株式会社ステムリム 有価証券届出書(新規公開時)
提出書類 | 有価証券届出書(新規公開時) |
---|---|
提出日 | |
提出者 | 株式会社ステムリム |
カテゴリ | 有価証券届出書(新規公開時) |
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
【表紙】
【提出書類】 有価証券届出書
【提出先】 近畿財務局長
【提出日】 2019年7月5日
【会社名】 株式会社ステムリム
【英訳名】 StemRIM
【代表者の役職氏名】 代表取締役会長CEO 冨田 憲介
【本店の所在の場所】 大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号
【電話番号】 072-648-7152(代表)
【事務連絡者氏名】 取締役 経営管理部 部長 金崎 努
【最寄りの連絡場所】 大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号
【電話番号】 072-648-7152(代表)
【事務連絡者氏名】 取締役 経営管理部 部長 金崎 努
【届出の対象とした募集(売出)有価証券 株式
の種類】
【届出の対象とした募集(売出)金額】 募集金額
ブックビルディング方式による募集 15,555,000,000円
売出金額
(引受人の買取引受による売出し)
ブックビルディング方式による売出し 7,320,000,000円
(オーバーアロットメントによる売出し)
ブックビルディング方式による売出し 3,843,000,000円
(注) 募集金額は、有価証券届出書提出時における見込額(会社法上の払
込金額の総額)であり、売出金額は、有価証券届出書提出時におけ
る見込額であります。
なお、募集株式及び引受人の買取引受による売出しに係る売出株
式には、日本国内において販売される株式と、SMBC日興証券
株式会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海
外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して
販売される株式が含まれております。詳細は、「第一部 証券情
報 第1 募集要項 1 新規発行株式」及び「第一部 証券情
報 第2 売出要項 1 売出株式(引受人の買取引受による売
出し)」をそれぞれご参照ください。
【縦覧に供する場所】 該当事項はありません。
1/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
第一部 【証券情報】
第1 【募集要項】
1 【新規発行株式】
種類 発行数(株) 内容
完全議決権株式であり、権利内容として何ら限定のない当社にお
普通株式 6,000,000 (注)2 ける標準となる株式であります。
なお、単元株式数は100株であります。
(注) 1.2019年7月5日開催の取締役会決議によっております。
2.2019年7月5日開催の取締役会において決議された公募による新株式発行(以下「本募集」という。)の発行
株式6,000,000株のうちの一部が、SMBC日興証券株式会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中
心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売(以下「本募集における海
外販売」といい、本募集における海外販売の対象となる株数を「本募集における海外販売株数」という。)
されることがあります。なお、本募集の発行株数については、2019年7月24日開催予定の取締役会において
変更される可能性があります。
上記発行数は、本募集における日本国内において販売(以下「国内募集」という。)される株数(以下「本募
集における国内販売株数」という。)の上限です。本募集における国内販売株数及び本募集における海外販
売株数の最終的な内訳は、本募集及び引受人の買取引受による売出し(後記(注)3に定義する。)の需要
状況等を勘案した上で、発行価格決定日(2019年8月1日)に決定されます。本募集における海外販売株数は
未定であり、本募集の発行株数の半数未満とします。
本募集における海外販売に関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事項 2 本邦以外の地
域において開始される募集及び売出しに係る事項について」をご参照ください。
3.本募集及び本募集と同時に行われる後記「第2 売出要項 1 売出株式(引受人の買取引受による売出
し)」に記載の売出し(以下「引受人の買取引受による売出し」という。)に伴い、その需要状況等を勘案
し、1,260,000株を上限として、SMBC日興証券株式会社が当社株主である冨田憲介(以下「貸株人」と
いう。)より借り入れる当社普通株式の売出し(以下「オーバーアロットメントによる売出し」という。)
を行う場合があります。オーバーアロットメントによる売出しに関しましては、後記「募集又は売出しに関
する特別記載事項 3 オーバーアロットメントによる売出し等について」をご参照ください。
これに関連して、当社は、2019年7月5日開催の取締役会において、本募集及び引受人の買取引受による売
出しとは別に、SMBC日興証券株式会社を割当先とする第三者割当による当社普通株式1,260,000株の新
規発行(以下「本第三者割当増資」という。)を決議しております。その内容に関しましては、後記「募集
又は売出しに関する特別記載事項 4 第三者割当増資について」をご参照ください。
4.本募集及び引受人の買取引受による売出しに関連してロックアップに関する合意がなされておりますが、そ
の内容に関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事項 5 ロックアップについて」をご参
照ください。
5.当社の定める振替機関の名称及び住所は、以下のとおりであります。
名称:株式会社証券保管振替機構
住所:東京都中央区日本橋茅場町二丁目1番1号
2/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
2 【募集の方法】
2019年8月1日に決定される予定の引受価額にて、当社と元引受契約を締結する予定の後記「4 株式の引受け」
欄記載の金融商品取引業者(以下「第1 募集要項」において「引受人」という。)は、買取引受けを行い、当該引
受価額と異なる価額(発行価格)で国内募集を行います。引受価額は2019年7月24日開催予定の取締役会において決定
される会社法上の払込金額(発行価額)以上の価額となります。引受人は払込期日に引受価額の総額を当社に払込み、
国内募集における発行価格の総額との差額は引受人の手取金といたします。当社は、引受人に対して引受手数料を支
払いません。
なお、本募集は、株式会社東京証券取引所(以下「取引所」という。)の定める「有価証券上場規程施行規則」第233
条に規定するブックビルディング方式(株式の取得の申込みの勧誘時において発行価格又は売出価格に係る仮条件を投
資家に提示し、株式に係る投資家の需要状況等を把握した上で発行価格等を決定する方法をいう。)により決定する価
格で行います。
区分 発行数(株) 発行価額の総額(円) 資本組入額の総額(円)
入札方式のうち入札による募集 ― ― ―
入札方式のうち入札によらない募集 ― ― ―
6,000,000 15,555,000,000 8,509,500,000
ブックビルディング方式
6,000,000 15,555,000,000 8,509,500,000
計(総発行株式)
(注) 1.全株式を引受人の買取引受けにより募集いたします。
2.上場前の公募増資を行うに際しての手続き等は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」により規定
されております。
3.発行価額の総額は、会社法上の払込金額の総額であり、有価証券届出書提出時における見込額であります。
4.資本組入額の総額は、会社法上の増加する資本金の額であり、会社計算規則第14条第1項に従い算出される
資本金等増加限度額(見込額)の2分の1相当額を資本金に計上することを前提として算出した見込額であり
ます。また、2019年7月5日開催の取締役会において、会社法上の増加する資本金の額は、2019年8月1日
に決定される予定の引受価額に基づき、会社計算規則第14条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の
2分の1の金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとし、会社法
上の増加する資本準備金の額は、当該資本金等増加限度額から上記の増加する資本金の額を減じた額とする
ことを決議しております。
5.発行数、発行価額の総額及び資本組入額の総額は、本募集における国内販売株数の上限に係るものでありま
す。本募集における海外販売株数に係るものにつきましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事
項 2 本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項について」をご参照ください。
6.有価証券届出書提出時における想定仮条件(2,370円~3,730円)の平均価格(3,050円)で算出した場合、国内
募集における発行価格の総額(見込額)の上限は18,300,000,000円となります。
3/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
3 【募集の条件】
(1) 【入札方式】
① 【入札による募集】
該当事項はありません。
② 【入札によらない募集】
該当事項はありません。
(2) 【ブックビルディング方式】
資本 申込株 申込
発行価格 引受価額 払込金額
組入額 数単位 申込期間 証拠金 払込期日
(円) (円) (円)
(円) (株) (円)
未定 未定 未定 未定 自 2019年8月2日(金) 未定
100 2019年8月8日(木)
(注)1 (注)1 (注)2 (注)3 至 2019年8月7日(水) (注)4
(注) 1.発行価格は、ブックビルディング方式によって決定いたします。
発行価格の決定に当たり、2019年7月24日に仮条件を提示する予定であります。
当該仮条件による需要状況、上場日までの価格変動リスク等を総合的に勘案した上で、2019年8月1日に発
行価格及び引受価額を決定する予定であります。
仮条件は、事業内容、経営成績及び財政状態、事業内容等の類似性が高い上場会社との比較、価格算定能力
が高いと推定される機関投資家等の意見その他を総合的に勘案して決定する予定であります。
需要の申込みの受付けに当たり、引受人は、当社株式が市場において適正な評価を受けることを目的に、機
関投資家等を中心に需要の申告を促す予定であります。
2.払込金額は、会社法上の払込金額であり、2019年7月24日開催予定の取締役会において決定する予定であり
ます。また、前記「2 募集の方法」の冒頭に記載のとおり、会社法上の払込金額及び2019年8月1日に決
定される予定の発行価格、引受価額とは各々異なります。発行価格と引受価額との差額の総額は、引受人の
手取金となります。
3.資本組入額は、前記「2 募集の方法」に記載の資本組入額の総額を、前記「2 募集の方法」に記載の発
行数で除した金額とし、2019年8月1日に決定する予定であります。
4.申込証拠金は、発行価格と同一の金額とし、利息をつけません。なお、申込証拠金のうち引受価額相当額
は、払込期日に新株式払込金に振替充当いたします。
5.株式受渡期日は、2019年8月9日(以下「上場(売買開始)日」という。)の予定であります。本募集に係る株
式は、株式会社証券保管振替機構(以下「機構」という。)の「株式等の振替に関する業務規程」に従い、機
構にて取扱いますので、上場(売買開始)日から売買を行うことができます。
6.申込みの方法は、申込期間内に後記申込取扱場所へ申込証拠金を添えて申込みをするものといたします。
7.申込みに先立ち、2019年7月25日から2019年7月31日までの間で引受人に対して、当該仮条件を参考として
需要の申告を行うことができます。当該需要の申告は変更又は撤回することが可能であります。
販売に当たりましては、取引所の「有価証券上場規程」に定める株主数基準の充足、上場後の株式の流通性
の確保等を勘案し、需要の申告を行わなかった投資家にも販売が行われることがあります。
引受人及びその委託販売先金融商品取引業者は、各社の定める配分に係る基本方針及び社内規則等に従い販
売を行う方針であります。配分に係る基本方針については各社の店頭における表示又はホームページにおけ
る表示等をご確認ください。
8.引受価額が会社法上の払込金額を下回る場合は本募集を中止いたします。
① 【申込取扱場所】
後記「4 株式の引受け」欄記載の引受人及びその委託販売先金融商品取引業者の全国の本支店及び営業所で申
込みの取扱いをいたします。
② 【払込取扱場所】
店名 所在地
株式会社三井住友銀行 豊中支店 大阪府豊中市本町一丁目9番5号
(注) 上記の払込取扱場所での申込みの取扱いは行いません。
4/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
4 【株式の引受け】
引受株式数
引受人の氏名又は名称 住所 引受けの条件
(株)
SMBC日興証券株式会社 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号
1.買取引受けによりま
大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号
す。
2.引受人は新株式払込
野村證券株式会社 東京都中央区日本橋一丁目9番1号
金として、払込期日
までに払込取扱場所
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
へ引受価額と同額を
払込むことといたし
株式会社SBI証券 東京都港区六本木一丁目6番1号
未定
ます。
3.引受手数料は支払わ
いちよし証券株式会社 東京都中央区八丁堀二丁目14番1号
れません。ただし、
発行価格と引受価額
岡三証券株式会社 東京都中央区日本橋一丁目17番6号
との差額の総額は引
受人の手取金となり
楽天証券株式会社 東京都世田谷区玉川一丁目14番1号
ます。
京都府京都市下京区四条通高倉西入ル立
西村証券株式会社
売西町65番地
計 ― 6,000,000 ―
(注) 1.各引受人の引受株式数は、2019年7月24日に決定する予定であります。なお、需要状況等を勘案した結果、
本募集における国内販売株数及び本募集における海外販売株数の最終的な内訳に伴って、2019年8月1日付
で変更される可能性があります。
2.上記引受人と発行価格決定日(2019年8月1日)に元引受契約を締結する予定であります。
3.引受人は、上記引受株式数のうち、2,000株を上限として、全国の販売を希望する引受人以外の金融商品取
引業者に販売を委託する方針であります。
5/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
5 【新規発行による手取金の使途】
(1) 【新規発行による手取金の額】
払込金額の総額(円) 発行諸費用の概算額(円) 差引手取概算額(円)
17,019,000,000 150,000,000 16,869,000,000
(注) 1.払込金額の総額は、会社法上の払込金額の総額とは異なり、新規発行に際して当社に払い込まれる引受価額
の総額であり、有価証券届出書提出時における想定仮条件(2,370円~3,730円)の平均価格(3,050円)を基礎
として算出した見込額であります。
2.払込金額の総額、発行諸費用の概算額及び差引手取概算額は、本募集における国内販売株数の上限に係るも
のであります。本募集における海外販売株数に係るものにつきましては、後記「募集又は売出しに関する特
別記載事項 2 本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項について」をご参照くださ
い。
3.引受手数料は支払わないため、発行諸費用の概算額は、これ以外の費用を合計したものであります。また、
消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)は含まれておりません。
(2) 【手取金の使途】
上記の差引手取概算額16,869,000千円に、海外販売の手取概算額(未定)及び本第三者割当増資の手取概算額上
限3,561,481千円と合わせた、手取概算額合計上限20,430,481千円については、①「再生誘導医学研究所」及び「動
物実験施設」の設立資金、②継続して研究開発を行うための運転資金、並びに③事業拡大に伴う人件費に充当する
予定であります。具体的には以下のとおりであります。
①「第二部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」で記載している「再生誘導医学研
究所」及び「動物実験施設」の設立資金として、14,620,264千円(2020年7月期7,949,610千円、2021年7月期
4,547,481千円、2022年7月期2,123,173千円)を充当する予定であります。
②現状で存在するパイプラインに係る研究開発を推進する費用、及び新規パイプラインの研究開発に係る費用と
して5,335,437千円(2020年7月期1,088,000千円、2021年7月期1,526,010千円、2022年7月期2,721,427千円)
を充当する予定であります。
③事業拡大のための優秀な人材確保を目的とした人件費(人材採用費を含む)の増加を計画しており、人件費
(人材採用費を含む)474,780千円(2020年7月期88,293千円、2021年7月期108,032千円、2022年7月期278,455
千円)を充当する予定であります。
また、上記調達資金は、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用していく方針であります。
(注) 設備計画の内容については、「第二部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」の
項をご参照ください。
6/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
第2 【売出要項】
1 【売出株式(引受人の買取引受による売出し)】
2019年8月1日に決定される予定の引受価額にて、当社と元引受契約を締結する予定の後記「2 売出しの条件
(引受人の買取引受による売出し) (2)ブックビルディング方式」に記載の金融商品取引業者(以下「第2 売
出要項」において「引受人」という。)は、下記売出人から買取引受けを行い、当該引受価額と異なる価額(売出価
格、発行価格と同一の価格)で売出しを行います。引受人は株式受渡期日に引受価額の総額を売出人に支払い、引受
人の買取引受による売出しにおける売出価格の総額との差額は引受人の手取金といたします。売出人は、引受人に対
して引受手数料を支払いません。
売出価額の総額 売出しに係る株式の所有者の
種類 売出数(株)
(円) 住所及び氏名又は名称
入札方式のうち入札
― ― ― ―
による売出し
入札方式のうち入札
― ― ― ―
によらない売出し
東京都杉並区
冨田 憲介
2,100,000株
大阪府豊中市
ブックビルディング
普通株式 2,400,000 7,320,000,000 山﨑 尊彦
方式
250,000株
京都府京都市
金崎 努
50,000株
計(総売出株式) ― 2,400,000 7,320,000,000 ―
(注)1.上場前の売出しを行うに際しての手続き等は、取引所の「有価証券上場規程施行規則」により規定されて
おります。
2.引受人の買取引受による売出しに係る売出株式2,400,000株のうちの一部が、SMBC日興証券株式会社の
関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外
投資家に対して販売(以下「引受人の買取引受による売出しにおける海外販売」といい、引受人の買取引
受による売出しにおける海外販売の対象となる株数を「引受人の買取引受による売出しにおける海外販売
株数」という。)されることがあります。なお、引受人の買取引受による売出しに係る売出株数について
は、今後変更される可能性があります。
上記売出数は、引受人の買取引受による売出しにおける日本国内において販売(以下「引受人の買取引受
による売出しにおける国内販売」という。)される株数(以下「引受人の買取引受による売出しにおける
国内販売株数」という。)の上限です。引受人の買取引受による売出しにおける国内販売株数及び引受人
の買取引受による売出しにおける海外販売株数の最終的な内訳は、本募集及び引受人の買取引受による売
出しの需要状況等を勘案した上で、売出価格決定日(2019年8月1日)に決定されます。引受人の買取引
受による売出しにおける海外販売株数は未定であり、引受人の買取引受による売出しに係る売出株数の半
数未満とします。
引受人の買取引受による売出しにおける海外販売に関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記
載事項 2 本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項について」をご参照くださ
い。
3.本募集における株式の発行を中止した場合には、引受人の買取引受による売出しも中止いたします。
4.本募集及び引受人の買取引受による売出しに伴い、その需要状況等を勘案し、オーバーアロットメントに
よる売出しを行う場合があります。
オーバーアロットメントによる売出しに関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事項
3 オーバーアロットメントによる売出し等について」をご参照ください。
5.本募集及び引受人の買取引受による売出しに関連して、ロックアップに関する合意がなされております
が、その内容に関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事項 5 ロックアップについ
て」をご参照ください。
7/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
6.振替機関の名称及び住所は、前記「第1 募集要項 1 新規発行株式」の(注)5に記載した振替機関
と同一であります。
7.売出価額の総額は、有価証券届出書提出時における想定仮条件(2,370円~3,730円)の平均価格(3,050
円)で算出した見込額であり、引受人の買取引受による売出しにおける国内販売株数の上限に係るもので
あります。引受人の買取引受による売出しにおける海外販売株数に係るものにつきましては、後記「募集
又は売出しに関する特別記載事項 2 本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項に
ついて」をご参照ください。
8/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
2 【売出しの条件(引受人の買取引受による売出し)】
(1) 【入札方式】
① 【入札による売出し】
該当事項はありません。
② 【入札によらない売出し】
該当事項はありません。
(2) 【ブックビルディング方式】
申込株 申込
売出価格 引受価額 引受人の住所及び氏名又は名 元引受契
申込期間 数単位 証拠金 申込受付場所
(円) (円) 称 約の内容
(株) (円)
東京都千代田区丸の内三丁目
3番1号
SMBC日興証券株式会社
東京都千代田区丸の内一丁目
9番1号
大和証券株式会社
東京都中央区日本橋一丁目9
番1号
野村證券株式会社
東京都千代田区大手町一丁目
5番1号
みずほ証券株式会社
引受人及びそ
東京都港区六本木一丁目6番
自 2019年 の委託販売先
未定
1号
未定 8月2日(金) 未定 金融商品取引 未定
(注)1 100
株式会社SBI証券
(注)2 至 2019年 (注)2 業者の全国の (注)3
(注)2
8月7日(水) 本支店及び営
業所
東京都中央区八丁堀二丁目14
番1号
いちよし証券株式会社
東京都中央区日本橋一丁目17
番6号
岡三証券株式会社
東京都世田谷区玉川一丁目14
番1号
楽天証券株式会社
京都府京都市下京区四条通高
倉西入ル立売西町65番地
西村証券株式会社
(注)1.売出価格の決定方法は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2)ブックビルディング方式」の
(注)1と同様であります。
2.売出価格、引受価額及び申込証拠金は、本募集における発行価格、引受価額及び申込証拠金とそれぞれ同
一といたします。ただし、申込証拠金には、利息をつけません。
3.引受人の引受価額による買取引受けによることとし、その他元引受契約の内容、売出しに必要な条件は、
売出価格決定日(2019年8月1日)に決定する予定であります。なお、元引受契約においては、引受手数
料は支払われません。ただし、売出価格と引受価額との差額の総額は引受人の手取金となります。
4.上記引受人と売出価格決定日に元引受契約を締結する予定であります。
5.株式受渡期日は、上場(売買開始)日の予定であります。引受人の買取引受による売出しに係る株式は、
機構の「株式等の振替に関する業務規程」に従い、機構にて取扱いますので、上場(売買開始)日から売
買を行うことができます。
6.申込みの方法は、申込期間内に上記申込受付場所へ申込証拠金を添えて申込みをするものといたします。
7.上記引受人及びその委託販売先金融商品取引業者の販売方針は、前記「第1 募集要項 3 募集の条
件 (2)ブックビルディング方式」の(注)7に記載した販売方針と同様であります。
9/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
3 【売出株式(オーバーアロットメントによる売出し)】
売出価額の総額 売出しに係る株式の所有者の
種類 売出数(株)
(円) 住所及び氏名又は名称
入札方式のうち入札
― ― ― ―
による売出し
入札方式のうち入札
― ― ― ―
によらない売出し
ブックビルディング 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号
普通株式 1,260,000 3,843,000,000
方式 SMBC日興証券株式会社
計(総売出株式) ― 1,260,000 3,843,000,000 ―
(注) 1.オーバーアロットメントによる売出しは、本募集及び引受人の買取引受による売出しに伴い、その需要状況
等を勘案した上で行われる、SMBC日興証券株式会社が貸株人より借り入れる当社普通株式の売出しであ
ります。なお、上記売出数は上限の株式数を示したものであり、需要状況等により減少する場合、又はオー
バーアロットメントによる売出しが全く行われない場合があります。
オーバーアロットメントによる売出しに関しましては、後記「募集又は売出しに関する特別記載事項 3
オーバーアロットメントによる売出し等について」をご参照ください。
2.上場前の売出しを行うに際しての手続き等は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」により規定さ
れております。
3.本募集における株式の発行を中止した場合には、オーバーアロットメントによる売出しも中止いたします。
4.振替機関の名称及び住所は、「第1 募集要項 1 新規発行株式」の(注)5に記載した振替機関と同一で
あります。
5.売出価額の総額は、有価証券届出書提出時における想定仮条件(2,370円~3,730円)の平均価格(3,050円)で
算出した見込額であります。
4 【売出しの条件(オーバーアロットメントによる売出し)】
(1) 【入札方式】
① 【入札による売出し】
該当事項はありません。
② 【入札によらない売出し】
該当事項はありません。
(2) 【ブックビルディング方式】
売出価格 申込株数単位 申込証拠金 引受人の住所及び 元引受契
申込期間 申込受付場所
(円) (株) (円) 氏名又は名称 約の内容
自 2019年
SMBC日興証券株
未定 8月2日(金) 未定
100 式会社の本店及び全 ― ―
(注)1 至 2019年 (注)1
国各支店
8月7日(水)
(注) 1.売出価格及び申込証拠金については、引受人の買取引受による売出しに係る国内販売における売出価格及び
申込証拠金とそれぞれ同一とし、売出価格決定日に決定する予定であります。ただし、申込証拠金には、利
息をつけません。
2.株式受渡期日は、上場(売買開始)日の予定であります。オーバーアロットメントによる売出しに係る株式
は、機構の「株式等の振替に関する業務規程」に従い、機構にて取扱いますので、上場(売買開始)日から売
買を行うことができます。
3.申込みの方法は、申込期間内に上記申込受付場所へ申込証拠金を添えて申込みをするものといたします。
4.SMBC日興証券株式会社の販売方針は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2) ブックビルディン
グ方式」の(注)7に記載した販売方針と同様であります。
10/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
【募集又は売出しに関する特別記載事項】
1 東京証券取引所マザーズへの上場について
当社は前記「第1 募集要項」における募集株式及び前記「第2 売出要項」における売出株式を含む当社普通株
式について、SMBC日興証券株式会社を主幹事会社として東京証券取引所マザーズへの上場を予定しております。
2 本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項について
本募集の発行株式のうちの一部が、SMBC日興証券株式会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とす
る海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがあります。また、引受人の
買取引受による売出しに係る売出株式のうちの一部が、SMBC日興証券株式会社の関係会社等を通じて、欧州及び
アジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがありま
す。以下は、かかる本募集における海外販売及び引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の内容として、企
業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号に掲げる各事項を一括して掲載したものであります。
1.本募集における海外販売に関する事項
(1)株式の種類
当社普通株式
(2)本募集における海外販売の発行数(海外販売株数)
未定
(注)上記発行数は、本募集における海外販売株数であり、本募集及び引受人の買取引受による売出しの
需要状況等を勘案した上で、発行価格決定日(2019年8月1日)に決定されますが、本募集におけ
る海外販売株数は、本募集の発行株数の半数未満とします。
(3)本募集における海外販売の発行価格(募集価格)
未定
(注)1 . 本募集における海外販売の発行価格の決定方法は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件
(2)ブックビルディング方式」の(注)1と同様であります。
2 . 本募集における海外販売の発行価格は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2)ブッ
クビルディング方式」に記載の国内募集における発行価格と同一といたします。
(4)本募集における海外販売の発行価額(会社法上の払込金額)
未定
(注)1 . 前記「第1 募集要項 2 募集の方法」の冒頭に記載のとおり、会社法上の払込金額及び
2019年8月1日に決定される予定の発行価格、引受価額とは各々異なります。発行価格と引受
価額との差額の総額は、引受人の手取金となります。
2 . 本募集における海外販売の発行価額は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2)ブッ
クビルディング方式」に記載の国内募集における払込金額と同一といたします。
(5)本募集における海外販売の資本組入額
未定
(注)本募集における海外販売の資本組入額は、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2)ブック
ビルディング方式」に記載の国内募集における資本組入額と同一といたします。
(6)本募集における海外販売の発行価額の総額
未定
11/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(7)本募集における海外販売の資本組入額の総額
未定
(注)本募集における海外販売の資本組入額の総額は、会社法上の増加する資本金の額であり、会社計算
規則第14条第1項に従い算出される資本金等増加限度額(見込額)の2分の1相当額を資本金に計
上することを前提として算出します。
(8)株式の内容
完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。
なお、単元株式数は100株であります。
(9)発行方法
下記(10)に記載の引受人が本募集の発行株式を買取引受けした上で、本募集の発行株式のうちの一部をS
MBC日興証券株式会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカ
ナダを除 く 。)の海外投資家に対して販売します。
(10)引受人の名称
前記「第1 募集要項 4 株式の引受け」に記載の引受人
(11)募集を行う地域
欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)
(12)提出会社が取得する手取金の総額並びに使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
① 手取金の総額
払込金額の総額 未定
発行諸費用の概算額 未定
差引手取概算額 未定
② 手取金の使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
前記「第1 募集要項 5 新規発行による手取金の使途 (2)手取金の使途」に記載のとおり
(13)本募集における海外販売の新規発行年月日(払込期日)
2019年8月8日(木)
(14)当該有価証券を金融商品取引所に上場しようとする場合における当該金融商品取引所の名称
株式会社東京証券取引所
2.引受人の買取引受による売出しにおける海外販売に関する事項
(1)株式の種類
当社普通株式
(2)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の売出数(海外販売株数)
未定
(注)上記売出数は、引受人の買取引受による売出しにおける海外販売株数であり、本募集及び引受人の
買取引受による売出しの需要状況等を勘案した上で、売出価格決定日(2019年8月1日)に決定さ
れますが、引受人の買取引受による売出しにおける海外販売株数は、引受人の買取引受による売出
しに係る売出株数の半数未満とします。
12/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(3)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の売出価格
未定
(注)1.引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の売出価格の決定方法は、前記「第1 募集
要項 3 募集の条件 (2)ブックビルディング方式」の(注)1と同様であります。
2.引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の売出価格は、前記「第2 売出要項 2
売出しの条件(引受人の買取引受による売出し) (2)ブックビルディング方式」に記載の引
受人の買取引受による売出しにおける国内販売の売出価格と同一といたします。
(4)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の引受価額
未定
(注)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の引受価額は、引受人の買取引受による売出しに
おける国内販売の引受価額と同一といたします。
(5)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の売出価額の総額
未定
(6)株式の内容
完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。
なお、単元株式数は100株であります。
(7)売出方法
下記(8)に記載の引受人が引受人の買取引受による売出しの売出株式を買取引受けした上で、引受人の買
取引受による売出しに係る売出株式のうちの一部をSMBC日興証券株式会社の関係会社等を通じて、欧州及
びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売します。
(8)引受人の名称
前記「第2 売出要項 2 売出しの条件(引受人の買取引受による売出し) (2)ブックビルディング
方式」に記載の引受人
(9)売出しを行う者の氏名又は名称
前記「第2 売出要項 1 売出株式(引受人の買取引受による売出し)」に記載の売出人
(10)売出しを行う地域
欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)
(11)引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の受渡年月日
2019年8月9日(金)
(12)当該有価証券を金融商品取引所に上場しようとする場合における当該金融商品取引所の名称
株式会社東京証券取引所
13/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
3 オーバーアロットメントによる売出し等について
本募集及び引受人の買取引受による売出しに伴い、その需要状況等を勘案し、1,260,000株を上限として、本募集及
び引受人の買取引受による売出しの主幹事会社であるSMBC日興証券株式会社が貸株人より借り入れる当社普通株
式(以下「借入株式」という。)の売出し(オーバーアロットメントによる売出し)を行う場合があります。なお、
当該売出株式数は上限の株式数を示したものであり、需要状況等により減少する場合、又はオーバーアロットメント
による売出しが全く行われない場合があります。
これに関連して、オーバーアロットメントによる売出しが行われる場合は、当社はSMBC日興証券株式会社に対
して、オーバーアロットメントによる売出しに係る株式数を上限として、本第三者割当増資の割当を受ける権利(以
下「グリーンシューオプション」という。)を、2019年9月6日を行使期限として付与します。
SMBC日興証券株式会社は、借入株式の返還を目的として、上場(売買開始)日から2019年9月6日までの間
(以下「シンジケートカバー取引期間」という。)、オーバーアロットメントによる売出しに係る株式数の範囲内で
東京証券取引所において当社普通株式の買付(以下「シンジケートカバー取引」という。)を行う場合があり、当該
シンジケートカバー取引で買付けられた株式は借入株式の返還に充当されます。なお、シンジケートカバー取引期間
内においても、SMBC日興証券株式会社の判断で、シンジケートカバー取引を全く行わない、又はオーバーアロッ
トメントによる売出しに係る株式数に至らない株式数でシンジケートカバー取引を終了させる場合があります。
SMBC日興証券株式会社は、オーバーアロットメントによる売出しに係る株式数からシンジケートカバー取引に
より買付けた株式数を控除した株式数についてのみ、グリーンシューオプションを行使し本第三者割当増資の割当に
応じる予定であります。したがって、本第三者割当増資における発行数の全部又は一部につき申込みが行われず、そ
の結果、失権により本第三者割当増資における最終的な発行数が減少する、又は発行そのものが全く行われない場合
があります。
SMBC日興証券株式会社が本第三者割当増資に応じる場合には、SMBC日興証券株式会社はオーバーアロット
メントによる売出しによる手取金をもとに払込みを行います。
オーバーアロットメントによる売出しが行われるか否か及びオーバーアロットメントによる売出しが行われる場合
の売出数については、2019年8月1日に決定されます。オーバーアロットメントによる売出しが行われない場合は、
SMBC日興証券株式会社による貸株人からの当社普通株式の借り入れは行われません。したがって、SMBC日興
証券株式会社はグリーンシューオプションを全く行使しないため、失権により、本第三者割当増資による新株式発行
は全く行われません。また、東京証券取引所におけるシンジケートカバー取引も行われません。
4 第三者割当増資について
上記「3 オーバーアロットメントによる売出し等について」に記載のSMBC日興証券株式会社を割当先とする
本第三者割当増資について、当社が 2019 年7月5日開催の取締役会において決議した内容は、以下のとおりでありま
す。
(1) 募集株式の数 当社普通株式 1,260,000株
(2) 募集株式の払込金額 未定(注)1
増加する資本金の額は、割当価格に基づき、会社計算規則第14条第1項に
従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果1
増加する資本金及び資本準備金
(3) 円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとします。ま
に関する事項
た、増加する資本準備金の額は、当該資本金等増加限度額から上記の増加
する資本金の額を減じた額とします。(注)2
(4) 払込期日 2019年9月11日(水)
(注)1.募集株式の払込金額(会社法上の払込金額)は、1株につき、前記「第1 募集要項 3 募集の条件
(2)ブックビルディング方式」に記載の国内募集における払込金額(会社法上の払込金額)と同一と
し、2019年7月24日開催予定の取締役会において決定します。
2.割当価格は、1株につき、前記「第1 募集要項 3 募集の条件 (2)ブックビルディング方式」に
記載の国内募集における引受価額と同一とし、 2019 年8月1日に決定します。
14/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
5 ロックアップについて
本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である冨田憲介、売出人かつ当社役員である
山﨑尊彦、金崎努、当社株主である玉井克人、玉井佳子、大久保俊幸、大阪バイオファンド投資事業有限責任組合、
臼井玲、西巻光平、公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団、有限会社イー・シー・エス、JAIC-ブリッジ2
号投資事業有限責任組合、当社新株予約権者かつ当社役員である横田耕一、久渡庸二、行正秀文、津田和義は、SM
BC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る
元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年2月4日までの期間(以下「ロック
アップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計
算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。
当社普通株式の管理を目的に委託した信託財産である株式会社SMBC信託銀行信託口08900027(以下「当該信託
口」という。)における委託者兼受益者である塩野義製薬株式会社は、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中
は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に当該信託口で保有する当社普通株式
を当該信託口における受託者である株式会社SMBC信託銀行に譲渡又は売却を行わせないこと、当社普通株式の管
理を目的として当該信託口以外の新たな信託口が設定された場合においてその受託者に譲渡又は売却を行わせないこ
と及び信託財産としての当社普通株式が受託者から当社に交付された場合において譲渡又は売却を行わない旨を約束
しております。
また、当社は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることな
く、当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利あるいは義務を有する有価証券の発行又は売却(本第三者割当増
資に係る新株式発行並びに株式分割による新株式発行等及びストック・オプションに係る新株予約権の発行を除
く。)を行わないことに合意しております。
なお、上記のいずれの場合においても、主幹事会社は、その裁量で当該合意内容の一部若しくは全部につき解除
し、又はその制限期間を短縮する権限を有しております。
上記のほか、当社は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」の規定に基づき、上場前の第三者割当等によ
る募集株式等の割当に関し、割当を受けた者との間で継続所有等の確約を行っております。その内容については、
「第四部 株式公開情報 第2 第三者割当等の概況」をご参照ください。
15/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
第3 【その他の記載事項】
新株式発行並びに株式売出届出目論見書に記載しようとする事項
(1)表紙に以下の当社社章を記載いたします。
(2)表紙の次に「1.事業の内容」~「6.業績等の推移」をカラー印刷したものを記載いたします。
16/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
17/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
18/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
19/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
20/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
21/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
22/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
23/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
第二部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
回次 第9期 第10期 第11期 第12期 第13期
決算年月 2014年7月 2015年7月 2016年7月 2017年7月 2018年7月
事業収益 (千円) 228,352 268,719 596,777 300,000 200,000
経常利益
(千円) △ 63,693 △ 125,625 239,600 △ 157,140 △ 327,338
又は経常損失(△)
当期純利益
(千円) △ 43,983 △ 115,347 201,290 △ 123,936 △ 323,822
又は当期純損失(△)
持分法を適用した
(千円) ― ― ― ― ―
場合の投資利益
資本金 (千円) 90,000 90,000 90,000 90,000 90,000
発行済株式総数 (株) 108,667 118,167 118,167 118,167 131,554
純資産額 (千円) 229,150 913,802 1,115,093 991,156 1,872,163
総資産額 (千円) 353,629 987,982 1,256,857 1,043,521 1,924,782
1株当たり純資産額 (円) 2,108.74 7,733.15 9,436.59 27.96 47.44
― ― ― ― ―
1株当たり配当額
(円)
(1株当たり中間配当額)
( ―) ( ―) ( ―) ( ―) ( ―)
1株当たり当期純利益金額
(円) △ 397.97 △ 976.14 1,703.44 △ 3.50 △ 8.47
又は当期純損失金額(△)
潜在株式調整後
(円) ― ― ― ― ―
1株当たり当期純利益金額
自己資本比率 (%) 64.8 92.5 88.7 95.0 97.3
自己資本利益率 (%) ― ― 19.8 ― ―
株価収益率 (倍) ― ― ― ― ―
配当性向 (%) ― ― ― ― ―
営業活動による
(千円) ― ― ― △ 285,347 △ 260,976
キャッシュ・フロー
投資活動による
(千円) ― ― ― △ 403 ―
キャッシュ・フロー
財務活動による
(千円) ― ― ― ― 1,200,057
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(千円) ― ― ― 904,319 1,843,404
の期末残高
7 8 9 18 20
従業員数
(名)
〔外、平均臨時雇用者数〕
〔 12 〕 〔 14 〕 〔 11 〕 〔 11 〕 〔 14 〕
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であ
り、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
4.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
5.第9期、第10期、第12期及び第13期の自己資本利益率については、当期純損失のため、記載しておりませ
ん。
6.第9期から第11期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに
係る各項目については記載しておりません。
24/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
7.第12期及び第13期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38
年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本
有限責任監査法人の監査を受けておりますが、主要な経営指標等のうち、第9期から第11期については、会
社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第
193条の2第1項の規定に準ずる監査を受けておりません。
8.当社は、2019年3月1日付で普通株式1株につき100株、2019年3月8日付で普通株式1株につき3株の株
式分割を行っておりますが、第12期の期首にこれらの株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及
び1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額を算定しております。
9. 当社は、2019年3月1日付で普通株式1株につき100株、2019年3月8日付で普通株式1株につき3株の株
式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担
当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年
8月21日付東証上審第133号)に基づき、第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合
の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第9期、第10期及び第11期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日
本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 第9期 第10期 第11期 第12期 第13期
決算年月 2014年7月 2015年7月 2016年7月 2017年7月 2018年7月
1株当たり純資産額 (円) 7.03 25.78 31.46 27.96 47.44
1株当たり当期純利益金額
(円) △1.33 △3.25 5.68 △3.50 △8.47
又は当期純損失金額(△)
潜在株式調整後
(円) ― ― ― ― ―
1株当たり当期純利益金額
1株当たり配当額 ― ― ― ― ―
(円)
(1株当たり中間配当額) (―) (―) (―) (―) (―)
25/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
2 【沿革】
年月 概要
大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品とし
2006年10月
て開発することを目的に会社設立。
大阪大学との共同研究を開始。以後、研究成果の知財化を進め、これまでに78件の特許を取得。
2007年4月
(そのほか43件の特許を出願中)
独立行政法人 科学技術振興機構(JST) 産学共同シーズイノベーション化事業に採択。
2008年10月
独立行政法人 科学技術振興機構(JST) A-STEP本格研究開発ハイリスク挑戦タイプに採択。
2009年12月
本社を彩都バイオインキュベータ(大阪府茨木市)に移転。彩都ラボ開設。
2010年4月
塩野義製薬株式会社と骨髄由来幹細胞動員因子に関する共同研究契約締結。(注)1
独立行政法人 科学技術振興機構(JST) A-STEP本格研究開発シーズ育成タイプに採択。
2011年11月
神戸ポートアイランド内に神戸ラボ(兵庫県神戸市)を開設。疾患モデル動物を用いた薬効試験の
2012年6月
実施体制を強化。
彩都バイオインキュベータ内のラボを増床。加えて自社の動物飼育/実験施設を開設し、神戸ラボ
2013年7月
の機能を吸収。
独立行政法人 科学技術振興機構(JST) A-STEP本格研究開発シーズ育成タイプに採択。大阪大学
2013年12月
の早期探索的臨床試験拠点整備事業と連携し、医師主導治験を支援。
大阪大学最先端医療イノベーションセンターの共同研究プロジェクトに採択(テーマは「体内再生誘
2014年4月
導医薬開発のための非臨床試験及び新規候補物質の探索」)。大阪大学ラボ開設。
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2013年度イノベーション実用化ベ
2014年5月
ンチャー支援事業に採択。
2014年11月 塩野義製薬株式会社とHMGB1に関するライセンス契約締結。(注)2
2015年8月 国立大学法人大阪大学にてHMGB1に関する医師主導治験開始。
2017年3月 HMGB1ペプチドに関する表皮水疱症を対象とした医師主導治験(第Ⅰ相試験)終了。
2017年8月 中小企業庁助成事業「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択。
2017年12月 HMGB1ペプチドに関する表皮水疱症を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)開始。
2018年7月 株式会社ステムリム(StemRIM)に社名変更。
2019年4月 HMGB1ペプチドに関する脳梗塞を対象とした企業治験(第Ⅱ相試験)開始。
(注)1.「骨髄由来幹細胞動員因子に関する共同研究契約」: HMGB1を候補品とし、医薬品としての開発可能性を検
討することを目的とした契約です。
2.「HMGB1」: HMGB1(high mobility group box-1 protein)は、様々な細胞の核内に存在し、DNAと結合して遺
伝子発現を制御する核蛋白です。HMGB1は細胞が壊死した際や炎症細胞が活性化した際に細胞外に放出さ
れ、細胞遊走、増殖などを誘導し、自然免疫、自然炎症を助ける働きをすると共に、それに続く組織再生反
応を活性化することが知られています。
26/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
3 【事業の内容】
当社が創業以来、その実現を目指し研究開発に取り組んできた「再生誘導医薬」は、怪我や病気により損傷し機能
を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する、新しい作用メカニズムにもとづく医薬品です。
再生誘導医薬は、従来型の再生医療(※1)/細胞治療とは異なり、生きた細胞の投与を必要とせず、物質=医薬
品の投与によって、患者自身の体内に存在する幹細胞(※2)を活性化する方法で、より簡便かつ安全に、治療効果
の高い再生医療を実現します。再生誘導医薬開発により、生きた細胞製剤では難しい安定した品質による迅速な再生
医療を実現する製品供給が可能となることから、広く普及可能な新しい再生医療となり得ます。
再生誘導医薬の投与によって患者の体内で誘導される幹細胞は、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異
的(※3)に集積します。損傷部位に集積した幹細胞は、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組
織に分化する能力を有するため、再生誘導医薬という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中
枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系
疾患など、組織損傷をともなう数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
当社で最も開発の進む開発品は、現在、大阪大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・東邦大学医療センターにお
いて難治性遺伝性皮膚疾患(表皮水疱症(※4))を対象とした臨床試験(医師主導治験)第Ⅱ相試験(※5)を実
施中です。当該開発品をはじめとして、当社はこれまでの研究開発活動を通じて、複数の疾患に対する複数の研究開
発パイプライン(医薬品候補群)を保有しており、再生誘導医薬の実現に向けた多面的・多層的な創薬研究開発事業
を展開しております。
(1)事業の内容
① 事業モデル
当社は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。自社研究若しくは大学等研究機関との共同研究を通
じて、生体内における組織再生誘導メカニズム(※6)の解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術(※7)
に関する基礎研究をおこない、その成果を活用したスクリーニング(※8)系によって、再生誘導医薬シーズ
(※9)の探索をおこなっております。
同定した候補物質については、自社単独若しくは共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、
研究開発活動の果実である知的財産の構築を進めております。大学等研究機関と共同で出願した特許について
は、当社が独占的な実施権の許諾を受け、以後の製品化に向けた研究開発を当社主導で進めております。
候補物質については、自社若しくは大学等研究機関/パートナー企業と共同で、製造方法の開発、非臨床薬効
薬理試験(※10)、安全性試験(※11)、初期臨床試験等(※12)までを実施し、医薬品開発の成功可能性と知
的財産価値を高めたうえで、国内・海外の製薬企業に対して、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスア
ウトすることで、(a)契約一時金、(b)開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、(c)製品上市後に売上
高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、(b)売上高に対する目標値を達成するごとに支払われる販売マイル
ストーン収入等を得る事業モデルを採用しております。
また、パートナー企業とは、ライセンス契約に至る前の比較的早期の研究開発段階において、将来のライセン
ス契約を前提とした共同研究契約を締結することもあります(事業系統図の(共同研究))。この場合、当社
は、パートナー企業から (a) 契約一時金、 (d) 共同研究収入を得ることで、自社の費用負担を低減しつつ、かつ
パートナー企業の開発リソースも活用することで、研究開発を加速できるメリットを得られます。
当社の事業セグメントは、再生誘導医薬事業のみの単一セグメントであり、事業の系統図及び事業収入の形態
は以下の通りであります。
27/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(事業系統図)
(事業収入の形態)
内容
収入形態
a. 契約一時金 共同研究やライセンス許諾の契約時に一時金として得られる収入
医薬の開発段階毎に設定した目標(開発マイルストーン)を達成するご
マイルストーン収
b. とに得られる一時金収入。また、製品上市後に、売上高に対する目標値
入
(販売マイルストーン)を達成するごとに得られる一時金収入
製品が上市された後に、ライセンス許諾の契約を締結した製薬会社より
c. ロイヤリティ収入 当該製品の売上高に対して予め契約によって設定した一定割合を得られ
る収入
d. 共同研究収入 当社の知的財産を活用した共同研究の実施の対価として得られる収入
② 再生誘導医薬について/新しい再生医療
「再生誘導医薬(Stem cell Regeneration-Inducing Medicine)」とは、生きた細胞や組織を用いることなく、
医薬品(化合物)の投与のみによって、再生医療と同等の治療効果を得られる医薬品です。
これまでは、怪我や病気で身体の臓器や組織に大規模な損傷や不可逆的な病変による機能不全が生じた場合、
一般的な医薬品によってこれを根治することは難しく、その回復には、正常な臓器と取り換える移植医療(心臓
移植や腎臓移植等の臓器移植や輸血等)をおこなう他に方法がありませんでした。しかしながら、このような移
植医療は、難治性疾患に対する根治療法となり得る一方で、臓器提供者(ドナー)の慢性的な不足と他人の臓器
に対する免疫拒絶( 㬀㏿ 反応、また倫理的な問題等から、すべての患者が享受できる、広く普及可能な一般医
療にはなり得ません。
この移植医療の限界を突破する技術として、近年注目を集めているのが再生医療/細胞治療です。再生医療/
細胞治療は、患者本人若しくは健常なドナー(提供者)から採取した細胞を、生体外で大量に培養することで、
治療に必要な十分量の移植用細胞を確保したうえで患者に移植する新しい移植医療技術です。この再生医療/細
胞治療は、従来の移植医療が抱える普及への制約を解消し、かつ同等な治療効果を得ることが期待できる新しい
再生医療と言えます。
しかしながら、この再生医療/細胞治療についても、その実用化に向けては数多くの解決すべき課題がありま
す。
再生医療/細胞治療は、最終製品として生きた細胞自体を用いる必要があることから、①製造工程における品
質管理の難しさ(均質な細胞製剤を安定的に製造することが難しい)、②安全性への懸念(生体外で大量培養す
る工程で細胞が変質・癌化するリスクがある)、③治療可能時期の制約(自家の細胞を治療に用いる場合、採取
から十分量の移植細胞を得るまでに数週間におよぶ細胞培養期間が必要となり急性期~早期治療の機会は失われ
る)、④免疫拒絶反応(他人から提供された細胞を培養して治療に用いる場合、免疫拒絶の問題が生じる)、⑤
保管・流通の制約(冷凍・冷蔵により細胞を生きたまま運搬・保存する際に非常に手間がかかり、保存期間も限
28/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
られる)など、数多くの構造的な課題を抱えており、一般医療として普及するためには更なる技術革新が必要な
状況にあります。
このような背景のもと、当社が大阪大学との共同研究を通じて先駆的な概念を構築し開発を進めてきた「再生
誘導医薬」は、製品として生きた細胞を一切用いることなく、『物質(化合物)の投与によって、再生医療/細
胞治療を実現する』をコンセプトとする、新しい『再生医療』であります。
再生誘導医薬は、下図に示す作用メカニズムによって、損傷した組織の再生を実現します。
(再生誘導医薬のコンセプト)
1) 静脈注射等で血液中に再生誘導医薬を投与する。
2) 当該医薬品により患者自身の体内に存在する幹細胞、特に骨髄内に存在する間葉系幹細胞( 㬀㓿 を刺激
し、幹細胞を血液中に放出させる。
3) 骨髄から血液中に放出された間葉系幹細胞は、末梢血循環を介して身体中に運ばれ、損傷により低酸素状態
になった組織から放出される特有の化学物質(ケモカイン(※15))を目印に患部に集積する。
4) 患部に集積した間葉系幹細胞は、抗炎症作用を発揮し損傷部位の炎症を鎮め、かつ組織の線維化(瘢痕形
成)(※16)を抑制しながら、幹細胞の多分化能(※17)を発揮することで、行き着き生着した組織の環境
に応じた、適切な種類の細胞に分化を遂げ、損傷した組織の機能的な再生を促進する。
体外で培養し加工した細胞を用いず、医薬品の投与によって患者自身の体内で間葉系幹細胞の集積誘導による
再生医療を実現する再生誘導医薬は、従来型の再生医療が抱える数多くの課題を克服する、革新的な再生医療技
術であります。
<細胞治療と比較した場合の再生誘導医薬のメリット>
(ⅰ)品 質: 工業生産可能な化合物医薬品であり品質管理された安定した製造が可能
(ⅱ)安 全: 生体外における細胞培養の工程がないため、細胞や培養液などの材料に由来する
不純物による免疫反応、細胞を汚染しているウイルスやバクテリアによる感染
症、細胞を培養する過程で生じる細胞の腫瘍化や癌化などのリスクがない
(ⅲ)供 給: 細胞とは異なり、原材料の供給が容易く、製造・保管・管理も容易。従来の医薬
品と同じく医療機関(病院、薬局等)に常備しておき、必要な時にいつでも投与
が可能。そのため、急性期治療(※18)への利用が可能
(ⅳ)免疫拒絶: 投与するのは本人の幹細胞を動員する化合物医薬品であり、他人の細胞を利用し
ないため免疫拒絶がない
29/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(2)研究開発の経緯
■ 骨髄間葉系幹細胞の損傷組織への集積による体内組織再生誘導メカニズムの発見
再生誘導医薬開発の発端は、大阪大学で進められていた遺伝性皮膚難病「栄養障害型表皮水疱症(以下、
「表皮水疱症」という。)」の病態解明研究から得られた「骨髄由来間葉系幹細胞の損傷組織への集積による
組織再生誘導メカニズム」の発見にあります。
当時既に、損傷臓器・組織の再生はそれぞれの臓器・組織に存在する“組織幹細胞”に依存していることは
良く知られていました。しかし、表皮水疱症の患者では、皮膚の最外層にある表皮組織の接着に必要な7型コ
ラーゲンが遺伝的に欠損しているため、生まれた直後から全身皮膚の表皮剥離を繰り返し(図1参照)、その
結果、表皮内に存在する“表皮幹細胞”が大量に失われてしまいます。表皮幹細胞を失った表皮水疱症の患者
は、剥離した表皮を再生できないと容易に予想されます。しかし、患者の表皮は再生能力を維持しているとい
う診療上の観察事実から、骨髄から血液を介した皮膚への幹細胞補充メカニズム仮説が想起されました。
図1
骨髄と各臓器は血管を介して繋がっています。例えば、骨髄から血液に供給された赤血球は全身全ての臓
器・組織に酸素を供給し、白血球は免疫作用を、血小板は止血作用を供給しています。その意味において、表
皮水疱症の患者の皮膚に生体内で幹細胞が補充されるのだとしたら、血液を介して骨髄から補充されるのでは
ないかという仮説は妥当に思われます。その後、当社創業者でもある大阪大学教授の玉井らによりその仮説が
証明されました(出典:Am J Pathol 2008 Sep;173(3)803-14, PNAS 2011 Apr 19;108(16):6609-14,J
Immunol. 2015 Feb 15;194(4):1996-2003)。即ち、壊死した表皮細胞の核から放出されたHMGB1が、骨髄内の
り血中へと動員された間葉系幹細胞は表皮水疱症皮膚の壊死組織周囲にある血管内皮細胞が産生するケモカイ
ンSDF-1α(※19)の作用により壊死組織周囲に集積すること、壊死組織周囲に集積した骨髄由来間葉系幹細胞
は、強い抗炎症作用、抗線維化作用、組織再生促進作用を発揮することにより、表皮水疱症の剥離表皮再生を
誘導していることが明らかとなりました(図2参照)。
30/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図2
HMGB1蛋白は生体内のあらゆる細胞の核内に存在していることから、これら壊死組織と骨髄間葉系幹細胞のク
ロストークによる組織再生誘導メカニズムは、皮膚のみならず、生体内のあらゆる臓器・組織の重度壊死性障
害において、その再生誘導メカニズムとして作動していると考えられます。
■ HMGB1蛋白の再生誘導医薬としての可能性と想定されたリスク
HMGB1蛋白は、生体内の全ての細胞の核内に存在し、DNAと結合して遺伝子発現を制御する核蛋白であること
が40年以上前から知られていました。上述したHMGB1蛋白の骨髄間葉系幹細胞動員活性による組織再生誘導メカ
ニズムの発見は、HMGB1蛋白を静脈内投与して血液中の間葉系幹細胞を人為的に増加させ、その抗炎症作用、抗
線維化作用、組織再生促進作用により機能的組織再生を促進する、いわゆる再生誘導医薬としての可能性を生
み出しました(出典:Sci Rep. 2015 Jun5;5:11008)。
一方、損傷組織で壊死細胞から細胞外に放出されたHMGB1蛋白は、ヒストンやDNA、あるいは細菌・ウイルス
由来因子(※20)と結合すると好中球やマクロファージ(※21)を活性化し、炎症反応を誘導することが近年
明らかにされました。即ち、細胞外のHMGB1蛋白は壊死組織や感染組織において自然免疫を活性化し、壊死組織
や感染組織除去反応を誘導すると共に、それに続く組織再生反応を活性化する極めて重要な生体内分子である
と言えます。しかし、敗血症のような重篤な感染症では、HMGB1蛋白が細菌由来LPS(※22)と血中で結合して
全身性に強い病的炎症反応を喚起することが報告されています。これらの事実は、HMGB1蛋白を医薬として静脈
内投与した際に、重度な感染症を合併している患者では局所性あるいは全身性に強い炎症反応を喚起してしま
うリスクがあることを示しています。
■ 安全性の高いHMGB1ペプチド医薬の開発
HMGB1蛋白はA-box及びB-boxと呼ばれる二つのDNA結合ドメイン(※23)を持ち、炎症反応を誘導する自然免
疫活性化ドメインはB-box内に存在することが明らかにされていました。(出典:J Intern Med. 2004 Mar;255
(3):351-66.)これらの事実を背景として、当社は大阪大学と共同でHMGB1蛋白の骨髄間葉系幹細胞活性化ドメイ
ン(以下、「KOI2ドメイン」という。)の探索を進め、KOI2ドメインはA-box内に存在することを明らかにしま
した。即ち、自然免疫活性化ドメインを含まないKOI2ドメインの化学合成ペプチド(以下、「HMGB1ペプチド」
という。)は、炎症反応を喚起せずに間葉系幹細胞動員活性のみを持つ、安全性の高い再生誘導ペプチド医薬
となることが期待されました。
31/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
大阪大学よりHMGB1及びHMGB1ペプチドの独占的実施権を得た当社は、大阪大学及び塩野義製薬株式会社のそ
れぞれとHMGB1ペプチド創薬の共同研究を推進し、表皮水疱症、脳梗塞、心筋梗塞、虚血性心筋症、拡張型心筋
症、脊髄損傷といった、現在有効な治療法の無い難治性疾患の動物モデルにHMGB1ペプチドの静脈内投与が有効
であること、炎症反応は全く喚起されないことを証明し、医薬特許取得を精力的に進め、HMGB1ペプチド医薬開
発権を塩野義製薬株式会社にライセンスいたしました。
また、ヒトでの安全性及び有効性を確認する目的で行われた、大阪大学における健康成人を対象としたHMGB1
ペプチド第Ⅰ相医師主導治験では、HMGB1ペプチドの安全性及び間葉系幹細胞血中動員活性が証明されました。
さらに、2018年に、大阪大学において表皮水疱症患者を対象とした第Ⅱ相試験、塩野義製薬株式会社におい
て脳梗塞治療薬開発のための高齢成人を対象とした第Ⅰ相試験が開始されました。また、大阪大学医学系研究
科心臓血管外科学講座では当社との共同研究として心・血管系疾患を対象とした創薬研究が精力的に進められ
ています。
■ 第2世代再生誘導医薬の開発
上述したように、骨髄内に存在する間葉系幹細胞は生体内の壊死細胞が放出するHMGB1蛋白の血中濃度上昇を
感知して活性化し、末梢循環を介して壊死組織周囲に集積して組織再生を促進していることが明らかとなりま
した。これらの発見から、HMGB1蛋白以外の壊死細胞由来因子にもHMGB1蛋白と同様の骨髄間葉系幹細胞活性化
作用、組織再生誘導作用がある可能性が想起されました。そこで当社は、大阪大学と共同で壊死細胞から血中
放出される可能性のある生体内蛋白を網羅的に探索し、その活性ドメインペプチドの骨髄間葉系幹細胞活性化
作用を評価することにより、HMGB1ペプチドと同等あるいはそれ以上の骨髄間葉系幹細胞活性化作用を持つ生体
内物質を複数同定いたしました。現在、当社はこれらの第2世代再生誘導医薬候補物質の疾患モデル動物に対
する薬効評価を進めています。
(3)技術の優位性
■ 見据えるマーケット
当社の「再生誘導医薬」は、投薬により体内の幹細胞の働きを促進することを作用メカニズムとするため、
幹細胞を用いた再生医療・細胞治療が行われている疾患領域を、広くマーケットとして捉えることが可能で
す。
再生医療細胞治療の上市状況
なお、これまでに世界のいずれかにおいて上市されているヒト幹細胞を利用した再生医療・細胞治療製品
( 2017 年6月末時点)は、日本企業2社・2品目、米国企業3社・5品目、欧州企業2社・2品目(イタリア
及びイギリス)、その他(韓国企業6社・7品目、オーストラリア企業1社・1品目、インド企業3社・5品
目)を含む、合計 17 社・ 22 品目です。うち自家幹細胞を用いている製品が 13 品目、他家が9品目、幹細胞の種
類では間葉系の幹細胞を利用している製品が 19 品目でほとんどを占めています。(参考文献:平成29年度 特
許出願技術動向調査報告書(概要)ヒト幹細胞関連技術 特許庁) 間葉系幹細胞は再生医療・細胞治療の分野
で最も実用化が進んでいる細胞の一つといえます。
間葉系幹細胞を利用した臨床治験は、中枢神経系、骨・軟骨、循環器系などの治療のほかGVHD(※24)に対
する免疫寛容療法(※25)など広い疾患領域に対して行われています。(図3参照;Cell Transplantation,
Vol. 25, pp. 829–848, 2016より改変し引用)
32/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図3 間葉系幹細胞を利用した疾患領域別、臨床治験件数(総数=493)
[表中の語句]
Hematological disease Cardiovascular disease
血液疾患 循環器疾患
Bone and cartilage disease
GVHD 移植片対宿主病 骨・軟骨疾患
Neurological disease
Dabetes 糖尿病 神経系疾患
Liver disease Crohn's disease
肝疾患 クローン病
Kidney disease Lupus erythematodes
腎臓疾患 全身性エリテマトーデス
Lung disease
肺疾患 Other その他
間葉系幹細胞を利用した細胞治療が、様々な疾患に対して行われているのは、間葉系幹細胞が有する、様々
な細胞種に分化する能力(分化能力)、サイトカイン(※26)・ケモカイン・成長因子(※27)を分泌する能
力(トロフィック能力)、免疫応答(※28)を調整する能力(免疫調整能力)、損傷組織に遊走する能力(細
胞遊走能力(※29))、線維化を調整する能力(線維化調整能力)があるためと考えられています。(図4参
照; Cell Transplantation, Vol. 25, pp. 829–848,2016より引用。図の一部改変。出典:Nat Immunol. 2014
Nov;15(11):1009-16, Stem Cell Trans Med. 2012 Feb;1(2):142-9)
図4
33/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
すなわち生体内においては、組織や臓器に損傷を受けると、細胞レベルのダメージを生じ、不可逆的な障害
を受けた細胞は壊死します。さらに、傷口から侵入した細菌などを制御する他、壊死した細胞を除去するため
に、損傷組織には受傷直後から炎症細胞が集まります。間葉系幹細胞は血流を介し損傷組織まで遊走し(細胞
遊走能力)、免疫反応を調節し、過剰な炎症による組織損傷の拡大を抑えます(免疫調整能力)。また、損傷
組織の細胞に対し成長因子やサイトカインを分泌することで、細胞の増殖や組織の修復を促進します(トロ
フィック能力)。さらに、間葉系幹細胞自身が、様々な種類の細胞に分化することによって(分化能力)、間
葉系幹細胞由来の細胞が損傷組織の細胞に置き換わり組織を再生します。このような間葉系幹細胞の能力は、
様々な組織や臓器の再生で効果を発揮するため、多種多様な疾患に対して間葉系幹細胞を細胞治療や再生医療
に利用することができるのだと考えられます。
再生医療の市場予測
なお、再生医療の市場規模予測では、国内2020年950億円が2050年2.5兆円、世界2020年1兆円が2050年38兆
円と大幅な増加が見込まれており(図5、図6参照;経済産業省再生医療の実用化・産業に関する報告書より抜
粋)、従来の医薬や医療では治療が困難であった疾患に対する新たな医療への期待がいかに大きいものかがわか
ります。
図5
34/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図6
■ 従来技術の特徴と課題
ES細胞、iPS細胞
再生医療や細胞治療の原材料となるのは様々な細胞です。特に、胚性幹細胞( ES 細胞)はあらゆる細胞に分
化することが可能であり、ほぼ無制限に増殖させることが可能であるため、臓器移植医療の課題であった『移
植臓器の不足』が解消されると期待されています。一方で次のような課題も存在します。
[生命倫理上の課題( ES 細胞)]
しかし、 ES 細胞はヒトの生命の萌芽である胚を破壊して作る必要があるため、倫理的課題があります ( 参考文
献:ヒトES細胞の樹立に関する指針 平成31年文部科学省・厚生労働省 告示第4号) 。さらに近年では、 ES 細
胞のように多能性を有しほぼ無限に増殖可能な iPS 細胞が発明され、また、 iPS 細胞は受精卵を利用せず本人の
細胞から作成することが可能であるため、倫理的課題のみではなく免疫拒絶についても解決に向けて大きく前
進しました。
[細胞の安全性の課題と医療コストの課題(ES細胞、iPS細胞)]
一方、 ES 細胞も iPS 細胞も無限に増殖するため、増殖の過程で生じる遺伝子の変異や癌化のリスクに対応をす
る必要があります。
その他の細胞
ES細胞やiPS細胞を使用しない、幹細胞を使用した再生医療/細胞治療としては、自家細胞(自己の細胞=患
者本人の細胞)を利用するものと他家細胞(他人の細胞)を利用するものがあります。表皮細胞、筋芽細胞、
軟骨細胞、間葉系幹細胞など様々な細胞が再生医療、細胞治療に使用されています。
35/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
[自家細胞の課題]
自家細胞では、患者本人から採取した細胞を培養し増殖、加工し使用します。他人の細胞を使用しないの
で、感染症や免疫拒絶のリスクを最小限に抑えることができますが、一人の患者から採取できる細胞の量に限
界があります。また、ES細胞やiPS細胞とは違い細胞を無限に増殖させることができないため、治療に十分な細
胞を用意することが課題となります。また、オーダーメイドで作成する必要があるため、急性期の治療が困難
で、治療費が高額になるという課題があります。
[他家細胞の課題]
他家細胞では、多数のドナーから細胞の提供を受け、細胞バンクに細胞を保存しておくことで、急性期の治
療にも対応でき、医療コストも抑えることができますが、ドナーに由来する未知の感染症や免疫拒絶のリスク
があります。(参考文献:経済産業省 「再生医療の実用化・産業に関する研究会」の最終報告書)
[間葉系幹細胞の課題]
ほぼ無限に増殖することが可能なES細胞やiPS細胞とは異なり、間葉系幹細胞が増殖する能力には限界があり
ます。間葉系幹細胞は、細胞分裂を繰り返す過程で細胞の老化現象(senescence)を起こし、分化能力や免疫調
整能力や細胞遊走能力という細胞治療の効果に寄与する重要な能力が失われることが知られています。このた
め、間葉系幹細胞を使用した医療を広く行うためには、継続的に大量の細胞を供給する必要があります。すな
わち、多数のドナーの骨髄から細胞を採取し、大量の細胞を確保しなければならず、一般的な医療とするため
には、原材料の供給の面で課題があるといえます。(出典:Stem Cells Transl Med. 2017 Dec;6(12):2173-
2185.)
[細胞を利用する再生医療や細胞治療の課題]
このように、再生医療や細胞治療は、これまでにない新しい医療で、従来の医療では治療困難な疾患に対し
て優れた治療効果があるものの、既存の医薬品と異なり生きた細胞を治療用に使用するため、従来の医薬品で
は問題にならなかった、様々な課題を解決する必要があります。(参考文献:平成26年度 「再生医療の産業
化に向けた評価基盤技術開発事業」原料細胞の入手等に関する調査等報告書)
■ 再生誘導医薬(当社シーズ)による課題の解決
再生誘導医薬は、生体内に存在する骨髄間葉系幹細胞を損傷組織へ動員する、生体が元来有する治癒能力を
促進する医薬です。損傷組織を直接治療するのは、薬剤の投与によって損傷組織に動員された間葉系幹細胞で
あるため、間葉系幹細胞の特徴である、細胞遊走能、免疫調整能、トロフィック能、線維化調整能、組織再生
能等によって一つの物質で広範な疾患領域に対する適応が期待できます(図7参照)。また、投与するのはペ
プチド、タンパクなどの物質であり、従来の医薬品と同じ方法で製造、輸送、保管、投与が可能です。そのた
め、再生医療や細胞治療の様々な課題を解決しながら、従来の医療では治療困難であった疾患を治療のター
ゲットとすることができます。
図7
36/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(4)当社技術のターゲットとなる適応症
間葉系幹細胞を使用した細胞治療の効果がある疾患領域や病態が治療のターゲットとなります。以下のように広
い疾患領域や様々な病態が適応症として期待できます。
■ 再生誘導医薬の適応症として期待される疾患領域・病態
<疾患領域>
中枢神経系疾患( 脳梗塞 、 脊髄損傷 、 筋萎縮性側索硬化症 )、循環器系疾患( 心筋梗塞 、 心筋症 )、消化器
系疾患( 潰瘍性大腸炎 )、上皮系疾患( 難治性皮膚潰瘍 )、骨格・運動器系疾患(※30)(骨損傷、 軟骨損
傷 、骨格筋損傷)、内分泌系疾患(※31)(糖尿病)、呼吸器系疾患(※32)(肺線維症)、免疫系疾患(膠
原病一般)等
( 下線の疾患 は当社再生誘導医薬候補品による改善効果確認済み)
<病態>
損傷性疾患(脳梗塞、心筋梗塞、脊髄損傷、難治性皮膚潰瘍)、
免疫異常/炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、GVHD)、
線維化疾患(肝臓線維化、 肺線維化 など、 皮膚線維化 、術後瘢痕)等
( 下線の疾患 は当社再生誘導医薬候補品による改善効果確認済み)
■ 治療用自己細胞採取デバイス
<疾患領域>
上皮系疾患(難治性皮膚潰瘍)、骨格・運動器系疾患(骨軟骨損傷、骨格筋損傷)等
<病態>
損傷性疾患(難治性皮膚潰瘍、骨軟骨損傷など)等
■ 幹細胞遺伝子治療
<適応疾患>
遺伝性疾患
37/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(5)パイプラインの概要
当社の手掛ける研究開発パイプラインとその進捗状況は以下の通りであります。パイプラインは、以下5つのプ
ロジェクト(PJ1~PJ5)に分類されます。
㬀 PJ1 -01について、対象となる栄養障害型表皮水疱症の患者数は、全国に200名前後、年間あたりの新規患
者数は15名程度と想定されており、大規模な第Ⅲ相試験を計画することが困難です。また、栄養障害型表
皮水疱症は、希少難治性疾患であり現在有効な治療法がありません。したがって、当社としては、第Ⅱ相
試験の結果を踏まえ、医薬品の承認申請を行うことを見込んでおります。
; PJ4 -01について、第Ⅰ相試験以降は、現在、実施しない方向で調整中ですが、未確定のためNDと記載して
おります。
各パイプラインの主な市場ターゲットは、日本、米国、欧州などです。
各パイプラインの概要は、以下のとおりです。
生体内タンパク質HMGB1の生理活性ドメインから創生したペプチド
製剤(※33)です。静脈内投与により患者の骨髄内間葉系幹細胞を
末梢血中に動員し、損傷部位に集積させることで、患部の組織再生
と治癒を促進します。間葉系幹細胞を介した治療メカニズムによ
概要 り、組織損傷をともなう幅広い疾患が適応症となります。これまで
に実施した疾患モデル動物を用いた非臨床薬効試験で、脳梗塞、心
筋梗塞/心筋症、表皮水疱症、難治性皮膚潰瘍、脊髄損傷、筋萎縮
性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、潰瘍性大腸炎等に対する良
好な治療効果を確認しています。
現時点で2つの適応症について臨床試験が進行中で、1つの適応症
PJ1
について臨床研究の準備が進められています。最も先行する表皮水
再生誘導医薬
疱症の臨床試験(PJ1-01)は、大阪大学、慶應義塾大学、東邦大学
HMGB1ペプチド
において、現在、第Ⅱ相医師主導治験がおこなわれています。脳梗
開発
塞(PJ1-02/S-005151)については、塩野義製薬株式会社による第
Ⅱ相臨床試験が進められています。また、心筋梗塞/心筋症(PJ1-
03)については、大阪大学において臨床試験(第Ⅱ相試験)相当の
開始に向けた準備が進められています。
PJ1については、2014年11月に塩野義製薬株式会社との間にライセ
ンス契約を締結しております。当社は、既に受領済みの契約一時金
提携 及びマイルストーン収入に加え、今後の開発の進捗に応じたマイル
ストーン収入及び製品上市後のロイヤリティ収入及びマイルストー
ン収入を得ることができます。
38/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
大阪大学と共同で、新規に開発したスクリーニング法によって発見
した、静脈内投与により末梢血中の間葉系幹細胞を増加させる作用
を有するペプチドです。PJ1と同じく、組織損傷をともなう幅広い
概要
疾患に対する再生誘導治療薬となることが期待されます。生体由来
のペプチドの他、生体由来活性ペプチドの情報を基に作成したペプ
チドの開発も行っています。
これまでのスクリーニングから 10 種類以上の候補ペプチドを保有し
PJ2
ており、治療効果の高いものから順次開発を進めていく計画です。
再生誘導医薬新規
現時点で、3つの候補ペプチドについて、臨床試験の開始までに必
開発 要となる非臨床試験を実施しております。これまでの動物実験によ
ペプチド
り良好な間葉系幹細胞血中動員作用を確認しており、現在、複数種
類の疾患モデル動物を用いた薬効試験をおこない、最適な開発対象
疾患の選定を進めております。
PJ2については、 GLP 非臨床毒性試験(※34)~早期臨床試験(※
35)の段階まで自社で開発を進め、その後、製薬企業にライセンス
提携
アウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販
売等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
生体組織から抽出された生体内タンパク質に由来するタンパク質製
剤です。静脈内投与若しくは局所投与により、生体内の間葉系幹細
概要
胞を効率よく患部に集積させる作用を有しており、組織損傷を伴う
幅広い疾患に対する治療薬となることが期待されます 。
これまでに得られた複数の候補タンパクのなかから、最も治療効果
PJ3
の高いものを選定し、開発を進めていく計画です。これまでの動物
生体由来再生誘導
開発 実験で良好な間葉系幹細胞血中動員作用を確認しており、複数種類
の疾患モデル動物による薬効試験によって、最適な適応症の選定を
タンパク
進めております。
PJ3については、 GLP 非臨床毒性試験~早期臨床試験の段階まで自社
で開発を進め、その後、製薬企業にライセンスアウトする方針であ
提携
り、現時点において、商業化(開発・製造・販売等)に係る権利
は、すべて当社が保有しております。
幹細胞誘引物質を用いて患者体内の間葉系幹細胞を回収し、これを
患部に移植することで組織の再生治療をおこなう再生誘導医療デバ
イス(※36)です。生体内埋没型デバイスに、当社が見出した間葉
系幹細胞を誘引する物質を含ませたうえで患者の皮下に一定期間埋
概要
め込み、このデバイスに集積した患者自身の間葉系幹細胞を収集し
治療に用います。間葉系幹細胞移植が治療効果を発揮することが報
告されている幅広い疾患に対して有効な医療デバイスとなることが
期待されます。
PJ4
まず、骨・軟骨損傷を伴う疾患、難治性皮膚潰瘍等に対する医療デ
治療用自己細胞
バイスとしての開発を計画しております。これまでの動物実験で当
採取デバイス
デバイスが良好な幹細胞回収能力を有することを確認しており、複
開発
数種類の疾患モデル動物による薬効試験によって、最適な適応症の
選定を進めながら、臨床試験の開始までに必要となる非臨床試験を
実施しております。
PJ4については、非臨床毒性試験~早期臨床試験段階まで自社で開
発を進め、その後、製薬企業や医療機器メーカー等にライセンスア
提携
ウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売
等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
遺伝子欠損等に起因する重度の遺伝性疾患に対しても再生誘導医療
を可能にする治療技術です。当社がこれまでに培った独自の幹細胞
概要 培養・調整技術を駆使し、患者自身の幹細胞に対して体外で遺伝子
編集を施し、欠損/変異した遺伝子を補ったうえで患者の体内に戻
す、根治的再生誘導型細胞治療製品(※37)です。
初めの適応症として、遺伝子完全欠損型の重度表皮水疱症を対象に
開発を進める計画です。遺伝子編集技術を用いて正常遺伝子を組み
PJ5 込んだ間葉系幹細胞を動物に移植する実験により、移植を受けた動
幹細胞遺伝子
物体内に目的タンパク質(7型コラーゲン)が十分量安定的に産生
開発
治療
されることを確認しており、想定する作用機序(※38)が機能する
ことを証明しております。現在、疾患モデル動物による薬効試験な
ど臨床試験の開始までに必要な非臨床試験を追加実施しておりま
す。
PJ5については、非臨床毒性試験~早期臨床試験段階まで自社で開
発を進め、その後、製薬企業や医療機器メーカー等にライセンスア
提携
ウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売
等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
39/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(6)研究開発パイプライン
(A)PJ1 再生誘導医薬_HMGB1ペプチド
① PJ1-01 表皮水疱症治療薬
(適応症: 表皮水疱症(栄養障害型))
皮膚は、表皮(E)と真皮(D)からなる2層の構造をとっています。表皮もまた体の外側から角層(①)、有棘層
(②)、基底層(③)と層構造をとっています(図8参照)。基底層には表皮細胞の幹細胞(表皮幹細胞)が存在し
ます。幹細胞から分裂した未分化な表皮細胞は次第に分化して体の外側へと移動します。一番外側まで移動す
ると、角質となって体のバリアーを形成し体内の水分を保持するほか、外界からの刺激やバクテリアなどの感
染症から体の内部を守っています。表皮の直下にある真皮は1型コラーゲンという蛋白を主成分とする組織で
皮膚に物理的な強さを与えるほか水分を保持しています。
図8
皮膚は特殊な『糊』によって表皮と真皮がしっかりと接着しています。強い機械的刺激でも表皮が皮膚から
はがれることはありません。表皮と真皮を接着させる『糊』の役割をしているのが、表皮細胞や真皮に存在す
る線維芽細胞から分泌される7型コラーゲンと呼ばれるタンパクです。7型コラーゲンに異常があると『糊』
としての機能が低下して表皮と真皮を接着する力が弱くなり、弱い刺激であっても表皮が真皮からはがれてし
まいます(図9参照)。
はがれた表皮と真皮の間には組織液がたまり水ぶくれ(水疱)が生じます。水疱が破れると潰瘍となり、治
癒が追い付かずに傷が遷延化(※39)すると、瘢痕化(線維化)し皮膚がひきつれるために関節などが動かな
いようになってしまいます。
表皮水疱症の患者は7型コラーゲンの遺伝子に異常があるため、機械的刺激により容易に表皮と真皮の間が
裂けます。その結果出生時から全身の皮膚に水ぶくれができ、生涯にわたり症状が続きます。遺伝子治療をの
ぞいて現時点で根治的な治療法はありません。
40/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図9
前述のように、表皮水疱症では、表皮が剥離する際に表皮幹細胞が失われてしまうため、新しい表皮を再生
することが困難な状態になります。骨髄間葉系幹細胞は皮膚に集積することによって、細胞成分や7型コラー
ゲンを供給します。病因である7型コラーゲンの異常があるため、完治はできませんが、難治性皮膚潰瘍など
の症状の改善が期待できます。
(薬効試験の結果)
表皮水疱症のモデル動物を使用したHMGB1ペプチドの非臨床薬効試験では、治療群において指の癒着が改善さ
れました(図10参照)。また、骨髄間葉系幹細胞が皮膚に動員されると、7型コラーゲンを分泌するようにな
ることが明らかになりました。皮膚ばかりではなく7型コラーゲンを同じように分泌する消化管の症状(消化
管上皮の脱落、消化管の瘢痕化)も緩和し、さらに延命率も改善しております(図11参照)。遺伝子異常を原
因とする7型コラーゲンに機能の低下があっても、骨髄間葉系幹細胞を患部に動員することにより症状が改善
されました。
図10 図11
41/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
② PJ1-02 脳梗塞治療薬
(適応症: 脳梗塞について)
脳梗塞は、主に脳に酸素や栄養を供給する血管が血栓によって閉そくすることが原因で生じる疾患です。脳
は低酸素状態に極めて弱く、また一度障害を受けると再生をすることが極めて困難な臓器であるため、これま
で有効な治療はほとんどありませんでした。血栓を溶解させる薬(血栓溶解剤)が有効ですが、発症初期の数
時間後までにしか使用できないため、一部の患者にしか投与されていません。血栓溶解剤を投与できなかった
場合や投与されても十分な効果が得られなかった場合、脳梗塞によって生じる麻痺などの治療はリハビリテー
ションなどによって治療が行われています。骨髄間葉系幹細胞による細胞治療は、免疫寛容効果による炎症の
抑制や、トロフィック効果による組織再生を期待されています。しかし、患者本人の骨髄間葉系幹細胞を利用
する場合、細胞採取の後、細胞培養による増殖工程にかかる時間が必要であり、発症後すぐに患者に投与する
ことができません。また、高額な医療コストなどの課題があります。再生誘導医薬は、タンパクやペプチドな
どの従来の医薬と同様に扱うことが可能であり、必要時にすぐに使用することが可能です。また、骨髄採取や
細胞培養の設備が必要ないため、一般の病院においても治療を行うことが可能です。
薬効試験の結果
脳梗塞のモデル動物を使用したHMGB1ペプチドの非臨床試験では、治療によって脳梗塞の病巣の大きさを減少
させるとともに、神経系の機能試験で有意な回復が認められています(図12参照)。
図12
③ PJ1-03 心筋症治療薬
(適応症: 心筋症について)
心臓は全身の臓器に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。心臓は心筋と呼ばれる筋肉でできてい
て心筋が伸びる際に血液を心臓に取り込み、心筋が縮む際に血液を心臓から送り出します。心筋症は、心筋が
線維化などによって伸縮が不良になり心臓のポンプ機能が障害される疾患です。心筋症の原因は、心筋梗塞や
狭心症などの虚血性心疾患、高血圧、アルコールの多飲等が知られていますが、これらの原因が明らかな心筋
症を特定(2次性)心筋症とし、原因が不明な特発性心筋症とに区分されます。
(薬効試験の結果)
心筋梗塞モデルラットに対し、虚血(※40)後2週間後にHMGB1を投与しました。治療の心筋の壊死部サイズ
の縮小効果が認められています(図13参照)。また、HMGB1ペプチドを投与した心筋梗塞モデルラットは、未治
療のコントロール群(※41)に比較して有意に心臓の線維化の減少が認められています。(図14参照)
42/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図13 図14
その他HMGB1ペプチドによる効果(非臨床試験)が確認されているのは以下の通りです。下記以外にも様々な
疾患に対して適応症の拡大が期待されます。
(ⅰ)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
マウスのALSモデル(※42)において、HMGB1ペプチドの投与により、投与開始3週間後以降の握力低
下及びロッド上での保持時間(※43)の低下を有意に改善しました(図15参照)。
図15
43/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(ⅱ)潰瘍性大腸炎の治療
DSS(※44)投与によって作成したマウスの潰瘍性大腸炎モデルにおいて、大腸(結腸)のびらん・潰
瘍はHMGB1ペプチドの投与により著明に改善しました(図16参照)。
図16
(ⅲ)脊髄損傷の治療
神経症状の回復をBMSスコア(※45)を用いて評価した結果、脊髄損傷作成後、10、17、21、28日目に
おいて、非治療群に比較しHMGB1ペプチド投与群は有意なスコアの改善を示し、神経症状の改善効果が確
認されました(図17参照)。
図17
44/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(ⅳ)軟骨再生①
マウス膝関節に軟骨欠損を作成する外傷性軟骨損傷モデルで、2週間後、4週間後、8週間後、12週
間後の病理組織の評価(サフラニン-O染色(※46))を行ったところ、12週間後において、HMGB1ペプチ
ド投与で明らかな軟骨の再生が確認されました(図18「▼▼▼」参照)。
図18
(ⅴ)軟骨再生②
胎生期に生じる外胚葉性間葉系幹細胞を赤色蛍光タンパクで出生後にトレース(※47)するために作
成したマウスを作成し、これと野生型のマウスを皮膚で接合し血流を共有させました。野生型マウスの
膝関節に軟骨欠損を作成し、もう一方のマウスに対しHMGB1ペプチドを投与したところ、損傷軟骨部分に
赤色蛍光タンパクを発現する細胞が集積し、一方でペプチドを投与しないマウス(コントロール)で
は、同様の細胞は殆ど集積しませんでした(図19参照)。HMGB1ペプチドの投与により、損傷組織に動員
され組織を再生したのは外胚葉性間葉系幹細胞に由来する細胞であると考えられました。
図19
45/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(ⅵ)肺線維症
マウスブレオマイシン(BML)(※48)誘発肺線維症モデルでは、HMGB1ペプチド投与により生存率の
改善と、体重減少の抑制効果が示されております(図20参照)。
図20
(ⅶ)外傷性脳損傷
脳皮質への外傷性脳損傷モデルでは、右脳への受傷後にHMGB1ペプチドを投与することによって、脳損
傷の抑制効果が示されております。無治療のコントロールマウスでは、外傷性損傷による脳皮質部分
(▼)の欠損が認められますが、HMGB1ペプチド投与マウスでは欠損の抑制が認められます(図21左参
照)。また、右脳の残存する脳皮質(左図青色の面積)に対する同一個体の左脳皮質(左図赤色の面
積)の割合を比較したところ、無治療のコントロールマウス群に対し、HMGB1投与群では有意に右脳の脳
皮質が保たれており(図21右参照)、HMGB1の薬効が確認されました。
図21
(ⅷ)肝硬変
薬剤(四塩化炭素)誘発肝硬変モデルでは、HMGB1ペプチドを投与することによって、肝障害の抑制効果
が示されております。肝逸脱酵素であるAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)やALT(アラニンア
ミノトランスフェラーゼ)、血中アルブミンやビリルビンの値(※49)が著明に改善し、線維化の指標であ
る尿中Hydroxyprolineの低下や病理組織像においても改善が認められており、HMGB1ペプチドの薬効が確認
されました。(出所 新潟大学 寺井崇二教授)
46/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(B)PJ2 再生誘導医薬新規ペプチド
■骨髄間葉系幹細胞を骨髄内から血中に動員する薬(新規物質)
当社は骨髄間葉系幹細胞による損傷組織の再生や再生誘導物質を発見して以来、骨髄中に存在する間葉系幹
細胞、血流中に存在する間葉系幹細胞、損傷組織に存在する間葉系幹細胞など生体に存在する自然の状態の細
胞に注目し研究を続けてきました。それらの知見をもとに新たに開発した間葉系幹細胞血中動員活性のスク
リーニング法と組み合わせることで再生誘導医薬の研究を加速しています。
以上のような基礎的な研究の結果、生体内に存在する骨髄間葉系幹細胞に対する新たな知見を積み重ね、新
規骨髄間葉系幹細胞の血中動員新規合成ペプチド(RIM3)を得ることができました(図22参照)。
図22
(i)潰瘍性大腸炎モデル
さらに、マウスの潰瘍性大腸炎モデルにおいては、コントロール(未治療)に比較し、RIM3投与に
よって大腸の損傷が改善し(図23参照)、疾患スコア(※50)においてはHMGB1以上の改善が認められて
おり、優れた治療効果が示されています(図24参照)。
図23
47/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
図24
(ⅱ)アトピー性皮膚炎
マウスMC903(topical)誘発(※51)アトピー性皮膚炎モデルでは、耳介に限局した皮膚炎を生じます
が、RIM3投与により、皮膚病理組織における炎症所見の改善と、皮膚の肥厚の抑制が確認され症状の改
善が認められました(図25、図26参照)。
図25 図26
48/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(ⅲ)脳梗塞
薬効試験の結果、脳梗塞のモデル動物を使用したRIM3(2mg/kg)の非臨床試験では、未治療のコント
ロールに比較して脳梗塞サイズ(下図の白色部分)を縮小させる効果が認められました(図27、図28参
照)。
図27 図28
(C)PJ3 生体由来再生誘導タンパク
■ 骨髄間葉系幹細胞動員物質分泌促進剤
PJ1及びPJ2の開発品は、骨髄内の間葉系幹細胞を刺激して、骨髄から間葉系幹細胞を血中に動員する物質で
す。一方、PJ3では、損傷組織から間葉系幹細胞動員物質の分泌を増加させる物質を開発します。
HMGB1ペプチドとは作用メカニズムが異なるため、HMGB1ペプチドと併用若しくは単独で使用することによっ
て、再生誘導医療の対象疾患の拡大が期待できます。特に、損傷組織が小さい病態においては、虚血領域も小
さいため、低酸素状態で分泌量が増大するSDF-1αの量が少なく、間葉系幹細胞が損傷個所に集積できない恐れ
があります。そのようなときに、本物質を患部周囲へ投与することで、循環血流中の間葉系幹細胞を治療する
臓器に集積させる効果を狙います。
応用例としては、HMGB1ペプチド投与によって、末梢循環血流中に増加した間葉系幹細胞を、PJ3の開発品投
与によって末梢循環血流中から損傷組織に効率的に集積させることが考えられます。
図29
49/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(D)PJ4 治療用自己細胞採取デバイス
■ 自己の骨髄間葉系幹細胞をデバイス内に集積させ体外に回収後、損傷部位の細胞治療に利用する技術
骨髄間葉系幹細胞の動員因子をデバイス内に挿入し、皮下など生体内に埋没することで生体内に存在する細
胞を直接回収する技術を開発しています。現在、実験動物を使用した非臨床の研究を行っております。臨床の
場面では、医師によって患者本人の皮膚に局所麻酔を行った後、数mmから数cmの皮膚切開をします。あらかじ
め骨髄間葉系幹細胞の動員因子(※52)を挿入しておいたデバイスを、切開した皮膚から皮下に挿入します。
挿入後数日経過した後にデバイスを体外に取り出し、デバイス内に集積した細胞を損傷組織(患部)に直接投
与します。デバイスを挿入する手術も、外来通院にて施行可能な程度の簡単な手術となります(図30参照)。
図30
再生誘導医療デバイスの特徴は下表の通りです。体外で培養する工程や細胞を加工する工程がないため、セ
ルプロセッシングセンター(※53)が必要なく、細胞の製造、保管、輸送にかかわるコストを削減できるた
め、低コストで細胞治療を行うことができます。
間葉系幹細胞は様々な組織(神経系、循環器系、上皮系、間葉系)の疾患の治療に応用することができるた
め、本技術の治療対象は広範な領域となることが期待されます。
再生誘導医薬デバイス 従来型の間葉系幹細胞を利用した再生医療、細胞治療
細胞の提供元 自己の細胞 自己の細胞 他人の細胞
無(自分の皮下から採
有(セルプロセッシング 有(セルプロセッシングセ
体外での培養の有無 取した細胞を直接使用
センターで培養する) ンターで培養する)
する)
免疫拒絶反の有無 無 無 有
医師による手術 必要 必要 必要
50/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(E)PJ5 幹細胞遺伝子治療
■ 遺伝性疾患の患者本人の間葉系幹細胞を採取し、体外で病因となる遺伝子の修復を行う技術です。
一般に、遺伝子治療では病変臓器の幹細胞を治療対象とするため、疾患ごとに様々な臓器の幹細胞に対して
遺伝子治療を施さなければなりません。ヒト間葉系幹細胞に正常な7型コラーゲンを遺伝子導入し、表皮水疱
症モデルマウスの皮膚に細胞移植しました。その結果、ヒト由来の7型コラーゲンがマウスの皮膚で正常に機
能していることが証明されました。間葉系幹細胞は、多分化能の他にも、免疫調節能などを有し、様々な疾患
に対して治療効果を有するため、間葉系幹細胞を遺伝子治療の対象にすることにより、様々な遺伝性疾患に対
する治療が期待できます。
図31
51/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(7)再生誘導医療の可能性
再生誘導医療は、元来生体が持っている損傷組織の再生能力を、生体内に存在する幹細胞を体外で人工的な操
作(培養や加工など)することなく、生体内で活性化することで、難治性の疾患の治癒を目指す医療です。現
在、当社では、骨髄に存在する間葉系幹細胞を血中に動員する再生誘導医薬、血中に存在する間葉系幹細胞を損
傷組織に集積する再生誘導医薬、血中に存在する間葉系幹細胞を皮下に埋めたデバイス内に集積させ細胞治療に
利用する医療、間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療と細胞治療のハイブリッド医療の研究開発を行っていま
す。
再生誘導医薬の場合、薬が患部に直接作用するのではなく、骨髄や血液などに存在する幹細胞に作用すること
が特徴です。患部を治療するのはあくまで生体に存在する活性化された幹細胞です。生体内に存在する幹細胞の
理解を深めることで、再生誘導医療を発展させることが可能になります。
現在、日進月歩で幹細胞の研究が進んでおり、当社においても幹細胞の最新の知見をもとに、難治性疾患に対
する新たな再生誘導医薬の開発を進めています。
52/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
(8)用語解説
No 用語 解説
(1) 患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損
傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療
(2) 患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等
することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療
(3) 生きた細胞を組み込んだ機器等を患者の体内に移植等すること又は内因性(生体
※1 再生医療
又は細胞の内部で生産される)幹細胞を細胞増殖分化因子(動物体内において、
特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称)により活性化/
分化させることにより、損傷した臓器や組織の自己再生能力を活性化することで
失われた機能を回復させる広義の再生医療(←再生誘導医薬が該当する医療)
(内閣府 総合科学技術会議基本政策推進専門調査会『失われた人体機能を再生する医
療の実現』 (平成20年5月)参照)
自己複製能と分化能をあわせもつ細胞。自己複製能とは体細胞分裂を経て形成される2
つの娘細胞のうち、少なくともひとつに親細胞である幹細胞と同等の自己複製能と分化
能が賦与されることをいう。また、分化能とは、体細胞分裂を経て形成される娘細胞
※2 幹細胞
が、最終的に少なくとも1種類の、親細胞である幹細胞とは異なる表現型を有する細胞
になることをいう。(引用文献 蛋白質 核酸 酵素 Vol.51 No.11 (2006))
ある特定の対象に対してのみ特定の反応をするということ。この範囲が狭いほど特異性
※3 特異的
が高いという。
表皮水疱症は、表皮~基底膜~真皮の接着を担っている接着構造分子が生まれつき少な
いか消失しているため、日常生活で皮膚に加わる力に耐えることができずに表皮が真皮
※4 表皮水疱症 から剥がれて水ぶくれ(水疱)や皮膚潰瘍を生じてしまう病気。特に、7型コラーゲン
の遺伝子異常によって、基底膜と真皮の間で剥がれる病型を栄養障害型表皮水疱症と呼
ぶ。
臨床現場でヒトを対象に行う試験であるが、ここでは医薬品の承認を受けるためのいわ
ゆる治験をいう。治験は、一般的に以下の段階を経て行われる。
・第Ⅰ相試験(フェーズ Ⅰ)… 少数の健常成人を対象とし、候補薬の安全性や薬が
どのように体内で吸収、分布、代謝され排泄されるか、などを調べる。
※5 臨床試験
・第Ⅱ相試験(フェーズ Ⅱ)… 少数例の患者を対象に、有効性・安全性・適切な投
与量などの検討を行う試験。
・第Ⅲ相試験(フェーズ Ⅲ)… 多数の患者を対象に、実際の医療に近い形で有効性
や安全性を確認することを目的とし、比較対照試験などを含めて行われる。
骨髄内に存在する間葉系幹細胞が循環血流を介して損傷組織へ集積する現象の発見の結
組織再生誘導 果、再生誘導医薬であるHMGB1ペプチドの発明につながった。生体内における組織再生
※6
メカニズム 誘導の原理(組織再生誘導メカニズム)を明らかにすることによって、新たな再生誘導
医薬の開発が期待できる。
幹細胞は、生体内における環境や培養条件などによって容易に性質を変化させ、幹細胞
(自己複製能、分化能)としての性質を失ってしまう。そこで、幹細胞を維持するため
※7 幹細胞の制御技術 の細胞制御技術は必須の技術である。また、幹細胞が分化しながら組織再生に必要な機
能を付与されるためには、適切な分化制御が必要になる。このように、再生医療や再生
誘導医薬の開発のために、幹細胞の制御技術の開発は必須である。
※8 スクリーニング 有効な化合物を選定するために、種々の評価系を用いて多くの化合物を評価すること。
再生誘導医薬として事業化・製品化が可能な、技術、ノウハウ、アイデア、化合物な
※9 再生誘導医薬シーズ
ど。
※10 非臨床薬効薬理試験 動物を使用し物質の効果を評価する試験。
※11 安全性試験 物質の毒性の有無等を評価する試験。
※12 初期臨床試験等 初期段階の臨床試験。
人体はウイルスやバクテリアなど異物が体内に侵入した際に排除する免疫がある。同様
※13 免疫拒絶 に治療を目的として他人の細胞や臓器を移植する際にもそれらを異物と認識し排除する
こと。
53/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
No 用語 解説
生体内では、骨髄、さい帯、胎盤、脂肪、筋肉、胸腺、歯髄中といった成体組織におい
て発見されており、生体内に存在する一般的な組織幹細胞とは異なり、多分化能をもつ
と考えられている。(ギルバート発生生物学10版参照)通常、成体に存在する間葉系幹細
※14 間葉系幹細胞
胞は、他の間葉系の細胞と同じように中胚葉由来と考えられていたが、少なくとも胎児
期には外胚葉由来の間葉系幹細胞が存在することが明らかになっている。(Cell.2007
Jun 29;129(7):1377-88.参照)
特定の白血球に作用し,濃度勾配の方向に白血球を遊走させる活性(走化性)を持つサ
※15 ケモカイン
イトカインの総称
組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象のこと。例えば、心筋
線維化 に線維化が生じたときには心臓の働きに異常が起き、呼吸困難や心悸亢進(動悸)など
※16
(瘢痕形成) の症状が出る。また関節リウマチにおける骨の萎縮や変性、肝臓全体の線維化を示す肝
硬変の病態なども、結合組織が線維化した例である。
様々な細胞に分化する能力。多細胞生物においては、細胞が様々な特化した機能を持つ
※17 多分化能
細胞へと変化(分化)し、複雑なシステムを作り上げていく。
※18 急性期治療 症状が急激にあらわれる時期、病気のなり始めの治療。
SDF(Stromal Derived Factor)-1αはケモカインCXCファミリーの一種。リンパ球の強力
(ケモカイン)
※19 な化学誘引因子であり、リンパ球を新しく形成した血管へ補充、胎児と成人両方の生体
SDF-1α
の血管新生に関与する。低酸素状態の血管内皮細胞などで発現が亢進する。
現象や機能の原因を因子と呼ぶが、生化学で原因が物質として特定された場合にはその
※20 因子
物質も因子という。
白血球の一種。遊走運動を行い、細菌などの異物を捕食する。炎症初期には好中球が炎
好中球や
※21 症部位に集まり、細菌類を貪食殺菌する。後期になるとマクロファージが集まり死んだ
マクロファージ
細胞や細菌を食作用により処理、分解する。
リポ多糖、Lipopolysaccharide。グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び
多糖から構成される物質(糖脂質)である。LPSは内毒素(エンドトキシン、英:
※22 LPS
Endotoxin)であり、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると、多彩な生物活性を
発現する。
(タンパク質)
※23 タンパク質の構造の一部で、固有の機能を持つ部分。
ドメイン
Graft Versus Host Disease;移植片対宿主病のこと。移植片対宿主病(GVHD)は、造血
幹細胞同種移植の合併症で、ドナー由来のリンパ球が患者の正常臓器を異物とみなして
※24 GVHD
攻撃することによって起こる。重症化すると治療が難しく時に命に関わることもある。
これに対して、拒絶反応(免疫拒絶)は、心臓移植などの臓器移植の合併症で、患者の
免疫細胞が、ドナー由来の移植片を異物と認識し、攻撃することによって起こる。
特定の抗原(免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質の
総称)に対する特異的免疫反応の欠如あるいは抑制状態へ誘導する治療。現在、一般に
※25 免疫寛容療法 用いられている免疫抑制剤は非特異的に免疫を抑制するため、重篤な感染症等のリスク
が増大する。長期的な免疫抑制剤の減量又は中止のために、特定抗原に対する免疫を制
御することは、移植医療において重要なテーマである。
サイトカイン(cytokine) は、細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質
※26 サイトカイン
の総称。生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与え
る。
※27 成長因子 体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称。
※28 免疫応答 体内の抗原を察知し、排除する反応。
細胞がある場所から別の場所に移動すること。創傷治癒や胚の発生の過程などで重要な
※29 細胞遊走
役割をになっている。
※30 骨格・運動器系 骨、軟骨、筋肉などの器官。
※31 内分泌系 ホルモンを分泌する器官。
※32 呼吸器系 気道、肺など呼吸を行う器官。
54/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
No 用語 解説
当社と大阪大学との共同研究でA-box内に存在することが明らかとなった、HMGB1蛋白の
HMGB1の生理活性ド
骨髄間葉系幹細胞活性化ドメイン(以下、「KOI2ドメイン」という。)。PJ1は当該
※33 メインから創生した
KOI2ドメインの化学合成ペプチド(HMGB1ペプチド)の医薬品化を目的とするPJであ
ペプチド製剤
る。
GLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を
※34 GLP
確保するための基準をいう。
第Ⅰ相試験、初期第Ⅱ相試験などの臨床試験のこと。後期第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験など
※35 早期臨床試験
後期臨床試験に対する用語。
生体内から細胞を回収する治療用の装置。患者の皮下に埋め込んで用いることを想定し
※36 デバイス
ている。
根治的再生誘導型
※37 再生誘導医療のメカニズムを用いた、遺伝病等に対する根治的な細胞治療製品の意。
細胞治療製品
※38 作用機序 薬剤がその薬理学的効果を発揮するための特異的な生化学的相互作用を意味する。
※39 遷延化 治癒までの期間が長期になること。
動脈血量の減少による局所の貧血。阻血に同義。乏血あるいは全身性の貧血(一般的に
※40 虚血
貧血と呼ばれる現象)と区別して局所性貧血と呼ばれることもある。
効果の検証を行う評価物質を投与する群に対し、評価物質を含まない溶媒のみなどの対
照群を陰性コントロール群若しくは単にコントロール群と呼ぶ。薬の臨床試験であれ
※41 コントロール(群)
ば、新たに開発した薬剤を投与する群が実験群、偽薬を投与する群が統制群(コント
ロール)となる。
(マウスの)
※42 人為的に、対象疾患を発症させたマウス。
○○モデル
ロータロッドテスト。げっ歯類における協調運動と運動学習を測定するテスト。特に実
ロッド上での
※43 験動物の神経疾患や薬物作用の検討に用いられる。回転する棒の上にマウスをのせて
保持時間
徐々に速度を上げ、マウスが落下するまでの時間を測定する。
デキストラン硫酸ナトリウムのこと。DSSを飲水させることにより、潰瘍性大腸炎の症
※44 DSS
状を有する疾患モデル動物を作成することができる。
Basso Mouse Scaleの略。脊髄損傷によって生じる下肢の運動機能を評価する指標。
※45 BMSスコア
サフラニン-Oで染まる軟骨は硝子軟骨の指標となる。硝子軟骨は耐圧性に優れ、関節軟
※46 サフラニン-O染色 骨などを構成する。図18においては、赤く染まった▼▼▼部分がサフラニン-Oで染まっ
た軟骨である。
赤色蛍光タンパク 胎児期に発現した赤色蛍光タンパクを出生後にも発現し続ける遺伝子組み換えマウスを
※47
・・・でトレース 利用することにより、外胚葉性間葉系幹細胞由来の細胞を観察する方法。
ブレオマイシンは抗がん剤として臨床で用いられているが、肺線維症の副作用がある。
ブレオマイシン
※48 これを利用し、マウスにブレオマイシンを投与することで肺線維症を誘発した疾患モデ
(BML)
ル動物は、肺線維症のモデルとして一般的に用いられている。
AST、ALT、アルブミ
※49 人間ドックなどでも広く用いられる肝機能を評価する指標。
ン、ビリルビン
マウス潰瘍性大腸炎モデルでは、重症度に応じて血便などの糞便の性状に変化が生じ
※50 疾患スコア
る。これらの状態を数値化したもの。
※51 MC903(topical)誘発 マウスの耳に薬剤を塗布し、アトピー性皮膚炎の症状を起こさせる。
※52 動員因子 幹細胞を誘引・集積させるための物質。
細胞の調整や、培養、加工などの工程(細胞プロセッシング Cell Processing )を行
セルプロセッシング
※53
センター
う場所。
55/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
4 【関係会社の状況】
該当事項はありません。
5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況
2019年5月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
20(18) 39.0 3.3 5,304
(注) 1.従業員数は、就業員数(契約社員、常用パートを含む。)であります。なお、臨時雇用者数(派遣社員)
は、( )内に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は単一セグメントであるため、セグメント情報との関連は記載しておりません。
(2) 労働組合の状況
当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満な関係にあり、特記すべき事項はありません。
56/175
EDINET提出書類
株式会社ステムリム(E34999)
有価証券届出書(新規公開時)
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、人体が本来備えている組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬」をはじめとした最先端生命科学研究の
成果をもとに、新しいコンセプトの治療薬を生み出し続けることで、世界の健康と幸福の実現に貢献することを経
営理念として掲げております。
(2) 目標とする経営指標等
現在、研究開発段階にある当社は、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりません。現
在、HMGB1ペプチドの表皮水疱症、脳梗塞、心筋症を適応症とする開発が先行する段階にありますが、他の適応症へ
の展開や後発パイプラインの開発推進、新たな開発候補品の探索等を行い、開発パイプラインを質・量ともに充実
させることが、企業価値を高め、経営を安定させる上で不可欠の目標と認識しております。当該目標達成のため
に、共同研究や事業提携を推進するとともに、より充実した研究・開発体制の確立のための設備導入等の施策を推
進してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
当社が属する再生医薬品分野は、世界的にも普及段階まで至っておらず、このような最先端医療分野は環境変化
のスピードが極めて早いと考えられ、潜在的な競争相手に先行し、他社の知的財産権を上回る開発をする必要性が
あります。
このような経営環境の下、当社が対処すべき当面の課題としては、主に下記①~⑤の5点があります。
① 既存事業の展開支援と新規事業の開発推進
既存事業については、大手製薬企業への開発候補品の導出が完了していることから、今後は、導出先企業による
臨床開発が滞りなく進められ、さらに、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、導出先の製薬企業に対
する側面支援を継続していくことが、当社の重要な役割であると考えております。また、大阪大学において実施中
の医師主導治験に対する継続的な支援も、引き続き、当社の重要な役割であると認識しております。第Ⅱ相医師主
導治験において開発候補品の有効性が示されれば、当該医薬品の表皮水疱症治療薬としての上市のみならず、他の
適応症への展開が加速されるものと期待しております。その他のパイプラインについても新たな事業提携に繋げて
いくことが、今後の当社の重要な経営課題であると考えております。具体的には以下のような内容になります。