、株主資本を通じた公正価値での金融資産は、負債証券4.1十億ユーロ(2019年１月
１日は4.1十億ユーロ)及び資本性金融商品1.1百万ユーロ(2019年１月１日は1.0百万ユーロ)で構成され
る。
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 2019年１月１日
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産
総簿価 4,006,942 4,027,185
未実現損益 111,304 72,483
(*)
減損 (405)
(440)
合 計 4,117,841 4,099,228
(*)うち、ステージ１ (405) (440)
うち、ステージ ２
うち、ステージ３
償却原価での金融資産
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 2019年１月１日
信用機関向貸付金
総簿価 8,842,084 8,718,518
減損 (5,467) (6,009)
8,836,617
8,712,509
純簿価
顧客向貸付金
6,623,776
5,944,302
総簿価
減損 (6,957) (7,355)
6,616,819
5,936,947
純簿価
95/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
デリバティブ商品によってヘッジされた貸付金
353,831
の金額調整 233,218
15,807,267
14,882,674
貸付金合計
前渡金
要求に応じた支払可能な前渡金‐総簿価 9,013 22,865
減損 (3) (8)
純簿価 9,009 22,857
合意された満期又は通知期間のある前渡金‐総
簿価 2,160,290 1,356,907
減損 (116) (71)
純簿価 2,160,174 1,356,836
前渡金合計 2,169,183 1,379,693
負債証券
1,977,664
2,138,936
総簿価
減損 (126) (216)
1,977,538
2,138,720
純簿価
1,977,538
2,138,720
負債証券合計
2019年12月31日現在の貸付金のうち、保証が付されているものは、7.0十億ユーロである(2019年１月１
日現在は7.0十億ユーロ)。これらの保証は、有価証券又は締結済みの約定の形式によって行われている。
償却原価でのステージ別金融資産
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 2019年１月１日
減損
総簿価 減損 純簿価 総簿価 純簿価
8,842,084 (5,467) 8,836,617
信用機関向貸付金 8,718,518 (6,009) 8,712,509
8,842,084 (5,467) 8,836,617
ステージ１ 8,718,518 (6,009) 8,712,509
ステージ２
ステージ３
6,623,776 (6,957) 6,616,819
顧客向貸付金 5,944,302 (7,355) 5,936,947
6,623,776 (6,957) 6,616,819
ステージ１ 5,944,302 (7,355) 5,936,947
ステージ２
ステージ３
2,169,303 (120) 2,169,183
前渡金 1,379,772 (79) 1,379,693
2,169,303 (120) 2,169,183
ステージ１ 1,379,772 (79) 1,379,693
ステージ２
ステージ３
1,977,664 (126) 1,977,538
負債証券 2,138,936 (216) 2,138,720
1,977,664 (126) 1,977,538
ステージ１ 2,138,936 (216) 2,138,720
ステージ２
ステージ３
貸付金残高及び融資約定の国別内訳
以下の表には、借入人の属する国別の貸付金残高及び融資約定の内訳が、社会配当金勘定から助成金を
支払っているか否かにかかわらず表示される。
(単位：千ユーロ)
残 高 融資約定
96/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
借入人の属する
国別内訳 2019年12月31日 ％ 2019年１月１日 ％ 2019年12月31日 2019年１月１日
ポーランド 1,945,432 12.61 1,992,005 13.62 687,700 777,924
スペイン 1,865,321 12.09 1,960,699 13.41 596,047 818,500
トルコ 1,435,500 9.30 1,466,648 10.03 165,000
フランス 1,201,098 7.79 1,317,854 9.01 401,723 428,330
ベルギー 1,001,900 6.49 842,956 5.76 230,000 142,500
(1)
ドイツ 850,793 5.51 1,002,808
802,551 5.49 580,148
スロバキア共和国 721,592 4.68 525,211 3.59 63,037 215,037
オランダ 719,492 4.66 594,607 4.06 375,025 222,083
ルーマニア 587,976 3.81 653,632 4.47 277,082 319,372
チェコ共和国 561,343 3.64 487,398 3.33 150,000 175,000
(2)
イタリア
551,529 3.57 376,246 2.57 675,221 585,000
ハンガリー 515,196 3.34 594,983 4.07 67,301 123,864
フィンランド 498,915 3.23 412,167 2.82 95,000 110,000
キプロス 443,123 2.87 483,532 3.31 147,049 118,549
アイルランド 352,911 2.29 288,342 1.97 85,000 255,000
クロアチア 335,211 2.17 335,719 2.29 259,314 56,988
スウェーデン 280,578 1.82 104,958 0.72 336,722 311,720
ポルトガル 272,376 1.77 203,148 1.39 254,000 239,000
セルビア 244,277 1.58 142,097 0.97 165,712 74,911
ブルガリア 235,515 1.53 221,443 1.51 100,000 160,000
リトアニア 199,809 1.30 201,659 1.38 144,014 35,000
北マケドニア 104,293 0.68 101,894 0.70 57,264 71,401
アルバニア 101,379 0.66 99,003 0.68 6,980 20,580
スロベニア 100,144 0.65 101,683 0.70 75,000 35,000
アイスランド 100,131 0.65 106,217 0.73 5,000
ボスニア・ヘルツェ
ゴビナ 73,798 0.48 66,415 0.45 48,340 53,763
モンテネグロ 39,652 0.26 35,885 0.25 44,692 37,783
モルドバ共和国 36,005 0.23 38,362 0.26 49,248 51,125
デンマーク 20,000 0.13 33,333 0.23
ラトビア 16,100 0.10 15,301 0.10 23,400 77,000
ジョージア 8,750 0.06 8,124 0.06 15,598 14,000
エストニア 7,313 0.05 10,686 0.07
合 計 15,427,452 100.00 14,624,758 100.00 6,433,277 6,279,578
注(1) うち2019年12月31日現在の対象国のための残高5.2百万ユーロ(2019年１月１日現在は6.8百万ユーロ)。
(2) うち2019年12月31日現在の対象国のための残高35.9百万ユーロ(2019年１月１日現在は53.5百万ユーロ)。
SDA 金利補助金又は借入保証を受けている貸付金残高及び融資約定の国別内訳
社会配当金勘定からの金利補助金又は借入保証を受けている貸付金残高及び融資約定の詳細は、下記の
表に借入人の属する国別に記載されるとおりである。
(単位：千ユーロ)
残 高 融資約定
借入人の属する国別内訳 2019年12月31日 2019年１月１日 2019年12月31日 2019年１月１日
459,000
トルコ 420,000 60,000
173,501 14,288
ポーランド 180,130 15,288
102,927 7,621
ルーマニア 121,584 11,121
68,795 37,340
ボスニア・ヘルツェゴビナ 58,387 42,763
アルバニア 60,898 71,122
26,772 10,933
モルドバ共和国 27,750 12,811
25,100 9,314
クロアチア 27,515 19,164
17,738 5,262
北マケドニア 13,472 10,303
10,576
セルビア 13,420
5,600
イタリア 7,000
4,827
ブルガリア 5,586
3,082 2,500
ジョージア 1,574
958,816 87,258
合 計 947,540 171,450
97/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
金利補助金については、注Lに記載されている。
注I：有形資産及び無形資産
(単位：千ユーロ)
土地及び建物 備品及び設備 その他 無形資産 合 計
総簿価
2019年１月１日現在 36,448 14,694 9,269 22,820 83,231
追加額 196 662 161 5,055 6,074
(*)
その他変動
1,035 (154) (1,567) (766) (1,453)
2019年12月31日現在 37,679 15,202 7,863 27,109 87,852
償却費
2019年１月１日現在 (10,232) (7,559) (9,868) (27,659)
(*)
当期費用
(279) (827) (884) (2,795) (4,786)
その他変動 1,650 766 2,416
2019年12月31日現在 (279) (11,059) (6,793) (11,897) (30,029)
純簿価
2019年12月31日現在 37,400 4,143 1 1,070 15,211 57,824
(単位：千ユーロ)
土地及び建物 備品及び設備 その他 無形資産 合 計
総簿価
2018年１月１日現在 36,344 14,460 8,553 17,840 77,197
追加額 104 410 1,007 4,980 6,501
その他変動 (176) (291) (467)
2018年12月31日現在 36,448 14,694 9,269 22,820 83,231
償却費
2018年１月１日現在 (9,503) (6,866) (7,912) (24,281)
当期費用 (896) (993) (1,956) (3,845)
その他変動 167 300 467
2018年12月31日現在 (10,232) (7,559) (9,868) (27,659)
純簿価
2018年12月31日現在 36,448 4,462 1 1,710 12,952 55,572
(*) 土地及び建物は、IFRS第16号の適用により影響を受ける唯一のリースであるパリ市クレベール通り55番所在のオフィスの
リースを含む。2019年12月31日現在、利用権純額は1.0百万ユーロとなり、償却費はマイナス279千ユーロとなった。
注J：その他の資産及び負債
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 2019年１月１日
その他の資産
(*)
差入保証金
176,297 367,311
前払費用 2,296 4,851
雑借方 3,316 2,291
雑資産 820 53
合 計 182,729 374,506
その他の負債
(*)
預かり保証金
571,444 387,478
雑貸方 3,993 3,126
(**)
雑負債
7,697 5,300
合 計 583,134 395,904
(*) 担保契約に関して、当行は、預託金又は有価証券の形式による保証金を預け入れ、また差し入れている。
2019年12月31日現在、CEBは、
・預託金の形式で571.4百万ユーロ(2019年１月１日現在は387.5百万ユーロ)、有価証券の形式で559.3百万ユーロ(2019年
１月１日現在は615.5百万ユーロ)の預かり保証金
・預託金の形式で176.3百万ユーロ(2019年１月１日現在は367.4百万ユーロ)の差入保証金を有している。
98/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(**) IFRS第16号に基づき、うち1.0百万ユーロはリース負債として認識される支払リース料及びマイナス279千ユーロの償却費
である。
注K：減価償却費で測定する金融負債
(単位：千ユーロ)
2019年12月31日 2019年１月１日
信用機関及び顧客に対する負債額
付利口座 100,606 117,599
借入金及び定期預金 53,334 66,667
合 計 153,940 184,266
償却原価での発行済負債証券
債券 20,452,833 18,890,274
支払利息 174,450 236,613
デリバティブ商品によりヘッジされる発行済負債証券
の価額調整 600,785 406,892
合 計 21,228,068 19,533,779
顧客の付利口座の進展
支援者との間で調印された多数の二国間及び多国間の寄付金に関する同意の枠組内で、CEBは、その目的
に沿った活動に対し助成金による融資を行うため、寄付金を受け入れている。支援者より受領した寄付金
は、CEBの名義で開設されている口座に預け入れられる。
一般的に、寄付金の大部分はCEBの協力国及び欧州連合の加盟国によって提供される。
当行は、口座の管理者としての役割を果たしている。当行は口座に影響を及ぼす変更の処理及び記録並
びに利用可能残高の管理を行う。かかる活動の枠組内において、CEBは管理報酬を受け取ることができる。
CEBが最初に１又は複数の支援者より寄付金に関する約定を得ることなく受益者へ助成金を提供する約定
を結ぶことはないため、CEBは、上記の口座に関して信用リスクにさらされてはいない。
2019年12月31日現在、当行は26の付利口座(2018年は25)を管理し、残高は合計100.6百万ユーロ(2018年
は117.6百万ユーロ)であった。かかる口座の原資は、支出額が251.5百万ユーロ(2018年は209.3百万ユー
ロ)であったのに対し、352.1百万ユーロ(2018年は326.9百万ユーロ)であった。
以下の表は、以下の２つのカテゴリーに分類されたCEBにより管理されている口座の変動及び約定の概要
を示したものである。
・支援国より資金提供を受けているプログラム/口座
・全て又は主に欧州連合より資金提供を受けているプログラム/口座
(単位：千ユーロ)
(1) (2) (3) (3)
原資 支出額 受取約定 支払約定
2019年12月31日
支援国より資金提供を
受けているプログラム/口座 36,459 (28,518) 7,941 1,000 3,831
全て又は主に欧州連合より
資金提供を
受けているプログラム/口座 315,605 (222,940) 92,665 42,919 125,824
合 計 352,064 (251,458) 100,606 43,919 129,655
(単位：千ユーロ)
(1) (2) (3) (3)
原資 支出額 受取約定 支払約定
2019年１月１日
支援国より資金提供を
受けているプログラム/口座 38,663 (25,328) 13,335 6,094
全て又は主に欧州連合より
資金提供を
受けているプログラム/口座 288,267 (184,003) 104,264 84,733 135,726
99/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
合 計 326,930 (209,331) 117,599 84,733 141,820
注(1) 支援者より受け取った寄付金及び未収利息により構成される。
(2) プロジェクトに対し支出した助成金、手数料及び支援者に返還した資金により構成される。
(3) 受取約定及び支払約定は、継続事業のみに関するものである。
以下の表は、同様の３つのカテゴリーに分類された付利口座の詳細を示したものである。
(単位：千ユーロ)
口座 2019年 2019年
プログラム/口座 支援者 原資 支出額
開設年 12月31日 １月１日
支援国より資金提供を受けているプログラ
ム/口座
イタリア革新的プロジェクト基金 イタリア 2017年
1,000 (41) 959 959
移住者及び難民基金 アルバニア、ボ 2015年
28,415 (25,459) 2,956 8,638
スニア・ヘル
ツェゴビナ、ブ
ルガリア、キプ
ロス、チェコ共
和国、フラン
ス、ドイツ、バ
チカン、ハンガ
リー、アイスラ
ンド、アイルラ
ンド、イタリ
ア、リヒテン
シュタイン、リ
トアニア、ルク
センブルク、マ
ルタ、ノル
ウェー、ポーラ
ンド、サンマリ
ノ、スロバキア
共和国、スペイ
ン、スウェーデ
ン、EIB、CEB
スロバキア包括的成長口座 スロバキア 2016年 3,000 (917) 2,083 1,692
共和国
スペイン社会的統合口座 スペイン 2009年 4,044 (2,101) 1,943 2,046
支援国より資金提供を受けているプログラ 36,459 (28,518) 7,941 13,335
ム/口座小計
全て又は主に欧州連合より資金提供を受けて
いるプログラム/口座
地域住宅プログラム(RHP)に関連する口座
欧州連合、ドイ 2012年 (41,206) 17,531
RHP基金国家口座-BiH 58,392 17,186
ツ、イタリア
スイス 2019年 (21)
RHP基金国家口座-BiH及びSRB 850 829
欧州連合 2013年 (8,608) 1,603
RHP基金国家口座-クロアチア 9,303 695
欧州連合、ドイ 2013年 (2,306) 1,814
RHP基金国家口座-モンテネグロ 3,500 1,194
ツ
欧州連合、ドイ 2013年 (38,337) 18,973
RHP基金国家口座-セルビア 60,608 22,271
ツ
欧州連合、トル 2012年 (36,354) 12,306
RHP基金地域口座 47,257 10,903
コ、米国
デンマーク、欧 2012年 (36,554) 16,349
RHP基金準地域口座 53,096 16,542
州連合、ドイ
ツ、ルクセンブ
ルク、ノル
ウェー、スイス
欧州連合 2013年 (24,660) 1,275
RHP実施 25,120 460
欧州連合 2017年 (7,193) 4,004
RHP実施２ 10,053 2,860
スイス 2019年
RHP実施支援基金口座 500 500
100/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ドイツ 2019年
RHP実施支援基金-ODA口座 1,000 1,000
キプロス 2012年 (1) 49
RHPキプロス共和国特別口座 50 49
ハンガリー 2014年 (1) 29
RHPハンガリー特別口座 30 29
スロバキア 2012年 (21) 27
RHPスロバキア共和国特別口座 40 19
共和国
東ヨーロッパエネルギー効率化・環境パート
ナーシップ(E5PR)
欧州連合の
改築-ジョージアのトビリシにおける公立学
2016年
校の復旧及びエネルギー効率の向上 その他の支援者
欧州地方エネルギー支援機関(ELENA)
欧州連合 2012年 (381) 619 409
CEB-ELENA 2012 1,000
トルコ難民支援機関 (FRIT)
欧州連合 2017年 30,000 (13,161) 16,839 28,846
トルコ難民口座
加盟前支援制度(IPA)/西バルカン半島投資フ
レームワーク(WBIF)
IPA2009年地方道アルバニア特別口座 欧州連合 2010年 9,176 (9,176)
WBIF：セルビアにおける刑務所施設建設 欧州連合の 2015年 1,430 (981) 449 579
その他の支援者
WBIF：ボスニア・ヘルツェゴビナの集合住 欧州連合の 2014年 1,200 (979) 221 471
宅に暮らす弱者 その他の支援者
WBIF：中学校におけるスポーツ施設の建設 欧州連合の 2012年 1,000 (1,000)
(LD1611) その他の支援者
WBIF：小学校におけるスポーツ施設の建設 欧州連合の 2012年 2,000 (2,000)
(LD1732) その他の支援者
全て又は主に欧州連合より資金提供を受け 315,605 (222,940) 92,665 104,264
ているプログラム/口座小計
付利口座合計 352,064 (251,458) 100,606 117,599
注L：社会配当金勘定
当行は、４種類の助成金の財源としてSDAを使用している。
－当行が付与する貸付金に係る金利補助金
－社会的に影響の大きい事業に対する当行の資金調達を支援する保証
－CEBが資金調達する事業の枠組みにおける技術支援
－ 交付 寄付金
SDAを財源とする助成金は、総裁が承認する300千ユーロ以下の技術支援助成金を除いて、当行の管理委
員会により承認される。
助成金は、500千ユーロに制限される交付寄付金を除いて、それぞれ２百万ユーロを上限とすることがで
きる。全ての項目をあわせた国別の年次承認の合計は、利用可能なSDAの資金の10％を超えてはならない。
2019年12月31日現在、これらの下位勘定の内訳は以下のとおりである。
(単位：千ユーロ)
SDAの項目 2019年12月31日 2019年１月１日
承認された貸付金に係る補助金 17,817 20,938
補助可能額 2,064 1,942
貸付金に係る金利補助金 19,881 22,880
承認された貸付金にかかる保証 13,000 11,000
保証可能額 7,272 9,217
貸付保証 20,272 20,217
技術支援の承認 1,640 1,824
技術支援可能額 4,781 5,292
技術支援 6,421 7,116
承認された交付寄付金
101/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
寄付可能額 1,970 1,965
交付寄付金 1,970 1,965
合計 48,544 52,178
資金調達
SDAは、以下により資金調達されている。
a) 当行の年間利益の割当時の社会的性格の配当を通じて、CEBの加盟国から受領した寄付金。
b) 管理委員会の承認を受けた当行の加盟国からの任意拠出金。
c) 欧州評議会の加盟国並びに理事会及び管理委員会による承認を受けた非加盟国又は国際機関からの
任意拠出金。
注M：引当金
(単位：千ユーロ)
2019年 2019年
１月１日
12月31日
引当金
社会的約定に係る引当金 318,781 254,942
融資約定に係る減損(注S) 1,720 2,663
合 計 320,501 257,605
社会的約定に係る引当金の変動
当行は、医療保険制度、財務調整制度及び退職給付制度に係る年金計画並びにその他の退職給付金を運
営する。各退職給付金に関する約定額は、予測単位積増し保険数理評価方式によって個別に決定される。
最新の保険数理評価は、2019年６月30日現在の個別のデータに基づき2019年12月31日現在実施済みであ
る。
退職給付金に係る財務状況は以下に示されている。
(単位：千ユーロ)
その他の
年金計画 合計
退職給付金
2019年１月１日現在の引当金 213,821 41,121 254,942
勤務費用 10,126 2,637 12,763
割引約定に関する利息費用 4,332 826 5,158
直接株主資本と認識される実差額の変動額 42,523 7,883 50,406
(3,263) (1,225) (4,488)
支払済給付金
2019年12月31日現在の引当金 267,539 51,242 318,781
(単位：千ユーロ)
その他の
年金計画 合計
退職給付金
2018年１月１日現在の引当金 197,121 37,104 234,225
勤務費用 9,369 3,258 12,627
割引約定に関する利息費用 4,526 849 5,375
直接株主資本と認識される実差額の変動額 5,518 637 6,155
支払済給付金 (2,713) (727) (3,440)
2019年１月１日現在の引当金 213,821 41,121 254,942
退職給付金の約定の評価に使用される主要な推定値は、以下のとおりである。
諸情報 2019年 2018年
割引利子率 1.50％ 2.25％
102/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
インフレ率 1.75％ 1.75％
年金再評価率 1.75％ 1.75％
給与増加率 3.50％ 3.50％
雇用主の医療費負担率 6.28％ 6.28％
平均勤続年数 22.57 22.19
感応度テスト
以下の表は、割引率の変動を-/+0.25％と仮定して計算した、2019年12月31日現在で評価された退職給付
金に関する約定(予測給付債務(PBO))の感応度、勤務費用、利息費用及び2019年の見積給付額に関する情報
を提供するものである。
(単位：千ユーロ)
2019年 2020年 2020年
2020年 2020年
年金計画 12月31日 PBOに対する 12月31日
勤務費用 見積給付額
PBO 利息費用 PBO
割引率-0.25％ 282,133 11,810 3,495 (5,129) 292,309
割引率+0.25％ 253,973 10,349 4,400 (5,122) 263,600
2019年12月31日現在、割引率が0.25％低下したと仮定した場合、年金約定は5.5％増加する。同日現在、
割引率が0.25％上昇したと仮定した場合、当該約定は5.1％減少する。
(単位：千ユーロ)
2019年 2020年 2020年
2020年 2020年
その他の退職
12月31日 PBOに対する 12月31日
給付金
勤務費用 見積給付額
PBO 利息費用 PBO
割引率-0.25％ 54,130 2,377 666 (1,712) 55,461
割引率+0.25％ 48,566 2,067 835 (1,712) 49,756
2019年12月31日現在、割引率が0.25％低下したと仮定した場合、退職給付金に関する約定は5.6％増加す
る。同日現在、割引率が0.25％上昇したと仮定した場合、当該約定は5.2％減少する。
注N：資本
資本管理
定款(第３条)に従い、欧州諸国(欧州評議会の加盟国又は非加盟国)及び欧州に重点を置いている国際機
関は、当行の理事会が制定した条件に従って、当行の加盟国となることができる。
当行は、加盟国が引き受けるユーロ建の参加証書を発行する。各証書の額面価格は、いずれも同額の
1,000ユーロである。
加盟手続は、申請国が当行の定款を承認し、理事会との合意により決定された数の参加証書を引き受け
る旨明言した欧州評議会の議長に対する宣言により行われる。当行の加盟国となる国は全て、かかる宣言
において以下の目的を承認するものとする。
－欧州評議会の特権及び免責に関する一般協定のための第三議定書について、できるだけ早い機会に同意
すること。
－かかる同意までの間に、当行の財産、資産及び運営に関する議定書による法的処置を適用すること並び
に当行の機関及び職員に議定書による法的地位を付与すること(定款第３条)。
理事会は、資本の引受け及び払込みに関する引当金に加えて、増資に関する引当金を設定している。加
盟国の脱退の可能性に関する条件については、CEBの定款(第15条)に定めている。当行はこれまでにこの種
の要求を受けたことはない。これに基づき、また2008年２月に改訂されたIAS第32号に従い、本参加証書
は、資本性金融商品に分類されている。
103/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
当行の資本及び準備金に対する出資は、CEBに関する欧州評議会の部分協定の予算に対する加盟申請国に
よる寄与比率に基づき算出されるものとする。
当行の引受済資本金は、払込済資本金及び請求払資本金で構成される。払込済資本金は、資本金のう
ち、管理委員会の提案を受けて理事会の決定後に当行に加盟する時点で払い込まれる部分である。開始以
来、当行は引受済資本金の引出しを行っていない。
当行の業務に関連するリスクに関する自己資本は、様々な比率により構築された健全性に関する枠組み
を通じて評価されている(注Cの4.を参照のこと。)。
加盟国別の資本金の内訳は以下のとおりである。
(単位：千ユーロ)
加盟国 引受済資本金 請求未了資本金 払込請求済資本金 引受済資本金割合
フランス 915,770 814,114 101,656 16.735％
ドイツ 915,770 814,114 101,656 16.735％
イタリア 915,770 814,114 101,656 16.735％
スペイン 597,257 530,958 66,299 10.914％
トルコ 388,299 345,197 43,102 7.096％
オランダ 198,813 176,743 22,070 3.633％
ベルギー 164,321 146,083 18,238 3.003％
ギリシャ 164,321 146,083 18,238 3.003％
ポルトガル 139,172 123,724 15,448 2.543％
スウェーデン 139,172 123,724 15,448 2.543％
ポーランド 128,260 114,023 14,237 2.344％
デンマーク 89,667 79,712 9,955 1.639％
フィンランド 69,786 62,039 7,747 1.275％
ノルウェー 69,786 62,039 7,747 1.275％
ブルガリア 62,459 55,526 6,933 1.141％
ルーマニア 59,914 53,264 6,650 1.095％
スイス 53,824 43,229 10,595 0.984％
アイルランド 48,310 42,948 5,362 0.883％
ハンガリー 44,788 39,816 4,972 0.818％
チェコ共和国 43,037 38,260 4,777 0.786％
ルクセンブルク 34,734 30,878 3,856 0.635％
セルビア 25,841 22,973 2,868 0.472％
クロアチア 21,376 19,003 2,373 0.391％
キプロス 19,882 17,676 2,206 0.363％
スロバキア共和国 18,959 16,854 2,105 0.346％
アルバニア 13,385 11,899 1,486 0.245％
ラトビア 12,808 11,387 1,421 0.234％
エストニア 12,723 11,311 1,412 0.233％
北マケドニア 12,723 11,311 1,412 0.233％
リトアニア 12,588 11,191 1,397 0.230％
スロベニア 12,295 10,930 1,365 0.225％
アイスランド 10,144 9,018 1,126 0.185％
マルタ 10,144 9,018 1,126 0.185％
ジョージア 9,876 8,780 1,096 0.180％
ボスニア・ヘルツェゴビナ 9,689 8,614 1,075 0.177％
モンテネグロ 6,584 5,853 731 0.120％
コソボ 6,559 5,831 728 0.120％
モルドバ共和国 5,488 4,878 610 0.100％
サンマリノ 4,867 4,206 661 0.089％
リヒテンシュタイン 2,921 2,374 547 0.053％
バチカン 137 107 30 0.003％
2019年合計 5,472,219 4,859,802 612,417 100.000％
2018年合計 5,472,219 4,859,802 612,417
2019年の各参加証書の収益は19.13ユーロ(2018年は17.81ユーロ)に達した。
104/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
注O：金利差益
収入及び費用は、実効金利法(利息、手数料及び費用)に従って計上される。
金融商品の未収利息を除いて計算された評価の変動額は、「損益を通じて公正価値で測定する金融商品
からの純損益」(注Q)に計上される。
公正価値によるヘッジ・デリバティブにおける金利収入及び費用は、リスクヘッジを提供している項目
に由来する収入及び費用とともに表示される。
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
収入 費用 純損益 収入 費用 純損益
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産
負債証券取引 28,735 (4,231) 24,504 28,291 (7,062) 21,229
ヘッジ・デリバティブ金融商品 8,851 (33,315) (24,464) 9,952 (34,719) (24,767)
小 計 37,586 (37,546) 40 38,243 (41,781) (3,538)
償却原価での貸付金及び前渡金
貸付金 150,284 (1) 150,283 142,845 (9) 142,836
ヘッジ・デリバティブ金融商品 12,419 (131,918) (119,499) 13,951 (122,908) (108,957)
前渡金 54,099 (13,056) 41,043 37,429 (11,480) 25,949
小 計 216,802 (144,975) 71,827 194,225 (134,397) 59,828
償却原価での負債証券
負債証券取引 62,432 62,432 64,941 (4) 64,937
小 計 62,432 62,432 64,941 (4) 64,937
信用機関及び顧客に対する負債額
付利口座 2,372 (139) 2,233 1,351 (158) 1,193
小 計 2,372 (139) 2,233 1,351 (158) 1,193
償却原価での発行済負債証券
債券 (349,303) (349,303) (349,767) (349,767)
ヘッジ・デリバティブ金融商品 402,802 (28,284) 374,518 394,336 (12,277) 382,059
小 計 402,802 (377,587) 25,215 394,336 (362,044) 32,292
その他の利息費用及び類似費用 (5,158) (5,158) (5,376) (5,376)
金利差益 721,994 (565,405) 156,589 693,096 (543,760) 149,336
注P：セグメント情報
CEBは、社会的使命を有する多国間開発銀行である。CEBは、加盟国における金融プロジェクトに対して
貸付を行っている。かかる事業の資金は、公募及び私募により調達される。
この範囲内で、当行は、単一の事業分野を有する。当行は、その拠出金を最も必要とする地域、特に対
象国を構成する中欧及び東欧諸国に介入する。
プロジェクトファイナンス事業は、欧州においてのみ行われている。しかしながら、その他の金融事
業、特に公募に関しては、CEBは欧州のほか、他の地域においても事業を行っている。したがって、これら
の事業については、下記の表に含まれていない。
借入人の属する国 別の貸付における利息の内訳は以下のとおりである。
(単位：千ユーロ)
借入人の属する国別内訳 2019年 2018年
ポーランド 22,250 18,673
トルコ 18,722 19,190
ルーマニア 11,370 13,181
ハンガリー 8,731 9,056
105/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
クロアチア 5,270 5,847
リトアニア 4,646 5,050
キプロス 4,008 4,196
スロバキア共和国 3,476 3,521
アルバニア 2,058 2,158
セルビア 1,582 1,514
ボスニア・ヘルツェゴビナ 1,326 1,252
チェコ共和国 1,172 1,064
北マケドニア 916 896
モルドバ共和国 798 837
ブルガリア 747 521
ラトビア 654 752
モンテネグロ 362 235
スロベニア 270 287
エストニア 260 357
ジョージア 192 237
マルタ 123
対象国小計 88,810 88,947
ベルギー 19,612 19,890
スペイン 9,052 8,834
ドイツ 7,442 7,202
フランス 7,307 6,954
オランダ 5,079 1,694
ポルトガル 4,620 4,696
アイルランド 3,200 2,205
イタリア 1,713 433
アイスランド 1,308 1,297
スウェーデン 1,265 127
フィンランド 797 472
その他の国小計 61,395 53,804
その他の国を通じた対象国 78 94
合 計 150,283 142,845
国別貸付残高は、注Hに記載されている。
注Q：損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純利益は、「金利差益」(注O)で表示される金利収入及
び費用を除く金融商品に関する損益項目を含む。
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
ヘッジ商品の公正価値の正味残額 40,563 43,980
ヘッジリスクに起因するヘッジ項目の再評価 (38,995) (41,923)
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの残額 (1,355) (2,055)
為替持高の再評価 182 358
自身の信用リスクに係る価額調整(債務評価調整－DVA) (93) (402)
相手方のリスクに係る価額調整(信用評価調整－CVA) 364 (195)
合 計 665 (237)
注R：一般営業費用
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
賃金及び給料 (25,167) (23,708)
社会保障及び年金費用 (11,902) (11,638)
その他の一般営業費用 (11,958) (11,772)
合 計 (49,027) (47,118)
106/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
2019年12月31日現在、当行の職員は、４名の指定役員(総裁及び副総裁)及び206名の専門職員から構成さ
れている。2018年12月31日現在では、３名の指定役員(総裁及び副総裁)及び206名の専門職員であった。
注S：リスク費用
CEBが使用する一般的な減損評価モデルは、以下の２つの段階に基づく。
・当初認識後の信用リスクの著しい増加の有無を評価すること。
・当初認識後に信用リスクの著しい増加がない場合は12ヶ月の予想損失に基づき減損引当金を測定し、
当初認識後に信用リスクの著しい増加が生じた場合は全期間の予想損失(すなわち、満期時点の予想
損失)に基づき減損引当金を測定すること。
これらの２つの段階は、将来予測アプローチに基づくものでなければならない。
信用リスクの著しい増加
信用リスクの著しい増加に係る評価は、取引相手方の種類及びその内部格付によって異なる指標及び閾
値に基づき、各取引ごとのレベルで測定される。
信用リスクの著しい増加に係る評価に用いられる指標は、取引相手方の内部格付である。内部格付シス
テムについては、注C（信用リスクセクション）に記載されている。評価は関連する基準、すなわち当初の
格付と比較して何段階格下げされたかに基づいて行われる。しかしながら、取引が2018年１月１日現在の
当行のポートフォリオに既に表示されていた場合、信用リスクの著しい増加に係る評価の基準を評価日現
在の内部格付に基づく絶対評価とする。
いずれの場合も、評価日現在の信用格付が3.5以下の場合、信用の質の低下は重大とみなされ、当該取引
はステージ２に分類される。しかしながら、ソブリンはCEBの優先債権者の地位を前提として、一貫してス
テージ１に分類される。
90日超支払が遅延した場合、かかる資産は債務不履行状態にあるとみなされ、ステージ３に分類され
る。
107/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
将来予測アプローチ
当行は、予想信用損失(以下「ECL」という。)の測定の際に、将来予測情報を考慮している。
当行は、可能性のある将来の経済情勢を幅広くカバーするため、３つのマクロ経済シナリオを使用する
ことを選択している。これらのシナリオは現在、ムーディーズ・アナリティックス(Moody's Analytics)に
より策定され、毎月更新されている。
主要なマクロ経済変数は、ユーロ圏におけるGDPの進展及び欧州の株式市場の進展である。予測期間中の
マクロ経済変数のモデル化は、２つの変数及び３つのラグを用いる自己回帰モデルを使用するモンテカル
ロ・シミュレーションに基づく。
IFRS第９号の下で使用されるシナリオは以下のとおりである。
・５年間の予測期間中に最も実現しそうな経済情勢を記述した基礎シナリオ。
・顕在化したリスクを基礎となるシナリオに加重した影響を反映し、結果として好ましくない経済情勢
となった不利なシナリオ。かかるシナリオは、ユーロ圏のGDP成長率のモンテカルロ・シミュレー
ションにおける10％の分位点として定義される。
・顕在化したリスクを反映し、結果として良好な経済情勢となった好ましいシナリオ。かかるシナリオ
は、ユーロ圏のGDP成長率のモンテカルロ・シミュレーションにおける90％の分位点として定義され
る。
バランスの取れた引当金の推計を行うため、有利なシナリオの発生確率は、不利なシナリオの発生確率
と等しい値としている。
シナリオに設定された加重は以下のとおりである。
・ベースのシナリオについて60％
・不利なシナリオについて20％
・有利なシナリオについて20％
期間中のリスク費用
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
減損引当金の純額－資本 1,965 (2,819)
減損引当金の純額－利息 7 (14)
合 計 1,972 (2,833)
期間中のリスク費用の詳細
(単位：千ユーロ)
2019年 2018年
(18) (14)
中央銀行における残高
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 35 (178)
償却原価での金融資産
貸付金 941 (2,155)
前渡金 (41) 62
負債証券 90 (88)
その他資産 22 (16)
融資約定 943 (444)
合計 1,972 (2,833)
1,972
減損を伴わない残高に係るリスク費用 (2,833)
1,972
うち、ステージ１ (3,928)
うち、ステージ２ 1,095
減損した残高に係るリスク費用(ステージ３)
108/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
期間中における減損の変動
(単位：千ユーロ)
12ヶ月の予想損 全期間の予想損
貸倒残高に係る
失を伴う残高に 失を伴う残高に
減損 合計
係る減損 係る減損
(ステージ３)
(ステージ１) (ステージ２)
2019年１月１日現在 (16,879) (16,879)
減損引当金の純額
期間中に取得した金融資産 (2,961) (2,961)
期間中に認識中止された金融資産 1,208 1,208
ステージ２への移転
ステージ３への移転
ステージ１への移転
ステージの移転を伴わないその他の引当金/戻入額 3,725 3,725
2019年12月31日現在 (14,907) (14,907)
注T：付与された又は受領した融資約定
(単位：千ユーロ)
2019年
2019年
12月31日
１月１日
付与された融資約定
信用機関向け 934,595 911,522
顧客向け 5,508,682 5,368,056
付与された融資約定の合計 6,443,277 6,279,578
付与された融資約定の減損 1,720 2,663
うち、ステージ１ 1,720 2,663
うち、ステージ２
うち、ステージ３
2019年12月31日現在、受領した融資約定は計上されていない。
109/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
以下は、2019年12月31日に終了した年度の財務書類についての独立した監査法人であるアーンスト・アン
ド・ヤングの監査報告書の日本語訳である。
欧州評議会開発銀行
2019 年12月31日に終了した年度
独立監査人による年次財務書類についての監査報告書
欧州評議会開発銀行 理事会、管理委員会及び監査委員会の構成員 各位
意見
我々は、欧州評議会開発銀行(以下「本銀行」という。)の年次財務書類を監査した。これらの年次財務書類
には、2019年12月31日を年度末とする貸借対照表、同日に終了した年度に係る損益計算書、包括利益計算
書、株主 資本勘定変動報告書 、キャッシュ・フロー計算書及び重要な会計方針の要約を含む財務書類に対す
る注記が含まれている。
我々の意見では、添付の年次財務書類は、全ての重要な点において、EUにより採用される国際財務報告基準
に従って、2019年12月31日現在の本銀行の財務状況、並びに同日に終了した年度に係る本銀行の財務成績及
びキャッシュ・フローを、適正に表示している。
意見の基礎
我々は、国際監査基準(ISAs)に準拠して監査を行った。かかる基準に基づく我々の責任の詳細については、
下記「年次財務書類の監査に関する監査法人の責任」の項に記載されている。我々は、フランスにおいて
我々の行う年次財務書類の監査に適用される倫理的な要求とともに国際会計士倫理基準審議会の「職業会計
士のための論理規定」(IESBAコード)に従い、本銀行から独立しており、また、かかる要求及びIESBAコード
に従い、その他の我々の倫理的責任を果たしてきた。我々は、我々が取得した監査証拠が、本意見の基礎を
提供することについて十分かつ適正であると確信している。
事項の強調
我々は、注Aの「当行によって適用される主要な会計方法の概要」並びに年次財務書類に対するその他注記に
記載されるヘッジ会計に関するIFRS第９号「金融商品」のフェーズ３の初回適用及びIFRS第16号「リース」
の初回適用に係る会計方法の変更、さらにはそれらの影響に対し注意喚起する。我々の意見は、当該事項に
関して修正されることはない。
重要監査事項
重要監査事項とは、我々の専門的判断において、我々が当期の財務書類を監査するにあたり重要度が最も高
い事項である。これらの事項については、我々の行った財務書類の監査全体の文脈の中で、我々の意見を形
成しつつ対処しており、これらの事項に関する個別の意見は述べていない。
110/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産及びデリバティブの評価
特定されたリスク
2019 年12月31日現在、損益を通じて公正価値で測定する金融商品は、313,302千ユーロの資産及び187,340千
ユーロの負債となった。ヘッジ・デリバティブ金融商品は、838,246千ユーロの資産及び531,460千ユーロの
負債となった。株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産は4,117,841千ユーロであった。
財務書類に対する注Aに定義されているとおり、当該区分に基づく金融資産及び金融負債は、その時価で評価
及び計上される。かかる商品の時価は、活発な市場における見積価格の使用、又は以下の評価技術を適用す
ることによって決定される。
・財務上の仮定に基づく数学的計算方法
・活発な市場において取引される商品価格の利用、又は活発な市場がない場合には統計的推定若しくはその
他の定量法に基づいて決定された価値のパラメーター
かかる金融商品の重要性、関連する見積りの内在不確実性及び2019年１月１日現在のIFRS第９号のフェーズ
３の初回適用により、我々は、株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産及びデリバティブの評価を重
要監査事項とみなしている。
我々の対応
我々は、有価証券ポートフォリオ、金利スワップ及び通貨金利スワップに係る公正価値の決定に関する本銀
行のプロセスを理解し、また、流動性の高い市場における市場価格の確認のため又は公正価値評価の定式化
のために本銀行が実行に移した技法について理解した。
我々は、2019年１月１日現在のIFRS第９号の初回適用による影響の特定及び予測に関する本銀行のプロセス
及び技法を理解した。
証券に関しては、我々は公正価値評価額を入手可能な市場価格と比較し、これらの年度末における３つのレ
ベルの公正価値への分類について調整を行った。
スワップに関しては、我々はスワップ評価額を取引相手方が作成した外部情報と比較し、金利スワップ(IRS)
及び 通貨金利スワップ(CIRS)のサンプルに対する評価を再度計算した。
経営陣及びガバナンスを担当する者の年次財務書類に関する責任
経営陣は、EUにより採用される国際財務報告基準に従って、年次財務書類を作成し、公正に公表すること、
及び故意によるものか又は過失によるものかを問わず、重要な虚偽記載のない年次財務書類を作成するため
に経営陣が必要と判断する内部統制について責任を負う。
経営陣は、年次財務書類の作成にあたって、本銀行の継続企業として存在し続ける能力を評価し、継続企業
に関連する事項を(適用があれば)開示し、また経営陣が本銀行を清算するか若しくは業務を停止する意図が
ある場合又はそうする以外に現実的な代替手段がない場合を除き、会計上の継続企業の前提を使用する責任
を負う。
111/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
ガバナンスを担当する者は、本銀行の財務報告過程を監督する責任を負う。
年次財務書類の監査に関する監査法人の責任
我々の目的は、故意によるものか又は過失によるものかを問わず、年次財務書類全体に重要な虚偽記載がな
いかどうかについて合理的な保証を得ること並びに我々の意見を含む監査報告書を公表することである。合
理的な保証は、高いレベルの保証であるが、ISAに従って行われる監査によって、重要な虚偽記載が存在する
場合にそれを常に発見できるという保証ではない。虚偽記載は、故意又は過失によって生じる場合があり、
それのみによるか又は全体の中でによるものかを問わず、これらの年次財務書類に基づいて利用者が行う経
済的意思決定に影響を及ぼすと合理的に予想される場合に重要とみなされる。
ISA に従って行われる監査の一環として、我々は専門的判断を行い、監査を通して職業上の懐疑心を持ち続け
る。また我々は、以下のことを行う。
・故意によるものか又は過失によるものかを問わず、年次財務書類の重要な虚偽記載のリスクの特定及び評
価を行い、当該リスクに対応する監査手続の企図及び実施を行い、かつ我々の意見の根拠を提供する十分
かつ適切な監査証拠を取得すること。故意による重要な虚偽記載を発見できないリスクは、過失による重
要な虚偽記載を発見できないリスクよりも高い。これは、故意によるものは、共謀、偽造、故意の脱漏、
不実表示又は内部統制の無効を含むことがあるからである。
・特定状況において適切な監査手続を企図するための、監査に関連する内部統制への理解を得ること。但
し、これは本銀行の内部統制の実効性に関する意見を表明することを意図するものではない。
・経営陣により使用される会計方針の適切性並びに経営陣によってなされる会計予測及びそれに関連する開
示の合理性を評価すること。
・経営陣による会計上の継続企業の前提の使用の適切性、及び取得した監査証拠に基づき、本銀行の継続企
業として存在し続ける能力に重大な疑いを掛ける可能性のある事象又は状況に関連する重要な不確実性が
存在するかどうかについて、結論を出すこと。我々が重要な不確実性が存在すると結論付けた場合には、
我々は、年次財務書類の関連する開示に対し、監査報告書において注意喚起する義務があり、又は当該開
示が不適切である場合には、我々の意見を修正する義務がある。我々の結論は、監査報告書の日付現在ま
でに取得した監査証拠に基づいている。しかしながら、将来における事象又は状況によっては、本銀行が
継続企業として存在しなくなる可能性もある。
・年次財務書類の表示全般、構成及び内容(開示情報を含む。)並びに年次財務書類が公正な表示となる様式
で基となる取引及び事象を表しているかどうかを評価すること。
我々は、とりわけ監査の予定範囲及び時期並びに重要な監査上の検出事項(監査中に我々が特定した内部統制
の重大な不備を含む。)について、ガバナンスを担当する者に通知する。
112/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
また我々は、ガバナンスを担当する者に、我々が独立性に関して該当する倫理的要件に準拠した旨の報告書
を提出し、我々の独立性に影響を及ぼすと合理的に考えられる全ての関係性及びその他の事項並びに(適用が
あれば)関連するセーフガードについて通知する。
2020 年３月３日、パリ市ラ・デファンスにて
独立監査人
アーンスト・アンド・ヤング監査法人
(署 名)
Luc Valverde
113/114
EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
（６）【その他】
2020 年１月１日以後提出日までに、重要な変更は生じていない。
（７）【発行者の属する国等の概況】
該当事項なし
114/114
