ユービーエス・エイ・ジー 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | ユービーエス・エイ・ジー |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ユービーエス・エイ・ジー(E05852)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019年6月28日
【事業年度】 2018年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
【会社名】 ユービーエス・エイ・ジー(UBS銀行)
(UBS AG)
【代表者の役職氏名】 執行役員会プレジデント
セルジオ P. エルモッティ
(Sergio P. Ermotti, President of the Executive Board)
チーフ・ファイナンシャル・オフィサー
カート・ガードナー
(Kirt Gardner, Chief Financial Officer)
【本店の所在の場所】 スイス国 チューリッヒ市 CH-8001 バーンホフストラッセ45
(Bahnhofstrasse 45, CH-8001 Zürich, Switzerland)
スイス国 バーゼル市 CH-4051 エーシェンフォルシュタット1
(Aeschenvorstadt 1, CH-4051 Basel, Switzerland)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 月岡 崇
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03‐6889‐7000
【事務連絡者氏名】 弁護士 九本 博延
弁護士 福原 亮輔
弁護士 星野 慶史
弁護士 横山 晃大
【連絡場所】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03‐6889‐7000
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【縦覧に供する場所】 該当なし
(注1) 本書において、別段の記載がある場合を除き、「提出会社」又は「当行」とはユービーエス・エイ・ジー(UBS AG)を、「UBS
AG(連結ベース)」又は「UBS AG(連結)」とはユービーエス・エイ・ジー及びその連結子会社を、「UBS」、「当グループ」
又は「UBSグループ」とはUBSグループの持株会社でありユービーエス・エイ・ジーの親会社であるユービーエス・グループ・
エイ・ジー(UBSグループAG)及びその連結子会社を指し、また、別段の記載がある場合を除き、「スイス」又は「スイス連
邦」とはスイス連邦共和国を指す。
(注2) 本書に記載されている日本円の換算は、2019年6月3日現在の株式会社三菱UFJ銀行本店の対顧客電信直物売買相場の仲値(1
スイス・フラン=108.44円又は1米ドル=108.34円)により行われている。
(注3) 2018年から、割合、絶対数の変動、変化率及び調整後の数値は、端数処理をしていない数値に基づき計算している(端数処理を
して計算されている、表に示される数値から得られる本文中の変動情報を除く。)。従前の期間については、当該数値は、表や
本文に示される端数処理後の数値に基づき計算している。2018年より前に算出された数値については、金額、フルタイム換算に
よる人数及び比率を表示する場合、四捨五入している場合がある。従って、合計の数字が一致しない場合がある。また、円貨へ
の換算は本書の中でそれに対応する数字につき所定の換算率で単純計算の上、必要な場合、四捨五入してある。従って、本書中
の同一の情報につき異なった円貨表示がなされている場合もある。
(注4) 本書の中で、事業年度とは1月1日に始まり12月31日に終わる一年を指す。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当行は、アクティエンゲセルシャフト(Aktiengesellschaft)又はソシエテ・アノニム(Société
Anonyme)又はソシエタ・アノニマ(Società Anonima)(一般に「株式会社」と翻訳されている。)であ
り、一般にドイツ語では「AG」の文字で、又はフランス語若しくはイタリア語では「SA」の文字で表示さ
れており、スイスで設立された他の事業組織体と同様、銀行の業務に多くの点で影響を与えているスイス
連邦法である1911年3月30日付スイス連邦債務法(改正済)、1934年11月8日付スイス連邦銀行業及び貯
蓄銀行法(改正済)(以下「連邦銀行法」という。)並びにこれに関連する2014年4月30日付の銀行業及
び貯蓄銀行に関するスイス連邦規則(改正済)、2015年6月19日付金融市場インフラストラクチャー並び
に証券及びデリバティブ取引の市場行動に関するスイス連邦法並びにこれに関連する2015年11月25日付金
融市場インフラストラクチャー並びに証券及びデリバティブ取引の市場行動に関するスイス連邦規則、
2012年6月1日付銀行及び証券ディーラーに対する自己資本規制及びリスク分散に関するスイス連邦規則
(改正済)、2012年11月30日付銀行流動性に関するスイス連邦規則、2012年8月30日付銀行及び証券
ディーラーの支払不能に関するスイス金融市場監督当局の規則(改正済)、並びに上場会社における過剰
報酬に対する2013年11月20日付スイス連邦規則(上場会社に対してのみ。)により規制されている。これ
らは、銀行に関するスイス連邦法のうち最も重要なものである。以下、株式会社として設立された銀行に
適用されるスイス連邦債務法の規定を要約する。
(a)株式会社
株式会社(Aktiengesellschaft)は、商号を有し、その予め決められた株式資本は、特定の金額(株
式)に分割されており、その債務は、会社の資産からしか支払うことができない。
(b)設立
創立総会の決議については、公正証書が用意されなければならない。当該公正証書には基本的な書類が
添付される。定款の変更、とりわけ資本の増減及び解散決議についても同様である。設立時には少なくと
も一人の株主がいることを要する。原則として、株主の国籍については制約はない。
(c)定款
定款は、とりわけ、会社の商号、会社の登記上の事務所、目的、株式資本金額、払込資本金額、株式
数、株式の額面及び種類、総会招集手続、株主の議決権、経営及び監査に関する運営機関、並びに会社に
よる対外コミュニケーションの様式に関する規定を備えていなければならない。更に上場会社の場合、定
款には、とりわけ、取締役会及び執行役員会の報酬にかかる株主の年次投票に関する規定を含めなければ
ならない。株主が現物出資を行う場合、その手続の細目は定款に規定されなければならず、また会社が有
形資産を株主又は株主の関係者から取得する又は取得しようとする場合、その手続の細目も定款に規定さ
れなければならない。これは、会社設立時に会社の設立者及びその他の者に対して特権が認められる場合
においても適用される。このような場合、定款にはかかる者の氏名並びに当該特権の正確な内容及び価値
が規定されなければならない。
会社は、本拠地とする地域の商業登記簿に登録されなければならない。特に、次の事項は商業登記簿に
登録されなければならない。すなわち、定款の日付、会社の商号、会社の登記上の事務所、会社の目的及
び定款に規定ある場合には会社の存続期間、株式資本金額、払込済資本、株式数、株式の額面及び種類、
各種類の株式に関わる譲渡制度及び優先権、現物出資の内容及びその見返りとして発行された株式、会社
の取得有形資産の内容、会社により約定された対価又は支払われた対価の内容、並びに特権の内容及び価
値。
会社は、商業登記への登記を通じてのみ法人格を取得する。登記以前に発行された株式は無効である。
(d)免許
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銀行は、連邦銀行法のもとでの免許を受けなければならない。
(e)株式
株式は記名式又は無記名式で発行される。会社は記名株式の所有者の名簿、いわゆる株主名簿を保持し
なければならない。両方の形式の株式は、定款で定められた比率で同時に発行することができる。株式の
額面は、0.01スイス・フラン以上でなければならない。
定款はまた、二つの形式の株式の間の違いについても規定することができ、優先権を有する株式につい
ても規定することができる。当該優先権は、配当、清算手取金及び新たに株式が発行される際の新株引受
権に関連する可能性がある。また、定款は利益分配若しくは参加証書について規定することができる。
株券には、とりわけ、「株式」の文字、会社の商号及び登記上の事務所の所在地、額面並びに固有の特
徴(番号又はアルファベット)について記載しなければならない。株券にはまた、異なる種類がある場合
の当該株式の種類が表示されていることが望ましい。株券は取締役会の構成員の一人以上によって署名さ
れなければならない。大量の株式発行の場合には、複写式署名の使用が認められる。会社は、印刷された
株券の代わりに株券の発行されない株式発行を選択することができ、必要な場合、2008年10月3日改正の
間接保有証券に関する連邦法に従い間接保有証券に転換することができる。株式の譲渡に関して、株式は
有価証券としての法的性格を有する。無記名株式は株券の引渡しによって譲渡され、記名株式は裏書又は
書面譲渡及び株主名簿への登録によって譲渡される。定款により譲渡制限について特別の規定を定めるこ
とができる。
(f)株主
スイス連邦債務法と定款の規定に基づく株主の基本的な権利には、平等な取扱い、議決権、株主総会に
出席する権利、株主総会で配当が決議された場合に利益配当を受ける権利、清算の場合に清算手取金の按
分比例持分を受ける権利が含まれる。ただし、定款に異なる定めがある場合を除く。株主の責任について
は、会社の債務に関して、株主が個人責任を負うことはない。株主総会は会社の最高機関である。株主総
会は、(ⅰ)定款を決定及び変更し、(ⅱ)取締役会の構成員、監査役並びに(上場会社の場合)取締役
会会長及び報酬委員会の構成員並びに株主総会のための独立代理人を選任・解任し、(ⅲ)年次報告書及
び連結会計を承認し、(ⅳ)年次会計及び可処分利益の分配に関する決議の承認、特に取締役に支払われ
る配当及び利益の持分の決定を行い、(ⅴ)(上場会社の場合)取締役会、執行役員会及び諮問委員会の
報酬にかかる投票を行うことについて、不可譲の権利を有する。定時株主総会は通常、毎事業年度終了後
6か月以内に取締役会によって招集されるが、必要であれば監査役、清算人及び社債権者の代表者によっ
ても招集される。更に、株主総会は、合計で全株式資本の10%以上を表章する1名以上の株主によっても
招集される。定款にこれより低い基準が規定されない限り、株主全体で額面総額が100万スイス・フラン
以上となる株式を代表する場合は当該株主が、提案事項を議題に入れるよう要求することができる。株主
総会を招集し、議案を議題に追加する旨の要求は書面によるものとし、また株主総会に提出される議題項
目及び提案を特定しなければならない。株主総会の招集通知は当該株主総会の20日以上前に発せられなけ
ればならない。ただし、会社の全株式を有する株主又はその代理人が会議に出席し、異議のないときは、
この限りではない。
スイス連邦債務法上、株主総会が開催されるべき場所については規定がない。定款に別段の規定がない
場合、株主総会は会社の登記上の事務所の所在地において、又は会社の主たる営業所若しくは取締役会に
よって指定された場所で開催される。
定款に別段の規定がない限り、記名株主は(株主である必要はない)第三者に書面による委任状を発行
できる。
無記名株式の場合には、その株券の所持により議決権が付与される。当該資格は、無記名株券を呈示又
は取締役会により定められたその他の方法で証明される。
(g)外国人株主
スイス連邦会社法は原則として、外国人又は非居住者の株式保有を制限していない。
(h)経営及び営業
取締役会は少なくとも一人の構成員で構成される。会社を代表する権限を有する者が少なくとも一人は
スイスに居住していなければならない。この者は、取締役会の構成員又は執行役員でなければならない。
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議決権又は財産権に関し異なる種類の株式がある場合、定款において、株式の各種類の株主が、少なく
とも一人の取締役会への代表者を選任する権利を有することを規定しなければならない。取締役会の構成
員 は株主総会で選任され、解任される。定款は各取締役の在任期間について定めることができる。定款に
別段の規定がない限り、取締役会の構成員は3年を任期として選任される。いかなる場合も当該任期は6
年を超えてはならない。上場会社の場合、当該任期は1年までに制限される。欠員は株主総会によっての
み選任され補充される。
スイス連邦会社法上、取締役会は会社の最高執行機関として行為し、法令又は定款により株主総会に留
保されなかった全ての事項に関する決議案を可決することができるが、連邦銀行法では銀行に対し、事業
の範囲及び重要性の程度が大きい場合、その経営に関する機関と、その管理、監督及び統制のための機関
を別に設置することを求めている。
定款は、組織規則に基づき少なくとも一人の取締役会構成員又は第三者に会社の事業の全て又は一部を
委任する権限を取締役会に付与することができる。取締役会の少なくとも一人の構成員(又は連署が必要
ならば、二人の構成員)は、会社を代表する権限がなければならない。定款又は組織規則に別段の規定が
ない場合、取締役会の全構成員が会社を代表する権限を有している。会社を代表する権限を有する者は、
会社を代理して、会社の目的に沿った法的行為を行うことができる。会社を代表する権限を与えられた者
は、その署名を会社名に付加することによって署名する。取締役会は、移転不可で不可譲の職務を有して
おり、かかる職務とは、(ⅰ)会社全体の経営及び必要な指示の行使、(ⅱ)会社組織の決定、会計処
理、財務管理及び会社の経営上必要な範囲内での財務計画の監督、(ⅲ)会社の経営及び代表を委任され
る者の選任及び解任、(ⅳ)会社の経営を委任された者に対する法律、定款、業務規則及び指示の遵守の
観点からの全体的な監督、(ⅴ)経営に関する報告書の編集、株主総会の準備、並びに採択決議の実施、
並びに(ⅵ)会社が債務超過に陥った場合の裁判所通告の実施をいう。
監査役についてみると、株主総会は一又は複数の監査役を選任する。監査役は、(ⅰ)年次決算報告書
及び、適用ある場合、連結会計が法律の条項、定款及び選択された一連の会計基準を遵守しているか否
か、(ⅱ)貸借対照表上の利益の分配に関し取締役会が株主総会に対して行った提案が法律の条項及び定
款を遵守しているか否か、並びに(ⅲ)内部統制システムが構築されているか否かを確認する。
監査役は独立していなければならない。その独立性は見かけ上又は事実上のものであってはならない。
監査役は監査結果を要約した報告書を株主総会に提出する。この報告書には、年次会計及び連結会計を
承認するべきか、承認する場合の制限の要否、あるいは否認するべきかについての勧告を記載する。
この報告書には、監査の管理者及びその専門家の資格に関する情報並びに独立要件が満たされているこ
との証拠を伴った確認についても記載する。
監査役は、会計、内部統制システム並びに監査の実施及び結果について述べた包括的な報告書を取締役
会に提出する。
監査役が法律又は定款若しくは組織規則の違反を確認した場合、監査役は取締役会に書面により通知す
る。監査役は、法律又は定款の違反が重大なものであり又は取締役会が監査役から書面による通知を受け
ても適切な対応を講じない場合、当該違反を株主総会に通知する。
明白な債務超過がある場合、監査役は取締役会が通告しない場合にはその事実を裁判所に通告する。
(i)会計
会社は、帳簿を維持する義務を有する。会計は、財務報告の基礎となる。会計では、会社の資産、財務
及び収益に関するポジションを表示するのに必要のある取引及び状況を記録する。会計は、確立された会
計方針に従っている。
(j)資本
ア.資本の増加
株式資本の増加には株主総会の決議を必要とする。通常の増資の場合、取締役会は3か月以内に増
資を行う。定款の変更により、株主総会も2年を超えない期間内に株式資本を増加することを取締役
会に対し授権することができ(授権資本)、また株主総会は、会社又はそのグループ会社の従業員及
び新規債券又は類似の債務証券の債権者に対し新株の受領権(転換権又は新株引受権)を付与するこ
とによって、条件付増資の実施を決定することができる(条件付資本)。
イ.資本の減少
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同時に新規の全額払込済資本で置き換えることなくしてなされる資本の減少に関する株主総会の決
議は、特別の監査を必要とする。その監査において全ての債権者の債権が資本減少にもかかわらず満
足されることが確認されなければならない。
株主総会の決議は、スイス官報に3回、及び定款に定める公告方法によって公告されなければなら
ない。
この公告において、会社は債権者に対し、スイス官報での3回目の公告から2か月以内に、債権者
がその有する債権が満足されるべき又は担保されるべき旨を登録できる旨を通知しなければならな
い。
監査報告書を含む認証された書類は、上記の規定の遵守を証明しなければならない。
債権者に対する公告及びその債権を満足させること又はその債権に担保を付すことは、資本の減少
が損失によって生じた資本の欠損を填補する目的のためにのみ行われる場合には省略することができ
る。ただし、減少額は当該欠損額を超えない。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当行の2018年4月26日付定款(「定款」)の規定の要約は、以下の通りである。
(a)株式資本
当行の株式資本は、385,840,846.60スイス・フランであり、額面金額0.10スイス・フランの全額払込済
記名株式3,858,408,466株に分割されている。
株式資本は、当行又は当行グループ会社のうち1社が国内外の資本市場で発行する社債又は同種の金融
商品に関連して付与された転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使により、一株当たり額面金
額0.10スイス・フランの全額払込済記名株式を最高380,000,000株発行することにより、38,000,000スイ
ス・フランまで増加することができる。株主の新株引受権は除外される。転換権及び/又はワラントの当
該時点での所有者は、新株を引き受ける権利を有する。転換権及び/又はワラントの条件は、取締役会が
決定する。
転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使による株式の取得は、その後の株式の各譲渡と同様
に、定款第5条に規定する登録要件に服する。
転換社債、ワラント付社債又は同種の金融商品の発行については、取締役会は、当該商品が(ⅰ)国内
外の資本市場で、又は(ⅱ)1以上の金融投資家に対して発行される場合、株主の新株予約権を制限又は
除外する権限を有する。新株予約権が取締役会によって制限又は除外される場合、以下が適用される
- 当該商品は実勢の市場条件で発行され、新株は当該金融商品の関連ある条件に従って発行される。転
換権の行使期間はその発行日から最長10年であり、ワラントの行使期間はその発行日から最長7年であ
る。転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使による新株の発行は、株式の時価及び/又は類似
証券の関連ある金融商品の発行時の時価を考慮した条件でなされる。
(b)株主名簿及び登録名義人
記名株式については、株主名簿が作成され、所有権者及び用益権者の氏名又は法人の名称、住所及び国
籍(法人については登記上の事務所)が記入される。全ての登録された株式保有者が下記第3段落で要求
される宣言を行った場合には、共同勘定で保有される株式を議決権付きのものとして、共同名義で株主名
簿に記載することができる。
株主が郵送先住所又は登記上の事務所を変更した場合、新住所を当行に通知しなければならない。これ
を行わない限り、全ての書面による通知は、法律上の要求に従い有効である、株主名簿に記載のある住所
宛てに送付される。
記名株式を取得した者は、要請があった場合、その名義及び勘定で当該記名株式を取得した旨明示的に
宣言することにより、議決権を有する株主として株主名簿に記入される。株式取得者がかかる宣言を行う
用意ができていない場合、取締役会は、当該株式を議決権付きのものとして記載することを拒否すること
ができる。
上記の登録制限は、新株引受権、選択権又は転換権の行使により取得する株式にも適用がある。
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取締役会は、詐欺により記入が行われた場合、影響を受ける登録された保有者又は登録名義人の事情に
関する聴聞を行った後、記入の日に遡って、当該株主名簿から議決権を有する株主としての記載を削除す
る権限を有する。影響を受ける当事者は、直ちにかかる措置の通知を受けるものとする。
取締役会は、受任者/登録名義人の登録に関する一般的規則を制定し、上記規定に沿うように必要な規
則を発するものとする。
(c)株式の形態
当行の記名株式は、次段落を条件として、(スイス連邦債務法の意味における)株券の発行されない証
券及び(間接保有証券法の意味における)間接保有証券の形態とする。
記名株式について株主名簿に記載した後、株主は、いつでも当行に対し、当該株主の保有する記名株式
に関して記載された書面の発行を請求することができる。ただし、当該株主は、株券の印刷や交付を行う
権限はない。一方、当行はいつでも記名株式の株券(単一株式を表章する株券、複数の株式を表章する株
券及び大券の券面)を印刷、交付することができる。これにより、間接保有証券として発行された記名株
式は、それぞれの保管システムから引き揚げられる可能性がある。株主の同意により、当行は、株券の発
行を取り消し、引き替えなしに株券の返還を受けることができる。
(d)当行の機関
当行の機関は、株主総会、取締役会、執行役員会及び監査役により構成される。
(e)株主総会の招集
株主総会は、当行の最高会社機関である。
株主総会は、会日より少なくとも20日前までに、取締役会又は必要に応じて監査役が招集するものとす
る。株主総会は、当行の指定する記録用の公的刊行物において単一の通知を公告することにより招集され
る。招集通知は、全ての記名株主に送付される。
株主総会の招集通知には、議題、取締役会の議案及び株主の提案、並びに取締役等の選任の場合は提案
にかかる候補者の氏名を特定するものとする。
ただし、異議がない場合に限り、全株式の株主又は当該株主に適法に授権された代理人は、上記通知手
続を経ずに、株主総会を開催する権利を有する。全株式の株主が自ら又は委任状により出席する場合に限
り、かかる会において、株主総会の権限の範囲内で、全ての事項について審議又は正当に決議を可決する
ことができる。
額面総額62,500スイス・フラン相当以上を表章する株式を保有する株主は、株主総会の審議に付すべき
事項の提案を行うことができる。ただし、当該提案は、当行の公表した期限までに、書面で、審議に付す
べき具体的な動議を示してこれを行う。
適切に議題として示された事項以外については決議を行わない。ただし、株主総会による臨時株主総会
を招集すべき旨の議事又は特別監査を行うべき旨の議事については、この限りでない。
(f)議長、集計係、議事録
取締役会の会長、又は会長に支障のある場合は副会長若しくは取締役会の指名する他の取締役が、株主
総会の議長を務め、秘書役及び必要な集計係を選任する。
議事手続について議事録を作成し、株主総会の議長及び秘書役の署名を付すことを要する。
(g)株主代理
取締役会は、株主総会における株主の参加及び代理に関する手続についての規則を制定する。
株主総会においては、株主の法定代理人又は書面による委任状に基づいて投票を行うことのできる、株
主である必要のない他の者が株主を代理することができる。
株主総会の議長は、委任状を承認するか否か決定する。
(h)定足数及び議決
株主総会における決議及び選任は、本定款及び強行法規に従うことを条件として、白紙投票及び無効投
票を除く投票された議決権の絶対多数決により議決される。
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(i)議決権
一株当り一議決権を付与される。
当行は、一株当り一代理のみを認める。
議決権及び付随的権利は、議決権を有するものとして株主名簿に記入された当事者により、当行に関す
るものに限り行使することができる。
(j)特別決議
スイス連邦債務法第704条に基づき、当行の目的の変更、特別議決権付株式の創設、授権資本又は条件
付資本の増加、及び当行の解散等の重要な決議は、議決権の3分の2以上が出席する株主総会において、
出席額面株式の絶対多数が当該決議に賛成することにより採択される。
定款の第18条を変更する決議、取締役会の構成員の4分の1以上を解任する決議、又は定款第16条第2
項を削除若しくは変更する決議には、株主総会で代表される議決権の少なくとも3分の2の賛成投票を要
する。
(k)議決及び選任の投票
株主総会の議長は、決議及び選任にかかる投票をどのような方法によって行うかを決定する。
(l)年次株主総会
年次株主総会は、毎年事業年度末から6か月以内に開催する。会日の少なくとも20日前までには、株主
が、当行の登記上の事務所において年次報告書及び監査報告書を閲覧することができるようにしなくては
ならない。
(m)臨時株主総会
臨時株主総会は、取締役会又は監査役が必要とみなすときに随時開催する。
臨時株主総会は、株主総会決議又は株式資本の少なくとも10分の1以上を代表する一若しくは複数の株
主の議題及び議案を特定した書面による請求により、招集されることを要する。
(n)株主総会の機能
株主総会は、下記の権限を有する。
ア) 定款の作成及び改正
イ) 取締役会の構成員及びその会長の選任
ウ)監査役の選任
エ) 年次報告書の承認及び貸借対照表に表示された純収益の処分の決定
オ) 取締役会及び執行役員会の構成員に対する管理事務に関する免除の付与
カ) 法律若しくは定款により株主総会に留保された全ての事項又は取締役会が株主総会の議事に付した
全ての事項についての決定
(o)取締役会
選任、任期及び資格
取締役会は、5名以上12名以下で構成する。
取締役会の構成員及びその会長は、次回の年次株主総会の終了時に満了する任期について、個別に選
任される。
任期を終了した構成員は、直ちに再任されることができる。
組織
株主総会による取締役会長の選任を除き、取締役会は取締役会自身を構成する。取締役会は、その構
成員の中から1名以上の副会長を選任する。
取締役会は、秘書役を選任するものとし、秘書役は、取締役会の構成員であることを要しない。
取締役会長が空位の場合、取締役会は、残りの任期につきその構成員の中から新しい取締役会長を選
任する。
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招集、参加
取締役会長は、業務上の必要に応じ、取締役会を招集するものとする。
取締役会は、取締役会の構成員又は執行役員会プレジデントが書面により取締役会開催を取締役会長
に請求した場合、招集される。
決議
取締役会の決議は、出席議決権の絶対多数決による。賛否同数の場合、取締役会の議長が決定票を投
じる。
定足数を構成する出席構成員数及び決議の議決方法は、取締役会が組織規則に規定する。かかる定足
数は、資本増加にかかる実施、確認及び修正決議については要求されない。
職責、権限
取締役会は、当行の経営並びに経営管理の監督及び管理に対する最終責任を担う。
取締役会は、法律又は定款により株主総会その他の会社機関に明示的に留保されていない全ての事項
についても決定を行うことができる。
当行の経営に対する最終責任は、とりわけ下記により構成される。
ア) 株主総会の議事に付する提案についての準備及び決定
イ) 業務の執行及び権限の概要決定に必要な規則、とりわけ組織規則及び内部監査に適用のある規則
の制定
ウ) 会計、財務及びリスク管理、並びに財務計画、とりわけ業務運営のための資本資源及びリスク資
本の配分に関する原則の設定
エ) 戦略及び組織規則上取締役会に留保されたその他の事項についての決定
オ) (ⅰ) 執行役員会プレジデント、(ⅱ) 組織規則が取締役会による任命を要求しているその他の執
行役員会の構成員及び (ⅲ) 内部監査エグゼクティブの任命並びに解任
カ) 取締役会の権限(スイス連邦債務法第651条第4項)内における株式資本の増加、資本の増加に関
する報告(スイス連邦債務法第652e条)並びに資本増加の確認及びその旨の定款改正についての決定
監督、管理
業務運営の監督及び管理は、とりわけ下記の事項により構成される。
ア) 年次報告書の精査
イ) 業務の遂行過程、当行の状態、各国、契約の相手方及び市場リスクの現状及び進展、並びに業務
運営により発生する資本及び資本リスクの程度について記述する定例報告書の受理
ウ) 監査役が作成した報告書の検討
取締役会は、本定款第24条及び第25条の規定に従い、その権限の一部を一若しくは複数の取締役会構
成員又は第三者に委任することができる。権限及び機能の配分は、組織規則に規定される。
署名
取締役会構成員又はそれ以外の者が当行を正式かつ有効に代表する権利は、組織規則及び特別指令で
決定される。
報酬
取締役会は、取締役会構成員の報酬について決定する。
(p)執行役員会
構成
執行役員会は、組織規則で詳述される通り、執行役員会プレジデント及び少なくとも3名の他の構成員
により構成される。
機能、権限
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執行役員会プレジデントの指揮の下で行為する執行役員会は、当行の経営について責任を負う。執行役
員会は、連邦銀行法で規定される最高業務執行機関に相当する。執行役員会は、取締役会の決定する戦略
を 実施し、取締役会の決定の執行を確保する。執行役員会は、当行の業績について責任を負う。
執行役員会及び取締役会により任命された他の管理部門の責任及び権限は、組織規則に規定されてい
る。
(q)監査役
法定の政府当局監督に従って、監査法人が監査役に任命される。
株主総会は、1年を任期として、監査役を選任することができる。監査役の権利及び職責は、法律の規
定により定められる。
株主総会は、3年の任期で、増資に必要な証明書を提供する特別監査役を任命することができる。
(r)財務諸表、利益処分、準備金
法定の財務書類は、毎年12月31日を決算日とする。
一般法定準備金の額が株式資本の20%に達するまでの間、各年の利益の少なくとも5%が当該準備金に
充当される。
残余の利益は、スイス連邦債務法及び連邦銀行法に従い、株主総会における株主の処分に委ねられる。
かかる株主は、任意準備金及び特別準備金の積立てのためにこれを使用することもできる。
株主総会は、取締役会の推薦に基づき、法律の規定に従って、準備金の使用について決定を行う。
(s)存続期間
当行の存続期間について、時間的制限はない。
(t)公告
公告は、スイス官報に掲載される。
取締役会は、他の刊行物を指定することもできる。
(u)管轄
会社関係から生じる紛争の管轄は、当行の2つの登記上の事務所とするが、株主総会決議を争うもの又
は株主総会決議若しくは取締役会決議の無効に関する訴訟は、例外的にチューリッヒの裁判所の専属的管
轄権に服する。
2【外国為替管理制度】
日本の居住者による証券投資及びスイスにおける証券投資の手取金又は利益配当の送金については為替管
理上の制限はない。適用ある法律上、連邦政府又はスイス中央銀行には、一般的な外国為替規制を導入する
権限はない。
国際連合(以下「国連」という。)による経済制裁は、最も一般的な国際的報復行為である。国連憲章に
従い、安全保障理事会は、平和を脅かす若しくは混乱させる、又は侵略行為を犯す国に対して経済的措置の
行使を命じる権限を有する。国連加盟以来、スイスは、国際公法上、当該制裁措置を行使するよう義務づけ
られている。
スイスにおいては、国際的制裁の行使に関する連邦法(通商禁止法)が、国際公法の遵守及び特に人権の
尊重を回復することを目的として、国連、OSCE(ヨーロッパ安全保障協力機構)又はスイスの最も重要な貿
易相手国により発せられる制裁を行使するため、高圧的措置を採択する法的根拠となっている。当該措置
は、連邦議会が公布する規則の様式で採択される。
銀行及びその他の金融機関は、スイス中央銀行に関する連邦法(以下「スイス中央銀行法」という。)に
基づき、スイス中央銀行が、スイスの金融市場の状況を調査し、把握できるよう、スイス中央銀行に統計資
料を提出するよう義務づけられている。
スイス中央銀行法上、スイスの銀行は、金融市場の機能を促進するため、最低限の準備金を保有するよう
義務づけられている。
スイス中央銀行は、現金の供給と分配を確保する。法律上、社債発行の特権が付与されている。
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金融政策を行う中で、スイス中央銀行は、法律上、金融制度の安定性に寄与するよう義務づけられてい
る。
スイス中央銀行は、連邦政府のための銀行でもある。
3【課税上の取扱い】
(1) 二重課税回避条約
1971年12月26日施行の所得に対する租税に関する二重課税の回避のためのスイスと日本との間の条約
(以下「条約」という。)(2010年5月21日に改正済)は、とりわけ、スイスにより課される源泉徴収税
を含む所得税及びキャピタル・ゲインにかかる税金に関して適用される。条約は、日本の居住者(個人及び
法人)に適用がある。
(2) スイスの所得税の取扱い
(a) 原則
日本の居住者は、スイスの恒久的施設を通じて商業活動又は事業活動を行わない限り、スイスの所得
税を課せられない。
(b) 社債に関する源泉徴収税
スイス国外のUBS AGの支店により発行された社債に関し支払われる利息については、手取金が常時ス
イス国外で使用される限り、スイス連邦源泉徴収税に服さない。
(c) 社債の売却益
日本の居住者がスイスの恒久的施設を通して商業活動又は事業活動を行わない限り、同人によって現
金化された社債の譲渡益はスイスにおいて課税されない。
(3) その他のスイスの税金
(a) 有価証券取引にかかる印紙税
スイス又はリヒテンシュタイン公国の居住者である銀行又はブローカー又はその他の証券ディーラー
が仲介者又は本人として、スイス印紙税法に関連するような取引に関与している場合にのみ、スイスの
有価証券取引にかかる印紙税が課される。
(b) 相続税及び贈与税
死亡者又は贈与者がスイスの居住者である場合にのみ、社債の移転はスイスの課税対象となることが
ある。
4【法律意見】
法律意見書は、エグゼクティブ・ディレクター兼リーガル・カウンセルであるケルサン・ツェン氏により
提出され、その内容は次の通りである。
(1) 当行は、スイス法に基づき適法に設立され、有効に存続する法人である。
(2) 有価証券報告書中のスイスの法令に関する記述は、真実、正確かつ誤りのないものである。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1) UBS AG(連結ベース)
(単位:百万米ドル(億円))(注1)
(連結) 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
営業収益合計 30,564 31,727 28,831 30,044 30,642
(33,113) (34,373) (31,236) (32,550) (33,198)
営業費用合計 27,744 26,113 24,643 24,969 25,184
(30,058) (28,291) (26,698) (27,051) (27,284)
税引前営業利益/(損失) 2,820 5,614 4,188 5,076 5,458
(3,055) (6,082) (4,537) (5,499) (5,913)
株主に帰属する当期純利益/(損失) 3,831 6,506 3,351 758 4,107
(4,151) (7,049) (3,630) (821) (4,450)
資産合計 1,068,224 941,817 919,236 940,020 958,055
(1,157,314) (1,020,365) (995,900) (1,018,418) (1,037,957)
株主に帰属する持分 52,397 55,272 52,957 51,987 52,256
(56,767) (59,882) (57,374) (56,323) (56,614)
利益剰余金 15,944 22,664 21,480 22,189 23,317
(17,274) (24,554) (23,271) (24,040) (25,262)
資本金 337 338 338 338 338
(365) (366) (366) (366) (366)
資本利益率(%)(注2) 7.0 11.8 6.0 1.4 7.9
リスク加重資産 218,363 207,843 219,330 242,725 262,840
(注3) (236,574) (225,177) (237,622) (262,968) (284,761)
普通株式等Tier 1自己資本比率
(%)(注3) 14.2 15.4 14.5 14.0 13.2
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比
率(%)(注3) 16.3 15.6 16.1
総損失吸収力比率(%)(注3) 29.6 31.4 31.3
レバレッジ比率分母 1,004,670 896,771 855,718 910,133 904,458
(注3) (1,088,459) (971,562) (927,085) (986,038) (979,890)
普通株式等Tier 1レバレッジ比率
(%)(注3) 3.08 3.57 3.73 3.75 3.83
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ
比率(%)(注3) 4.2 4.2 4.7
総損失吸収力レバレッジ比率
(%)(注3) 7.6 8.4 9.1
営業活動による正味キャッシュ・フロー 7,860 2,069 -19,172 -53,147 27,744
収入/(支出)(注4) (8,516) (2,242) (-20,771) (-57,579) (30,058)
投資活動による正味キャッシュ・フロー 2,822 -8,739 36,655 5,444 -5,918
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収入/(支出)(注4) (3,057) (-9,468) (39,712) (5,898) (-6,412)
財務活動による正味キャッシュ・フロー 2,262 -5,774 299 27,758 963
収入/(支出)(注4) (2,451) (-6,256) (324) (30,073) (1,043)
現金及び現金同等物期末残高 117,363 102,792 118,984 104,787 125,853
(127,151) (111,365) (128,907) (113,526) (136,349)
従業員数(人)(フルタイム換算) 60,155 58,131 56,208 46,009 47,643
(注1)2018年10月1日より、UBSグループAG及びUBS AGのスイス本店の機能通貨がスイス・フランから米ドルに変更され、UBS AGのロン
ドン支店の業務に使用される機能通貨も英ポンドから米ドルに変更されている。この変更に則して、2018年第4四半期の報告か
ら、UBSグループAGとUBS AGの連結財務諸表の表示通貨はスイス・フランから米ドルに変更されている。従前の期間は、この表示
通貨の変更に関し、修正再表示されている。資産、負債及び資本合計は、各貸借対照表日における決算日為替レートで米ドルに
換算され、収益及び費用は関連ある期間の平均レートで換算された。
(注2)株主に帰属する当期純利益/株主に帰属する平均持分で計算されている。
(注3)2020年1月1日現在のスイスのシステム上関連ある銀行(SRB)の枠組みに基づいている。
(注4)2014年及び2015年に関して開示された米ドル額は、元々スイス・フランで公表されたキャッシュ・フローを当該年度の平均為替
レートで米ドルに換算した数値を表示している。これは、簡易的換算手法であり、IAS第21号 外国為替レート変動の影響 に従い米
ドルを表示通貨として修正再表示された数値ではない。
(2) UBS AG(単体ベース)(注)
(単位:百万スイス・フラン(億円))
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
7,849 11,984 3,244 909 3,269
当期純利益/(損失)
(8,511) (12,995) (3,518) (986) (3,545)
18,297 15,263 15,111 10,297 11,853
営業収益合計
(19,841) (16,551) (16,386) (11,166) (12,853)
777,893 477,045 439,476 476,977 472,184
資産合計
(843,547) (517,308) (476,568) (517,234) (512,036)
資本合計 42,376 51,728 51,539 49,947 50,250
(資本準備金取崩/
(45,953) (56,094) (55,889) (54,163) (54,491)
配当金支払前)
384 386 386 386 386
資本金
(416) (419) (419) (419) (419)
(注)上の表のUBS AGの単体ベースの数値は、スイスGAAP(2018年12月31日、2017年12月31日、2016年12月31日及び2015年12月31日
に終了した事業年度については、FINMA令2015/1「会計-銀行」及び改正後の銀行法、2014年12月31日に終了した事業年度につ
いては、当時適用のあったFINMA令2008/2「会計-銀行」及び銀行法)に従い表示されている。
2【沿革】
当行の法律上及び商業上の名称は、ユービーエス・エイ・ジー(ユービーエス・エス・エイ/ユービーエ
ス・インク)である。当行は、スイス・ユニオン銀行(1862年設立)及びスイス銀行コーポレイション
(1872年設立)が合併しユービーエス・エイ・ジーとなった1998年6月29日に設立された。
2014年に、UBSグループの持株会社としてユービーエス・グループ・エイ・ジー(UBS Group AG)(以下
「UBSグループAG」という。)が設立された。
当グループの法人体制に関する直近の変更
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2014年、当グループは、スイスの大きすぎて潰せない規制要件並びに当グループが事業を行う他の国々に
おける再生・破綻処理規制に応じ、当グループの破綻処理の実行可能性の向上を目的とした法人体制の調整
を 開始した。
当グループでは、規制要件及びその他の外部動向に応じた法人体制の更なる変更を引き続き検討してい
る。かかる変更には、EUにおける事業子会社の更なる統合及び計上を行う事業体又は商品及びサービスの配
置の調整が含まれる可能性がある。
2014年 持株会社 ・UBSグループAGが当グループの持株会社となった。
2015年 UBSの体制 ・スイスで記帳された個人及び法人向け銀行事業並びにウェルス・マネ
ジメント事業をUBS AGから新しく設立されたUBSスイスAGに移転し
た。
・UBSリミテッドにおいて、より自給自足的な事業及び業務運営モデル
を実施した。
・UBSグループAGの直接子会社であるUBSビジネス・ソリューションズAG
は、当グループのサービス会社として設立された。
2016年 UBSの体制 ・UBSアメリカズ・ホールディングLLCを、当グループの米国子会社の中
間持株会社に指定した。
・ヨーロッパ諸国に所在するウェルス・マネジメント子会社をUBSヨー
ロッパSEに統合した。
・アセット・マネジメントの事業子会社の大部分をUBSアセット・マネ
ジメントAGに移転した。
・損失吸収AT1資本性証券及びTLAC適格非劣後無担保債務(UBSグループ
AGによる保証付)を発行する目的で、直接完全子会社としてUBSグルー
プ・ファンディング(スイス)AGを設立した。
2017年 UBSビジネス・ソ ・スイス及び英国における共通業務をUBS AGからUBSビジネス・ソ
リューションズ
リューションズAGに移転した。
UBSグループ・ファン
・米国における共通業務を、UBSアメリカズ・ホールディングLLCの完全
ディング(スイス)AG
子会社で、米国のサービス会社であるUBSビジネス・ソリューション
ズ US LLCへ移転した。
・当時未償還であったTLAC適格非劣後無担保債務をUBSグループ・ファ
ンディング(スイス)AGに、当該会社を発行者として、移転した。
2018年 UBSグループ・ファン ・UBSグループAGが発行者であった未償還のAT1資本性証券の発行者を
ディング(スイス)AG UBSグループ・ファンディング(スイス)AGに変更した。
2019年 UBSヨーロッパSE ・2019年3月末に予定されている英国のEU離脱の前に、英国に本店を有
する当グループの子会社であるUBSリミテッドをドイツに本店を有する
当グループの欧州子会社であるUBSヨーロッパSEに合併した。
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3【事業の内容】
UBS AGは、その子会社と共に、世界中の個人顧客、機関投資家顧客及び法人顧客並びにスイスの個人顧客
に対し、金融アドバイス及びソリューションを提供している。UBS AGはスイスの銀行である。UBS AGは、UBS
グループの持株会社であるUBSグループAGの完全子会社である。UBSグループは、4つの事業部門(グローバ
ル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びイン
ベストメント・バンク)及びコーポレート・センターからなるグループとして事業を行っている。2018年2
月1日、ウェルス・マネジメント部門及びウェルス・マネジメント・アメリカズ部門は、グローバル・ウェ
ルス・マネジメント部門に統合された。
以下は、UBS AG(連結ベース)の情報ではなく、UBSグループAG(連結ベース)の情報であり、専ら参考情
報として記載している。UBSグループAG(連結ベース)の当該情報は、UBS AG(連結ベース)と大きな差異は
ないことに留意されたい。
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2018年12月31日現在において判断したものであ
る。
協働
当グループは、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセッ
ト・マネジメント及びインベストメント・バンクの4つの事業部門並びに当グループのコーポレート・セン
ターを通じて事業を展開している。
当グループは、事業部門内及び事業部門間の両方での協力体制が当グループの成長の鍵であると考えてい
る。より包括的でより良いソリューションを顧客に提供するために当グループの強みを結集することで当グ
ループはベストな態勢となる。
当グループのグローバルな広範さと専門知識の広がりは、当グループの競合企業の中で際立つ主要な資産
である。当グループの強みを結集することで、更に成長することができる。 グループ・フランチャイズ・ア
ワード 等のイニシアチブは、従業員に対し、地域・分野間の橋渡しを構築し、当グループ全体として顧客に
サービスを提供する方法を模索することを奨励している。
グローバル・ウェルス・マネジメント
当部門は、富裕層顧客及び超富裕層顧客を対象とした秀でた世界的なウェルス・マネジャーであり、投資
資産2.3兆米ドルを有する。当部門の目標は、プライベート顧客、特に超富裕層セグメント及び富裕層セグメ
ントに属する当該顧客に、個々のニーズに応じた投資アドバイス及びソリューションを提供することであ
る。
2018年の初め頃に、ウェルス・マネジメント部門及びウェルス・マネジメント・アメリカズ部門は、顧客
にサービスをより適切に提供し、意義のある効率化を実現し、当グループの株主のために成長を加速させる
ことを企図として、1つの部門に統合された。当グループでは、チーフ・インベストメント・オフィス
(CIO)、インベストメント・プラットフォームズ・アンド・ソリューションズ(IPS)、クライアント・ス
トラテジー・オフィス(CSO)、及びチーフ・オペレーティング・オフィス(COO)の中心機能を統合したこと
により、これらの中心機能を効果的に運営すること、及び分散型サービス提供を行うことで顧客に密接であ
り続ける地域の事業部門を効率的に支援することが可能となる。超富裕層事業部門の一元化により、当部門
では、富裕層に属する個人にグローバルにサービスを提供すること及びより緊密に連携することで当部門の
成長意欲を支援することにおいて、ベスト・プラクティスを活かすことが可能となる。当部門は、地域横断
的なチームワークを促進する紹介・協力の枠組みを確立した。
当部門の焦点
当部門は、世界中の富裕層及び超富裕層の個人、家族及びファミリー・オフィス、並びに特定の市場の準
富裕層にサービスを提供している。当部門の事業は、ファミリー・オフィスを含む富裕層及び超富裕層セグ
メントに焦点を当てている。グローバル・ウェルス・マネジメントに部門が統合されたことで、グローバル
なニーズを有する顧客により良いサービスを提供する一助となる。当部門は米国外の超富裕層セグメントで
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も既にマーケット・リーダーである。 グローバル・ウェルス・マネジメントは米国内外の富裕層に選ばれ
る会社になり得ると確信している。米国での超富裕層顧客における市場シェアを増やすことで、2019年から
2021 年までに累積新規純資金約700億米ドルを創出することができると当部門では予想している。
1 グローバル・ウェルス・マネジメントのマーケット・ポジションに関する記載は、公表された投資資産及び内部の見積りに基づく
UBSの見積りである。
当部門の事業の成長は、前述したイニシアチブの一助もあり、米国を中心に生じ、更に、既に当部門が投
資資産に基づく最大のウェルス・マネジャーであるアジア太平洋地域を中心に生じるものと予想している。
当部門は、顧客に対する革新的なソリューションをもって運用委託契約及び貸付の浸透率を上昇させ、か
つ業務プロセスの効率化により当該地域におけるアドバイザーの生産性を向上させることに注力している。
また、当部門は、緩やかな人員削減を継続し、顧客の事業に占める当部門のシェア拡大を目指している。
2018年12月31日現在、南北アメリカ以外で計上された投資資産の約80%が ウェルス・マネジメント・プ
ラットフォーム によるものであった。当部門では、将来的に南北アメリカ以外の単一のオペレーティング・
プラットフォームに統一することを計画している。同時に、当部門では、第三者ソフトウェア・プロバイ
ダーであるブロードリッジ社と共同で ウェルス・マネジメント・アメリカズ・プラットフォーム の構築にも
取り組んでいる。このプラットフォームは、アドバイザーの生産性を向上させ、アドバイザーのビジネス拡
大を支援することが期待されている。このプラットフォームは、2021年に稼働する予定であり、効率性とス
ケーラビリティを向上させることが期待されている。
当部門の事業
当部門では、世界最大の市場及び世界最速で拡大する市場において強力な基盤を構築することで、グロー
バルな拠点網を有している。米国は当部門の投資資産の50%超を占める最大の市場である。投資資産に基づ
くと、当部門はアジア太平洋地域では最大、ラテン・アメリカでは2番目に大きいウェルス・マネジャーで
1
ある。
1 グローバル・ウェルス・マネジメントのマーケット・ポジションに関する記載は、公表された投資資産及び内部の見積りに基づく
UBSの見積りである。
スイスでは、当部門は、主導的なマーケット・ポジションを維持し、パーソナル&コーポレート・バンキ
ング部門、アセット・マネジメント部門及びインベストメント・バンク部門と緊密に連携している。
当部門のヨーロッパにおける広範な国内拠点網により、中央ヨーロッパ、中東及びアフリカの各地の現地
事務所では、当部門の顧客との緊密さを維持する一方で、現地に適した商品及びサービスを提供することが
可能になる。
当部門では、インベストメント・バンク部門及びアセット・マネジメント部門との連携により、超富裕層
顧客に対し、個々のニーズに応じた機関投資家向けのカバレッジと世界的な取引実行を提供することができ
る。
当部門は引き続きコストを管理し、グローバル・ウェルス・マネジメント内の新たな相乗効果の特定に注
力している。当部門は、今後3年間で、重複する機能のディレイヤリング及び廃止、代替雇用の削減、第三
者支出の最適化により、6億米ドルの経費節減を実現することが見込まれている。同時に、顧客及びアドバ
イザーの経験を更に向上させるために、テクノロジーに対する6億米ドルを含め、2021年までに総額10億米
ドルを超える戦略的投資を行うことが見込まれている。
当部門の主要な競合企業は、米国外での業務範囲は限られている米国の大手企業(バンク・オブ・アメリ
カ、シティグループ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴを含む。)又
は、当部門のような規模を有さないか米国リスクにさらされることのない地理的に多様な企業(BNPパリバ、
クレディ・スイス、ドイツ銀行、HSBC及びジュリアス・ベア等)である。当部門の規模と分散した顧客ポー
トフォリオは並外れており、他のウェルス・マネジャーが有機的に真似るのは困難で、費用もかかると考え
られる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門は、一つの事業部門として業務を行うことで、顧客にウェルス・マネジメントに関する最良のソ
リューション、サービス及び専門知識をグローバルに提供することを目指している。
当部門は、革新的な長期的テーマ及び持続可能な投資に関する商品及びサービスの提供から成る、当部門
のIPSを通じてインベストメント・ソリューション(最も重要な投資の運用委託契約を含む。)を提供する。
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当部門の中核となるインベストメント・ソリューションは、 UBSトランスアクト (顧客にUBSの取引実行能力
と UBSハウス・ビュー へのアクセスを付与する自主運用型アカウント。)、 UBSアドバイス (これは、合意さ
れ た投資戦略に対するポートフォリオ・モニタリングを自主運用型アカウントに追加する。)、及び UBSマ
ネージ (当部門が事前に定義された投資戦略に沿って顧客の資産を投資するために当部門の専門知識を用い
る投資一任契約ソリューション。)から成る。当部門は、投資分析とソート・リーダーシップを顧客に提供
し、CIOとCSOを通じて顧客の投資戦略を策定する。CIOは、簡明で包括的な UBSハウス・ビュー を提供し、こ
れは、投資機会と市場リスクを特定し、伝達することにより、世代を超えて顧客の資産を保護し、成長させ
ることを支援する。CSOは、顧客のニーズ、行動、嗜好を当部門が最も深く理解し、顧客のニーズに合わせ
て、より良い商品及びサービスを提供することを目指している。
顧客は、ウェルス・プランニング、投資、貸付、慈善事業、コーポレート及びバンキングの各サービス並
びにインベストメント・バンク部門及びアセット・マネジメント部門と協働しているファミリー・オフィ
ス・サービスを含む、当部門の包括的な一連の能力及び専門知識から利益を得ている。
当部門は、商品及びサービスの向上に継続的に取り組んでいる。2018年に立ち上げられた主要なイノベー
ションには、 UBSマネージ の強化が含まれ、これには現在、100%持続可能な投資である運用委託契約ソ
リューションが組み込まれており、2つのインパクト投資ソリューションが追加されている。それに加え、
当部門では、ポートフォリオのエクスポージャーをダイナミックに調整し、資本市場の改善又は悪化の兆候
を検出するために経済・金融データを分析するUBSのCIOワールド・エクイティ・マーケット・モデルに基づ
き、 UBSマネージ がサービスを提供する システマティック・アロケーション・ポートフォリオ を米国で立ち上
げた。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は各地域の営業所及び専門のアドバイザーを通じて顧客にサービスを提供する。当部門の超富裕層
向け事業は全ての地域に亘りグローバルに管理されている。
当部門では、見通しの中でUBSに対する意識を高めるのを助け、アドバイザーと顧客との間の信頼関係を強
化するために、デジタルチャネルと非デジタルチャネルを組み合わせて(マーケティング・キャンペーン、
イベント、広告、出版物及びデジタル・オンリー・ソリューションを含む。)使用している。
当部門の組織構造
当部門の事業は、地域別の事業部門である、①米国、カナダ及び中南米を含む南北アメリカ、②ヨーロッ
パ、中東及びアフリカ(EMEA)、③アジア太平洋、④スイス、並びに超富裕層顧客を対象とする事業部門か
ら成る。これらの事業部門を支えるグローバルな能力に関する中心機能は、CIO、IPS、CSO及びCOOである。
当部門は、執行委員会、リスク委員会、運営委員会、資産・負債管理委員会によって管理運営されている。
パーソナル&コーポレート・バンキング
スイスにおける主導的な個人及び法人向け銀行として、当部門は、個人顧客、法人顧客及び機関投資家顧
客に対して総合的な金融商品及びサービスを提供している。当部門は、スイス国内の個人顧客及び法人顧客
向け貸付市場における主要なプレイヤーの一つであり、好条件の担保付で保守的に管理されている貸付ポー
トフォリオを有している。パーソナル&コーポレート・バンキング部門は、当グループのスイスにおけるユ
ニバーサル・バンクの業務提供モデルの中核を成している。
当部門の焦点
当部門は、スイスにおける主要な個人及び法人向け銀行であり、優れた顧客経験を提供し、テクノロジー
と接客を組み合わせている。
いずれの事業分野においても、成長へのイニシアチブに関する強固なパイプを有している。例えば、パー
ソナル・バンキングでは、テクノロジー対応モーゲージ・アドバイザリーの更なる向上を図るとともに、プ
ロセスの合理化や新しいデジタルのセルフ・サービス・ツールの導入により、効率化を目指している。コー
ポレート&インスティテューショナル・クライアント(CIC)では、中小企業、法人及び多国籍事業に焦点を
当てて、成長のために投資を行っており、また、当部門のトランザクション・バンキングの能力を活用して
いる。当部門は、最近、様々なイノベーション及びデジタル・ソリューションを開始した。例えば、機関投
資家がモーゲージに直接投資できる UBSアトリウム の投資家ポータル、当部門のベンダー・リース・ソリュー
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ション、及び他行とのコンソーシアムの一環として展開しているブロックチェーン技術を基盤にした貿易金
融プラットフォームである ウィ・トレード である。
テクノロジーは、顧客中心のオペレーティング・モデルにおいて重要な役割を果たしており、当部門はデ
ジタル分野でのリーダーシップの拡大を目指している。当部門の複数年に亘るデジタル化プログラムによ
り、顧客経験を更に向上させることができる。当部門は、高度な分析技術やブロックチェーン技術を基に、
顧客に新しい商品を提供し、新しいクロス・セリングの機会を見極めることを可能にしている。
業務面では、サービスの質と全体的な機動性を向上させる一方で効率性を重視し、卓越した取引実行を追
求している。
当部門の事業
当部門は、主にスイスの自国市場で事業を行っている一方で、当部門のフランクフルト、ニューヨーク、
香港、シンガポールの拠点を通じて、法人及び機関投資家顧客の国際的な事業活動の拡大を支える能力を提
供している。
CIC事業では、当部門の主要な競合企業は、クレディ・スイス、州立銀行及びグローバルに事業を展開して
いる外国銀行である。当部門が競合している分野としては、基本的な銀行サービス、キャッシュ・マネジメ
ント、貿易及び輸出金融、アセット・サービシング、コーポレート・ファイナンス、貸出並びに銀行の資金
及び証券取引が含まれる。
スイスの個人向け銀行事業では、当部門の競合企業は、クレディ・スイス、ポストファイナンス、ライ
ファイゼン、州立銀行及びその他スイスの地域銀行又は地方銀行である。当部門が競合している分野には、
基本的バンキング、モーゲージ及び外国為替並びに運用委託契約及びファンドが含まれる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門の個人向け銀行業務の顧客は、ライフサイクルを通じた総合的な商品及びサービスと利便性の高い
デジタル・バンキングを利用できる。当部門は、支払から預金、カード、オンライン・バンキング及びモバ
イル・バンキング、貸付(主にモーゲージ)、投資並びにリタイアメント・サービスに至るまで、幅広い基
本のバンキング商品を提供している。全体としてのサービスの範囲は当部門の キークラブ 特典プログラムに
よって補完される。グローバル・ウェルス・マネジメント部門との緊密な連携のもと、当部門では主要なプ
ライベート・バンキング及びウェルス・マネジメントの各サービスを提供している。
法人顧客及び機関投資家顧客は、特に、株式及び債券市場、シンジケート・ローン及び仕組信用商品、私
募発行、リース並びに従来型の資金調達の利用機会などの金融及び投資ソリューションから恩恵を受けてい
る。当部門のトランザクション・バンキング事業は、支払及びキャッシュ・マネジメント・サービス、貿易
及び輸出金融、債権金融に関するソリューション、並びに包括的なカストディ・ソリューションを機関投資
家顧客に対し、提供している。不動産分野では、機関投資家とスイスのモーゲージ利用者を結ぶモーゲージ
用プラットフォームである UBSアトリウム を提供し、機関投資家のために競争力のあるサービスと魅力的な投
資機会を創出している。
当部門は、資本市場及び外国為替商品、ヘッジ戦略及びトレーディング能力、並びに法人向け金融アドバ
イスを提供するのにインベストメント・バンク部門と緊密に連携している。また、アセット・マネジメント
部門と連携して、ファンド及びポートフォリオ運用ソリューションを提供している。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は、スイスでオンライン及びモバイルの普及率が最も高いデジタル分野の先導者として認知されて
おり、当部門の先導的な地位を更に強化するために引き続きマルチ・チャネルな販売戦略に投資している。
当部門では、変化する顧客のニーズに合わせて従来の支店フォーマットを応用し、一部の地域について、
マーケティング及びデジタル支援拠点として機能するとともに強固な基盤を現地に確保する、より小規模で
機動的な支店への転換を図っている。当部門は、革新的かつ顧客中心の方法で、すなわち、目的の異なる将
来の支店フォーマットを定義することにより、物理的な拠点網の再構築を更に進めることを目指している。
加えて、当部門では基本的な銀行サービス及び取引を各支店からコンタクト・センターやデジタル・チャ
ネルへ移行することも進めており、これらは既に250万人の個人向け銀行業務の顧客の大半を取り扱ってい
る。専用顧客アドバイザーは、より個別化したニーズを持つ個人向け銀行業務の顧客にサービスを提供して
いる。
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同様に、当部門では、小企業向けのデジタル・サービスを当グループのデジタル・コーポレート銀行にま
とめており、小企業が求める利便性と主要なデジタル・ソリューションを提供している。
マーケティング・キャンペーンでは、オンライン・メディア(ソーシャル・メディア及び検索エンジン広
告を含む。)、屋外広告(ポスター及びデジタル掲示板を含む。)を活用し、更に、プリント広告、テレビ
広告、ラジオ広告及びシネマ広告などをごく選択的に活用している。スイスの銀行業界におけるデジタル分
野の先導者としての地位に合わせて、また、当該チャネルの費用対効果を理由に、当部門はデジタル・
ファースト・メディア戦略を採用している。当部門のメディア向け投資の50%超がオンライン・チャネルに
対し行われている。
当部門の組織構造
当部門の事業は、パーソナル・バンキング及びCIC、更に顧客及び(法人向け銀行業務の)商品別セグメン
トから成っている。地勢的には、10の地域に亘って当部門の事業及び279の支店が組織されており、独自のス
イス経済地域をカバーしている。当部門は執行委員会、リスク委員会及び運営委員会によって管理運営され
ており、主に、UBSスイスAGを通じて事業が運営されている。
アセット・マネジメント
アセット・マネジメント部門は、7,810億米ドルの投資資産を有する大規模で多角的な世界的アセット・マ
ネジャーである。当部門は、全ての主要な従来型及び代替的な資産クラスを対象に投資運用能力及び投資手
法を提供しており、世界中の機関投資家、ホールセール仲介業者及びグローバル・ウェルス・マネジメント
の顧客に対しプラットフォーム・ソリューション及びアドバイザリー・サポートを提供している。
当部門の焦点
全ての主要な従来型及び代替的な資産クラスを対象とするグローバルな広範さと強み、並びに差別化され
た顧客提案を基盤に、当部門の戦略は、業界で平均以上の成長を有する分野での機会の獲得に焦点を当てて
おり、6つの優先事項に基づいている。
急速に進化し、魅力的なセグメントであるホールセールでは、商品の革新、戦略的パートナーシップの構
築、総合的なプラットフォーム・サービス機能の更なる活用を通じて、当部門の市場シェアの大幅な拡大を
目指している。
1
当部門は、アジア太平洋、ヨーロッパ及びスイス地域における上場ファンド(ETF)を含め、受賞歴 のあ
る指数連動型及びオルタナティブ・ベータ事業の開発を継続している。この事業は、2016年末以降、商品の
継続的革新と拡張性の高いプラットフォームに起因して、投資資産で見ると約50%の成長を遂げている。
1 2018年11月現在でヨーロッパを基盤とした指数連動型プレイヤーとしてはピアグループの公的報告ベースで2番目に大きく(UBS
算出)、2018年12月現在でヨーロッパのETFプロバイダーとしては5番目に大きい(出所: ETFGI)。
当部門のインベストメント・ソリューション事業では、公開市場か民間市場かを問わず、当部門の広範で
充実した能力へのアクセスを提供しており、これらを組み合わせることで、世界中の顧客のニーズを充たし
ており、これを可能にする他社はほとんど存在しない。更なる成長に向けて、当部門は、ホールセール顧客
に対して優れたマルチ・アセット戦略を提供し、戦略的パートナーに投資運用プロセスの要素を提供するこ
とに注力している。
顧客は投資目標を持続可能性の目的と組み合わせるソリューションをより一層求めており、サステイナブ
ル&インパクト・インベストメントは更に重要な分野である。当部門は、商品及びサービスの革新、専用の
リサーチ、環境、社会及びガバナンス要素の投資プロセスへの統合、独自の分析手法の活用、積極的な法人
との契約を通じて、主要な提供者としての地位を確立することを目指している。
地理的には、アジア太平洋地域での広範囲及び長期に亘る存在感を基に、世界最速で拡大するアセット・
マネジメント市場の一つである中国でのオンショア事業を更に拡大している。
当部門の成長を支えるために、当部門は、オペレーショナル・エクセレンスに関するイニシアチブを通じ
て、業務の効率性及び有効性の強化を継続的に進めている。これには、中核となるITプラットフォームの入
れ替え、当部門のデータ分析能力の開発、運用プラットフォームの更なる向上を図るための重点プログラム
が含まれる。
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これらのプログラムは2020年までに完了する予定である。当部門はまた、クライアント・カバレッジ、イ
ンベストメント・アンド・プロダクト、プラットフォーム&スペシャリストの各分野において、プロセスの
最適化と新技術の活用を進めている。
当部門の事業
当部門は世界の主要なアセット・マネジメント市場を網羅し、南北アメリカ、ヨーロッパ、中東及びアフ
リカ、スイス、並びにアジア太平洋地域の4つの地域に分類される23ヶ国にプレゼンスを有している。
当部門の主要な競合企業には、アムンディ、ブラックロック、DWS、ゴールドマン・サックス・アセット・
マネジメント、インベスコ、JPモルガン・アセット・マネジメント、モルガン・スタンレー・インベストメ
ント・マネジメント及びシュローダー等の、幅広い能力と販売チャネルを有するグローバル企業並びに特定
の市場や資産クラスに重点を置く会社が含まれる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門は、異なる資産クラスについて、分離、合同又はアドバイザリー契約及び様々な法域を対象とした
登録済投資ファンドの形式で、広範囲にわたる投資運用商品及びサービスを顧客に提供している。
当部門の従来型及び代替的な能力には、株式運用業務、債券運用業務、ヘッジ・ファンド業務、不動産投
資及びプライベート・マーケット業務、指標連動型及びオルタナティブ・ベータ戦略(ETFを含む。)、並び
に持続可能及びインパクト投資の商品及びソリューションが含まれる。
当部門のインベストメント・ソリューション事業は、(ⅰ)リスク/リターン・スペクトラムを対象とし
た資産配分及び通貨投資運用戦略、(ⅱ)カスタマイズされたマルチ・アセット・ソリューション、アドバ
イザリー及び信託サービス、並びに(ⅲ)マルチ・マネジャー型のヘッジ・ファンド・ソリューション及び
アドバイザリー・サービスを提供する能力の広範さを利用している。
当部門の プラットフォーム・サービス 能力には、ヨーロッパ及びアジアにおける主要なファンド・プラッ
トフォームである UBSフォンドセンター 、ファンドにコーポレート・ガバナンス及びホワイトラベリング業務
を提供する ファンド・マネジメント・サービス 、並びに銀行のアドバイザリー業務を支援する目的で効果的
なツール及び分析論を銀行に提供する、当部門の革新的な新しいサービスである UBSパートナー が含まれる。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は投資運用商品とサービスを直接、機関投資家顧客に提供している。富裕層及びリテール顧客は、
グローバル・ウェルス・マネジメント、第三者である銀行及び販売者を通じてサービスを受けている。
当部門の顧客は、世界トップ・クラスの総合的なアドバイスとグローバル・カバレッジを求めている。ク
ライアント・リレーションシップ・マネジャーが顧客の必要とする専門的なアドバイスを提供し、顧客が当
グループの強みを最大限に享受することを可能にするために、当部門のクライアント・カバレッジ・チーム
は、グローバルなセグメント(機関投資家、ホールセール及びグローバル・ウェルス・マネジメント)に
沿って調整されている。それに加え、当部門のチームが、顧客と長期的な関係を築き、顧客が直面する課題
への理解を深めるのに最適に配置されるよう支援するために、リレーションシップ・マネジャーを顧客の近
くに配置することも同様に大切だと考えている。
当部門の組織構造
当部門の事業は、当部門が提供する商品及びサービスから成っており、事業分野は、クライアント・カバ
レッジ、インベストメント、不動産投資及びプライベート・マーケット、プロダクト、プラットフォーム&
スペシャリスト、並びにチーフ・オペレーティング・オフィサーである。当部門は4つの地域に亘る世界
23ヶ国を基盤とする一方で、当部門の事業は、シカゴ、香港、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、シ
ドニー、東京及びチューリッヒに所在する8つの主たる拠点を通じて提供されている。
当部門は執行委員会、リスク委員会及び運営委員会(事業部門特有の委員会に補完される。)によって管
理運営されている。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンク部門は、機関投資家顧客、法人顧客及びウェルス・マネジメント顧客に広範な
サービスを提供することで、当該顧客が資本を調達し、事業を拡大し、投資を行い、リスクを管理する一助
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となっている。当部門は、アドバイザリー、資本市場、株式及び外国為替の分野における従来の強みに重点
を置いており、対象となる金利事業及びクレジット事業のプラットフォームによりこれを補完している。当
部 門は、当部門の効果的なリサーチ能力及び技術能力を利用し、市場構造の発展並びに規制、技術、経済及
び競争上の見通しの変化に順応するよう顧客を支援している。
当部門は、知的資本と電子プラットフォームを利用し、市場を主導するソリューションを顧客に提供する
ことを目指している。また、当グループの貸借対照表、コスト、リスク加重資産及びレバレッジ比率分母を
規律に沿って管理しながら、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキン
グ及びアセット・マネジメントにサービスを提供している。
当部門の焦点
当部門は、デジタル変革を加速させながら、低資本アドバイザリー及び取引実行事業における確実な成長
を重要な優先事項としている。
コーポレート・クライアント・ソリューションは、選別した垂直産業部門の掘り下げ、特定のサブセク
ター内での専門知識により補完される巨視的見解の提供、上級レベルの顧客関係の拡大に重点を置いてい
る。株式業務では、多様な商品、革新的なソリューション、専門的なアドバイス、流動性へのアクセス及び
切れ目のない取引実行、そして差別化されたコンテンツの継続的フローを顧客に提供することを目指してい
る。外国為替、金利及びクレジット業務では、人材やテクノロジーに対する最近の投資から利益を挙げるこ
とに注力している。更に、当部門では、金利及びクレジット業務内で、外国為替事業とソリューション事業
を拡大する予定である。当部門は、データ駆動型リサーチに専念するために、 UBSエビデンス・ラボ・イノ
ベーション を拡張し続けている。
当部門のデジタル戦略は、優れ、かつ差別化された顧客サービスとコンテンツを提供するためにテクノロ
ジーを活用する事業が主導している。当部門は、 UBSインベストメント・バンク・イノベーション・ラボ を設
立し、コンセプトの証明を可能にすることで革新のスピードアップを図っている。また、フロントからバッ
クオフィスまでのプロセスのデジタル化にも取り組んでいる。
当グループのバランスの取れたグローバルな範囲によって、当部門は様々な地域における成長への魅力的
な選択肢を有する。世界最大のインベストメント・バンキングの手数料プールである南北アメリカについて
は、アドバイザリー、株式資本市場、株式、外国為替、金利及びクレジットの各事業における市場シェアの
拡大に注力している。
アジア太平洋地域では、主に予想される市場の国際化や中国における成長からの機会を監視している。今
後は、オンショアかオフショアかを問わず、更なるコーポレート・クライアント・ソリューションの強化に
より、当該地域での成長を図っていく。
また、インベストメント・バンクの事業及び当グループ全体の連携により、グローバルな商品を各地域に
提供し、当グループの国境を越えた連結性を活かし、顧客との最適な関係を共有・強化することで、成長に
つなげていく。
当部門の事業
当部門は、グローバルな範囲を有しており、33ヶ国に拠点を持ち、主要金融ハブに主たる営業所を構えて
いる。当部門の事業は、地理的にバランスがとれており、2018年の調整後税引前利益の45%が南北アメリ
カ、25%がヨーロッパ、中東及びアフリカ(スイスを含む。)、30%がアジア太平洋地域から生じている。
競合する企業は当部門の多くの市場で活発に事業を行っているが、当部門の戦略は、当部門が競争するこ
とを選択してきた特定分野でのリーダーシップと、貸借対照表ではなく人材やテクノロジーを活用するビジ
ネスモデルに焦点を当てることで、当部門を差別化している。
当部門の主な競合企業は、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス及びゴールドマン・サックスを含む
世界規模の大手投資銀行、並びにバンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、シティグループ、ドイツ銀行及
びJPモルガン・チェースを含む法人向け投資銀行である。また、一定の地域や商品によっては、ブティック
型投資銀行やフィンテックと競合している。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門は、コーポレート・クライアント・ソリューション事業を通じて、顧客に対し、戦略的なビジネス
チャンスに関する助言を行い、顧客の活動資金を調達することを支援している。
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当部門のインベスター・クライアント・サービス事業は、顧客が世界中の資本市場で証券を売買及び運用
し、そのリスクと流動性を管理することを可能にしている。
株式業務では、現物株式及びデリバティブ商品の販売、組成、実行、運用及び決済を行っている。
外国為替、金利及びクレジット業務は、電子取引に重点を置いた取引実行サービス及びソリューションを
提供し、バランスシート上の高いレベルの流通速度を維持している。外国為替業務では、顧客が為替エクス
ポージャーを管理し、貴金属を売買するのを助けており、主要な外国為替マーケット・メーカーの一つと認
識されている。金利及びクレジット業務には、個々のニーズに応じた金融ソリューションを含む、特定の商
品の販売、売買及びマーケット・メイキングが含まれる。
更に、リサーチ事業では、世界中の主な金融市場及び証券について重要な洞察を顧客に提供している。こ
れとは別に、 UBSエビデンス・ラボ・イノベーション の専門家チームは、50を超えるセクターと30を超える国
に及ぶ、あらゆる規模の企業のための洞察を備えたデータセットを作成することを専門とする。
当部門は、資本効率の高いビジネスモデルに沿った新しい商品及びソリューションの開発に努めている。
これらは通常、新しい技術や変化する市場標準に関連している。例えば、財務データとオルタナティブデー
タの両方に対する顧客の需要を満たすために立ち上げられた、集約化されたデータ処理及びディストリ
ビューション・プラットフォームである UBSデータ・ソリューション や、前述の UBSエビデンス・ラボ・イノ
ベーション 等がある。
2005年以降、当部門は、テーマ及びセクター別リサーチを提供することで顧客の持続可能な投資に対する
需要の高まりに対応してきた。また、社会的責任と影響力のある上場投資信託や指数連動債を通じたインベ
ストメント・ソリューションも提供している。それに加え、気候変動の緩和と適応に積極的に貢献している
会社に対し、資本調達及び戦略に関するアドバイザリー・サービスをグローバルに提供している。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は、オンラインや対面を含む、多様なマーケティング・チャネルを使って、顧客とのやり取りを
行っている。
コーポレート・クライアント・ソリューションでは、顧客に質の高いソリューションを提供するために、
知的資産及び関係を活用している。
株式業務では、当部門の取引実行機能、差別化されたリサーチ内容、カスタマイズされたソリューション
及びグローバルなプラットフォームを活用し、幅広い機関投資家顧客及び法人顧客を対象とした当部門のカ
バレッジを拡大している。
外国為替、金利及びクレジット業務において、当部門は、 ワン・クライアント を通じてシームレスな顧客
サービスを提供する。これは、関係、提携、テクノロジー、データ駆動型顧客情報を通じて、最良の顧客結
果を推進することを目的とした、クライアント・フランチャイズ・カバレッジ・モデルの進化である。
リサーチ事業では、当部門のマルチ・チャネルのプラットフォームである UBSネオ を含め、多様な方法を駆
使し、高品質で差別化されたリサーチを機関投資家顧客に提供している。
当部門の組織構造
当部門の事業は、コーポレート・クライアント・ソリューション、インベスター・クライアント・サービ
ス、並びにリサーチ及びUBSエビデンス・ラボ・イノベーションの各事業部門で組織されている。当部門は、
執行委員会、運営委員会、リスク委員会及び資産・負債管理委員会に管理運営されている。各事業部門は商
品毎にグローバルに、その中で地域毎に、組織されている。
コーポレート・センター
当グループのコーポレート・センター部門は、コーポレート・センター-サービス及びグループ資産・負
債管理(グループALM)を通じて、クオリティ、リスク軽減及び効率性に重点を置いて、当グループにサービ
スを提供している。コーポレート・センター部門には、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオも含まれ
る。
当部門の組織構造
当グループは、2018年末まで、コーポレート・センターをコーポレート・センター-サービス、グループ
ALM、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの3つの区分に分けて報告していた。
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2019年第1四半期の報告から、当グループは、コーポレート・センター全体の業績のみを開示し、コーポ
レート・センター-サービス、グループALM、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオについては個別に開
示 しない。更に、グループ財務部門とグループALMを業務上統合し、これらの純留保営業収益はコーポレー
ト・センター内の独立した勘定科目として報告される。
コーポレート・センター-サービス
コーポレート・センター-サービスは、グループ・チーフ・オペレーティング・オフィサー分野(グルー
プ・テクノロジー、グループ・コーポレート・サービス、グループ・ヒューマン・リソース、グループ・オ
ペレーション及びグループ・ソーシング)、グループ・ファイナンス(グループALMを除く。)、グループ・
リーガル、グループ・リスク・コントロール、グループ・コミュニケーション&ブランディング、グルー
プ・コンプライアンス、レギュレトリー&ガバナンス並びに UBSインソサエティ で構成されている。
財務、法務、コンプライアンス並びにリスク管理及び統制の分野で具体的に言えば、当部門は、資源を最
適化し、リスクを低減しながら、高品質のアドバイスを提供することを目指している。人事、情報技術、オ
ペレーション及びマーケティング並びにコミュニケーション等の他の分野では、当部門は、需要及び明確化
された戦略に基づき業務を調整している。
これらの機能は、業務に基づくオペレーティング・モデルを通じて各事業部門及びグループALMと連携して
いる。コーポレート・センター-サービスは、営業費用の大部分を、事業部門及びその他コーポレート・セ
ンターの業務部門に配分し、年次の事業計画サイクルの一環として、事業部門及びその他コーポレート・セ
ンターの業務部門と共に、費用配分を決定する。
当部門では2018年に、強固なコーポレート・センターからの恩恵を維持しながら、コーポレート・セン
ターを事業部門により密接に連携させた。事業とコーポレート・センターの接近性を高めることで、UBSはよ
り機動的になり、かつ顧客のニーズに対応できるようになり、デジタル化などの分野でフロントからバック
オフィスまでの機会をより的確に捉えることができるようになる。また、各事業とコーポレート・センター
の活動をより密接にすることで、効率性を高め、説明責任と協働の企業風土の上に築かれた働きやすい環境
を整えている。
コーポレート・センター-グループALM
グループALMは、当グループのバランスシートの構造的リスクを管理しており、当該リスクには、金利リス
ク、構造的な為替リスク及び担保リスク並びに当グループの流動性及び資金調達ポートフォリオに関連する
リスクが含まれる。グループALMは、資産及び負債を調和させることにより財務実績を最適化することにも尽
力している。グループALMは、3つの主要なリスク管理分野を通じて全ての事業部門及びその他コーポレー
ト・センターの業務部門にサービスを提供しており、そのリスク管理は当グループのリスク・ガバナンスの
枠組みに完全に統合されている。
事業部門別リスク管理活動には、グローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・
バンキングのためのバンキング勘定の金利リスクの管理、適格流動資産(HQLA)ポートフォリオの管理、並
びに店頭デリバティブ・ポートフォリオの信用評価調整、負債評価調整及び調達評価調整に関するリスク管
理が含まれる。当該活動から生じた純収益はその全額が関連ある事業部門及びその他コーポレート・セン
ターの業務部門に配分される。
資本投資及び発行活動は、当グループの株式及び資本商品並びに総損失吸収力(TLAC)に寄与する商品の
管理で構成される。当グループの株式投資からの収益、並びに事業子会社が発行する非劣後債務に関連する
UBSグループAGレベルでの資本性証券及びTLAC債の発行に伴う追加費用は、その全額が、各事業部門及びその
他コーポレート・センターの業務部門に配分される。
グループ構造リスクは、全体の目的を達成するために管理されている。当該活動には当グループのHQLA及
び長期債のポートフォリオ管理が含まれる。生じた純収益(マイナスも含む。)は、内在リスク及び資源の
消費高に基づき各事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に配分される。
コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオは、大部分が受動的な縮小ストラテジーに従い、インベストメ
ント・バンクから分離した事業のレガシー・ポジションを管理している。当該ポートフォリオは、グルー
プ・チーフ・リスク・オフィサーが委員長を務める委員会によって監督されている。当該ポートフォリオに
は、形成時に移転された事業から生じる法務問題に関するポジションも含まれる。
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4【関係会社の状況】
(1) 親会社
名称: UBSグループAG(UBS Group AG)
住所: スイス国 チューリッヒ市 8001 バーンホフストラッセ45
(Bahnhofstrasse 45, 8001 Zürich, Switzerland)
資本金: 2018年12月31日現在、UBSグループAGは、各額面金額0.10スイス・フ
ランの記名株式3,855,634,749株に分割された385,563,474.90スイ
ス・フランの株式資本を有している。
事業の内容: その定款に従い、UBSグループAGの事業目的は、あらゆる種類の企業
(特にスイス及び外国における銀行、金融、アドバイザリー、取引及
びサービス活動分野)の直接又は間接的な持分の取得、保有、管理及
び売却である。UBSグループAGは、スイス及び外国においてあらゆる
種類の企業を設立することができ、それらの企業の株式を保有し、管
理することができる。UBSグループAGは、スイス及び外国の不動産及
び建物の権利を取得し、これらに抵当権を設定し、売却する権限を有
する。UBSグループAGは、グループ会社へ貸付、保証並びにその他の
種類の融資及び担保の提供、並びに金融資本市場における借入及び投
資を行うことができる。
提出会社の議決権に対する
100.00%(2018年12月31日現在)
当該親会社の所有割合:
取締役及び役員: 2018年12月31日現在、UBSグループAGの取締役会の全構成員がUBS AG
の取締役会の構成員を兼任しており、委員会の構成員もUBSグループ
AGとUBS AGで同一であった。しかしながら、2018年におけるUBS AGの
取締役会委員会は、監査委員会、報酬委員会及びリスク委員会のみで
ある(構成員はUBSグループAGと同一)。2018年12月31日現在、レー
マン氏を除くUBSグループAGのグループ執行役員会の全構成員がUBS
AGの執行役員会の構成員を兼任している。
(2) 子会社及びその他の関係会社
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記31を参照のこ
と。
5【従業員の状況】
(1) 従業員数(2018年12月31日現在のフルタイム換算)
(人)
グローバル・ウェルス・マネジメント 23,544
パーソナル&コーポレート・バンキング 5,100
アセット・マネジメント 2,273
インベストメント・バンク 4,928
コーポレート・センター-サービス 11,576
コーポレート・センター-グループALM 169
コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ 44
UBS AG及びその子会社
47,643
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(2) 人件費
2018年度のUBS AGの連結ベースの人件費総額は、139億9,200万米ドル(約1兆5,160億円)であった。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項には将来に関する事項が含まれており、当該事項は2018年12月31日に終了した期間に関する財務書類
の公表日である2019年3月15日現在において経営陣が判断したものであり、本段落の直後の段落に関して
は、2019年3月31日に終了した期間に関する財務書類の公表日である2019年4月25日現在において経営陣が
判断したものである。
UBS AG及びその子会社は、現地市場及び個別の事業分野において、UBS AG及びその子会社に匹敵する規模
を有する世界的な金融機関との競争に直面している。アセット・ギャザリング事業におけるUBSの従来の競
争相手に加え、参入企業は価値連鎖の主要な構成要素となることを目指している。より長い期間で見ると、
大規模なプラットフォームを有する会社の金融サービス業界への参入は、その強力な顧客基盤及び顧客デー
タへのアクセスを考慮すると、重大な競争上の驚異をもたらす可能性があるとUBSは考えている。更に、UBS
AG及びその子会社の事業、特にウェルス・マネジメント事業では、常に変動する市況、規制環境及びその他
の事項に関する課題に直面している。全体的な成長スピードは、全世界的で同時的な低迷の結果、鈍化し
た。経済成長及び市場は、地域及び資産クラスを超えて、異なるスピードで回復及び安定し続けると予想さ
れる。広範な業界が直面する最も重要なリスクの1つとして、サイバー攻撃の脅威があり、これは進展し続
けている。この業界の他社と共に、UBSは、データ窃盗、サービス中断及びインターネット詐欺等の継続的
な脅威に直面しており、その全てがUBSの事業に著しい影響を及ぼす可能性を有する。また、UBS AG及びそ
の子会社を含むUBSグループは、その事業の性質により、広範な規制上の監視に服し、かつ重大な責任負担
のリスクにさらされる。50を超える国々で業務を行う世界的な金融サービス機関として、UBS AG及びその子
会社は多数の異なる法律、税金及び規制の体制に服している。UBS AG及びその子会社は、様々な請求、紛
争、法的手続及び政府の調査に関わっている。これらの及びその他の事項に対する財務エクスポージャーの
範囲は重大であり、UBSグループ(UBS AG及びその子会社を含む。)が設定した引当金の水準を大幅に上回
る可能性がある。UBS AGは、これらの問題が解決された時の財務及びその他の面への影響を予想することは
できない。規制手続の解決により、UBS(UBS AG及びその子会社を含む。)が一定の業務を維持するために
規制上の不適格の権利放棄を取得することが求められ、許可及び規制上の承認を制限、停止又は解除する権
利が規制当局に付与され、金融市場の公益事業に対し、そのような公益事業に参加することを制限、停止又
は解除することを認める可能性がある。そのような権利放棄を取得することを怠った場合、又は許可、承認
若しくは参加が制限、停止若しくは解除される場合、UBSグループ(UBS AG及びその子会社を含む。)に重
大な影響が及ぶ可能性がある。
当グループの戦略
魅力的なビジネスモデル
当グループの戦略は、業界を主導する当グループのグローバル・ウェルス・マネジメント事業及びスイス
における当グループの優良な個人及び法人向け銀行事業をその中核に据えており、これらは当グループが重
視するインベストメント・バンク及びグローバルなアセット・マネジャーにより補完されている。当グルー
プは、優位な競争的地位を有し、魅力的な長期の成長又は収益性が見込まれる対象とする市場において、資
本効率の高い事業に焦点を当てている。
当グループは、投資資産に基づき、富裕層顧客及び超富裕層顧客を対象とする秀でたグローバルなウェル
ス・マネジャーである。当グループは、投資資産に基づき、最大の市場である米国において大きなプレゼン
スを有しており、また、成長著しい地域であるアジア太平洋地域において主導的な地位を有している。当グ
ループのグローバル・ウェルス・マネジメント事業は、魅力的な成長が見込まれる業界において、組織的に
真似をするのが困難なその規模並びに富裕層顧客セグメント及び超富裕層顧客セグメントを通じたその主導
的地位による恩恵を受けている。当グループの事業部門間のパートナーシップは、当グループの戦略の成功
及び競争上の優位性の根源にとって必要不可欠である。
強固な資本力は当グループの戦略の基礎であり、当グループのビジネスモデルは、資本増加が見込まれか
つ資本効率の高いものである。
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費用効率及び資本効率の高い成長を通じた長期的な価値の創出
当グループは、持続可能な利益増加及び責任ある資源開発に焦点を当てながら、長期に亘りUBSの経営管
理を行っている。魅力的なリスク調整後利益率及び持続可能な業績を実現するために、成長機会と費用及び
資本効率の両立を目指している。
収益の増加
当グループは、規律をもって計画を実行し、良好な市場や業界のトレンドを利用することによって、景気
循環の中で少なくとも世界経済の成長率で収益を伸ばすことができると考えている。当グループの事業部門
間の連携とパートナーシップを強化することで、更なる収益成長の可能性が高まり、超富裕層やグローバ
ル・ファミリー・オフィスの顧客のニーズにより適切に応えることが可能になる。
地域別では、当グループは、米国及びアジア太平洋地域が今後の利益の増加に最も寄与すると考えてい
る。当グループは、米国及びラテンアメリカではすでに強力なプレーヤーとなっており、市場シェアを獲得
し、長期的な成長傾向から恩恵を受けることで、更なる成長への意欲を持っている。アジア太平洋地域、特
に中国は、経済拡大及び富の創出を考慮すると、長期的に重要な成長機会を提供すると考えている。当地域
における当グループの競争的地位は強固であり、当グループは事業全体で成長機会を捉える体制を整えてい
る。自国市場であるスイスでは、当グループの主導的地位を強化していく。ヨーロッパ、中東及びアフリカ
地域においては、当グループは、金融サービス業界において予想される更なる統合の間に自らの市場シェア
を拡大する既存の能力を活用したいと考えている。
費用効率
当グループは、当グループの全体的な費用効率の向上を目的としたコスト意識の高い組織である。当グ
ループでは、収益に連動する業績連動型報酬以外の費用を今後3年間でほぼ横ばいに保ちつつ、収益を伸ば
していくことを目指している。
当グループは、効率性及び有効性を向上させ、成長を促し、かつ顧客により良いサービスを提供する目的
で、テクノロジーへの投資を継続する予定である。
当グループでは、コーポレート・センターに関する費用に対する事業部門による所有を一層強化し、当グ
ループと部門の業績を一致させるため、コーポレート・センターに関する費用配分方法を調整した。2019年
第1四半期から当該費用の内より高い割合が事業部門に配分される。
資本効率
当グループは、資本の配分先である資本コストを負担するために、事業間で資本を配分する際には、規律
を維持している。
当グループは、資源の利用に関する透明性及び説明責任を向上させており、これにより、事業部門が更に
資本効率の高い方法で資本利用を最適化し、成長機会を追求することができる。その結果、当グループでは
持分帰属の枠組みを採用しており、2019年第1四半期より、従来は中央が保有していた資源を更に事業部門
に配分する予定である。
魅力的な資本還元
当グループの資本力及び資本増加が見込まれるビジネスモデルは、株主に魅力的な資本還元を行いながら
当グループの事業を成長させることを可能にする。
当グループは、1株あたりの通常配当を年率1桁台半ばから後半のパーセンテージで増額することを目標
としている。更に、当グループでは、通常配当の発生後、多くの場合は株式の買戻しの方法で、余剰資本を
還元することを目指している。当グループは、株式買戻しに利用可能な余剰資本を決定するにあたり、事業
の見通し及び資本計画並びにその他の動向を考慮している。
業績目標及び業績測定
目標、計画並びに資本及び資源に関する指針
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2018年10月、当グループは業績目標の枠組みを改良し、当グループ及び各事業部門のためのより具体的な
目標及び計画を導入した。当グループの目標及び計画は、直近の3ヶ年戦略プランが基礎となっている。当
社の戦略プランは、当グループの戦略的イニシアチブ、管理活動並びに特定の経済及び市場の仮定を反映し
ている。この変更は、2019年1月1日に発効したコーポレート・センターに関する配分の変更及び持分帰属
方法の変更の影響を考慮している。
目標は年次ベースで計測されるが、グローバル・ウェルス・マネジメント部門、パーソナル&コーポレー
ト・バンキング部門及びアセット・マネジメント部門に関する調整後の税引前利益成長率の目標並びにイン
ベストメント・バンク部門に関する調整後の帰属資本利益率の目標の各項目については、景気循環の中で当
グループが達成を目指す年次平均業績を表示している。
以下の表は、2019年から2021年の期間についての当グループ及び各事業部門に関する業績目標、計画並び
に資本及び資源に関する指針を記載している。当グループの目標は、短期で当グループが達成できると考え
る内容を表示している。当グループの計画は、今後3年以内に当グループが達成を目指す内容を反映してい
る。
変動報酬を決定する際は、目標に照らした当グループと事業部門の両方の業績が考慮される。
当グループの目標及び計画
当グループの目標は、魅力的な資本還元及び統制された資源管理の維持を行いながら、事業を拡大すると
いう包括的目標を反映したものである。
規制資本は、当グループの事業運営において重要な役割を果たしている。当グループのリスク選好を定義
するための重要なインプットであり、当グループの投資能力又は株主への資本還元能力に対する主要な制約
である当グループの規制自己資本比率は規制資本により決定される。よって、当グループでは、普通株式等
Tier 1(CET1)自己資本利益率を当グループの目標に採用し、かかる目標では2019年に報告ベースで約15%を
目指し、計画では2021年までに約17%に向上させる予定である。
当グループの費用効率の目標については、調整後の財務情報は、報告値よりも、当グループの基本的な業
績をより良く反映していると考えている。当グループのリストラクチャリング費用が減少していることか
ら、報告値と調整後の数値は収斂してきており、今後も収斂していくものと予想される。2019年の調整後費
用対収益比率の目標は約77%であり、計画では2021年までに約72%に向上させる予定である。
部門目標及び計画
当グループの部門目標には、各事業部門の戦略目標及び市況に応じた収益性、効率性及び成長性の測定法
が含まれており、当グループ目標の基礎となっている。
2019年~2021年の目標、計画並びに資本及び資源に関する指針
資本/資源に関
目標 計画 する指針
2019年 2019-2021年 2019-2021年
当グループ 1 CET1自己資本利益率の報告値 ~15% ~17%
1
2 ~77% ~72%
調整後の費用対収益比率
3 CET1自己資本比率 ~13%
▶ CET1レバレッジ比率 ~3.7%
1 2
グローバル・ウェ 5
調整後の税引前利益成長率 10~15%
ルス・マネジメン
1
2 ~75% ~70%
調整後の費用対収益比率
ト
6 新規純資金増加率 2~4%
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1 2
パーソナル&コー 5
調整後の税引前利益成長率 3~5%
ポレート・バンキ
1
2 ~59% ~56%
調整後の費用対収益比率
ング
7 純利息マージン 145~155 bps
1 2
アセット・マネジ 5
調整後の税引前利益成長率 ~10%
メント
1
2 ~72% ~68%
調整後の費用対収益比率
6 新規純資金増加率(マネー・ 3~5%
マーケットを除く。)
1 2, 3
インベストメン 8
調整後の帰属資本利益率 ~15%
ト・バンク
1
2 ~78% ~75%
調整後の費用対収益比率
9 当グループに関するRWA及びLRD ~1/3
1 2 3
調整項目に関する情報については、本書の「当グループの業績」の項を参照されたい。 景気循環の中での数値。 最低利益率か
ら業績目標に再配置された。
定義
1 CET1自己資本利益率の報告値 株主に帰属する当期純利益を平均CET1自己資本で除した数値
2 調整後の費用対収益比率 調整後の営業費用を調整後の営業収益(信用損失費用/戻入控除前)で除した数値
3 CET1自己資本比率 CET1自己資本を期末のリスク加重資産で除した数値
▶ CET1レバレッジ比率 CET1自己資本を期末のレバレッジ比率分母で除した数値
5 調整後の税引前利益成長率 当会計期間と比較会計期間との間の事業部門における調整後の税引前利益の変動を比
較会計期間の事業部門における調整後の税引前利益で除した数値。アセット・マネジ
メントについては、この算出方法から事業移転の影響を除く。パーソナル&コーポ
レート・バンキングについては、スイス・フランで測定されている。
6 新規純資金増加率 対象期間の新規純資金(場合により、年換算)を対象期間の期首の投資資産で除した
数値
7 純利息マージン 受取利息純額(場合により、年換算)を平均貸出金で除した数値
8 調整後の帰属資本利益率(RoAE) 事業部門における調整後の税引前営業利益(場合により、年換算)を平均帰属資本で
除した数値
9 当グループに関するRWA及びLRD インベストメント・バンクに帰属するリスク加重資産(RWA)又はレバレッジ比率分
母(LRD)を当グループ全体のRWA又はLRDで除した数値
当グループを取り巻く環境
最新の市場情勢
2018年における世界経済の展開
2018年の世界経済は、成長率を維持した。世界のGDPは3.8%増加し、2017年の成長率3.9%とほぼ同水準
となった。
景気拡大は、G20諸国が1ヶ国も不況に陥ることなく、2017年と同様に広範囲で見られた。米国は、2017
年12月に導入された税制改革法が米国の成長率を2.8%(2017年の2.2%から上昇)に引き上げたこともあ
り、この景気拡大の大半に貢献した。景気の回復と税率の低下は、中国との貿易紛争の可能性に対する懸念
にもかかわらず、企業収益を20%より多く押し上げた。
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ユーロ圏の成長率は鈍化した。しかしながら、この地域は、大きな政治的又は経済的ショックを受けるこ
となく、1年を乗り切ることができた。イタリア政府と欧州委員会との間の紛争は解決され、近年ユーロ圏
の一体性を脅かすと見られたギリシャの債務危機は、見出しにはほとんど掲載されなかった。全体として、
ユー ロ圏のGDPは年間2%近く増加した。ユーロ圏外では、スイス経済が特に好調で、前年度の1.7%を上回
り、2.6%の上昇となった。
新興市場は強まる圧力に直面した。中国が国内企業借り入れの抑制に努めた結果、景気を冷え込ませ、成
長率が2017年の6.9%から6.5%に鈍化した。他の新興国も、米国と中国の貿易紛争が企業の景況感を悪化さ
せたことに影響を受けた。かかる障害にもかかわらず、ほとんどの新興市場国は堅調なGDP成長を達成し、
インド経済にも成長が見られ、6.7%から7.3%へと改善した。
この比較的良好な背景と抑えられたインフレ圧力により、先進国市場の中央銀行は、金融政策の引き締め
を緩やかに続けることができた。欧州中央銀行は量的緩和政策を終了すると発表し、一方で連邦準備制度理
事会はバランスシートを月500億米ドル縮小し、翌日物金利の目標を2018年中に4段階で1パーセント・ポ
イント引き上げた。
米国株式は、当該年度のほとんどの期間、健全な成長、収益の向上、中央銀行の金融政策の引き締めが緩
やかであったことを背景に、好調に推移した。米国市場の堅調さが世界の株価指数を押し上げる一助とな
り、新興市場やユーロ圏における株価指数の低迷による相殺分を上回るものであった。もっとも、2018年10
月は、市場の価格変動が激しかった。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)のオール・カントリー・ワールド・イ
ンデックス(年初から2018年9月下旬までに6%上昇)は、直近の四半期には調整局面が見られ、年度末に
は7.7%の低下となった。これは、2011年以降、初めてのマイナスリターンの年になった。
10年米国財務省証券(UST)のような安全な資産は、投資家にとってより安定的であることが証明され
た。10年USTの利回りは、当該年度の最後の3ヶ月間で約40ベーシス・ポイント低下した。
英国のEU離脱に関する条件の不確実性は、見出しで取り上げられたが、世界市場への影響は限定的であっ
た。
2019年の経済及び市場の見通し
景気循環は成熟しつつある。貿易の混乱や金融引き締めなどの潜在的な不調は、投資家に障害をもたらす
可能性がある。しかしながら、当グループではこれらが世界経済を景気後退に傾けるとは考えていない。米
中貿易紛争は依然として懸念されているようだが、世界経済の拡大を終了させうる深刻な事態が生じる可能
性は低いと思われる。
当グループでは、継続する英国のEU離脱交渉が世界市場に大きな影響を与えることはないと考えている。
同様に、当グループでは、世界の主要中央銀行は金融政策の過度な引き締めを回避すると予想している。
2008年の金融危機以降初めて、中央銀行の貸借対照表は当該年度の年初よりも年末の方が縮小する可能性が
高い。刺激策の撤回は、市場のボラティリティを抑制する強力な力を排除することになる。しかしながら、
インフレが依然として管理されているため、政策立案者は、急激な上昇により、成長を抑え、市場を乱すリ
スクを低減しながら、引き締めを緩やかにする余裕がある。米国では、2019年中の多重利上げ予測が弱まっ
た。
当グループでは、世界の株式市場に過大評価の兆候は見ていない。2018年末現在、世界の株式は、第4四
半期に見られた積極的な売り及び通年で達成された増益を反映して、収益に対する実績価格ベースの30年平
均を下回る水準で取引された。
株式市場は、2019年始めに回復し、2018年後半の売りは行きすぎていたとの当グループの見方を裏付け
た。
業界の動向
当グループの業界はこの10年間、規制動向の影響を大きく受けてきたが、今後の変更の主な原動力として
テクノロジーが徐々に登場してきており、当グループの商品や事業だけでなく、競争環境にも影響を与える
ことが予想される。
デジタル化
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テクノロジーは、銀行の営業方法を変貌させており、コンピューター機能の指数関数的な進歩、顧客ニー
ズの進化及びデジタルトレンドに合わせて、この傾向は今後も続くと予想される。もはやテクノロジー支出
は銀行をより効率的にする手段という考えだけではない。現在、テクノロジーへの投資は銀行の柔軟性を維
持し、デジタル化世界の中で競争力を有し、新しいビジネスモデルを開発する機会を創出する上で重要なも
のになっている。
当グループは、顧客及び従業員により良い経験を提供するために最先端のデジタルツールやサービスを届
けるよう努めている。その中で、当グループでは、取引を行い、日々の業務を遂行し、当グループに価値を
付加していく能力を継続的に向上させている。UBSのデジタル・エコシステムは、自動化されたシステムや
データ生成プロセスを増やすことにより強化され、それにより人工知能への当グループの取り組みが推進さ
れている。この自動化、人工知能及び強力な人的資本の融合により、イノベーション及び優れた顧客経験が
もたらされ、事業の成長が実現される。
整理統合
当グループでは、継続するマージン圧迫に加え、テクノロジー及び規制に関する固定費に起因して規模の
強みが増していることを受けて、金融サービス業界の中で更なる整理統合が行われると予想している。多く
の地域及び事業分野は未だに極度に細分化されており、規模及びコスト効率に関する調査は、整理統合の主
要な決定要因となると考えられる。また、多くの銀行が、現地での買収又はパートナーシップを通じて、ア
ジア及び新興市場等の魅力のある成長プロフィールを有する地域のエクスポージャーを追求している。最後
に、オペレーショナル・リスク及びコンプライアンス・リスクを軽減する目的で主力分野又は地理的拠点を
更に重要視することや事業運営モデルを継続的に簡素化することもまた、非中核事業及び資産を更に売却す
る要因となる。
新たな競争相手
当グループの競争環境もまた変化している。アセット・ギャザリング事業における従来の競合他社に加
え、参入企業が価値連鎖の主要な構成要素となることを目指している。しかしながら、価値連鎖及び顧客関
係の根本的なアンバンドリング(最終的に新しい競争相手により銀行の金融仲介機能の低下がもたらされ
る。)は、まだ見られない。より長い期間で見ると、大規模なプラットフォームを有する会社の金融サービ
ス業界への参入は、その強力な顧客基盤及び顧客データへのアクセスを考慮すると、重大な競争上の驚異を
もたらす可能性があると当グループは考えている。
規制
2008年以降の規制改革アジェンダで示された対応策は、現在、概ね実施されている。破綻処理時の資金調
達等、まだ十分な対応が行われていない分野もあり、バーゼルⅢ資本規制等の一定の基準の実施は国レベル
で継続されているが、規制から監督へと焦点が移りつつある。これと並行して、規制当局の中には、新しい
枠組みの効率性を再評価することを検討しているところもある。
規制主導の変革は、総じてかなりの資源を消費し続けている。2019年には、最終化されたバーゼルⅢ基準
の国家レベルでの実施に向けた具体的な提案を含め、スイスの大きすぎて潰せない枠組みの更なる調整が見
込まれる。当グループでは、破綻処理に関連した改革及びデリバティブ改革に対する継続的取り組み、並び
に行為規制及びマネーロンダリング対策への持続的注力を想定している。
こうした動向の背景には、保護主義の高まりと新たな規制上のハードルがあり、クロスボーダーの金融
サービスの提供に課題をもたらしている。特に、EUへの市場アクセスの制限は、UBSを含む金融の中心地と
してのスイスに大きな影響を及ぼす。各国による規則の実施方法の差異及び国内へ焦点を当てる傾向の高ま
りは、世界中で規制の細分化が更に進むリスクをもたらし、ひいては当グループのコスト増加や新たな金融
安定性に対するリスクをもたらす可能性がある。しかしながら、当グループは、ビジネスモデルへの適応と
規制変更の積極的な管理により、規制環境に生じる今後の変化を吸収する強固な体制を整えていると考えて
いる。
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富の移転
人口統計学的及び社会経済的な動向を受けて、年代及びジェンダーのグループの中で富は変動し続ける。
結果、ウェルス・マネジメント業界の顧客ベースは、次第に多様化している。よって、この業界は、拡大す
る顧客グループの特定のニーズ及び期待に合わせてサービス及び商品提供を改良する必要がある。当グルー
プは、その活発なセグメント管理戦略を通じて当該顧客から選ばれるウェルス・マネジャーとしての地位を
保持できるよう取り組んでいる。当グループのウェルス・プランニングの専門知識もまた、超富裕層顧客の
ための グレート・ウェルス 等、全てのセグメントを対象とした世代間の専門的な富の移転サービスに支えら
れている。 ウェルス・ウェイ は、富の移転を取り扱う別の例である。このサービスでは、顧客の金融上の問
題を包括的に捉え、生涯を超えたニーズをカバーし、顧客の遺産創出を支援している。
退職年金積立基金
この数年に亘り、年金業界は、高齢化等の重要な人口動態の変動及び期待運用収益の減少の2つの主要な
困難に直面してきた。
確定給付から確定拠出年金への前進的なシフト等、当該困難に対する構造的解決策の他に、当グループは
年金基金が自らの資産分配手法を再評価していると考えている。実際、多くの年金基金は、現在、高利回り
のエクスポージャーを追求する中で、自らのポートフォリオのうち以前より高い割合を、プライベートエク
イティ、ヘッジ・ファンド、不動産及びインフラ等のオルタナティブ投資に分配している。
当グループでは、これらの基金が運用戦略及び対象とするポートフォリオの配分を決定するのに追加の支
援が必要になると思われるため、この動向はUBSにとってプラスであると捉えている。更に、当グループの
プライベート・バンキング及びウェルス・マネジメントの顧客は、財務及びリタイアメント・プランニング
に関する追加の助言を必要とすることが予想され、当グループでは、当該助言は、当グループのウェルス・
プランニング・サービスを通じて総合的に提供することができる。
規制及び法律の動向
スイス
スイスにおけるTBTFの枠組み
2018年11月、スイス連邦参事会は、自己資本に関する規則(CAO)の改正を採択し、この改正では、
(ⅰ)スイス国内のシステム上重要な銀行3行に関するゴーンコンサーン・ベースの資本要件が、既に発効
しているゴーイングコンサーン・ベースの資本要件の40%に設定されたこと、(ⅱ)システム上重要な銀行
によるその子会社への出資の取扱いについて、リスク加重アプローチが導入されたこと、及び(ⅲ)UBSビ
ジネス・ソリューションズAGを含む、銀行の業務プロセスの継続に必要なサービスを提供するグループ会社
が、スイス金融市場監督当局(FINMA)による連結監督の対象となったことが特徴的であった。
連邦参事会は、UBSを含むスイスのグローバルなシステム上重要な銀行2行に対し、法人レベルでのゴー
ンコンサーン・ベースの資本要件の改定の可能性について、2019年上半期に別個の協議を開始する予定であ
る。
これとは別に、2018年12月、スイス連邦議会は、スイスのシステム上重要な銀行の持株会社が発行する大
きすぎて潰せない(TBTF)商品に係る税制上の取扱いの変更を承認した。新法は、持株会社レベルでのTBTF
商品の発行が義務付けられたことによるシステム上重要な銀行に課される追加的な税負担を解消することを
目的としている。2019年3月、連邦参事会は、当該規則を2019年1月1日に遡って施行することを決定し
た。今後、当グループでは、新規の損失吸収その他Tier 1資本性証券及び総損失吸収力(TLAC)適格非劣後
無担保債務をUBSグループAGから直接発行する予定である。また、当グループでは、前述した税負担を管理
するために、UBSグループ・ファンディング(スイス)AGがこれまで発行した未償還の資本及び負債性商品を
UBSグループAGが引き受ける予定である。
FinSAの詳細を定める規則についての協議
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2018年10月、スイス政府は、とりわけ、金融サービス法(FinSA)の詳細を定める金融サービス規則
(FinSO)案について協議を開始した。同法は、規則と同様に、2020年1月1日から施行される予定であ
る。
FinSOは、FinSA及び金融機関法(FinIA)と共に、新しい投資家保護規則を導入するものであり、これに
は情報及び文書化要件の著しい強化が含まれる。当グループでは、新しい規則を実施するための準備を開始
している。
スイスの取引施設に関するEUの同等性決定
2018年12月、欧州委員会(EC)は、スイスの取引施設に関する同等性の決定を2019年6月末まで6ヶ月延
長した。ECは、同等性決定の更なる延長は、連邦参事会が枠組み合意を承認することを条件とすると述べて
いる。
ECがスイスの取引施設の認識を2019年6月の先まで延長しなければ、2018年11月にスイス連邦参事会で採
択されたスイス緊急時対策が発効する。この緊急時対策は、EU以外の外国の取引施設にはスイスの株式の取
引を認めるが、EUの取引施設でスイスの株式を取引するのは禁止するというスイスの新しい基準を導入す
る。これにより、当グループの取引に関する取り決めを大幅に修正する必要が出てくると予想されるが、
UBSは適切な準備を行っている。当グループでは、EUの取引施設がスイスの対策に応じ、それによりスイス
で発行された株式の流動性がEUの取引施設からスイスの取引施設に移ると予想している。
自動的情報交換
2018年9月、2017年1月1日付で自動的情報交換(AEI)がスイスで導入されたことにより、情報交換の
ための契約書に署名するため、初めて当初の提携国36ヶ国と金融データの交換が行われた。2018年1月1日
には、スイスのAEI提携国ネットワークに更に41ヶ国が加わった。これらの国とは2019年に初めて金融デー
タの交換が行われる予定である。最初の交換の前に、これらの管轄区域は、データ交換要件に確実に準拠す
るために、連邦参事会による強制的な審査を受ける。スイス連邦議会は、2019年1月1日、AEIの実施を約
束した107ヶ国のうち、89の提携国との間でAEIの導入を承認した。2018年12月、スイス政府は、残りの18の
提携国とのAEIの実施に関する協議を開始した。
当グループでは、AEI並びにその他の税制の変更及びその施行に関連したクロスボーダーの顧客資産の流
出を経験している。
スイス法人税改革の採択
2018年9月、スイス連邦議会は、スイスの事業拠点としての競争力を維持するため、持株会社に対する法
人税の優遇措置を廃止し、経済協力開発機構(OECD)の基準に沿った一連の租税措置を導入する法人税改革
措置(それまではタックス・プロポーザル17として知られていた。)を採択した。この措置には、現行の持
株会社に対する優遇資本税率の廃止案を補填する資本税の任意軽減が含まれている。更に、直接連邦税収の
州への割当は増加し、州の法人所得税率を引き下げる余地が出る。国民投票は2019年5月19日に行われ、投
票が成功すれば、この改革は2020年1月1日に発効する。この変更により、当グループのスイスにおける税
金負債が僅かに増加することになるが、これは州の税率の改正が制定されればその影響によりほぼ相殺され
るものと予想される。
スイスにおけるAML規則の改正
2018年6月、スイス連邦参事会は、金融活動作業部会によるスイスの相互審査報告書に記載された勧告を
実行するため、マネーロンダリング防止法の改正について協議を開始した。当該協議では、特定のサービス
を対象としたデューデリジェンス義務、実質所有者確認並びに疑わしい取引の監視及び報告を強化するため
の変更を提案している。
これらの改正が実施されると、当グループの顧客受入れ及び現行のコンプライアンスのプロセスに変更が
必要になり、費用が増加する可能性がある。UBSに及ぼされる正確な影響は、スイス連邦議会において議論
される最終的な法律に依拠している。
金融システムにおけるサイバー・レジリエンスに関連する動向
2018年4月、スイス連邦参事会は、2018年~2022年のスイスのサイバー・リスク対策に関する国家戦略を
採択した。金融セクターは非常に重要なインフラとみなされており、サイバー・セキュリティの観点からそ
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のレジリエンスを強化するための対策を実行し、かつ国家戦略の結果として関連ある公共部門機構との協力
をより強化するよう求められる。
また、2018年4月、欧州中央銀行(ECB)は、決済・市場インフラ委員会及び証券監督者国際機構による
世界的な指針に基づき、金融市場インフラストラクチャー(FMI)及び銀行を対象としたサイバー・レジリ
エンスの監視要請について協議した。この協議は、単一の基準を課すまではせずに、アプローチの分裂に対
処することを目指している。2018年12月、ECBは、FMIのサイバー・レジリエンスの監視要請を最終化し、こ
れに伴い、FMIに対し、指針をどのように機能させるかについて詳細なステップを提供するとともに、同協
議のフィードバック、特に、現在の分裂を低減するのに異なる管轄地域間及び規制当局間で調整する必要が
あるかについてのフィードバックを反映した。
2018年11月、金融安定理事会(FSB)は、金融セクターにおけるサイバー・セキュリティ及びサイバー・
レジリエンスに関連する約50の基本用語からなるサイバー用語集(Cyber Lexicon)を最終化した。この用
語集は、FSB、基準設定機関、当局及び民間部門の参加者の作業を支援することを意図している。
加えて、2018年7月、英国健全性規制機関(PRA)及び金融行為監督機構(FCA)は、FMIのオペレーショ
ナル・レジリエンスを向上させるためのアプローチについて、共同でディスカッション・ペーパーを公表し
た。特に、当該ペーパーでは、取締役会及び上級役員が、主要な事業サービスに関する特定の影響下での耐
性の設定、監視及び検査に重点を置くことにより、オペレーショナル・レジリエンスのよりよい基準を達成
することができると予想している。これとは別に、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は2018年~2019年の対
策プログラムに関する2018年6月のアップデートにおいて、サイバー・リスク及びオペレーショナル・レジ
リエンスは依然として優先度が高いことを確認した。
国際
NSFRの実施
2018年11月、スイス連邦参事会は、2019年末に安定調達比率(NSFR)要件の最終化を検討することを発表し
た。当初、2017年に提案されたNSFR要件は、法人レベルで長期資金需要を著しく増大させる可能性がある。
EUでは、一連のリスク削減策に関する政治的合意は、2021年上半期にNSFRを実施することを意味してい
る。これは、連結レベルでも法人レベルでも適用されると予想され、法人レベルではクロスボーダーは適用
免除される可能性がある。4年の移行期間が設定される予定で、この間、特定のデリバティブ、レポ契約及
びリバース・レポ契約は、より低い所要安定調達要素を享受する。UBSのEUに属する事業体は、NSFR要件の
範囲内になると予想されるが、当グループ連結レベルでのUBSは、スイスのNSFR要件が実施されるとその対
象となる予定である。
米国では、米国財務省がその2017年6月基本原則レポートにおいて、NSFRの適切な較正と評価が可能にな
るまで、NSFRの実施を延期することを提言した。この提案は2年以上にわたって留保されている一方で、
2018年の始めに出されたコメントでは、この提案の実現は近いと述べられているが、米国の銀行当局の代表
者は、この提案を実現する方法を示していない。最近の健全性基準の調整では、修正された手法を含め、ど
の米国銀行持株会社が最終的な規則の対象となるかが示されているが、米国外銀行の米国に本拠を置く中間
持株会社については明確にされていない。米国での実施と他の管轄区域で適用される実施との間の差異によ
り、米国外の銀行組織にとって競争上の困難が示される可能性がある。
市場リスク枠組みの調整
2019年1月、バーゼル委員会は、市場リスク枠組みの最終的な見直しを公表し、これは、トレーディング
勘定の抜本的な見直しに続くものであり、2022年1月1日以降、第1の柱に基づく最低自己資本規制として
機能する。この見直しには、標準的手法のリスク感応度の調整及び適用範囲の明確化、標準的手法のリスク
感応度及び内部モデル手法の変更、特に損益帰属テスト及びモデル化できないリスク要因に対する変更が含
まれる。当グループでは現在、UBSへの潜在的影響を評価している。
第3の柱に基づく開示要件の見直し
2018年12月、BCBSは、最新の第3の柱に基づく開示要件を公表し、先に開始していた開示の枠組みに対す
る見直しを完了した。特に、今回の見直しは、2017年12月に公表された最終的なバーゼルⅢ基準を反映して
いる。加えて、最新の枠組みでは、資産の担保差入に関する新たな開示要件、更に、管轄地域レベルで内国
の監督当局が要求する場合には、資本分配の制約に関する新たな開示要件についても規定されている。
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バーゼルⅢに関連する開示要件の実施期限は2022年1月1日である。資産の担保差入、資本分配の制約及
び不良資産の健全性の取扱いに関する開示要件の発効日は、2020年末である。
バーゼル委員会のレバレッジ比率に関する動向
BCBSでは、顧客清算型デリバティブに関するレバレッジ比率の取扱いについて、特定の限定的な改定につ
いて協議を行い、3つの選択肢を概説しており、その内2つは、当初証拠金の相殺を認識し、バーゼルⅢの
要件と比べ当グループのレバレッジ比率分母を引き下げると考えられる。BCBSはまた、レバレッジ比率の粉
飾決算の問題に対処するためのレバレッジ比率に関する追加的な開示要件についても協議しており、遅くと
も2022年1月1日までに実施することが提案されている。
EUによる一連のリスク削減策
EUの機関は、一連の立法化されたリスク削減策について政治的合意に達し、これにより多くのバーゼルⅢ
改革及びFSBのTLAC基準がEU法に盛り込まれる予定である。この合意は、最終的な技術的調整を条件とす
る。
一連のリスク削減策には、EU以外のグローバルなシステム上重要な銀行の主要子会社に関する完全な第1
の柱の水準の90%で較正されたグループ内TLAC要件が含まれている。UBSヨーロッパSEは、この定義に該当
する可能性が高く、従って、グループ内TLAC要件を誘引する予定である。
また、リスク削減策には、400億ユーロを超える資産を有する第三国銀行グループが、EU中間親会社
(IPU)を設立するための要件も含まれている。これには3年間の実施期間が条件となる。これにより、当
グループでは、2024年上半期までに実施が必要となると予想する。UBSは、本要件の範囲内となることが予
想され、それを遵守するために必要な対策を実施する予定である。
欧州委員会(EC)は、市場リスク基準が最終化した後、これらの報告要件を拘束力のある自己資本規制に
変えるために、2020年半ばまでに新しい法律を導入することが予想される。それ故、当グループでは、EU
が、改正後のバーゼルⅢ基準の発効日よりも後に、拘束力のある自己資本規制を導入すると予想している。
最後に、リスク削減策は、EUの銀行再生・破綻処理に関する指令により確立された従来の手段に加えて、
破綻処理前の2営業日猶予手段を新たに導入する。しかしながら、提案された規則では、2つの手段を組み
合わせて使用することは認められず、猶予期間は最長2営業日のままとなる。破綻処理前の手段は国際基準
とは異なるが、最長2営業日間の猶予は、この変更の影響を制限する。
一連のリスク削減策は2019年第2四半期に最終的な承認を受け、対応策の大半について、2021年上半期か
ら段階的に導入される見込みである。
EUのクロスボーダー事業に関する動向
当グループでは、2019年上半期中に、EUによる投資会社に関するレビュー(IFR)が最終化すると予想す
る。投資会社を対象とするEUの健全性規則の改正に加え、IFRは金融商品市場指令Ⅱ(MiFIDⅡ)の同等の枠
組みを更新すると予想される。最終的な規則が合意されれば、EU内で提供されたサービスについてUBSのよ
うな第三国に本社を有する企業の更なる報告義務を導入する可能性が高く、一方でEU規制当局は第三国の規
則の同等性によりきめ細かい焦点を当てている。最終的な法的議論によっては、クロスボーダー市場へのア
クセスに対する更なる制限が導入される可能性がある。当グループは、当グループの事業活動に対する潜在
的影響を判断するために、これらの動向を注視している。
また、当グループでは、欧州市場インフラ規則の見直しが2019年上半期に最終化すると予想しており、こ
れにより、EUは一定の条件下で、システム上重要な第三国の中央清算機関(CCP)の承認を取り消すことが
可能となる。当グループのEUに本拠を置く事業体、主にUBSヨーロッパSEだけが、EUが認めた当該第三国の
CCPに対しエクスポージャーを有することができる。EUは、英国が合意なしに離脱することになった場合で
も、EUの会社が英国のCCPを1年間継続的に利用できるよう体制を整えているが、当グループでは、12ヶ月
後に体制が消滅した場合でも、EU顧客のためのサービスの継続性を確保するための緊急時対策を整備してい
る。
英国のEU離脱
当グループでは、英国が2019年3月29日にEUを離脱するとの予測の下、英国のEU離脱に向けた準備を進め
ている。当グループの計画は、いかなるシナリオ(英国が拘束力のある離脱合意なしにEUを離脱するシナリ
オを含む。)においても当グループが顧客にサービスを提供し続けることができるよう企図している。
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英国の離脱の発効日が近づいており、更に英国の承認手続の政治的困難を考慮すると、離脱に関する協定
が締結されるにしても離脱する日の比較的直前にならないと合意されない可能性があるため、いかなる移行
に 関する取り決めも、範囲が著しく限定される可能性が更に高まっているように見受けられる。同様に、離
脱する日が変わる可能性も残っている。
2019年3月1日、先に発表された英国の事業移転とUBSリミテッドのUBSヨーロッパSEへのクロスボーダー
の合併が行われた。UBS AGのロンドン支店にサービスを受けることができるUBSリミテッドの元顧客や他の
カウンターパーティは、合併前にUBS AGのロンドン支店に移った。この措置により、英国のEUからの離脱の
結果が当グループの顧客にサービスを提供する能力に重大な影響を及ぼすことはないと考えている。
ECは、欧州証券市場監督機構(ESMA)に対し、英国の認可を受けたCCPについて、2019年3月30日以降、
合意なきシナリオにおいても、EUにおける清算サービスを1年間継続することができる旨の認定を許可する
同等性の決定を採択した。ESMAは、2019年3月29日までに当該認定に関する決定を採択すること目指してい
ると発表した。当該決定が行われれば、当グループは、英国のEUからの離脱後もUBSヨーロッパSEの英国CCP
に対するデリバティブ・エクスポージャーを維持することが可能となる。
IBORからの移行に関連した動向
スイス・フラン参照金利に関するスイス・ナショナル・ワーキング・グループ(NWG)は、個人向け及び
法人向けローンで使用されるフォールバック条項(ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が永久に廃止された
場合、顧客の金利がスイス法下でどのように計算されるかを定義する条項)を提案した。2018年11月1日現
在、当グループの新しい3年LIBORモーゲージには、全てフォールバック条項が付されている。期間金利に
ついては、スイスNWGは、可能な限り、スイス翌日物平均金利(SARON)の複利を使用することを推奨してい
る。
2018年12月、FINMAは、銀行間取引金利(IBOR)の代替可能性に関連するリスクの指針を公表し、法的及
び評価上のリスク、並びに監督下にある金融機関を対象とする事業運営上の準備体制に関連するリスクを概
説した。
当グループは、2018年9月に英国の規制当局であるPRA及びFCAからの要請を受け、取締役会で承認を受け
たIBORの中止に係る主要なリスクの評価についての概要及び当該リスクの軽減策の詳細を提出した。
当グループはIBORに連動する契約を多数有している。新しい無リスクの代替的な参照金利は、現在のとこ
ろ期間構造を提供しておらず、従って、現在のオーバーナイト以外の指数連動商品の契約条件は変更が必要
になると考えられる。当グループは、組織横断的、地域横断的なガバナンス体制及び変更プログラムを構築
し、移行の規模と複雑さに対応している。
EUの持続可能な金融に関する行動計画
2018年3月、ECは、10の行動項目の形式で「より環境に優しい(greener)」金融システムの基盤となる
持続可能な金融に関する行動計画を発表した。
2018年5月、ECは、行動計画の中で表明したいくつかの主要点を実施するための最初の対策を採択した。
これには、機関投資家及びアセット・マネジャーが環境、社会及びガバナンス(ESG)要因を自らのリス
ク・プロセスにどのように組み込んでいくかについての情報開示義務を導入する持続可能な金融に関するタ
クソノミーの提案、並びに、投資家に対し、その投資の二酸化炭素排出量に関するより良い情報を提供す
る、低炭素に関するベンチマーク及びポジティブ・カーボン・インパクト・ベンチマークからなるベンチ
マークの新しいカテゴリーの作成への提案が含まれていた。その他のイニシアチブには、投資会社及び保険
代理店が個々の顧客に提供するアドバイスにESGに関する考慮事項を盛り込むことについて、フィードバッ
クを求めることも含まれている。
当グループは、顧客、従業員、投資家及び社会に長期的なプラスの効果をもたらすことに全力を尽くして
いる。2015年には、持続可能な開発目標の達成と低炭素経済への移行を支援する投資に向けた資金運用を後
押しするために、部門横断的な組織「UBSインソサエティ」を設立した。
米国
BEAT規則案発効
2018年12月、米国財務省は、2017年12月に税制改革法の一環として導入された税源浸食濫用防止税
(BEAT)に係る規則案を公表した。BEATは、米国の納税者が米国外関連者に対して行った損金算入可能な支
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払の足し戻しを含む修正課税所得に基づいて計算される。BEATは、ある年度について、当該年度の通常の連
邦法人税を超過する金額について、適用される。規則案では、米国事業体から米国外関連者への支払は、当
該 支払からの所得が米国に実質的に関連する所得として米国外関連者の管理下で課税されるか、又は当該支
払がTLAC債の米国の最低強制金額に関連する場合、BEATの対象とならないことを明確にしている。当グルー
プは、当グループの従来の指針に沿って、かつ規則案を考慮に入れて、予見可能な将来においてBEATに関し
多額の費用を負担することはないと考えている。
より厳格な健全性基準に関する米国連邦による調整
2018年5月の経済成長・規制緩和・消費者保護法(EGRRCPA)の成立に伴い、米国の銀行監督機関は、破
綻処理計画と健全性基準の厳格化を主に規定するドッド・フランク法第165条に関連する一連の改革を実施
することが求められた。EGRRCPAは、米国の銀行持株会社とその子会社銀行を対象としたものであったが、
米国規制当局は、同様の改革を米国外銀行の米国における中間持株会社業務にまで拡大する取り組みを開始
した。これらの改革のうち、健全性基準の厳格化に関する調整は、より重要な側面である。かかる調整によ
り、資本及び流動性リスクの管理やストレス・テストのプロセス等の規制要件と米国を拠点とする活動のリ
スク・プロフィールとの整合性が高まると予想され、当グループの米国事業に資本及び資金調達源をより効
率的に配分することが可能になると考えられる。
ストレス資本バッファー導入案
2018年4月、連邦準備制度理事会は、銀行向けストレス資本バッファー(SCB)を導入することを提案し
た。これは、包括的資本分析及びレビュー(CCAR)に服する会社に適用がある既存の2.5%の資本保全バッ
ファーに代わるもので、2.5%より高い水準、又は当初の水準と連邦準備制度理事会の非常に不利な状況の
シナリオを使用した9四半期の予測期間における最低予想自己資本水準との差異に基づき、会社の普通株式
等Tier 1(CET1)及びTier 1レバレッジ比率に適用される。更に、もはや連邦準備制度理事会が対象会社の
資本計画に個別に量的な異議を唱えることはない。連邦準備制度理事会の主要幹部は、提案の一部が遅れる
可能性があるとの見解を公表したことがあるが、連邦準備制度理事会は、改めてかかる見解を表明する正式
な通知を行ってはいない。外国銀行に対する健全性基準の提案と調整案がさらに明確化されない限り、当グ
ループは、当グループの米国中間持株会社であるUBSアメリカズ・ホールディングLLCが、SCBの対象とな
り、連邦準備制度理事会のCCARプログラムに基づく対象会社であり続けると予想している。
米国顧客への責務
2018年4月、米国証券取引委員会(SEC)は、個人顧客に対するブローカー及びインベストメント・アド
バイザーの責務を強化及び明確化するため、新たな規制及び解釈を提案した。この提案では、ブローカー・
ディーラー及びインベストメント・アドバイザーが、顧客との関係、提供されるサービス、行為基準、手数
料及び費用、利益相反、懲罰情報等を説明する新たなリレーションシップ・サマリーを顧客に提供すること
が求められる。この新しい規制はブローカー・ディーラーに適用され、ブローカー・ディーラーは、個人投
資家に投資又は投資戦略についての提案を行う際に、顧客の最善の利益のために行動することが求められ
る。提案された解釈は、インベストメント・アドバイザーの一定の義務を明確にしており、顧客の最善の利
益のために行動すること、最善の取引実行を得ること、継続的なアドバイスと監視を提供すること、並びに
利益相反を開示し緩和することに関連するものである。提案された要件は、もし採択されれば、米国におけ
るグローバル・ウェルス・マネジメントの事業の大部分に適用されるであろう。
この提案は、退職金勘定に適用され、2019年を通じて段階的に適用されることになっていた米国労働省
(DOL)のフィデューシャリー・ルールと重複している。DOLのフィデューシャリー・ルールは、2018年3月
に米国控訴裁判所により無効となった。
単一カウンターパーティ与信制限
2018年6月、連邦準備制度理事会は、大規模な銀行組織とそのカウンターパーティとの間で、金融の安定
性を損なうことから生じるリスクの集中を軽減するための単一カウンターパーティ与信制限(SCCL)規則を
最終化した。この規則は2020年に発効する。この規則の下では、米国の銀行事業を有し、グローバルの資産
総額が2,500億米ドル以上の米国外銀行は、連結された米国事業とその中間持株会社(IHC)の合計が500億
米ドルを超えるSCCLの枠組に従うことになる。UBSの連結された米国事業に関しては、同規則では、同等の
母国規制(UBSについては、2019年1月1日に発効したFINMA通達の「リスク分散-銀行」)を遵守している
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ことを連邦準備制度理事会に対し証明することにより、連結された米国事業に関するSCCL規則の遵守を考慮
する。UBSは、そのIHCについては、単一のカウンターパーティーへの総純信用エクスポージャーが、IHCの
規 制資本総額にTier2資本に含まれていない貸倒引当金の残高を加えた額の25%に制限されると考えられ
る。現在、IHCは、規制値を超えるカウンターパーティ・エクスポージャーを有していない。
2【事業等のリスク】
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2018年12月31日現在において判断したものであ
る。
以下の記載を含む一定のリスクは、当グループの戦略遂行の能力あるいは当グループの事業活動、財政状
況、業績及び見通しに影響する可能性があるものである。当グループは、本質的に、複数のリスクにさらさ
れており、その多くが事後的にのみ明らかとなる可能性のあるリスクである。そのため、現在当グループが
重大であると考えていないリスク又は現在認識していないリスクもまた、当グループに悪影響を与える可能
性がある。以下のリスク要因の記載順は、その発生可能性又は影響の潜在的な重大さの順を示すものではな
い。
市場リスク及びマクロ経済リスク
金融サービス業界における業績は市場状況及びマクロ経済環境に影響される。
当グループの事業は、市場及びマクロ経済の状況により大きな影響を受ける。利率、信用スプレッド、証
券の価格、市場のボラティリティ及び流動性、外国為替相場、商品価格、及びその他の市場変動並びに投資
家心理に不利な変化が生じると、当グループの利益に、そして最終的には当グループの財務状況及び資本基
盤に悪影響を及ぼすおそれがある。
市場の低迷及び低迷しているマクロ経済環境は、地政学的事由、金融若しくは財政政策の変更、貿易不均
衡、自然災害、疾病、市民暴動、暴力行為、戦争又はテロを含む様々な要因により生じる可能性がある。マ
クロ経済及び政治的展開は、予測不能で不安定な影響を及ぼす可能性があり、金融市場は全世界的なもので
あり、また高度な相関性があるため、地方及び地域の事象であってもその発生国にとどまらず広範に様々な
影響を及ぼす可能性がある。更に、各国がクロスボーダーの支払い若しくはその他の為替取引に対する制限
若しくは資本規制を課した場合、又は通貨の変更(例えば、1国以上の国がユーロ圏を脱退する場合)が
あった場合、当グループは、カウンターパーティの強制執行される債務不履行により損失を被るか、自己の
資産を使用することができないか、又は自己のリスクを効果的に管理することができなくなる可能性があ
る。
マクロ経済及び政治的展開による市場の混乱又は主要な市場参加者の破綻により、地域的に又は世界的に
危機が拡大すると、当グループは重大な影響を受けるおそれがある。当グループの戦略プランが時ととも
に、中国を含む新興市場での成長と利益を生み出す当グループの能力にますます依存するようになってお
り、これによって当グループが当該市場に関連したリスクにさらされる可能性は高くなる。
当グループは複数の市場に対し重大なエクスポージャーを有しており、当グループの事業は、一部の同業
者とは異なる地域的なエクスポージャーや地域的集中を有している。グローバル・ウェルス・マネジメント
は、全ての主要地域から収益を得ているが、多くの同業者と比べてアジアにより大きく集中しており、ま
た、多くのヨーロッパの同業者とは異なり、米国で存在感を発揮している。当グループのインベストメン
ト・バンクのエクイティ事業は、同業者と比べヨーロッパ及びアジアをより重視しており、当該事業内での
デリバティブ事業は、ウェルス・マネジメントの顧客、特にヨーロッパ及びアジアの基盤顧客に対する仕組
商品をより重視している。従って、当グループの業績は、他の一部の金融サービス提供業者よりも、これら
の地域及び事業での政治、経済及び市場の展開に大きく影響を受ける可能性がある。
事業活動及び顧客活動並びに市場取引規模の縮小は、例えば、著しい市場ボラティリティの結果、当グ
ループが2018年第4四半期及び2016年に経験したように、特に当グループのウェルス・マネジメント及びイ
ンベストメント・バンクの取引報酬、手数料及びマージンに悪影響を及ぼす。市場が低迷すると、当グルー
プが顧客のために運用する資産の規模及び評価が低下する可能性があり、これにより、投資資産に基づき請
求する経常的な手数料収入及びアセット・マネジメントでの業績ベースの手数料が減少する可能性がある。
またそのような市場の低迷により、当グループが保有し投資対象又は当グループのトレーディング・ポジ
ションとして計上する資産の価値が下落する可能性がある。一方で、市場の流動性及びボラティリティの低
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下は、トレーディングの機会を制約する可能性があり、これにより、取引ベースの手数料が減少し、更に当
グループのリスク管理能力が妨げられる可能性がある。
更に、IFRS第9号で要求される予想信用損失(ECL)モデルの実施目的は、将来予想を適切に行って低迷
を予想し、また逆に低迷の底に達した時のプラスの展開を予想することにより、減損費用の早期の認識を確
実にすることでプロシクリカルな信用減損費用を抑えることであるが、これらの予想が現実とならない重大
なリスク及びIFRS第9号に基づくECLがプロシクリカルであると判明する重大なリスクが存在する。IFRS第
9号に基づく引当要件は実際、高水準の信用減損(ステージ3)並びに高いECL(ステージ1及びステージ
2)により、経済が低迷し始めた時に急速に増大する可能性があり、経済の見通しが改善して初めて徐々に
縮小する。ECLの大幅な増大は、規制上の資本を目的とする予想損失を上回る可能性があり、当グループの
普通株式等Tier1(CET1)資本及び規制資本比率に悪影響を及ぼす可能性がある。プロシクリカルなECL要
件による効果は、当グループのストレス・テストから得られたデータで評価される。
当グループは、顧客、取引相手及び他の金融機関の信用リスクにさらされている。
信用リスクは、貸付業務、引受業務及びデリバティブに関する活動といった、当グループの多くの事業に
おいて不可欠な部分である。信用リスク又は経済状況若しくは市場状況の悪化を正しく評価し管理できない
場合、信用エクスポージャーの減損及びデフォルトが発生することとなる可能性がある。また、担保付の
ローン及びその他エクスポージャーの価値の下落により損失が悪化する可能性がある。当グループは、プラ
イム・ブローカレッジ事業、証券金融事業及びロンバード貸付事業で、価値又は流動性が急速に低下する証
券担保に対して相当な金額の貸付を行っている。当グループのスイス・モーゲージ及び企業貸付ポートフォ
リオは、当グループの全貸付の大部分を占めている。従って、当グループは、スイス・フラン高及びそれに
よるスイスの輸出に対する影響、スイス国立銀行によるマイナス金利の維持、ユーロ圏又はEU内の経済状況
並びにスイスとEU及び欧州経済領域(スイスの最大の輸出市場)との間の協定の進展を含む、スイスにおけ
る経済の展開の悪化リスクにさらされている。
上記の展開は、これまでに、当グループの業績全体及び当グループの各事業部門の業績に影響を及ぼして
おり、今後も重大な影響を及ぼす可能性がある。
市場の状況と変動は、当グループの収益性、強固な資本基盤、流動性及び資金調達ポジションにマイナスの
影響を及ぼす可能性がある。
スイス及びユーロ圏の低金利及びマイナス金利は、当グループの受取利息純額に悪影響を与えている。
低金利又はマイナス金利の環境が継続すると、利息マージンが更に減少し、パーソナル&コーポレート・
バンキング及びグローバル・ウェルス・マネジメント事業から生みだされる受取利息純額に悪影響が生じる
可能性がある。また当グループの実績は、流動性カバレッジ比率に組み込まれている規制上の想定流出額を
補うために必要な優良流動資産の維持関連費用の影響も受ける。
スイス国立銀行は、スイスの銀行が無利子を最高基準として預金を行うことを許可している。この許可が
なければ適用されていたであろうマイナス金利の免除の利用頻度が減少するか又はその利用が制限された場
合、スイスでのマイナス金利の悪影響が増大する可能性がある。低金利及びマイナス金利はこの他、顧客の
行動にも影響する可能性があり、それゆえに、当グループの全体的なバランスシートの構成に影響を及ぼす
可能性がある。選択的預金手数料又は最低貸付金利の導入等、当グループがこれまで講じてきたか又は今後
講じる可能性のある軽減措置によって、顧客預金(当グループの主要な資金調達源)を失うこととなり、新
規純資金流出や当グループのスイスでの貸付業務での市場シェアの低下がもたらされ、今後更にそのような
結果をもたらす可能性がある。
この他、金利変動も当グループの株主持分及び資本に影響を与える。特に、当グループのスイスの年金制
度の退職給付に係る資産及び負債の算定は、適用される割引率及び年金制度資産の価値の変動に敏感であ
る。金利が更に引き下げられると、割引率が引き下げられる可能性があり、結果として、対応する債務の存
続期間が長いため、年金制度の不足額が増える。この結果、これに対応して当グループの持分及び完全適用
ベースの普通株式等Tier 1自己資本が減少する。
通貨の変動
当グループは、通貨の変動によるリスクにさらされている。2018年10月1日より、UBSグループAG及びUBS
AGのスイス本店の機能通貨がスイス・フランから米ドルに変更され、UBS AGのロンドン支店の業務に使用さ
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れる機能通貨も英ポンドから米ドルに変更されている。この変更に則して、当グループは、2018年第4四半
期の報告から、UBSグループAGとUBS AGの連結財務諸表の表示通貨をスイス・フランから米ドルに変更して
い る。この変更により、スイス・フランに対する通貨変動リスクへの当グループのエクスポージャーは低下
しているが、当グループの資産及び負債の大部分は、米ドル以外の通貨建てとなっている。従って、外国為
替相場の変動は今後も、当グループの利益、貸借対照表、レバレッジ比率並びに流動性カバレッジ比率に悪
影響を及ぼすおそれがある。
当グループのCET1自己資本比率をヘッジするために、当グループのCET1自己資本には、通貨感応度につな
がる外貨建てエクスポージャーを加えなければならない。そのため、資本と自己資本比率の両方を同時に完
全にヘッジすることは不可能である。当グループが表示通貨を米ドルに変更したことにより、当グループの
CET1自己資本及び自己資本比率の通貨変動に対するエクスポージャーは減少しているが、排除はされていな
い。
規制上のリスク及び法的リスク
規制の大幅な変更は、当グループの事業及び戦略プランの実行能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
金融機関に影響を与える法令等の根本的な変更は、当グループの事業に重大な悪影響を及ぼし得る。2007
年から2009年の金融危機後、規制当局及び立法関係者は、認識済みの危機の原因について対処し主要金融機
関が引き起こすシステミック・リスクを制限することを目的として、銀行に適用される様々な法令及び監督
体制の変更を採用してきた。こうした変更によって当グループは、事業、戦略及び法人体制を大幅に変更す
ることとなった。当グループは、その破綻処理の実行可能性を改善し他の規制要件を満たすために、業務の
大部分を子会社に移転した。その結果、莫大な実施費用、資本コスト及び資金調達コストの増加、営業上の
柔軟性の低下を招くこととなった。多くの規制上の変更が完了しているが、一部は引き続き、経時的に段階
導入中であるか又は更なる規則の制定若しくは実施指針を必要としており、その他の変更は尚も検討段階に
ある。
かかる取組みを調整するための規制当局の試みにもかかわらず、採用された又は提案された措置は、主要
な法域によって著しく異なるため、世界的な金融機関の事業運営が更に困難になる。スイスで行われている
資本及び流動性等の問題に関する規制変更は、他の主要な法域よりも急速に進んでいることが多く、大手国
際銀行に対するスイスの要件は、主要な金融センターの中でも最も厳しいものの一つである。これにより
UBS等のスイスの銀行は、より緩い規制に従う同種の金融機関又は規制のないノンバンクの競合相手と競争
する際、不利益を被る可能性がある。
銀行の体制及び業務の制限 :当グループは、法的及び規制上の要件及び要請を満たすために当グループの
法人体制及び運営体制に大幅な変更を行った。例えば、米国の規制要件を満たすために当グループの全ての
米国子会社を米国中間持株会社の傘下にし、また、破綻処理の実行可能性を改善するためにパーソナル&
コーポレート・バンキング部門及びグローバル・ウェルス・マネジメント部門内のスイスで記帳された事業
の実質的に全ての業務をUBSスイスAGに移転した。このような変更、特に子会社への事業の移転には、多大
な時間と資金が必要であり、業務、資本、流動性、資金調達及び税金の非効率性を生じさせる可能性があ
り、更に、当グループ内の複数の事業体と取引を行っているカウンターパーティに対する当グループの信用
エクスポージャー全体を増加させる。また、子会社における当グループの事業が現地の所要自己資本、流動
性要件、安定資金需要、資本計画要件及びストレス・テスト要件の対象となっている。このような要件に
よって、影響のある子会社における自己資本規制及び流動性要件が強化されており、これによって当グルー
プの営業上の柔軟性が制限され、事業部門間の相乗作用から利益を得る能力及び当グループに利益を分配す
る能力にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。
当グループは、ドッド・フランク法に基づく「ボルカー・ルール」に関連する当グループのコンプライア
ンス・監視枠組みの実施に相当な費用を負担しており、ボルカー・ルールの活動の制限に合わせて米国内外
での当グループの事業活動を変更した。当グループのボルカー・ルール・コンプライアンス・プログラムの
運用を変更しなければならないような方法でボルカー・ルールが改正された場合、その変更により当グルー
プの業務に対する負担が長期的に減少する可能性があったとしても、当グループは、短期間のうちに追加費
用を負担する可能性があり、当グループが従事する可能性のある種類の活動又は営業方法を大幅に制限する
他の類似の規則の適用を受ける可能性もある。
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自己資本規制及び総損失吸収力に係る要件の強化によって当グループの費用が増大している :当グループ
には、国際的に活動しているのスイスのシステム上関連ある銀行(SRB)として、世界で最も厳しい自己資
本及び総損失吸収力(TLAC)に関する要件を課されている。
当グループは、リスク加重資産(RWA)の計算の方法及びアドオンの変更並びに新たな会計基準の実施の
結果、2019年に当グループのRWAが増大すると予想している。バーゼル銀行監督委員会によって近年採用さ
れた銀行に対する国際資本基準の変更によって、当該基準が2022年に発行することが予定される場合、当グ
ループのRWAが更に増大することが見込まれる。
破綻処理の実行可能性及び再生・破綻処理計画 :スイスの大きすぎて潰せない(TBTF)枠組みに基づき、
当グループは、経営難に陥った場合にシステム上重要な機能を保つことができるよう、実行可能な緊急計画
を整えることを要求されている。更に、当グループは、この枠組み並びに米国、英国、欧州連合及び当グ
ループが事業を行う他の法域での同様の規制に基づき、重大な悪影響を及ぼす事象が生じた場合に再建する
ために講じる措置又は現地国で破綻処理手続若しくは破産手続を通じて当グループ若しくは当グループの事
業を徐々に縮小する措置を詳細に示す信頼性の高い再生・破綻処理計画を作成することを求められている。
当グループが提示する再生・破綻処理計画が不十分であるか又は信用性に欠けると関連当局に判断された場
合、当該当局は、関連規則により、当該法域での当グループの事業の範囲又は規模に制限を課すことを認め
られ、破綻処理を妨げている障害を取り除くために、資本金額又は流動性金額のいずれか高い方を保つよう
当グループに義務付けるか、又は当グループの法人体制若しくは事業を変更するよう当グループに義務付け
ることができる可能性がある。
スイスの銀行法及び施行規則は、金融機関が経営難に陥ることを阻止するため、また、経営難に陥った金
融機関について破綻処理をするために、影響力の強い介入権限をスイス金融市場監督当局(FINMA)に与え
ている。FINMAは、当該権限を行使するか否か、いつ又はどのような形で当該権限を行使するかを決定する
ための大きな自由裁量権を有している。当グループが決済不能のおそれにさらされた場合には、FINMAは、
配当及び利息の支払いの制限を含め、より負担の大きい要求を当グループに課す可能性がある。また、
FINMAは、例えば、UBSグループ内の資金調達や特定の保証を制限するとともに、各業務ラインをそれぞれ別
法人化するといった当グループの法人体制の変更又は特定の方法による事業リスク水準の更なる縮小を当グ
ループに対して直接的又は間接的に要求する可能性がある。FINMAは更に、銀行の破綻処理に際して、UBSグ
ループAG、UBS AG及びUBSスイスAGの資本調達商品及び債務を償却すること又は普通株式に転換することが
できる。
市場規制の大幅な変更は当グループの事業運営方法に影響を及ぼしており、今後も及ぼしていくであろ
う :改正金融商品市場指令(MiFID Ⅱ)が2018年に発効した。とりわけMiFID Ⅱでは、新たな取引前・取引
後の透明性要件、調査サービスへの報酬を目的とした取引での手数料の利用慣習に対する禁止及び顧客に対
応する場合の金融サービス会社に関する実質的な新規行動規制等、証券取引所及び取引場所に関する重大な
新規規制が導入されている。G20加盟国は、全ての標準化された店頭デリバティブ(OTC)契約が取引所又は
取引機関において取引され、セントラル・カウンターパーティを通じて決済されることを義務付ける取組み
を行っている。この取組みの実施は、主にインベストメント・バンクで行われている当グループのOTCデリ
バティブ事業に重大な影響を与えており、今後も引き続き影響を与える。これらのマーケットの変化は、
UBSを含む大部分の市場参加者にとって一定の業務分野の収益可能性を縮小させるおそれがある。例えば、
MiFID Ⅱにより導入された変更によって手数料率及び取引マージンが減少したと考えられ、この減少は調査
業務費用により完全に相殺することはできない。更に、これらの変更は、当グループが利用している市場イ
ンフラストラクチャー及び顧客との接触方法に重大な影響を与える可能性があり、多額の実施費用が追加で
発生することとなる可能性がある。
米国の商品先物取引委員会(CFTC)の登録スワップ・ディーラーとしてUBS AGに適用される一部の規則及
びUBS AGが証券ベースのスワップ・ディーラーとして米国証券取引委員会(SEC)に登録する場合に適用さ
れる一定の規則(スワップ・データ報告、記録保存、コンプライアンス及び監督に関連する規制を含む。)
は、世界的範囲でUBS AGに適用される。そのため、米国の規則は、米国外(スイスを含む。)で当グループ
に適用される法的要件と重複し、又は相反する可能性もあり、当グループは、米国でSEC又はCFTCに登録す
ることを義務付けられていない企業に対して競争上不利な状況に置かれる可能性がある。
多くの場面で、当グループはクロスボーダーでサービスを提供している。従って、当グループは第三国の
企業の市場アクセスを制限する障壁に敏感である。特に、第三国の企業による欧州市場の利用に関する規制
を調和させるEUにおける取組みは、当グループがスイスからこれらの法域で事業を運営する能力に悪影響を
及ぼす新しい障壁を創出する効果を有する可能性がある。更に、多くの法域では、本国の規則との同質性の
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判断、代替コンプライアンス及び類似する礼譲の原則に基づきクロスボーダー活動への規制を強化してい
る。マイナスの判断は、当グループが当該法域の市場へアクセスする機会を制限する可能性があり、当グ
ルー プがグローバル企業として事業を行う能力にマイナスの影響を与える可能性がある。例えば、EUはスイ
スの証券取引所に対して同質性の判断を暫定的にしか下していないため、スイスは、スイスの上場証券のEU
市場での取引が制限されることとなる可能性のある規則の採用を余儀なくされている。更に、当該判断は通
常、企業レベルではなく法域レベルで適用されるため、当グループは多くの場合、各法域の協調が積極的に
行われることを頼りにする必要がある。
当グループの事業遂行においては重大な法的及び規制上のリスクが発生する。
50を超える国々で業務を行う世界的な金融サービス機関として、当グループは多数の異なる法律、税金及
び規制の体制に服しており、それには広範囲な規制上の監視も含まれ、重大な責任負担リスクにさらされて
いる。また当グループは、多数の請求、紛争、法的手続及び政府調査の対象となっており、現在行われてい
る当グループの事業活動により、今後そのような問題が引き続き発生すると予想している。これらの問題及
びその他の問題に対する当グループの財務エクスポージャーの範囲は広大であり、当グループが設定した引
当金の水準を大幅に上回る可能性がある。当グループは、これらの問題が解決された時の財務及びその他の
面への影響を予想することはできない。
当グループは、当グループに対する一般公衆の認識及び当グループの評判に悪影響を与える可能性のある
不利な暫定決定又は判決を受ける可能性があり、それにより規制当局による健全性措置を受けることとな
り、当グループが、十分な防御をすることができ、最終的にはより好ましい結果が得られると考えていたと
しても、その問題に関して追加の引当金の計上を余儀なくされる可能性がある。このリスクの1例として、
フランスの裁判所による総額45億ユーロの罰金及び損害賠償金の判決が挙げられる。
規制手続の解決により、当グループが一定の業務を維持するために規制上の不適格の権利放棄を取得する
ことが求められ、許可及び規制上の承認を制限、停止又は解除する権利が規制当局に付与され、金融市場の
公益事業に対し、当グループがそれらの公益事業に参加することを制限、停止又は解除することを認める可
能性がある。そのような権利放棄を取得することを怠った場合、又は許可、承認若しくは参加が制限、停止
若しくは解除される場合、当グループに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
外国為替及びロンドン銀行間取引金利(LIBOR)並びにその他のベンチマーク利率に関連する政府当局と
の当グループの和解は、主要な法域において、規制事項に現在伴う財務リスク及び風評リスクの程度が大幅
に増加していることを際だって示している。LIBOR及び他の基準金利並びに外国為替及び貴金属に関する調
査に関連して、当グループは当局に対して、調査に全面的に協力したにもかかわらず、更に、米国及びスイ
スを含む多くの法域における独占禁止法当局から条件付の減免又は条件付の免責を受けながら、当グループ
に対して非常に多額の罰金及び不正利得の返還が課され、当グループは有罪自認を要求された。
2007年から2009年までの金融危機に起因する重大な損失以降、当グループは、非常に高いレベルの規制上
の監視を受けており、当グループの戦略上の柔軟性を制限する特定の規制措置に服している。当グループ
は、当該損失及び2011年9月に公表された無許可取引事件に繋がった不備を修復したものと考えているが、
当グループの信用に与える影響並びに2012年のLIBORに関する和解並びに当グループの外国為替及び貴金属
事業に関連する問題の一部規制当局との和解が規制当局との関係に与える影響により、綿密な調査が継続し
ている。
更に当グループは、再生・破綻処理計画、米国の強化された健全性基準並びに包括的資本分析及びレ
ビューをはじめとする重要な新規規制要件の対象となっている。また当グループは、追加の規制要件及び監
督基準の変更の実施並びに現行法令の遵守について、今後も監督当局から更に綿密な調査を受ける可能性が
ある。当グループが、ここに挙げた事項又は他の事項に関する監督当局の要求に応えられない場合又は別の
監督上の若しくは規制上の問題が発生した場合、当グループは規制当局から更に綿密な調査を受けることと
なり、当グループの戦略的柔軟性を更に制約する措置を受ける可能性がある。当グループは、当グループの
オペレーショナル・リスクの管理、統制、マネーロンダリング防止、データ管理及びその他の枠組みを改善
するために採る措置について、規制当局との話し合いを積極的に進めており、その他にも監督当局の要求に
応えられるよう努めているが、当グループの取組みが期待される効果をもたらすとの保証はない。かかる経
緯により、当グループの規制執行に関するリスクのレベルは、同業の一部の金融機関が負担するレベルより
も大きくなる可能性がある。
当グループの財務実績に対する税効果は税法改正及び繰延税金資産の再評価に大きく左右される。
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当グループの実効税率は、当グループの業績、将来の収益性に関する当グループの予想及び法定税率をき
わめて敏感に反映している。当グループは、過年度の税務上の欠損金に基づき繰延税金資産(DTA)を認識
し ている。これは、当グループの事業計画において報告された将来の課税所得を前提にして回収可能な範囲
を示すものである。当グループの業績により今後、とりわけ米国において課税所得が減少することが予想さ
れる場合は、当グループは、現在、損益計算書上で認識されているDTAの全部又は一部について、想定され
ている償却額を超える金額の償却を行わなければならない可能性がある。これにより、その償却が行われた
年度の当グループの実効税率が上昇することとなる可能性がある。逆に、当グループが税務上の欠損金を認
識していない事業体の業績が、とりわけ米国又は英国において改善すると予測される場合、当グループは
DTAを追加認識する可能性がある。そして、これによって当グループの実効税率は、追加のDTAが認識された
年度において減少することとなり、当グループの実効税率が将来上昇することとなる。また、当グループの
実効税率は、特に米国とスイスにおいて、将来の法定税率の引き下げにも敏感であり、これにより、影響の
ある地域において、税務上の繰越欠損金等の項目から税務上の便益が期待される値が今後縮小される可能性
がある。このことは、ひいては関連するDTAの評価切り下げを引き起こすこととなる。例えば、米国連邦会
社税率が2017年第4四半期の当グループのDTAにて、米国の税制改革法案(Tax Cuts and Jobs Act)
(TCJA)により35%から21%に引き下げられることによって29億米ドルの正味切り下げが生じた。
当グループは通常、更新された事業計画を踏まえた今後の収益性の再評価に基づき、その会計年度の第4
四半期に当グループのDTAを再評価している。当グループは、DTAの回収可能性を評価する際に、当グループ
の業績及びこれまでの予想税率の正確性並びに他の要因(残存する税務上の繰越欠損金期間及びDTAの有効
期間における今後の予測課税所得の評価を含む。)を考慮している。将来的な収益性の見積りは本質的に主
観的なものであり、特に将来の経済状況、市場状況及び他の状況に左右されやすく、予測は困難である。
近年における当グループの業績からわかることは、DTA認識額の変化が報告済みの業績に及ぼす影響は大
きいということである。UBSがDTAを再測定する方法を将来変更する場合、UBSの実効税率、特に変更が実施
された年の実効税率に影響を及ぼすと考えられる。
当グループの通年の実効税率は、損失カバレッジされていない支店及び子会社からの利益に関する税費用
の総額が予想額と異なる場合に変動する可能性がある。特に、税務上、純営業損失により相殺できない事業
体の損失により、当グループの実効税率が引き上げられる可能性がある。更に、当グループが法人体制を変
更した国の税法又は税務当局は、ある法人が負担する税務上の欠損金を、新規に設立、若しくは再編成され
る子会社若しくは関連会社へ移転することを阻止するか、又は移転人が従前行っていた事業に関連する税務
上の欠損金を活用することに制限を課す可能性がある。かかる事情が生じた場合で、税務上の欠損金が生じ
た法人においてかかる欠損金を活用する機会の計画に制限がある場合、当該欠損金に伴うDTAは、損益計算
書上で評価減を要求される可能性がある。
税法が改正されると、当グループの実効税率に大きな影響を及ぼす可能性があり、一定の業務の収益性に
も大きな影響を及ぼす場合がある。更に、制定法上及び規制上の変更によって、並びに裁判所及び税務当局
による税法の解釈方法の変更(ある法域に関連する恒久的施設の設置又はそれに類似する理論により、当グ
ループが当該法域で納税しなければならないとの主張及び不確実な税務ポジションの当グループによる評価
の変更が含まれる)によって、当グループが最終的に納付する金額と税効果会計の金額とが大きく食い違っ
てくる可能性もある。
基準金利の廃止又は変更により、当グループと顧客又は他の市場参加者との合意並びに当グループのシステ
ム及びプロセスの調整が必要となる可能性がある。
2013年4月より、英国金融行為規制機構(FCA)はLIBORを管理しており、他の法域の規制機関は他の銀行
間取引金利(IBOR)及び類似の基準金利の監視を強化している。また複数の法域でIBORから別の基準金利へ
の移行の取組みが行われているところである。FCAは、2021年より後はLIBORの管理又はLIBORを維持するた
めの他の措置の実施を継続しないことを2017年7月に発表し、代わりとなる参照金利に移行するよう利用者
に促した。そのため、2021年より後にLIBORが現在と同じ基準で決定されると保証することは一切できな
い。
2018年第3四半期には、ユーロ・リスク・フリー・レートに関する民間部門のワーキンググループが、
2020年1月1日よりEUベンチマーク規則により使用が禁止される予定のEONIA(ユーロ圏無担保翌日物平均
金利)の代替としてESTER(ユーロ短期金利)を推奨している。また、米ドルLIBORの承継金利に推奨されて
いる担保付翌日物調達金利(SOFR)を参照する先物契約の取引がシカゴ・マーカンタイル取引所で開始され
ている。イングランド銀行は、ターム物SONIA (ポンド翌日物平均金利)参照金利の開発について協議してお
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り、同金利は2019年下半期に利用可能となると見込まれる。国際スワップデリバティブ協会は、FCAからの
命令の一環として、デリバティブで使用されるLIBORの代替として望ましい金利の選択肢について協議し
た。 FCAと英国健全性規制機関は、当グループを含む英国内の銀行及び保険会社のCEOに対して、上級管理者
及び取締役会がIBORからの移行に関連するリスクを把握し、代替金利への移行のために2021年の終わりまで
にしかるべき準備措置を講じるよう保証することを求める書簡を送付した。また国際スワップデリバティブ
協会は、2018年7月に、一定のIBORを参照するデリバティブ契約の新たな代替基準金利に関する技術的な問
題について市場全体での協議を開始した。
当グループが締結している契約のうち、IBORに関連する契約は相当数に上る。新たなリスク・フリーの代
替参照金利は、期間構造を示さないため、現在、翌日物以外のターム物を指標としている商品の契約条件を
変更する必要がある。契約には、関連するIBORが短期的に利用できなくなった場合に代替の金利を提供する
ことを意図とした規定が含まれていることもある。ただし、当該規定は、関連するIBORが永久に廃止される
場合には有効でないか又は恣意的な結果を生み出す可能性がある。更に、当グループの内部システム、制限
及びプロセスの多くは、IBORを参照金利として活用している。代替の参照金利への移行には相当な労力が必
要となる。
英国の欧州連合離脱
当グループは、英国が2019年3月にEUを離脱し、移行措置は離脱日近くにならなければ法的拘束力を有し
ないという前提で英国のEU離脱への対応を計画している。依然として不透明な移行措置及び英国からEUへの
金融サービスの提供に対して将来課される制限を考慮し、当グループは、UBSリミテッド(英国を拠点とす
る当グループの子会社)のUBSヨーロッパSE(ドイツを本拠地とする子会社)への合併を完了した。そのた
め、当グループは、UBSヨーロッパSEが欧州中央銀行から直接的に監督されることとなると予想している。
英国がEUを離脱した後にUBS AGロンドン支店からサービスを受けることのできるUBSリミテッドの顧客及
び他のカウンターパーティは概ね、UBS AGロンドン支店に移されている。UBSリミテッドの残りの顧客及び
他のカウンターパーティは、2019年3月1日に英国事業の移転手続が完了し、2つの事業体の合併が完了し
た時点でUBSヨーロッパSEに移された。
この合併に関連して、少数の職務が英国から他のヨーロッパの拠点へ移転されている。当グループは更
に、UBSヨーロッパSEが獲得するであろう追加業務を反映するためにUBSヨーロッパSEの損失吸収力を強化す
る予定である。
当グループが財政困難に陥った場合、FINMAは、UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGに関して再編成手
続若しくは清算手続を開始するか又は保護措置を課す権限を有し、当該手続又は措置は、当グループの株主
及び債権者に対して重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGのようなスイスの銀行及び金融グループのスイス国内の親会社に
ついて、債務超過であるか、流動性に深刻な問題があるか又は関連する期限の満了後に自己資本比率規制が
もはや達成されないとの懸念に正当な根拠がある場合、FINMAは、スイス銀行法に基づき、当該事業体に関
して広範囲な法的権限を行使することができる。当該権限には、保護措置の命令を下すこと、再編成手続を
開始すること(及び当該手続に関連してスイスでの破綻処理実施権限を行使すること)、並びに清算手続を
開始することが含まれ、当該権限は全て当グループの株主及び債権者に対して重大な悪影響を及ぼす可能性
があるか、又はUBSグループAG、UBS AG若しくはUBSスイスAGによる配当金の支払い若しくは債務の返済を阻
止する可能性がある。
保護措置には、支払いの猶予若しくは繰延を義務付けるか又は結果として支払いを猶予するか若しくは繰
り延べることとなる特定の措置が含まれる可能性があるが、これらに限定されない。当グループが当該保護
措置に対して異議を申し立てる能力は十分でない可能性があり、債権者及び株主は、スイス法に基づき又は
スイスの裁判所において、当該保護措置の賦課(支払いの繰延が義務付けられるか又は結果として支払いが
繰り延べられる措置を含む。)に対する拒否、差止めの要求、又は異議申立てを行う権利を有さない可能性
がある。
UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGに関して再編成手続が開始された場合、FINMAが行使する可能性
のある破綻処理実施権限には、(ⅰ)手続の対象事業体の資産、債務及びその他の負債の全部並びに契約を
他の事業体に移転する権限、(ⅱ)手続の対象事業体が当事者となっている契約のa.終了又は当該契約の終
了権、当該契約に基づくネッティング権、b.当該契約に基づく特定の種類の担保の実行若しくは処分を行う
権利、若しくはc.当該契約に基づく請求権、負債若しくは特定の担保を譲渡する権利の行使を最大2営業日
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間、停止する権限、及び/又は(ⅲ)手続の対象事業体の株主資本の一部若しくは全部の評価減を行う権
限、また当該株主資本の全部の評価減が行われた場合には、株式に転換するか又は手続の対象事業体の資本
及 び他の負債性商品の評価減を行う権限が含まれる。株主及び債権者は、当該破綻処理実施権限の行使の根
拠となる破綻処理計画を拒否する権利又は当該計画の差止めを求める権利を有さない可能性がある。株主及
び債権者は、破綻処理実施権限の行使の決定に異議を申し立てる権利又は当該決定を司法手続若しくは行政
手続若しくはその他により見直させる権利しか有さない可能性がある。
破綻処理手続の対象事業体の株式及び債務の全部又は一部の評価減が行われる場合、関連する株主及び債
権者は、その評価減の対象となる当該株式及び債務について一切支払いを受けることができない可能性があ
り、当該評価減は永続的であり、投資家はその時点で又はその後に、株式又は他の参加権を受領せず、債務
者の財産回復が見込まれる場合であっても評価増し又は他の補償を受ける権利を有さない可能性がある。
FINMAが破綻処理手続の対象事業体の債務を株式に転換するよう命令した場合、投資家が受領する有価証券
は、当初の債務よりも大幅に価値が下落している可能性があり、リスク・プロフィールも大幅に異なる可能
性があり、当該転換により既存株主の所有権も希薄化する可能性がある。更に、株式を受領する債権者は、
その後、破綻処理された事業体の倒産、清算又は解散が行われた場合、事実上、当該事業体の全債権者に劣
後する可能性があり、投資家が投資額の全部又は一部を失うリスクが増大する可能性がある。
FINMAは、再編成手続に関連する権限の行使について大きな自由裁量権を有する。更に、特定の種類の預
金等、特定の区分の債務は優遇される。そのため、スイスの再編成手続の対象事業体の債務を保有する者に
ついては、当該債務と同順位又は劣後する債務が、評価減又は株式への転換が行われていない場合であって
も、当該債務を評価減されるか又は株式に転換される可能性がある。
FINMAは、組織的に重要な世界規模の金融グループについて、当該銀行の本国の監督当局及び破綻処理当
局が行う「シングル・ポイント・オブ・エントリー」の破綻処理戦略が望ましいと述べており、最上位のグ
ループ会社に注目している。これは、UBS AG又はUBSグループAGの他の子会社のうちいずれかが相当な損失
を計上した場合、FINMAがUBSグループAGのみに関して再編成手続を開始することができ、当該損失が近い将
来、UBSグループAGに影響を与える可能性があるという懸念に正当な根拠がある場合、UBSグループAGの負債
のベイル・インを命令することができるということを意味する。その場合、UBS AG又はUBSグループAGの他
のいずれかの子会社の債務は一切影響を受けずに残存する可能性があるが、UBSグループAGの株主資本、資
本及び他の負債性商品は、UBS AG又は他の当該子会社の資本再編を行うために、評価減され、かつ、UBSグ
ループAGの株式に転換されるか又はそのいずれか一方が行われる可能性がある。
流動性リスク
流動性及び資金調達管理は当グループの継続的な事業遂行に不可欠である。
当グループの事業の実行可能性は、資金調達源の利用可能性に依拠しており、その成功は、全ての市場状
況において当グループの資産ベースを効果的に補強することが可能となる時期、額、期間及び利率にて資金
を獲得する能力に依拠している。かかる資金源は通常安定しているが、将来、特に一般的な市場の混乱又は
信用スプレッドの拡大により変化する可能性はあり、資金調達費用にも影響が及ぶ可能性がある。当グルー
プの流動性及び資金需要の大部分は、小口預金及び大口預金並びに短期金融商品の通常発行を含む、短期か
つ無担保の資金源を活用して充足される。短期の資金調達の利用可能性における変化は突然起こる可能性が
ある。
更に、より厳格な所要自己資本及び所要流動性並びに資金需要は、担保付資金源及び安定的な資金源とし
ての預金双方の競争を増し、資金調達コストの増大へ結びつくと思われる。所要自己資本の一部として損失
を吸収するための負債の追加、最低限のTLACを当グループの持株会社及び子会社に保つという規制要件、並
びに破綻処理当局がTLAC及びその他債務をベイル・インする権限及び当該権限の行使方法が不確定であるこ
とにより、当グループの資金調達費用が増加するであろうし、当グループの事業に他の変更がなければ、必
要とされる資金調達総額が増加する可能性がある。
当グループの信用格付の引下げは、有価証券及びその他債務の市場価値に悪影響を及ぼす可能性があり、
特にホールセール無担保資金源からの資金調達に関し資金調達費用を増加させる可能性があり、特定の資金
調達の利用可能性に影響が及ぶ可能性がある。更に、当グループが、2012年6月のムーディーズによる当グ
ループの長期債務の格付の引下げに関連して経験したように、格付の引下げの際には、取引契約に基づき追
加担保の差入又は追加現金の支払いを要求されることもあり得る。当グループの信用格付もまた、当グルー
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プの強固な資本基盤及び評判とともに、顧客及びカウンターパーティの信頼の維持に貢献するものであり、
格付の変更は当グループの一部の事業の業績に影響を与える可能性がある。
流動性及び資金調達 :当グループは、見込まれるストレス時の短期的な純資金流出に備えた優良流動資産
の流動性カバレッジ比率、安定調達比率を維持する要件案及びその他類似の流動性要件及び資金調達要件に
より、高い水準を流動性全体について維持することが義務付けられ、又は受取利息及び支払利息を最適化す
る当グループの能力が制限される可能性があり、特定の事業の魅力を損ない、当グループの利益を生み出す
全般的な能力が低下する可能性がある。流動性カバレッジ比率及び安定調達比率の要件はいずれも、当グ
ループが短期的な資金に過度に依存しないこと及び当グループの非流動資産のための長期資金調達が十分で
あることを徹底することを意図しており、その算定は、市場全体及び企業に特有のストレスのある状況にお
いて、資金流出の相対的な可能性及び流出額並びに利用可能な追加的資金調達の資金源について前提を置い
ている。実際のストレス状況下において当グループの資金流出額がこの前提額を超えないという保証はな
い。更に、当グループの子会社の多くは、最低所要自己資本、流動性要件及び類似の要件を遵守しなければ
ならない。そのため、UBSグループAG及びUBS AGは、子会社の資本の大部分を出資し、子会社の流動性を高
めた。これらの資金は、関連する事業体の資金需要及び担保の必要性を満たすために利用することができる
が、通常、当グループ全体での使用を目的としてすぐに利用できるものではない。
戦略、管理及び営業に関するリスク
当グループは、戦略プランを継続的に実行できない可能性がある。
過去7年間にわたり当グループは、グローバル・ウェルス・マネジメント事業及びスイスの当グループ総
合銀行に注力すべく、アセット・マネジメント及び極めて小規模でより資本効率の高いインベストメント・
バンクによって補完しつつ事業の変革を実施し、コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポー
トフォリオでのリスク加重資産とレバレッジ比率分母の使用を大幅に縮小し、大幅なコスト削減を実施して
きた。当グループは近年、戦略実施状況の最新情報を示し、業績目標を更新し、資本及びリソースに関する
指針を提示してきた。当グループの戦略の実行を完全に達成することができないか若しくは当グループの業
績目標を達成できない又は戦略の実行や業績目標の達成に遅れが生じるリスクが依然として存在する。市場
事由若しくは他の要因が当グループの目標達成能力に悪影響を及ぼす可能性がある。マクロ経済の状況、地
政学的な不確実性、規制要件の変更及びこのような規制要件を遵守するための継続的費用により、当グルー
プは、過去の目標及び計画を調整しなければならなくなり、将来においても再び調整する必要が生じる可能
性がある。
当グループは、戦略プランを達成するために、技術及びインフラストラクチャーへの多額の支出を続け、
顧客経験を改善しデジタル商品及びサービスを向上させ更に使用可能にし効率を高める予定である。当グ
ループが新技術へ投資しても、当グループの目標が十分に達成されないか又は顧客を惹きつけつなぎとめる
当グループの能力が改善されない可能性がある。更に、当グループがデジタル対応可能な商品及びサービス
を提供する際に、バリューチェーンの様々な部分において、既存の競合会社と新規金融サービス提供者の両
面から競争に直面する可能性がある。デジタル対応可能な競争力の高い商品及びサービス並びにプロセスを
開発し実行する当グループの能力が、当グループの競争力の重要な要素となると考えられる。
また当グループの戦略の一環として、当グループの営業効率を、一部コスト管理により改善するよう努め
ている。当グループは、当グループの事業目的と整合する実現可能なコスト削減機会を識別することができ
ない可能性があり、コスト削減の実現が遅れるか又は当グループの見込みほどは実現されない可能性があ
る。規制上の一時的及び永続的な費用及び業務上の要求が予想を上回った分は、費用削減額により一部減殺
され、当グループの過去の費用削減目標の達成が遅れ、営業効率の改善のための当グループの継続的な取組
みの実行が引き続き困難となる可能性がある。
外注、ニアショアリング、オフショアリング、インソーシング又は人員削減による当グループの総人員の
変化は、効果的に対処しなければ、当該変化により、費用及び他の利益を達成する当社の能力に影響を及ぼ
す可能性があり、運営上の損失が生じることとなる可能性がある。また当該変化により、かかる従業員戦略
を通じて達成することが意図されている費用削減よりかなり前に、損益計算書に認識される費用が生じる可
能性がある。その例として、不動産賃貸借契約に係る引当金を認識する必要がある場合又は不採算事業の中
止若しくは処分に関連して、以前は他の包括利益に記録されていた為替差損が損益計算書に振り替えられる
場合が挙げられる。
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また、当グループは、有効性及び効率性に関するプログラムを実行する中で、当グループの競争力を維持
し、当グループの目標とするリターンを達成するため又は既存の若しくは新規の規制要件及び予想を遵守・
実現するために必要な能力を偶発的に喪失したり低下させたりする意図しない結果を経験する可能性があ
る。
オペレーショナル・リスクは、当グループの事業に影響を及ぼす。
当グループの事業は、異なる通貨による複数のかつ様々な市場において大量でその多くが複雑な取引を処
理する当グループの能力、当グループが服する多くの様々な法体制及び規制体制の要件を遵守する能力、並
びに無許可の、架空の又は詐欺の取引を防止し、速やかに発見し、停止する能力に依拠している。当グルー
プはまた、決済システム、為替、情報の処理業者並びにセントラル・カウンターパーティ等、第三者が管理
するシステムへのアクセス及びその機能にも依拠している。当グループ又は第三者のシステムが故障する
と、当グループに悪影響が及ぶ可能性がある。当グループのオペレーショナル・リスクの管理及び統制に関
するシステム及びプロセスは、当グループの活動に伴うリスク(処理過程のミス、実行ミス、違法行為、無
許可取引、詐欺行為、システム障害、金融犯罪、サイバー攻撃、情報セキュリティ違反、不適切又は効果の
ないアクセス制御、セキュリティ障害及び物理的防御の失敗から生じるリスクを含む。)の適切な管理の確
保を支援することが企図されている。当グループの内部統制によってこれらのリスクの特定及び是正を行え
ない場合又は行えないことが判明した場合、当グループは、業務支障をきたし、2011年9月に公表された無
許可取引事件で発生した重大な損失のような多額の損失を招くおそれがある。
当グループ及び他の金融サービス会社は、セキュリティ侵害並びにサイバー攻撃及び他の形式の攻撃にさ
らされており、その一部は、秘密情報若しくはシステムへのアクセス権の取得、サービスの妨害又はデータ
の破壊をもくろむ、的を絞った高度な攻撃である。これらの攻撃は、ウイルス又はマルウェアの導入、
フィッシング及び他の形態のソーシャル・エンジニアリング、分散型DoS攻撃並びにその他の手段によって
試みられる可能性がある。これらの試みは、直接行われるか又は当グループの従業員、第三者サービス提供
者若しくはその他ユーザーの機器若しくはセキュリティパスワードを使用して行われる可能性がある。外部
からの攻撃に加え、当グループは、従業員等による内部方針及び手続の不遵守並びに当グループのデータの
誤用により顧客データを喪失したことがある。当グループは、当グループのシステム又はデータへの脅威を
予想、検出又は認識できない可能性があり、また当グループの予防措置が攻撃又はセキュリティ侵害を予防
するのに効果的でない可能性がある。当グループの予防措置にも関わらずセキュリティ侵害が発生した場
合、特定の侵害又は攻撃を直ちに検出することはできない可能性がある。特定の攻撃が検出された場合で
も、その攻撃の性質と範囲を調査し評価するためには時間が必要である。当グループのシステム又はデータ
のセキュリティ侵害又は回避が成功した場合、当グループの業務の妨害、当グループ又は当グループの顧客
に関する秘密情報の不正使用、当グループのシステムへの損害、当グループ又は当グループの顧客の金銭的
損失、データ保護法及び類似の法律の違反、訴訟エクスポージャー及び当グループの評判の侵害等、当グ
ループに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループには、EU一般データ・プライバシー規則等、複雑で頻繁に改正される、顧客データ及び個人
データの保護に関する法令が適用される。当グループが個人データの収集、使用及び移転を行う際に適用法
令を必ず遵守するようにするには、相当な資源が必要となり、当グループの業務の実施方法に影響を与える
可能性がある。当グループは、適用法令を遵守しなかった場合、罰金、処罰及びその他制裁を科される可能
性がある。また、当グループのベンダー若しくはその他サービス提供者又は顧客若しくはカウンターパー
ティが当該法令を遵守しないか又は保護対象データをしかるべき方法で管理しなかった場合、当グループが
上記のような処罰を受ける可能性がある。更に、顧客データ又はその他データを喪失又は漏洩した場合、当
グループの評判を傷付け当グループの事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
近年の米国及びその他の国の政府による金融機関に関する政策の主要な焦点は、マネーロンダリング及び
テロの資金調達を食い止めることである。当グループは、当グループが業務を行っている多くの国の法律に
基づき、マネーロンダリング及びテロの資金調達の発見、防止及び報告並びに顧客の身元情報の確認を目的
とした有効な方針、手順及び管理を維持することを義務づけられている。当グループはまた、米国海外腐敗
行為防止法や英国贈収賄防止法等、腐敗行為防止及び他者による公務員への不正な支払いに関する法令にも
服している。当グループは、当該法令を遵守するよう設計された方針、手続き及び内部管理を実施してい
る。しかしながら、米国の規制当局より、当グループの米国での業務におけるマネーロンダリング防止プロ
グラムの設計及び運用が不十分であるとの判断を受けた。当グループは、当グループのプログラムに対する
規制上の要件を十分に満たすことを目的として、このような規制当局による判断に対処するための重要なプ
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ログラムを実施している。マネーロンダリング、テロの資金調達又は腐敗行為を防ぐのに十分なプログラム
を維持し、実施できなければ、またそれらの分野での当グループのプログラムが失敗すれば、法的執行行為
及 び当グループの評判に及ぶダメージの両面で深刻な結果を招く可能性がある。国、事業体及び個人に対し
て科される制裁が頻繁に変更されたり、ますます複雑化したりすると、当グループの監視費用及び制裁要件
の遵守費用が増大し、以前には許可されていた顧客の活動が制裁の対象となっていることを適時に特定する
ことができないリスクが増大する。
規制要件の新設及び改正並びに当グループによる法人体制の変更により、当グループが行う規制上及びそ
の他の報告の分量、頻度及び複雑さは大幅に増している。規制当局は更に、当グループによる内部報告及び
データ統合並びに管理報告に関する要請を大幅に増大させている。当グループは、当該要件を満たしたイン
フラを構築するために多額の費用を負担しており、今後も引き続き負担する。外部報告要件を適時にかつ正
確に満たさない場合又は内部報告、データ統合及び管理報告に関する規制上の要請を満たさない場合、当グ
ループは、強制措置を受けることとなるか又はその他悪影響を受けることとなる可能性がある。
一定の種類のオペレーショナル・コントロールの弱点及び瑕疵もまた、正確かつ適時の財務報告書を作成
し公表する当グループの能力に悪影響を与える可能性がある。
更に、当グループが構築している緊急時対策にかかわらず、当グループの業務遂行能力は、当グループの
業務及び当グループが業務を行っている共同体を支えるインフラの混乱によって悪影響を受けることがあ
る。これには、自然災害、疫病の流行、市民暴動、戦争又はテロリズムによる混乱が含まれる可能性があ
り、また当グループ又は当グループの取引相手の第三者が利用する電力、通信、交通又はその他のサービス
もかかわる可能性がある。
当グループは、変化する市場、規制及びその他の状況に応じて当グループのウェルス・マネジメント事業の
変更を実行することができない可能性がある。
当グループのウェルス・マネジメント事業及びアセット・マネジメント事業は、規制上の監督が強化さ
れ、受託者の基準及びその他の注意基準に関する基準が変更されつつある環境の中で行われており、運用会
社又はアドバイザーと顧客との間の利益相反を軽減又は排除することが重視され、投資マネジャー及び他の
業界参加者の世界的なシステム及びプロセス全体にわたって効果的な実施が必要となっている。例えば、
SECは、ブローカーと投資顧問の小売顧客に対する義務の強化と明確化を目的として新たな規制と解釈を提
案した。提案された要件が採用された場合、米国でのグローバル・ウェルス・マネジメント事業の大部分に
適用される可能性があり、当グループは、当該規制が完全に発効された場合、当該規制を遵守するために、
業務過程、方針及び顧客との対話に関する条件を大幅に変更しなければならない可能性がある。更に、当グ
ループが欧州連合内で顧客にアドバイザリー・サービスを提供する場合、MiFID Ⅱによって当グループは新
たな要件(顧客との契約に関する新規要件を含む。)を課せられる。
UBSは、世界規模での税務情報の自動交換がスイスで実施されると予測して金融当局がクロスボーダー投
資と会計上のアムネスティ制度を更に重視するようになったこと及びこれらの変化に対応してUBSが実施し
てきた措置により、多年度にわたってクロスボーダーの資金流出を経験している。現地の税法又は税規制の
更なる改正及びその実施、クロスボーダーの税務情報交換体制の実施、国内でのタックス・アムネスティ若
しくは実施プログラム又は類似の措置は、当グループの顧客が当グループと事業を行うことの可否若しくは
意思に影響を及ぼす可能性があり、更にクロスボーダーの資金流出が発生することとなる可能性がある。
近年のグローバル・ウェルス・マネジメント事業部門における新規純資金流入は、主にアジア太平洋地域
の顧客及びグローバルな超富裕層の顧客に由来するものであった。徐々に、これらの利益率の低い層や市場
からの資金の流入が、利益率の高い層や市場、とりわけクロスボーダーの顧客からの資金流出に取って代わ
りつつある。この変動は、顧客の商品選好の変化とあいまって、以前に比べて利益率の低い商品が当グルー
プの収入のより大きな割合を占めるという結果をもたらし、グローバル・ウェルス・マネジメント事業部門
の利益率に下向きの圧力をかけている。
上記の考察が指し示すように、当グループはアセット・ギャザリング事業での顧客資産の流出の可能性及
び特にグローバル・ウェルス・マネジメント事業の収益性に影響を及ぼす変更にさらされている。事業環境
の変化が当グループの収益性、貸借対照表及び資本基盤に与える影響に対処するために当グループが実施す
る可能性のある構想には、当該影響を中和させることができない可能性があり、2015年の当グループの貸借
対照表及び資本最適化計画で発生したような新たな資金の流出や顧客預金の減少が発生する可能性がある。
これらの傾向や進展の悪影響を打ち消すべく当グループが行う努力が成功するという保証はない。
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当グループが表明した資本還元益目標は、一部には資本比率に基づいており、かかる資本比率は規制上の変
更の影響を受け、大幅に変動する可能性がある。
当グループは、13%前後のCET1自己資本比率及び3.7%前後のCET1レバレッジ比率を保ち、営業すること
を予定している。このような比率を維持する当グループの能力は数多くのリスクにさらされている。かかる
リスクには、当グループの財務成績、当グループのCET1自己資本比率の算定に悪影響を及ぼす可能性のある
資本基準、方法及び解釈の変更の影響、リスクの追加、又は資本バッファーの賦課、並びに子会社に対する
所要資本、流動性及び類似の要件の追加適用が挙げられる。当グループの業績は、本書に記載される他の要
因に起因する事由により悪影響を受ける可能性がある。また、訴訟及び規制上のリスク並びにオペレーショ
ナル・リスク事由等の場合には、突発的に多額の損失が発生する可能性がある。このようなリスクにより、
株主への利益還元のために利用できる資本の額が減少し、株式買い戻し計画を伴う累進的現金配当の資本還
元目標を達成する当グループの能力が妨げられる可能性がある。
当グループが資本基盤を維持できない場合、当グループの戦略実行能力、顧客基盤及び競争上の地位に悪影
響を及ぼす可能性がある。
当グループの資本基盤は、当グループの戦略の重要な要素である。当グループは、その資本基盤により、
当グループの事業を成長させ、規制上及び自己資本の要件の増大に対処することができる。当グループの資
本基盤は、当グループの顧客及び利害関係者に安心感を与え、当グループの資本還元方針の基盤を形成し、
当グループの信用格付に寄与している。当グループの自己資本比率は、主にRWA、レバレッジ比率の分母及
び適格資本から得られている。それらはいずれも多くの要因により変動する可能性があり、一部の要因は当
グループの制御が及ばないものである。
当グループの適格資本は、純利益又はその他の包括利益に計上される損失により減少する可能性がある。
適格資本が減少する原因には他にも、証券化エクスポージャーの格付けにおける低下、取得及び売却による
のれんの水準の変化、持分の価額に影響する為替の不利な動き、特定の種類のポジションに係る評価が不確
実な場合に要求される慎重を期した調整、並びにその他の包括利益に計上される特定の年金基金資産及び負
債の価額の変動又は当グループの確定給付債務純額の変動を計算するために使用される金利及びその他の前
提の変動等が挙げられる。
RWAは、当グループの事業活動、当グループのエクスポージャーのリスク・プロファイルにおける変化、
当グループの外国為替エクスポージャーの変化及び外国為替相場の変動並びに規制に左右される。例えば、
市場のボラティリティの高さ、信用スプレッドの拡大、不利な為替の動き、カウンターパーティ・リスクの
増大、経済環境の悪化又はオペレーショナル・リスクの増大等がRWAの増大につながる可能性がある。当グ
ループは近年、戦略を実施することにより当グループの市場リスク及び信用リスクのRWAを大幅に縮小させ
たが、オペレーショナル・リスクRWA、特に訴訟、規制上及び類似の問題により生じるオペレーショナル・
リスクRWAの増加並びにRWAの算定に関する規制上の変更及びRWAの規制上の追加によりその減少の大部分が
相殺された。RWA算定における変更又は上記の追加補完RWA費用若しくは一定のエクスポージャーに適用され
る乗数が課されること及び他の方法の変更に加え、銀行に関する国際資本基準に対して近年採用された変更
の実施によって、当グループのRWAが大幅に増加する可能性がある。
レバレッジ比率は、バランスシート志向の指標であるため、バランスシート集約度の小さい業務に比べ、
融資等のバランスシート集約型の業務を制限し、当グループが他のリスクに基づく所要自己資本を満たした
としても、当グループの事業を抑制するものとなりかねない。当社のレバレッジ比率分母は、とりわけ、預
金及び貸付け等の顧客の活動水準、外国為替相場、金利及びその他市場の要因に左右される。これらの要因
の多くは、全体的又は部分的に当グループの制御が及ばないものである。
当グループは、収益機会若しくは競争機会を見極め若しくは捉えることができず、又は有能な従業員を雇用
し勧誘することができない可能性がある。
金融サービス業界の特徴には、激しい競争、絶え間ない革新、制限的で細かな(時に細分化された)規制
及び統合の進行が挙げられる。当グループは、地方市場レベル及び個々の事業レベルでの競争、並びにその
規模及び範囲において当グループに匹敵する世界的な金融機関からの競争に直面している。個々の市場に対
する参入障壁及び価格形成レベルでの障壁は、新たな手法により徐々になくなりつつある。当グループは、
このような動向が継続し、競争が激しくなると予想している。当グループが市場の動向及び展開を見極める
ことができず、適切な事業戦略を考案及び実施することによりかかる市場動向及び展開に対応せず、当グ
ループのデジタル・チャネル及びツール含む当グループの手法を十分に発展させ若しくは最新のものにせ
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ず、又は必要となる有能な人材を勧誘し若しくは雇用することができない場合、当グループの競争力及び市
場における地位は、徐々に侵食されるおそれがある。
当グループの従業員報酬の金額及び構成は当グループの業績のほかに競争的要素と規制上考慮すべき事項
の影響も受けている。
当グループは近年、規制当局及び株主を含む様々な利害関係者の要求に応えて、また当グループの職員の
利益と他の利害関係者の利益を更に一致させるために、株式報奨の平均繰延期間を引き延ばし、権利喪失規
定を拡大し、更に限定された範囲で、業績に連動した一定の報奨に対するクローバック条項を導入した。ま
た当グループは、グループ執行役員会(GEB)の構成員及び他の一定の従業員の固定報酬と変動報酬の割合
の上限を個別に導入した。
従業員報酬の金額及び構成に対する制約、繰延報酬の多さ、業務成績条件及び権利未確定報奨の喪失を引
き起こすその他の状況が、当グループの重要な従業員を雇用し勧誘する当グループの能力に悪影響を及ぼす
可能性がある。重要な従業員の喪失及び代わりの有能な従業員を勧誘できないことは、当グループが自らの
戦略を実行し、当グループの業務及び管理環境の改善を成功させる能力を深刻に損なう可能性があり、当グ
ループの業績に影響を与える可能性がある。スイス法では、株主が毎年、取締役会(BoD)及びGEBの報酬を
承認することが求められる。当グループの株主がGEB又はBoDに対する報酬を承認しなかった場合、経験豊か
な取締役及び上級役員をつなぎとめる当グループの能力に悪影響を及ぼすと考えられる。
当グループは、当グループの事業において発生し得る損失の回避又は制限のための自己のリスク管理・統制
プロセスに依拠している。
統制されたリスクを取ることは、金融サービス企業の事業の重要な一部である。リスクを取る活動による
損失には避けられないものもあるが、長期的に成功するためには、取るリスクと得られるリターンとのバラ
ンスを保たなければならない。従って、通常の市況における場合だけでなく、エクスポージャーの集中が深
刻な損失を生じさせる可能性のある、より極端なストレスのある状況においてリスクが生じる場合にも、自
己のリスクを精緻に見極め、評価し、管理し、統制しなければならない。
2007年から2009年の金融危機の間に見られた通り、当グループは、当グループのリスク測定及びシステム
では予想することのできない急激又は突発的な市場事由から発生する深刻な損失を常に回避できたわけでは
ない。当グループのリスク対策、集中の統制並びに相関性を有するエクスポージャーを見極めるために当グ
ループがリスクを統合する範囲は、金融市場が歴史的に深刻な低迷に直面した時に不適切であることが判明
した。その結果、当グループの債券トレーディング・ポジションは、特に2008年及び2009年において著しい
損失を計上することになった。当グループは、リスク管理・統制体制を大幅に変更及び強化し、当グループ
が取るリスクに関連して保有する資本を増加させた。しかしながら、当グループは、将来、例えば以下のよ
うな場合に、更なる損失を被る可能性がある。
- 自己のポートフォリオのリスク、特にリスク集中及び相関性あるリスクを完全に見極めていなかった場
合。
- 見極めていたリスクの評価、又は不利な動向に対する対応が、時機を失しているか、不適切、不十分又
は妥当でないことが明らかになった場合。
- 市場が、その速度、方向性、深刻さ又は相関関係という点において当グループの予期しない方向に動
き、ゆえに、結果的に生じた環境において当グループのリスク管理能力が悪影響を受けた場合。
- 当グループが第三者に対する信用エクスポージャーを有しているか又は第三者の証券を保有している場
合で、その第三者が、何らかの事由により深刻な影響を受け、当グループのリスク評価により示された
水準を超えるデフォルト及び減損が当グループに発生した場合。
- カウンターパーティから提供されている担保物又はその他の担保が、カウンターパーティの不履行時点
で、債務を補填するには不十分であることが明らかになった場合。
当グループは、大規模なスイスのモーゲージ・ポートフォリオ等、様々な国における不動産関連のエクス
ポージャーを有している。当グループは、このポートフォリオが極めて慎重に運用されていると考えている
が、それにもかかわらず、スイスの不動産市場が著しく悪化した場合に、当グループが損失を被る可能性が
ある。当グループはまた、主にコーポレート・センターでレガシー・リスク・ポジションを保有している。
多くの場合、当該リスク・ポジションは流動性を欠いており、価値が再び悪化する可能性がある。
当グループはまた、顧客のためにリスクを管理している。当グループが顧客のために保有する資産のパ
フォーマンスは、上記と同様の要因により悪影響を受ける可能性がある。顧客が損失を被った場合、又は顧
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客が当グループにおいて保有する資産のパフォーマンスが、顧客が投資パフォーマンスを評価するためのベ
ンチマークに追随しなかった場合、当グループは、手数料収入が減少し、投資資産が減少し、又は運用委託
を 解消される可能性がある。
戦略的なイニシアチブの一環として行われる株式投資及び当グループにより運用される投資信託の設定時
に行われる当初資金投資等の投資ポジションもまた、市場リスク要因の影響を受ける可能性がある。かかる
投資対象は、多くの場合、流動性を持たず、一般的に、通常のトレーディング期間よりも長い保有が意図さ
れ又は要求されるものである。かかるポジションの公正価値の下落は、当グループの収益にマイナスの影響
を及ぼすおそれがある。
風評リスク
当グループの評判は、当グループの成功にとって重要なものである。
当グループの評判は当グループの戦略プラン、事業及び将来性の成功に不可欠なものである。評判のダ
メージを覆すことは困難で、その改善には時間がかかる傾向にあり、測定が難しい。金融危機の間の非常に
大きな損失、当グループのクロスボーダーのプライベート・バンキング・サービスに関する調査、LIBOR関
連の問題及び外国為替に関する問題に係る犯罪解決並びにその他の問題は当グループの評判に深刻なダメー
ジを与えた。こうした事象による評判へのダメージは、当グループの資産受入れ事業全般にわたって顧客及
び顧客の資産が減少したことの大きな要因であると考えられる。評判を傷つける新たな事象が発生した場
合、当グループの経営実績及び財務状態、更に事業戦略目標及び財務目標の達成能力に重大な悪影響を与え
る可能性がある。
見積り及び評価リスク
当グループの財務成績は、予測及び評価の変更並びに会計基準の変更からマイナスの影響を受ける可能性が
ある。
当グループは、国際財務報告基準(IFRS)に従って当グループの連結財務諸表を作成している。当該会計
基準を適用する場合、連結財務諸表の作成時には不確実性の高い見積り及び予測に基づく判断を用いる必要
がある。これには、例として、金融商品の公正価値の測定、繰延税金資産の認識、のれんの減損評価並びに
訴訟、規制上の問題及び類似の問題を含む偶発事象に対する引当金の見積りが挙げられる。当該判断(その
基礎となる見積りや予測を含む。)は、それまでの経験、将来の予測及びその他の要因を含んでいるため、
現在の状況に基づき、引き続き関連性のあるものであるかを判断するために定期的に評価されている。別の
予測に基づくと、報告済みの業績が異なることとなる可能性がある。予測を変更した場合又は進展する市況
を反映するために必要な変更を行わなかった場合、予測の変更事由が発生した期間の財務諸表に重大な影響
が及ぶ可能性がある。偶発事象に対する引当金は、考えられる結果が広範囲にわたり、また、不確実性が大
きいと仮定して見積りを行わなければならない可能性がある。例えば、当グループのフランスでの法的手続
に関して考えられる結果は広範囲にわたるため、適切な引当金の評価に関連する不確実性が増大する。将来
の見積り及び予測が現在の見通しから外れた場合、当グループの財務成績にも悪影響が及ぶ可能性がある。
IFRS又はその解釈の変更によって、当グループの今後の報告済みの業績及び財務状況が、現在の予想と異
なるものとなったり、又は、会計基準を遡及適用することにより、過去の業績がこれまでに報告されたもの
と異なるものとなったりする可能性がある。かかる変更はまた、当グループの所要自己資本及び自己資本比
率に影響を及ぼす可能性がある。例えば、当グループは2018年1月1日に発効したIFRS第9号を採用してお
り、これにより当グループは、償却原価で計上される金融商品及びその他一定のポジションの会計処理の変
更を義務付けられており、信用損失を既発生損失に基づき記録するのではなく、貸出時点から予想信用損失
の純額を記録するよう義務付けられ、全般的に、認識されている貸倒引当金が増加することとなると予想さ
れる。更に、IFRS第9号のECLの規定により、ECLが信用サイクルにおける変動及び当グループのローン・
ポートフォリオの構成に応じて変化するため、信用損失費用がより大きく変動する可能性がある。この影響
は悪化する経済環境において更に顕著に現われる可能性がある。
UBS AGの財務成績、財務状況及び将来における債務の支払能力は、UBSスイスAG、UBSアメリカズ・ホール
ディングLLC、UBSヨーロッパSE及びその他の子会社から受領する調達資金、配当及びその他の分配金に影響
を受ける可能性があり、また、かかる調達資金、配当及びその他の分配金は、制限に服する可能性がある。
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UBS AGの将来における債務の支払能力は、UBSスイスAG及びその他の子会社から受領する調達資金、配当
及びその他の分配金(もしあれば)の水準に影響を受ける可能性がある。当該子会社がUBS AGに直接的又は
間 接的に融資又は配当を行う能力は、いくつかの要因(融資契約及び適用ある法律の要請による制限並びに
規制上、財務上又はその他の制限を含む。)に起因して制約を受ける可能性がある。特に、UBS AGの直接及
び間接の子会社(UBSスイスAG、UBSアメリカズ・ホールディングLLC及びUBSヨーロッパSEを含む。)は、配
当の支払いを制限する法令、当該子会社からUBS AGへの資金の流れを遮り若しくは抑制する権限を規制機関
に付与する法令、又はUBS AG若しくは当グループのその他の会社が当該子会社に対し行った融資若しくはそ
の他の投資を当該子会社が返済する能力に影響を及ぼす可能性がある法令に服している。例えば、米国CCAR
手続は、UBSの米国中間持株会社に対し、9四半期にわたる非常に厳しい仮定上の経済シナリオ下におい
て、同会社が最低自己資本基準を充足し続けられることを示すよう要求している。同会社が定量的資本要件
を満たすことができない場合、又は資本計画手続に対する連邦準備制度理事会の定性的評価が低い場合、
UBSの米国中間持株会社は、配当の支払や分配の実施を禁止されると予想される。この様な制限及び規制措
置は、UBS AGがその債務の履行のために必要とする資金の利用を妨げる可能性がある。また、子会社の清算
又は更生の際の財産分配に参加するUBS AGの権利は、当該子会社の債権者のあらゆる優先債権に服する。
更にUBS AGは、随時その一定の子会社の支払債務の一部について保証を行う可能性がある。これらの保証
により、UBS AGは、自らの債務の弁済に充てる流動性が必要となる時期に、子会社又はその債権者若しくは
取引先に対して多額の資金又は資産を提供することを求められる可能性がある。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2018年12月31日現在において判断したものであ
る。
UBS AG(連結)総損失吸収力及びレバレッジ比率情報
ゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの要件及び情報
UBSは、スイス連邦銀行法に基づくシステム上関連ある銀行(SRB)と考えられ、UBSグループAG及びUBS
AGは両者とも、連結ベースで、スイスSRBに適用あるバーゼルⅢの枠組みに基づく規制に服している。
UBS AG(連結)に適用あるスイスSRBの枠組み及び要件は、UBSグループAG(連結)に適用ある同枠組み及
び要件と一致する。
UBS AGは、単体ベースでゴーイングコンサーン・ベースの要件に服している。UBS AG(単体)についての
資本及びその他の規制情報は、www.ubs.com/investorsに掲載される「Holding company and significant
regulated subsidiaries and sub-groups」(英文)、並びにwww.ubs.com/investorsに掲載される「Pillar
3 disclosures」の2018年12月31日付第3の柱に関する報告(英文)に記載されている。
下記の表は、UBS AG(連結)に関する2018年12月31日現在のリスク加重資産(RWA)及びレバレッジ比率
分母(LRD)に基づく要件及び情報を記載している。
1
スイスSRBに基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの要件及び情報
2018年12月31日現在 移行規定を含むスイスSRB 2020年1月1日現在のスイスSRB
単位:百万米ドル、
別掲されている場合を除く RWA LRD RWA LRD
所要損失吸収力 % % % %
普通株式等Tier 1自己資本
9.75 25,620 2.90 26,229 10.29 27,039 3.50 31,656
内、最低自己資本 5.40 14,193 1.90 17,185 4.50 11,828 1.50 13,567
内、バッファー自己資本 4.06 10,671 1.00 9,045 5.50 14,456 2.00 18,089
内、カウンターシクリカルな
2
バッファー 0.29 755 0.29 755
最大その他Tier 1自己資本
3.40 8,937 1.10 9,949 4.30 11,302 1.50 13,567
内、高トリガーの損失吸収その他
Tier 1最低自己資本
2.60 6,834 1.10 9,949 3.50 9,199 1.50 13,567
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内、高トリガーの損失吸収その他
Tier 1バッファー自己資本
0.80 2,103 0.80 2,103
ゴーイングコンサーン・ベースの総自
3 3
己資本 13.15 34,556 4.00 36,178 14.59 38,341 5.00 45,223
ベース・ゴーンコンサーン・ベースの
損失吸収力(適用ある追加額及びリ
4 4 5 5
ベートを含む。) 7.48 19,650 2.52 22,792 12.01 31,572 4.20 37,987
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸
収力 7.48 19,650 2.52 22,792 12.01 31,572 4.20 37,987
総損失吸収力 20.62 54,206 6.52 58,971 26.60 69,913 9.20 83,210
適格損失吸収力
普通株式等Tier 1自己資本
13.17 34,608 3.83 34,608 13.17 34,608 3.83 34,608
高トリガーの損失吸収その他Tier 1自
6
己資本 5.26 13,813 1.53 13,813 2.97 7,805 0.86 7,805
内、高トリガーの損失吸収その他
Tier 1自己資本
2.97 7,805 0.86 7,805 2.97 7,805 0.86 7,805
内、低トリガーの損失吸収Tier 2自
己資本 2.29 6,008 0.66 6,008
ゴーイングコンサーン・ベースの総自
己資本 18.42 48,421 5.35 48,421 16.14 42,413 4.69 42,413
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収
力 12.87 33,830 3.74 33,830 15.16 39,837 4.40 39,837
内、TLAC適格債務 11.41 29,988 3.32 29,988 11.41 29,988 3.32 29,988
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸
収力 12.87 33,830 3.74 33,830 15.16 39,837 4.40 39,837
総損失吸収力 31.29 82,251 9.09 82,251 31.29 82,251 9.09 82,251
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 262,840 262,840
レバレッジ比率分母 904,458 904,458
1
この表には、FINMAが付与したゴーンコンサーン・ベースの要件の最大リベートの40%に等しいリベートが含まれており、かかるリベー
トは2020年1月1日までに段階的に組み込まれる。この表には、ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすために低トリガーの損失吸収
2
Tier 2資本性商品を利用するためのリベートは含まれない。 ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比率要件には、0.29%のカウン
3
ターシクリカルなバッファー要件が含まれる。 適用ある追加額が、リスク加重資産(RWA)について1.44%及びレバレッジ比率分母
4
(LRD)について0.5%含まれる。 RWAについて0.72%及びLRDについて0.25%の適用ある追加額並びにRWAについて1.42%及びLRDについて
5
0.48%のリベートが含まれる。 RWAについて1.44%及びLRDについて0.5%の適用ある追加額並びにRWAについて2.29%及びLRDについて
6
0.8%のリベートが含まれる。 未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本性証券が含まれ、当該証券は、ゴーイングコンサーン・ベース
の要件を満たす目的で、スイスSRBの枠組みの移行規則に基づき、(ⅰ)満期償還日若しくは最初の早期償還日、又は(ⅱ)2019年12月31
日のいずれか早い方の日まで使用することができ、2019年12月31日より後はゴーンコンサーン・ベースの要件を満たす目的で、使用する
ことができる。未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割償還に服し、償還される金
額はゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力としての適格を有する。ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券
は、適格が終了する年に適用された50%のヘアカットを伴い、満期償還日の1年前まで適格を有する。
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スイスSRB基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの情報
移行規定を含む 2020年1月1日
スイスSRB 現在のスイスSRB
2017年12月31日 2017年12月31日
2018年12月31日 2018年12月31日
1
現在
単位:百万米ドル、別載されている場合を除く 現在 現在 現在
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本
2 2
普通株式等Tier 1自己資本
34,608 36,974 34,608 34,100
3
高トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本
7,805 2,432 7,805 3,761
損失吸収その他Tier 1総自己資本
7,805 2,432 7,805 3,761
Tier 1総自己資本
42,413 39,406 42,413 37,861
4
低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
6,008 8,077
Tier 2総自己資本
6,008 8,077
ゴーイングコンサーン・ベースの総自己資本 48,421 47,483 42,413 37,861
5
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力
6
低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本
2,378 1,213 2,378 1,213
Tier 1総自己資本
2,378 1,213 2,378 1,213
4
低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
771 388 6,779 8,466
7
非バーゼルⅢ適格Tier 2自己資本
693 707 693 707
Tier 2総自己資本
1,464 1,095 7,471 9,172
TLAC適格債務 29,988 27,937 29,988 27,937
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力 33,830 30,245 39,837 38,323
総損失吸収力
総損失吸収力 82,251 77,729 82,251 76,184
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 262,840 243,598 262,840 242,725
レバレッジ比率分母 904,458 911,670 904,458 910,133
自己資本及び損失吸収力比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比率 18.4 19.5 16.1 15.6
内、普通株式等Tier 1自己資本比率 13.2 15.2 13.2 14.0
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力比率 12.9 12.4 15.2 15.8
総損失吸収力比率 31.3 31.9 31.3 31.4
レバレッジ比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率 5.4 5.2 4.7 4.2
3.83 4.06 3. 83 3.75
内、普通株式等Tier 1レバレッジ比率
ゴーンコンサーン・ベースのレバレッジ比率 3.7 3.3 4.4 4.2
総損失吸収力レバレッジ比率 9.1 8.5 9.1 8.4
1
2017年12月31日現在、CET1自己資本の計算のために適用されるフェーズ・イン・ベースの控除率は80%であった。この影響は、その全て
が2018年1月1日から段階的に組み込まれている。RWA及びLRDに適用される調整項目もまた、その全てが2018年1月1日から段階的に組
2
み込まれている。 IFRS第9号の予想信用損失による影響は、FINMAの指針に沿ってフェーズ・イン・ベースであると考えられている。更
に詳細な情報は、www.ubs.com/investorsに掲載されている「Pillar 3 disclosures」の2018年12月31日付第3の柱に関する報告の
3
「Introduction and basis for preparation」(英文)を参照されたい。 高トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本37億6,100万米ド
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ルは、のれんに関する必要控除額13億2,900万米ドルにより一部相殺された。 スイスSRBの枠組みの移行規則に基づき、未償還の低トリ
ガーの損失吸収Tier 2資本性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割償還に服し、償還される金額はゴーンコンサーン・ベース
5
の 総損失吸収力としての適格を有する。 ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券は、適格が終了する年に適用され
6
た50%のヘアカットを伴い、満期償還日の1年前まで適格を有する。 関連ある資本性証券は、新しいスイスSRBの枠組みが実施された後
7
に発行されたため、ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有する。 非バーゼルⅢ適格Tier 2資本性証券は、ゴーンコン
サーン・ベースの証券としての適格を有する。
2020年1月1日以降適用になるスイスSRB規則に基づくUBSグループAG対UBS AG連結損失吸収力及びレバレッ
ジ比率情報
2018年12月31日現在、UBS AG(連結)のゴーイングコンサーン・ベースの自己資本は、UBSグループAG
(連結)の当該数値を39億米ドル下回った。これは、高トリガー及び低トリガーのその他Tier 1(AT1)自
己資本が44億米ドル下回ったものの、普通株式等Tier 1(CET1)自己資本が5億米ドル上回ったことにより
一部相殺されたことを反映している。ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力は、低トリガーの損失吸収
AT1自己資本に起因して24億米ドル上回った。
CET1自己資本における5億米ドルの差異は、主に、UBSグループAGレベルで反映される、報酬関連資本の
構成要素、関連する規制上の資本計上、負債及び資本商品に起因していた。
ゴーイングコンサーン・ベースの損失吸収AT1自己資本における39億米ドルの差異は、UBSグループAGレベ
ルで発行された損失吸収AT1自己資本証券(2014年から2018年の業績年度について適格従業員に付与された
高トリガーの損失吸収繰延条件付資本制度(DCCP)報奨20億米ドルを含む。)に関連している。
ゴーンコンサーン・ベースの低トリガーのAT1自己資本における24億米ドルの差異は、新しいスイスSRBの
枠組みが実施された後にUBS AGが発行した2つの資本性証券に関連しているため、ゴーイングコンサーン・
ベースの自己資本の中では認識されていないが、ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有
する。UBSグループAGによる低トリガーのAT1自己資本の発行は、全て、新しいスイスSRBの枠組みの実施前
に行われたため、ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本としての適格を有する。
従業員報酬制度に関連したUBSグループAG(連結)とUBS AG(連結)の自己資本の差異は、UBS AG及びそ
の子会社の従業員が対象となるサービスを遂行し、当該サービスが結果的にUBS AG及びその子会社の勘定に
計上される限度において、逆になる。かかる逆転は、通常、従業員報酬制度のサービス期間に亘り発生す
る。
レバレッジ比率の枠組みは、UBS AG(連結)とUBSグループAG(連結)で一致している。2018年12月31日
現在、UBSグループAG(連結)に関するゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率は、UBSグループAG
(連結)よりも0.4パーセント・ポイント下回った。これは主に、UBS AG(連結)のゴーイングコンサー
ン・ベースの自己資本が39億米ドル下回ったことによる。
スイスSRBに基づく普通株式等Tier 1自己資本に対するIFRS資本の調整(UBSグループAG(連結)対UBS AG(連
結))
2018年12月31日現在
UBS AG
UBSグループAG
単位:百万米ドル (連結) (連結) 差異
IFRS資本合計 53,103 52,432 671
優先証券保有者及び非支配株主持分に帰属する持分 (176) (176) 1
確定給付制度 0 0 0
税務上の繰越欠損金として認識された繰延税金資産 (6,107) (6,107) 0
一時差異に関する繰延税金資産、基準値超過分 (586) (506) (80)
のれん、税引後 (6,514) (6,514) 0
無形資産、税引後 (251) (251) 0
報酬関連構成要素(当期純利益に認識されない分) (1,652) (1,652)
引当金を除く先進的内部格付ポートフォリオに係る予想損失 (368) (367) (1)
キャッシュ・フロー・ヘッジからの未実現(利益)/損失、税引後 (109) (109) 0
公正価値での測定を指定された金融負債に係る未実現の自己の信用、税引後、及び再調達価額 (397) (397) 0
OCIを通じて公正価値で測定される負債性商品に関する未実現利益、税引後 (4) (4) 0
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プルーデンス評価調整 (120) (120) 0
株主に対する提案済配当金計上 (2,648) (3,250) 602
その他 (52) (22) (30)
普通株式等Tier 1自己資本合計
34,119 34,608 (489)
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スイスSRBに基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの情報(UBSグループAG(連結)対UBS
AG(連結))
2018年12月31日現在 移行規定を含むスイスSRB 2020年1月1日現在のスイスSRB
UBS AG UBS AG
単位:百万米ドル、 UBSグループAG UBSグループAG
別載されている場合を除く (連結) (連結) 差異 (連結) (連結) 差異
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本
1
(489)
普通株式等Tier 1自己資本
34,119 34,608 (489) 34,119 34,608
高トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本
9,790 7,805 1,985 9,790 7,805 1,985
低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本 2,369
2,369 2,369 2,369
損失吸収その他Tier 1総自己資本 4,354
12,160 7,805 4,354 12,160 7,805
Tier 1総自己資本 3,865
46,279 42,413 3,865 46,279 42,413
高トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
0 0
2
低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
6,008 6,008 0
Tier 2総自己資本
6,008 6,008 0
ゴーイングコンサーン・ベースの総自己資本 52,287 48,421 3,865 46,279 42,413 3,865
3
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力
4 4
低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本
2,378 (2,378) 2,378 (2,378)
Tier 1総自己資本 (2,378)
2,378 (2,378) 2,378
2
低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
771 771 0 6,779 6,779 0
非バーゼルⅢ適格Tier 2自己資本 0
693 693 0 693 693
Tier 2総自己資本 0
1,464 1,464 0 7,471 7,471
TLAC適格債務 29,988 29,988 0 29,988 29,988 0
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力 31,452 33,830 (2,378) 37,460 39,837 (2,378)
総損失吸収力
総損失吸収力 83,738 82,251 1,488 83,738 82,251 1,488
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 263,747 262,840 907 263,747 262,840 907
レバレッジ比率分母 904,598 904,458 140 904,598 904,458 140
自己資本及び損失吸収力比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比率 19.8 18.4 1.4 17.5 16.1 1.4
12.9 13.2 (0.2) 12.9 13.2 (0.2)
内、普通株式等Tier 1自己資本比率
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力比率 11.9 12.9 (0.9) 14.2 15.2 (1.0)
総損失吸収力比率 31.7 31.3 0.5 31.7 31.3 0.5
レバレッジ比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率 5.8 5.4 0.4 5.1 4.7 0.4
3.8 3.8 (0.1) 3.8 3.8 (0.1)
内、普通株式等Tier 1レバレッジ比率
ゴーンコンサーン・ベースのレバレッジ比率 3.5 3.7 (0.3) 4.1 4.4 (0.3)
総損失吸収力レバレッジ比率 9.3 9.1 0.2 9.3 9.1 0.2
1
IFRS第9号の予想信用損失による影響は、FINMAの指針に沿ってフェーズ・イン・ベースであると考えられている。更に詳細な情報は、
www.ubs.com/investorsに掲載されている「Pillar 3 disclosures」の2018年12月31日付第3の柱に関する報告の「Introduction and
2
basis for preparation」(英文)を参照されたい。 スイスSRBの枠組みの移行規則に基づき、未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本
性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割償還に服し、償還される金額はゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力としての適
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格を有する。 ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券は、適格が終了する年に適用された50%のヘアカットを伴
4
い、満期償還日の1年前まで適格を有する。 関連ある資本性証券は、新しいスイスSRBの枠組みが実施された後に発行されたため、ゴー
ン コンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有する。
UBS AGのセグメント報告に関する情報については、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連
結財務書類に対する注記」の注記2を参照のこと。また、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」の「参
考情報」に含まれる「UBS AG(連結)主要な数値」の表を参照されたい。
以下に記載される情報は、別途記載がない限り、UBS AG(連結ベース)の情報ではなく、UBSグループAG
(連結ベース)の情報であり、専ら参考情報として記載している。UBS AGの財務情報(連結ベース)はUBS
グループAG(連結ベース)の財務情報と大きな差異はないことに留意されたい。UBSグループAG(連結ベー
ス)とUBS AG(連結ベース)との間における、主要な財務情報の差異については、本書「第6 経理の状
況 1 財務書類」の「参考情報」に含まれる「UBSグループAG(連結)とUBS AG(連結)の比較」を参照
されたい。
UBSグループの業績
2017年度と2018年度の比較
業績
当グループの株主に帰属する当期純利益は、2018年度において45億1,600万米ドルであった。これには純税
金費用14億6,800万米ドルが含まれていた。2017年度における株主に帰属する当期純利益は9億6,900万米ド
ルであったが、これには純税金費用43億500万米ドルが含まれており、かかる純税金費用には、2017年度第4
四半期の米国における税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)(TCJA)制定に伴い米国連邦法人税率が引き下
げられたことによる、繰延税金資産の評価減純額29億3,900万米ドルが含まれている。
2018年度の税引前利益は6億4,000万米ドル(12%)増加して59億9,100万米ドルとなったが、これは主に
営業収益の増加を反映したものであった。営業収益は5億9,100万米ドル(2%)増加したが、これは受取報
酬及び手数料純額の3億7,300万米ドルの増加と、受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からの
その他の純収益の2億8,700万米ドルの増加を反映したものである。営業費用は、主に有形固定資産、ソフト
ウェア及び無形資産の減価償却費、償却費及び減損の費用の1億6,900万米ドルの増加が、一般管理費の1億
5,200万米ドルの減少により相殺されたため、ほぼ横ばいとなった。
当グループは、国際財務報告基準(IFRS)に基づく業績報告に加え、経営陣が当グループ事業の基礎的な
業績を表すものではないと判断する項目を除外した調整後の業績を報告している。かかる調整後の業績は、
米国証券取引委員会(SEC)規則により定義される非GAAPの金融基準に基づくものである。かかる調整には、
2017年度末に完了した当グループの21億スイス・フランのコスト削減プログラム(以下「レガシー・コス
ト・プログラム」という。)に関連するリストラクチャリング費用が含まれている。当グループは、かかる
レガシー・コスト・プログラムに関連するリストラクチャリング費用、及び新たなリストラクチャリングの
イニシアチブに関連する費用として、5億6,100万米ドルを計上しており、2019年通年には、これらの金額が
約2億米ドルになると予想している。
2018年度の調整後の業績を決定するにあたり、当グループは、関連会社投資に関連する利得4億6,000万米
ドル、不動産売却益3,100万米ドル、子会社及び事業の売却益2,500万米ドル、UBSセキュリティーズ・チャイ
ナの株式保有の増加に関連する再測定による損失2億7,000万米ドル、スイスの年金制度の変更に関連する利
得2億4,100万米ドル、並びにリストラクチャリング費用の純額5億6,100万米ドルを除外した。2017年度に
ついては、当グループは、子会社及び事業の売却益1億5,300万米ドル、OCIを通じて公正価値で測定される
金融資産売却益1億3,700万米ドル、為替差損純額1,600万米ドル、2012年及び2013年の業績年度についての
繰延条件付資本制度(DCCP)の報奨の条件変更に関連する費用2,600万米ドル、並びにリストラクチャリング
費用純額11億9,200万米ドルを除外した。
かかる調整後ベースで、税引前利益は2億3,200万米ドル(4%)減少して60億6,300万米ドルとなった。
これは調整後の営業費用が8億4,900万米ドル増加したことを反映しているが、調整後の営業収益の6億
1,700万米ドルの増加により一部相殺されている。
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営業収益
営業収益合計は、前年度の296億2,200万米ドルに対して、302億1,300万米ドルとなった。調整後ベース
で、営業収益合計は、6億1,700万米ドル(2%)増加して299億6,600万米ドルとなった。これは主に、受取
報酬及び手数料純額の3億7,300万米ドルの増加、並びに受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動
からのその他の純収益の2億8,700万米ドルの増加によるものである。
受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純収益
受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純収益の合計は、2億8,700万米ドル増
加して、120億800万米ドルとなった。これは主に、インベストメント・バンク及びグローバル・ウェルス・
マネジメントにおける増加によるものであるが、コーポレート・センターにおける減少により一部相殺され
ている。
グローバル・ウェルス・マネジメント
グローバル・ウェルス・マネジメント事業における受取利息純額は、2億700万米ドル増加して43億1,000
万米ドルとなった。これは、平均預金マージンの増加及び貸出金残高の増加を反映したものであったが、
2017年度末の金利リスクヘッジ対象ポートフォリオの期間満了、当グループの構造的リスク管理活動からの
純収益の減少、及び総損失吸収力に寄与する長期債務の資金調達費用の増加により、一部相殺されている。
外国為替及びその他の仲介業務からの取引ベース収益は、1億200万米ドル減少して9億4,400万米ドルと
なったが、これは主に顧客活動の鈍化によるものであった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
パーソナル&コーポレート・バンキングにおける受取利息純額は、2,100万米ドル減少して21億600万米ド
ルとなった。これは主に、2017年度末の金利リスクヘッジ対象ポートフォリオの期間満了、並びに総損失吸
収力に寄与する長期債務の資金調達費用の増加、及びバンキング勘定受取利息の減少に関連するものであっ
たが、預金からの収益の増加により一部相殺されている。
外国為替及びその他の仲介業務からの取引ベース収益は、2,500万米ドル増加して4億800万米ドルとなっ
たが、これは主に、外国為替取引からの純収益の増加によるものであった。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクにおける受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純
収益は、4億4,900万米ドル増加して48億1,200万米ドルとなった。これは、主に顧客活動水準の上昇と大半
の商品の取引実績の改善により、外国為替、金利及びクレジット業務を中心にインベスター・クライアン
ト・サービスが4億8,000万米ドル増加したことによるものである。2018年度には、UBS金利連動社債を評価
するのに使用した資金調達カーブの可観測性の向上及び評価の見直しに起因して、以前繰り延べられたDay1
利益で主に構成される約1億米ドルの純収益が認識されたことが含まれていた。また、顧客活動の増加によ
り、株式業務(主に金融サービス及びデリバティブ)において増加があった。コーポレート・クライアン
ト・ソリューションにおける受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純収益は、
10億5,600万米ドルと概ね安定していた。
コーポレート・センター
コーポレート・センターにおける受取利息純額及び金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純収
益は、2億6,300万米ドル減少したが、これは主に、グループALMの無担保資金調達ポートフォリオの純支払
利息の増加による、コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(グループALM)における3億9,200
万米ドルの減少を反映したものである。加えて、コーポレート・センター-サービスにおける1億1,600万米
ドルの減少は、主にコーポレート・センター-サービスの貸借対照表上の資産に関連する資金調達費用の増
加によるものである。これらの減少は、主に、2017年に償却原価で測定され、IFRS第9号の適用に伴い2018
年1月1日以降損益を通じて公正価値で測定されるようになったオークション・レート証券の評価益が2018
年度に含まれていたことによる、コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにお
ける2億4,500万米ドルの増加により一部相殺されている。
信用損失費用/戻入
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当グループでは2018年1月1日から発効したIFRS第9号「金融商品」を適用した。IFRS第9号では、将来
を考慮した予想信用損失(ECL)のアプローチを導入している。このアプローチは、IAS第39号「金融商品:
認 識及び測定」の金融商品を対象とした発生損失減損アプローチ並びにIAS第37号「引当金、偶発債務及び偶
発資産」の金融保証及びローン・コミットメントを対象とした損失引当金アプローチよりも早期にECL減損ア
プローチに基づき信用損失を認識するよう意図されている。
2018年度の正味信用損失費用の合計は1億1,800万米ドルであった。これは、主にパーソナル&コーポレー
ト・バンキング及び(それより程度は下回るものの)インベストメント・バンクを中心とした信用減損(ス
テージ3)ポジションに関連する純損失9,500万米ドル、並びにステージ1及びステージ2ポジションに関連
する予想信用損失純額2,300万米ドルを反映したものである。
受取報酬及び手数料純額
受取報酬及び手数料純額は、前年度の175億2,200万米ドルに対して178億9,500万米ドルとなった。
投資信託報酬並びにポートフォリオの運用及び関連業務報酬は、グローバル・ウェルス・マネジメントを
中心に、7億2,200万米ドル増加して127億1,000万米ドルとなった。その大部分は、当期の平均投資資産の増
加及び運用委託契約の浸透率の増加によるものである。
M&A及びコーポレート・ファイナンス報酬は7,000万米ドル増加し、7億6,800万米ドルとなったが、これは
主にプライベート取引及びM&A取引の両者による収益の増加によるインベストメント・バンクにおける増加を
反映したものである。
その他の支払報酬及び手数料は、アセット・マネジメントを中心に、2億2,000万米ドル増加して13億
8,700万米ドルとなった。これは主に、2017年10月にアセット・マネジメントのファンド管理事業を売却する
前には営業費用として報告されていた金額を、ファンド管理費用として計上したことによるものである。
引受報酬は、1億9,200万米ドル減少して8億1,100万米ドルとなった。これは主に、インベストメント・
バンクにおける株式引受収益の減少を反映したものである。
その他の収益
その他の収益は、前年度の5億1,100万米ドルに対して、4億2,700万米ドルとなった。前述した調整項目
(関連会社投資に関連する収益、子会社及び事業の売却益、OCIを通じて公正価値で測定される金融資産の売
却益、不動産売却益、UBSセキュリティーズ・チャイナに関連する再測定による損失、並びに為替差損純額)
を除くと、調整後のその他の収益は5,600万米ドル減少した。この減少は主に、2017年度においては調整項目
として取り扱われていなかった、OCIを通じて公正価値で測定される金融資産売却益が増加したことによるも
のである。
営業費用
営業費用合計は、242億2,200万米ドルとほぼ横ばいとなった。リストラクチャリング費用純額(2017年度
に11億9,200万米ドルであったのに対して5億6,100万米ドル)、スイスの年金制度変更に関連する2018年度
の2億4,100万米ドルの利得、並びに2012年及び2013年の業績年度についてのDCCPの報奨の条件変更に関連す
るインベストメント・バンクにおける費用(2017年度に2,600万米ドル)を除くと、調整後の営業費用合計
は、8億4,900万米ドル(4%)増加して239億300万米ドルとなった。
人件費
人件費は、6,700万米ドル減少して161億3,200万米ドルとなった。これは、リストラクチャリング費用純額
の2億5,900万米ドルの減少及びスイスの年金制度変更に関連する2018年度の2億4,100万米ドルの利得を主
に反映しているが、支払給与の増加により大幅に相殺されている。調整後ベースで、人件費は4億5,900万米
ドルの増加となった。
調整後の支払給与は、コーポレート・センター-サービスを中心に、4億7,200万米ドル増加して62億
7,300万米ドルとなったが、これは主に、特定の活動及び人員を第三者供給業者から当グループのビジネス・
ソリューションズ・センターに継続して内部委託したことによるものであった。こうした給与の増加は、一
般管理費の低下によって一部相殺された。また、グローバル・ウェルス・マネジメントにおいても支払給与
が増加した。
調整後の変動報酬費用合計は、前年度の報奨に関する費用の1億1,200万米ドルの減少を反映して、7,500
万米ドル減少したが、報奨に関する費用が3,800万米ドル増加したことにより一部相殺されている。
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ファイナンシャル・アドバイザー変動報酬は40億5,400万米ドルと概ね安定していた。これは、採用した
ファイナンシャル・アドバイザーに対する報酬コミットメントの費用が減少したことを反映しているが、報
酬 の対象となる収益の増加による費用の増加によって、ほぼ相殺されている。
調整後のその他の人件費は、主に、給与関連のアドオン、採用及び請負業者の費用の増加により、7,200万
米ドル増加したが、年金及びその他の退職後給付制度に関する費用の減少により一部相殺された。
一般管理費
一般管理費は、1億5,200万米ドル減少して67億9,700万米ドルとなった。これは主に、リストラクチャリ
ング費用純額の4億1,500万米ドルの減少によるものであるが、訴訟、規制上及び類似の問題の費用純額の2
億2,300万米ドルの増加により一部相殺されている。2018年度のイギリス及びドイツの銀行税の純費用は
5,800万米ドルであり、これは前年度関連の繰入額4,500万米ドルを含んでいる。2017年度、イギリスとドイ
ツの銀行税の純費用は2,000万米ドルであり、これは前年度関連の繰入額8,500万米ドルを含んでいる。
調整後ベースで、一般管理費は、主に、前述した訴訟、規制上及び類似の問題の費用純額の増加、並びに
IT及びその他の機器の使用料及び維持管理費の1億4,700万米ドルの増加により、2億6,300万米ドル増加し
た。これは、専門家報酬の6,600万米ドルの減少並びにマーケティング及び広報費用5,200万米ドルの減少に
よって一部相殺されている。
当グループは、本業界では訴訟、規制上及び類似の事項に関連する費用が近い将来においても引き続き増
加すると考えられる状況での経営が続き、当グループは今後も多数の重要な請求及び規制事項の対象となる
と考えている。当該事項の結果、解決する時期、及び解決することにより当グループの将来の事業、財務成
績又は財政状態が受ける潜在的な影響を予測するのは極めて困難である。
減価償却費、償却費及び減損
有形固定資産、ソフトウェア及び無形資産の減価償却費、償却費及び減損は、前年度の11億2,400万米ドル
に対し、12億9,300万米ドルとなった。これは主に、過去12ヶ月間に業務に投入された新開発のソフトウェア
による、資産計上された自己創設ソフトウェアの費用増加、及び減損コストの増加によるものである。
調整後ベースで、有形固定資産、ソフトウェア及び無形資産の減価償却費、償却費及び減損は、主に前述
の資産計上された自己創設ソフトウェアの費用増加により、1億2,600万米ドル増加した。
税金
当グループは法人所得税費用として、2017年度の43億500万米ドルに対して、2018年度においては14億
6,800万米ドルを計上した。
2018年の法人所得税費用は、UBSスイスAG及び他の法人の課税所得に主に関連する、8億8,400万米ドルの
当期税金費用を反映している。また、8億5,900万米ドルの繰延税金費用純額が含まれており、これは主に、
当期の所得との相殺を反映するための、税務上の繰越欠損金及び控除可能な一時差異に関連して過去に認識
された繰延税金資産(DTA)の償却に主に関連していた。
また、2017年度末の米国における法人税制改革、及び、当グループの7年間の収益予想期間の終了から当
グループの米国の税務上の繰越欠損金の満了までの期間の短縮を踏まえ、当グループは、当グループの米国
DTAの再測定の手法について見直しを行った。この結果、当年度中に2億7,500万米ドルの税金便益純額が計
上された。その内訳は以下のとおりである。
- 当グループの米国中間持株会社(US IHC)であるUBSアメリカズ・ホールディングLLCに対してUBS AGが行っ
た投資に関連する、16億1,700万米ドルのスイスの一時差異によるDTAの償却。この償却は、米国における
将来の利益のかなりの部分が本国へ送金されると予想されることから、米国中間持株会社に対するUBS AG
の投資に関する税務上と会計上の一時差異が、近い将来に解消されるとはもはや予想されないことから発
生した。
- DTAの増加純額は11億8,000万米ドルで、これは2つの関連項目の合計である。当グループは、2018年度第
4四半期に実施された税制選択の結果、最長39年間にわたって償却される過去の一定の不動産費用を米国
税務上資産計上するために、新たな米国一時差異DTA(21億3,400万米ドル)を計上した。また、かかる税
制選択の結果、これを選択しなければ繰越欠損金を利用することができたであろう将来の予想課税所得
が、資産計上された不動産費用償却額の将来の見積りによって減少したため、計上された米国の欠損金に
係るDTAは9億5,400万米ドル減少している。
- 不動産の資産計上を選択したことによる、米国の州及び地方の当期税金費用1億6,000万米ドル。
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- UBSアメリカズ・インクにおいて計上された米国のDTAの13億6,700万米ドルの増加。これは、米国の欠損
金に係るDTAについての7年間の利益予想期間制限の撤廃、及びUBS AGによるUBSアメリカズ・インクの一
部 の黒字子会社の米国内の保有株式の譲渡を反映している。
- 主に前述の保有株式の譲渡に関連する、UBS AGの計上された米国のDTAの4億9,500万米ドルの減少。
2017年度の税金費用43億500万米ドルには、繰延税金費用34億1,500万米ドルが含まれているが、これは主
に、2017年度第4四半期に制定された米国税制改革法に含まれる連邦法人税率引き下げによるDTAの評価減純
額に関連する。また、UBSスイスAG及びその他の法人の課税所得に関連する当期税金費用8億9,000万米ドル
も含まれている。
UBSアメリカズ・インクにおける欠損金に係るDTAは、2019年1月1日から償却が開始される。2019年の通
期税率は約25%、うち14%が当期税金費用関連である。
株主に帰属する包括利益合計
2018年度の株主に帰属する包括利益合計は、当期純利益45億1,600万米ドルを反映して、42億2,500万米ド
ルとなったが、マイナス2億9,000万米ドル(税引後)のその他の包括利益(OCI)に一部相殺されている。
2018年度の為替OCIはマイナス5億4,100万米ドルであったが、これは主に、米ドルに対してスイス・フラ
ン、ユーロ及び英ポンド安となったことによるものであった。2017年度の為替OCIは15億6,400万米ドルで
あった。
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連するOCIは、主に関連する長期金利の上昇によるヘッジ手段のデリバ
ティブに対する未実現利得純額の減少を反映し、マイナス2億6,900万米ドルとなった。2017年度のキャッ
シュ・フロー・ヘッジに関連するOCIは、マイナス6億3,500万米ドルであった。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産に付随するOCIは、前年度にマイナス9,100万米ドルであったの
に対し、2018年度にはマイナス4,500万米ドルとなったが、これは2018年度の関連する米ドル長期金利の上昇
に伴う未実現損失純額を反映したものであった。
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用に関連するOCIは、主に信用スプレッドの拡大を
反映して、5億900万米ドルとなった。2017年度の公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用
に関連するOCIは、信用スプレッドの縮小を反映して、マイナス3億1,700万米ドルであった。
確定給付制度のOCIは、前年度に2億9,600万米ドルであったのに対し、5,600万米ドルとなった。スイスの
確定給付制度に関する税引前OCIの合計はマイナス3億5,200万米ドルであった。これは、確定給付債務
(DBO)の再評価による純利得2億4,200万米ドルを、制度資産からのマイナスの利益による損失5億2,300万
米ドル及びIFRSの資産計上額の天井効果の増加に関連する損失7,100万米ドルが上回ったことを反映したもの
である。DBOの再評価に関連する純利得2億4,200万米ドルは、主に適用割引率の増加による利得7億7,600万
米ドルによるものであるが、経験損失3億9,700万米ドル(事前の保険統計上の仮定と実際の数値との差から
生じる影響を反映している。)及び退職貯蓄に対する給付利率の上昇による損失1億2,400万米ドルにより一
部相殺されている。
英国の確定給付制度に関する税引前OCIの合計は1億3,200万米ドルであった。これは、適用される割引率
の増加による2億2,000万ドルの利得を主因とする、DBOの再評価からのOCI利益2億6,900万米ドルを主に反
映したものであったが、制度資産からのマイナスの利益によるOCI損失1億3,600万米ドルにより一部相殺さ
れている。
税引前OCI損失の総額は2億2,000万米ドルであったが、2億7,600万米ドルの税金便益純額はこれを上回る
ものであった。これは主に、当グループが米国のDTAの再評価に用いる手法及び繰延税金の認識の時期を見直
した結果、2018年度第4四半期に米国で一時差異のDTAを認識したことによるものである。
金利動向感応度
2018年12月31日現在、当グループは、金利曲線が+100ベーシス・ポイント平行移動することにより、グ
ローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・バンキングにおいて年間の受取利息純
額が合計で約7億米ドル増加すると見積もっている。この増加分のうち、約3億米ドル及び2億米ドルが、
それぞれ米ドル及びユーロの金利の変動によるものとされる。
このような金利曲線の移動が株主資本に即時に及ぼす影響は、OCIで認識される約20億米ドルの減少とな
り、そのうち、約15億米ドルが米ドル金利の変動によるものとされる。キャッシュ・フロー・ヘッジによる
OCIは資本に認識されず、OCIを通じて公正価値で測定される負債性商品からの影響は、年金基金資産及び負
債からのプラスの影響によって相殺されるため、規制資本に対する即時の影響は重大ではない。
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前述した見積りは、全通貨で同様であり、かつ、当グループのバンキング勘定及びOCIを通じて公正価値
で測定される金融資産に適用されるインプライド・フォワード・レートに関連する、金利の即時上昇の仮定
シ ナリオに基づいている。上記の見積りは、更に、貸借対照表の規模及び構造に変更がないこと、外国為替
レートが一定であること、並びに経営陣が特段の措置を行わないことを前提としている。
非支配株主持分に帰属する純利益
非支配株主持分に帰属する純利益は、前年度の7,700万米ドルに対して、2018年度には700万米ドルとなっ
た。これは主に、バーゼルⅢ不適格の複合Tier 1資本6億ユーロが、2017年度第4四半期に償還されたこと
による。
当グループは現在、2019年度の非支配株主持分に帰属する純利益を、1,000万米ドル未満と予測している。
主要な数値
有形資本利益率
有形資本利益率(RoTE)は、前年度に2.2%であったのに対し、2018年度では10.0%となったが、これは主
に、2017年度第4四半期の数値に、米国におけるTCJAの制定に伴い米国連邦法人税率が引き下げられたこと
による、DTAの評価減純額29億3,900万米ドルが含まれていたことによるものであった。繰延税金費用/便益
及びDTAを除いた調整後RoTEは、前年度の13.7%から12.9%となり、当グループの2018年度の目標である約
15%を下回った。
普通株式等Tier 1(CET1)自己資本利益率
CET1自己資本利益率(RoCET1)は、前年度の3.0%に対して13.1%となったが、これは主に、2017年度第4
四半期に前述したDTAの評価減純額が含まれていたことによるものである。この株主に帰属する当期純利益か
らのDTAの評価減純額を除くと、2017年度のRoCET1は12.0%であった。
費用対収益比率
2018年度の費用対収益比率は、前年度の81.6%に対して79.9%となった。調整後ベースで、費用対収益比
率は前年度の78.2%に対して79.5%であり、当グループの今期の目標である75%未満を上回った。
普通株式等Tier 1自己資本比率/リスク加重資産
当グループのCET1自己資本比率は、当グループの資本に関する指針に沿って、2017年12月31日から0.8%下
落して12.9%となったが、これはCET1自己資本の6億米ドルの増加と、リスク加重資産(RWA)の201億米ド
ルの増加を反映している。
RWAは、201億米ドル増加して、2018年12月31日現在2,637億米ドルとなった。これは主に、方法及び方針の
変更並びにモデルの更新による191億米ドルの増加によるものであった。
普通株式等Tier 1レバレッジ比率/レバレッジ比率分母
当グループのCET1レバレッジ比率は、2017年12月31日現在の数値から0.08%増加して3.77%となり、当グ
ループの指針である約3.7%をわずかに上回ったが、これは前述のCET1自己資本の増加及びレバレッジ比率分
母(LRD)の44億米ドルの減少を反映している。
レバレッジ比率分母(LRD)は、2018年12月31日現在、44億米ドル減少して9,046億米ドルとなったが、こ
れは主に、為替換算の影響による減少121億米ドル、並びに追加的なネッティング、担保軽減及び政策の変更
15億米ドルによるものであったが、資産規模その他の91億米ドルの増加により一部相殺されている。
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率は、2017年12月31日現在の数値から0.4%増加して5.1%
となった。これはゴーイングコンサーン・ベースの資本の33億米ドルの増加を反映しているが、前述したLRD
の減少により一部相殺されている。
新規純資金及び運用資産
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経営陣による新規純資金及び運用資産の検討及び分析については、本書「グローバル・ウェルス・マネジ
メント」及び「アセット・マネジメント」の項に記載されている。
季節的な特性
当グループの収益には、特にインベストメント・バンクとグローバル・ウェルス・マネジメント事業に関
して、季節的な特性が表れる場合がある。これらの事業部門は通常、第1四半期に顧客活動が最も活発とな
り、その他の時期(特に夏期数ヶ月間及び年末休暇の時期)には鈍化する。当グループの業務に影響しうる
その他の季節的な要因には、年1回の所得税の支払(米国においては第2四半期に集中している)及び第4
四半期に発生する傾向にある資産回収が含まれる。
グローバル・ウェルス・マネジメント
2017年度と2018年度の比較
業績
税引前利益は、5,700万米ドル(2%)増加し、36億2,800万米ドルであった。これには、SIXペイメン
ト・サービスのワールドラインへの売却に関連する、当グループによるSIXの株式所有についての評価益1
億100万米ドル、及び当グループのスイスの年金制度に関連した貸方計上6,600万米ドルが含まれている。調
整後の税引前利益は、4億3,900万米ドル(11%)減少し、37億2,000万米ドルであった。これらは営業費用
の増加を反映したものであったが、営業収益の増加により一部相殺されている。
営業収益
営業収益合計は、6億5,400万米ドル(4%)増加し、169億4,100万米ドルであった。前述した評価益を
除くと、調整後の営業収益合計は、5億5,300万米ドル(3%)増加して168億4,000万米ドルとなった。こ
れは主に、経常受取報酬純額及び受取利息純額の増加によるものであったが、取引ベース収益の減少により
一部相殺されている。
受取利息純額は2億700万米ドル増加し、43億1,000万米ドルとなった。これは、平均預金マージン及び貸
出金残高の増加を反映したものであったが、2017年度末の金利リスクヘッジ対象ポートフォリオの期間満
了、当グループの構造的リスクマネジメント活動からの純収益の減少、及び総損失吸収力に寄与する長期債
務の資金調達費用の増加により、一部相殺されている。
経常受取報酬純額は6億1,700万米ドル増加し、95億8,500万米ドルとなった。その大部分は当年度中の平
均投資資産の上昇及び運用委託契約の浸透率の上昇によるものであった。
取引ベース収益は2億4,800万米ドル減少して29億1,100万米ドルとなった。これは主に、南北アメリカ及
びアジア太平洋地域における顧客活動の鈍化によるものであった。
その他の収益は、8,600万米ドル増加して1億5,100万米ドルとなった。前述した評価益を除くと、調整後
のその他の収益は1,500万米ドル減少して5,000万米ドルとなった。
営業費用
営業費用合計は前年度から5億9,600万米ドル(5%)増加し、133億1,300万米ドルとなった。調整後の
営業費用合計は、9億9,100万米ドル(8%)増加し、131億2,000万米ドルとなった。
人件費は、900万米ドル増加して76億8,300万米ドルとなった。前述したスイスの年金制度に関連した貸方
計上を除くと、調整後の人件費は、7,900万米ドル増加して77億1,400万米ドルとなった。これは主に、給与
の増加及び従業員水準の上昇によるものであるが、ファイナンシャル・アドバイザーに関連しない変動報酬
の減少により一部相殺されている。南北アメリカにおいては、ファイナンシャル・アドバイザーの変動報酬
の増加は、雇用されたファイナンシャル・アドバイザーに対する報酬コミットメント費用の減少により相殺
された。
一般管理費は、4億6,100万米ドル増加して17億2,400万米ドルとなった。調整後の一般管理費は、5億
2,000万米ドル増加して17億800万米ドルとなった。その大部分は、訴訟引当金の増加及び規制に関する費用
の増加によるものである。
コーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純額は、1億2,600万米ドル増加して38億
5,200万米ドルとなった。調整後の業務費用純額は、3億9,200万米ドル増加し、36億4,300万米ドルとなっ
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た。これは主に、グループ・テクノロジー部門及びグループ・リスク・コントロール部門からの費用の増加
を反映している。
費用対収益比率
費用対収益比率は、前年度の78.0%に対して78.5%に上昇した。調整後ベースでは、費用対収益比率は、
74.4%から77.8%に上昇し、当部門の2018年度の目標範囲である65%から75%の範囲を上回った。
新規純資金
新規純資金流入額は、前年度448億米ドルであったのに対して、247億米ドルとなった。新規純資金増加率
は、前年度2.2%であったのに対して1.0%となり、当部門の2018年度の目標範囲である2%から4%の範囲
を下回った。新規純資金は、大部分がアジア太平洋地域及びEMEAにおける資金流入によるものであったが、
南北アメリカにおける資金流出(企業従業員株式プログラムに起因する約45億米ドルの単一の流出を含
む。)により一部相殺されている。
投資資産
投資資産は、1,430億米ドル減少して、2兆2,600億米ドルとなった。これは、市場でのマイナスの業績
1,440億米ドル、為替損190億米ドル、及び振替120億米ドルによるものであったが、新規純資金流入額250億
米ドル、並びに子会社及び事業の取得に関連する70億米ドルの増加により一部相殺されている。運用委託契
約の浸透率は、32.9%から33.6%にまで上昇している。
従業員
グローバル・ウェルス・マネジメント部門の雇用人数は、2017年12月31日現在の23,177名に対して、441
名増加して、2018年12月31日現在23,618名だった。アドバイザーの数は、61名増加して10,677名であった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
2017年度と2018年度の比較
業績
税引前利益は、2億9,500万スイス・フラン(19%)増加し、18億7,300万スイス・フランとなった。そ
の大部分は、SIXペイメント・サービスのワールドラインへの売却に関連する、当グループによるSIXの株式
保有についての評価益3億5,900万スイス・フランを反映している。調整後の税引前利益は、1億5,500万ス
イス・フラン(9%)減少し、15億2,600万スイス・フランとなった。これは、営業収益の減少と営業費用
の増加によるものであった。
2018年1月1日以降、当グループでは、将来に向かって収益に追加・付随する決済、クレジットカード
付加サービス及び顧客ロイヤルティ・プログラムに関する一定の費用について、営業収益内でそれらに関連
する収益とより整合させるために振り替えた。これにより、主に取引ベース収益に関連する営業収益合計が
6,600万スイス・フラン減少した。また、営業費用合計も、主に一般管理費の減少を反映して、概ね対応す
る減少が見られた。
営業収益
営業収益合計は、2億8,300万スイス・フラン(7%)増加し、41億3,300万スイス・フランとなったが、
これは主に前述した評価益を反映したものであった。この項目を除くと、調整後の営業収益合計は7,600万
スイス・フラン減少し、37億7,400万スイス・フランとなった。これは主に、受取利息純額及び取引ベース
収益の減少並びに信用損失費用の増加を反映したものであるが、経常受取報酬純額の増加により一部相殺さ
れた。
受取利息純額は2,800万スイス・フラン減少し、20億5,800万スイス・フランとなったが、これは主に、
2017年度末の金利ヘッジポートフォリオの期間満了、総損失吸収力に寄与する長期債務の資金調達費用の増
加及びバンキング勘定受取利息の減少によるものである。これは、預金からの収益の増加により一部相殺さ
れた。
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経常受取報酬純額は、主に保管及びマンデートからの収益の増加並びに一体としての商品からの報酬の増
加を反映して、3,200万スイス・フラン増加して、6億2,500万スイス・フランとなった。
取引ベース収益は、1,800万スイス・フラン減少し、10億8,600万スイス・フランとなったが、これは主
に、前述の費用から収益への振替によるものであった。かかる振替による効果は、外国為替取引からの収益
の増加、並びに顧客の乗換え及び紹介件数の増加を反映したグローバル・ウェルス・マネジメントからの手
数料の増加により一部相殺されている。
その他の収益は3億3,300万スイス・フラン増加し、4億1,900万スイス・フランであった。これは主に、
前述した評価益によるものである。
正味信用損失費用は、前年度に1,900万スイス・フランであったのに対し、5,500万スイス・フランとなっ
た。これは、大部分がコーポレート・クライアント分野における、既存信用減損ポジションについての正味
戻入額の減少及び新規信用減損ポジションの費用の増加を反映したものであった。2018年度のステージ1及
び2の予想信用損失は0百万スイス・フランであるため、2018年1月1日のIFRS第9号の適用は正味信用損
失に重大な影響を及ぼさない。
営業費用
営業費用は22億6,000万スイス・フランとほぼ横ばいであった。これはリストラクチャリング費用5,700万
スイス・フランの減少と、当グループのスイスの年金制度に関連した3,500万スイス・フランの貸方計上を
反映したものであったが、訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金の費用の3,800万スイス・フランの
増加により一部相殺されている。調整後の営業費用合計は、7,900万スイス・フラン増加し22億4,800万スイ
ス・フランとなった。
人件費は5,000万スイス・フラン減少し、7億8,600万スイス・フランとなったが、その大部分は前述の年
金制度に関連した貸方計上によるものであった。調整後の人件費は1,100万スイス・フラン減少し、8億
1,700万スイス・フランとなった。これは主に、変動報酬の減少を反映したものである。
一般管理費は、1,100万スイス・フラン減少し、2億7,900万スイス・フランとなった。これは主に、前述
した費用から収益への振替を反映したものであったが、訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金の費用
の増加により、一部相殺されている。
コーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純額は、4,800万スイス・フラン増加し
て、11億8,100万スイス・フランとなった。調整後の業務費用純額は、1億100万スイス・フラン増加して11
億3,800万スイス・フランとなった。これは主に、グループ・テクノロジー部門の費用並びに戦略的及び規
制上のイニシアチブに関連する費用が増加したことを反映したものであった。
費用対収益比率
費用対収益比率は、58.7%から54.0%に下落したが、これは主に前述した評価益によるものであった。調
整後ベースでは、費用対収益比率は、56.1%から58.7%に上昇し、当部門の2018年度の目標範囲である50%
から60%の範囲内となった。
純利息マージン
純利息マージンは、受取利息純額の減少が平均貸出金残高の減少により相殺されたため、報告ベースと調
整後ベースの両者において157ベーシス・ポイントと安定を維持し、当部門の2018年度の目標範囲である150
から165ベーシス・ポイントの範囲内となった。
パーソナル・バンキングの新規純業務取扱高増加率
当部門のパーソナル・バンキング業務の新規純業務取扱高の増加率は、4.0%であったのに対して当部門
の最高記録である4.2%となり、当部門の2018年度の目標範囲である1%から4%の範囲を上回った。新規
純顧客資産はプラスとなり、新規純貸出金はそれより少ない程度でプラスとなった。
従業員
2017年12月31日現在のパーソナル&コーポレート・バンキング部門の従業員は5,102名であったのに対
し、2018年12月31日現在では81名増の5,183名であった。
アセット・マネジメント
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2017年度と2018年度の比較
業績
税引前利益は、1億3,600万米ドル(23%)減少して4億5,100万米ドルであった。これは主に、2017年度
に当部門のファンド管理事業の売却に関する1億5,300万米ドルの利益が含まれていたことによるもので
あった。この利益を除くと、調整後の税引前利益は、2,800万米ドル(5%)減少して5億800万米ドルと
なった。これは主に、営業収益の減少によるものであるが、営業費用の減少により一部相殺されている。
営業収益
営業収益合計は、2億2,600万米ドル(11%)減少して18億5,700万米ドルとなった。前述した当部門の
ファンド管理事業の売却に関する利益を除き、調整後の営業収益合計は、7,200万米ドル(4%)減少し
た。運用手数料純額は、2,200万米ドル減少して17億7,800万米ドルとなった。これは、当グループのファン
ド管理事業の売却後に管理手数料がなくなったこと、ファンド及び保管費について、営業収益内でそれらに
関連する収益とより整合するよう営業費用から営業収益へ振り替えたこと、並びに継続的にマージンが圧縮
されたことが、平均投資資産の増加による収益の増加を上回ったことによるものであった。加えて、2017年
度には、インフラ・ファンドへの共同投資に係る減損損失1,200万米ドルが含まれている。
実績報酬は、主に株式業務及びヘッジ・ファンド業務における減少より、5,000万米ドル減少して8,000万
米ドルとなった。
営業費用
営業費用合計は8,900万米ドル(6%)減少して14億600万米ドルとなり、調整後の営業費用合計は、
4,300万米ドル(3%)減少して13億5,000万米ドルとなった。
人件費は、2,800万米ドル減少して7億300万米ドルとなった。2018年第1四半期に認識された当グループ
のスイスの年金制度に関連した1,000万米ドルの貸方計上を除いた調整後の人件費は、2,400万米ドル減少し
て6億9,000万米ドルとなった。これは主に、変動報酬費用の減少によるものであった。
一般管理費は、3,300万米ドル減少して2億200万米ドルとなった。調整後の一般管理費は、2,100万米ド
ル減少して1億9,200万米ドルとなった。これは主に、前述したファンド及び保管費の営業収益への振替、
当グループが2017年10月に処分したファンド管理事業に関連する費用の除外、マーケティング費用の減少及
び専門家報酬の減少によるものであったが、調査費用の増加により一部相殺されている。
コーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純額は、2,600万米ドル減少して4億9,800
万米ドルとなった。調整後のコーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純額は、主にグ
ループ・テクノロジー部門からの費用の増加を反映して、400万米ドル増加したが、当部門のファンド管理
事業の売却後のグループ・オペレーション部門の費用の減少、及び前述した保管費から営業収益への振替に
より一部相殺されている。
費用対収益比率
費用対収益比率は、前年度の71.8%に対し、75.7%となった。調整後ベースでは、費用対収益比率は、前
年度に72.2%であったのに対して72.7%となり、当部門の2018年度の目標範囲である60%から70%を上回っ
た。
新規純資金
マネー・マーケット・フローを除く新規純資金は、前年度は487億米ドルの流入額であったのに対し、248
億米ドルとなった。これは主に、当部門の第三者の機関投資家チャネルによるものであった。マネー・マー
ケット・フローを除く新規純資金増加率は、前年度のプラス8.4%からプラス3.4%となり、当部門の2018年
度の目標範囲である3%から5%の範囲内となった。純資金流入は、主にヨーロッパ、中東及びアフリカか
らもたらされた。
投資資産
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投資資産は、7,960億米ドルから7,810億米ドルに減少した。これは主に、市場でのマイナスの業績330億
米ドル及び為替換算のマイナスの影響150億米ドルによるものであり、320億米ドルの流入(マネー・マー
ケット・フローを含む。)により一部相殺されている。
従業員
2017年12月31日現在のアセット・マネジメント部門の従業員は2,335名であったのに対し、2018年12月31
日現在では34名減少して2,301名であった。
運用実績
2018年度は、年間のリターンがプラスとなった資産クラスの数が過去最低となり、運用の上では厳しい年
となった。経済成長の鈍化の兆しと厳しさを増した金融環境により、社債や株式等の資産の価値が急激に低
下した。
2018年度については、当部門のアクティブな従来型ファンドの60%がベンチマークを上回り、64%が同等
のグループの平均を上回った。2018年度が厳しい年であったにもかかわらず、長期実績は引き続き好調であ
り、5年以上にわたって、86%がベンチマークを上回り、81%が同等のグループの平均を上回った。
インベストメント・バンク
2017年度と2018年度の比較
業績
税引前利益は、主にインベスター・クライアント・サービスの収益が増加した結果、3億8,200万米ドル
(30%)増加して16億4,900万米ドルとなったが、コーポレート・クライアント・ソリューションの収益の
減少により一部相殺された。調整後の税引前利益は、営業収益の増加を反映して、3億1,300万米ドル
(21%)増加して18億3,600万米ドルとなったが、営業費用の増加により一部相殺されている。
営業収益
営業収益合計は、3億5,600万米ドル(5%)増加して81億5,000万米ドルであった。IHSマークイットに
対する当部門の投資を売却したことに関連する利益1億800万米ドル(2017年度)及びロンドン清算機関に
対する当部門の投資を売却したことに関連する利益2,900万米ドル(2017年度)を除くと、調整後の営業収
益合計は、76億5,800万米ドルから4億9,200万米ドル(6%)増加して81億5,000万米ドルであった。これ
は主に、インベスター・クライアント・サービスの収益が6億8,200万米ドル増加したことを反映している
が、コーポレート・クライアント・サービスの収益が2億4,400万米ドル減少したことにより一部相殺され
ている。正味信用損失費用は、前年度に9,200万米ドルであったのに対し、3,800万米ドルであった。前年度
の数字には、担保価値の大幅な減少後の単独の顧客に対するマージン貸出に主に関連する費用が含まれてい
た。
事業部門別の営業収益
コーポレート・クライアント・ソリューション
コーポレート・クライアント・ソリューションの収益は、2億4,400万米ドル(8%)減少して26億2,600
万米ドルであったが、その大部分が株式資本市場業務の収益減少を反映している。
アドバイザリー業務の収益は、6,700万米ドル増加して7億1,700万米ドルであった。これは、合併及び買
収取引からの収益が増加(グローバル手数料プールは8%増加)したことを主因としている。
株式資本市場業務の収益は、公募業務からの収益が減少(グローバル手数料プールは14%減少)したこと
と、プライベート取引からの収益が減少したことを反映して、2億8,900万米ドル減少して7億8,600万米ド
ルであった。
債券資本市場業務の収益は、2,700万米ドル減少して7億7,000万米ドルとなった。これは主に、投資適格
収益の減少(グローバル手数料プールは10%減少)によるものであるが、レバレッジド・ファイナンス業務
の収益の増加(グローバル手数料プールは7%減少)によって一部相殺されている。
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金融ソリューション業務の収益は、不動産ファイナンスの収益の減少を主因として、3,300万米ドル減少
して2億7,900万米ドルとなった。
リスク管理収益は、主にヘッジコストの減少及び条件変更負債ポジションに関する評価益を反映して、
3,600万米ドルから7,500万米ドルとなった。
インベスター・クライアント・サービス
インベスター・クライアント・サービスの収益は、5億4,600万米ドル(11%)増加して55億6,200万米ド
ルとなった。前述した2017年度の利益合計1億3,700万米ドルを除くと、調整後の収益は、株式業務並びに
外国為替、金利及びクレジット業務の収益が増加したことを反映して、6億8,200万米ドル(14%)増加し
て55億6,200万米ドルとなった。
株式業務
株式業務の収益は、全商品ラインにわたる増加により、3億2,400万米ドル(9%)増加して39億3,600万
米ドルとなった。IHSマークイットに対する当部門の投資を売却したことに関連する利益2,700万米ドル
(2017年度)及びロンドン清算機関に対する当部門の投資を売却したことに関連する利益2,900万米ドル
(2017年度)を除くと、調整後の収益は、3億8,100万米ドル(11%)増加して39億3,600万米ドルであっ
た。
調整後の現物株式業務の収益は、顧客活動の増加を反映して、7,300万米ドル増加して12億9,400万米ドル
となった。
デリバティブ収益は、1億5,400万米ドル増加して10億3,800万米ドルとなった。これは、市場のボラティ
リティの上昇に伴う顧客活動の増加によるものであった。
調整後の金融サービスの収益は、1億8,800万米ドル増加して16億6,300万米ドルとなった。これは、顧客
活動の増加を反映したエクイティ・ファイナンスからのトレーディング収益の増加によるものである。
外国為替、金利及びクレジット業務
外国為替、金利及びクレジット業務の収益は、2億2,100万米ドル(16%)増加して16億2,600万米ドルと
なった。IHSマークイットに対する当部門の投資を売却したことに関連する利益8,100万米ドル(2017年度)
を除くと、調整後ベースでは、収益は、13億2,400万米ドルから3億200万米ドル増加した。これは、顧客活
動水準の上昇及び商品の大半にわたるトレーディング実績の改善、並びに、UBS金利連動社債を評価するの
に使用した資金調達カーブの可観測性の向上及び評価の見直しによる、以前繰り延べられたDay1利益で主に
構成される約1億米ドルの純収益の認識によるものである。加えて、2018年度の数字には、機能通貨及び表
示通貨を米ドルに変更したことに関連する当グループの通貨エクスポージャーのリバランシングに関する、
コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(グループALM)からの収益5,300万米ドルが含まれてい
た。
営業費用
営業費用合計は、65億100万米ドルとほぼ横ばいであり、調整後の営業費用合計は、1億7,800万米ドル
(3%)増加して63億1,300万米ドルであった。
人件費は30億600万米ドルから29億4,100万米ドルに減少し、調整後の人件費は、29億4,100万米ドルから
29億3,000万米ドルに減少した。これは主に、変動報酬費用の減少によるものである。
一般管理費は、2,400万米ドル減少して6億5,100万米ドルとなり、調整後ベースでは、1,700万米ドル減
少して6億4,000万米ドルとなった。これは専門家報酬の減少によるものであったが、英国銀行税に関する
費用純額の増加により一部相殺されている。
コーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純額は、6,500万米ドル増加して28億8,900
万米ドルとなり、調整後ベースでは、25億1,500万米ドルから27億2,300万米ドルに増加した。これは主に、
グループ・テクノロジー及びグループ・リスク・コントロールからの費用純額の増加によるものであった。
費用対収益比率
費用対収益比率は、82.8%から79.4%に減少した。調整後ベースでは、費用対収益比率は79.2%から
77.1%に減少し、当部門の2018年度の目標範囲である70%から80%の範囲内となった。
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帰属資本利益率
2018年度の帰属資本利益率は16.1%であり、調整後ベースでは17.9%となり、当部門の2018年度の目標で
ある15%超を上回った。
リスク加重資産
リスク加重資産(RWA)(コーポレート・センター-グループALMがインベストメント・バンクの代わりに
保有するRWAを含む。)は、2018年12月31日現在、100億米ドル増加して、870億米ドルであった。これは、
大部分がモデルの変更及び規制の追加に関連した、信用リスクのRWA及びカウンターパーティ信用リスクの
RWAの増加、並びに、規制上及びストレスVaRの平均的な水準の上昇を反映した市場リスクのRWAの増加によ
るものである。RWAは、当部門の2018年度における指針である、当グループのRWAの3分の1前後の範囲内で
あった。
レバレッジ比率分母
レバレッジ比率分母(LRD)(コーポレート・センター-グループALMがインベストメント・バンクの代わ
りに保有するLRDを含む。)は、2018年12月31日現在、350億米ドル減少して、2,560億米ドルであった。こ
れは、顧客に起因する減少及び取引の巻戻し、プライム・ブローカレッジ債権の減少を反映したトレーディ
ング・ポートフォリオ資産の減少、並びに為替効果を主因としていた。LRDは、当部門の2018年度における
指針である、当グループのLRDの3分の1前後の範囲内であった。
従業員
2018年12月31日現在のインベストメント・バンク部門の従業員は、2017年12月31日現在の4,822名から383
名増加し、5,205名であった。これは主に、2018年12月のUBSセキュリティーズ・チャイナの連結化によるも
のであった。
コーポレート・センター
コーポレート・センター-サービス
2017年度と2018年度の比較
コーポレート・センター-サービスは、前年度に9億3,500万米ドルの税引前損失を計上したのに対し、
8億600万米ドルの税引前損失を計上し、調整後ベースでは、前年度に9億1,500万米ドルの税引前損失を計
上したのに対し、7億2,500万米ドルの税引前損失を計上した。
営業収益
営業収益は、前年度にマイナス1億5,700万米ドルであったのに対し、マイナス5億1,300万米ドルとなっ
た。UBSセキュリティーズ・チャイナの株式保有の増加に関連する再測定による損失2億7,000万米ドル及び
2018年におけるヴィダー・ホテルの売却益5,600万米ドルを除くと、調整後の営業収益は、前年度にマイナ
ス1億5,700万米ドルであったのに対し、マイナス3億米ドルとなった。これは主に、コーポレート・セン
ター-サービスの貸借対照表上の資産に関連する資金調達費用の増加に起因している。
営業費用
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に業務を配分する前の営業費用
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に業務を配分する前の営業費用合計は、3億700
万米ドル(3%)減少して89億1,700万米ドルとなり、これにはリストラクチャリング費用の減少及びスイ
スの年金制度の変更に関連する1億2,200万米ドルの貸方計上が含まれていた。配分前の調整後の営業費用
合計は、3億4,300万米ドル(4%)増加して85億9,300万米ドルとなった。これは主に、グループ・テクノ
ロジーへの投資の増加並びに減価償却費及び減損費用の増加に起因していたが、訴訟、規制上及び類似の問
題に対する引当金に係る費用純額が2億5,900万米ドル減少したことにより一部相殺されている。
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人件費は7,000万米ドル増加して39億2,700万米ドルとなり、これには、前述したスイスの年金制度の変更
に関連する1億2,200万米ドルの貸方計上が含まれていた。調整後ベースの人件費は4億2,600万米ドル増加
して38億4,100万米ドルとなった。これは主に、特定の活動及び従業員を引き続き第三者供給業者から当グ
ルー プのビジネス・ソリューションズ・センターに内部委託したことに起因している。
一般管理費は5億4,700万米ドル減少して37億8,900万米ドルとなり、調整後の一般管理費は2億900万米
ドル減少した。これは主に、訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金に係る費用純額の2億5,900万米
ドル減少、外部委託費用の減少並びに専門家報酬の減少に起因している。これらの減少は、グループ・テク
ノロジーからの費用の増加により一部相殺されている。
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損は、10億2,400万米ドルから11億9,900万米ドルに増
加した。これは、自己創設ソフトウェアの資産計上に関連する減価償却費及び資産減損費用の増加を反映し
ている。
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に対する/からの業務
コーポレート・センター-サービスは、事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に対し、
86億2,400万米ドル(前年度は84億4,500万米ドル)の費用を配分した。調整後の費用配分額は、74億9,100
万米ドルから81億6,800万米ドルとなった。
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に対する/からの業務配分後の営業費用
コーポレート・センター-サービスは、当グループのガバナンス機能及びその他のコーポレート業務、特
定の戦略的プロジェクト及び規制上のプロジェクト並びに特定のリストラクチャリング費用に関する費用を
留保する。配分後にコーポレート・センター-サービスに残存する営業費用合計は7億7,900万米ドルから
2億9,300万米ドルに、調整後ベースでは7億5,900万米ドルから4億2,500万米ドルに減少した。これは主
に、訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金に係る費用が2億5,900万米ドル減少したことを反映した
ものであった。
コーポレート・センター-グループ資産・負債管理
2017年度と2018年度の比較
コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(グループALM)は、前年度の3億3,600万米ドルの損
失に対し、6億9,300万米ドルの税引前損失を計上した。調整後ベースでは、前年度の3億1,500万米ドルの
損失に対し、6億9,000万米ドルの税引前損失を計上した。これは、当グループの構造的リスク管理からの
純収益の減少及び留保営業費用の増加に起因している。
営業収益
営業収益合計は、前年度がマイナス2億8,800万米ドルであったのに対し、マイナス6億900万米ドルと
なった。グループALMが留保した調整後の営業収益合計は、前年度にマイナス2億7,100万米ドルであったの
に対し、マイナス6億900万米ドルであった。
配分前のリスク管理に関する純収益合計
事業部門及びその他のコーポレート・センターの業務部門への配分前のリスク管理に関する純収益合計
は、前年度が8,300万米ドルであったのに対し、マイナス8億4,400万米ドルとなった。これは主に、資本投
資及び発行業務からの純収益の減少に加え、事業部門別リスク管理活動及び当グループの構造的リスク管理
からの純収益の減少を反映している。
事業部門別リスク管理に関する純収益
事業部門別リスク管理活動からの純収益は、前年度の7億2,600万米ドルに対し、3億7,800万米ドルで
あった。これは、マイナスのスイス・フラン及びユーロ金利による継続的な影響並びに2017年11月における
金利ヘッジ・ポートフォリオの期間満了を主因としていた。加えて、2018年第3四半期中に、グループALM
の金利リスク管理機能がグローバル・ウェルス・マネジメント部門の米国における金利リスクの管理にまで
拡張された。これにより、事業部門別リスク管理活動からの純収益の減少がもたらされた。この収益は、以
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前はグループALMで実現され、全額がグローバル・ウェルス・マネジメント部門に配分されていた。この変
更は、グローバル・ウェルス・マネジメント部門の受取利息純額に影響することはなかった。
資本投資及び発行に関する純収益
資本投資及び発行活動からの純収益は、前年度のマイナス1億2,100万米ドルに対し、マイナス3億200万
米ドルであった。この減少は、未償還の総損失吸収力適格長期債務の合計が増加し、当グループで当該債務
に係るグループ内資金移転価格設定の比率を変更した結果、純支払利息が増加したことに起因している。
当グループの構造的リスク管理に関する純収益
当グループの構造的リスク管理活動からの純収益は、前年度のマイナス5億2,200万米ドルに対し、マイ
ナス9億1,900万米ドルであった。この減少は、変動金利債務に関するロンドン銀行間取引金利(LIBOR)指
標が上昇したことに加え、2018年第1四半期に会計方針が変更になったことを受けて、長期クロスカレン
シー・スワップのポートフォリオに関する支払利息が含まれていたことにより、内部資金調達に関するグ
ループALMのポートフォリオ管理からの純支払利息が増加したことに起因している。当該ポートフォリオの
支払利息は、以前は 金融商品に関する公正価値の変動からのその他の純収益 (2018年1月1日より前は、 ト
レーディング収益純額 )として認識され、 経済ヘッジに関連した会計上の非対称性 として報告されていた。
これらの影響は、前述したグループ内資金移転価格設定の比率の変更により一部相殺された。
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に対する配分
事業部門及びその他コーポレート・センターの業務部門に対するリスク管理活動からの配分額の合計は、
前年度のプラス2億6,800万米ドルに対し、マイナス2億9,500万米ドルであった。この減少は主に、前述し
た資本投資及び発行業務からの受取利息の減少(当該受取利息は、事業部門及びその他コーポレート・セン
ターの業務部門に対し、各々の帰属資本に応じて、全額配分される。)並びに事業部門別リスク管理活動か
らの純収益の減少(当該純収益は、事業部門(主にグローバル・ウェルス・マネジメント部門及びパーソナ
ル&コーポレート・バンキング部門)に配分される。)を反映している。
配分後のリスク管理に関する純収益合計
グループALMは、配分後のリスク管理活動からのマイナス5億4,900万米ドル(前年度はマイナス1億
8,500万米ドル)を留保した。
リスク管理活動からの留保収益は、その全てが当グループの構造的リスク管理に関連しており、当該収益
は、主に、グループALMが事業部門の消費合計を上回る水準に維持するバッファーからの費用及び費用配分
に使用される基準金利に関係する当グループの適格流動資産(HQLA)ポートフォリオ管理からグループALM
が創出した収益の正味残額である。
経済ヘッジに関連する会計上の非対称性
経済ヘッジに関連する会計上の非対称性に起因してグループALMにより留保された純収益は、マイナス1
億500万米ドル(前年度はマイナス6,200万米ドル)であった。これは主に、自己の信用のファンディング・
スプレッドの拡大に起因する一定の内部資金取引に関する3,500万米ドルの損失(前年度は7,100万米ドルの
利得)によるものであった。これは、現在は、 当グループの構造的リスク管理からの純収益 として報告され
ている長期クロスカレンシー・スワップのポートフォリオに関し、前述した2018年第1四半期における会計
方針の変更から生じた費用の減少により一部相殺された。
ヘッジ会計の非有効性
ヘッジ会計の非有効性に関する純収益は、前年度のマイナス1,300万米ドルに対し、プラス1,300万米ドル
であった。この非有効性は、主に、LIBORとオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)レートとの間
のスプレッドが、キャッシュフローを決定する基準金利又は割引率のいずれかを通じてヘッジ項目及びヘッ
ジ商品の評価に影響を及ぼす方法に差異があることにより変動することから生じている。
その他
その他の純収益は、前年度のマイナス1,100万米ドルに対し、プラス3,300万米ドルであった。これは主
に、ヘッジ会計関係で指定されないヘッジ活動からの時価評価による影響額の増加を反映している。
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営業費用
営業費用合計は、規制に係る一時的な費用の増加を主因として、前年度の4,800万米ドルに対し、8,400万
米ドルであった。加えて、2017年6月以降、グループALMは、当グループの構造的リスク管理からの純収益
に関連する費用を、当該収益が事業部門及びその他のコーポレート・センターの業務部門に配分されない範
囲で留保した。それ以前は、グループALMは、全ての費用を事業部門及びその他のコーポレート・センター
の業務部門に配分していた。
貸借対照表上の資産
2018年12月31日現在の貸借対照表上の資産は、280億米ドル増加して、2,800億米ドルであった。これは、
事業部門による資金調達消費高純額の減少を反映している。事業部門の需要を超過して得られる資金は、再
投資目的又は事業の需要が低いままである場合に経時的に減額する目的で、グループALMの貸借対照表に移
転される。その結果、グループALMの貸借対照表は、主に、一元管理されている資産需要よりも当グループ
全体で創出された負債の金額に依拠する。
リスク加重資産
リスク加重資産(RWA)は、120億米ドルで安定を維持していた。
レバレッジ比率分母
レバレッジ比率分母(LRD)は、貸借対照表上の資産の増加に伴い、2,560億米ドルから2,840億米ドルに
増加した。
コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの構成
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの構成の概要は、以下の表の通りである。
区分別のポジションの分類及びその掲載順は、必ずしも当該ポジションに関連するリスクの重大性を表す
ものではなく、また、下表に掲載される測定値は、必ずしも当該ポジションの管理及び統制において用いら
れるリスク測定値を表すものではない。
(注2) (注3)
RWA
資産合計 LRD
エクスポージャー
説明
(注1)
2018年 2017年 2018年 2017年 2018年 2017年
区分
12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
線型金利OTC商品(主に全主要通貨
及び一部の新興市場のバニラ金利ス
ワップ、インフレ・スワップ、ベー
線型金利 1.1 1.3 22.1 29.3 4.2 6.4
シス・スワップ及びクロスカレン
シー・スワップ)及び非線型金利
OTC商品(バニラ・オプション及び
仕組オプション)からなる。グロス
ベースの再調達価額-借方(PRV)
の95%超は、担保により保証されて
おり、無担保エクスポージャーの
非線型金利 0.5 0.2 5.8 8.6 1.3 1.2
99%超は、投資適格格付を有してい
る。グロスベースのPRVの30%は、
2021年度末までに満期を迎える。
残存ポジションには、株式投資及び
信用 最小リスク・エクスポージャーでの 0.1 0.3 0.0 0.7 0.1 0.9
残存ローン数が含まれる。
主に指向性変動による影響を軽減す
るために関連ある現金のABS資産及
び総合的ヘッジ取引を参照するCDS
証券化 ポジションのポートフォリオからな 1.2 1.9 0.6 0.9 0.6 0.8
る。残存ポジションの大部分は、
2020年度までに決済される見込みで
ある。
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長期APS及び地方ARSのポートフォリ
オークション優先
オ。2018年12月31日現在、全ての
株(APS)及びオー
APSはA以上の格付を有し、全ての 0.4 0.6 1.7 2.2 1.7 2.2
クション・レート
ARSエクスポージャーはBaa2以上の
証券(ARS)
格付を有する。
米国の地方自治体と間のスワップ及
びオプション。PRVの99%超は、
地方スワップ及び
2018年12月31日現在投資適格格付を 0.4 0.5 1.6 2.2 1.0 1.5
オプション
有するカウンターパーティを相手方
とする。
より小規模のポジションに係る様々
その他 1.0 1.0 2.9 3.5 1.9 2.3
なポートフォリオ。
非中核事業及びレガシー・ポート
オペレーショナ フォリオに割り当てられたオペレー
9.2 10.6
ル・リスク ショナル・リスクのリスク加重資
産。
合計 13.9 16.5 34.7 47.4 10.8 15.3
(注1) 区分別のポジションの分類及びその掲載順は、必ずしも当該ポジションに関連するリスクの重大性を表すものではなく、また、
上の表に掲載される測定値は、必ずしも当該ポジションの管理及び統制において用いられるリスク測定値を表すものではない。
(注2) 2018年12月31日現在の資産合計347億米ドル(2017年12月31日現在の資産合計474億米ドル)には、再調達価額-借方(一切のカ
ウンターパーティ・ネッティングの影響を除く総エクスポージャー)293億米ドル(2017年12月31日現在は390億米ドル)が含ま
れる。
(注3) スイスSRBレバレッジ比率分母を意味する。
2017年度と2018年度の比較
コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオは、前年度に4億1,100万米ドルの
税引前損失を計上したのに対し、1億5,000万米ドルの税引前損失を計上した。
営業収益
営業収益は、前年度にマイナス2,200万米ドルであったのに対し、プラス1億6,500万米ドルとなった。こ
の改善結果は主に、2017年に償却原価で測定され、IFRS第9号の適用に伴い2018年1月1日以降損益を通じ
て公正価値で測定されるようになったオークション・レート証券の評価益に起因していた。
営業費用
営業費用合計は、7,300万米ドル(19%)減少して、3億1,500万米ドルとなった。事業部門及びその他
コーポレート・センターの業務部門からの業務費用純額は5,200万米ドル減少し、専門家報酬は2,800万米ド
ル減少した。更に、2018年度の数字には、訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金に係る費用純額
6,900万米ドル(前年度は5,200万米ドル)が含まれていた。
貸借対照表上の資産
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの資産合計は、130億米ドル減少して、350億米ドルであった。
これは、満期到来及び取引の終了を主に反映したデリバティブ及びデリバティブ商品に係る差入担保金の減
少を主因としていた。デリバティブ及びデリバティブ商品に係る差入担保金を除く資産合計は、10億米ドル
減少して、40億米ドルであった。
リスク加重資産
リスク加重資産(RWA)は、オペレーショナル・リスクのRWAの減少を主因として、30億米ドル減少して、
140億米ドルであった。
レバレッジ比率分母
レバレッジ比率分母(LRD)(非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの代わりにコーポレート・セン
ター-グループ資産・負債管理(グループALM)が保有するLRDを含む。)は、デリバティブ・ポートフォリ
オ及び関連する担保金の減少を主因として、170億米ドルから130億米ドルへと減少した。
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財務管理
貸借対照表、流動性及び資金調達管理
戦略、目標及びガバナンス
当グループでは、現在及び将来の行政上の規制も考慮に入れつつ、市況の広範な範囲にわたって当グルー
プの基盤の価値を最適化するという全体の目標を持って、貸借対照表、流動性及び資金調達ポジションを管
理している。当グループは、通常時及びストレス時における当該ポジションを監視するのに多くの手法を用
いている。特に、当グループでは、行動調整を当グループの貸借対照表に適用するのに、ストレス・シナリ
オを使用しており、これら内部のストレス・モデルから生じる結果を外部の手法(主に、流動性カバレッジ
比率及び安定調達比率)を用いて較正する。当グループの流動性及び資金調達戦略は、グループ財務部門が
提案し、グループ執行役員会の委員会であるグループ資産・負債管理委員会(グループALCO)が承認し、更
に取締役会(BoD)のリスク委員会が監視する。
本項では、規制要件、当グループのガバナンス構造、当グループの貸借対照表、当グループの流動性及び
資金調達源を含む流動性及び資金調達管理、当グループの緊急時対策並びにストレス・テストの実施につい
てより詳細な情報を記載する。本項で開示する残高は、別途記載する場合を除き、年度末のポジションを表
している。期間内残高は、通常の事業の過程で変動し、年度末のポジションから乖離する可能性がある。
グループ財務部門は、流動性及び資金調達戦略の実施及び遂行を監督及び監視し、方針、制限及び目標の
遵守に関し責任を有している。これにより、当グループの適格流動資産を含む現金及び担保両方の厳重な管
理が可能になり、当グループによるホールセール現物市場への通常のアクセスがコーポレート・センター-
グループ資産・負債管理に集中する。更に、グループ財務部門は、関連ある事業分野の代表者と共に、流動
性創出の調整に責任を有する。グループ財務部門は、少なくとも月に一度の頻度で、グループALCO及びBoD
のリスク委員会に対し、資金調達状況及び集中リスクを含む当グループの全体的な流動性及び資金調達ポジ
ションについて報告を行う。
流動性及び資金調達の制限及び目標は、当グループ並びに(適切である場合は)事業体及び事業部門レベ
ルで設定されており、BoD、グループALCO、グループ・チーフ・ファイナンシャル・オフィサー、グループ
財務部門及び事業部門により、現在の及び予測される事業戦略及びリスク許容度を考慮して、少なくとも1
年に1度、見直し及び再確認が行われる。当グループの制限及び目標の枠組みの原則は、事業基盤を最大化
及び維持し、資産及び負債構造の適切なバランスを維持することを企図している。構造的な制限及び目標
は、貸借対照表の構造及び構成に焦点を当てている。一方で、補足的な制限及び目標は、資金調達源の利
用、多様化及び配分を推進することを企図している。この枠組みを補完及び支援するために、グループ財務
部門は、現在の流動性状況を反映する早期警戒指標に関し市場を監視する。流動性状況の指標は、潜在的な
脅威に関しグローバル及び地域の両方の状況を評価することに当グループレベルで使用される。マーケッ
ト&トレジャリー・リスク・コントロール部門は、流動性及び資金調達リスクに対し、独立した監視を行っ
ている。
IFRS第9号の適用
2018年1月1日以降、当グループはIFRS第9号「金融商品」を適用した。IFRS第9号を適用することによ
り、特定の金融商品の分類及び測定方法が変更になり、かかる変更は、2018年1月1日から将来に向かって
適用されている。
後述の貸借対照表上の資産及び負債の変動の分析は、2018年1月1日現在の当該残高(すなわち、IFRS第
9号適用による分類及び測定方法変更後)との比較で行われている。IFRS第9号を適用したことによる最も
重要な影響については、以下に概要を記載する。
貸付
従前は 貸付 に含まれていた金融資産30億米ドルは公正価値に振り替えられ、現在は 償却原価/公正価値で
測定されるその他の金融資産 に反映されている。更に、顧客ブローカレッジ債権50億米ドルは、 貸付 から ブ
ローカレッジ債権 に振り替えられた。
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償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引
有価証券ファイナンス取引資産50億米ドル及び有価証券ファイナンス取引負債50億米ドルは公正価値に振
り替えられた。その結果、当該資産及び負債は現在、それぞれ 償却原価/公正価値で測定されるその他の金
融資産 及び 償却原価/公正価値で測定されるその他の金融負債 に反映されている。
トレーディング・ポートフォリオ
ユニットリンク型投資契約金融資産120億米ドルは、 トレーディング・ポートフォリオ から ユニットリン
ク型投資契約非金融資産及び金融資産 に振り替えられた。
償却原価/公正価値で測定されるその他の金融資産
前述した通り、従前は 貸付 に含まれていた金融資産30億米ドル及び従前は 償却原価で測定される有価証券
ファイナンス取引 に含まれていた有価証券ファイナンス取引資産50億米ドルは、公正価値に振り替えられ、
現在は 償却原価/公正価値で測定されるその他の金融資産 に反映されている。これらの増加は、 償却原価で
測定されるその他の金融資産 から新しい報告ラインである ブローカレッジ債権 に振り替えられたブローカ
レッジ債権200億米ドルに関連した減少により相殺された。
ユニットリンク型投資契約非金融資産及び金融資産
ユニットリンク型投資契約金融資産120億米ドルは、 トレーディング・ポートフォリオ からユニットリン
ク型投資契約非金融資産及び金融資産に振り替えられた。
顧客預金
従前は 顧客預金 に含まれていた顧客ブローカレッジ債務50億米ドルは公正価値に振り替えられ、現在は新
しい報告ラインである ブローカレッジ債務 に反映されている。
償却原価/公正価値で測定されるその他の金融負債
有価証券ファイナンス取引負債50億米ドルは公正価値に振り替えられ、現在は 償却原価/公正価値で測定
されるその他の金融負債 の報告ラインに反映されている。この増加は、 償却原価で測定されるその他の金融
負債 から ブローカレッジ債務 に振り替えられたブローカレッジ債務300億米ドルの減少による相殺分を上
回っていた。
資産及び流動性管理
当グループの流動性リスク管理においては、当グループの事業が容認し難い損失若しくはリスク又は長引
く損害を負うことなく、支払期限が到来した時点で当グループの全ての負債を充足するための健全な流動性
ポジションを維持すること、並びに一般的なストレス時の市場環境において会社特有の流動性危機に対応す
るための十分な時間及び財務の柔軟性を提供することを目指している。
当グループの流動資産は、市場の悪化、事業運営上の事由又はその他の会社特有の事由により生じる資金
利用可能性又は資金需要のボラティリティ(予測できるか否かを問わない。)に応じて適切な分散化(発行
者、満期までの期間及びその他のリスク特性)水準を維持するために制限及び目標値を使用して管理されて
いる。流動資産の資産規模は、当グループ及び法人レベルで取締役会及び関連ある地方当局のリスク選好度
内で事業が行えるよう管理されている。
貸借対照表上の資産
当グループ(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
2018年12月31日現在の貸借対照表上の資産は、2018年1月1日から200億米ドル増加して合計9,580億米ド
ルとなった。これは主に、現金及び中央銀行預け金、ユニットリンク型投資契約非金融資産及び金融資産、
並びに償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引に関する債権の増加によるものであった。これはト
レーディング・ポートフォリオ資産及びブローカレッジ債権の減少により一部相殺されている。2018年12月
31日現在のデリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金を除く資産合計は、150億米ドル増加して8,090
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億米ドルとなった。為替効果を除くと、デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金を除く資産合計
は、260億米ドル増加した。
現金及び中央銀行預け金は、コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(グループALM)を中心
に180億米ドル増加した。これは主に、顧客活動の変動を受けて事業部門による資金調達消費高純額が減少
したことによるものであった。事業部門の需要を超過して得られる資金は、再投資目的又は事業の需要が低
いままである場合に経時的に減額する目的で、グループALMの貸借対照表に移転される。この増加は、短期
借入金の満期到来及び有価証券ファイナンス取引による債権へのシフトにより一部相殺されている。
ユニットリンク型投資契約非金融資産及び金融資産は、100億米ドル増加した。これは主に、アセット・
マネジメントにおいてユニットリンク型投資契約が増加し、関連負債が増加したことによるものであった。
償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引による債権は、グループALMを中心に、80億米ドル増加
した。これは、前述した事業部門による資金調達消費高の変動から生じた現金残高の増加分を再投資したこ
とを反映したものであったが、インベストメント・バンクにおける顧客主導の減少及び公正価値の変動によ
り一部相殺されている。
貸付は、グローバル・ウェルス・マネジメントを中心に、50億米ドル増加した。これは主に、南北アメリ
カ及びスイスにおけるモーゲージ・ポートフォリオの増加並びに分離預金に関連したインベストメント・バ
ンクにおける増加を反映したものであったが、為替効果により一部相殺されている。
デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金は、インベストメント・バンクの株式業務並びに外国為
替、金利及びクレジット業務を中心に、40億米ドル増加した。これは、顧客活動の増加を反映したもので
あったが、満期到来及び取引終了を主に反映したコーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポー
トフォリオにおける減少により一部相殺されていた。
これらの増加は、インベストメント・バンクの株式業務並びに外国為替、金利及びクレジット業務で見ら
れた顧客主導の減少及び取引の巻戻しを主に反映したトレーディング・ポートフォリオ資産の140億米ドル
の減少により一部相殺されていた。ブローカレッジ債権は、インベストメント・バンクにおける顧客主導の
減少に関連して、80億米ドル減少した。
償却原価及び公正価値で測定されるその他の金融資産は、インベストメント・バンクのコーポレート・ク
ライアント・ソリューション事業における公正価値の変動を主に反映して、50億米ドル減少した。
インベストメント・バンク(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
インベストメント・バンクの資産合計は、110億米ドル減少して2,590億米ドルとなった。
インベストメント・バンクのトレーディング・ポートフォリオ資産は、顧客主導の減少及び取引の巻戻し
を主に反映して、当グループの株式業務を中心に、120億米ドル減少した。ブローカレッジ債権は、顧客活
動の鈍化に起因して、70億米ドル減少した。償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引による債権
は、顧客活動の鈍化に加え、対象株価の公正価値の変動により一定のファイナンス取引をヘッジするのに使
用した株式借入が減少したことを主因として、40億米ドル減少した。償却原価及び公正価値で測定されるそ
の他の金融資産は、主に公正価値の変動に関連して、30億米ドル減少した。
デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金は、市場のボラティリティの高まりに起因する顧客活動
の増加を反映して、株式業務並びに外国為替、金利及びクレジット業務中心に、140億米ドル増加した。
グループALM(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
グループALMの資産合計は、280億米ドル増加して2,800億米ドルとなった。これは、事業部門による資金
調達消費高純額の減少をもたらした、顧客活動の変動から主に生じた現金及び中央銀行預け金の180億米ド
ルの増加を主に反映していたが、短期借入金の満期到来及び有価証券ファイナンス取引による債権へのシフ
トにより一部相殺されていた。更に、償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引による債権は、130
億米ドル増加した。これは、前述した事業部門による資金調達消費高の変動から生じた現金残高の増加分を
再投資したことを反映したものであった。
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの資産合計は、120億米ドル減少して350億米ドルとなった。こ
れは主に、満期到来及び取引終了を主因としてデリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金が110億米
ドル減少したことによる。デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金を除く資産合計は、10億米ドル
減少して40億米ドルとなった。
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その他の事業部門(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
グローバル・ウェルス・マネジメントの資産合計は、50億米ドル増加した。これは主に、顧客活動の増加
を反映して、デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金が30億米ドル増加したことよるものであっ
た。更に、貸付は、モーゲージ・ローンの増加に起因して、30億米ドル増加したが、ロンバード貸付の減少
により一部相殺されている。
アセット・マネジメントの資産合計は、新規純資金流入に起因するユニットリンク型投資契約金融資産の
増加及びそれに対応する負債の増加を反映して、100億米ドル増加して240億米ドルとなった。
パーソナル&コーポレート・バンキングの資産合計は、1,390億米ドルで横ばいであった。
適格流動資産
適格流動資産(HQLA)は、グループ財務部門の管理下にある、抵当などの制約がない低リスクの資産であ
り、流動性ニーズを満たすために、容易にかつ即時に、価値をほとんど又は全く損なうことなく現金に転換
することができる。当グループのHQLAは、主に、流動性カバレッジ比率(LCR)の枠組みでレベル1の適格
を有する資産(現金、中央銀行準備金及び政府債を含む。)で構成されている。当グループのHQLAは、UBS
AG及びその子会社が保有しており、特定の管轄区域における資金調達及び担保ニーズを満たす目的で利用可
能な金額が含まれる可能性があるが、当グループ全体で利用する準備はまだ整っていない。当該制限の主な
原因は、現地の規制要件(現地の流動性カバレッジ比率及び大口エクスポージャー要件を含む。)である。
実質的な制限を受ける資金は、関連あるHQLAを保有する子会社に関するアウトフローの仮定を超過する範囲
で、当グループのHQLAの算出から除外されている。これに基づき、2018年度第4四半期については、340億
米ドルの資産が当グループの日次平均HQLAから除外されていた。現地の流動性要件を超えて保有され、その
他の制限を受けない金額は、通常、当グループ内で移転することができる。
HQLAの加重流動性価値合計は、120億米ドル減少して1,730億米ドルとなった。
流動性カバレッジ比率
流動性カバレッジ比率は、関連ある規制当局が定義する通り、重要な流動性ストレス・シナリオからの予
想された純資金流出を凌ぐのに十分なHQLAが利用可能かを比較することにより、銀行の流動性プロフィール
の短期レジリエンスを測定する。
バーゼル銀行監督委員会の基準では、2015年度に開始されたフェーズインの会計期間において、2019年ま
でに、下限100%のLCRが求められている。UBSは、当グループの総LCRをスイス金融市場監督当局(FINMA)
から通知された通り、最低110%に維持することが求められており、スイス・フラン建てのLCRでは、最低
100%に維持することが求められている。加えて、UBS AG及びUBSスイスAGともに、単体ベースの最低流動性
カバレッジ比率要件に服している。財務上のストレス時においては、FINMAは、銀行が自らのHQLAを利用
し、LCRが一時的に最低基準を下回ることを許容する。
当グループは、ストレス時のHQLA及び予想された純資金流出との間のあらゆる通貨のミスマッチを管理す
るために、全ての主要通貨建てのLCRを監視している。
2017年12月、FINMAは、スイス連邦参事会が流動性規則の銀行の流動性に関する規定を複数変更したこと
を受けて、FINMAの通達「流動性リスク-銀行」を改訂した。当該通達の改訂は、2018年1月1日から発効
している。
2018年度第4四半期の当グループの日次平均LCRは、2017年度第4四半期が143%であったのに対し、
136%となり、FINMAにより通達された当グループの最低LCRである110%を依然として上回った。このLCRの
低下は、UBS AGの米国支店において取引制限が課された資産が増加したことを主因として、HQLAが減少した
ことを主に反映していた。更に、無担保のホールセール資金調達からの純資金流出の減少を主因として、純
資金流出は減少したが、正常債権からの流入の減少及び前述した2018年における規制要件の見直しに関連し
たその他の資金流出の減少により一部相殺されている。
資産の担保差入
下記の表では、担保権が設定された資産、担保権が設定されていない資産及び担保差入が不可の資産につ
いて、貸借対照表上及びオフバランスシート上の資産の内訳を記載している。
担保権が設定された資産 とは、既存の負債に対し担保として差し入れられている資産又はそうでなければ
追加の資金調達を担保するのに利用不可の資産を表している。後者に分類されるのは、顧客資産分離規則に
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基づき保護された資産、当グループの保険会社が保険契約者に関連負債を戻すために保有する資産、現地の
明確な最低資産維持要件を遵守するために特定の管轄地域で保有される資産、並びに一定の投資ファンド及
び その他のストラクチャード・エンティティ等のバンクラプシー・リモートの連結会社で保有される資産で
ある。
担保差入が不可の資産 とは、担保権が設定されていない資産であるが、その性質上、資金調達の担保又は
担保需要の充足に利用することができないと考えられている資産を表している。当該資産には、担保付ト
レーディング資産、デリバティブ金融資産、デリバティブに係る差入担保金、繰延税金資産、のれん及び無
形資産並びにその他の資産が含まれている。
その他の全ての資産は、 担保権が設定されていない資産 で表示されている。当グループ及び/又は法人レ
ベルでの資金調達を担保するのに常に利用可能であると考えられている資産は、別に示されており、通常の
事業の過程で常に実現可能な現金及び証券から成る。当該資産には、当グループのHQLA及びトレーディン
グ・ポートフォリオの担保権が設定されていないポジションが含まれる。法人レベルでの資金調達を担保す
るのに利用可能であると考えられている担保権が設定されていない資産は、当グループ全体が利用可能な資
産の総額を制限する規制に服する可能性がある。その他の担保権が設定されていない資産で、当グループ及
び/又は法人レベルでの資金調達を担保するのに常に利用可能であるとは考えられていない資産は、貸出金
及び銀行預け金から構成される。
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2018年12月31日現在の資産の担保差入
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
貸借対照表上の資産
現金及び中央銀行預け金 108,370 108,370
銀行貸出金及び前渡金 5,140 11,703 25 16,868
有価証券ファイナンス取引による債権 95,349 95,349
内、借入有価証券に係る担保金 13,061 13,061
内、リバース・レポ契約 82,288 82,288
デリバティブに係る差入担保金 3,205 20,397 23,602
顧客貸出金及び前渡金 18,804 935 294,307 6,306 320,352
内、モーゲージ・ローン 18,804 151,301 170,105
償却原価で測定されるその他の金融資産 197 13,446 1,091 7,828 22,563
償却原価で測定される金融資産合計 18,804 9,477 121,816 307,101 129,905 587,104
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資 104,370
1 2
産 43,292 3,589 53,924 3,566
内、トレーディング資産-短期国債/長期国債 4,776 6,385 11,161
内、トレーディング資産-モーゲージ担保証券 258 258
内、トレーディング資産-その他の資産担保証券 134 134
内、トレーディング資産-その他の債券 1,660 187 4,921 6,768
内、トレーディング資産-投資信託受益証券 3,541 898 5,277 9,716
内、トレーディング資産-エクイティ証券 33,315 2,504 36,949 72,768
内、貸出金 3,566 3,566
デリバティブ金融商品 126,210 126,210
ブローカレッジ債権 16,840 16,840
内、顧客ブローカレッジ 4,384 4,384
内、プライム・ブローカレッジ 12,457 12,457
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない
1
金融資産 23,514 39,186 9,826 10,163 82,690
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 43,292 27,104 93,110 13,392 153,213 330,110
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
資産 171 6,495 6,667
関連会社投資 1,099 1,099
有形固定資産及びソフトウェア 9,348 9,348
のれん及び無形資産 6,647 6,647
繰延税金資産 10,105 10,105
その他の非金融資産 6 4,298 3,106 7,410
非金融資産合計 6 4,298 10,447 19,858 34,608
貸借対照表上の資産合計 62,096 36,758 225,719 330,940 302,976 958,489
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
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当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オフバランスシート上の資産
売却又は再担保差入可能な受入資産の公正価値 356,745 14,954 109,310 2,678 483,688
内、担保としてのマネー・マーケット・ペーパー 10,110 390 3,922 14,421
211,156 310,148
内、担保としてのその他の負債性商品 11,204 87,788
130,853 150,807
内、担保としてのエクイティ証券 3,356 16,598
内、担保としての投資信託受益証券 4,621 ▶ 1,003 5,628
内、その他 5 2,678 2,683
2018年12月31日現在の貸借対照表上及びオフバラン
スシート上の資産合計 418,841 51,712 335,029 333,618 302,976
内、適格流動資産 184,361
1
2018年1月1日以降IFRS第9号を適用したことにより、ユニットリンク型投資契約金融資産は、公正価値で測定されるトレーディ
ング目的保有金融資産から公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産に振り替えられた。IFRS第9号に関するその
他の情報については、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「会計方針の変更、比較可能性及びIFRS第9号「金融商品」へ
2
の移行による影響」を参照されたい。 取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産321億2,100万米
ドルを含む。
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2017年12月31日現在の資産の担保差入
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
当グループ及
び/又は法人レ
その他の点で制 ベルでの資金調
限され、資金調 達の担保に利用
達の担保に利用 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 不可の資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
貸借対照表上の資産
現金及び中央銀行預け金 90,045 90,045
銀行貸出金及び前渡金 3,364 10,702 28 14,094
有価証券ファイナンス取引による債権 91,951 91,951
内、借入有価証券に係る担保金 12,713 12,713
内、リバース・レポ契約 79,238 79,238
デリバティブに係る差入担保金 3,921 20,120 24,040
顧客貸出金及び前渡金 18,087 1,289 295,355 12,015 326,746
内、モーゲージ・ローン 18,087 149,256 167,343
償却原価で測定されるその他の金融資産 60 9,403 1,086 27,266 37,815
償却原価で測定される金融資産合計 18,087 8,633 99,448 307,143 151,379 584,691
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融
3
資産 47,414 12,591 65,456 3,946 129,407
内、トレーディング資産-短期国債/長期国債 4,510 8,676 13,186
内、トレーディング資産-モーゲージ担保証券 8 153 161
内、トレーディング資産-その他の資産担保証券 216 216
内、トレーディング資産-その他の債券 2,367 979 6,204 9,550
内、トレーディング資産-投資信託受益証券 2,559 768 6,554 9,881
内、トレーディング資産-エクイティ証券 37,970 10,843 43,653 92,466
内、貸出金 3,946 3,946
デリバティブ金融商品 121,285 121,285
ブローカレッジ債権
内、顧客ブローカレッジ
内、プライム・ブローカレッジ
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でな
い金融資産 174 2,669 46,284 10,709 621 60,457
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 47,588 15,260 111,739 14,655 121,906 311,148
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金
融資産 253 8,637 8,889
関連会社投資 1,045 1,045
有形固定資産及びソフトウェア 9,057 9,057
のれん及び無形資産 6,563 6,563
繰延税金資産 10,056 10,056
その他の非金融資産 37 4,681 3,112 7,830
非金融資産合計 37 4,681 10,102 19,731 34,551
貸借対照表上の資産合計 65,676 24,183 224,505 331,899 293,016 939,279
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
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当グループ及
び/又は法人レ
その他の点で制 ベルでの資金調
限され、資金調 達の担保に利用
差入担保資 達の担保に利用 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 産 不可の資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オフバランスシート上の資産
売却又は再担保差入可能な受入資産の公正価値 346,243 13,341 117,097 4,584 481,265
内、担保としてのマネー・マーケット・ペーパー 9,799 784 1,707 12,290
188,792 274,022
内、担保としてのその他の負債性商品 9,373 75,856
144,099 184,711
内、担保としてのエクイティ証券 3,184 37,429
内、担保としての投資信託受益証券 3,535 2,017 5,552
内、その他 18 88 4,584 4,690
2017年12月31日現在の貸借対照表上及びオフバランス
シート上の資産合計 411,919 37,524 341,602 336,484 293,016
内、適格流動資産 176,849
3
取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産362億7,700万米ドルを含む。
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ストレス・テスト
当グループは、様々なシナリオの下、適切にバランスのとれた流動性及び資金調達ポジションの維持を可
能にする最適な資産及び負債構造を決定するためにストレス・テストを実施している。流動性危機シナリオ
分析及び緊急時資金調達計画は、流動性管理プロセスを支援し、流動性の不足が突然発生する可能性を吸収
する即時の是正措置を実行できるよう確保する。
当グループでは、当グループの事業の全構成部門に影響するストレス事由が当グループによる市場へのア
クセスに及ぼしうる影響を考慮することを含め、ストレス時及び実際の市況を包括する2つの主要な潜在的
シナリオに基づき当グループの流動性エクスポージャーを設計する。当該モデル及びその仮定は、最新の事
業及び市場の動向を組み込むために定期的に見直される。当グループでは、強固で実行可能な試験済みの緊
急時対策を維持するのに使用される仮定を継続的に改良する。
ストレス時のシナリオ
流動性危機は無数の原因が考えられるため、ストレス時のシナリオは、全ての市場、通貨及び商品におけ
る潜在的なストレスの影響を包括するが、概して会社固有のものではない。満期を迎えるホールセール資金
調達を置き換える能力の欠如に加えて、当該シナリオは、当グループの長期信用格付の2段階引き下げ及び
短期格付の同等の引き下げに対応する、他の点では安定している顧客預金及び流動性アウトフローの緩やか
な減少を仮定する。
当グループでは、ストレス・シナリオが組み込まれ、かつ、流動性を欠いている資産に利用可能な長期資
金調達の規模を測定する現金資本モデルを使用する。資産のうち、流動性を欠いた部分は、担保付資金調達
取引において担保として使用される場合の資産の帳簿価額とその有効な現金価額との間の差異である。流動
性を欠いている資産を支える現金資本として使用された長期資金調達は、満期までの期間が1年以上残って
いる無担保の資金調達、株主持分及びコア預金(これは、1年以上の実際上の満期を有するとみなされる当
グループの顧客預金の一部である。)で構成される。
急性シナリオ
急性シナリオは、会社固有の危機が市場混乱事由と組み合わさった極度のストレス事由を表す。このシナ
リオは、(ⅰ)主に催告により期限が到来した、他の点では安定している顧客預金に関する重大なアウトフ
ロー、(ⅱ)満期を迎える無担保ホールセール資金調達の更新又は借換を行う能力の欠如、(ⅲ)並外れて
大規模なローン・コミットメントの実行、(ⅳ)トレーディング資産からの流動性を創出する能力の低下、
(ⅴ)当グループの長期信用格付の3段階引き下げ及び短期格付の同等の引き下げに対応する流動性アウト
フロー、(ⅵ)デリバティブ・ポジションを解消する又は追加担保を配布する契約上の債務の発生、(ⅶ)
デリバティブの市場価値の不利な動向に起因する追加の担保要件を仮定する。このシナリオは、急性シナリ
オに基づく潜在的な資金流出を予測するのに日次で管理されており、継続的なリスク管理活動の一部として
評価されている。
緊急時資金調達計画
当グループの緊急時資金調達計画は、当グループのグローバルな危機管理の枠組みの不可欠な要素であ
り、様々な種類の危機事由に対応している。この緊急時資金調達計画には、ストレスを受けた環境下での緊
急資金調達源の評価、流動性状況の指標、並びに緊急時の手続が含まれる。当グループの資金調達の多様性
及びグローバルな範囲は、危機が発生した際、当グループの流動性ポジションを保持するのを助けている。
当グループは、全ての重要な、既知の及び予想されたキャッシュ・フロー、並びに、要請があれば追加的な
資金調達を行うのに使用することができるグレードの高い担保の水準及び利用可能性を定期的に評価及びテ
ストしている。当グループの緊急時資金調達源には、当グループのHQLAポートフォリオ、複数の主要な中央
銀行による利用可能で未使用の流動性ファシリティ、並びにトレーディング・ポートフォリオ流動資産の緊
急低減が含まれる。
負債及び資金調達管理
グループ財務部門は、当グループが、バランスの良い分散した負債の構造を維持するよう、集中リスク
を含む資金調達状況を定期的に監視している。当グループにおける資金調達管理は、確実かつ費用効率のよ
い方法で当グループの事業の資金を調達する、最適な資産負債構造の構築を目指したものであり、当グルー
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プの資金調達業務は、市況が困難な時期において継続中の事業活動を支援するために必要となる、安定的な
資金調達の金額を考慮したうえで、当グループの貸借対照表の全体的な流動性及び資金調達プロフィールの
分 析を行うことによって計画されている。
UBSグループAGの資金調達戦略は、資金調達計画の中で毎年設定され、資金調達管理方針の統制枠組みに
基づき四半期毎に見直される。資金調達計画は、通貨、市場及び期間の多様性等の要因を考慮し、グループ
財務部門が策定し、グループALCOが承認している。具体的な商品タイプを対象に資金調達計画に定義された
資金調達取引の運営取引実行は、事業部門に委譲される(例えば、インベストメント・バンクに対する仕組
債)。上記に拘わらず、グループ財務部門はあらゆる種類の商品に対して総括的な責任と監督義務を負って
いる。
グループ財務部門は、集中度の上限、加重平均の満期の下限及び金額を含む資金調達創出のための制限
と目標を提案、設定及び監督する。効果的な多様性を確保し、資金調達集中の可能性に対処するために、実
際の結果(月次及び年初来の活動)が月次でモニタリングされ、グループ財務報告書に集計される。資金調
達の多様性は、商品の種類、単一カウンターパーティ・エクスポージャー(全体に占める割合)、満期構
成、及び負債構成に対する特定の資金調達源の総合的寄与度に焦点を当てて、継続的に監視されている。
当グループの事業活動により生じる資産及び負債のポートフォリオは、市場、商品、期間及び通貨に関
して高度に多様化している。これにより、当グループのそれぞれの資金源へのエクスポージャーが減少し、
また幅広い投資機会を得ることができ、流動性リスクも減少する。
グローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・バンキングは、重要で費用効率
的、かつ確実な資金源を提供している。これには、中核預金及びスイス・カバード・ボンドが含まれてお
り、スイス・カバード・ボンドは長期の資金調達を行うために、当グループのスイス住宅モーゲージのポー
トフォリオの一部を(差入担保として)使用している。加えて、当グループには、非劣後無担保債務及び仕
組債、並びに短期債を発行するための、短期、中期及び長期の資金調達プログラムがいくつか存在する。こ
のプログラムにより、ヨーロッパ、米国及びアジア太平洋地域の機関投資家及び個人投資家は、UBSの債券
への投資をカスタマイズすることができる。こうした幅広い商品ラインナップ及び資金源は、当グループの
全世界に亘る事業活動範囲と相俟って、当社の資金調達の安定性を下支えしている。
貸借対照表上の負債(2018年1月1日現在と2018年12月31日現在の比較)
負債合計は、190億米ドル増加して、2018年12月31日現在で9,050億米ドルとなった。非金融負債及びユ
ニットリンク型投資契約に係る未払額は、ユニットリンク型投資契約に関する負債が増加し、関連資産がそ
れに応じて増加したことに起因して、100億米ドル増加した。
2018年12月31日現在で当グループの資金源の22%を占める既発の長期債は、90億米ドル増加した。これ
は、仕組債の発行が増加したことにより、公正価値での測定を指定された既発の債務が60億米ドル増加した
ことを反映していた。それに加え、償却原価で保有される長期債が20億米ドル増加した。これは主に、34億
米ドル相当の当グループの総損失吸収力(TLAC)に寄与するユーロ建て及び円建ての非劣後無担保債務の発
行、97億米ドル相当の非劣後無担保債務の発行、並びに25億米ドル相当の米ドル建て及びシンガポール・ド
ル建ての高トリガー損失吸収その他tier 1資本性証券の発行によるものであった。これらの発行額は、100
億米ドル相当の非劣後無担保債務の満期償還又は早期償還、及び15億米ドル相当のTier 2資本性証券により
一部相殺されている。
顧客預金は、60億米ドル増加した。これは主に、パーソナル&コーポレート・バンキング及びグローバ
ル・ウェルス・マネジメントで預金が増加したことによるが、為替効果により一部相殺されている。2018年
12月31日現在、顧客預金は当グループの資金源の60%を占めており、ローン残高に対する顧客預金の比率
は、131%(2017年12月31日現在では128%)であった。デリバティブ及び受入担保金は、前述したデリバ
ティブ資産及び差入担保金の増加に沿って、40億米ドル増加した。
短期借入金は、100億米ドル減少した。これは主に、事業部門による資金調達消費高純額の減少に関連し
たコマーシャル・ペーパー及び譲渡性預金の正味償還額を反映していた。また、短期借入金は当グループの
資金源の7%を占めた。
資本
2018年10月1日より、UBSグループAG及びUBS AGのスイス本店の機能通貨がスイス・フランから米ドルに
変更され、UBS AGのロンドン支店の機能通貨も英ポンドから米ドルに変更されている。UBSグループAGの連
結財務諸表の表示通貨についても、当グループの重要な事業体の機能通貨の変更に沿ってスイス・フランか
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ら米ドルに変更された。従前の期間は、この表示通貨の変更のため、再表示されている。これにより、為替
換算調整に関するその他の包括利益(OCI)の現時点までの累計残高は、資本のその他の要素に対する影響
額 を相殺しつつ、変動した。
2018年12月31日現在の株主に帰属する持分は、4億3,200万米ドル増加し、529億2,800万米ドルとなっ
た。この増加には、新しい会計基準の適用からの影響額が含まれており、かかる影響額により株主に帰属す
る持分は6億1,700万米ドル減少した。
株主に帰属する包括利益合計は、当期純利益45億1,600万米ドル及びOCIマイナス2億9,000万米ドルを反
映して、プラス42億2,500万米ドルとなった。マイナスのOCIには、為替差損5億4,100万米ドル、キャッ
シュ・フロー・ヘッジの純損失2億6,900万米ドル、OCIを通じて公正価値で測定される金融資産に関連する
マイナスのOCI4,500万米ドルが含まれていたが、5億900万米ドルの自己の信用の利得及び5,600万米ドルの
確定給付制度の利益純額により一部相殺されている。
資本剰余金は、27億5,500万米ドル減少したが、これは主に、資本準備金からの24億4,000万米ドルの支払
及び株式報酬制度に基づく自己株式の受渡しによる10億900万米ドルの減少が、損益計算書における繰延株
式報酬の償却による6億7,600万米ドルの増加により一部相殺されたことに起因する。
自己株式に係る正味の活動により、株主に帰属する持分は、4億2,100万米ドル減少した。これは主に、
当グループの株式買戻しプログラムに基づく2018年の株式買戻し7億6,200万米ドルが、従業員株式報酬に
関する自己株式の正味処分により一部相殺された結果である。
非支配株主持分に帰属する持分は、1億1,700万米ドル増加し、1億7,600万米ドルとなった。これは主
に、UBSセキュリティーズ・チャイナの株式保有が2018年に24.99%から51%に増加したことによる、この事
業体の連結化及び非支配株主持分の再認識に関連していた。
安定調達比率
安定調達比率(NSFR)の枠組みは、短期のホールセール資金調達への過度の依存を制限し、全てのオン
バランスシート及びオフバランスシートの項目を通じて資金調達リスクの評価を改善し、かつ資金調達の安
全性を促進することを意図したものである。NSFRは、利用可能な安定調達額(ASF)及び所要安定調達額
(RSF)の2つの要素から成り立っている。ASFは、1年を通じて利用可能であると期待される、資本及び負
債の部分である。RSFは、満期日、資産に対する負担及びその他の性質、並びに、オフバランスシートのエ
クスポージャーにより資金調達流動性の必要が偶発的に生じる可能性に基づく、資産の安定調達要件につい
ての基準である。バーゼル銀行監督委員会(BCBS)のNSFR規制の枠組みは、2018年以降、この比率が100%
以上であることを求めている。
当グループは、プロフォーマ・ベースの予想NSFRを、FINMAの現行の指針に基づいて報告しており、スイ
スにおけるBCBSのNSFRの開示基準が最終的に実施された場合には、これに従ってNSFRを調整する。当グルー
プのプロフォーマ・ベースの予想NSFRの計算は、NSFRの規制の効果についての解釈及び予想を含んでおり、
今後、規制の解釈が進展し、新たなモデルとこれに関連する制度が強化された際には、再構成される。2018
年11月、スイス連邦参事会は、元々2018年1月1日に予定されていたNSFRの導入を2019年度末に再検討する
と通知した。
2018年12月31日現在、当グループのプロフォーマ・ベースの予想NSFRは110%であり、2017年12月31日の
数値から5パーセント・ポイント上昇した。これは主に、トレーディング資産及びプライム・ブローカレッ
ジ債権の減少に主に関連した所要安定調達額の100億米ドルの減少、並びに新規発行及び預金の増加を主因
とする利用可能な安定調達の増加を反映したものであった。
内部資金調達及び資金移動の価格設定
当グループは、全ての支店及び子会社における流動性管理につき、統合された流動性及び資金調達の枠
組みを適用しており、当グループの主要な流動性の高い資産は、完全連結の事業体間でやりとりされてい
る。グループALMは、余剰資金を生み出している事業体から、融資を必要とする事業体に資金を流すことに
より、内部の資金調達需要を満たしている。ただし、移動制限がある状況はこの限りではない。
資金調達費用及びその便益は、当グループの流動性及び資金調達のリスク管理の枠組みに従って、事業
部門並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオに配分されている。グループ財務部門が管理する、当
グループの内部資金調達の価格設定制度は、各事業部門の資産及び計画された活動を支援するための適切な
負債構造を提供することを意図したものである。資金移動の価格設定の仕組みは、流動性及び資金調達リス
クを発生させている活動に資金調達及び流動性費用を配分することを目指したものであり、黒字事業から資
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金不足の事業への資金の移動を取り扱っている。資金調達は、各事業の資産構成、流動性及び確実な外部資
金調達を反映した比率及び期間で、事業間で内部移動又は配分されており、主要な子会社については、各子
会 社毎に行われている。当グループは、内部資金移動の価格設定の仕組みを定期的に見直し、当グループの
流動性及び資金調達管理の目的達成を促進するために適切な強化を行っている。
信用格付
信用格付は、特にホールセール無担保資金源からの資金調達に関し、資金調達の費用及び利用可能性に
影響を与える可能性がある。当グループの信用格付は、当グループの一部の事業の業績並びに顧客及びカウ
ンターパーティの信頼水準にも影響を与える可能性がある。格付機関は、信用度を評価し、信用格付を設定
するにあたり、幅広い要素を考慮する。かかる要素には、会社の戦略、商況、営業基盤の価値、利益の安定
性及び質、自己資本比率、リスク・プロフィール及びリスク管理、流動性管理、資金源の分散化、資産の品
質並びにコーポレート・ガバナンスが含まれる。信用格付は、格付機関の意見を反映したものであり、随時
変更される場合がある。
当グループの流動性要件及び資金調達要件を評価するにあたり、当グループは、UBSの長期の格付の引き
下げ及びこれに伴う短期の格付の引き下げにより生じうる影響を考慮している。
当グループの格付が引き下げられた場合、格付によるトリガー条項により、店頭デリバティブのポジ
ションに関連する契約上の義務及びその他の義務に基づき、即時の現金決済が行われる可能性、又はカウン
ターパーティに対する追加担保の差入の必要が生じる可能性がある。2018年12月31日現在の当グループの信
用格付に基づき、長期の信用格付に1段階、2段階又は3段階の引き下げが行われた場合、当該契約上の義
務につき、それぞれ0億米ドル、4億米ドル及び12億米ドルが必要となる。そのうち、追加担保の差入に関
連する部分は、それぞれ0億米ドル、3億米ドル及び10億米ドルである。
2018年に、UBSグループAG及びUBS AGの依頼格付に関する主要な格付アクションが3回行われた。
2018年1月29日、スタンダード&プアーズのグローバル・レーティングズは、UBSグループAGの高トリ
ガーのその他Tier 1資本性証券の格付を、BB+からBB(見通しは安定的)に引き下げた。
2018年6月18日、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は、UBS AGの長期非劣後
無担保債務の格付を、2018年4月5日に格付引き上げの方向で再検討した後、A1からAa3(見通しは安定
的)に引き上げた。ムーディーズは、UBSグループAGが保証するTLAC適格非劣後無担保債務(UBSグループ・
ファンディング(スイス)AGからの発行)に対し非依頼ベースで格付を付与している。ムーディーズは、こ
の債務に対する長期格付も2018年6月18日付でBaa1からA3(見通しは安定的)に引き上げた。
2018年11月22日、格付投資情報センター(R&I)は、UBSグループAGの発行体格付をAに据え置いたが、見
通しを安定的からポジティブに見直した。
資産及び負債の満期分析
以下の表は、貸借対照表の日付現在の残余満期別の、オンバランス及びオフバランスの資産及び負債の分
析を示している。負債の契約上の満期は、帳簿価額及び支払を要求される可能性のある最も早い日に基づい
ている。資産の契約上の満期は、帳簿価格に基づいており、償還条項による影響を含んでいる。次の表にお
ける帳簿価額での負債の表示は、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する
注記」の「注27 金融負債の満期別分析」とは異なっている。同項においては、当該負債は、国際財務報告
基準の求めるところに従い、割引前ベースで表示されている。
デリバティブ金融商品並びに公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び負債は、それぞ
れの契約上の満期が1ヶ月を大幅に超える可能性に留意しつつ、 1ヶ月以内に期限到来 の項目に振り分けら
れている。
(公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産の中で表示される)ユニットリンク型投
資契約をヘッジする目的で保有される資産は、(公正価値での測定を指定されたその他の金融負債の中で表
示される)ユニットリンク型投資契約に基づく関連支払金額に設定された満期に沿って、 1ヶ月以内に期限
到来 の項目に振り分けられている。
契約上の満期のないその他の金融資産及び負債(エクイティ証券等)は、 無期限/該当なし のタイムバ
ケットに振り分けられている。日付なし又は無期限の商品は、当該商品のカウンターパーティが権利を有す
る契約上の通知期間に基づいて分類されている。契約上の通知期間が存在しない場合は、日付なし又は無期
限の契約は、 無期限/該当なし のタイムバケットに振り分けられている。
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契約上の満期のない非金融資産及び負債は、概ね 無期限/該当なし のタイムバケットに振り分けられてい
る。
ローン・コミットメントは、最も早く到来する実行可能日に基づき分類されている。
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資産及び負債の満期分析
1ヶ月超 3ヶ月超 6ヶ月超 9ヶ月超 2年超
1ヶ月以 3ヶ月以 6ヶ月以 9ヶ月以 12ヶ月以 1年超2 5年以内
内に期限 内に期限 内に期限 内に期限 内に期限 年以内に に期限 期限 無期限/
単位:十億米ドル 到来 到来 到来 到来 到来 期限到来 到来 5年超 該当なし 合計
資産
現金及び中央銀行預け金 108.3 0.1 108.4
銀行貸出金及び前渡金 15.4 0.8 0.4 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 16.9
有価証券ファイナンス取引による債権 67.6 17.5 4.8 2.6 1.7 1.3 95.3
デリバティブに係る差入担保金 23.6 23.6
顧客貸出金及び前渡金 118.5 35.1 13.0 7.7 10.2 25.5 63.2 47.2 320.4
償却原価で測定されるその他の金融資産 5.2 0.7 0.4 0.7 0.7 2.0 4.5 8.3 22.6
償却原価で測定される金融資産合計 338.6 54.1 18.4 11.2 12.7 28.8 67.7 55.6 587.1
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金
融資産 104.4 104.4
内、取引相手先により売却又は再担保差入され 32.1
ている可能性のある差入担保資産 32.1
デリバティブ金融商品 126.2 126.2
ブローカレッジ債権 16.8 16.8
公正価値で測定されるトレーディング目的保有で
ない金融資産 34.3 8.8 5.4 5.5 6.1 7.8 11.0 2.4 1.4 82.7
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合
計 281.7 8.8 5.4 5.5 6.1 7.8 11.0 2.4 1.4 330.1
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
金融資産 0.1 0.2 0.4 0.3 0.1 0.8 0.6 4.2 6.7
関連会社投資 1.1 1.1
有形固定資産及びソフトウェア 9.3 9.3
のれん及び無形資産 6.6 6.6
繰延税金資産 10.1 10.1
その他の非金融資産 6.1 1.3 0.0 7.4
2018年12月31日現在の資産合計 626.5 63.0 24.2 17.0 18.9 37.4 80.6 62.2 28.6 958.5
2017年12月31日現在の資産合計 589.1 72.5 26.5 18.0 23.5 36.0 86.6 59.0 28.1 939.3
負債
銀行預り金 7.9 1.0 0.6 0.7 0.2 0.0 0.5 0.0 11.0
有価証券ファイナンス取引による債務 9.5 0.5 0.3 0.0 10.3
デリバティブに係る受入担保金 28.9 28.9
顧客預金 395.8 13.0 4.5 1.2 1.2 2.3 1.8 0.0 419.8
償却原価で測定される社債 4.5 5.4 17.4 13.3 7.5 18.4 30.7 24.8 10.2 132.3
償却原価で測定されるその他の金融負債 6.9 6.9
償却原価で測定される金融負債合計 453.5 19.9 22.8 15.3 9.0 20.7 33.0 24.9 10.2 609.2
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金
融負債 28.9 28.9
デリバティブ金融商品 125.7 125.7
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債 38.4
務 38.4
公正価値での測定を指定された社債 15.9 18.0 4.8 2.2 2.8 1.8 4.6 7.1 57.0
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債 30.1 0.4 1.0 0.1 0.0 1.2 0.1 0.8 33.6
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合
計 239.1 18.4 5.8 2.3 2.7 2.9 4.7 7.8 283.7
引当金 3.5 3.5
その他の非金融負債 3.6 3.2 2.3 9.0
2018年12月31日現在の負債合計 699.7 41.4 28.6 17.6 11.7 23.6 37.7 32.7 12.5 905.4
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2017年12月31日現在の負債合計 684.8 41.8 31.6 16.2 15.0 14.3 38.9 35.3 8.8 886.7
保証、コミットメント及び先日付スタートの取引
ローン・コミットメント 34.1 0.3 0.2 0.1 0.1 34.7
保証 19.8 19.8
リバース・レポ契約 9.0 0.0 9.0
有価証券借入契約 0.0 0.0
2018年12月31日現在の合計 63.0 0.3 0.2 0.1 0.2 0.0 0.0 0.0 63.6
2017年12月31日現在の合計 71.9 0.2 0.1 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0 72.5
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オフバランスシート
オフバランス取引
当グループは、通常の業務過程において、国際財務報告基準に準拠して、その全部又は一部が当グループ
の貸借対照表に計上されない取引を行っている。当該取引には、デリバティブ商品、保証及び類似の取引、
並びに非連結会社の購入持分及び留保持分の一部が含まれ、これは顧客の特定のニーズを充足するため、又
は当グループの支配下にない事業体を通じた投資の機会を顧客に提供するためのヘッジ活動やマーケット・
メイキング等の複数の理由によるものである。
当グループが、かかる取引を通じて、債務を負担し又は資産に対する権利を取得した場合、当グループは
これらを貸借対照表に計上する。貸借対照表上で認識される金額は、一定の場合、当該取引に内在する潜在
的な利得又は損失の全額を表示していないことに留意する必要がある。
オフバランスシートの2018年度における変動
先日付スタートのリバース・レポ契約は40億米ドル減少し、先日付スタートのレポ契約は80億米ドルで
横ばいであった。保証は、グローバル・ウェルス・マネジメントを中心に、10億米ドル増加した。ローン・
コミットメントは、50億米ドル減少した。これは主に、当該年度中に実行、取消又はシンジケートされたコ
ミットメントに起因するインベストメント・バンクのコーポレート・クライアント・ソリューション事業に
おける減少を反映していた。
以下は、様々な異なるオフバランス取引についての詳細な情報である。オフバランス取引についての更に
詳細な情報は、主に本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注
10、11、21、23、24i、26、31及び33、並びに www.ubs.com/investors に公表されている「Pillar 3
disclosures」の2018年12月31日付第3の柱に関する報告(英文)において提供されている。
リスク開示(当グループによるオフバランス・ビークルへの関与を含む。)
当グループのエクスポージャー(オフバランス・ビークルへのエクスポージャーを含む。)に関連する
包括的な信用リスク、市場リスク及び流動性リスクの情報については、下記「リスク管理及び統制」の項を
参照されたい。
非連結投資信託へのサポート
2018年度、当グループは、非連結投資信託に対して資金面又はその他の実質的なサポートを提供しなかっ
た。グループにかかる契約上の義務はなく、またサポートを提供する意思もない。
保証及び類似取引
当グループは、通常の業務過程において、様々な保証、信用供与コミットメント、顧客支援のためのスタ
ンドバイ信用状及びその他の信用状、先日付スタートの取引のコミットメント、債券発行ファシリティ並び
にリボルビング引受ファシリティを発行する。関連するプレミアムを除き、通常、かかる保証及び類似義務
は、潜在的な損失又は予想信用損失を埋め合わせる引当金が要求されない限り、オフバランスシートの項目
として維持される。
保証及び類似商品からのネット・エクスポージャー(総価値からサブ・パーティシペーションを差し引
く。)は、2017年12月31日現在で164億米ドルであったのに対し、2018年12月31日現在では170億米ドルと
なった。保証の発行による手数料収入が2018年度及び2017年度の収益全体に占める割合は多くはなかった。
保証は、一定の条件を充足することを条件に、当グループの顧客が第三者に対する義務を履行しなかった
場合に当グループが支払を行う旨の取消不能の保証を表章する。当グループはまた、当グループの顧客の流
動性需要を確保する目的で利用できる信用枠により信用供与コミットメントを行う。未使用の信用枠の大部
分は1ヶ月から5年を満期とする。顧客が義務を履行しなかった場合、当グループの信用リスクのエクス
ポージャーは、かかる商品の契約金額を上限とする。かかるリスクは、融資の供与に伴うリスクに類似して
おり、それと同一のリスク管理及び統制の枠組みに服する。当グループは、ローン・コミットメント、保証
及び予想信用損失測定の範囲内のその他のクレジット・ファシリティに関連して、2017年度については
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2,200万米ドルの正味信用損失戻入を計上したのに対し、2018年度については1,200万米ドルの正味信用損失
費用を計上した。保証及びローン・コミットメントに関して認識された引当金は、2017年12月31日現在では
3,400 万米ドルであったが、2018年12月31日現在では1億1,600万米ドルとなった。
一定の債務について、当グループは、保証及びローン・コミットメントから発生する様々なリスクを軽減
するため、一部でサブ・パーティシペーションを行う。サブ・パーティシペーションとは、債務者により債
務が履行されなかった場合に損失の一部を負担する旨、及び該当する場合にはクレジット・ファシリティの
一部の資金を調達する旨の第三者による同意である。当グループは、債務者との間で契約関係を有し、サ
ブ・パーティシペーション参加者は、間接的な関係のみを有する。当グループは、債務者と同等又はそれ以
上の信用格付を有すると当グループが認める銀行との間でのみサブ・パーティシペーション契約を締結す
る。
更に、当グループは、通常の業務過程で、第三者に対し表明、保証及び補償を提供する。
決済機関及び取引所の会員
当グループは、様々な証券取引所、デリバティブ取引所及び決済機関の会員である。かかる会員資格の一
部に関し、当グループは、他の不履行会員の金融債務の一部の支払を余儀なくされ、又はその他追加の金融
債務にさらされる可能性がある。会員規則は変更されるものの、債務は、通常、取引所又は決済機関がその
リソースを使い果たした場合にのみ発生する。当グループは、かかる債務により重大な損失が発生する可能
性はほとんどないと考えている。
預金保険
スイスの銀行法及び預金保険制度は、スイスの銀行及び証券ディーラーに対し、スイスの銀行又は証券
ディーラーが破産した場合の優先顧客預金として60億スイス・フランを上限とする金額を共同で保証するよ
う求めている。FINMAは、当グループが預金保険制度に納付する保険料は、9億スイス・フランになると見
積もっている。
当グループは、ドイツ銀行協会の預金保護基金の構成員として、ドイツの銀行がその債務を履行できなく
なる場合に、預託者毎に100,000ユーロ超2億1,010万ユーロ未満の金額に対し一定の非機関預金の対象範囲
に関連した補償を当該基金に提供するよう求められている。
前述した預金保険の要件は、偶発的な支払債務を表しており、当グループを追加のリスクにさらす。2018
年12月31日現在、当グループは、かかる債務により重大な損失が発生する可能性はほとんどないと考えてい
る。
契約債務
2018年12月31日現在の長期債務は、1,670億米ドルであり、公正価値での測定を指定された社債(590億米
ドル)及び既発の長期債(1,070億米ドル)で構成されており、将来の利息の概算及び割引前の元本支払額
を表している。
長期債務合計のほぼ半数が変動利付であった。2018年12月31日現在の金利スワップの名目価額は、640億
米ドルであった。公正価値での測定を指定された社債は主に仕組債で構成されており、大部分が経済的に
ヘッジされているが、かかる商品をヘッジするために用いられた金利スワップの支払金額及び/又は支払時
期を見積もることは、各々の負債に内在する金利リスクが一般的にポートフォリオ・レベルで管理されてい
るため、難しいと考えられる。
(当グループが退職する従業員に対する契約上で合意した給与の支払を要求される)通知期間中の従業員
債務は、購入債務に含まれない。
通貨管理
戦略、目的及びガバナンス
2018年10月1日以降、米ドルが当グループの表示通貨となった。この変更により、当グループの通貨管理
活動は、BoDが設定する限度内で、当グループの米ドルで報告された財務成績に対して為替換算が与える悪
影響を減じるために再調整された。グループALMは、(ⅰ)米ドル以外の通貨建ての資産及び負債の同一通
貨での資金調達及び投資、(ⅱ)米ドル以外の通貨建ての利益及び損失のセルダウン、並びに(ⅲ)貸借対
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照表における構造的不均衡の影響を更に軽減するための米ドル以外の通貨建ての予想利益及び損失の選択的
ヘッジという、為替リスクの管理における3つの主要分野に注力している。報告を行う事業体の機能通貨以
外 の通貨建ての取引から生じる非トレーディング為替リスクは、市場リスク制限に基づいて管理されてい
る。グループALMが行う活動には、当グループ連結レベルでの構造的な通貨構成の管理が含まれる。
米ドル以外の通貨建ての資産及び負債への同一通貨での資金調達及び投資
貸借対照表上の通貨関連項目及び非中核投資においては、当グループは、実務的かつ効率的な場合に限
り、資金調達の目的において、当グループの資産及び負債の通貨を一致させる原則に従っている。これによ
り、米ドル以外の通貨建ての資産及び負債からの為替差益及び差損の発生を回避できる。
純投資額のヘッジ会計は、普通株式等Tier 1(CET1)自己資本及びCET1自己資本比率の両者に対する為替
変動の影響を均衡させるために、米ドル以外の通貨建ての中核投資に適用されている。
米ドル以外の通貨建ての利益及び損失のセルダウン
外国の子会社及び支店の損益計算書の項目で、米ドル以外を機能通貨とするものは、関連する月末の為
替レートを用いて、月次で米ドルに換算される。外国通貨で計上済みの利益の換算による利益の変動を減少
させるために、グループALMは、UBS AG及びその支店で発生した利益及び損失を集約し、かかる利益又は損
失を米ドルに換算して売買している。当グループの外国の子会社は、同様のセルダウン処理を月次で行い、
機能通貨に交換している。機能通貨が米ドル以外の通貨である外国子会社の利益剰余金は統合され、当グ
ループの純投資額のヘッジ会計プログラムの一環として管理されている。
米ドル以外の通貨建ての予想利益及び損失のヘッジ
グループALCOは、為替レートが悪化する可能性に備えて、予想される将来の外国為替建て利益及び損失
を保護するべく、ヘッジ取引を行うよう、随時グループALMに指示する場合がある。こうした取引は将来の
利益をヘッジすることを意図したものではあるが、未決済の通貨ポジションとして計上され、バリュー・
アット・リスクの内部市場リスク制限及びストレス損失制限に服する。
キャッシュ・フロー
グローバルな金融機関である当グループのキャッシュ・フローは複雑であり、当グループの純利益及び純
資産と殆ど関係がない場合がある。従って、当グループの流動性ポジションを評価するにあたり、従来の
キャッシュ・フロー分析は、本項の他の箇所に記載された、流動性、資金調達並びに資本管理の枠組み及び
方法と比較して意義がないと当グループは考えている。
現金及び現金同等物
2018年12月31日現在の現金及び現金同等物の合計は、営業活動による純資金流入に起因して、2017年12月
31日現在から212億米ドル増加し、1,261億米ドルとなったが、投資活動による純資金流出により、一部相殺
されている。
営業活動
2018年度の営業活動による純資金流入は、289億米ドルであった。営業活動による正味キャッシュ・フ
ロー(営業活動に係る資産及び負債の変動並びに支払税金控除前)は、2億米ドルの流出であった。営業活
動に係る資産及び負債の変動は、291億米ドルの純資金流入をもたらした。これは主に、ブローカレッジ債
権及び債務に関連した114億米ドルの純資金流入、公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金
融資産並びにその他の金融資産及び負債からの111億米ドルの純資金流入、公正価値で測定されるトレー
ディング目的保有金融資産及び負債並びにデリバティブ金融商品からの111億米ドルの流入、並びに顧客預
金からの91億米ドルの流入に起因していた。これらの流入額は、有価証券ファイナンス取引からの112億米
ドルの純資金流出及び顧客に対する貸付残高からの52億米ドルの純資金流出により、一部相殺されている。
2017年度の営業活動による純資金流出は、521億米ドルであった。営業活動による正味キャッシュ・フ
ロー(営業活動に係る資産及び負債の変動並びに支払税金控除前)は、67億米ドルの流入であった。営業活
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動に係る資産及び負債の変動は、588億米ドルの純資金流出をもたらした。これは主に、公正価値で測定さ
れるトレーディング目的保有金融資産及び負債並びにデリバティブ金融商品に関連した235億米ドルの純資
金 流出、顧客貸出金及び前渡金からの145億米ドルの純資金流出、並びに顧客預金からの130億米ドルの純資
金流出に起因していた。
投資活動
2018年度においては、投資活動の結果、純資金流出は61億米ドルとなった。これは主に、償却原価で測定
される負債証券の買入れ及び償還からの38億米ドルの純資金流出に関連していた。
2017年度においては、投資活動の結果、純資金流入は52億米ドルとなった。これは主に、その他の包括利
益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還による153億米ドルの資金流入総額に関連するも
のであったが、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の購入に関連する、86億米ドルの
資金流出総額により一部相殺されている。
財務活動
2018年度においては、財務活動の結果、純資金流入は2億米ドルとなり、これは主に、長期債の正味発行
額163億米ドルによるものであり、これには公正価値での測定を指定された社債が含まれているが、短期債
の正味返済額122億米ドル、株主への配当金分配24億米ドル及び自己株式取得に用いられた現金純額14億米
ドルにより一部相殺されている。
2017年度においては、財務活動の結果、純資金流入は270億米ドルとなり、これは主に、短期債の正味発
行額245億米ドル及び長期債の正味発行額63億米ドルによるものであり、これには公正価値での測定を指定
された社債が含まれているが、株主への配当金分配23億米ドルにより一部相殺されている。
リスク管理及び統制
当グループの事業活動から生じるリスクの概要
当グループの事業活動の規模は、当グループの事業のリスクをカバーするために利用可能な資本、当グ
ループの自己資本比率、レバレッジ比率及び流動性比率への貢献を通じた当グループの貸借対照表上の資産
及び簿外資産の規模、並びに当グループのリスク選好に依存している。
当グループの全体的な信用リスク・プロフィールは年度を通じて安定した状態を維持し、当グループは引
き続き概ね低い水準で市場リスクを管理した。業務上の弾力性、コンダクト・リスク及び金融犯罪の防止は
引き続き注力すべきテーマとなっている。
リスク区分
当グループは、その事業部門及びコーポレート・センターの業務部門のリスク・エクスポージャーを下表
の概要の通り区分する。
リスクの定義
当グ
ループ
のリス
リスクの ク選好
独立の監視者
管理者 の枠組
みによ
る捕捉
の有無
主要リスク:当グループの事業が利益の創出のために負担することのできるリスク
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信用リスク: 顧客又はカウンターパーティのUBSに対する契約上の義務の不履 経営幹部 リスク・コン ○
行により損失を被るリスク。これには、決済リスク及び融資引受リスクが含ま トロール部門
れる。
決済リスク: 当グループが最初に対価を受領できると確実に判断できないう
ちに自らの義務を履行しなければならない価値の交換(例えば、有価証券対
現金)を伴う取引において発生する損失を被るリスク。
融資引受リスク: 再販を目的とした資金調達取引の保有期間中に発生する損
失を被るリスク。
市場リスク(トレーディング及び非トレーディング): 市場変数の悪化により 経営幹部 リスク・コン ○
損失を被るリスク。市場変数には、金利、為替相場、株価、信用スプレッド及 グループ トロール部門
び商品価格(貴金属価格を含む。)等の観測可能な変数、並びにボラティリ 財務部門
ティ及び相関性等の観測不能であるか間接的にのみ観測可能な変数が含まれ
る。市場リスクには、発行体リスク及び投資リスクが含まれる。
発行体リスク: 取引可能な有価証券又は発行体を参照するデリバティブを通
じて当グループがさらされている発行体に影響を与える信用事象に起因する
公正価値の変動により損失を被るリスク。
投資リスク: 金融投資として保有するポジションに関連する発行体リスク。
カントリー・リスク: 各国特有の事象に起因する損失を被るリスク。これに 経営幹部 リスク・コン ○
は、ある国の監督機関が債務の支払いを防止又は制限するトランスファー・リ トロール部門
スク、及びある国特有の政治動向又はマクロ経済動向によって生じるシステ
ミック・リスク事象が含まれる。
付随リスク:当グループの事業がその運営に付随してさらされているリスク
流動性リスク: 支払義務をその期限到来時に履行するために十分な資金を資産 グループ リスク・コン ○
から創出することができないリスク(ストレス時を含む。) 財務部門 トロール部門
資金調達リスク: 既存の資金調達ポジションが満了し、更改又は他のより高額
な資金源への転換が必要となった際のUBSの信用スプレッドが想定よりも拡大
したために資金調達費用が想定よりも高額となるリスク。ストレス事象におい
て利用可能な資金調達源の不足が想定される場合、資金調達リスクには資産の
競売処分による潜在的な追加の損失も含まれる。
構造的為替リスク: 米ドル以外の通貨建ての資本金を換算する際にマイナスの グループ リスク・コン ○
影響を与える外国為替レートの変動による当グループの資本金の減少リスク。 財務部門 トロール部門
オペレーショナル・リスク: 不適切な又は機能しない社内手続、人為的ミス及 経営幹部 グループ・コ ○
びシステム故障又は外的要因により生じる(意図的、偶発的又は自然発生的) ンプライアン
リスクであって、UBS、その顧客又はUBSが事業を営む市場に影響(財務上か非 ス、レギュレ
財務上かを問わない。)を与えるもの。該当する事象は、直接的な財務上の損 トリー&ガバ
失である場合もあれば、業務停止による収益の喪失といった間接的な形をとる ナンス部門
場合もある。また、これらにより当グループの評判や当グループの事業基盤が (GCRG)
毀損する虞があり、かかる場合はより長期にわたり財務上の影響を及ぼす。
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法的リスク: (ⅰ)適用法令規則の違反の責任を問われるリスク、(ⅱ)契 法務部門
約上又はその他の法律上の義務の違反の責任を問われるリスク、(ⅲ)UBS
の利益保護のために契約上の権利又は契約外の権利を適切に行使若しくは保
護することができない又は行使若しくは保護することを怠るリスク(上記の
いずれかに関する請求の当事者となるリスク、及びかかる一切の請求に関連
して弁護士・依頼者間の秘匿特権を失うリスクを含む。)、(ⅳ)法務チー
ムを適切に開発、監督し、これにリソースを割り当てることができない、又
は事業の法的リスク及びその他の事項について助言する外部の弁護士を適切
に監督できないリスク、並びに(ⅴ)一切の潜在的又は懸念される、あるい
は実際に開始された訴訟及び法的手続(民事、刑事、仲裁及び規制上の手
続、並びに/又は訴訟リスク若しくは訴訟の提起若しくはその懸念に発展し
うる一切の紛争若しくは調査を含む。)に適切に対応できないリスクに起因
して生じる、財務上又は風評上の影響。
コンダクト・リスク: 会社又はその職員の行為が顧客又は取引先に不当に影 GCRG
響を与え、金融システムの完全性を害し、又は効果的な競争を阻害して消費
者に損害が及ぶリスク。
コンプライアンス・リスク: 適用ある法令及び規則並びに当グループ自身の GCRG
内部基準を遵守しないことにより当グループが負うリスク。
サイバー及び情報セキュリティ・リスク: データ窃盗、詐欺又はサービス妨 リスク・コン
害を目的とした当グループの情報システムに対する外部又は内部からの攻撃 トロール部門
により重大な影響が及ぶリスク。サイバー攻撃とは、サイバー脅威が侵害行
為又は犯罪活動として顕現化したものであり、財務上、規制上又は風評上の
損害又は損失を引き起こす。
金融犯罪リスク: UBSが犯罪活動(内部及び外部からの窃盗及び詐欺、マ GCRG
ネーロンダリング、贈賄並びに汚職を含む。)を発見できず、制裁措置及び
禁止命令を遵守できず、又はこれらの事項に関わる関連当局からの要請に対
し報告し若しくは対応することができないリスク。
年金リスク: 確定給付型年金基金が保有する資産の公正価値の減少、並びに/ 人事部門 リスク・コン ○
又は数理計算上の仮定(例えば、割引率、平均余命、支給年金の増加率等)の トロール部門
変更及び/若しくは制度設計の変更に起因する確定年金債務の価値の変動に伴 及び財務部門
う拠出状態の悪化により当グループの資本にマイナスの影響が及ぶリスク。
環境・社会リスク: 環境的配慮又は社会的配慮を伴う活動に関連している者が 経営幹部 リスク・コン
関与している取引、製品、サービス又は活動により、UBSが風評被害又は財務 トロール部門
的損害を被るリスク。
モデル・リスク: モデル・リスクとは、誤りのあるモデル又は正しく使用され モデルの所有者 リスク・コン
なかったモデルから発信された情報及び報告に基づく意思決定により、財務的 トロール部門
損失又は非財務的影響(例えば、業績の不振、戦略的判断の誤り、当グループ
の評判の毀損等)が発生し、これにより望ましくない結果がもたらされるリス
クをいう。モデル・リスクは、入力情報、方法論、適用方法又は使用方法等、
様々な要因により発生しうる。
ビジネス・リスク:当グループが事業を行っている商業的、戦略的及び経済的環境から生じるリスク
ビジネス・リスク: 費用の減少によっても相殺されなかったことにより、取引 経営幹部 財務部門 ○
高及び/又はマージンが予想より低くなったことに伴い、利益に潜在的な悪影
響が及ぶリスク。
風評リスク
風評リスク: 顧客、株主、スタッフ及び一般社会等、当グループの利害関係者 全ての事業及び 全てのコント
の観点からの当グループの評判が毀損するリスク。 機能 ロール機能
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トップリスク及び新たに発生するリスク
下記に開示されるトップリスク及び新たに発生するリスクは、1年以内に実現する可能性があり、当グ
ループに重大な影響を与える可能性があると現在当グループが考えるリスクを反映したものである。投資家
は、これらのリスク及び当グループの戦略を遂行する能力に影響を与え、また、当グループの事業活動、財
政状態、業績及び将来の見通しに影響を与えうると当グループが考えるその他の重要なリスクが詳述されて
いる本書の「リスク要因」の項目に記載された全ての情報を慎重に検討すべきである。
- 当グループは、多くのマクロ経済問題や一般的な市場の動向の影響を受けている。本書の「リスク要
因」の「市場リスク及びマクロ経済リスク」に記載される通り、これらの外部圧力は、当グループの事
業活動及び関連する財務成績(主に利益幅及び収益の縮小、資産の減損及びその他の評価調整を通し
て)に重大な悪影響をもたらす可能性がある。従ってこれらのマクロ経済的要因は、当グループの継続
的なリスク管理活動のストレス・テストのシナリオ開発において検討の対象となる。
- 当グループは、当グループの事業に関連する大幅な規制変更にさらされており、かかる変更は、本書の
「リスク要因」の「規制上のリスク及び法的リスク」において詳述される通り、当グループの事業に重
大な悪影響を及ぼす可能性がある。
- 当グループは、世界的な金融サービス機関として、多数の異なる法律、税金及び規制の体制並びに広範
囲な規制上の監視に服している。本書の「リスク要因」の「規制上のリスク及び法的リスク」に記載さ
れる通り、当グループは重大な責任負担リスクにさらされており、また、様々な請求、紛争、法的手続
及び政府の調査の対象にもなっている。
- 日々進化を続けるサイバー攻撃による脅威は、多くの業界が直面する最も重要なリスクの1つである。
業界他社と同様、当グループは、データ窃盗、サービス妨害及びサイバー詐欺等の脅威に常にさらされ
ており、そのいずれもが当グループの事業に極めて甚大な影響を及ぼす可能性をはらんでいる。また、
当グループの事業はいずれも運営が複雑であるため、当グループは絶えずプロセス誤差、実行の失敗、
システム障害又は不正行為等のオペレーショナル・リスクにさらされている。コンダクト・リスクは当
グループの事業に本質的に内在するリスクである。マネーロンダリング、テロ資金供与、制裁措置違
反、詐欺、贈賄及び汚職を含む金融犯罪は、重大なリスクとなっている。規制当局の期待と関心の高ま
りは人やシステムへの投資を余儀なくさせ、また一方で、金融犯罪の特定と防止は最先端の技術や日々
変動する地政学的リスクにより更に複雑になっている。詳細については、本項の「オペレーショナル・
リスク」及び本書の「リスク要因」の「戦略、管理及び営業に関するリスク」を参照のこと。
リスク・ガバナンス
当グループのリスク・ガバナンスの枠組みは、3つの防衛線に沿って運営されている。第1の防衛線であ
る経営幹部は自身のリスク・エクスポージャーを担い、リスクを管理する効果的なプロセスとシステム(強
固かつ包括的な内部統制と書面手続を含む。)を維持することを求められる。経営幹部はまた、統制上の脆
弱性及び不十分なプロセスを特定するための適切な監督権及び審査手続を備えている。
第2の防衛線を構成する統制機能は事業から独立しており、グループCEOに直接報告を行う。統制機能は
独立した立場でリスクを監督し、これにはリスク選好の設定及び適用ある法令の不遵守の防止が含まれる。
第3の防衛線であるグループ内部監査部門は取締役会の監査委員会に報告を行い、ガバナンス、リスク管
理及び統制環境の全体的な効果を評価する(第1の防衛線及び第2の防衛線の目標達成状況の審査を含
む。)。
取締役会 (BoD)は、当グループのリスク原則、リスク選好及び関連するリスク制限(事業部門及びコー
ポレート・センターの業務部門への配分を含む。)の決定について責任を負う。BoDはBoDリスク委員会によ
り支援されており、同委員会は、当グループのリスク・プロフィール及びBoDが承認したリスク対応策の実
施を監視及び監督し、当グループのリスク選好の方法論を承認する。企業風土・責任委員会は、責任ある持
続可能な行動に関する当グループの評判を維持及び向上させるというBoDの職責をBoDが遂行するための支援
を提供する。同委員会は、UBSの社会的実績及び企業風土に関する利害関係者の関心事項及び期待を審査及
び評価し、BoDに対し適切な行動を提言する。
グループ執行委員会 (GEB)は、当グループにおけるリスク管理及び統制の確立及び実施全般について責
任を負う。同委員会は、当グループ全体のリスク・プロフィールを管理する。
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グループ・チーフ・エグゼクティブ・オフィサー (グループCEO)は、当グループの経営及び業績につい
て責任及び説明責任を負い、取引、ポジション及びエクスポージャーに関するリスク権限を有し、また各事
業 部門及びコーポレート・センターの業務部門内においてBoDにより承認されたリスク制限の配分を行う。
事業部門の社長 は、その事業部門の成功、リスク、業績及び価値について説明責任を負う。当該責任に
は、リスク・エクスポージャーを積極的に管理すること、並びに潜在的利益、リスク、貸借対照表及び資本
の利用のバランスを確保することが含まれる。 地域別の社長 は、担当地域におけるUBSの戦略の実施を推進
し、また、実在の又は潜在的に重大な規制上又は評判上の懸念に発展しうる活動及び問題をGEBに報告する
権限を有する。
グループ・チーフ・リスク・オフィサー (グループCRO)は、独立した立場で信用リスク、市場リスク、
カントリー・リスク、流動性リスク、資金調達リスク、サイバー及び情報セキュリティ・リスク、モデル・
リスク並びに環境・社会リスクを監督する責任を負う。これには、リスクの測定・評価手法の確立、リスク
制限の設定並びに信用リスク及び市場リスクに係る取引及びエクスポージャーの承認が含まれる。リスク・
コントロール部門も当グループ内で使用される全てのモデルに関するモデル・リスク管理の中核的機能であ
る。リスク統制プロセスは、方針と権限の枠組みによってサポートされる。 事業部門 及び 地域別のチーフ・
リスク・オフィサー は、それぞれの事業部門及び地域について代理権を有する。更に、リスク・オフィサー
にもそれぞれの専門知識、経験及び責任に応じて権限が与えられている。
グループ・チーフ・コンプライアンス及びガバナンス・オフィサー は、コンプライアンス・リスク及びコ
ンダクト・リスクなどの全てのオペレーショナル・リスクが、適切な測定及び集約プロセス並びに適切な報
告を含む効果的な統制の枠組みによって支えられる、当グループのリスク選好に沿って特定され、負担さ
れ、管理されるよう確保する責任を負う。
グループ・チーフ・ファイナンシャル・オフィサー (グループCFO)は、当グループ及び事業部門の財務
実績の透明性、評価及び発表について、並びに規制上及び財務上の報告要件、コーポレート・ガバナンスの
基準及び高い質と適時性を維持するための全社的なベストプラクティスに従った当グループの財務報告、予
想、計画及び統制手続について責任を負う。その他の職責としては、UBSの税務管理並びに資金業務及び資
本管理(資金調達リスク、流動性リスク及びUBSの法定自己資本比率の管理を含む。)等が挙げられる。
グループ・ジェネラル・カウンセル (グループGC)は、当グループの全ての訴訟問題及び手続の管理及び
報告並びに法的リスクが現実化した事案及び法的リスクが生じる分野の検討について責任を負う。
グループ内部監査部門 (GIA)は、独立した立場で当グループの戦略の遵守状況、ガバナンスの有効性、
リスク管理及び統制プロセス(法律上、規制上及び法定上の要件、並びに内部方針及び契約の遵守を含
む。)を当グループ、事業部門及び地域レベルで評価する。GIA部門長は、BoDの会長に報告する。また、
GIAはBoD監査委員会に対して職務上の報告系統を有する。
以上の役割及び責任の一部については、当グループの一定の重要な法人においても、同様の体制が敷かれ
ている。当該法人のリスク・オフィサーは、当グループのリスク・ガバナンスの枠組みを補完する法人統制
枠組みの一環として、当グループの一定の重要な法人に関する主要リスク及び付随リスクを独立した立場で
監督し統制する責任を負う。
リスク選好の枠組み
当グループのリスク選好は当グループの総合的水準により定義され、当グループが引き受ける意思を有す
るリスク又は回避することを意図するリスクの種類を反映している。リスク選好は、グループレベルで定義
される一組の補完的な定性的及び定量的リスク選好ステートメントによって決められ、当グループ、事業部
門別及び法人別の方針、制限及び権限を通じて当グループの全ての事業部門及び法人に適用される。リスク
選好ステートメントは、当グループの組織を通じた強固なリスク統制の企業風土を維持するために必要不可
欠な基盤である。下記の「リスク選好の枠組み」の図はかかる枠組みの主要要素を示している。かかる要素
の詳細については本項に記載の通りである。
定性的ステートメントは、当グループが望ましいリスク統制の企業風土を維持するよう確保することを目
的としている。定量的リスク選好の目標は、発生しうる経済的又は地政学的な重大有害事象の影響に対する
当グループの弾力性を向上させるよう設定されている。これらのリスク選好の目標は、当グループの最低資
本及び最小レバレッジ比率、当グループの支払能力、利益、流動性及び資金調達を対象としており、また、
年次事業計画プロセスの一環として行われるものも含め、定期的な見直しが行われている。
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これらの目標は、オペレーショナル・リスク選好の目標により補完されている。オペレーショナル・リス
ク選好の目標は、当グループのオペレーショナル・リスクの区分ごとに設定されている(例えば、市場行
為、窃盗、詐欺、情報守秘義務及び技術リスク)。既定のリスク耐性(当グループの営業収益に対する割合
に より表現される。)を超過するオペレーショナル・リスク事象は、適宜それぞれの事業部門別の社長又は
より上層に上申されなければならない。
定量的リスク選好の目標は、ポートフォリオ・レベルで設定された一連の包括的なリスク制限により支え
られている。これらは当グループ全体、個々の事業部門若しくは業務部門内、法人レベル又は資産クラスに
適用することができる。これらの追加的な定量的統制は典型的にはボトムアップの体制を採り、特定のポー
トフォリオを監視し、潜在的なリスク集中を特定するよう設定されている。
あらゆる製品及び事業を通じたリスク測定を集約したリスク報告は、当グループのポートフォリオ内の
様々なリスクの規模、類型及び感応度に対する識見を提供し、これにより既定の限度への遵守を確保するこ
とを目的としている。リスク・オフィサー、上級役員及びBoDは、かかる情報を用いて当グループのリス
ク・プロフィール及びポートフォリオの実績を把握する。
リスク選好の目標の状況は毎月評価され、BoD及びGEBに報告される。当グループのリスク選好は長い時間
の中で変更されることがある。そのため、とりわけ当グループの年次事業計画プロセスとの関連で、ポート
フォリオ制限や関連ある承認権限に定期的な見直し及び修正が行われる。
当グループのリスク選好の枠組みは単一の包括的な方針によって決定され、2013年に公表された金融安定
理事会の「効率的なリスク選好の枠組みに係る原則」に準拠している。
リスク選好の枠組み
リスク原則及びリスク統制の企業風土
当グループは、強固なリスク統制の企業風土を維持することに焦点を当てている。かかる企業風土は、今
日の高度に複雑化した営業環境において成功を収めるために不可欠な条件であり、また、持続可能な競争上
の優位性の根源である。あらゆる意思決定の中枢において堅実かつ厳格なリスクの負担を実施することによ
り、当グループは比類ない顧客満足を実現し、利害関係者の長期価値を創出し、そしてUBSを就労の場とし
て世界で最も魅力ある会社の1つにするという目標の達成を目指している。
当グループのリスク選好の枠組みは、当グループの柱となるもの、原則及び行動様式、当グループのリス
ク管理及び統制の原則、当グループの行動倫理規範並びに当グループの包括的報奨の原則に示される、当グ
ループのリスク統制の企業風土のあらゆる重要な要素を組み合わせている。これらは合わせて、当グループ
による意思決定を当グループの戦略、原則及びリスク選好と連携させることを目指している。これらはリス
ク認識を促進し、適切なリスクの負担をもたらし、強固なリスク管理及び統制プロセスを確立するための確
固たる基盤を提供する一助となる。これらの原則は、あらゆるレベルの従業員を対象とする一連の施策によ
り支援されており、これにはリーダーシップに対するUBSハウス・ビューが含まれる。リーダーシップに対
するUBSハウス・ビューとは、リーダーに対する期待値を明文化し、UBS全体で一貫したリーダーシップの基
準を設定するものである。また、これらの施策には当グループの優れた監督の原則が含まれ、当該原則は、
監督責任(具体的には、責任を取ること、自分の業務を把握し整理すること、自分の従業員を知り、彼らが
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何をしているのかを知ること、良好なリスク統制の企業風土を整えること、問題に対応し、解決すること)
について、管理責任者及び従業員に対する明確な期待値を設定している。
リスク管理及び統制の原則
財務の健全性の保護 評判の保護 経営幹部の説明責任 独立した統制 リスクの開示
全てのリスク・タイプ リスク、パフォーマン 経営陣の説明責任を維 事業のリスク管理の有 上級役員、BoD、投資
において、当グループ ス及び報酬に対する全 持し、これにより経営 効性を監視し、事業の 家、規制当局、信用格
のリスク・エクスポー 体的かつ総合的見解に 幹部は、リスク・コン リスク引受を監督する 付機関及びその他の利
ジャーを管理し、個別 より特徴づけられる健 トロール部門とは対照 独立のリスク統制機 害関係者に対する適切
のエクスポージャー・ 全なリスク統制の企業 的に、当グループが負 能。 な水準の包括性及び透
レベル、特定のポート 風土並びに当グループ 担するあらゆるリスク 明性を有するリスクの
フォリオ・レベル及び の行動倫理規範を始め に対し責任を負い、ま 開示。
会社全体のレベルで、 とする基準及び原則の た、バランスのとれた
潜在的なリスク集中を 完全な遵守を通じて、 リスクと利益の提供を
回避することにより、 評判を保護する。 目的として、全てのリ
UBSの財務の健全性を保 スク・エクスポー
護する。 ジャーを継続的かつ積
極的に管理する責任を
負う。
職員が安心して懸念を表明することのできる環境を維持するため、当グループは内部告発の方針と手続を
設けている。これらは、法律、規制、規則及びその他の法律要件、当グループの行動倫理規範、方針又は関
連ある専門基準に係る違反の疑いについて、個人が(公然と又は匿名で)上申することのできる複数のルー
トを提供する。当グループのプログラムは、内部告発された懸念事項が調査され、適切かつ一貫した措置が
確実に執られるよう設計されている。当グループは、引き続き全職員を対象とする意識向上のための研修と
コミュニケーションに尽力している。
また、当グループには全従業員を対象とする必修の研修プログラムがある。かかるプログラムは、マネー
ロンダリング防止及びオペレーショナル・リスクを含む、幅広い法令遵守及びリスク関連のテーマを取り扱
う。更に、専門的な研修(例えば、トレーディング分野の従業員に対する信用リスクや市場リスクの研修)
が従業員の具体的役割と責務に応じて提供されている。既定の期限以内に満足のいくレベルで必修の研修会
を修了できなかった場合は、懲戒等の処分の対象となる。コンダクト・リスクの枠組みを内包する当グルー
プのオペレーショナル・リスク対応策は、金融、規制及び風評リスク並びに顧客及び市場に対するリスクを
特定及び管理することを目的としている。
定量的リスク選好の目標
当グループは、一連の定量的リスク選好の目標を通して、リスク・エクスポージャー合計を当グループの
資本及び事業計画に基づき、当グループが望むリスク許容度内に確実に収めることを目指している。各目標
に係るリスク許容度の個別定義により、厳しいストレス事象下においても当グループの営業基盤を守り、最
低限の規制上の要件を上回るために当グループが資本、利益、資金調達及び流動性を十分確保することが求
められる。リスク選好の目標は、年次事業計画プロセスの一環として評価され、BoDの承認を受ける。リス
ク・エクスポージャーとリスク許容度との比較は、当グループの事業戦略及びリスク・プロフィールへの潜
在的な調整に係る経営判断において重要な留意事項である。
当グループは、グループレベルの深刻なストレス事象の影響を評価するために、シナリオに基づくストレ
ス・テストと統計的なリスク測定法の両方を利用している。これらの相補的な枠組みは、全ての重要な主要
リスク及び付随リスク並びに当グループの事業部門及びコーポレート・センターの業務部門の全てにわたる
ビジネス・リスクに対するエクスポージャーを捕捉している。
当グループは、厳しいストレス事象の場合のリスク許容度を判断するに当たり、収益見通しの減少及び費
用の減少(例えば、変動報酬の見越計上の戻入)を反映させるためにビジネス・リスクの戦略計画による収
益見通しを調整する。当グループはまた、繰延税金資産、年金制度資産及び負債並びに株主に対する投資利
益の見越計上額に対するストレスの影響を考慮するため、当グループの資本を調整する。
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下記図表は、2018年度における当グループの定量的リスク選好の目標の概要を示している。当グループ
は、過年度との対比として、ゴーイングコンサーンの最低資本目標及び最小レバレッジ比率目標を削除し
た。 これは、発行済のその他Tier 1(AT1)証券の額を考慮した場合、これらの目標が、その対応する普通
株式等Tier 1(CET1)目標の達成時に達成されるものであるからである。当グループの収益目標については
当グループ全体を考慮し、また、ストレス事象下における潜在的損失は過去の収益と比較する。
事業部門レベルのリスク選好ステートメントは、当グループ全体の目標から導かれるものである。事業部
門レベルのリスク選好ステートメントはまた、当該部門における特定の活動及びリスクに関連した、当該部
門特有の目標により構成されることがある。リスク選好の目標はまた、特定の法人についても設定される。
このような目標は、当グループ全体のリスク選好の枠組みに準拠していることを要し、当該法人及び当グ
ループの規制に従い承認される。これらの目標には、関連ある法人の特定の性質、規模、複雑性及び適用あ
る法令を反映した差異が生じることがある。
2018年度の定量的リスク選好の目的
IFRS第9号適用後のリスク選好
IFRS第9号に基づく予想信用損失(ECL)モデルの導入により、ローン、ローン・コミットメント、保証
及び特定の取消可能な融資枠から発生する信用リスクの会計処理方法が根本的に変更された。当該資産が信
用減損しているとみなされるか否かにかかわらず、償却原価による会計処理の対象となる全ての資産及びそ
の他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産(FVOCI)について準備金及び引当金(以下、本項
において「引当金」と総称する。)が決定される。引当金の金額は、個々の商品に関するリスク認識の変化
に応じて変動する。この点は、特に、資産につき、信用リスクが当初の評価に比べて著しく増加したと特定
されたときに、関係する。この場合、ECL引当金は、信用リスクに著しい悪化が生じていない場合における
報告日後最大12ヶ月間だけでなく、当該金融商品の残存期間にわたって発生する可能性のあるデフォルト事
由から生じるECLを保全することが必要になる。信用サイクル及び当グループのローン・ポートフォリオ構
成の動向に応じてECLが変動するため、ECL引当金により、信用損失費用のボラティリティが増加することが
ある。その影響は、悪化する経済環境においてより顕著になる可能性がある。
信用損失の認識時期を早めなければならないことがストレスのある状況における当グループのリスク・エ
クスポージャーに及ぼす影響は、当グループの見積りにおいて考慮されている。当グループは、IFRS第9号
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がより長期間にわたって変化する経済状況下で適用されるにつれて、かかる引当金の性質についての理解が
深まると予想しており、将来、当グループのリスク・エクスポージャーを更に調整する可能性がある。
当グループは、最新の情報及びIFRS第9号に基づくECL引当金が当グループの支払能力の目標に及ぼす影
響に基づき、当グループのリスク選好及び管理業務並びにIFRS第9号適用後の取引の価格設定及び組成の戦
略を変更していない。
内部リスク報告体制
リスクの包括的かつ透明性のある報告体制は、当グループのリスク・ガバナンスの枠組みに定める統制・
監督責任の中核をなすものであり、当グループのリスク管理及び統制の原則の要件である。従ってリスク
は、当該リスクの範囲及び変動性並びに様々な政府機関、規制当局及びリスク権限保有者からの要請に応じ
た頻度及び詳細さで報告される。
グループ・リスク報告書は、グループレベルのリスクに関する総合的意見(当グループのリスク選好の目
標の状況及び当グループ全体のストレス・テストの結果を含む。)と併せて、事業部門及びコーポレート・
センターの業務部門の主要リスク及び付随リスクの動向に関する詳細な定性的及び定量的概説を月次ベース
で提供する。グループ・リスク報告書はBoDリスク委員会及びGEB並びにグループ・リスク・コントロール部
門、グループ内部監査部門、財務部門及び法務部門の上級メンバーに対し内部的に配布される。グループ・
リスク報告書の主要な抜粋は、毎月のグループ・ファイナンス報告書及びグループ財務報告書の抜粋ととも
に、GEB及びBoDに提供される月次更新実績情報に掲載されている。リスク報告は、当グループの重要なグ
ループ事業体(強化されたコーポレート・ガバナンス基準の対象となる事業体)についても作成される。
部門別の精細なリスク報告は、それぞれの事業部門のチーフ・リスク・オフィサー及び事業部門の社長に
提供される。毎月行われるこの報告は、事業部門別及びコーポレート・センターの業務部門別の市場リスク
及び信用リスクに関する大小様々な日次又は週次報告により補完され、これによりリスク・オフィサー及び
上級役員は当グループのリスク・プロフィールを監視し統制することが可能となる。
主要リスク及び付随リスクを対象範囲とする当グループの内部リスク報告体制は、社外への情報開示や規
制上の報告においても使用されているリスク・データ及び測定システムにより支援されている。リスク・コ
ントロール部門内の専門の部署がリスクの測定、分析及び報告並びにリスク関連データの質及び完全性の監
督について責任を負っている。当グループのリスク・データ及び測定システムは、リスク・ベース監査の手
法に従い、グループ内部監査部門による定期的な見直しが行われる。
リスク測定
当グループは、ポートフォリオのリスク及びリスク集中の定量化について、様々な方法論や測定法を適用
している。標準的な測定法において完全に反映されないリスクは、追加の統制(特定の取引の事前承認及び
特別なリスク制限の適用を含む場合がある。)の対象とされる。通常、リスクの定量化モデルは統制機能内
の専任部門により確立され、独立した検証の対象となる。
モデルには承認が必要とされ、また、規制要件及び内部方針に従い定期的な見直しを行い、当該モデルが
想定通りに機能し、現実の事象や価値と同等の実績を残し、また、ベスト・プラクティスに基づくアプロー
チ及び最新の学術的発展を反映するものであるか否かの検証が行われる。当グループの検証は、当該モデル
が満足のいく水準で機能しているか否か、追加的な分析を要するか否か、及びモデルが再調整又は再開発を
要するか否かの評価を行う。評価結果及び結論は、関連あるガバナンス機関及び(義務づけられている場合
は)規制当局に開示される。
生産環境でモデルの質及びパフォーマンスを評価するために進行しているプロセスは、2つの要素によっ
て構成される。すなわち、モデル・リスク管理&統制部門(MRMC)が独立の立場でモデルの目的適合性を評
価するモデル検証と、モデルの出力及びその適用に関する正確性及び適切性を確認するための定期的な手続
であり、モデルの開発者により実施され、MRMCにより見直されるモデル確認である。
ストレス・テスト
当グループは、ストレス・テストを行うことで極端だが妥当なマクロ経済的及び地政学的ストレス事象か
ら生じ得る損失を推定している。ストレス・テストにより、潜在的な脆弱性及びリスク集中を特定し、その
理解を深め、管理することができる。ストレス・テストは、当グループ全体、事業部門、法人及びポート
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フォリオの各レベルにおける上限値の枠組みにおいて重要な役割を果たしている。ストレス・テストの結果
は定期的にBoD、リスク委員会及びGEBに報告される。上記「リスク選好の枠組み」に記載した通り、ストレ
ス・ テストは、統計損失測定と併せて、当グループのリスク選好及び事業計画プロセスにおいて中心的な役
割を果たしている。
当グループのストレス・テストの枠組みは、以下の3つの柱を包含している:すなわち①総合ストレス・
テスト、②広範囲にわたるポートフォリオ別及びリスク・タイプ別のストレス・テスト、③リバース・スト
レス・テストである。
当グループの 総合ストレス・テスト(CST) は、シナリオに基づくものであり、多くの潜在的な世界規模
のシステミックな事象から生じ得る当グループ全体の損失の総額を定量化することを目指している。当該枠
組みは、上記「リスク区分」に示されている通り、全ての重要な主要リスク及び付随リスク、並びにビジネ
ス・リスクを捕捉する。シナリオは、将来を見通したものであり、かつ様々な深刻度に合わせて調整された
マクロ経済的及び地政学的ストレス事象を包含している。当グループは、各シナリオを当該シナリオにおけ
る市場指標及び経済的変数の予測展開を通じて適用する。その上で当グループは、その結果当グループの主
要リスク、付随リスク及びビジネス・リスクに生じる影響を評価し、シナリオが生じた場合に発生する全体
的な損失及び資本への影響を推定する。BoDリスク委員会は、少なくとも年に1回、通常のCST報告を行うた
め、並びに当グループのリスク選好の枠組みにおける最低資本額、収益目標及びレバレッジ比率目標に対す
るリスク・エクスポージャーを監視するために、中心シナリオとして使用される最も関連の深いシナリオを
承認する(これは、必須の想定シナリオとして知られている。)。これらの結果は、毎月、リスク委員会、
BoD、GEB及びFINMAに報告される。
当グループは、FINMA及び当グループの法人の規制当局に対し、その要件に従って詳細なストレス損失分
析を提供している。例えば、当グループは、CSTに加えて、FINMA及び米国連邦準備制度理事会がそれぞれ規
制する法人に関して定めた損失可能性分析(LPA)並びに包括的資本分析及びレビュー(CCAR)を行ってい
る。
全社的ストレス委員会(ESC)は、当グループ全体のストレス測定に使用される想定及びシナリオの一貫
性と妥当性を確保する責任を負う。これらの責任の一環として、ESCは、一連のストレス・シナリオが、マ
クロ経済的及び地政学的環境における現在及び潜在的な動向、当グループの現在及び計画されている事業活
動、並びに当グループのポートフォリオにおける現実の又は潜在的なリスク集中及び脆弱性を充分に反映す
るよう確保することを目指す。ESCは、少なくとも四半期毎に会議を開き、かかる会議はリスク・コント
ロール部門の当グループ代表者、事業部門の代表者及び法人の代表者で構成されている。その責任を実行す
る際、ESCはシンクタンクからのインプットを考慮する。このシンクタンクは、各事業部門、リスク・コン
トロール部門及び経済研究部門の上級代表者の一団であり、当グループの収益性に重大な影響を与える可能
性のある潜在的なストレス・シナリオを特定するために四半期毎に会議を開いて現在及び将来の市場環境に
ついて精査する。この結果、FINMAから命じられているシナリオとは別に一連の内部ストレス・シナリオが
開発され、時間をかけて改良されることになる。
各シナリオは、幅広いマクロ経済的な変数を捕捉する。これには、国内総生産(GDP)、株価、金利、為
替レート、商品価格、不動産価格及び失業率が含まれる。当グループは、各シナリオにおけるこれらのマク
ロ経済的変数及び市場変数の想定される変動を、当グループのポートフォリオの主要なリスク要因に負荷を
かけるために使用する。例えば、GDPの成長率の低下と金利上昇は、当グループが貸出を行った企業の収益
を減少させる可能性があり、デフォルト確率、デフォルト時損失率及びデフォルト時エクスポージャーに係
る信用リスク・パラメーターの変化につながり、その結果、ストレス・シナリオにおいて予想信用損失が上
昇する。また、当グループは、費用の減少を控除した後の受取報酬、受取利息及びトレーディング収益の減
少により生じるビジネス・リスクも捕捉する。これらの影響は、損益、その他の包括利益、RWA、LRD、そし
て最終的には当グループの資本及びレバレッジ比率に係るシナリオの見積影響総額を計算するために、全て
の重要なリスク・タイプ及び全ての事業を通して測定される。マクロ経済的変数の変動の仮定は、現在及び
予想される将来の市況の変化を考慮して定期的に更新される。
2018年度中、CSTの必須の想定シナリオは社内の 深刻なユーロ圏危機シナリオ であった。このシナリオ
は、ユーロ圏の危機を特徴とし、複数の周辺ヨーロッパ諸国の経済軌道に対する信頼が失われるため、当該
諸国の債券利回りが急上昇し、その結果、最終的に、当該諸国は市場アクセスを失うというものである。ギ
リシャがユーロ圏から外れるため、資本規制、財政援助及び債務再編などの緊急措置が必要となる。続いて
起こる世界的な景気減速と市場の混乱において、中国はハード・ランディングに陥り、このことが更に世界
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的成長の足を引っ張る。政策上余地のある主要先進経済国の中央銀行は、経済成長を促進し、市場の信頼性
を回復するために金利をゼロに切り下げるが、深刻な世界的不況の回避には至らない。
CSTリスク・エクスポージャーは、当該年度を通じて概ね安定的であり、月次変動の大部分は、主にイン
ベストメント・バンクにおける一時的な融資引受エクスポージャーに起因していた。
当グループは、CSTの枠組みの一環として、2018年度を通じて新たに4つのストレス・シナリオを定期的
に監視した。
- 大手金融機関破綻シナリオ は、世界的な大手金融機関の破綻を反映して金融市場が新たに混乱し、長引
く金融デレバレッジや世界各国における活動の著しい低迷へとつながる状況を表している。
- 米国通貨危機シナリオ は、米国への信頼が喪失し、多国籍ポートフォリオの米ドル建て資産以外への再
配置につながり、米ドルの急激な大暴落を引き起こす状況を表している。当該シナリオでは、米国は不
況に後戻りし、他の先進工業国もこれと同パターンを辿り、インフレ懸念から全体的に高い金利水準に
つながる。
- 世界恐慌シナリオ は、甚大かつ長期のユーロ圏危機を表している。当該シナリオでは、複数の周辺国が
デフォルトに陥り、ユーロ圏から脱退し、先進経済が長期的な景気低迷へと引きずり込まれる。
- 世界的金利スティープ化シナリオ は、長期債の無秩序な投げ売り及びイールド・カーブの急速なス
ティープ化をもたらす市場センチメントの突然の変動を表し、かかる変動は金融市場における流動性の
欠如により更に深刻化する。これにより日本ではソブリン危機が発生し、世界的景気後退に発展する。
当グループは、2019年度のCSTの枠組みに用いる必須のストレス・シナリオとして、 深刻なユーロ圏危機
シナリオ を更新した。更新後のシナリオは、2018年度版のシナリオと同様、ユーロ圏危機をその中核に据え
た世界的なシナリオのままであるが、今回は、イタリアの財政問題が危機のきっかけとなっている。更に、
世界的な保護貿易主義の逆風が景気回復の足を引っ張る。中国のハード・ランディングは引き続き当該シナ
リオにおいても採用されている。
ポートフォリオ別ストレス・テスト は、特定のポートフォリオのリスクに合わせて作成された測定法であ
る。当グループのポートフォリオのストレス損失測定は、過去の事象のデータに基づいているが、将来の見
通しに関する要素も含んでいる。例えば、当グループの流動性調整ストレス指標における予想市場変動は、
過去事象の分析に基づく市場動向の変遷、及び発生したことのない既定のシナリオの検討を含む将来分析の
組合せを用いることにより得られる。ポートフォリオ別ストレス・テストの結果は、明示的にリスク負担を
統制するために制限を受ける可能性、又は脆弱性を特定するために制限なく監視される可能性がある。
リバース・ストレス・テスト は、定義されたストレス結果(例えば、特定の損失額、風評被害、流動性不
足又は法定自己資本比率の違反)からスタートし、かかる結果をもたらすような経済的又は財務的シナリオ
を特定するために逆算する。そのため、リバース・ストレス・テストは、通常考えられる範囲を超える「仮
定」の結果を想定することによってシナリオに基づくストレス・テストを補完し、それにより深刻度及び妥
当性に関する前提について潜在的に異議を唱えることが意図されている。
加えて当グループは、金利の増減の影響やイールド・カーブ構造の変更も定期的に分析している。
更に、グループ財務部門は、様々なシナリオ下において当グループが適切なバランスの流動性・資金調達
ポジションを維持することを可能にする最適な資産負債構造を決定するためにストレス・テストを行う。こ
れらのシナリオは、上記で概説したものとは異なる。なぜなら、CSTの枠組みにおいて用いられるシナリオ
が損益及び資本に対する影響に焦点を当てているのに対し、これらのシナリオは流動性及び資金調達ストレ
スをもたらす可能性のある特定の状況に焦点を当てているからである。
統計的測定
当グループは、シナリオに基づくCSTによる測定に加え、統計的手法を用いてリスクを算出及び合算する
ことを可能とする統計的ストレス測定の枠組みを採用し、選択された信頼水準におけるストレス事象を導き
出している。
当グループは、この枠組みを、過去の市場変動の実績及び当グループの実際のリスク・エクスポー
ジャーの組合せに基づき、また収益及び費用への影響を考慮した上で、潜在的利益の分布を導き出すために
用いる。これにより当グループは、95%の信頼水準で収益の潜在的不足額(すなわち予測利益からの乖離)
を測定し、1年の期間について評価するアーニング・アット・リスク(EaR)を定めている。EaRは、当グ
ループのリスク選好の枠組みにおける利益目標の評価に用いられる。
当グループは、その他の包括利益により実現した損益の影響を含めることにより、EaR測定を拡張して、
CET1自己資本に対するストレス事象の潜在的な影響の分布を導き出している。この分布から、当グループは
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95%の信頼水準でキャピタル・アット・リスク(CaR)バッファーの測定法を確立し、これを当グループの
資本及びレバレッジ比率のリスク選好目標の評価に利用しており、また、99.9%の信頼水準でCaRソルベン
シー の測定法を確立し、これを当グループの支払能力のリスク選好目標の評価に利用している。
当グループはまた、CaRソルベンシーの測定法を、事業部門及びコーポレート・センターの業務部門のリ
スク・ベース資本(RBC)に対する寄与度の抽出の根拠としても用いる。RBCは当グループの持分帰属枠組み
の構成要素である。RBCは、不測の損失を吸収し、なおかつ引き続き債権者に対する支払を完済できるため
に必要となる資本を推定するため、極端なストレス事象による資本の潜在的な減損を99.9%の信頼水準で測
定する。
ポートフォリオ及びポジションの制限
当グループ全体のストレス指標及び統計的指標は、より精細なポートフォリオ及びポジションの制限、
トリガー及び目標により補完されている。これらの測定法を組み合わせることにより、当グループの事業部
門及びコーポレート・センターの業務部門並びに重要な法人に、そのビジネスモデルから生じる重要なリス
クに関連するものとして適用される、包括的かつ精細な統制の枠組みが提供される。
当グループは、各種のエクスポージャーに対して、ポートフォリオのレベルで、統計的測定法及びスト
レスベースの測定法(当グループの貸出金残高に対するバリュー・アット・リスク、流動性調整ストレス、
ローン引受制限、経済価値感応度及びポートフォリオ・デフォルト・シミュレーション等)を用いて、制限
を適用している。これらは、受取利息純額感応度、売却可能ポートフォリオの時価評価による損失、並びに
資本及び資本比率に対する為替変動の影響に関する、一連の統制により補完されている。
ポートフォリオ測定法は、ポジション・レベルでの統制により補足されている。ポジション統制に関す
るリスク測定法は、市場リスクの感応度及びカウンターパーティ・レベルでの信用リスク・エクスポー
ジャーに基づいている。市場リスクへの感応度には、株式指数、為替レート及び金利といった市場一般のリ
スク要因の変動への感応度と、発行体の信用スプレッド又はデフォルト・リスクといった発行体個別の要素
への感応度が含まれる。当グループは、インベストメント・バンク、コーポレート・センター - グループ
資産・負債管理並びにコーポレート・センター - 非中核事業及びレガシー・ポートフォリオに対する、多
数の市場リスク統制を日々監視している。カウンターパーティ測定法は、担保及び法的強制力を有するネッ
ティング契約を考慮した、各カウンターパーティの現在のエクスポージャー及び将来における潜在的なエク
スポージャーを捕捉するものである。
リスク集中
リスク集中は、(ⅰ)ポジションが一群の相関要因の変更による影響を受ける場合又は一群のポジションが
同じリスク要因若しくは一群の相関要因の変更による影響を受ける場合、また(ⅱ)エクスポージャーが、広
範囲であるが妥当と思われる厳しい状況において、多大な損失をもたらす可能性がある場合に起こる。リス
ク集中の発生しうるカテゴリーには、カウンターパーティ、産業、法人、国又は地理的地域、製品及び事業
が含まれる。
リスク集中の特定は、今後の展開の可能性が正確に予測できないことや、また年度ごとに変動する可能性
があることから、判断を要する。当グループにリスク集中があるか否か判断する場合、当グループは、多数
の要素を個別にも全体としても考慮する。かかる要素には、ポジション及び当グループのカウンターパー
ティの共有の特徴、ポジション又は一群のポジションの規模、リスク要因の変更に対するポジション又は一
群のポジションの感応度並びに当該要因のボラティリティ及び相関性が含まれる。同様に当グループの評価
の際に重視すべき事項は、ポジションの取引市場の流動性並びにヘッジ又はその他の潜在的リスクの軽減要
素の利用可能性及び効果である。ヘッジ商品の価格は、常にポジションのヘッジにより変動するわけではな
く、この不一致はベーシス・リスクといわれる。更に、それ自体重大な(すなわち、影響の大きな単一の損
失又は合計すると影響の大きな複数の損失を発生させる可能性がある)単一の問題又は互いに関連して大き
な影響をもたらしうる複数の関連する問題からオペレーショナル・リスクの集中が生じる可能性がある。
リスク集中は、リスク・コントロール部門による監督強化の対象となり、利用できる方法により当該リ
スクが削減されるか又は軽減されるか否かが判断される。特に、厳しい環境で生じた相関関係が当グループ
のリスクモデルにより予測される相関関係と大きく異なる場合、重大な損失が、資産クラス、ポジション及
びヘッジにおいて発生する可能性がある。
信用リスク
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主な動向
当グループでは2018年1月1日から発効したIFRS第9号「金融商品」を適用した。IFRS第9号では、将来
を考慮した予想信用損失(ECL)のアプローチを導入している。このアプローチは、IAS第39号「金融商品:
認識及び測定」の金融商品を対象とした発生損失減損アプローチ並びにIAS第37号「引当金、偶発債務及び
偶発資産」の金融保証及びローン・コミットメントを対象とした損失引当金アプローチよりも早期に信用損
失を認識するよう意図されている。
2018年度の正味信用損失費用の合計は1億1,800万米ドルであったが、これは主に、パーソナル&コーポ
レート・バンキング及び(それより程度は下回るものの)インベストメント・バンクを中心とした信用減損
(ステージ3)ポジションに関連する9,500万米ドルの正味信用損失、並びにステージ1及び2ポジション
に関連する2,300万米ドルの正味予想信用損失を反映している。
当グループの貸出金エクスポージャーの約半分を占めるスイスの貸付ポートフォリオの業績は引き続き良
好であったが、スイス経済が悪化すれば、カウンターパーティに影響を与えたり、最近低水準が観測されて
いる信用損失費用を増加させたりしかねないため、当グループはその兆候に引き続き警戒している。
ボラティリティ及び金融市場の弱点が年度末に向けた一般的な減速をもたらしているとはいえ、レバレッ
ジド・ローン市場が引き続き比較的堅調だったため、インベストメント・バンク内の当グループの融資引受
業務における取引の流れは引き続き安定していた。
信用リスクの主要な発生源
- 当グループの貸付エクスポージャーの相当部分は、主に居住用不動産及び収益をもたらす不動産を担保
とした企業向け貸出金及びモーゲージ・ローンを提供するスイス国内のビジネスから生じているため、
スイス経済の実績に左右される。
- インベストメント・バンクにおける当グループの信用エクスポージャーは、主に貸付、デリバティブ取
引及び証券金融取引から生じており、その大部分は、投資適格とされている。融資引受活動は低率とな
ることがあり、一時的に集中的なエクスポージャーをもたらす。
- 当グループのウェルス・マネジメント事業の大部分は、証券担保貸付及びモーゲージ貸付を行ってい
る。
- 非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおける信用リスクの大部分は、現金担保に基づいて実行さ
れたデリバティブ取引及び証券化されたポジションに関連する。
測定、監視及び管理の手法の概要
- 各カウンターパーティとの取引から生じる信用リスクは、デフォルト確率、デフォルト時エクスポー
ジャー及びデフォルト時損失率の当グループの推定値に基づいて測定される。当グループは、個々のカ
ウンターパーティ及び関連するカウンターパーティのグループについて、バンキング商品及び取引商品
を対象とする制限及び決済金額の制限を設けている。リスク統制権限は、リスク・エクスポージャーの
金額、内部の信用格付及び潜在的な損失に基づき、BoDによって承認され、グループ最高責任者、グ
ループ・チーフ・リスク・オフィサー及び部門毎のチーフ・リスク・オフィサーに委任される。
- これらの制限は、債務の未払額だけでなく、偶発的なコミットメント及び取引商品に関する潜在的な将
来のエクスポージャーにも適用されるものである。
- インベストメント・バンクに関する当グループの監視、測定及び制限の枠組みは、償還期限までの保有
を意図するエクスポージャー(取得保有エクスポージャー)と、分配又はリスク移転がなされるまでの
間の短期的保有を意図するエクスポージャー(一時的エクスポージャー)を区別している。
- 当グループはまた、ポートフォリオの信用リスク測定値(予想損失、統計的損失、及びストレス損失)
を得るために当グループ全体及び事業部門のレベルでモデルを使用し、当グループ全体及び事業部門の
レベル毎にポートフォリオの制限を設けている。
- 顧客が同種の事業活動に従事している場合や、同一の地理的地域に拠点を置いている場合、又は顧客の
契約上の義務の履行能力が経済的、政治的又はその他の条件の変化により同様の影響を受ける等、類似
した経済的特徴を有している場合には、信用リスクの集中が発生する可能性がある。信用リスク集中を
避けるため、当グループは、セクター・エクスポージャー、カントリー・リスク、及び特定の商品のエ
クスポージャーについて、ポートフォリオ及びサブ・ポートフォリオのレベルのリスク集中を制約する
制限及び/又はオペレーショナル・コントロールを設けている。
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当グループの信用リスク・プロフィール
本項に詳述するエクスポージャーは、IFRSの測定要件と一定の事項において相違する信用リスクに関する
当グループ経営陣の内部見解に基づくものである。
当グループは、内部で信用リスク・エクスポージャーをバンキング商品及び取引商品の2つに大別してい
る。バンキング商品は、実行済融資、未実行の保証及び貸出コミットメント、銀行預け金、中央銀行預け金
並びに償却原価によるその他の金融資産から成る。取引商品は、店頭デリバティブ、取引所取引デリバティ
ブ並びに有価証券貸借取引、レポ契約及びリバース・レポ契約で構成される証券金融取引から成る。
バンキング商品
5,180億米ドルのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、IFRS第9号のグロス・エクスポー
ジャー6,850億米ドルに相当し、これには償却原価で測定されるその他の金融資産を含むが、現金、有価証
券ファイナンス取引による債権、デリバティブ商品に係る差入担保金、その他の包括利益を通じて公正価値
で測定される金融資産(FVOCI)、取消不可能な既存ローンの延長の確約、無条件で取消可能なコミットメ
ントライン並びに将来開始されるリバース・レポ契約及び有価証券借入契約は含まれない。
2018年12月31日現在のバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーの総額は、前年度末の4,810億米
ドルに対し、5,180億米ドルであった。純変動は、主に、中央銀行預け金残高における上記の償却原価で測
定されるその他の金融資産の追加に関係している。
グローバル・ウェルス・マネジメント
グローバル・ウェルス・マネジメントのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、1,780億米
ドルから1,860億米ドルまで増加した。純変動は、主に、前述の償却原価で測定されるその他の金融資産の
追加及びモーゲージ・ローンの増加に関係している。
当グループのグローバル・ウェルス・マネジメントの貸出金ポートフォリオは、主に有価証券(ロンバー
ド・ローン)及び居住用不動産により担保されている。ロンバード・ローンの大部分(96%)は当グループ
の内部の信用格付に基づき投資適格とされる高い質を有し、通常は平均デュレーション3~6ヶ月の短期的
性質を持つ。更に、ロンバード・ローンは、担保の質が低下し又は証拠金請求が満たされない場合は、直ち
に解約され得る。
スイス国外(グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)を除く。)の不動産によって担
保されるモーゲージ・ローン・ポートフォリオは、主に買収から生じたモーゲージ・ローンの含有により、
63億米ドルから増加して、65億米ドルとなった。当該ポートフォリオは、年度を通じ総合的に高い質を保っ
た。
グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)において、居住用不動産により担保された貸
出金のポートフォリオは主に、米国において提供される住宅モーゲージ・ローンで構成される。グロス・エ
クスポージャーは、117億米ドルから増加して149億米ドルとなった。当該ポートフォリオは、2017年12月31
日現在の58%に対して、貸出対総額比率(LTV)56%という総合的に高い質を保った。当グループは、2009
年にモーゲージ・ローン・プログラムを開始してから、軽微な信用損失しか経験していない。当該ポート
フォリオが最も集中している上位5地域は、カリフォルニア(28%)、ニューヨーク(14%)、フロリダ
(9%)、テキサス(4%)及びニュージャージー(4%)であった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
パーソナル&コーポレート・バンキングのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、1,550億
米ドルから1,570億米ドルに増加した。バンキング商品に係るネット・エクスポージャーは、1,550億米ドル
に対し、1,570億米ドルであった。そのうち約63%(前年度末は60%)が投資適格であると格付けされた。
そのエクスポージャーのおよそ50%(2017年度は53%)が0%から25%の最も低いデフォルト時損失率
(LGD)のカテゴリーに区分された。パーソナル&コーポレート・バンキングの貸出金ポートフォリオの総
額の規模は、僅かに減少して1,330億米ドルとなった。2018年12月31日現在、このポートフォリオの92%が
居住用及び商業用不動産を主とする担保により保証されている。無担保の総額のうち、79%は企業であるカ
ウンターパーティへのキャッシュ・フローに基づく貸出に関するものであり、7%は政府機関への貸付に関
するものであった。当グループの内部の信用格付に基づき、無担保貸付ポートフォリオの47%(2017年度は
51%)が投資適格であると格付けされた。
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2018年のバンキング商品の信用損失費用は低いまま維持された。
当グループのスイスの企業向けバンキング商品のポートフォリオは、引き続き270億米ドルであった。こ
のポートフォリオは多国籍企業又は国内企業であるカウンターパーティに対する貸出金、保証及びローン・
コミットメントで構成されている。特に中小企業ポートフォリオは多様な業界にわたっている。しかし、こ
れらの企業は、自国の国内経済及び輸出(特に欧州連合(EU)と米国間)の相手国の経済に依存する。加え
て、ユーロ/スイス・フラン間の為替相場の展開は、スイス企業にとって重大なリスク・ファクターとなっ
ている。
返済遅延率は、企業向け貸出金ポートフォリオについては、2017年度末の0.6%に対し、0.3%であった。
この減少は、返済遅延率の定義が、IAS第39号に基づく「遅延しているが減損の生じていない貸出金の貸出
金全体に対する割合」から、IFRS第9号の「遅延しているが信用の減損の生じていない貸出金の貸出金全体
に対する割合」に変わったことによる。
スイスのモーゲージ・ローン・ポートフォリオ
居住用及び商業用不動産を担保とするスイスのモーゲージ・ローン・ポートフォリオは、引き続き当グ
ループの最大の貸付ポートフォリオである。合計1,410億米ドルであったこれらのモーゲージ・ローンは、
主にパーソナル&コーポレート・バンキングが組成するが、グローバル・ウェルス・マネジメント(スイス
地域)が組成するものもある。これらのモーゲージ・ローンのうち1,290億米ドルについては、借り手に対
する完全償還請求権を伴う、借り手が占有又は賃貸に出している居住用不動産に関連している。この1,290
億米ドルのうち、約940億米ドルが、借り手が占有する不動産に関連しており、平均LTV率は56%であり、前
期から変化がなかった。この部分につき新たに組成されたローンの平均LTVは、2017年度の65%に対し、
66%であった。スイスの住宅モーゲージ・ローン・ポートフォリオの残りの350億米ドルは、借り手が賃貸
に出している物件に関連し、当該ポートフォリオの平均LTVは、2017年12月31日現在で57%であったのに対
し、55%であった。借り手が賃貸に出している物件向けに新たに組成されたスイス住宅モーゲージ・ローン
の平均LTVは、2017年度の60%と比較して、57%であった。
スイス住宅モーゲージ・ローンの総額の99%超は、例え担保に付与される価値が20%低下したとしても、
継続して担保不動産によりカバーされ、また、98%は、例え担保に付与される価値が30%低下したとして
も、担保不動産によるカバーが維持される。
アセット・マネジメント
2018年12月31日現在のアセット・マネジメントのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、
2017年12月31日現在の6億米ドルに対し、12億米ドルであった。この変動は、主に、上記の償却原価で測定
されるその他の金融資産の含有に関係している。バンキング商品は、主に、個別のアセット・マネジメント
の法人が保有する銀行の現金、流動資産及び債権に関係している。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクの融資業務の大部分は、企業及びその他のノンバンクに関連している。当該事
業は幅広い業種をまたいでいるが、北米に集中している。
2018年12月31日現在のインベストメント・バンクのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、
2017年12月31日現在の480億米ドルに対し、400億米ドルであった。この変動は、主に、前述のとおり、内部
のリスク管理の観点とIFRS第9号のエクスポージャーの観点との調整に関係している。当グループの内部格
付に基づき、インベストメント・バンクのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーの61%は、投資
適格であると分類された。インベストメント・バンクのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーの
圧倒的大部分は、LGDの推定値が0%から50%の間である。
インベストメント・バンクはこのポートフォリオに係る信用リスクを積極的に管理しており、2018年12月
31日現在、企業及びその他のノンバンクへのエクスポージャーに対して、シングルネームのクレジット・デ
フォルト・スワップのヘッジに6億米ドルを保有しており、前年度と比較して12億米ドル減少した。
融資引受事業においては、レバレッジド・ローン市場が比較的堅調だったため、取引の流れは引き続き安
定していた。しかし、ボラティリティ及び金融市場の弱点が、年度末に向けた一般的な減速をもたらしてい
る。2018年度末の一時的な融資引受エクスポージャーの総額は23億米ドルであり、前年度末から5億米ドル
減少した。全体として、当グループの貸付能力は引き続き健全であった。融資引受エクスポージャーは、取
引目的保有に分類されており、その公正価値は2018年度末の市況を反映している。
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コーポレート・センター-グループ資産・負債管理
コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(グループALM)のバンキング商品(主に資金業務に
関連して生じる。)に係るグロス・エクスポージャーは、320億米ドル増加して1,320億米ドルとなった。こ
れは主に、事業部門の消費を減少させる顧客に起因する活動がより少なかったことに起因して中央銀行預け
金が200億米ドル増加したことによるものである。
取引商品
インベストメント・バンク、コーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ並びに
コーポレート・センター-グループALMにおいて組成する店頭(OTC)デリバティブ、取引所取引デリバティ
ブ(ETD)エクスポージャー及び有価証券ファイナンス取引(SFT)等の取引商品から生じるカウンターパー
ティの信用リスクは、通常、清算ベースで管理される。これは市場の動きが当グループのポジションの清算
に要する期間にわたってエクスポージャー及び関連する担保に与える潜在的影響を考慮している。インベス
トメント・バンクでは、各カウンターパーティの将来の潜在的エクスポージャーに対して、限度が適用され
る。この限度の規模は、クレジット・リスク・コントロールによるカウンターパーティの信用度に関する見
解によって決定される。更に、特定のクラス又は区分の担保に対する全体的なエクスポージャーを管理する
ために、ポートフォリオ・レベルで限度の枠組みが適用される。かかるポートフォリオの限度は監視され、
上級役員に報告される。
OTCデリバティブは、実務的に可能な場合にはセントラル・カウンターパーティ(CCP)を通じて行われ
る。CCPが利用されない場合には、当グループは、合意による取引を行うための方針及び手続きを明確に定
めている。取引は、典型的には国際スワップデリバティブ協会(ISDA)又は類似の機関の二者間のマス
ター・ネッティング契約に基づいて行われ、債務不履行の場合には、適用ある法律に従い、通常は取引の清
算及びネッティング決済が認められる。更に当グループは、主要な市場参加者であるほとんどのカウンター
パーティについては、相互担保差入契約を使用し、当該契約の下では、エクスポージャーが所定の水準を上
回った場合には、いずれの当事者も、現金又は市場性のある有価証券の形で担保を提供するよう要求される
可能性がある。この担保は、典型的には、高格付の国債又は適用ある規則が許容する担保で構成される。一
定のカウンターパーティに関しては、計算された清算エクスポージャーの一部又は全部をカバーするため
に、当初証拠金が取られる。これは、取引の市場価値の変動を確定する変動証拠金に追加して取られるもの
である。非清算OTCデリバティブのマージンを規定する規則は進展を続けている。当該規則は、概して、
マージンに従った二者間デリバティブ取引の範囲を拡大している。加えて、当該規則により、二者間取引対
象の一定のカウンターパーティから受領し、当該カウンターパーティに配置される初回マージンの額が、過
去に要求されていた額より高くなる。これらの変更により、結果的に清算リスクが長期的に低くなる。
マスター・ネッティング契約の影響後の取引商品により生じる信用リスク(信用評価調整及びヘッジ前)
は、2018年12月31日現在、30億米ドル減少して420億米ドルとなった。OTCデリバティブは160億米ドルを占
め、また、SFTからのエクスポージャーは160億米ドル、ETDエクスポージャーは100億米ドルであった。OTC
デリバティブに係るエクスポージャーは、通常、法的強制力を有するネッティング契約の適用並びに現金及
び担保として保有される市場性のある有価証券の控除後の借方の再調達価額純額として測定される。SFTエ
クスポージャーは、受領担保を勘案のうえ計上され、ETDエクスポージャーは、委託証拠金請求が考慮され
ている。
取引商品エクスポージャー総額の大部分は、インベストメント・バンク、コーポレート・センター-非中
核事業及びレガシー・ポートフォリオ並びにコーポレート・センター-グループALMにおけるものであり、
2017年12月31日現在の総額が360億米ドルであったのに対し、310億米ドルであった。取引商品に関するカウ
ンターパーティ・リスクは、カウンターパーティのレベルで管理されるため、インベストメント・バンク並
びにコーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ並びにコーポレート・センター-
グループALMにおけるエクスポージャーとの間で更に分割されることはない。取引商品エクスポージャー
は、インベストメント・バンク並びにコーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ
におけるOTCデリバティブに係るエクスポージャー90億米ドルを含むが、これは前年から20億米ドル減少し
た。2018年度中、SFTエクスポージャーは20億米ドル減少して160億米ドルとなり、ETDエクスポージャーは
僅かに減少して50億米ドルとなった。
信用リスクの軽減
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当グループは、エクスポージャーに対する担保設定及びクレジット・ヘッジの活用により、ポートフォリ
オに内在する信用リスクを積極的に管理している。
不動産を担保とする貸付
当グループは、スイスのモーゲージ・ローンを組成又は変更する際の与信決定をサポートする標準的なフ
ロントからバックオフィスまでのプロセスの一環としてスコアリング・モデルを使用している。収益総額に
応じた支払能力の計算及び貸出対総額比率(LTV)がこのモデルにおける二つの重要な要素である。
支払能力の計算については、利息支払、最低償却費要件、発生する可能性がある物件の維持費及び物件が
賃貸されることが予想される場合の賃料収入が考慮される。利息支払については、予め定められた枠組みが
用いられ、ローンの全期間中に金利が著しく上昇する可能性を考慮して見積もられる。金利は年5%に設定
されている。
借り手が占有する居住用不動産に関して標準的な承認プロセスにおいて許容されるLTVの上限は、80%で
ある。休暇用物件及び高級物件については、この上限が60%に下がる。その他の不動産に関して標準的承認
プロセスにおいて許容されるLTVの上限の範囲は、不動産の種類、不動産の築年数及び必要となる改修工事
の規模に応じて30%から80%である。
UBSは、内部で算出される評価、購入価格及び場合によっては更なる外部評価から決定された最低評価に
従って各物件の評価をしている。
当グループは、所有者が占有している居住用不動産(ORP)及び収益をもたらす不動産について、代表的
な外部のベンダーによって提供される不動産の評価を得るためのモデルを二つ別々に使用している。当グ
ループは、ORPについては、回帰モデル(ヘドニック・モデル)を使用して各不動産の性質の詳細を不動産
取引のデータベースと比較し、不動産の現在価値を見積もる。モデルによって得られた価値に加えて、ORP
の評価は、地域特有の不動産価格指数を用いて、ローンの全期間を通じて四半期毎に更新される。当該価格
指数は、外部のベンダーから提供され、内部検証及び他の外部ベンダー2社をベンチマークとする比較検証
が行われる。当グループは、全てのORPに関して指数に連動させたLTVを計算するために四半期毎にこれらの
評価を使用し、よりリスクの高い貸出金を特定するためにその他のリスク測定値(格付マイグレーション及
び行動情報等)とともに検討し、特定されたリスクの高い貸出金は、顧客アドバイザー及びクレジット・オ
フィサーによって個別に見直され、必要とみなされる場合には対応策がとられる。
収益をもたらす不動産については、資本還元モデルを使用して、様々な特質に基づいたキャップレートを
用いて将来継続する収入の見積りを割り引くことにより不動産の評価を決定する。これらの特質は、市場及
び所在場所のデータ(空室率等)、ベンチマーク(管理費について等)その他の標準的に入力される一定の
パラメーター(不動産の条件等)等、地域的特質及び不動産に固有の特質を考慮する。不動産からの賃料収
入は最低でも3年に一度見直されるが、賃料収入額や空室率の著しい変動によっては、中期における再評価
が行われることがある。
これらのモデルに関して市場の動向を考慮するために、外部のベンダーは、定期的にパラメーターの更新
及び/又は各モデルの構造の改良を行う。モデルの変更及びパラメーターの更新は、当グループの内部で開
発されたモデルと同じ検証手続の対象となる。
当グループは、貸出金のアフォーダビリティ及び担保の充分性を考慮に入れて、当グループのグローバ
ル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)のモーゲージ・ローンの審査ガイドラインを同様に適用
する。あらゆる種類のモーゲージに関する標準的な承認プロセスにおけるLTVの上限は、80%である。住宅
モーゲージや投資不動産といったさまざまな種類のモーゲージのLTVは、関連するリスク要因(不動産の種
類、貸出金の規模、貸付目的等)に基づいて階層化されている。LTVの上限は45%という低率である。更
に、不動産や借り手の特徴に基づいて、返済負担率、FICOクレジットスコア、法定の顧客の準備金といった
その他の信用リスクの測定基準が適用される。
グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)のモーゲージ・ローン・ポートフォリオに
は、リスク限度の枠組みが適用される。LTVの各区分、地域の集中、ポートフォリオの成長、及びIOローン
等のリスクの高いモーゲージ・セグメントにおけるエクスポージャーを管理するために、限度が設定されて
いる。これらの限度は、専門的な信用リスク監視チームにより監視され、上級役員に報告される。この限度
の枠組みを、不動産貸付業務を管理するために確立された不動産貸付方針と手続の枠組みが補完している。
モーゲージの引受及び書類提出要件の順守を監視するために、品質保証及び品質管理プログラムが実施され
ている。
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ロンバード貸付
ロンバード・ローンは、市場性のある有価証券、保証及びその他の形式の担保の差入を担保とする。担保
として適格とされる金融資産の主なものには、流動性があり活発に取引される譲渡可能有価証券(社債及び
株式等)並びに承認された仕組商品等その他の譲渡可能有価証券で一定の価格が入手可能であって当該有価
証券の発行体により市場が提供されているものが含まれる。またこれより頻度は低いが、より流動性の低い
担保も提供されている。
当グループは、担保のリスクを反映し、「貸付価値」を得るためにディスカウント(ヘアカット)を用い
る。市場性のある有価証券に関するヘアカットは、一定の清算期間及び信頼水準において起こりうる市場価
格の変化をカバーするために計算され、適用されるヘアカットはカウンターパーティの信用度に関する見解
に応じて変化する。担保の流動性が低くなり又は変動性が高くなれば、通常、ヘアカットはより高くなる。
仕組商品、一部の社債及び償還期限の長い商品といった、流動性が低い金融商品に関しては、流動性の高い
金融商品と比較して想定清算期間はより長くなることがあり、又はカウンターパーティのデフォルト時にお
ける当該資産の回収の見込みが評価されることから、ヘアカットはより高くなる。現金、生命保険契約、保
証及び信用状に関しては、ヘアカットは商品又は顧客毎に決定される。
更に当グループは、カウンターパーティ・レベルで、またカウンターパーティにまたがる部門レベルで差
し入れられた担保物全体にわたり、集中リスク及び相関リスクを検討する。更に、当グループは、当グルー
プ全体を範囲とする集中度の再検討を行う。単一の有価証券、発行体若しくは発行体グループ、産業分野、
国、地域又は通貨に担保が集中することによって、リスクの増加及び流動性の減少が生じる場合がある。そ
の場合、それに従って担保の貸付価値、証拠金請求及び清算の水準が調整される。
エクスポージャーと担保の価値は、信用エクスポージャーが設定されたリスク選考の範囲にとどまり続け
るよう確保する目的で、毎日監視される。貸付価値がエクスポージャーを下回ると不足が生じる。不足が所
定のトリガーレベルを超過する場合、証拠金請求が実行され、追加の担保提供、エクスポージャーの削減又
はエクスポージャーを合意された担保の貸付価値に合わせるためのその他の行為の実施を顧客に要求する。
不足の範囲が拡大し、かつ更に上のトリガーレベルを超過する場合、又は要求された期間内に不足が修正さ
れない場合、清算が実行され、当該清算を通じて、担保の現金化、デリバティブのオープンポジションの清
算及び保証の支払請求が実行される。
更に当グループは、担保により保証されたエクスポージャーのストレス・テストを実施して、担保の価値
を減少させる若しくは取引商品のエクスポージャーを増加させる、又はその両方となるような市場事象をシ
ミュレーションする。一定の区分のカウンターパーティに関しては、かかる計算されたストレス・エクス
ポージャーの限度が適用され、カウンターパーティ・レベルで管理される。更に、一定の事業又は担保の種
類に適用されるポートフォリオ限度がある。
クレジット・ヘッジ
当グループは、シングルネームのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、クレジット・インデック
スCDS、オーダーメードによるプロテクション及びその他の金融商品を用いて、インベストメント・バンク
並びにコーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの信用リスクを積極的に管理す
る。これは特定のカウンターパーティ、セクター又はポートフォリオからのリスク集中並びに(カウンター
パーティの信用リスクの場合は)信用評価調整(CVA)の変動から生じる損益への影響を低減することを目
的とする。
当グループは、リスクを軽減するために、クレジット・ヘッジの考慮について厳格なガイドラインを維持
している。例えば、当グループはカウンターパーティの限度額に対するエクスポージャーを監視する際、カ
ウンターパーティのエクスポージャーを軽減するために、通常、プロキシー・ヘッジ(相関性があるが異な
る銘柄に対する信用プロテクション)又はインデックスCDS等の特定の信用リスク軽減策を適用していな
い。信用プロテクションを購入することにより、プロテクション提供者に対する信用エクスポージャーが発
生する。当グループは、信用プロテクション提供者に対するエクスポージャー、及びクレジット・ヘッジの
有効性を、関連するカウンターパーティに対する当グループ全体の信用エクスポージャーの一部として監
視、制限している。かかるカウンターパーティとの取引には、通常、担保が差し入れられる。これには、貸
付ポートフォリオをヘッジするために購入された信用プロテクションに関しては、購入された信用プロテク
ションの満期と関連する貸付金の満期との間のミスマッチの監視が含まれる。このようなミスマッチはベー
シス・リスクに繋がり、信用プロテクションの有効性を低減させる可能性がある。ミスマッチはクレジッ
ト・オフィサーに定期的に報告され、必要とみなされたときには軽減措置が講じられる。
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決済リスクの軽減
当グループは、決済リスクを軽減するために、カウンターパーティとの多国間協定及び二者間協定(ペイ
メントネッティング等)を利用して、実際の決済高を減少させている。
当グループの決済リスクの最も重要な発生源は、外国為替取引である。当グループは、同時決済ベースで
取引を決済するための多国間枠組みを提供する業界機関である多通貨同時決済(CLS)のメンバーであり、
外国為替関連の決済リスクは取引量に比較して大幅に削減されている。しかし、決済前の外国為替相場の変
動に起因する外国為替取引に係る信用リスクは、CLSのメンバーであること及びその他の手段による決済リ
スクの緩和によって完全には排除されず、OTCデリバティブ商品の信用リスク管理全体の一部として管理さ
れる。
信用リスクモデル
バーゼルⅢ-A-IRB信用リスクモデル
当グループは、現在のポートフォリオに潜在する将来の信用損失を見積もるための手段及びモデルを開発
してきた。
各カウンターパーティへのエクスポージャーは、一般に認められた三つのパラメーターに基づいて測定さ
れる。すなわち、デフォルト確率(PD)、デフォルト時損失率(LGD)及びデフォルト時エクスポージャー
(EAD)である。これら三つのパラメーターによって一定の信用枠に対する予想損失を得る。かかるパラ
メーターは、信用リスクの内部測定の多くについて基礎となるものであり、また、自己資本比率測定及び規
格に関する国際統一基準を規定するバーゼルⅢ枠組みの先進的内部格付(A-IRB)手法に従って規制上の資
本を計算する際の重要な入力情報である。当グループはまた、ポートフォリオの信用リスク測定値(予想損
失、統計的損失、及びストレス損失)を得るためにモデルを使用する。
デフォルト確率
デフォルト確率(PD)は、カウンターパーティが今後12ヶ月の間に契約上の義務の不履行を起こす可能性
を予測するものである。PDは、信用リスクの測定のために用いられ、信用リスクの承認権限を定める際の重
要な入力情報である。リスク加重資産(RWA)の計算においては、バーゼルⅢ枠組みに基づいて要求される
3ベーシス・ポイントのPDフロアが、銀行、企業及びリテールのエクスポージャーに適用される。更に、当
グループは、スイスの実住型モーゲージに対しては8ベーシス・ポイントのPDフロアを、ロンバード・ロー
ンに対しては4ベーシス・ポイントのPDフロアを適用する。
PDは、様々な区分のカウンターパーティに合わせた評価ツールを用いて評価される。当グループの多くの
法人顧客及び不動産抵当貸付金のPDは、債務者の重要な特質に基づき統計的に開発されたスコアカードを用
いて決定される。入手可能な場合には、大企業のカウンターパーティのPDを得るために市場データも用いら
れる。デフォルト確率の低いポートフォリオについては、入手可能な場合には、関連する外部のデフォル
ト・データを考慮にいれて格付ツールを開発する。ロンバード・ローンに対する当グループの格付手法にお
いては、担保証券の価値の潜在的変化を考慮したマートン型の過去のリターン・ベース・モデルのシミュ
レーションが用いられる。これらの区分は更に、各カウンターパーティ間のデフォルト確率の一貫性ある評
価を確保するために策定された、当グループ内部の信用格付スケール(マスタースケール)に調整される。
当グループのマスタースケールは、当グループが様々な評価ツールを用いて明確なクラス分け(各クラスに
はデフォルト確率の範囲が組み込まれる。)に基づいて決定した1年間のデフォルト確率を表したものであ
る。カウンターパーティは、当グループによるPDの評価の変動に伴い、評価クラス間を移動する。
デフォルト時損失率
デフォルト時損失率(LGD)は、デフォルトがある場合に起こり得る損失の度合いである。状況の悪化を
考慮するLGDの推定値には、元本及び利息の損失、並びにその他の金額(ワークアウト期間中の減損ポジ
ションの負担費用を含むワークアウト費用等)等の回収の可能性が低いものが算入される。当グループは、
デフォルトが発生したカウンターパーティに対する債権の回収可能性(カウンターパーティの種類及び担保
又は保証による信用軽減に依拠)に基づいて、LGDを算定する。当グループの推定値は、社内の損失データ
及び外部の情報(入手可能な場合)で裏付けを行っている。市場性のある有価証券や担保不動産等の担保が
ある場合には、貸出対総額比率も典型的にLGD算定の重要なパラメーターとなる。デフォルト確率の低い
ポートフォリオについては、入手可能な場合には、関連する外部のデフォルト・データを考慮にいれて格付
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手段を開発する。RWAの計算においては、規制LGDの10%の下限が居住用不動産により担保されたエクスポー
ジャーに適用される。更に、当グループはグローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域以外)
の ロンバード・ローンにLGDの30%の下限を、グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)
のロンバード・ローンにLGDの25%の下限を適用した。その他の全てのLGDは、5%の下限に従うものとす
る。
デフォルト時エクスポージャー
デフォルト時エクスポージャー(EAD)は、発生する可能性があるデフォルト発生時にカウンターパー
ティが支払うべき予想金額を表したものである。EADは、カウンターパーティに対するカレント・エクス
ポージャー及びその潜在的な将来の動向から求められる。
貸出金のEADは、当該貸出金の実行金額又は額面金額である。ローン・コミットメント及び保証について
は、EADには、実行金額のほか、将来実行される可能性がある潜在的金額(過去の観測実績に基づく信用変
換係数(CCF)を用いて見積られる。)が含まれる。規制ガイドラインを遵守するため、当グループは個別
に観測されたCCF値の下限をCCFモデルにおいてゼロとした。すなわち、当グループは、デフォルト時の実行
エクスポージャーはデフォルトから1年前の実行額を下回らないと予測している。
取引商品については、シナリオ及び統計的技法を用いて様々な時点における潜在的なエクスポージャーの
増減範囲をモデリングして、EADを求めている。他社が当グループに又は当グループが他社に支払う純額
が、当グループのポジションの清算に要するであろう潜在的期間における市場動向の影響を考慮した上で評
価される。取引所取引デリバティブのEADは、委託証拠金請求を勘案して算出される。与信限度に対する各
カウンターパーティのエクスポージャーを測定する場合、当グループは、高い信頼水準で測定された最大期
待エクスポージャーを考慮に入れている。ただし、ポートフォリオ・リスクを測定するために異なるカウン
ターパーティへのエクスポージャーを合算する際には、一定の全期間(通常1年間)における各カウンター
パーティへの期待エクスポージャー(同じモデルにより算定されたもの)を使用している。
カウンターパーティの信用度に影響を与える要因と、当グループの取引商品のエクスポージャーの潜在的
な将来価値に影響を与える要因との間に実質的な相関関係がある場合(誤方向(ウロング・ウェイ)リス
ク)には、当グループは当該エクスポージャーを評価しており、またこのようなリスクを軽減する特別な管
理方法を定めている。
予想損失
信用損失は事業運営に内在する費用であり、その発生は不規則で金額は大きく変動する。当グループは、
現在のポートフォリオに潜在する将来の信用損失を数値化するため、予想損失の概念を使用している。一定
の信用枠にかかる予想損失は、上記の三つの構成要素(PD、EAD及びLGD)の商品である。ポートフォリオ全
体の信用損失は、各カウンターパーティの予想損失額を合算して算出する。
規制上及び内部のリスク管理の目的上、予想損失(EL)は統計的評価基準の一つであり、ポジションの減
損により発生が期待される平均年間費用を見積もるために使用されている。予想損失は当グループの全ポー
トフォリオの信用リスクを定量化するための基準である。当グループは、ある1年間における当グループの
信用ポートフォリオ毎の損失プロフィールを特定の信頼水準で測定するため、統計的モデリング手法を使用
している。この損失配分の平均値が予想損失である。平均値から逸脱している損失推定値は、デフォルトが
発生しているカウンターパーティにおける統計的不確実性及びセグメント内(及びセグメント間)のカウン
ターパーティ間の体系的なデフォルト関係を反映している。また統計的測定は、個々のカウンターパーティ
及びカウンターパーティ・グループへの集中リスクに敏感に反応する。この結果は当グループのポートフォ
リオのリスク水準及びその長期的動向を示すものである。幾つかのパラメーターは、RWAの決定に際して内
部格付をベースとした手法を適用する銀行に対する規制上の要件を満たすために保守的な基準で予測される
べきである。
IFRS第9号-ECL信用リスクモデル
幾つかの重要な点でその他の適用とは異なる予想信用損失(ECL)のコンセプトに基づいているIFRS第9
号の導入を目的とし、当グループは、一般的に当グループの標準的な信用リスクモデルに由来する特定のパ
ラメーター及び追加のモデルを展開した。
デフォルト確率
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PDは、一定の期間におけるデフォルトの可能性である。12ヶ月PDとは今後12ヶ月の間に決定されるデフォ
ルトの可能性であり、全期間PDは、金融商品の残存する全期間に係るデフォルトの可能性である。全期間PD
の 算出は、through-the-cycle(TTC)PD及びシナリオ予測から得られた一連の12ヶ月のpoint-in-time
(PIT)PDに基づいている。このモデリングは、地域、産業及び顧客セグメント別であり、シナリオシステ
ム的かつ顧客特有の情報を考慮している。シナリオ毎に累積的な全期間PDを得るため、一連の12ヶ月のPIT
PDは、過去の期間からの想定デフォルト事由を考慮に入れ、限界PIT PDに変換される。
デフォルト時損失率
LGDは、金融商品の残存期間中に生じる潜在的デフォルト時の損失の予測である。LGDの決定には、担保及
びその他の信用強化からの予想将来キャッシュ・フロー、又は無担保債権に係る破産手続きからの予定支
払、また、適用ある場合、担保を実現するまでの時間及び債権の優先順位を考慮に入れる。LGDは、一般
に、EADの割合と言われている。
デフォルト時エクスポージャー
EADは、金融商品の残存期間中に生じる潜在的デフォルト時の信用リスクに対するエクスポージャーの予
測である。これは、有効な利率でディスカウントされた予定返済、利息の支払い及び利子を考慮した、デ
フォルト時のキャッシュ・フローの残高を示している。将来の融資枠からの引き出しは、これまでの引き出
し及びデフォルト・パターン並びに各ポートフォリオの特性を反映したCCFを通じて考慮される。IFRS第9
号特有のCCFは、バーゼル基準特有の制限、すなわち、保守主義を除去した後に、顧客セグメント及び商品
特有パターンを獲得するため、そして、デフォルト前の12ヶ月間に焦点を当てるためモデル化された。
予想信用損失
会計目的でのECLは、IFRS第9号の償却原価手法に基づき構成され、異なる原則及び重要な差異に従う資
産の簿価の総額の調整である。平均的なTTC予想年間損失に焦点を合わせるのではなく、その目的は、現在
の状況及び将来の展望(PIT基準)に基づきポートフォリオに内在する損失額を予測することであり、かか
る予想には、過度の費用及び努力を除く全ての入手可能な情報を含める必要があり、経済状況の変化とその
信用損失に対する影響との間に認識される非線形が存在する場合には、複数のシナリオに取り組む必要があ
る。信用リスクモデルの観点から、ECLのパラメーターは、通常、ELのために評価された要素から算出され
る。
バーゼルⅢのEL及びIFRS第9号のECLの比較
適用に応じ、予測プロセス及び結果において数多くの主要な違いが存在する。とりわけ、IFRS第9号の
ECLパラメーターが典型的なPITであり現在の経済状況及び将来の展望を反映している一方、規制上のバーゼ
ルⅢのELパラメーターはTTC/悪化時の予測であり、これには保守主義のマージンが含まれる可能性があ
る。
予想(信用)損失の見積りは、減損が生じた貸出金及びオフバランスシートのエクスポージャーに起因す
る 信用損失費用 への年間費用の予測ではない。バーゼルⅢのELは、そのTTC/悪化時の視点から、特に現在
の経済状況から影響を受けやすいわけではない。一方、ECLは、PITの経済状況に基づいているが、様々なシ
ナリオの平均として、IFRS第9号が義務付ける計上日時点の帳簿の満期日構成及び特定のステージ分類に応
じた期間について測定される。よって、四半期又は暦年について測定されたPIT信用損失費用の予測は対象
とならない。
信用リスクモデルの更なる主要な点
ストレス損失
当グループは、統計的モデリング手法をシナリオに基づくストレス損失評価基準によって補完する。スト
レス・テストは、主な信用リスク・パラメーターの大幅な悪化が仮定された、当グループのポートフォリオ
に対する極端であるが妥当と思われる事象に関する潜在的影響を監視するために、定期的に実施される。当
グループが適切であるとみなす場合には、これを基準に制限を適用している。
ストレス・シナリオ及び方法論は、ポートフォリオの性質に適応し、地域毎に着目された世界的なシステ
ミック事象にわたり、保有期間によって異なる。例えば、当グループの融資引受ポートフォリオについて
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は、当グループは、ローン・シンジケーションの市場の凍結、市況の著しい悪化及び信用度の悪化が同時に
発生するような世界的な市場事象を適用する。同様に、ロンバード貸付については、全ての担保の流動性及
び 潜在的な集中を考慮して、あらゆる担保及びエクスポージャーについてのポジションに瞬時に影響するよ
うな市場の衝撃に相当する範囲内でのシナリオを適用する。当グループのスイスにおけるモーゲージ貸付事
業のポートフォリオ別のストレス・テストは、複数年にわたる事象を反映する。国際的なホールセール及び
カウンターパーティに関する企業の信用リスクの包括的なストレス・テストでは、1年間の世界的なストレ
ス事象を用い、単一のカウンターパーティへのエクスポージャーの集中を考慮する。
信用リスクモデルの確認
当グループのモデル確認の手法には、ポートフォリオにおける構造的な変化及びバック・テスティングの
結果の監視等の量的な方法、並びにモデルのパフォーマンス及び信頼性を示す実践的な指標としての、モデ
ルの出力に関するユーザーからのフィードバック等の質的な評価の両方が含まれる。
ポートフォリオの構造の重大な変化によって、モデルの理論的健全性が無効になる場合がある。そのた
め、当グループは、ポートフォリオの推移を定期的に分析してポートフォリオの構造の変化及び信用度を特
定する。これには、重要な特徴の変化、ポートフォリオ集中測定の変化、及びRWAにおける変化の分析が含
まれる。
バック・テスティング
当グループはエクスポージャー・モデルのパフォーマンスをバック・テスティングとベンチマーキングに
よって監視しており、これらによって、当グループの内部実績及び外部から観察された実績に基づいて、モ
デル結果が実際の結果と比較される。OTCデリバティブ、ETD商品等の取引商品についての信用エクスポー
ジャー・モデルを予測する当グループの能力を評価するため、当グループは、異なる予測期間において予測
された将来のエクスポージャー分布と実現した価値とを統計的に比較する。
PDについては、当グループは統計的モデリングを用いてデフォルトの数値の予測分布を導き出す。当該分
布と観察されたデフォルトの数を比較することによって、モデルの保守主義における統計的な信頼水準とと
もに平均的なデフォルト率の上限及び下限を導き出す。ポートフォリオの平均PDが当該範囲の外にある場合
には、原則的に評価ツールが再調整される。
LGDについては、バック・テスティングは、観察されたLGDと予測されたLGDの間の平均差がゼロであるか
否かにつき、統計的に検査される。検査に不合格となる場合は、当グループの予測したLGDが低すぎるとい
う証拠となる。このような場合、相違が予測から外れたものであるときには、モデルは再調整される。
企業のカウンターパーティに対する未実行の貸付枠に関するEADの算出において用いられるクレジット・
コンバージョン・ファクター(CCF)は、貸付枠の契約上のいくつかの要因に依存する。当グループは、予
測引出金額とデフォルトが発生したカウンターパーティについて観察された当該貸付枠の過去の利用状況を
比較する。統計的に重大な逸脱が観察される場合には、関連するCCFは再定義される。
当年度におけるモデル及びモデル・パラメーターの変更
当グループは、モデルを改良して市場の推移及び入手可能な新しいデータを反映させる取組みを継続して
おり、その一環として、2018年度中に幾つかのモデルの更新を行った。
パーソナル&コーポレート・バンキングにおいて、当グループは、航空機融資ポートフォリオのPD及び
LGDパラメーターを再調整した。
計量経済学的なモデル及び質的要素に基づくソブリンLGDのための新しい特定のモデルが導入された。こ
のモデルはまた、グループ流動性準備においても適用される。インベストメント・バンクにおいて、新しい
ソブリンLGDのモデルの導入以外はPD/LGD方法論の重大な変更はなかった。EADに関し、当グループは、グ
ローバル・ウェルス・マネジメントにおいて完全に未実行のロンバード・ローン融資枠に対する信用変換係
数や、インベストメント・バンク・ポートフォリオにおけるOTCデリバティブに係るエクスポージャーの持
分、金利及び為替レートをシミュレーションするための新しいモデル一式を実施した。必要な場合には、モ
デル及びモデル・パラメーターの変更は、導入の前にスイス金融市場監督当局(FINMA)によって承認がな
された。
将来の信用リスクに関連した規制上の資本開発
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2017年12月、バーゼル銀行監督委員会は、2022年1月1日に実施される最終的なバーゼルⅢ枠組みを公表
した。更新された枠組みにより、内部格付(IRB)手法に対して多くの修正がなされた。すなわち、(i)特定
の資産クラス(大企業と中規模企業、銀行及びその他の金融機関を含む。)に対する先進的内部格付(A-
IRB) 手法を使用する可能性を除去すること、(ii)IRB手法において、PD及びLGDといった特定のモデルへのイ
ンプットに下限を設けること、並びに(iii)例えばLGDに対し、RWAのばらつきを縮小する様々な要件を導入
することである。
公表された枠組みには、国家の裁量に従う多くの要件が含まれている。加えて、信用評価調整(CVA)の枠
組みへの修正が公表されたが、これには先進的信用評価調整(A-CVA)手法の削除が含まれる。UBSは、適用目
的についてより具体的な話し合い及び市場リスクに備えた自己資本体制へのスムーズな移行のためにFINMA
との緊密な対話を継続する。
ディストレス資産に対する信用方針
当グループでは2018年1月1日から発効したIFRS第9号「金融商品」を適用した。IFRS第9号では、将来
を考慮した予想信用損失(ECL)のアプローチを導入している。このアプローチは、IAS第39号「金融商品:
認識及び測定」の金融商品を対象とした発生損失減損アプローチ並びにIAS第37号「引当金、偶発債務及び
偶発資産」の金融保証及びローン・コミットメントを対象とした損失引当金アプローチよりも早期に信用損
失を認識するよう意図されている。
規制上の定義に従って、当グループは、(i)90日を超えて延滞している場合、(ii)再建手続の対象とな
り、カウンターパーティのデフォルトを回避すべく金利、劣後、テナー等に関する優遇条件が認められた場
合(条件緩和)、又は(iii)カウンターパーティが、期限の到来した支払をカバーする十分な担保が存在し
ていたとしても、形式を問わず破産/強制清算手続の対象となる場合、不履行債権として計上する。
UBSは、リスクのモデリングの目的で、資産の分類及びその債務者のPDの決定に際し、デフォルトの単独
の定義を適用する。デフォルトの定義は、量的かつ質的基準に基づいている。カウンターパーティは、遅く
とも、利息、元本又は手数料の重大な支払が90日又はパーソナル&コーポレート・バンキングのプライベー
ト顧客及びコマーシャル顧客並びにグローバル・ウェルス・マネジメント(スイス地域)のプライベート顧
客に対する貸出金に関連する特定のエクスポージャーについては180日を超えて延滞している場合に、デ
フォルト状態であると分類される。UBSは、90日間という基準の厳密な適用が内在する信用リスクを正確に
反映しないであろうことを示す、治癒レートの分析に基づき後者のポートフォリオに適したデフォルトの認
識に関して通常の90日間の想定を考慮しない。カウンターパーティはまた、破産、倒産手続若しくは強制清
算が開始した場合、優先的な条件(条件緩和)で債務が再構築された場合、又は担保に対する償還請求権な
くしては完全に支払債務が充足されないとするその他の証拠がある場合に、デフォルト状態であると分類さ
れる。後者は、これまでに全ての契約上の支払が期限の到来時になされたとしても、適用される可能性があ
る。カウンターパーティがデフォルト状態である場合、通常、カウンターパーティに対する全ての債権がデ
フォルト状態であるとして扱われる。
カウンターパーティがデフォルト状態である場合、金融商品は信用に減損が生じていると分類され、及
び/又はその金融商品が購入済若しくは組成済信用減損である(POCI)と認識される。金融商品は、かかる
金融商品が発行体のリスク事由の後に帳簿価額の重大な割引がなされて購入された場合又はデフォルト状態
であるカウンターパーティにより組成された場合、POCIである。金融資産がデフォルト状態である/信用が
減損している(POCIは除く。)と分類されると、ステージ3の金融商品として計上され、全ての延滞額が是
正され、追加的な支払が期日になされ、ポジションが信用の再構築中であると分類されず、そして信用の回
復を示す一般的な証拠がない限り、引き続き当該分類となる。ステージ1又は2への移行が実施される前に
3ヶ月の観察期間が適用される。しかし、多くの金融商品はより長い期間、ステージ3に分類され続ける。
条件緩和(信用の再構築)
支払のデフォルトが差し迫っている場合又は既にデフォルトが生じた場合、当グループは、経済的に困難
な状況にある借り手に対し、通常の業務の過程において別段では検討しない優遇税率、支払期日の延長、返
済計画の変更、債券/株式スワップ、劣後化等の譲歩を承認する可能性がある。条件緩和措置が行われる場
合、各ケースで個別に検討され、エクスポージャーは、通常、デフォルトと分類される。条件緩和の分類
は、貸出金が回収若しくは償却されるまで、償却若しくは優先的な条件に代わる非優先的な条件が承認され
るまで、又はカウンターパーティが再建し、かつ優先的な条件がもはや当グループのリスク選好の範囲を超
えなくなるまで継続する。
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支払のデフォルトが差し迫っているという証拠がない場合又は条件の変更が当グループの通常のリスク選
考の範囲内である場合の契約上の調整は、条件緩和されたとはみなされない。
損失履歴統計
2018年1月1日にIFRS第9号を採用して以降、カウンターパーティにデフォルトが発生した場合、金融商
品は信用に減損が生じたものと分類される。これには、(例えば、保有する担保を通じて完全に戻入れ可能
となると予定されているため)損失が生じていない又は引当金が計上されていない信用に減損が生じたエク
スポージャーも含まれている。
信用に減損が生じた貸出金及び前払金の総額は(銀行への貸出金及び前払金を含む。)、2018年12月31日
現在、23億米ドルであった。2017年12月31日現在、減損貸出金は、11億米ドルであった。この変動は、主
に、前述のとおり「信用に減損が生じた」という用語の調整を伴うIFRS第9号の採用によるものである。
信用に減損が生じているエクスポージャーの大部分は、当グループのスイス国内事業における貸出金及び
前払金に関連している。銀行及び顧客に対する信用に減損が生じている貸出金及び前払金が、銀行及び顧客
に対する貸出金及び前払金の総額に占める割合は0.7%であった。
市場リスク
主な動向
当グループは引き続き市場リスクを概ね管理上のバリュー・アット・リスク(VaR)の低い水準で管理し
た。平均的な管理上のバリュー・アット・リスク(VaR)(保有期間1日、信頼水準95%)は、重大な市場
ボラティリティの期間があったにもかかわらず、前年度の1,100万米ドルから1,200万米ドルに微増した。
250営業日中のマイナスのバック・テスティングの超過事象の件数は当年度末までに1件から2件に増加し
た。市場リスクRWAの算定に用いるFINMAのVaR乗数は、2018年12月31日現在、3.0から変化はなかった。
市場リスクの主な原因
市場リスクは、当グループのトレーディング業務及び非トレーディング業務の両方から発生する。
- トレーディング市場リスクは、主に、当グループのインベストメント・バンクにおける発行市場での債
券及び株式の引受、マーケット・メイキング及びクライアント主導の証券及びデリバティブ取引に関連
して、並びにコーポレート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおける残存ポジ
ション及びグローバル・ウェルス・マネジメントにおける当グループの地方債トレーディング業務に関
連して、発生する。
- 非トレーディング市場リスクは、その大部分は、資金業務に加え、当グループのウェルス・マネジメン
ト業務における当グループのパーソナル・バンキング及び貸付、スイスにおけるパーソナル及びコーポ
レート・バンキング業務並びにインベストメント・バンキングの貸付業務に関連する金利リスク及び為
替リスクの形で発生する。
- コーポレート・センター-資産・負債管理(グループALM)は、金利リスク及び構造的為替リスク管理
の過程における市場リスク並びに当グループの流動性及び資金調達プロフィール(適格流動資産を含
む。)の市場リスクを仮定する。
- 株式及び債券投資もまた、当グループの確定給付年金制度等の従業員給付が一部の側面においてそうで
あるように、市場リスクを発生させる可能性がある。
測定、監視及び管理手法の概要
- 市場リスク制限は、市場リスクの性質及び重大性を反映させながら、当グループ、事業部門及びコーポ
レート・センターの業務部門ごとに、様々な業務分野において細かく設定される。
- 管理上のVaRは、市場リスクの枠組みに基づいたエクスポージャーを測定する。これには、トレーディ
ング市場リスク及び非トレーディング市場リスクの一部が含まれる。VaRに含まれない非トレーディン
グについても、後述のマーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門に管理されるリスクの記
載において説明されている。
- 当グループの主要なポートフォリオの市場リスク測定法は、流動性調整ストレス(LAS)損失及びVaRで
ある。これらは、双方ともに当グループの全ての事業部門について共通で、かつ、取締役会(BoD)が
承認した制限に服している。
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- かかる測定法は、一般的及び特定の市場リスク要因に係る集中度及び細かい制限によって補完される。
当グループのトレーディング業務は、複合された市場リスク制限に服する。これらの制限では、市場の
流 動性及びボラティリティ、利用可能な業務遂行能力、及び評価の不透明さの程度を、また当グループ
のシングルネーム・エクスポージャーについては発行体の信用度を考慮している。
- トレーディング市場リスクは、ポートフォリオのレベルで、統合ベースで管理される。リスク要因の感
応度は、新規取引、取引の終了又は市場レベルの変動によって変化するため、リスク要因は限度を超え
ないように動的に再ヘッジされる。したがって、トレーディング・ポートフォリオにおいて、当グルー
プは通常、特定のポジションとそれに関連するヘッジを区別しない。
- 発行体リスクは、ジャンプ・トゥ・ゼロ測定法に基づき、事業部門レベルで適用される制限によって管
理される。ジャンプ・トゥ・ゼロ測定法とは、当グループの最大デフォルト・エクスポージャー(債務
不履行事由の場合の損失の回復はゼロと仮定する。)を測定するものである。
- 非トレーディング為替リスクは、コーポレート・センター-グループALMが管理する連結資本業務を除
き、市場リスク制限に基づいて管理される。
当グループのマーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門の役割は、資金業務関連のリスク負
担の許容度を定める全体的なリスクの枠組みを当グループ全体に適用することである。この枠組みの重要な
要素は、BoDが定める、全体にわたる経済価値感応度の限度である。この限度は、バーゼルⅢ普通株式等
Tier 1(CET1)自己資本に連動しており、金利リスク、為替リスク及び信用スプレッドから発生するリスク
を考慮する。更に、受取利息純額の金利リスクの変動に対する感応度は、市場予想金利に基づき受取利息純
額の見通し及び変動性を分析するために、当グループのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーが定める目標
に対して監視される。この限度はまた、当グループのCET1自己資本及びCET1自己資本比率における為替変動
の影響のバランスを取るために、BoDによって定められる。非トレーディング金利及び為替リスクは、当グ
ループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
株式及び債券投資は、業務管理及びリスク管理部門による新規投資の事前承認並びに定期的な監視及び報
告等の広範なリスク管理に服する。これらも、当グループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含ま
れ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
市場リスク・ストレス損失
下記に説明するVaRに加えて、当グループは、当グループの市場リスクを、非統計的な測定法及びこれに
付随する限界という包括的な枠組みを通じて測定し、管理する。これには、極端ではあるが生じうる事象が
発生した場合に生じる損失が当グループのリスク選好を超えないようにするために当グループが継続的に評
価をする、広範囲に及ぶ一連のストレス・テスト及びシナリオ分析が含まれる。
流動性調整ストレス
当グループ全体の市場リスクに係るストレス損失を測定する当グループの主な手法は、LASである。LASの
枠組みは、一定のストレス・シナリオのもとで発生しうる経済的損失をとらえることをねらいとする。これ
は、一部は、下記に説明するように、管理及び規制上のVaRに用いられる標準的な1日間及び10日間の保有
期間という仮定を、流動性調整保有期間に置き替えることによって達成される。その次に、特定のシナリオ
により得られた流動性調整保有期間にわたり、予想市場動向に基づいてポジションにショックをかける。
LASに用いられる保有期間は、ストレス環境における主要なリスク要因各々におけるポジションのリスク
を減少又はヘッジするのにかかる時間を反映して調整されるが、その際、当該ポジション限度を最大限まで
利用するものと仮定する。当グループは、危険の認定及びそれに対する反応は必ずしも即時ではないという
事実を反映して、観測された流動性レベルを問わず、最低保有期間も適用する。
予想市場動向は、過去の事由の分析に基づく過去の市場行動と、過去に発生したことのない、決められた
シナリオを考慮した将来予測に関する分析を組み合わせて導き出される。
LASに基づく限度は、当グループ、事業部門及びコーポレート・センターの業務部門、事業領域及びサ
ブ・ポートフォリオといった、多くのレベルで利用される。更に、LASは、当グループの総合ストレス・テ
ストの枠組みの中核的な市場リスク要素を構成し、それゆえに当グループの全体的なリスク許容度の枠組み
にとって不可欠である。
バリュー・アット・リスク
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VaRの定義
VaRは市場リスクの統計的測定法であり、設定された信頼水準において、定められた期間(保有期間)に
わたり、潜在的に発生しうる市場リスクによる損失を表す。この測定法では、定められた期間中に当グルー
プのトレーディング・ポジションに変更がないことを前提としている。
当グループはVaRを、日次ベースで算出する。VaRを導き出すための損益の分配は、当グループ内部で開発
されたVaRモデルによって生成される。当該VaRモデルでは、当グループのトレーディング・ポジションの感
応度が高いリスク要因の保有期間にわたるリターンをシミュレーションし、その後、かかるリスク要因のリ
ターンが当該トレーディング・ポジションに与える損益を数値化する。一般金利、為替及びコモディティの
リスク要因の区分に関連するリスク要因のリターンは、過去5年間を考慮に入れて、純粋なヒストリカル・
シミュレーション法に基づいて決定される。株価や信用スプレッドといった特定の発行体ベースのリスク要
因に係るリスク要因のリターンは、ファクター・モデル手法を用いて、システマティック要素、残差要素、
及び発行体固有の要素に分解される。システマティック・リターンは、ヒストリカル・シミュレーションに
基づいて、残差リターンは、モンテカルロ・シミュレーションに基づいて算定される。VaRモデルの損益分
配は、当グループが常にシステマティック・リスク及び残差リスクを捕捉するような方法で、システマ
ティック・リターンと残差リターンの合計から導き出される。リスク要因間の相関は、ヒストリカル・シ
ミュレーション法を通して黙示的に捕捉される。リスク要因のリターンのモデリングにおいて、当グループ
は、リスク要因のヒストリカルな時系列変動の定常性資産を考慮する。あるリスク要因の区分内のリスク要
因の定常性資産に応じて、当グループは、絶対リターン又は対数リターンを用いて、当該リスク要因のリ
ターンをモデル化する。リスク要因のリターンの分配は、隔週ベースで更新される。
当グループのVaRモデルは十分な再評価能力を持つものではないが、当グループは、当グループのフロン
トオフィス・システムから十分な再評価グリッド及び感応度を得ており、これによって重要な非線型損益の
影響を捕捉することが可能となっている。
当グループは、信頼水準及び保有期間の違いを考慮するが、内部管理及び市場リスクに係るリスク加重資
産(RWA)の決定の両方の目的に単一のVaRモデルを使用する。内部管理上は、当グループはリスク限度を設
定し、保有期間を1日、信頼水準を95%としてVaRを用い、当グループのトレーディング業務に関連するリ
スクを考慮する方法に合わせて、リスク・エクスポージャーを測定する。バーゼルⅢ基準に基づく市場リス
クに係る規制資本を実証するために使用される市場リスクの規制上の測定では、信頼水準を99%、保有期間
を10日とする測定が義務づけられている。保有期間を10日とするVaRの計算において、当グループは10日間
のリスク要因のリターンを採用し、それによって全ての観測値が均等に加重される。
また、母集団は、管理上と規制上のVaRとでは若干異なる。規制上のVaR中の母集団は、規制上のVaRに含
める所要要件を満たしている。管理上のVaRは、ポジションのより広い母集団を含む。規制上のVaRは、例え
ば、証券化ポートフォリオからの信用スプレッドを除外し、それらは規制上、証券化アプローチに基づいて
扱われる。
当グループは、市場リスクRWAの計算においては、ストレスのかかったVaR(SVaR)も用いる。SVaRでは、
規制上のVaRと同じ手法を広く採用し、同じ母集団、保有期間(10日間)及び信頼水準(99%)を用いて計
算される。しかしながら、規制上のVaRとは違って、SVaRにおいて対象とする過去のデータ・セットは5年
間に限定されず、2007年1月1日から現在までの期間に及ぶ。SVaRを導き出すには、2007年1月1日から現
在までの期間に該当する1年単位の見直し全てに渡って、現在のグループ・ポートフォリオに関する10日間
の保有期間の最大VaRを求める。SVaRは毎週計算される。
当年度の管理上のVaR
当グループは引き続き管理上のVaRを低い水準で管理し、VaRの平均値は前年度の1,100万米ドルから1,200
万米ドルに微増した。
VaRの限界
実際に実現した市場リスク損失は、様々な理由により、当グループのVaRが示唆する損失と異なることが
ある。
- VaR測定は、指定された信頼水準に基づいて行われ、かかる信頼水準を超える潜在的な損失を示すこと
はできない。
- 規制上のVaR測定における保有期間を内部管理目的では1日、規制上のVaRにおいては10日とした場合、
指定期間内に決済又はヘッジできないポジションの市場リスクを完全にとらえることはできない。
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- 一定の場合のVaRの算出では、ポジション及びポートフォリオの価値に係るリスク要因の変動による影
響を概算することとなる。これは、VaRモデルに含まれるリスク要因の数がやむを得ず制限されるため
で ある。
- 極端な市場変動の影響については、非線型リスク感応度並びに実際のボラティリティ及び相関レベルが
VaRの算出で用いた前提と異なりうることから、概算に誤りが生じる可能性がある。
- 過去5年間を対象とすることによって、過去5年未満の期間を対象とした観測よりも、市場ボラティリ
ティの急激な上昇がVaRの増加に適時に反映されない傾向があるが、かかる上昇は、より長期において
は当グループのVaRに影響を与える。同様に、ボラティリティが上昇した期間の後に市場が安定する
と、VaR予想は、過去の観測期間の長さに影響された期間については、更に保守的にとどまる。
SVaRには、上記のVaRで述べたのと同じ限界があるが、1年間のデータ・セットを使用することにより、
VaRにおいて5年間のデータ・セットが使われる場合の平準化の効果を回避し、過去5年間を対象とせず、
より長期の過去の潜在的損失事由について規定する。従って、著しいストレスにさらされた2007年から2009
年の期間は、管理上及び規制上のVaRが対象とする過去5年の期間には含まれていないが、SVaRではこの
データ・セットを利用し続けることができる。この手法は、市場リスクに係る自己資本規制の景気循環増幅
効果を削減することをねらいとしている。
当グループは、いかなる測定法も、単独ではポジション又はポートフォリオに伴うリスクの全体を網羅す
ることはできないことを認識している。そのため、当グループはリスクの識別及び測定の実質的な完全性を
確保しようとする総体的な枠組みを構築するために、重複する特性及び補足的な特性の双方を有する一連の
多様な測定基準を用いている。統計的なリスク総額の測定として、VaRは、流動性調整ストレス及び総合ス
トレス・テスティングの枠組みを補完する。
当グループは、当グループのVaRモデルでは完全にとらえることができない潜在的リスクを認識し、数値
化するための枠組みも有している。当グループは、これらのリスクを、VaRに含まれないリスクと呼んでい
る。この枠組みは、規制資本におけるこれらの潜在的リスクを実証するために用いられ、規制上のVaRとス
トレスVaRの倍数として算出される。
VaRのバック・テスティング
VaRのバック・テスティングは、ある1日の推定VaRを、かかる日の実際の損益(P&L)と比較する業績測
定プロセスである。当グループは、規制上のVaRに含まれる母集団に対し、信頼水準99%及び保有期間1日
としてバック・テスティング上のVaRを計算する。UBSにおいて、99%VaRはP&L分配の下端部分に対応するリ
スク測定法と定義付けられているため、信頼水準99%としたバック・テスティング上のVaRはマイナスの数
値となる。同種同士の比較を提供するため、バック・テスティング上の収益は、評価性引当金、報酬及び手
数料等の非トレーディング収益並びに日中取引の収益を除いて計算される。バック・テスティング上の収益
が前日のバック・テスティング上のVaRを下回る場合に、バック・テスティングの超過事象が発生する。
統計的に、信頼水準を99%とすると、年間2又は3件のバック・テスティングの超過事象が予期される。
超過事象が4件を超える場合は、期間を延ばしても超過事象が少なすぎる場合と同様、VaRモデルが適切に
機能していないことを意味する可能性がある。しかしながら、上記のVaRの限界で述べたように、過去5年
間と比較して市場ボラティリティの急激な増減によって、超過事象の回数がそれぞれ増減することがある。
従って、UBSグループレベルでのバック・テスティングの超過事象は、バック・テスティング上の超過利益
と同様に調査対象となり、その結果は事業グループの上級役員、グループ・チーフ・リスク・オフィサー及
びチーフ・リスク・オフィサー・マーケット&トレジャリー・リスクに対して報告される。バック・テス
ティングの超過事象は、内部監査人及び社外監査人、並びに関連する規制機関にも報告される。
実際のトレーディング収益には、バック・テスティング上の収益に加え、日中取引の収益が含まれてい
る。
250営業日中のバック・テスティングの超過事象の件数は当年度末までに1件から2件に増加した。市場
リスクRWAの算定に用いるFINMAのVaR乗数は、2018年12月31日現在、3.0から変化はなかった。
VaRモデルの確認
上記で述べられた規制目的上のバック・テスティングに加え、当グループは内部モデル確定の目的でバッ
ク・テスティングを延長している。これにはモデルのパフォーマンスが末端部分だけでなく、損益全体並び
に事業部門内及びコーポレート・センターの業務部門のヒエラルキー内の複数レベルにわたるものであるか
の確認も含まれる。
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2018年度のVaRモデルの推移
当グループは2018年度中にVaRモデルに重要な変更を加えていない。
将来的な市場リスクに関連する自己資本の展望
2019年1月、バーゼル銀行監督委員会は、市場リスクにかかる最低自己資本要件の最終的な規則(トレー
ディング勘定の抜本的見直し)を公表した。新しい基準は2022年1月1日に施行される。この延期により、
バーゼルⅢによる信用リスク及びオペレーショナル・リスクの改定と適用の足並みを揃え、市場リスクに関
連する規則の一部については依然としてバーゼル委員会による最終化が行われていることが窺われる。
改正後の市場リスクの枠組みには、(ⅰ)モデル承認及びパフォーマンス測定プロセスの変更を含む、内
部モデルに基づく手法の変更、(ⅱ)内部モデルに基づく手法の信頼できるフォールバックとなることを目
指した標準的手法の変更及び(ⅲ)トレーディング勘定とバンキング勘定との境界の変更が含まれる。UBS
は、適用目的についてより具体的な話し合い及び市場リスクに備えた自己資本体制へのスムーズな移行のた
めにFINMAとの緊密な対話を継続する。
バンキング勘定における金利リスク
バンキング勘定における金利リスクの発生源
バンキング勘定における金利リスクは、貸出金 、公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金
融資産、償却原価で計上される金融資産、その他の包括利益(OCI)を通じて公正価値で測定される金融資
産、顧客預金、償却原価で測定される社債、 及びデリバティブ(キャッシュ・フロー・ヘッジ会計のために
利用されたデリバティブを含む。)の貸借対照表のポジションから発生する。かかるポジションは、会計処
理によっては、OCI又は損益計算書に影響を与える可能性がある。
当グループで最大のバンキング勘定の金利エクスポージャーは、当グループのグローバル・ウェルス・マ
ネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門における顧客預金及び融資商品から発生す
る。グローバル・ウェルス・マネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門について、
固有の金利リスクは、バック・ツー・バック取引、又は、約定満期日若しくは市場連動相場の存在しない商
品の場合、組成元事業からポートフォリオをコーポレート・センター-グループALMに複製する方法のいず
れかによって移転される。コーポレート・センター-グループALMでは、当該金利リスクを、他の発生源か
らの金利リスクとの相殺も認めながら、統合ベースで管理する。コーポレート・センター-グループALMに
移転されないグローバル・ウェルス・マネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門に
おける残余金利リスクは、当該地域において管理され、現地のリスク・コントロール部門により、また中央
においてはマーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門により、独立した監視及び統制を受け
る。金利リスクを中央において管理するために、コーポレート・センター-グループALMはデリバティブ商
品を利用し、その大部分は指定されたヘッジ会計に関連づけられている。金利リスクのかなりの部分はコー
ポレート・センター-グループALMによる資金調達及び投資活動、例えば、企業の貸借対照表上の非金銭項
目による投資及び借換えで無期限のもの(株式、のれんや不動産等)からも発生する。かかる項目につい
て、上級役員は、当グループの資金調達及び投資活動(該当する場合)の基準として、特定の対象期間
(デュレーション)を定めている。かかる対象は複製ポートフォリオによって定められ、これに対して実行
するためにローリング・ベンチマークを設定する。2018年12月31日現在の株式、のれん及び不動産の対象複
製ポートフォリオは、次の通り定義されていた:スイス・フラン建ては平均して約3年半のデュレーショ
ン、公正価値感応度は1ベーシス・ポイントにつき400万米ドル;米ドル建ては平均して約4年半のデュ
レーション、公正価値感応度は1ベーシス・ポイントにつき1,300万米ドルであった。コーポレート・セン
ター-グループALMはまた、当グループの流動性の需要管理の一環として、債券投資のポートフォリオを維
持する。
インベストメント・バンクにおけるバンキング勘定の金利エクスポージャーは主に、取引ごとに個別の承
認が必要とされるコーポレート・クライアント・ソリューションで行われるストラクチャード・ファイナン
ス事業において発生する。
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 に分類されたコーポレート・センター-非
中核事業及びレガシー・ポートフォリオの資産(主に債務証券)もまた、非トレーディング金利リスクを発
生させる。
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株主資本及びCET1自己資本に係る金利更改の効果
公正価値で保有する商品について、金利更改は、損益計算上又はOCIを通じてのいずれかにおいて即時に
公正価値の損益をもたらす。償却原価で計上される資産及び負債については、金利更改によって金融商品の
帳簿価格に変化が生じることはないが、受取利息及び損益計算書に計上される費用には影響を与える可能性
がある。
概して、金利の上昇は、当グループの公正価値で保有する長期資産の価値を即時に減少させることとなる
が、当グループは、これは当グループの中核のバンキング商品に係る受取利息純額(NII)の増加によって
時間をかけて相殺されるものと考えている。
会計処理が異なるだけでなく、当グループのバンキング勘定ポジションは、イールド・カーブ上の異なる
ポジションに対する感応度も異なる。例えば、当グループの債券のポートフォリオ(償却原価又は公正価値
で計上されるかにかかわらない。)及び金利スワップ(キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されている
か、経済的ヘッジとして取引されているかにかかわらない。)は、全体として、長期デュレーションの金利
の変化により敏感であるが、当グループの預金及び当グループのNIIに帰属する貸出金の重要な部分は、短
期金利の方により敏感である。これらの要因は、イールド・カーブが平行に移動できず、例えば当初は急勾
配を示し、その後に時間をかけてフラット化する可能性があるため、重要である。
上記の会計処理及びイールド・カーブ感応度により、レートの上昇を示すシナリオにおいて、当グループ
は、OCIにおいて認識される公正価値の損失の結果、当初、株主資本の減少を認識するものと予期してい
る。このことは、金利の上昇がとりわけイールド・カーブのショート・エンドの方(短期の方)に影響を及
ぼしていくと同時に、NIIの増加によって時間をかけて埋め合わせがなされる。CET1自己資本への影響は、
キャッシュ・フロー・ヘッジとして測定された金利スワップ上の損益が規制資本目的において認識されない
ため、はっきり言えない。公正価値での測定を指定された商品についての公正価値の損失は、経済的ヘッジ
により相殺されることが予想される。
当グループは、1年間に一定の業務取扱高の仮定の下で想定されるNIIへの影響を分析するため、金利に
敏感なバンキング勘定エクスポージャーを一連の金利シナリオに適用する。かかるシナリオ分析は、株主資
本並びに年金基金資産及び負債のCET1自己資本に対する、推定されるOCIを通じた効果も含まれる。一定の
標準的なシナリオ(全てのイールド・カーブの100ベーシス・ポイントのプラスの平行移動をする等。)は
維持され、定期的に使用されるが、その他のシナリオは変化する市場状況の機能のひとつとして採用され
る。
2018年度末においては下記のシナリオが詳細に分析された。
- ネガティブ金利:イールド・カーブが100ベーシス・ポイントマイナスの平行移動(ゼロ・フロアの
適用なし)を示し、その結果、マイナス又は更なるマイナスとなる可能性がある。
- ブル・フラットナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが長期金利の場合に急降下する(短
期金利の場合は小幅な降下):3ヶ月未満の満期については-70ベーシス・ポイント、3年満期に
ついては-100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については-130ベーシス・ポイントで
ある。
- ブル・スティープナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが短期金利の場合に急降下する
(長期金利の場合は小幅な降下):3ヶ月未満の満期については-130ベーシス・ポイント、3年満
期については-100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については-70ベーシス・ポイント
である。
― ベア・スティープナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが長期金利の場合に急上昇する
(短期金利の場合は小幅な上昇):3ヶ月未満の満期については+70ベーシス・ポイント、3年満
期については+100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については+130ベーシス・ポイン
トである。
- ベア・フラットナ-金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが短期金利の場合に急上昇する(長
期金利の場合は小幅な上昇):3ヶ月未満の満期については+130ベーシス・ポイント、3年満期に
ついては+100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については+70ベーシス・ポイントであ
る。
- 平行移動+100ベーシス・ポイント:全てのイールド・カーブが100ベーシス・ポイントプラスの平行
移動を示した。
- 安定したレート:全てのレートが現状の水準を維持する。
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安定したレートのシナリオを除き、全てのシナリオにおいて衝撃の直後はそれぞれのシナリオの市場イン
プライド・フォワード・レートに沿って金利が変動する。
分析の結果は、NIIのベースラインと比較された。NIIのベースラインは、全ての通貨の金利が、その市場
インプライド・フォワード・レートに従い、一定の業務取扱残高及び特定の管理活動はないという仮定の下
で変化する前提で計算される。1年の期間で計算されたシナリオのうち最も不利益なシナリオは「ブル・ス
ティープナー金利」であり、NIIベースラインへの影響値は、約6%の悪化であった一方、最も有益なシナ
リオは「ベア・フラットナー金利」で、NIIベースラインを約11%改善させた。上記のシナリオ分析に加
え、当グループは、一定の業務取扱残高及び構造の下で変化する前提で計算される定義された基準値レベル
と比較した、瞬時の-200及び+200の平行移動ショックに対するNIIの感応度も観察している。
2018年12月31日現在、NIIのベースラインは-200の平行移動ショックの下では約13%低くなったと考えら
れ、他方で+200の平行移動ショックの下では約24%高くなったと考えられる。
特にスイス・フランの持続する低金利及びマイナス金利環境から当グループのNIIの水準を守るため、当
グループは、当グループの金利連動商品のプライシングの適切な追加調整と共に、グローバル・ウェルス・
マネジメント業務及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門の預金ベースを通じた融資業務の自己資
金調達に依拠する。この貸借対照表の平衡を例えば、当グループのモーゲージ・ローン又は預金のいずれか
が当グループのピアに対しても魅力のない価格設定等で失った場合、持続する低金利又はマイナス金利環境
下において、当グループのNIIの減少を招く可能性がある。当グループは一定の業務取扱高を仮定している
ため、これらのリスクは上記の金利シナリオには反映されていない。
更に、低金利又はマイナス金利環境が持続又は悪化した場合、当グループのNIIに更なる圧力がかかり、
当グループは、スイス・フランの適格流動資産ポートフォリオを維持するための追加費用が必要となる可能
性がある。スイス国立銀行の銀行向け預金免税限度の引き下げも当グループが、例えば、当グループの預託
者に費用の一部を転嫁することでは相殺できない程の費用の増加に繋がる可能性がある。ユーロの金利が著
しく低下して更にマイナスになった場合も同様に、当グループの流動性費用も増加し、ユーロ建ての貸出金
及び預金から発生した当グループのNIIを取引高不均衡のリスクに晒すことになる。全体的な経済及び市場
状況により、大幅なマイナス金利又はマイナス金利の持続は、当グループのグローバル・ウェルス・マネジ
メント業務及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門の顧客の負債の返済及び当グループに預金とし
て預ける金額のうちの、余分な金額を減少させる原因にもなる。これにより潜在的な業務取扱高が減少し、
当グループのNIIも共に低下する。
預金の純減少により、代替資金調達の期間及び性質、かかる資金調達がホールセール市場において調達さ
れるのか、他通貨建ての利用可能な資金とのスワップで調達されるのか等、様々な要因に依拠する、潜在的
な相対的コスト増での代替資金調達が必要となる。他方、過剰な預金ポジションの原因となる不均衡に対し
ては、マイナスのイールドにおいての追加の投資が必要となるが、当グループの過剰預金残高処理の構造
上、十分に相殺できない可能性がある。
金利感応度のイールド・カーブにおける平行移動
バンキング勘定における金利リスクは資本目的において実証されていないが、規制上の基準に従う。2018
年12月31日現在、当グループのバンキング勘定金利リスク・エクスポージャーにおける金利の200ベーシ
ス・ポイントのプラス及びマイナスの平行移動の経済価値への影響は、規制機関が推奨する適格な自己資本
の現在の20%の基準及び2019年に適用されるTier1資本の15%の新基準の両方を大幅に下回った。
とりわけスイス・フラン、またスイス・フランほどではないがユーロ及び日本円についても、低金利状態
においては、グローバル・ウェルス・マネジメント業務及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門の
顧客取引の金利の下限は0%に設定されている。同様に、この開示テーブルの目的においては、100/200
ベーシス・ポイントの下向の動きは、結果として生じる金利ショックがマイナスにならないようにするため
に下限となっている。この下限設定によって、感応度は非線型となる。
バンキング勘定の金利上昇に対する感応度は、前年度末の約0から、1ベーシス・ポイントにつき+100
万米ドルとなった。これは主に米ドルの感応度が変化したことに起因する。2018年第3四半期において、当
グループはグローバル・ウェルス・マネジメント部門(南北アメリカ地域)からコーポレート・センター-
グループALMへの金利リスクの移行手続を実施し、アメリカにおいて保有される満期のない預金のための複
製モデルを採用した。これによりグローバル・ウェルス・マネジメント部門の金利上昇に対するエクスポー
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ジャーは1ベーシス・ポイントにつき-180万米ドルから1ベーシス・ポイントにつき-10万米ドルに減少
した。
バンキング勘定の金利上昇に対する感応度には、 OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類され
ている債券投資から発生する金利感応度が含まれる。これらのポジションのそれぞれの投資における利回り
の1ベーシス・ポイントの平行上昇に対する感応度は、約マイナス200万米ドルであり、前年度から変化は
なかった。
バンキング勘定の金利上昇に対する感応度には、キャッシュ・フロー・ヘッジにおいて指定された金利ス
ワップから生じる金利感応度も含まれる。これらのヘッジの有効な部分に伴う公正価値の損益は、資本のう
ち その他の包括利益 において直接認識される。ヘッジの対象となる予想キャッシュ・フローが損益に影響を
及ぼす場合、ヘッジ手段のデリバティブに伴う損益は その他の包括利益 (OCI)から損益に再分類される。
これらのスワップは、米ドル、ユーロ及びスイス・フランで表示される。基礎的なLIBORのイールド・カー
ブにおける1ベーシス・ポイントの増加(平行移動)は、税金調整を除外すれば、約2,200万米ドルのOCIの
減少となったはずである。
その他の市場リスク・エクスポージャー
自己の信用
当グループは、公正価値での測定を指定された金融負債の評価に反映される当グループの自己の信用の変
化にさらされている。この評価においては、当グループの自己の信用に係るリスクは市場参加者によって考
慮される。当グループはまた、自己のクレジットをデリバティブの価値に組み入れるために負債評価調整
(DVA)を見積もる。
構造的為替リスク
連結では、海外事業において保有されている資産及び負債は、財務諸表日付における最終の為替レートに
より米ドルに換算される。外国為替変動による、米ドル以外の資産及び負債の価値の変動(米ドル換算)は
OCIにおいて認識され、それゆえに株主資本及びCET1自己資本に影響を及ぼす。
コーポレート・センター-グループALMは、資産及び負債の組み合わせによる資金調達並びに純投資ヘッ
ジを含め、この為替エクスポージャーを管理する戦略を採用している。
株式投資
2018年12月31日付で国際財務報告基準(IFRS)に基づき、トレーディング勘定に含まれない株式投資は、
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 又は 関連会社投資 に分類される場合がある。
当グループは、様々な目的で、様々な事業体への直接投資及び上場・非上場会社の持分の取得を行う。こ
れには、当グループの事業活動を支えるために保有されるその他の投資(取引所会員及び決済機関メンバー
シップ等)が含まれる。当グループは、当グループが管理するファンドについては、当該ファンドの設定時
に資金を提供若しくは「当初資金を投入」する目的又は当グループの利益と投資家の利益が合致しているこ
とを証明する目的で投資を行うこともある。当グループは、自ら顧客に販売したファンドから証券及び受益
証券を購入し、また契約要件により購入することもある。
株式投資の公正価値は、各投資固有の要因の影響を受ける傾向にある。株式投資は、通常、中長期での保
有が意図され、ロックアップ契約に従うことがある。これらの理由により、当グループは、通常、これらの
エクスポージャーを、トレーディング活動に適用される市場リスク測定を利用して管理しないが、これらの
株式投資は、経営幹部及びリスク・コントロール部門による新規投資の事前承認、ポートフォリオ及び集中
度の制限等の様々な範囲の統制並びに定期的な監視及び報告の対象とされる。また、これらは、当グループ
全体の統計的及びストレス・テスト基準にも含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
2018年12月31日現在、当グループは、合計25億米ドルの株式投資を行っており、うち14億米ドルは 公正価
値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 に分類され、11億米ドルは 関連会社投資 に分類され
た。これは概して前年度から変化がなかった。
債券投資
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2018年12月31日現在、 OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類される債券投資は公正価値で測
定され、公正価値における変動は 資本 を通じて計上され、主として法律上、規制上、又は流動性を理由とし
て保有されるマネー・マーケット商品及び債務証券に広く分類することができる。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類された負債性商品に適用されるリスク統制の枠組み
は、商品の性質と保有目的により異なる。当グループのエクスポージャーは、市場リスク制限に組み入れら
れ、又は特別な監視を受ける可能性及び金利の感応度分析を受ける可能性がある。これらはまた、当グルー
プ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類された債券投資は、2018年12月31日現在、公正価値で
67億米ドルであった。これに対し、2017年12月31日現在は、公正価値で81億米ドルであった。
年金リスク
当グループは、過去及び現在の従業員向けに年金制度を多数提供しているが、その一部はIFRSに基づき確
定給付年金制度として定義されている。これらの確定給付年金制度は当グループのIFRS資本及びCET1自己資
本に重大な影響を及ぼす可能性がある。
今後、予想年金支払額を満たすため、各制度は従業員及び雇用者による拠出を様々な資産に投資する。年
金制度の資金状況はこれらの資産の公正価値と年金制度加入者に対する予想年金支払額の現在の価値との
差、すなわち確定給付債務である。
年金リスクは、確定給付年金制度の資金状況が悪化した場合に当グループのIFRS資産及び/又はCET1自己
資本に悪影響を与えるリスクである。かかるリスクは制度資産又は投資収益の価値の低下、確定給付債務の
増加若しくはこれらの組合せで発生する。
制度資産の公正価値に影響を与える重要なリスク要因には、とりわけ、株式市場収益、金利、債券利回り
及び不動産価格が含まれる。予想年金支払額の現在価値に影響を与える重要なリスク要因には、高水準の債
券利回り、金利、インフレ率及び平均寿命が含まれる。
年金リスクは、当グループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の
枠組みに含められる。潜在的な影響は、従って、ストレス後の当グループのCET1自己資本の計算において確
認することができる。
UBS自己株式エクスポージャー
グループ財務部門は、従業員株式報酬及び出資持分に関連する将来の株式交付義務のヘッジを目的とし
て、UBSグループAG株式を保有している。更に、インベストメント・バンク部門は、主にUBSグループAG株式
及び関連するデリバティブのマーケット・メーカーとして、また一定の発行済みの仕組債証券をヘッジする
ために、非常に少数のUBSグループAG株式を保有している。
当グループは、2018年3月に株式買戻しプログラムを開始した。当グループは、スイスの規則に従って、
2021年3月までに株式買戻しプログラムを通じてUBSグループAG株式を最大で総額20億スイス・フラン買戻
す可能性がある。2018年度中、当グループは総額7億5,000万スイス・フラン(7億6,200万米ドル)の株式
を取得した。当グループの資本還元方針に従い、当グループは現在のプログラムを完了した後、追加の買戻
しプログラムを設定する予定である。株式買戻しプログラムを通じて取得する株式は、資本金減少の目的で
買戻しされる。UBSグループAG株式の株主が取消を承認するまでの間、株式買戻しプログラムを通じて取得
された株式はグループ財務部門にて管理される。
カントリー・リスク
カントリー・リスク対応策
カントリー・リスクには、国家の法域内で起こる当該国特有の全ての事象が含まれ、当該リスクはUBSの
エクスポージャーの減損を招く可能性がある。カントリー・リスクは、財政的責任を履行する政府の能力及
び意欲に関係するソブリン・リスク、発行体若しくはカウンターパーティが中央銀行の外国為替振替におけ
る一時停止を受けて外貨を取得できない場合に生じるトランスファー・リスク、又は「その他の」カント
リー・リスクの形を取ることがある。「その他の」カントリー・リスクは、一方では増加した複数のカウン
ターパーティ及び発行体のデフォルト・リスク(システミック・リスク)により、また他方で、政治の安定
又は制度的枠組み及び法的枠組みに影響を及ぼす負のショック等の国家の状況に影響を及ぼしうる事象によ
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り生じる。当グループは安定したリスク統制の枠組みを維持しており、かかる枠組みを通して当グループ
は、当グループがエクスポージャーを有する全ての国のリスク・プロフィールを評価する。
当グループは各外国に対して、当該国家が自身の外貨建ての金融債務につき債務不履行となる可能性を示
すソブリン格付を付与する。当グループの格付は、本項の「デフォルト確率」の項に記載される、統計的に
導出されたデフォルト確率により表示される。こうした内部の分析に基づき、当グループは送金事象が発生
する確率も明確にし、「その他の」カントリー・リスクの側面を各国に所在する事業体のカウンターパー
ティ格付の分析にどのように組み込むべきかということに関して規則を制定する。
外国に対する当グループのリスク・エクスポージャーにおいては、それらの国々に与えられた信用格付が
考慮されている。カントリー・リスク・シーリング(すなわち、エクスポージャー合計の上限)は、該当す
る外国のカウンターパーティ又は証券及び金融商品の発行体に対する当グループのエクスポージャーに適用
される。当グループは、あるカウンターパーティについて、カントリー・リスク・シーリングがなければエ
クスポージャーを引き受けられる場合でも、信用供与、取引商品の取引、及び証券ポジションを、カント
リー・リスク・シーリングに基づいて制限することがある。
カントリー・リスクの内部測定及び統制のため、当グループは、国家の危機の発生前、発生中、及び発生
後に生じる市場の混乱について、その財務上の影響も検討する。市場の混乱は、ある国の債券・株式市場若
しくはその他の資産市場の大幅な悪化、又は通貨の急落という形をとる場合がある。当グループは、国家の
深刻な危機による潜在的な財務上の影響額を評価するために、ストレス・テストを使用している。これに
は、総合ストレス・テストのための妥当なストレス・シナリオの開発、危機事由が発生する可能性がある国
の特定、潜在的損失額の算定、並びに関連信用取引の種類に応じた回収率及び影響を受けた国の経済的な重
要性に関して仮定を行うことが含まれる。
当グループの市場リスクに対するエクスポージャーは、総合ストレス・テストにも使用される主要なグ
ローバル・シナリオをカバーする標準ストレス・テストの対象でもあり、当該テストにおいて当グループ
は、全ての関連する国々における株式指数、金利及び為替レートに対して市場にショックを与える要因を適
用し、金融商品の潜在的流動性を考察する。
カントリー・リスク・エクスポージャー
カントリー・リスク・エクスポージャーの測定
カントリー・リスクのプレゼンテーションは、当グループ内部のリスク見解に基づく。当グループ内部の
リスク見解において、エクスポージャーの測定基準は、当グループが自身のエクスポージャーを分類してい
る商品カテゴリーに基づく。本項の「当グループの信用リスク・プロフィール」の項において定義されてい
るバンキング商品及び取引商品へのエクスポージャーの分類に加えて、当グループは、社債や株式等の有価
証券に関する発行体リスクの他に、デリバティブ・ポジションに係る原参照資産に関するリスクをトレー
ディング滞留資産内に分類している。後者のリスクには、当グループが売買する信用プロテクション、販売
開始前のローン又は証券引受コミットメント及びシンジケーション向けの単一株式マージン貸出に関連する
ものが含まれる。
当グループは純額でトレーディング滞留資産を管理することから、同一の原発行体のロング・ポジション
の価値をショート・ポジションとネットしている。しかしながら、ネット・エクスポージャーは、表示され
た数値においては発行体ごとにゼロまで低下する。そのため、当グループは一定のヘッジ及び発行体全体の
ショート・ポジションの潜在的相殺利益を認識しない。
当グループは、ヘッジ前エクスポージャーとしてカントリー・エクスポージャーを報告する際には、マス
ター・ネッティング契約のリスク軽減効果及び現金又は多様な市場性のある有価証券のポートフォリオの形
で保有された担保(これらは、基準となるエクスポージャーの正値から控除される。)を除き、予想回収金
額を認識しない。バンキング商品及び取引商品において、信用プロテクションのリスク軽減効果は、ヘッジ
後エクスポージャーを決定する際に、想定ベースで考慮に入れられる。
カントリー・リスク・エクスポージャーの分配
通常、エクスポージャーは、契約上のカウンターパーティ又は証券の発行体の居住地である国に対して示
される。資産又は収益源といった経済的財産を主に異なる国に有するカウンターパーティに関して、エクス
ポージャーは、かかる発行体のリスク所在地に分配される。
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これは例えば、金融オフショア・センターに設立された法人で、その主要な資産及び収益が居住地である
国の外に流れている場合である。当グループが第三者保証又は担保を保有するエクスポージャーについても
同様の原則が適用される。このような場合、原有価証券の保証人若しくは発行体いずれかの居住地である国
に 対するエクスポージャー、又は担保資産がある国に対するエクスポージャーを報告する。
当グループは、その法人の居住地以外の国にある銀行の支店に対するバンキング商品エクスポージャーに
は特別なアプローチを適用する。このような場合、エクスポージャーは、そのカウンターパーティの居住地
である国に対して全額記録され、追加で支店がある国に対して全額記録される。
デリバティブの場合、当グループは、カウンターパーティの居住地である国に対する、再調達価額-借方
(PRV)に付随するカウンターパーティ・リスクを(取引商品において)示す。更に、原参照資産の価値の
瞬間的なゼロまでの低下(回復を想定しない。)に付随するリスクは、参照資産の発行体の居住地である国
に対して(トレーディング滞留資産において)示される。このアプローチにより、当グループは、デリバ
ティブから生じるカウンターパーティ及び該当する場合には発行体の双方のリスク要因を把握することがで
き、またこのアプローチは、シングルネームのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)及びその他のク
レジット・デリバティブを含む全てのデリバティブに包括的に適用される。
基本的な例として、その居住地がX国であるカウンターパーティから購入した名目価値100のCDSプロテク
ションで、かつその居住地がY国である発行体の債務を参照するCDSプロテクションが20のPRVを有する場
合、当グループは、(ⅰ)(取引商品における)X国に対するCDSの公正価値(20)、及び(ⅱ)(トレー
ディング滞留資産における)Y国に対するCDSのヘッジ利益(名目価値-公正価値)(100-20=80)を記録
する。購入したプロテクションの例においては、80のヘッジ利益は、同一の発行体により参照資産として保
有及び発行される有価証券から生じるエクスポージャーと相殺され、発行体ごとにゼロまで低下する。売却
したプロテクションの場合、同一の発行体により参照資産として保有及び発行される有価証券から生じるエ
クスポージャーに加えて、80のリスク・エクスポージャーとして反映される。資産のバスケットを参照資産
とするデリバティブの場合、各参照事業体に対する発行体リスクは、当該事業体により発行された対応する
参照資産の価値が瞬間的にゼロまで低下することを前提として、デリバティブの公正価値における予想変動
として計算される。エクスポージャーはその後、発行体ごとにゼロを下限として、発行体の居住する国ごと
に合計される。
ユーロ圏主要国に対するエクスポージャー
周縁のヨーロッパ諸国に対する当グループのエクスポージャーは引き続き限定的であるが、当グループ
は、ユーロ圏における不利な展開の影響拡大の可能性について依然として警戒している。本項の「ストレ
ス・テスト」の項で述べた通り、ユーロ圏の危機は、依然として、 深刻なユーロ圏危機シナリオ という総合
ストレス・テストのための新たな必須の想定シナリオの中核的な部分であり、当グループのリスク選好の枠
組みにおける最低自己資本、利益及びレバレッジ比率の達成目標に対するリスク・エクスポージャーの定期
的な監視において最重要項目とされている。
CDSは当グループのトレーディング事業に関連して主に売買されているが、当グループのリスク・エクス
ポージャーの一部(特定のユーロ圏諸国に関連するリスク・エクスポージャーを含む。)をヘッジするため
にも使われている。2018年12月31日現在において、マスター・ネッティング契約のリスク軽減効果を考慮に
入れることなく、当グループは、ギリシャ、イタリア、アイルランド、ポルトガル及びスペイン(GIIPS)
に居住の発行体に関する名目元本総額約70億米ドルのシングルネームCDSプロテクションを購入し、これら
の同じ国々について名目元本総額80億米ドルのシングルネームCDSプロテクションを売却した。純額では、
マスター・ネッティング契約のリスク軽減効果を考慮に入れて、これは名目元本総額約10億米ドルの購入及
び名目元本総額20億米ドルの売却に相当する。購入されたプロテクション総額は全て、投資適格カウンター
パーティ(当グループの内部の格付に基づく。)から購入したもので、担保付であった。かかるプロテク
ションの大半はユーロ圏外に居住の金融機関から購入したものであった。GIIPSに居住のカウンターパー
ティから購入したプロテクション総額は5,000万米ドルであり、参照法人として同国に居住のカウンター
パーティから購入したプロテクションはゼロであった。
契約上、支払は一定のシナリオ下においてのみ行われるので、信用破綻防止のためにCDSを保有すること
により、必ずしもプロテクションの買手が損失から守られるわけではない。デフォルト・リスクのヘッジと
しての当グループのCDSプロテクションの有効性は、CDSが引き受けられた契約条項を含む多くの要因の影響
を受ける。通常、CDS条項により定義された信用事象(とりわけ、債務不履行、再編又は破産を含むことが
ある。)の発生によってのみ、購入された信用プロテクション契約に基づく支払が生じる。ソブリン債に係
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るCDS契約では、契約拒絶も債務不履行事由とみなされうる。信用事象が発生したか否かの判断は、CDS条項
並びに当該事象を取り巻く事実及び状況に基づき、関連ある国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の決定
委 員会(多様なISDA加盟法人により構成される。)が下す。
新興市場国に対するエクスポージャー
ソブリン格付区分に基づけば、2018年12月31日現在の当グループの新興市場国へのエクスポージャーのう
ち、84%(2017年12月31日現在は79%。)は投資適格であった。
当グループの中国に対する直接的な正味のエクスポージャーは、トレーディング勘定を中心に、前年から
12億米ドル増加して、63億米ドルであった。トレーディング滞留資産(公正価値で測定される。)は、引き
続き当グループの中国に対するエクスポージャーの大部分を占めている。
オペレーショナル・リスク
主な動向
引き続きUBS及び金融業界にとって付随リスクに関する大きな難題となっているのは、オペレーショナ
ル・レジリエンス、行為規制及び金融犯罪である。
当グループは、混乱に対応し、日常業務の実効性を維持する能力を継続的に向上させているため、オペ
レーショナル・レジリエンスは依然として当グループの主要な関心事である。サイバーセキュリティとデー
タ保護は、オペレーショナル・レジリエンスの重要な要素である。当グループのサイバーセキュリティの目
的は、一般的な国際基準に従って定められており、当グループのデータ保護基準は、適用されるデータ保護
規制及び基準に合致するように意図されている。当グループは、当グループの目的を達成し、適用される基
準を満たすために、刻々と変化すると共にますます巧妙になっているサイバー攻撃からUBSを防御する予防
的検出策への投資を実行中である。当グループの投資優先事項においては、サイバー攻撃の脅威及びデータ
損失の特定及び対応の迅速化、従業員の研修及び行動、並びにアプリケーション及びインフラの安全性(脆
弱性管理を含む。)が重視されている。
UBSは、2018年度は、事業継続に係る重大な事象の影響を受けておらず、局所的事象が発生した場合も、
事業継続手続により、従業員の安全性を監視し、大した混乱もなく事業活動を継続することができた。
顧客にとって公正な結果を実現すること、市場の健全性を守ること、及び最高水準の従業員行為を育成す
ることが当グループにとって極めて重要である。コンダクト・リスクの管理は当グループのオペレーショナ
ル・リスク対応策の中心的な部分である。当グループは、コンダクト・リスクの管理において、引き続き、
コンダクト・リスク対応策を定着させること、管理情報を充実させること、及び企業風土を改善する機運を
維持することを重視し続けている。行為規制に関連する管理情報は、事業及び地域のガバナンスの段階にお
いて検討され、従業員の行為、顧客及び市場に関する指標を提供する。従業員の行為は、毎年の報酬に係る
手続において主要な検討事項となっている。当グループのインセンティブ制度においては、行為規制に関連
する行動と量的実績が明確に区別されており、そのため、財務目標に対する達成度は、当グループの従業員
の実績評価を決定する唯一の要因ではない。更に、当グループは、引き続き、「優れた監督の原則」等の行
動イニシアチブを遂行し、必修の法令遵守及びリスク研修を提供している。
低金利及びEUの金融商品市場指令Ⅱ(MiFID Ⅱ)等の主要な法改正プログラムが継続しているため、適合
性リスク、製品の選択、部門間のサービスの提供、アドバイスの質及び価格の透明性も、引き続きUBS及び
当業界全体において重視が強まる分野である。当グループは、その適合性、製品及び利益相反統制の枠組み
を定期的に監視して、かかる枠組みが当グループによる適用法令及び規制上の要請の遵守を促進するために
合理的な設計になっているかどうか評価する。
技術革新や地政学的情勢により事業を行う複雑さが増し、規制当局が高い関心を持ち続けているため、金
融犯罪(マネーロンダリング、テロ資金調達、制裁違反、詐欺及び贈収賄を含む。)は引き続きリスクと
なっている。当グループにとって、依然として、効果的な金融犯罪防止プログラムが不可欠である。マネー
ロンダリングや金融詐欺の技術はますます巧妙になっている一方で、地政学的な不安定さのために制裁の状
況がより複雑になっている。2018年度中、当グループは、継続的な規制上及び金融犯罪上の高度な課題に対
応するマネーロンダリング防止(AML)、テロ資金調達、制裁及び不正管理対応策の機能強化において大き
な成果を挙げた。
当グループは、金融犯罪防止プログラムの一環として引き続き当グループの検出機能及び基幹システムに
対する多額の投資も行っている。当グループは、金融犯罪に対抗するために新たな技術を探究し、不審な取
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引を特定するために自己学習システムを利用することによりルールに基づく監視を実施している。更に、当
グループは、情報の共有を強化し、金融犯罪の検出を向上させるために、公共部門の株主とのAMLにおける
官 民協力体制(法の執行を含む。)に積極的に参加している。
米国の通貨監督局は、金融犯罪とAMLを監督上最も懸念のある分野とし、2018年5月に、UBSに対し、UBS
の一部の米国支店に関する停止命令を出した。これを受けて、UBSは、当グループの全社的なAML方針に沿っ
て、全ての米国法人にわたる米国関連の銀行秘密法/AML問題の統一的かつ戦略的な改善を推進するための
包括的で持続可能なプログラムを策定した。
クロスボーダー・リスクは、財政透明性に対する強い重視及び自動情報交換等の法律の増加により、依然
として、世界中の金融機関について規制当局が注目している分野である。当グループは、引き続き、規制上
の要請に従うべくクロスボーダー統制の枠組みを調整し、法令を遵守した、顧客主導のクロスボーダー事業
を促進し続けている。
全世界における新たな報告要件の増加及び規制当局による監視の一般的な強化傾向により、規制上の報告
は依然として困難な分野である。2018年度、当グループは、引き続き、この分野を重視し続け、規制プロセ
ス管理体制を新しくし、規制動向の把握を強化した。
新たな規制の導入、規制当局間の国際協力の増加及び個人の責任と業界の経営モデルの重視の高まりによ
り引き続き規制環境全般が大きく変化し続けているため、当グループは、当業界の規制機関との強力な関係
を維持し、改善措置を実行し持続するにあたり目に見える向上を示すことが重要である。
オペレーショナル・リスク対応策
オペレーショナル・リスクは当グループの事業に固有の部分である。損失は、不適切な若しくは機能しな
い社内手続、決定及びシステム又は外的事象により生じうる。当グループは、リスクと利益の適切なバラン
スを実現するために、重大なオペレーショナル・リスク及びその潜在的集中の特定、評価及び軽減を支援す
る当グループ全体の枠組みを設定している。各部門の社長及びコーポレート・センター部門の責任者は、オ
ペレーショナル・リスク管理の有効性及びオペレーショナル・リスク対応策の実施について最終的に責任を
負う。フロントからバックオフィスまでの統制環境及びリスク管理の責任は、チーフ・オペレーティング・
オフィサーが負う。全ての部門の経営陣は、内部統制、効果的な監督及びリスクに対する強固な企業風土の
確立及び保守を含め、強固なオペレーショナル・リスク管理の環境を確立する責任を負っている。2018年度
に、当グループは、更にオペレーショナル・リスク対応策を改善し、事務処理を合理化し、オペレーショナ
ル・リスクの検出及び軽減能力を強化し、オペレーショナル・リスク対応策を日常的にリスクを管理する業
務において使用される重要な手段としてより適切に定着させた。
コンプライアンス及びオペレーショナル・リスク・コントロール部門(C&ORC)は、当グループ全体にお
けるオペレーショナル・リスク管理の妥当性について独立した客観的視点を提供し、かつ当グループの全て
のオペレーショナル・リスク(コンプライアンス・リスク及びコンダクト・リスクを含む。)が確実に当グ
ループのリスク選好に適合するように理解され、支配され、管理されるようにする責任を負う。C&ORCは、
グループ・コンプライアンス、レギュレトリー&ガバナンス(GCRG)部門内に置かれ、グループ執行役員会
の構成員であるグループ・チーフ・コンプライアンス及びガバナンス・オフィサーの監督下にある。オペ
レーショナル・リスク対応策は、UBSにおけるオペレーショナル・リスク(コンプライアンス・リスク及び
コンダクト・リスクを含む。)を管理及び統制するための一般的な要件を定めている。当該対応策は以下の
柱に基づいている。
- オペレーショナル・リスク分類法による固有リスクの分類
- 統制評価プロセスによる統制の設計及び運営効果に対する評価
- リスク評価プロセスによる固有リスク及び残余リスクの評価、並びに残余リスクの許容水準の範囲外
で特定された欠陥に対応するために計画される改善
- 定量的指標及び基準値並びに定性的基準によるオペレーショナル・リスク選好の決定、選考を超える
水準のオペレーショナル・リスクの特定、並びに残余リスクを決定されたリスク選好の範囲内に戻す
ための適切な措置の実施
オペレーショナル・リスク分類法により、全部門にわたる当グループ固有のオペレーショナル・リスク、
コンプライアンス・リスク及びコンダクト・リスクが明確かつ論理的に分類される。組織の各階層を通じ
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て、リスク選好の水準は、リスク・エクスポージャーを許容範囲に留まらせるのに必要とみなされる最低限
の内部統制及び関連する運用基準値と共に、分類区分ごとに合意されなければならない。
当グループの全ての部門は、定期的に内部統制の評価を行うことを義務づけられており、これにより各部
門の主要な統制手続の設計上及び運用上の有効性が評価及び証明される。かかるプロセスは、サーベンス・
オクスリー法第404条(SOX法第404条)により義務づけられる財務報告に対する内部統制手段の評価及びテ
ストのベースともなる。この対応策により、独立したテスト、機能的な評価、経営の確認、及び統制上の弱
点が判明した場合の改善状況の把握に対するSOX法第404条上の統制の検証が容易になる。当グループは、統
制不備の総合的な影響及び改善努力の十分性を評価するための一貫した全社的な枠組みを採用している。
UBSのリスク評価のアプローチは、全ての事業活動並びにUBSグループに脅威をもたらす、新たに判明した
又は既知の内的及び外的要因を対象としている。リスク評価は、統制環境に新たに判明した又は既知の弱点
があればそれと共に集約されて、当グループのリスク選好に対する現状の残余オペレーショナル・リスク・
エクスポージャーを明確に示す。
内部統制プロセス及びリスク評価プロセス中に発覚する重大な統制の不備は、オペレーショナル・リスク
の要約として報告されなければならず、持続可能な改善策が策定及び実施される必要がある。これらの課題
は上級役員レベルの所有者に割り当てられ、かかる各管理責任者の年間実績測定及び経営目的に反映されな
ければならない。発生源を問わず、既知のオペレーショナル・リスク課題に優先順位を付け、総リスク・エ
クスポージャーを測定する一助として、全ての内部統制機能並びに内部及び外部監査により、共通の格付方
法が採用される。グループ内部監査部門は、オペレーショナル・リスク課題の持続的な軽減及び統制におい
て強固な経営規律を維持するために、リスク課題終結後に課題保証プロセスを実施する。
先進的計測手法モデル
上記に詳述したオペレーショナル・リスク対応策は、オペレーショナル・リスクに関する規制資本の算定
と連動し、かつ、かかる算定の基盤となるものであり、これにより当グループはオペレーショナル・リスク
の定量化及び効果的な管理インセンティブの確定が可能となる。
当グループは、FINMAの要件に従い、先進的計測手法(AMA)を利用して、オペレーショナル・リスクのエ
クスポージャーを測定し、オペレーショナル・リスクに係る規制資本を計算している。
UBSスイスAGについては事業体独自のAMAモデルが適用されているが、規制対象事業体については、現地の
規制当局の承認を得た上で、規制資本に関して基本的指数又は標準的手法が採用されている。また、事業体
独自の自己資本充実度に関する評価プロセス、及びUBSバンクUSAによるドッド・フランク法に基づくストレ
ス・テストの提出のために、当グループのAMAの基礎となる方法論が利用されている。
現在、当該モデルには15種類のAMA測定単位(UoM)が含まれており、かかるUoMは当グループのオペレー
ショナル・リスク分類法と連動している。各モデル測定単位につき、頻度と重要度の分布が較正される。そ
して、頻度と重要度の両方につきモデル化された分布関数を利用して、年間損失分布が作成される。その結
果として得られる、全UoMにわたる全体的な年間オペレーショナル・リスク損失分布の99.9%の分位が、必
要規制資本を決定する。現在、当グループは、AMAモデルにおいて保険又はその他のリスク移転メカニズム
を通じた軽減を反映していない。
データ駆動の頻度と重要度の分布を較正する際に重要な前提は、過去の損失が将来の事象の合理的な代替
物になるということである。当グループのAMAは、規制上の要請に合わせて、過去の内部損失及びより広い
業界が被った外部損失の両方を利用する。統計上の仕組みのねらいは、内部的なUBSの損失プロフィールと
統計的に一貫性のある業界損失のみがモデル化に使用されるようにすることである。
AMAモデルの較正及び審査
当初のモデルのアウトプットは、事業戦略の変更及び内部統制の枠組みの拡充などの内部要因だけでな
く、新たな規制、地政学的変化、不安定な市場及び経済情勢等、急速に変化する外部の事情を反映するため
に、審査され、調整される。データ駆動の頻度と重要度の分布は、対象分野の専門家によって審査され、必
要に応じて、正確に損失を予測することを目的として、事業環境及び内部統制要因に関する定性的情報の検
討並びに専門家の判断に基づいて調整される。
リスク感応度を維持するために、当グループのモデルは、半年ごとに審査されており、少なくとも年1
回、再較正しなければならない。再較正又は方法論の変更の結果として規制資本が変更される場合には、か
かる変更は、開示目的のための利用に先立ち、承認を得るためにFINMAに提出される。
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AMAモデルの確認
当グループのAMAモデルは、毎年、当グループのモデルに係るリスク管理の枠組みに合わせて、モデル・
リスク管理&統制部門によって行われる独立の検証を受ける。
オペレーショナル・リスクに関する規制資本の今後の動向
2017年12月、バーゼル銀行監督委員会は、バーゼルⅢの最終的な枠組みを公表した。公表された枠組みに
基づき、オペレーショナル・リスクに関する規制資本要件は、標準的計測手法(SMA)によって決定される
ことになり、これがAMAによる資本管理体制に取って代わる。
SMAは、主に、2つの構成要素に基づいている。1つは、基本的に、SMAに関して銀行の規模の代用物とし
て利用される、ビジネス指標であり、もう1つの構成要素は、過去の損失実績である。公表された枠組みに
おいては、損失実績の部分に関して、多くの要素が各国の裁量に任されている。UBSは、実施目的について
より詳細に話し合うため、及びオペレーショナル・リスクに関する資本管理体制への円滑な移行に向けて準
備するために、FINMAとの間で緊密な対話を継続している。
4【経営上の重要な契約等】
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記32を参照のこと。
5【研究開発活動】
該当事項なし。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
下記2を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
2018年12月31日現在、UBS AGは全世界の約759の事業及びバンキングに関する拠点で事業を行っている。
そのうち、約40%がスイスに、43%が南北アメリカに、10%がスイス以外のヨーロッパ、中東及びアフリカ
に、7%がアジア太平洋地域に所在する。スイスに所在する事業及びバンキングに関する拠点のうち、29%
はUBS AGが直接保有し、残りは、UBS AGのスイス国外の事業所の大部分と同様に、商業リースによるもので
ある。当該設備は、継続的に保守及び改良が行われており、現在の業務及び予想される業務に適切かつ適当
であるものとみなされる。
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記15を参照のこと。
3【設備の新設、除却等の計画】
該当事項なし。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
当行の普通株式は、1株当たりの額面0.10スイス・フランの記名株式であり、全額払込済みである。
(1)【株式の総数等】(2018年12月31日現在)
①【株式の総数】
授 権 株 数 (株) 発 行 済 株 式 総 数 (株) 未 発 行 株 式 数 (株)
記 名 式 記 名 式 記 名 式
4,238,408,466 3,858,408,466 380,000,000
(注) 上記記名株式は額面金額0.10スイス・フランである。
資本の額(2018年12月31日現在/財務書類に基づく)
額 面 価 額 資 本 金
スイス・フラン 株 式 数 スイス・フラン (百万円)
発行済払込済株式資本 0.10 3,858,408,466 385,840,846.60 (41,841)
②【発行済株式】
上場金融商品取引所名又は
記名・無記名の別及び
種 類 発行数(株) 登録認可金融商品取引業協 内容
額面・無額面の別
会名
記名式額面株式
普通株式 3,858,408,466 該当なし (注)
(額面金額0.10スイス・フラン)
(注) 株式1株につき1議決権を有する。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
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(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】(2018年12月31日現在)
株式資本の変動
(単位:スイス・フラン(百万円))
発行済株式総数 発行済株式総数
年 月 日 資本金増減額 資本金残高 摘 要
増減数(数) 残高(株)
2014年12月31日 - 3,844,560,913 - 384,456,091
(41,690)
2015年12月31日 13,847,553 3,858,408,466 1,384,755 385,840,847 2015年5月に任意の株式
配当を行った際、条件付
(150) (41,841)
株式資本からUBS AGの新
株を発行
2016年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(41,841)
2017年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(41,841)
2018年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(41,841)
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(4)【所有者別状況】
UBSグループAGは、2018年12月31日現在UBS AG株式の100.00%を所有している。よって、2018年12月31日
現在、UBSグループAGがUBS AGの唯一の主要株主であった。
(5)【大株主の状況】
2018年12月31日現在
発行済株式総数に
氏名又は名称 住所 所有株式数 対する所有
株式数の割合
スイス国 チューリッヒ市 CH-8001
UBSグループAG 3,858,408,466 100.00%
バーンホフストラッセ45
2【配当政策】
配当支払を行うか否かの決定及び当行が払う配当の水準は、年次の利益及び当行に投入される資本水
準を含む様々な要因に依拠する。
3【株価の推移】
該当事項なし。
4【役員の状況】(提出日現在。ただし、株式所有数については2018年12月31日現在)
UBS AGの役員のうち、19名が男性で5名が女性であった(女性の比率は20.8%)。
(1) 取締役会
所有株式数
氏名 役職名 生年月日 主要略歴 任期
(普通株式)
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アクセル A. ウェーバー 取締役会会長 1957年3月8日 アクセル A.ウェーバーは 1年 0株
(Axel A. Weber) 2012年の年次株主総会にてUBS
AGの取締役に選出され、2014
年11月にはUBSグループAGの取
締役に選出された。同氏は、
UBS AGとUBSグループAGの両方
の取締役会会長である。同氏
は、2012年よりガバナンス・
指名委員会の委員長を務めて
おり、2013年に企業風土・責
任委員会の委員長に就任し
た。同氏は2004年から2011年
にドイツ連邦銀行総裁を務め
ており、その間、他にも欧州
中央銀行政策理事会理事、国
際決済銀行取締役会のメン
バー、国際通貨基金のドイツ
代表総務及びG7とG20の蔵相・
中央銀行総裁のメンバーを務
めていた。また、2011年には
欧州システミックリスク理事
会運営委員会のメンバー、
2010年から2011年には金融安
定理事会運営員会のメンバー
を務めた。また2002年から
2004年にはドイツ政府経済諮
問委員会委員であった。
ウェーバー氏の学術方面での
経歴としては、ケルン、フラ
ンクフルト・アム・マイン、
ボン及びシカゴの大学での国
際経済学、金融経済学及び経
済理論の教授職が挙げられ
る。同氏はコンスタンツ大学
で経済学の修士号を取得し、
ジーゲン大学で経済学の博士
号を取得しており、同大学で
は大学教員資格も取得してい
る。また、デュースブルク=
エッセン大学及びコンスタン
ツ大学で名誉博士号を取得し
ている。
職務:UBSグループAGの取締
役、スイス銀行協会の理事、
アヴニール・スイス評議会の
メンバー、「ツークンフト・
フィナンツプラッツ顧問会」
(Beirat Zukunft
Finanzplatz)の諮問委員会の
メンバー、スイス財務審議会
の理事、国際金融協会の理事
長、ヨーロピアン・ファイナ
ンシャル・サービシズ・ラウ
ンドテーブルのメンバー、欧
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州銀行グループのメンバー、
シンガポール金融管理局国際
諮問委員会のメンバー、グ
ループ・オブ・サーティ(ワ
シントンDC)のメンバー、DIW
ベルリン評議会の議長、
チューリッヒ大学経済学部の
諮問委員会のメンバー、三極
委員会委員
デイヴィッド・ 副会長 1953年3月28日 デイヴィッド・シドウェル 1年 0株
シドウェル リスク委員会委員 は、2008年の年次株主総会に
(David Sidwell) 長 てUBS AGの取締役に選出さ
れ、2014年11月にはUBSグルー
プAGの取締役に選出された。
同氏は副会長兼上級独立取締
役である。2008年よりリスク
委員会の委員長を務めてお
り、2011年よりガバナンス・
指名委員会委員を務めてい
る。シドウェル氏は2004年か
ら2007年にモルガン・スタン
レーの執行副社長兼CFOに就任
していた。モルガン・スタン
レーに入社する以前は、JPモ
ルガン・チェース・アンド・
カンパニーに勤務しており、
そこでの20年にわたる業務の
中で経理部長をはじめとする
多くの役職を経験しており、
2000年から2004年にはインベ
ストメント・バンクのCFOを務
めた。これ以前には、ロンド
ンとニューヨークの両地で、
プライス・ウォーターハウス
に勤務していた。シドウェル
氏はケンブリッジ大学を卒業
しており、イングランドと
ウェールズの英国勅許会計士
協会から公認会計士の資格を
得ている。
職務:UBSグループAGの副会長
兼上級独立取締役、ニュー
ヨークのオリバー・ワイマン
の上級顧問、チャブ・リミ
テッドの取締役、GAVIアライ
アンスの理事、ニューヨーク
のビレッジ・ケアの取締役会
会長
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ジェレミー・アンダーソ 監査委員会委員長 1958年6月8日 ジェレミー・アンダーソン 1年 0株
ン は、2018年の年次株主総会に
(Jeremy Anderson) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏は
2018年から監査委員会の委員
長であり、企業風土・責任委
員会の委員も務めている。同
氏は2019年からガバナンス・
指名委員会の委員も務めてい
る。同氏は2010年から2017年
までKPMGインターナショナル
でグローバル・ファイナン
シャル・サービシズの会長を
務めた。同氏は30年以上も顧
問の立場でバンキング及び保
険業界に従事しており、戦
略、監査及びリスク管理、テ
クノロジーに対応するための
変革、合併及び銀行の再編を
含む広範なトピックを任務と
してきた。アンダーソン氏
は、2014年のKPMGのグローバ
ル・フィンテック・ネット
ワーク設立時の出資者であ
り、ヨーロッパ、米国及びア
ジアにおいてフィンテック関
連イベントに定期的に参加し
ている。同氏は、2004年に
KPMGインターナショナルに入
社し、2006年から2011年まで
KPMGヨーロッパのファイナン
シャル・サービシズの責任者
であり、2008年から2011年ま
でKPMGヨーロッパのクライア
ント・アンド・マーケットの
責任者でもあった。2004年か
ら2008年に同氏は英国ファイ
ナンシャル・サービシズ・プ
ラクティスの責任者であっ
た。その前は、同氏はアト
ス・オリジンのグループ取締
役会の構成員であり、2002年
にアトスがKPMGコンサルティ
ング英国事業を取得した後は
その英国事業の責任者でも
あった。この職務で英国にお
いてアトスのコンサルティン
グ、システム統合及びIT外部
委託の各サービスを管理し
た。アンダーソン氏は1985年
にKPMGの英国コンサルティン
グ事業に加わり、2000年から
2002年までCEOとして会社を主
導し、それ以前は、その金融
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サービス事業のパートナーで
あった。同氏は、1980年にト
ライアド・コンピューティン
グ・システムズでソフトウェ
ア開発者としてキャリアを開
始した。アンダーソン氏は、
ユニヴァーシティ・カレッ
ジ・ロンドンで経済学の学士
号を取得した。
職務:UBSグループAGの取締
役、英国のプロダクティビ
ティ・リーダーシップ・グ
ループの理事、キングハム・
ヒル・トラストの理事、セン
トへレンズのビショップスゲ
イトの理事
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ウィリアム C. ダッド リスク委員会委員 1953年1月1日 ウィリアム C. ダッドリー 1年 0株
リー は、2019年の年次株主総会に
(William C. Dudley) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏
は、2019年より企業風土・責
任委員会委員及びリスク委員
会委員を務めている。現在、
ダッドリー氏は、プリンスト
ン大学の経済政策研究のため
のグリズウォルド・センター
のシニア研究員を務めてい
る。同氏は、2009年から2018
年までニューヨーク連邦準備
銀行(NY Fed)の最高経営責
任者であった。この職務で、
同氏は副会長及び連邦公開市
場委員会の常任委員を務め
た。それ以前は、ダッドリー
氏は2007年から2009年までNY
Fedでマーケッツ・グループの
執行副社長兼マーケッツ・グ
ループの責任者を務めた。NY
Fedの前は、ダッドリー氏は、
1986年にゴールドマン・サッ
クスに入社し、上級管理の役
職を複数務めた。同氏は、
パートナー及びマネージン
グ・ディレクターを務め、10
年に亘り米国チーフ・エコノ
ミストであった。2012年、
ダッドリー氏は国際決済銀行
(BIS)のグローバル・フィナ
ンシャル・システムに関する
委員会の委員長に任命され
た。それ以前は、2009年から
2012年までBISの支払・決済シ
ステムに関する旧委員会の委
員長を務めていた。同氏は、
2009年から2018年までBISの取
締役であった。同氏は、
ニュー・カレッジ・オブ・フ
ロリダの学士号を有してお
り、1982年にカリフォルニア
大学バークレー校で経済学の
博士号を取得した。
職務:UBSグループAGの取締
役、プリンストン大学の経済
政策研究のためのグリズウォ
ルド・センターのシニア研究
員、グループ・オブ・サー
ティーのメンバー、外交問題
評議会のメンバー
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レト・フランチオーニ 報酬委員会委員 1955年8月18日 レト・フランチオーニは、 1年 0株
(Reto Francioni) リスク委員会委員 2013年の年次株主総会にてUBS
AGの取締役に選出され、2014
年11月にはUBSグループAGの取
締役に選出された。同氏は、
2013年より企業風土・責任委
員会委員、2019年より報酬委
員会委員を務めている。ま
た、2005年から2015年にはド
イツ証券取引所のCEOに就任し
ていた。2006年より、同氏は
バーゼル大学にて応用資本市
場理論の教授として教鞭を
とっている。2002年から2005
年には、フランチオーニ氏
は、監督委員会委員長及び
チューリッヒのSWXグループの
社長を務めており、業界内の
デジタル化の中心に携わっ
た。フランチオーニ氏は、
2000年から2002年まで、ニュ
ルンベルクのコンソースAGの
共同CEO兼取締役会代表を務
め、1993年から2000年まで、
ドイツ証券取引所で様々な管
理職を経験しており、そのう
ち1999年から2000年にCEO代理
に就任していた。そこでは、
ドイツ証券取引所をテクノロ
ジーにおける世界的主導者と
する抜本的な変革を主導し
た。1992年から1993年に、
バーゼルのホフマン・ラ・ロ
シュのコーポレート・ファイ
ナンス部門に勤務しており、
それ以前はトルパルティー
テ・ボース協会の執行役員を
数年勤めていた。1985年から
1988年、同氏は旧クレディ・
スイスに勤務し、株式営業及
び法務を担当していた。同氏
の職務経歴は、スイス・ユニ
オン銀行の商業部門に所属し
た1981年からスタートしてい
る。フランチオーニ氏は、
1981年に法学を修めており、
1987年チューリッヒ大学にて
博士号を取得している。
職務:UBSグループAGの取締
役、バーゼル大学教授、コカ
コーラ・エイチビーシー・
アーゲーの取締役(上級独立
非執行取締役)、スイス・イ
ンターナショナル・エアライ
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ン・アーゲーの取締役会長、
フランチオーニ・アーゲーの
取締役、メテク・イノベー
ション・パートナーズ・アー
ゲーの取締役
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フレッド・フュ 報酬委員会委員 1963年6月1日 フレッド・フュは、2018年の 1年 0株
(Fred Hu) 年次株主総会にてUBS AG及び
UBSグループAGの取締役に選出
された。同氏は2019年より報
酬委員会の委員を務めてい
る。同氏は2010年から中国に
拠点を置くグローバル投資会
社であるプリマヴェーラ・
キャピタル・グループの会長
であった。長年に亘る大手テ
クノロジー企業に対する多く
の投資を通じて、同氏はモバ
イル・インターネット、デジ
タル化及びサイバー・セキュ
リティの分野で卓越した知識
を得てきた。プリマヴェーラ
の設立前は、フュ氏は1997年
から2010年までゴールドマ
ン・サックスで様々な管理職
を務め、会社が当該地域で事
業基盤を構築するのに活躍し
た。同氏は、2008年から2010
年にグレーター・チャイナの
パートナー及び会長であり、
2004年から2008年までインベ
ストメント・バンキング・
チャイナのパートナー及び共
同責任者であった。その前
は、ゴールドマン・サックス
の主席エコノミストの役職を
有していた。1991年から1996
年まで、同氏はワシントンDC
の国際通貨基金でエコノミス
トを務め、その後は清華大学
で国立経済研究センターの共
同理事及び教授であった。
フュ氏は清華大学のエンジニ
アリング科学の修士号を取得
しており、ハーバード大学か
ら経済学の修士号及び博士号
を取得している。
職務:UBSグループAGの取締
役、ヤム・チャイナ・ホール
ディングスの非執行取締役会
長、ICBCの取締役、香港証券
取引所の取締役、プリマ
ヴェーラ・キャピタル・グ
ループの創設者兼会長、チャ
イナ・アセット・マネジメン
トの取締役、民生金融租賃の
取締役、チャイナ・メディカ
ル・ボードの理事、中国イン
ターナショナル・スクールの
理事、ネイチャー・コンサー
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ヴァンシーのアジア太平洋カ
ウンセルの共同議長、チャイ
ナ・ベンチャー・キャピタル
及びプライベート・エクイ
ティ・アソシエーション・リ
ミテッドの執行委員会の取締
役及びメンバー、外交問題評
議会の世界諮問委員会のメン
バー
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ジュリー G. リチャード 報酬委員会委員長 1963年4月10日 ジュリー G. リチャードソン 1年 0株
リスク委員会委員
ソン は、2017年の年次株主総会に
(Julie G. Richardson) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏は
2018年より報酬委員会の委員
を、2019年より同委員会の委
員長を務めている。同氏はま
た、2017年よりリスク委員会
の委員を、2019年からはガバ
ナンス・指名委員会の委員を
務めている。リチャードソン
氏は、2003年から2012年まで
プロビデンス・エクイティ・
パートナーズのパートナー兼
ニューヨーク支店長を務めて
いた。同社は、メディア、通
信、教育及び情報企業への株
式投資に特化した世界的な未
公開株式企業である。同氏
は、2014年まで合同会社の上
級顧問を務め、1998年から
2003年にJPモルガン・チェー
スの投資銀行部門の副会長兼
同社のグローバル・テレコ
ミュニケーションズ・メディ
ア・アンド・テクノロジー・
グループ長の任に就いてい
た。同氏は、その職歴を通じ
て、2015年からのデジタルに
関する知識管理会社の取締役
であった期間を含め、既存と
新規両方のテクノロジー企業
に多大な時間を費やしてき
た。同氏は卒業後、1986年に
メリル・リンチで勤務を開始
し、1998年まで勤務してお
り、同社の最終役職はメディ
ア・コミュニケーション投資
銀行業務本部長であった。リ
チャードソン氏は、ウィスコ
ンシン大学マディソン校に
て、経営学の学士号を取得し
ている。
職務:UBSグループAGの取締
役、ザ・ハートフォード・
ファイナンシャル・サービシ
ズ・グループの取締役(監査
委員会委員長)、イェクスト
の取締役(監査委員会委員
長)、ベリート・インクの取
締役(報酬委員会委員長)
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イザベル・ロミー 監査委員会委員 1965年1月4日 イザベル・ロミーは、2012年 1年 0株
(Isabelle Romy) の年次株主総会にてUBS AGの
取締役に選出され、2014年11
月にはUBSグループAGの取締役
に選出された。同氏は、2012
年より監査委員会及びガバナ
ンス・指名委員会委員を務め
ている。ロミー氏は、スイス
の大手商業法律事務所、フロ
リープ・リーガルAGのパート
ナーである。1995年から2012
年には、チューリッヒを拠点
とする別のスイスの大手法律
事務所に勤務しており、2003
年から2012年に同法律事務所
のパートナーを務めた。同氏
の法律実務には、渉外案件で
の訴訟及び調停が挙げられ
る。また同氏は、1996年より
フライブルク大学及びローザ
ンヌの連邦工科大学(EPFL)
の教授を務めている。2003年
から2008年まで、スイス連邦
最高裁判所の予備判事を務
め、1999年から2006年には
EPFLの倫理委員会委員であっ
た。ロミー氏は、1990年に
ローザンヌ大学にて法学博士
号を取得し、1991年より法廷
弁護士の資格を有している。
同氏は、1992年から1994年ま
で、カルフォルニア大学バー
クレー校法科大学院の客員教
授を務め、1996年にフライブ
ルク大学にて専門論文を脱稿
した。
職務:UBSグループAGの取締
役、フロリープ・リーガル・
アーゲーの取締役、スイス証
券取引所の制裁委員会の副会
長、ユニセフのスイス国内委
員会の資金調達委員会構成
員、ベルン大学及びジュネー
ブ大学の金融規制に関するCAS
プログラムの監督委員会委員
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ロバート W. スカリー リスク委員会委員 1950年2月5日 ロバート W. スカリーは、 1年 0株
(Robert W. Scully) 2016年の年次株主総会にてUBS
AG及びUBSグループAGの取締役
に選出され、2016年よりリス
ク委員会委員を務めている。
同氏は、2007年から2009年に
モルガン・スタンレーの会長
職に就任しており、2006年か
ら2007年まで、アセット・マ
ネジメント、ディスカバー・
クレジットカードを担当する
共同社長を務めた。共同社長
就任前には、2004年から2006
年にグローバル資本市場業務
部長、1999年から2006年に投
資銀行業務副部長、1996年か
ら2009年に本部長を務めた。
スカリー氏は、1993年から
1996年にリーマン・ブラザー
ズの本部長を務め、1989年か
ら1993年にスカリー・ブラ
ザーズ・フォス・アンド・ワ
イトに本部長職で勤務してお
り、1980年から1989年にソロ
モン・ブラザーズで、投資銀
行及び資本市場を担当してお
り、1984年に本部長に就任し
ている。同氏の銀行業界での
経歴は1972年のチェース・マ
ンハッタン銀行から始まり、
1977年から1980年までブライ
ス・イーストマン・ディロ
ン・アンド・カンパニーに投
資銀行家として勤務してい
た。スカリー氏は、1972年に
プリンストン大学にて心理学
の学士号を取得し、ハーバー
ド大学にて経営学修士号を取
得している。
職務:UBSグループAGの取締
役、チャブ・リミテッドの取
締役、ゾエティス・インクの
取締役、ケーケーアール・ア
ンド・カンパニー・インクの
取締役、ティーチ・フォー・
オールの取締役
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ビアトリス・ 監査委員会委員 1965年8月3日 ビアトリス・ウェーダー・ 1年 0株
ウェーダー・ディ・ ディ・マウロは、2012年の年
マウロ 次株主総会にてUBS AGの取締
(Beatrice Weder di
役に選出され、2014年11月に
Mauro) UBSグループAGの取締役に選出
された。2012年より監査委員
会委員、2017年より企業風
土・責任委員会委員を務めて
いる。また、2013年から2017
年までリスク委員会委員で
あった。2018年7月より、
ウェーダー・ディ・マウロ氏
は、ヨーロッパを拠点に1,000
人を超える学究のエコノミス
トのネットワークである経済
政策研究センターのセンター
長を務めている。同氏は、シ
ンガポールのインシアード
で、新興市場研究所の研究教
授及び特別研究員である。
2001年から2018年まで、ヨハ
ネス・グーテンベルク大学マ
インツの国際マクロ経済学の
教授に就任しており、2004年
から2012年まで、ドイツ政府
経済諮問委員会委員であっ
た。同氏は、ワシントンDCの
国際通貨基金(IMF)、マサ
チューセッツ州ケンブリッジ
の全米経済研究所、東京の国
際連合大学にて客員のポジ
ションを有していた。これ以
前は、ワシントンDCのIMF及び
世界銀行でエコノミストして
勤務していた。同氏は、バー
ゼル大学にて経済学の博士号
及び大学職員資格を取得して
いる。ウェーダー・ディ・マ
ウロ氏は、開発金融、医薬、
科学技術及び保険分野での世
界的なリーディングカンパ
ニーの独立取締役を務めてき
た。
職務:UBSグループAGの取締
役、シンガポールのインシ
アードの研究教授及び特別研
究員、ロバート・ボッシュ
GmbHの諮問委員会委員、ボン
バルディア・インクの取締
役、ETHチューリッヒ・ファン
デーション評議会のメンバー
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ディーター・ウェマー 監査委員会委員 1957年2月27日 ディーター・ウェマー氏は、 1年 0株
(Dieter Wemmer) 報酬委員会委員 2016年の年次株主総会にてUBS
AG及びUBSグループAGの取締役
に選出され、2018年より報酬
委員会委員を、2019年より監
査委員会委員を務めている。
ウェマー氏は、2013年から
2017年までアリアンツSEの
チーフ・ファイナンシャル・
オフィサー(CFO)であった。
同氏は2012年にアリアンツSE
に理事会理事として入社し、
フランス、ベネルクス、イタ
リア、ギリシア及びトルコで
の保険業務並びにコンピテン
ス・センター「グローバル・
プロパティ&カジュアル
ティ」を担当していた。同氏
は、2007年から2011年に
チューリッヒのチューリッ
ヒ・インシュアランス・グ
ループのCFOを務め、2010年か
ら2011年にチューリッヒの
ヨーロッパ地区会長に就任し
ていた。これ以前、2004年か
ら2007年にウェマー氏はヨー
ロッパ損害保険業務のCEOを務
め、更にチューリッヒのグ
ループ執行委員会の委員を務
めていた。同氏は、チュー
リッヒ・グループ内で、2003
年から2004年にヨーロッパ損
害保険業務の最高執行責任
者、1999年から2003年にM&A業
務部長及び1997年から1999年
に財政管理部長を務めるな
ど、様々な管理職に就任して
いる。ウェマー氏は、ケルン
大学にて修士課程を修了し
1985年に数学の博士号を取得
後、1986年にケルンにて
チューリッヒ・グループ内に
入社したことから保険事業で
の経歴をスタートしている。
職務:UBSグループAGの取締
役、エルステッドの取締役、
コーポレート・ガバナンスの
ベルリン・センターのメン
バー、テキサス・パシフィッ
ク・グループの上級顧問
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ジャネット・ウォン 監査委員会委員 1960年3月10日 ジャネット・ウォンは、2019 1年 0株
(Jeanette Wong) 年の年次株主総会にてUBS AG
及びUBSグループAGの取締役に
選出された。同氏は2019年よ
り監査委員会委員を務めてい
る。ジャネット・ウォン氏
は、2008年から2019年3月ま
でシンガポールを拠点とする
DBSグループで機関投資家向け
銀行業務担当のグループ役員
であり、この中で、コーポ
レート・バンキング、グロー
バル・トランザクション・
サービス、ストラテジック・
アドバイザリー及びマー
ジャー&アクイジッション等
に携わった。それ以前は、
2003年から2008年までDBSグ
ループのチーフ・ファイナン
シャル・オフィサーを務め
た。ウォン氏は、シンガポー
ルの金融業界で30年よりも長
く、様々な上級役員の役職に
ついてきた。同氏は1982年に
パリバ銀行及びシティバンク
で勤務を開始し、その後JPモ
ルガンにて16年に亘り同社の
アジア及び新興市場事業を構
築するのを助けた。同氏はシ
カゴ大学でMBAを取得し、シン
ガポール国立大学で経営学学
士号を取得した。
職務:UBSグループAGの取締
役、エシロール・インターナ
ショナル/エシロール・ルッ
クスオティカの取締役、ジュ
ロン・タウン・コーポレー
ションの取締役、PSAインター
ナショナルの取締役、FFMC
ホールディングス・ピー
ティーイー・リミテッドの取
締役、フラトン・ファンド・
マネジメント・カンパニー・
リミテッドの取締役、NUSビジ
ネス・スクールの経営諮問委
員会のメンバー、シカゴ大学
ブース・スクール・オブ・ビ
ジネスのグローバル・アドバ
イザリー・ボード・アジアの
メンバー、セキュリティー・
インダストリー・カウンセル
のメンバー
(2)執行役員会
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所有株式数
氏名 役職名 生年月日 主要略歴 任期
(普通株式)
セルジオ P. エルモッティ 執行役員会プレ 1960年5月11日 2011年~ 執行役員及び執 定め 0株
ジデント 行役員会プレジデント なし
(Sergio P. Ermotti)
マーチン・ブレッシング グローバル・ 1963年7月6日 2016年~ 執行役員 定め 0株
(Martin Blessing) ウェルス・マネ 2018年~ グローバル・ なし
ジメント共同社 ウェルス・マネジメント共
長 同社長
クリスチャン・ブルーム チーフ・リス 1969年9月21日 2016年~ 執行役員及び 定め 0株
(Christian Bluhm) ク・オフィサー チーフ・リスク・オフィ なし
サー
マーカス U. ディートヘルム ジェネラル・カ 1957年10月22日 2008年~ 執行役員及び 定め 0株
ウンセル ジェネラル・カウンセル なし
(Markus U. Diethelm)
カート・ガードナー チーフ・ファイ 1959年8月16日 2016年~ 執行役員及び 定め 0株
(Kirt Gardner) ナンシャル・オ チーフ・ファイナンシャ なし
フィサー ル・オフィサー
ロバート・カロフスキー インベストメン 1967年5月28日 2018年~ 執行役員及びイ 定め 0株
(Robert Karofsky) ト・バンク共同 ンベストメント・バンク共 なし
社長 同社長
サビーン・ケラーブッセ チーフ・オペ 1965年7月19日 2016年~ 執行役員 定め 0株
(Sabine Keller-Busse) レーティング・ 2018年~ チーフ・オペ なし
オフィサー レーティング・オフィサー
エドモンド・コー UBSアジア太平洋 1960年4月22日 2019年~ 執行役員及びUBS 定め 0株
(Edmund Koh) 地域社長 アジア太平洋地域社長 なし
ウルリッヒ・ケルナー アセット・マネ 1962年10月25日 2009年~ 執行役員 定め 0株
(Ulrich Körner) ジメント社長及 2011年~ UBSヨーロッパ・ なし
びUBSヨーロッ ミドル・イースト・アン
パ・ミドル・ ド・アフリカ社長
イースト・アン 2014年~ アセット・マネ
ド・アフリカ社 ジメント社長
長
トム・ナラティル グローバル・ 1961年12月1日 2011年~ 執行役員 定め 0株
(Tom Naratil) ウェルス・マネ 2018年~ グローバル・ なし
ジメント共同社 ウェルス・マネジメント共
長兼UBSアメリカ 同社長及びUBSアメリカズ社
ズ社長 長
ピエーロ・ノヴェッリ インベストメン 1965年5月10日 2018年~ 執行役員及びイ 定め 0株
(Piero Novelli) ト・バンク共同 ンベストメント・バンク共 なし
社長 同社長
マルクス・ロナー チーフ・コンプ 1965年12月3日 2018年~ 執行役員並びに 定め 0株
(Markus Ronner) ライアンス及び チーフ・コンプライアンス なし
ガバナンス・オ 及びガバナンス・オフィ
フィサー サー
(3) 監査人
最初に任命
氏 名 及 び 社 名 住所又は所在地 略 歴
された年
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社外監査人 バーゼル UBS AG及び当グループの監査人 1998年
アーンスト・アンド・ヤング・リミテッド
(Ernst & Young Ltd.)
社外監査人 チューリッヒ 特別監査人 2006年
BDOアーゲー
(BDO AG)
役員の報酬
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記35を参照のこと。
5【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
UBSグループAGは、スイス証券取引所のコーポレート・ガバナンス情報に関する準則を含むスイスの法律
上及び規制上のコーポレート・ガバナンスに関する全ての関連ある要件、並びに経営陣への報酬について
の別紙を含むスイス連邦コーポレート・ガバナンス・ベスト・プラクティス規範に規定される基準に服し
ており、これらを遵守している。
また、UBSグループAGは、その株式をニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している外国会社として、
外国民間証券発行者に適用ある全ての関連あるコーポレート・ガバナンスの基準を遵守している。
スイス連邦債務法第716b条並びにUBSグループAGの定款第25条及び第27条に基づき、取締役会(BoD)が
承認するUBSグループAGの組織規則は、当グループのコーポレート・ガバナンスの主要な指針である。
実務上可能な範囲でUBSグループAGとUBS AGのガバナンス体制は足並みを揃えたものとなっている。UBS
AGは、スイスの法律上及び規制上のコーポレート・ガバナンスに関する全ての関連ある要件を遵守してい
る。UBS AGはまた、NYSEに負債証券を上場している外国民間証券発行者として関連するNYSEのコーポレー
ト・ガバナンス基準を遵守している。本項における記載は、別途違いが明記される場合を除き、また、株
式上場会社だけに関連する記載はUBSグループAGにのみ適用あるという点を除き、UBSグループAG及びUBS
AGの両方に関するものである。これは、米国証券取引委員会の規則及びNYSEの上場基準に沿ったものであ
る。
米国上場会社に関するコーポレート・ガバナンス基準との相違
NYSEのコーポレート・ガバナンスに関する上場基準に従って、外国民間証券発行者は、自身のコーポ
レート・ガバナンスの慣行と米国内の企業が服する慣行との重要な相違点を開示する義務を負う。この相
違点については、以下に記載する。
独立監査人に関する監査委員会の責任
UBSグループAG及びUBS AGの監査委員会は、独立監査人の報酬、維持及び監督に責任を負っている。監査
委員会は、社外監査人の実績と能力を評価し、その指名、再指名又は解任をBoDの全構成員に対して提案す
る。スイス連邦債務法に規定される通り、BoDは、当該提案を年次株主総会(AGM)で株主の投票に付す。
NYSEの基準の下では、監査委員会は独立監査人の指名についても責任を負っている。
リスク委員会によるリスク評価及びリスク管理方針の検討
UBSグループAGとUBS AGの関連ある組織規則に従って、リスク委員会は監査委員会に代わってBoDを代表
してUBSグループAG及びUBS AGのリスク原則とリスク許容度を監督する。リスク委員会は、UBSグループAG
及びUBS AGによる当該リスク原則の厳守と、事業部門及び管理部門がリスク管理及び統制において適切な
システムを維持しているかについて、監視する義務を負う。
内部監査機能の監督
取締役会会長及び監査委員会は、内部監査機能に関し、監督する責任及び権限を共有する。NYSEの基準
の下では、監査委員会だけが内部監査機能を監督する。
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UBSグループAGの上級役員の業績評価に対する報酬委員会の責任
スイス法に従い、UBSグループAG及びUBS AGの報酬委員会は、BoDと共に、BoDに対する報酬総額の最高限
度額、グループ執行役員会(GEB)に対する固定報酬総額の最高限度額及びGEBに対する変動報酬総額につ
いてAGMにて株主の承認を求める。AGMにて株主は報酬委員会の構成員を選任する。NYSEの基準の下では、
報酬委員会は、上級役員の業績を評価し、一つの委員会として又は他の独立性を有する取締役と共に、そ
の報酬について決定及び承認する責任を有する。
監査委員会と報酬委員会の議決権代理行使に係る参考資料
NYSE上場基準により、上記の委員会は各々の報告書を株主に直接提出するよう義務付けられる可能性が
ある。しかしながら、スイス連邦法上、株主宛てに作成するUBSグループAGの報告書(上記の委員会からの
報告書を含む。)は全て、BoDにより作成及び承認されており、BoDは、株主に対して最終的な責任を負っ
ている。
株式報酬制度に対する株主の議決権
NYSEの基準の下では、あらゆる株式報酬制度の創設及び重要な変更について、株主の承認が必要となる
が、スイス法の下では、BoDは報酬制度を承認する権限を有する。株式ベースの報酬制度により増資が必要
となった場合に限り株主の承認が必須である。ただし、当該制度に係る株式が市場で調達される場合、株
主の承認は必要とされない。
グループの構成
事業グループの構成
2018年12月31日現在、当グループの運営組織は、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&
コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びインベストメント・バンクの各事業部門、並び
にコーポレート・センター-サービス(当グループのグループ・チーフ・オペレーティング・オフィサー
分野、グループ・ファイナンス、グループ・リスク・コントロール、グループ・リーガル、グループ・コ
ンプライアンス、レギュレトリー&ガバナンス、コミュニケーション&ブランディング及びUBSインソサエ
ティの各機能で構成される。)、コーポレート・センター-グループ資産・負債管理(ALM)並びにコーポ
レート・センター-非中核事業及びレガシー・ポートフォリオから成るコーポレート・センターで構成さ
れている。2018年2月1日付で、ウェルス・マネジメント部門及びウェルス・マネジメント・アメリカズ
部門は、グローバル・ウェルス・マネジメントと称する1つの事業部門に統合された。
2019年第1四半期の報告から、当グループは、コーポレート・センター全体の業績のみを開示し、サー
ビス、グループALM並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオについては個別に開示しない。
当グループの上場会社及び非上場会社
当グループには、数多くの連結法人が含まれているが、そのうち、UBSグループAGの株式だけが上場して
いる。
UBSグループAGの登録上の事務所は、スイス国 チューリッヒ市 CH-8001 バーンホフストラッセ45に所在
する。UBSグループAGの株式は、スイス証券取引所(ISIN:CH0244767585)及びNYSE(CUSIP:H42097107)
に上場している。
取締役会
UBSグループAGの取締役会(BoD)は、取締役会会長の指揮の下にあり、定款(AoA)に規定されている通
り6名から12名の構成員から成る。
BoDは、グループ・チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(グループCEO)の推薦に基づき当グループの
戦略を決定し、かつ適用法令遵守の監督に責任を有するのみならず、当グループ及びその経営に関する全
般的な指揮、監督及び統制に責任を有する。BoDは、UBSグループAG及びその子会社全体を監督し、かつUBS
グループAG及びその子会社がさらされている主要なリスクを考慮した上で、当グループに関する有効な事
業運営及び監督を提供するために当グループの明確なガバナンス枠組みを確立する責任を有する。BoDは、
健全で効果的な統制に関する枠組みの中で、当グループを成功に導き、かつ持続的な株主価値を創出する
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ことに関し最終的な責任を有する。更に、公表される全ての財務書類を承認し、かつグループ執行役員会
(GEB)の全構成員の指名及び解任を行う。
UBS AGのBoDは、取締役会会長の指揮の下、執行役員会プレジデントの推薦に基づきUBS AGの戦略を決定
し、かつその経営を最終的に監督する。UBS AGのBoDは、当グループが設定するパラメーターに基づきUBS
AGの成功に対する最終的な責任を遂行する。
取締役会の構成員
2018年5月3日のAGMにおいて、ミシェル・デマレー、デイヴィッド・シドウェル、レト・フランチオー
ニ、アン F. ゴッドビア、ジュリー G. リチャードソン、イザベル・ロミー、ロバート W. スカリー、ビ
アトリス・ウェーダー・ディ・マウロ及びディーター・ウェマーがBoDの構成員として再任された。ウィリ
アム G. パレットは、UBSアメリカズLLCの会長としての新しい役職を得たことにより、再任に向けて立候
補することはなかった。ジェレミー・アンダーソン及びフレッド・フュは初めて選任された。同時に、ア
クセル A. ウェーバーが取締役会会長に再任され、アン F. ゴッドビア、ミシェル・デマレー、ジュリー
G. リチャードソン及びディーター・ウェマーが報酬委員会の構成員に選任された。更に、ADBアルトル
ファー・デュス・ウント・バイルシュタイン・アーゲー(ADB Altorfer Duss & Beilstein AG)が独立議
決権行使代理人に選任された。上記選任後、BoDは、ミシェル・デマレーを取締役会副会長に、デイヴィッ
ド・シドウェルをUBSグループAGの上級独立取締役に指名した。
UBSグループAGのAoAの第31条は、BoDの構成員がUBSグループ以外で受ける委任の数を、上場会社につい
ては4の取締役委任まで、非上場会社については5の追加委任までに制限している。UBSが支配している会
社又はUBSを支配している会社についての委任はこの制限の適用外である。更に、BoDの構成員は、UBSの要
請により10を超えて委任を受けることはできず、かつ組合、慈善団体、財団、信託会社及び従業員福利財
団について10を超えて委任を受けることはできない。2018年12月31日現在、BoDのいずれの構成員も、AoA
の第31条に規定される上限を超えていなかった。
BoDのいずれの構成員も当グループにおいて運営管理業務を遂行しておらず、よって、BoDの全構成員は
非執行取締役である。
UBSグループAGのBoDの全構成員がUBS AGのBoDの構成員を兼任しており、委員会の構成員もUBSグループ
AGとUBS AGで同一である。上級独立取締役の職務はUBSグループAGのみに関係する。
2018年、UBS AGのBoDは監査委員会、報酬委員会及びリスク委員会の3つの委員会を有していた。
役員の選任及び任期
株主は、BoDの提案を受けて、毎年、BoDの各構成員を個別に選任し、また、取締役会会長及び報酬委員
会の構成員を選任する。
組織規則に規定される通り、BoDの構成員は、通常、最低3年間就任することが予定されている。BoDの
いずれの構成員も、10回を超えて連続して任期を務めることができない。ただし、例外的な状況におい
て、BoDはかかる制限を延長することができる。
組織原則及び組織構成
AGMの後に、BoDは、1名又は複数名の副会長、上級独立取締役、取締役会委員会の構成員(株主に選任
された報酬委員会の構成員を除く。)及び各委員会の委員長を指名するために開催される。かかる会にお
いて、BoDは、BoD及びその委員会の秘書役として行為するグループ会社秘書役を指名する。
定款及び組織規則によれば、BoDは、業務上必要な頻度で、ただし少なくとも年6回以上、開催されなけ
ればならない。2018年度中、BoDの会議(電話会議も含む。)は全部で24回開催され、うち16回はGEBの構
成員も出席した。BoDの会議(電話会議も含む。)の平均出席率は、99%であった。グループCEOは、GEBの
構成員も出席したBoDの会議に加え、GEBが出席せずに開催されたBoDの一部の会議に出席した。上記会議及
び電話会議の平均開催時間は170分であった。2018年度について、合同の会議の頻度及び長さはUBSグルー
プAGとUBS AGで同じであった。加えて、5回の特別電話会議が開催され、そのうち4回はGEBの構成員が出
席しない会議であった。
BoDの各会議において、各委員会の委員長は、当該委員会が現在行っている活動及び当該委員会の重要な
問題についての進捗報告をBoDに対して行う。
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法人のガバナンスの重要性が高まっていることを受けて、UBS AG単独のBoDの会議が開催された。2018年
度中、UBS AGの会議は執行役員会の構成員も出席して3回開催された。単独の会議は、法人のガバナンス
及びUBS AGに関連するその他の議題について協議及び合意するために、今後定期的に開催される予定であ
る。
業績の評価
少なくとも年1回、BoDは、それ自体の業績及び各委員会の業績を見直す。かかる見直しには、ガバナン
ス・指名委員会が主導するBoDの全般的な効率性の評価及びBoDの各委員会の評価が含まれている。この評
価では、BoDと委員会の正式かつ重要な側面、すなわち会議の構成、頻度及び時間、出席者、情報の適時
性、分量と質、優先順位、後継者育成計画を含む職務の遂行、並びにダイナミクス等について評価する。
委員会は、組織規則に対する自らの責任と権限を見直す。更に、多くの委員会では、ベストプラクティス
基準との体系的な比較が行われている。2018年5月に実施された直近の自己査定では、BoD及びその委員会
が効率良くかつ効果的に機能していると判断された。自己査定の結果は、BoDの議題調整を含め、2018
年/2019年の取締役会の優先事項を明確にするための重要な情報源にもなった。それにより、特に、戦略的
優先事項、当グループ構造の変革、当グループ内の企業風土、規制及び統制環境に関する経営陣との取り
組みに重点が置かれた。また、BoDは引き続き後継者育成計画を重視し、当グループ全体の人材育成策を支
援及び監視した。BoDの査定では、少なくとも3年に1回は外部専門家による評価も行われる。次回の外部
評価は、2018年/2019年のBoD期間を対象とし、2019年5月までに終了する予定である。その結果は2019年
度アニュアルレポートに記載される予定である。
後記の各委員会はBoDの責務の遂行を支援している。各委員会及び各委員会規程については、
www.ubs.com/governanceに公表されている組織規則に記載されている。当該委員会は、業務上必要な頻度
で開催されるが、監査委員会、リスク委員会及び報酬委員会については、少なくとも年4回以上、企業風
土・責任委員会及びガバナンス・指名委員会については、少なくとも年2回以上開催される。共通の利害
に関わる議題又は複数の委員会に影響する議題については、合同委員会で話し合いが行われる。監査委員
会及びリスク委員会の合同委員会は少なくとも年4回以上開催される。
報酬委員会及びリスク委員会は、定期的に合同委員会を開催する。2018年度中、UBSグループAGに関する
合同委員会は9回(UBS AGについては8回)開催された。
取締役会
GEBが出席しなかった GEBが出席した会議及び
2018年の構成員 主要な責務
3 4
会議の出席状況 電話会議の出席状況
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BoDは、健全で効果的な統制に関する枠
取締役会会長
組みの中で、当グループを成功に導
アクセル A. ウェーバー
8/8 100% 16/16 100%
き、かつ持続的な株主価値を創出する
ことに関し最終的な責任を有する。BoD
ミシェル・デマレー 8/8 100% 16/16 100%
は、グループCEOの推薦に基づき、当グ
デイヴィッド・シドウェル 8/8 100% 16/16 100%
ループの戦略的目標並びに必要となる
財源及び人的資源を決定し、株主及び
1
ジェレミー・アンダーソン 6/6 100% 11/11 100%
その他の利害関係者に対する義務を確
実に満たすよう当グループの価値及び
レト・フランチオーニ 8/8 100% 16/16 100%
基準を設定する。
その他の情報については、
アン F. ゴッドビア
8/8 100% 16/16 100%
www.ubs.com/governanceに掲載されて
1
いるUBSグループAGの組織規則を参照さ
フレッド・フュ 5/6 83% 10/11 91%
れたい。
2
ウィリアム G. パレット
2/2 100% 5/5 100%
ジュリー G. リチャードソン
8/8 100% 16/16 100%
イザベル・ロミー 8/8 100% 16/16 100%
ロバート W. スカリー
8/8 100% 16/16 100%
ビアトリス・ウェーダー・
ディ・マウロ 8/8 100% 16/16 100%
ディーター・ウェマー 8/8 100% 16/16 100%
1
ジェレミー・アンダーソンとフレッド・フュは、2018年度AGMにてBoDに選任された。上記は選任後に開催された全会議に対する出席
2
状況を示している。 ウィリアム G. パレットは2018年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記はAGMまでに開催
3 4
された全会議に対する出席状況を示している。 上記以外にも2018年度に4回の特別電話会議が開催された。 上記以外にも2018年度に
1回の特別電話会議が開催された。
監査委員会
監査委員会は、2018年度を通じて、その全員が独立性を堅持しているとBoDが判断する5名のBoDの構成
員で構成された。監査委員会の構成員は、委員会全体として、その全職務を履行するのに必要な能力及び
スキルを有する必要があり、かつ、財務に精通し、バンキング及びリスク管理に関する経験を有していな
ければならない。
監査委員会は、それ自体が監査業務を行うのではなく、UBSグループAG 及びUBS AGの連結及び単体の年
次財務書類の監査並びに四半期財務書類の審査を行う責任を担う社外監査人であるアーンスト・アンド・
ヤング・リミテッドによる監査を監視する。
監査委員会は、BoDに承認を促すため又は監査委員会が適切と考える調整を提案するために、特に、経営
陣が提案したUBSグループAG及びUBS AGの年次財務書類並びにUBSグループAG及びUBS AGの年次及び四半期
の連結財務書類並びに連結年次報告書を社外監査人及びグループ内部監査部門とともに審査する。
定期的かつ最低年1回、監査委員会は、社外監査人の指名又は解任及び主席監査パートナーのローテー
ションについてのBoDの判断をサポートするために、社外監査人及び主席監査パートナーの適格性、専門知
識、有効性、独立性及び業務の遂行状況を評価する。その結果を受けて、BoDは、当該提案を株主の承認を
求めてAGMに提出する。
2018年度中、監査委員会は8回の会議と9回の電話会議を行い、出席率は100%であった。これらの会議
及び電話会議の平均開催時間はそれぞれ約130分であった。2018年度について、会議の頻度及び長さはUBS
グループAGとUBS AGで同じであった。監査委員会の全ての会議及び電話会議にグループ・チーフ・ファイ
ナンシャル・オフィサー、グループ・コントローラー及びチーフ・アカウンティング・オフィサーが出席
しており、一部の会議にグループCEOが出席していた。2018年度中、監査委員会委員長及び監査委員会は、
主要な監督当局と定期的に会談した。
監査委員会の全委員は、会計又は関連ある財務管理の専門知識を有し、2002年米国サーベンス・オクス
リー法により制定された規則に従い、少なくとも1名の委員が財務専門家としての資格を有している。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)のコーポレート・ガバナンスに関する上場基準及び米国証券取引所法規
則10A-3では、監査委員会の構成員についてBoDの他の構成員より厳格な独立性の要件を設定している。
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2018年度を通じて、監査委員会の全構成員は、当グループの独立性の基準を充足しており、更に、BoDの構
成員としての自身の権能以外で当グループを構成するいかなる法人からもコンサルティング報酬、アドバ
イ ザリー報酬又は補償費を直接的にも間接的にも受領しておらず、発行済み資本の5%超のUBSグループAG
株式を直接的にも間接的にも保有しておらず、(以下に注記される場合を除き)その他の公開会社2社超
の監査委員会に所属していないという点で、前述した要件を充たしていた。NYSEのコーポレート・ガバナ
ンスに関する上場基準では、監査委員会の構成員は、同時に複数の職務を有することで各委員会の委員を
有効に務める能力及びその義務を果たす能力を損なわないとBoDの全構成員が判断した場合、3社超の公開
会社の監査委員会に所属することが認められている。BoDは、ウィリアム G. パレットの資質を考慮して、
ウィリアム G. パレットにその許可を与えた。
監査委員会
会議及び電話会議の
2018年の構成員 主要な責務
出席状況
監査委員会は、以下の事項を監視する独立した客観的な会議体とし
ジェレミー・アンダーソン
ての役割を果たす。
1
(委員長) 9/9 100%
(ⅰ)UBSグループAG及び当グループの会計方針、財務報告並びに開
示の統制及び手続
ウィリアム G. パレット
(ⅱ)社外監査の質、妥当性及び範囲
2
(ⅲ)財務報告要件に関するUBSグループAG及び当グループの遵守状
(委員長) 8/8 100%
況
ミシェル・デマレー 17/17 100%
(ⅳ)財務書類の作成及び健全性並びに財務実績の開示に関する内
部統制に対する経営幹部のアプローチ
アン F. ゴッドビア
17/17 100%
(ⅴ)(取締役会会長と連携して)グループ内部監査部門の業績
経営幹部は、財務書類の作成、表示及び健全性に対して責任を有す
イザベル・ロミー 17/17 100%
る。社外監査人はUBSグループAG及び当グループの年次財務書類の監
ビアトリス・ウェーダー・
査並びに四半期財務書類の審査に責任を有する。
ディ・マウロ 17/17 100%
その他の情報については、www.ubs.com/governanceに掲載されてい
るUBSグループAGの組織規則を参照されたい。
1
ジェレミー・アンダーソンは、2018年度AGMにて選任された後、監査委員会の委員長となった。上記は選任後に開催された全会議に対
2
する出席状況を示している。 ウィリアム G. パレットは2018年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記はAGMま
でに開催された全会議に対する出席状況を示している。
報酬委員会
報酬委員会は、2018年度を通じて、下記の表に記載された4名の独立性を有するBoDの構成員で構成され
た。報酬委員会は、当該表に記載された主要な責務に加え、2018年度年次報告書に記載された報酬開示情
報を審査する。
2018年度中、報酬委員会は7回の会議と2回の電話会議を行い、出席率は100%であった。各会議及び電
話会議の平均開催時間は約100分であった。これらの会議には取締役会会長、グループCEO及び大概、外部
アドバイザーが同席した。2018年度中、報酬委員会委員長は主要な監督当局と定期的に会談した。
報酬委員会
会議及び電話会議の
2018年の構成員 主要な責務
出席状況
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報酬委員会は、以下の事項に責任を有する。
アン F. ゴッドビア(委員長)
9/9 100%
(ⅰ)報酬及び福利厚生に関するガイドラインを策定するというBoD
の責務を支援すること。
ミシェル・デマレー 9/9 100%
(ⅱ)取締役会会長及び独立性を有しないBoDの構成員の報酬総額を
承認すること。
1
レト・フランチオーニ 2/2 100%
(ⅲ)取締役会会長と共に、グループCEOの財務及び非財務成績目標
を決定すること、並びにグループCEOの推薦に基づき、他のGEB構成員
1
の財務及び非財務成績目標を精査すること。
ウィリアム G. パレット
2/2 100%
(ⅳ)取締役会会長と相談の上、グループCEOの業績を合意された目
標に照らして評価すること、並びにGEB構成員の各々の業績評価につ
2
ジュリー G. リチャードソン
7/7 100%
いて、BoDに報告すること。
(ⅴ)取締役会会長と共に、BoDの承認を求めて、独立性を有するBoD
2
の構成員及びグループCEOの個々の報酬総額を提案すること。
ディーター・ウェマー 7/7 100%
(ⅵ)グループCEOの推薦に基づき、GEB構成員の個々の報酬総額を
BoDに承認を求めて提案すること。
その他の情報については、www.ubs.com/governanceに掲載されている
UBSグループAGの組織規則を参照されたい。
1
レト・フランチオーニ及びウィリアム G. パレットは、2018年度AGMまで当該委員会の委員であった。上記はAGMまでに開催された全
2
会議に対する出席状況を示している。 ジュリー G. リチャードソン及びディーター・ウェマーは、2018年度AGMにて当該委員会の委員
に選任された。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を示している。
企業風土・責任委員会
企業風土・責任委員会は、2018年度を通じて、下記の表に記載された委員長と3名の独立性を有するBoD
の構成員で構成された。グループCEO並びにUBSインソサエティの責任者は企業風土・責任委員会の固定ゲ
ストであり、上級地域担当者(会長又は社長)は2回の会議にゲストとして出席した。2018年度中、6回
の会議が開催され、平均出席率は96%であった。各会議の平均開催時間は約100分であった。
企業風土・責任委員会
2018年の構成員 会議の出席状況 主要な責務
企業風土・責任委員会は、責任ある、かつ持続可能な企業行動につい
アクセル A. ウェーバー
て当グループの評判を守りかつ向上させるというBoDの責務を支援す
(委員長)
6/6 100%
る。企業風土・責任委員会の役割は、当該委員会が社会的傾向及び変
革の動向を監視及びレビューし、当グループのためにそれらの潜在的
1
ジェレミー・アンダーソン
4/4 100%
関連性を評価するという点で、将来予測に関するものである。この評
価の実施において、当該委員会は、UBSの社会的実績及び企業風土の発
レト・フランチオーニ
6/6 100%
展に関する利害関係者の懸念及び期待をレビューする。また、企業風
土・責任委員会の役割には、当グループ内の企業風土及び企業責任に
2
ウィリアム G. パレット
1/2 50%
関するプログラム及びイニシアチブの現状及び実施状況を監視するこ
とが含まれている。
ビアトリス・ウェーダー・
その他の情報については、www.ubs.com/governanceに掲載されている
ディ・マウロ
6/6 100%
UBSグループAGの組織規則を参照されたい。
1
ジェレミー・アンダーソンは、2018年度AGMの後、当該委員会の構成員となった。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況
2
を示している。 ウィリアム G. パレットは2018年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記はAGMまでに開催され
た全会議に対する出席状況を示している。
ガバナンス・指名委員会
ガバナンス・指名委員会は、2018年度中、下記の表に記載された委員長と3名の独立性を有するBoDの構
成員で構成された。2018年度中、7回の会議と1回の電話会議が行われ、出席率は100%であった。各会議
及び電話会議の平均開催時間は約60分であった。ガバナンス・指名委員会の全ての会議にグループCEOが出
席した。
ガバナンス・指名委員会
会議及び電話会議の
2018年の構成員 主要な責務
出席状況
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ガバナンス・指名委員会は、BoDが、当グループ内のコーポレート・ガ
アクセル A. ウェーバー
バナンスに関するベスト・プラクティスを確立する責務、BoDの評価
(委員長)
8/8 100%
(自己評価又は外部による評価)を実施する責務、BoD及びGEB(後者
の場合、グループCEOの提案による。)の各構成員を指名するプロセス
ミシェル・デマレー 8/8 100%
を確立及び維持する責務、並びにGEBの全構成員の後継者育成計画を管
イザベル・ロミー 8/8 100% 理する責務を履行できるよう支援する。
その他の情報については、www.ubs.com/governanceに掲載されている
デイヴィッド・シドウェル 8/8 100%
UBSグループAGの組織規則を参照されたい。
リスク委員会
リスク委員会は、2018年度中、下記の表に記載された5名の独立性を有するBoDの構成員で構成された。
2018年度中、リスク委員会は9回の会議と3回の電話会議を行い、出席率は100%であった。各会議及び電
話会議の平均開催時間は約225分であった。2018年度について、会議の頻度及び長さはUBSグループAGとUBS
AGで同じであった。通常、会議及び電話会議にはグループCEO、グループCFO、グループ・チーフ・リス
ク・オフィサー及びグループ・ジェネラル・カウンセルが同席した。2018年度中、リスク委員会委員長及
びリスク委員会は、主要な監督当局と定期的に会談した。
リスク委員会
会議及び電話会議の
2018年の構成員 主要な責務
出席状況
リスク委員会は、BoDが以下の分野で適切なリスク管理及び統制の枠
デイヴィッド・シドウェル
組みを管理及び設定する責務を履行できるよう監督し、支援する。
(委員長)
12/12 100%
(ⅰ)信用リスク、市場リスク、カントリー・リスク、法的リスク、
コンプライアンス・リスク、オペレーショナル・リスク及びコンダク
レト・フランチオーニ 12/12
100%
ト・リスクを含むリスク管理及び統制
(ⅱ)資金調達、流動性及び持分帰属を含む財務管理及び資本管理
ジュリー G. リチャードソン 12/12
100%
(ⅲ)バランスシート管理
リスク委員会は、当グループの評判に関する上記リスクの潜在的な影
ロバート W. スカリー 12/12
100%
響を精査する。かかる目的上、リスク委員会は、GEBから全ての関連
情報を受領し、グループCEOと協議の上、規制当局/第三者と会議を
ディーター・ウェマー 12/12 100%
行う権限を有する。
その他の情報については、www.ubs.com/governanceに掲載されている
UBSグループAGの組織規則を参照されたい。
取締役会会長の役割及び責務
アクセル A. ウェーバーは、常勤の取締役会会長として、雇用契約に基づき任務を遂行している。
取締役会会長は、BoD内の業務の調整、BoDの招集及び議案の設定を行う。取締役会会長は、全ての株主
総会において議長を務め、委員会の委員長と協働してBoDの全委員会の業務の調整を行う。取締役会会長
は、グループCEOとともに、株主との間、並びに政府官僚、業務監査機関及び公的機関を含む他の利害関係
者との間の効率的なコミュニケーションに責任を有する。この他にも、グループCEO及び他のGEB構成員と
の緊密な業務上の関係の確立及び維持並びに適宜行われる助言とサポートの提供(当グループの柱となる
もの、原則及び行動様式に基づく、主な優先事項としての当グループの企業風土の変更に関する継続的サ
ポートを含む。)に責任を有する。
2018年度中、取締役会会長は、UBSが活発に事業を行う全ての主要な地域において、主要な監督当局と定
期的に会談した。その他の地域における重要な監督当局との会合は臨時に又は必要に応じて予定された。
副会長及び上級独立取締役の役割及び責務
BoDは、副会長1名以上と上級独立取締役1名を指名する。BoDが複数の副会長を指名する場合、副会長
のうち1名は、独立性を有していなければならない。副会長と上級独立取締役は、取締役会会長の責務と
権限を支援し、助言する。両者は、取締役会会長とガバナンス・指名委員会と連携して、当グループ、取
締役会及び委員会内のバランスの取れたリーダーシップ及び統制のみならずグループ全体の良好なコーポ
レート・ガバナンスを促進する。副会長としてミシェル・デマレーが、また、上級独立取締役としてデイ
ヴィッド・シドウェルが指名された。副会長は、取締役会会長が一時的に欠席の場合にBoDの会議を主導す
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る義務を負っており、実際に主導してきた。副会長は、ガバナンス・指名委員会と共に、取締役会会長を
継続して監視し、年次の評価を行う任務を有する。更に、内部又は外部の利害関係者との会議で取締役会
会 長の代わりにUBSを代表する。上級独立取締役は、独立性を有するBoDの構成員間のコミュニケーション
及び情報の流れを実現及び支援する。上級独立取締役は、独立性を有するBoDの構成員による取締役会会長
が出席しない会議を、少なくとも年2回計画し、開催する。2018年度には、UBSグループAG及びUBS AGに関
する独立性を有するBoDの会議が2回開催され、平均出席率は95%で、平均開催時間は約180分であった。
上級独立取締役は、独立性を有するBoDの構成員が提起する問題点と懸念事項を取締役会会長に伝達し、独
立性を有するBoDの構成員との協議を希望する株主及び利害関係者の窓口となる。
独立性を有する取締役会の構成員との間の重要なビジネス関係
UBSグループAG及びUBS AGは、グローバルに展開する金融サービスのプロバイダー及びスイスに拠点を置
く大手銀行として、UBSグループAG及びUBS AGのBoDの構成員が経営に関与している又は独立性を有する取
締役会の役員を兼務している会社を含む多くの大企業との間でビジネス上の関係を有している。ガバナン
ス・指名委員会は、それぞれの状況毎に、当グループの事業とかかる企業との間の関係が、UBSグループAG
及びUBS AGのBoDの構成員の独立した判断を表明する能力を危うくする可能性がないか判断する。
組織規則により、UBSグループAGのBoDの構成員の4分の3及びUBS AGのBoDの構成員の3分の1が独立性
を有していなければならない。この目的上、独立性は、FINMA通達2017/1「コーポレート・ガバナンス-銀
行」及びNYSE規則を適用して判断される。
2018年度にUBSグループAG及びUBS AGのBoDは、前述した基準を満たした独立性を有しているとみなされ
る取締役の割合に関して組織規則の基準を満たした。UBSグループAG及びUBS AGの取締役会会長はUBSグ
ループAGで常勤していることから、独立性を有しているとはみなされない。他のBoDの構成員はいずれも、
UBS又はその子会社に関連する重要なビジネス上の関係を有していない。
UBSグループAGの独立性を有するBoDの構成員との間の関係及び取引は全て、通常の業務の範囲内で行わ
れ、関係を有していない者との間における類似の取引についてその時点で適用される条件と同じ条件で行
われる。BoDの構成員が関係する会社との間の関係及び取引は全て公正に行われる。
チェック・アンド・バランス機能 - 取締役会とグループ執行役員会
UBSグループAG及びUBS AGは、スイス連邦銀行法により要求される、厳格な二重役員会構造の下で経営さ
れている。BoDとGEBの間の職務分掌は組織規則に明確に定義されている。BoDはグループCEOの推薦に基づ
き当グループの戦略を決定し、経営を最終的に監視しており、グループCEOが率いるGEBは、事業運営に対
する最終的な責任を担っている。取締役会会長とグループCEOには異なる2名の人間が就任しており、権限
の分離に結びついている。こうした構造により、互いのチェック・アンド・バランス機能が保たれ、グ
ループCEOの指揮の下GEBにその責任が委ねられた当グループの日常の事業運営から、BoDの組織としての独
立性が維持されている。BoDとGEBの構成員は、同時に他方の構成員とはならない。
GEBの監督及び管理はBoDが担っている。BoD及びGEBの各組織の権限及び責任は、定款及び組織規則
(「別紙B-主要な承認権限」を含む。)に準拠している。
取締役会の技能、専門性及び研修
BoDは、当グループの事業の内容及び範囲を反映する様々なセクター出身の、幅広い技能、学歴、経験及
び専門性を有する構成員から成る。当グループは、スイス連邦コーポレート・ガバナンス・ベスト・プラ
クティス規範に従い、BoDの構成員がジェンダーの多様性を含む適切な多様性を有するのみならず、専門家
としての適切な経歴及び実績を有するよう努めている。採用における必要性を視野に入れて、ガバナン
ス・指名委員会は、当グループの事業エクスポージャー、リスク・プロフィール、戦略及び地理的範囲を
考慮に入れながら、BoDに最も関連すると考えられる能力の不足を特定するためのツールとして、技能/経
験マトリクスを使用している。
BoDの構成員は、以下の12カテゴリーのうち、自らの強みである4つの能力について、評価することが求
められた。
・ バンキング(ウェルス・マネジメント、アセット・マネジメント、個人及び法人向け銀行事業)
・ 投資銀行、資本市場
・ 保険
・ 財務、監査、会計
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・ リスク管理
・ 報酬を含む人事管理
・ 法務、コンプライアンス
・ テクノロジー、サイバー・セキュリティ
・ 規制当局、中央銀行
・ 法人の責任及び持続可能性
・ チーフ・エグゼクティブ・オフィサー又は会長としての経験
・ 執行役員会で主導的役割を担った経験(例えば、チーフ・ファイナンシャル・オフィサー、チーフ・
リスク・オフィサー又はチーフ・オペレーティング・オフィサーとしての経験)
ガバナンス・指名委員会は、BoDがその責務を履行するのに最も関連する経験及び能力を変わらず保有し
ていることを確認するために上記カテゴリー及び評価を毎年見直している。
2018年度については、12カテゴリーの全ての能力がBoDで示された。特に、水準の高い経験及び専門性
は、以下の分野で確認された。
・ 金融サービス
・ 財務、監査、会計
・ リスク管理
更に、12名のBoDの構成員のうち9名が、会長、CEO又はその他の執行役員会レベルの主導的役割を担う
役職を務めた経験があるか、あるいは現在務めている。
加えて、BoDの構成員にとって、教育は依然として重要な優先事項であった。新しいBoDの構成員のため
の包括的導入プログラムのみならず、継続的な研修及び項目別の深い掘り下げはBoDの議題に組み込まれて
いる。
後継者育成計画
後継者育成計画は、BoDとGEBの両方にとって、主要な責務の一つである。全ての部門や地域において、
当グループの従業員の自己啓発と当グループ内の移動性を促進するために、包括的な人材育成及び後継者
育成計画が実施されている。GEBの全てのポジションを含むそれ以下の、全ての指導的ポジションのための
後継者育成計画は、グループCEOの主導のもとに管理される。BoDは、GEBとそれ以下の管理者層の後継者育
成計画を審査し、承認する。
BoDのために、取締役会長は、体系的な後継者育成計画プロセスを主導する。
当グループの戦略と事業環境は、BoDに必要な主要競争力を定義することで、新しいBoDの構成員の後継
者育成計画プロセスにおける主要な推進力となっている。ガバナンス・指名委員会は、既存のBoDの構成員
の多様性と任期を考慮に入れて、検索のための雇用プロフィールを定義する。外部ソースと内部ソースの
両方が、適した候補者の特定に寄与する。取締役会会長及びガバナンス・指名委員会の構成員は、候補者
と面談し、BoDの全構成員の支持を得た上で、承認を受けるため推薦がAGMに提出される。新しいBoDの構成
員は、新しい役割において効率的に統合され、成果を出すことができるよう策定された、徹底したオリエ
ンテーションプロセスに従う。この後継者育成計画プロセスの結果、BoDの構成には、世界的大手金融サー
ビス会社の要件に沿って、幅広い技能、学歴、経験及び専門知識が含まれている。
グループ執行役員会との情報共有及び管理ツール
BoDは、GEBが行う活動について、様々な方法(取締役会会長とグループCEOとの間の定例会を含む。)で
報告を受けている。また、BoDの会議では、グループCEOやその他のGEBの構成員が全ての重要事項について
BoDに報告を行う。更に、BoDは、財務、資本、資金調達、流動性、規制、コンプライアンス及び法律の動
向並びにその年の残りの期間についての計画及び予測に対する実績について記載する月次の包括的な報告
書を受領する。重要な動向については、BoDの構成員はGEBから会議の合間にも情報の更新を受ける。これ
に加え、取締役会会長はGEBの会議の資料及び議事録を受領する。
BoDの会議において、BoDの構成員は、その職務を全うするために必要とされる当グループに関する事項
についての情報を、BoDの他の構成員又はGEBの構成員に対して求めることができる。BoDの会議以外の場で
も、BoDの構成員は、他のBoD及びGEBの構成員に対して情報提供を求めることができる。かかる要求は、グ
ループ会社秘書役経由で、取締役会会長に対して行われなければならない。
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BoDは、そのガバナンスに関する責務の履行について、グループ内部監査部門(GIA)に支援を受けてお
り、当部門は、財務上及び営業上の情報の信用性並びに法律上、規制上及び法定上の要件の遵守プロセス
の 有効性を評価する。
GIA部門長は、直接、取締役会会長に報告を行う。更に、GIAは、組織規則に規定された責任の範囲内で
監査委員会への機能的なレポートラインを有している。監査委員会は、GIAの該当年度に関する監査計画及
び目標の妥当性について毎年評価及び承認し、かつ、GIAによる当該目標の履行を監視する。
また、監査委員会は、GIA部門長と定期的に連絡をとる。GIAは、四半期毎の報告を行い、その中で、主
要な監査結果及び重要な課題、個別の監査結果に基づく管理の課題及び傾向、継続的なリスク評価並びに
保証結果についての広範な概観を提供する。当該報告書は、取締役会会長、監査委員会及びリスク委員会
の委員、GEB並びにその他の利害関係者に提出される。更に、GIAは年次の活動報告を行っており、この中
で、GIAの活動、プロセス、監査計画及び資金調達需要並びにGIAに影響するその他の重要な動向について
評価を行っている。当該活動報告は、取締役会会長と監査委員会に提出され、GIAの有効性についての評価
のための要素となる。
グループ執行役員会
取締役会(BoD)は、事業運営をグループ執行役員会(GEB)に委ねている。
グループ執行役員会の責務、権限及び組織原則
グループCEOの指揮の下、GEBは、当グループ及びその事業を運営する経営管理上の責任を担っている。
GEBは、当グループ及び各事業部門の戦略の展開並びに承認された戦略の実施につき、全責任を担う。GEB
は、当グループのリスク・カウンセルとしての任務を担っている。この機能において、GEBは、リスク管理
及びリスク統制の原則の実施を確立し監督する全責任、並びにBoD及びリスク委員会が決定した当グループ
全体のリスク・プロフィールを管理する全責任を担っている。GEBは、2018年度に、UBSグループAG及びUBS
AGに関し16回の会議を開催する一方で、UBS AG単独の会議を2回開催した。更に、2回のオフサイトミー
ティング及び4回の戦略勉強会が開催された。
グループ資産・負債管理委員会の責務及び権限
GEBによって設置されたグループ資産・負債管理委員会(グループALCO)は、当グループの戦略、規制上
の義務並びに株主及びその他の利害関係者の利益に沿った当グループの資産及び負債の使用を促す責務に
基づき、GEBをサポートする責任を担っている。グループALCOは、資本管理、資本配分、資金調達及び流動
性リスクの枠組みを提案し、かつ、BoDに対し承認を求めて当グループのための上限及び目標値を提案す
る。グループALCOは、当グループ、その事業部門及びコーポレート・センターの貸借対照表の管理を監督
する。組織規則には、GEBのいずれの権限がグループALCOに委譲されたかが追加で規定されている。2018年
度に、グループALCOはUBSグループAG及びUBS AGに関する会議を10回開催した。
経営契約
UBSグループAG及びUBS AGは、その経営について、当グループに属さない会社又は自然人と契約を締結し
ていない。
グループ執行役員会の構成員
2018年1月22日、当グループは、統合されたグローバル・ウェルス・マネジメント部門の創設を発表し
た。ウェルス・マネジメント部門社長であるマーチン・ブレッシング並びにUBSアメリカズ及びウェルス・
マネジメント・アメリカズ部門社長であるトム・ナラティルが、2018年2月1日をもってグローバル・
ウェルス・マネジメント部門の共同社長に任命された。2018年9月25日、当グループは、ピエーロ・ノ
ヴェッリとロバート・カロフスキーがインベストメント・バンクの共同社長に任命され、両者がGEBに加わ
ると発表した。インベストメント・バンクの前社長であるアンドレア・オーセルはGEBから退いた。これら
の変更は、2018年10月1日に有効になった。2018年10月25日、当グループは、マルクス・ローナーが2018
年11月1日からグループ・チーフ・コンプライアンス及びガバナンス・オフィサーとしてGEBに加わると発
表した。更に、当グループは、キャサリン・シーがUBSにおける32年の勤務を経て退職することが決まった
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と発表した。エドモンド・コーが2019年1月1日からUBSアジア太平洋地域の社長を引き継ぎ、UBSグルー
プAG及びUBS AGのGEBに加わった。
スイス法に沿って、UBSグループAGの定款第36条はGEBの構成員がUBSグループ以外で受ける委任の数を、
上場会社については1の取締役委任まで、非上場会社については5の追加委任までに制限している。UBSが
支配している会社又はUBSを支配している会社についての委任はこの制限の適用外である。更に、GEBの構
成員は、当該会社の要請により同時に10を超えて委任を受けることはできず、かつ組合、慈善団体、財
団、信託会社及び従業員福利財団について8を超えて委任を受けることはできない。2018年12月31日現
在、GEBのいずれの構成員も、前述した上限を超えていなかった。
UBS AGでも、執行役員会に事業運営が委ねられており、執行役員会は、執行役員会プレジデントの主導
の下、UBS AG及びその事業に対し経営管理責任を有している。UBSスイスAGの社長であるアクセル・レーマ
ンを除くGEBの全構成員がUBS AGの執行役員会の構成員を兼任している。グループALCOと同様に、UBS AGの
資産・負債管理委員会は、UBS AG及び当グループの戦略及び規制上の要件に沿ったUBS AGの財源の使用の
促進に責任を有している。
現在のところ、GEB及びUBS AGの執行役員会の構成に関して、特定の多様性に関する方針は、要求又は適
用されていない。
監査人
監査はコーポレート・ガバナンスにおいて不可欠な要素である。社外監査人は、その独立性を保持する
一方で、グループ内部監査部門と密接に協力して業務を行っている。監査委員会、そして最終的には取締
役会(BoD)が監査業務の有効性を監督している。
社外独立監査人
2018年度の年次株主総会(AGM)において、アーンスト・アンド・ヤング・リミテッド(EY)が当グルー
プの監査人として1年の任期で再選された。EYは、法律、規制上の要請及び定款に基づく、実質的に全て
の監査業務を引き受けている。2015年以降、当グループの財務監査の責任者であるEYの主要パートナー
は、マリーロール・ドラリュであり、任期は最長5年である。2016年以降、財務書類監査について共同で
署名するパートナーは、イラ S. フィトリンであり、任期は最長7年である。2015年以降、パトリック・
シュヴァラーがスイス金融市場監督当局(FINMA)に対する主要監査人であり、以前に別な任務で当グルー
プの監査業務に携わっていたため任期は最長6年である。マーク・ライザーは2012年以降FINMA監査につい
て共同で署名するパートナーであった。2019年にダニエル・マーチンが彼の役割を引き継ぐ予定で、任期
は最長7年である。
2018年度中、監査委員会は社外監査人と8回の会議及び1回の電話会議を行った。監査委員会は、社外
監査人の業績、有効性及び独立性について、年次ベースで評価する。この評価は、上級役員に対するイン
タビュー及び当グループ全体の利害関係者からの調査フィードバックに基づいている。評価基準には、
サービス提供の質、監査チームの質及び能力、監査の一環として付加される価値、洞察力、並びにEYとの
全体的な関係性が含まれる。監査委員会は、自己分析及び評価結果に基づき、EYの監査は有効であったと
結論づけた。
増資に関する特別監査人
2018年5月3日のAGMにおいて、BDO AGが3年の任期で特別監査人に再選された。特別監査人は、増資計
画に関し、監査人とは別個に監査意見書を提出する。
社外独立監査人に支払われた報酬
EYに支払われた報酬(費用を含む。)は、下記の表に記載されている。加えて、UBSの投資ファンド(そ
の多くは独立したファンドの役員会又は受託者を有する。)のために実施されたサービスの対価として、
EYは、2018年度に3,030万米ドル(2017年度は2,940万米ドル)を受領した。
監査業務には、適用ある法律及び一般に認められた監査基準に従い当グループの監査を実施するのに必
要となる全ての業務、並びに慣例的に監査人だけが提供することができるその他の保証業務が含まれる。
これには、法定上及び規制上の監査、監査証明業務並びに規制当局に提出する書類のレビューが含まれ
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る。2018年度に監査業務に分類された追加業務には、FINMAの要請に応じて委任された複数の業務が含まれ
ていた。
監査関連業務は、監査人が従来実施する保証業務及びその関連業務で構成され、財務報告に関連する証
明業務、内部統制レビュー、業績基準レビュー並びに財務会計及び報告基準に関する相談が含まれる。
税務関連業務には、EYの税務部門に所属する専門スタッフが行う業務、並びに当グループの事業にかか
る税務コンプライアンス及び税務相談が含まれる。
「その他」の業務とは、技術的なITセキュリティ管理のレビュー及び評価を含む認可された業務であ
る。
社外独立監査人に支払われた報酬
UBSグループAG及びその子会社(UBS AGを含む。)は、社外独立監査人に対し、以下の報酬(費用を含
む。)を支払った。
単位:千米ドル 2018年12月31日 2017年12月31日
監査業務
グローバルな監査報酬 54,716 53,557
監査業務に分類された追加業務(法令で要求された業務であり、規制当局に指示された経
常外の性質を有する業務を含む。) 16,595 13,217
1
監査業務合計 71,310 66,774
非監査業務
監査関連報酬 8,711 12,272
内、保証及び証明業務 5,390 6,496
内、統制及び業績に関する報告書 3,261 5,132
内、財務会計及び報告基準に関する相談 60 645
税務関連報酬 1,212 1,572
その他の報酬 536 1,943
1
非監査業務合計 10,459 15,788
1
2018年12月31日現在のUBSグループAG(連結)に関する監査業務及び非監査業務の合計は81,770千米ドル(2017年12月31日現在では
82,562千米ドル)であり、その内56,493千米ドル(2017年12月31日現在では62,137千米ドル)がUBS AG(連結)に関するものであっ
た。
事前承認手続
EYの独立性を確保するために、EYが提供した全ての業務は、監査委員会によって事前承認を受けなけれ
ばならない。特定の委任に対する事前承認、又は、限定され、かつ明確に定義された業務の種類及び規模
を認可する一括事前承認の様式で行う事前承認のいずれかが可能である。
監査委員会では、事前承認を行う権限を委員長に委任しており、グループ・チーフ・ファイナンシャ
ル・オフィサー並びにグループ・コントローラー及びチーフ・アカウンティング・オフィサーは、監査委
員会委員長に対し、EYの業務に関する一切の提案を提出し、承認を求める(一括事前承認が実施されてい
る場合を除く。)。監査委員会は、四半期毎の会議において、委員長が付与した承認及び一括事前承認で
承認された業務について報告を受ける。
グループ内部監査部門
グループ内部監査部門(GIA)は、当グループのための内部監査業務を実施しており、2018年には、承認
を受けた平均450名(フルタイム換算)の従業員が本業務に携わった。当該部門は独立した、客観性のある
部門であり、当グループが戦略、事業運営、財務及びコンプライアンス上の目的を達成するのを支援し、
また、BoDがガバナンスに関する責任を履行するのも支援している。
GIAは、独立して、客観的に、かつ体系的に以下の事項を評価する。
・ 戦略及びリスク選好を決定するプロセスの有効性並びに承認された戦略の全体的な遵守状況
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・ ガバナンス・プロセスの有効性
・ リスク管理の有効性(リスクが適切に認識され、管理されているかを含む。)
・ 内部統制の有効性(特に、負ったリスクに見合っているか)
・ リスク及び統制の企業風土の健全性
・ あらゆるソースに起因する改善活動の有効性及び持続可能性
・ 財務上及び営業上の情報の信用性及び完全性(すなわち、事業活動が適切、正確かつ完全に記録され
ているか、並びに基礎データ及びモデルの質)
・ 法律上、規制上及び法定上の要件(定款の規定等)並びに社内方針(組織規則を含む。)及び契約の
遵守プロセスの有効性(すなわち、かかる要件が充足されているか及びかかる要件を持続的に充足するプ
ロセスが妥当かについての評価)
重要事項を含む監査報告書は、グループCEO、関連あるGEBの構成員及びその他の責任を担う経営陣に提
出される。取締役会会長、監査委員会及びリスク委員会もまた、当該事項の報告を定期的に受ける。
更に、GIAは、中度から重度の影響を有する問題が確実に修正されていることを保証する。この責務はあ
らゆる出所(最初の防衛戦である経営幹部、第二の防衛戦である統制機能、第三の防衛戦であるGIA、社外
監査人及び規制当局)で確認された問題に適用される。GIAはまた、主要な統制の問題に関する調査につい
てリスク統制部門並びに内部及び外部の法律顧問と緊密に連携する。
GIAの経営陣からの独立性を最大化するために、GIA部門長は、取締役会会長及び監査委員会に報告を行
い、監査委員会は、GIAの独立性及び実績だけでなく、GIAが業務を実施するのに十分な資質を有している
かを年次ベースで評価する。監査委員会の評価では、GIAは、その任務を遂行し、監査目的を達成するのに
十分な資質を有している。GIAの役割、地位、責任及び責務は、www.ubs.com/governanceに公表されている
組織規則及びグループ内部監査部門のための規約に規定されている。グループ内部監査部門のための規約
は、UBS AGの内部監査部門にも適用される。GIAは、全ての勘定、帳簿、記録、制度、設備及び従業員に対
し無制限のアクセスを有しており、監査を行う責務を果たすのに必要となる一切の情報及びデータの提供
を受けなければならない。監査委員会は、特別監査の実施を命じることができ、その他のBoDの構成員、委
員会又はグループCEOは、監査委員会と相談した上で当該監査を要請することができる。
GIAは社外監査人と協調し、緊密に協力することで、その業務の効率性を高めている。
(2)【監査報酬の内容等】
①【外国監査公認会計士等に対する報酬の内容】
千米ドル(百万円)
前連結会計年度(注2) 当連結会計年度(注3)
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬 基づく報酬 基づく報酬 基づく報酬
66,774 15,788 71,310 10,459
UBSグループ(注1)
(7,234) (1,710) (7,726) (1,133)
(注1)上記の表に記載されているのはUBSグループの金額である。
(注2)UBSグループAG(連結)に関する監査証明業務及び非監査業務に基づく報酬の合計82,562千米ドルのうち、
62,137千米ドルがUBS AG(連結)に関するものであった。
(注3)UBSグループAG(連結)に関する監査証明業務及び非監査業務に基づく報酬の合計81,770千米ドルのうち、
56,493千米ドルがUBS AG(連結)に関するものであった。
②【その他重要な報酬の内容】
上記に加え、UBSの投資ファンド(その多くは独立したファンドの役員会又は受託者を有する。)のた
めに実施されたサービスの対価として、アーンスト・アンド・ヤング・リミテッドに対し、2018年度に
3,030万米ドル(32億8,300万円)(2017年度は2,940万米ドル(31億8,500万円))が支払われた。
(注)上記金額はUBSグループについての金額であるが、その大部分はUBS AGとその連結子会社に関連している。
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③【外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容】
非監査業務の詳細については、上記「(1) コーポレート・ガバナンスの状況」の「監査人」の項を参
照のこと。
④【監査報酬の決定方針】
監査委員会が社外監査人の委任契約書(監査の範囲並びに予定されている監査業務に関する報酬及び
条件を含む。)の承認に責任を有している。
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第6 【経理の状況】
(a) 本書記載の当行及び子会社の連結財務書類は、スイスにおいて公表された「UBSグループAG及びUBS AGの
2018年度年次報告書」と題された原文(英文)に含まれている国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)
に従って作成された2018年12月31日終了事業年度の原文(英文)の当行及び子会社の連結財務書類(以下
「原文の連結財務書類」という。)の日本語訳(以下「邦文の連結財務書類」という。)である。また、本
書記載の当行の個別財務書類は、スイスにおいて公表された「UBS AGの2018年度個別財務情報及び規制情
報」と題された原文(英文)に含まれているスイスGAAP(FINMA令2015/1及びスイス銀行法)に従って作成さ
れた2018年12月31日終了事業年度の原文(英文)の当行の財務書類(以下「原文の個別財務書類」とい
う。)の日本語訳(以下「邦文の個別財務書類」という。)である。当行及び子会社の連結財務書類及び当
行の個別財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)
(以下「財務諸表等規則」という。)第131条第1項の規定が適用されている。
なお、連結財務書類及び個別財務書類において採用される会計処理の原則及び手続のうち日本で一般に公正
妥当と認められているものと相違するもので重要なものは、財務諸表等規則の規定に準拠して、それぞれ第
6の4.「Ⅰ.連結財務書類:IFRSと日本における会計原則及び会計慣行の主な相違」及び「Ⅱ.個別財務書
類:スイスと日本における会計原則及び会計慣行の主な相違」に説明されている。
(b) 原文の連結財務書類及び個別財務書類は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和23年法律第103号)第
1条の3第7項に規定されている外国監査法人等をいう。)であるアーンスト・アンド・ヤング・エル
ティーディー(スイスにおける法定監査人)から、「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)第193条の2
第1項第1号に規定されている監査証明に相当すると認められる証明を受けている。その監査報告書の原文
及び訳文は本書に掲載されている。
(c) 邦文の連結財務書類及び個別財務書類には、財務諸表等規則の規定に従って、原文の連結財務書類及び個
別財務書類中のスイス・フラン及び米ドル表示の金額の主要なものについて円換算額が併記されている。日
本円への換算には1スイス・フラン=108.44円、1米ドル=108.34円(2019年6月3日現在の三菱UFJ銀行
における対顧客電信直物売買相場の仲値)の換算レートが使用されている。億円未満の端数は四捨五入され
ている。
(d) 円換算額並びに第6の1.の末尾の参考情報及び第6の2.から4.までに関する記載は、原文の連結財務書
類及び個別財務書類には含まれておらず、当該事項における原文の連結財務書類及び個別財務書類への参照
事項を除き、上記(b)の監査の対象に含まれていない。
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財務報告に係る内部統制に関する経営者の報告書
財務報告に係る内部統制に関する経営者の責任
UBS AGの取締役会及び経営者は、財務報告に対して適切な内部統制を確立し、維持する責任を負ってい
る。財務報告に係るUBS AGの内部統制は、IASBが公表するIFRSに準拠して公表された財務書類が作成さ
れ、かつ適正に表示されていることについて、合理的な保証を提供するために整備されている。
財務報告に係るUBS AGの内部統制には、次の方針及び手続が含まれる。
- 資産の取引及び処分を、合理的な詳細さで正確かつ公正に反映する記録の維持に関する方針及び手続
- 財務書類を作成し適正に表示できるよう、諸取引が記録されること、並びに会社の収入と支出は、UBS AGの経営
者の承認によってはじめて実行されることについて、合理的な保証を提供する方針及び手続
- 財務書類に重要な影響を及ぼす可能性がある会社の資産について未承認の取得、使用または処分を防止、あるい
は適時に発見することについて合理的な保証を提供する方針及び手続
固有の限界により、財務報告に係る内部統制は虚偽表示を防止または発見できない可能性がある。ま
た、将来の期間に対する有効性の評価の予測は、状況の変化のため統制が不十分になるかもしれないリス
ク、あるいは方針や手続への遵守の程度が低下しているかもしれないリスクにさらされている。
2018年12月31日現在の財務報告に係る内部統制に関する経営者の評価
UBS AGの経営者は、トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)が「内部統制-統合的枠組み」
(2013年版フレームワーク)で定めている基準に基づき、2018年12月31日現在の財務報告に係るUBS AGの
内部統制の有効性を評価した。この評価に基づき、経営者は、2018年12月31日現在、財務報告に係るUBS
AGの内部統制は有効であったと考える。
2018年12月31日現在の財務報告に係るUBS AGの内部統制の有効性は、UBS AGの独立登録会計事務所であ
るアーンスト・アンド・ヤング・エルティーディーが監査し、513ページ(訳者注:原文のページ)に掲載
されている監査報告書で記載されているように、2018年12月31日現在の財務報告に係るUBS AGの内部統制
の有効性について、無限定意見が表明されている。
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1【財務書類】
UBS AG連結財務書類
主要財務書類
監査済
損益計算書
終了事業年度
単位:百万米ドル
注記 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
償却原価及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3 10,121 10,437 10,375
償却原価で測定される金融商品に係る支払利息 3 (6,494) (5,468) (5,002)
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3 6,974 4,056 3,579
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る支払利息 3 (4,653) (2,418) (2,495)
受取利息純額 3 5,949 6,607 6,457
金融商品の公正価値の変動に係るその他の収益純額 3 5,977 5,067 5,018
信用損失(費用)/戻入 23 (117) (131) (38)
受取報酬及び手数料 ▶ 19,632 19,390 18,425
支払報酬及び手数料 ▶ (1,703) (1,840) (1,781)
受取報酬及び手数料純額 ▶ 17,930 17,550 16,644
その他の収益 5 905 952 749
営業収益合計 30,642 30,044 28,831
人件費 6 13,992 14,952 15,782
一般管理費 7 10,075 9,001 7,776
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損 15 1,052 945 992
無形資産の償却費及び減損 16 65 71 93
営業費用合計 25,184 24,969 24,643
税引前営業利益/(損失) 5,458 5,076 4,188
税金費用/(税務上の便益) 8 1,345 4,242 753
当期純利益/(損失) 4,113 834 3,435
優先証券保有者に帰属する当期純利益/(損失) 73 80
非支配株主持分に帰属する当期純利益/(損失) 7 ▶ ▶
株主に帰属する当期純利益/(損失) 4,107 758 3,351
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損益計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円
注記 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
10,965 11,307 11,240
償却原価及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3
償却原価で測定される金融商品に係る支払利息 3 (7,036) (5,924) (5,419)
7,556 4,394 3,877
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る支払利息 3 (5,041) (2,620) (2,703)
6,445 7,158 6,996
受取利息純額 3
6,475 5,490 5,437
金融商品の公正価値の変動に係るその他の収益純額 3
信用損失(費用)/戻入 23 (127) (142) (41)
21,269 21,007 19,962
受取報酬及び手数料 ▶
支払報酬及び手数料 ▶ (1,845) (1,993) (1,930)
19,425 19,014 18,032
受取報酬及び手数料純額 ▶
980 1,031 811
その他の収益 5
33,198 32,550 31,236
営業収益合計
15,159 16,199 17,098
人件費 6
10,915 9,752 8,425
一般管理費 7
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損 15 1,140 1,024 1,075
70 77 101
無形資産の償却費及び減損 16
27,284 27,051 26,698
営業費用合計
5,913 5,499 4,537
税引前営業利益/(損失)
1,457 4,596 816
税金費用/(税務上の便益) 8
4,456 904 3,721
当期純利益/(損失)
79 87
優先証券保有者に帰属する当期純利益/(損失)
8 ▶ ▶
非支配株主持分に帰属する当期純利益/(損失)
4,450 821 3,630
株主に帰属する当期純利益/(損失)
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包括利益計算書
終了事業年度
単位:百万米ドル 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
株主に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 4,107 758 3,351
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益
為替換算調整
在外営業活動体の純資産に関連する為替換算調整の変動、税効果前 (701) 1,553 (835)
純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値の変動の有効部分、税効果前 181 (55) 356
損益計算書に振り替えられた在外営業活動体に係る為替換算調整差額 ▶ 32 77
損益計算書に振り替えられた純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値
の変動の有効部分 2 (6) (5)
為替換算調整に関連する法人所得税(純投資のヘッジによる影響を含む) (2) (2) 2
為替換算調整、税効果後小計 (515) 1,522 (404)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
未実現利得/(損失)純額、税効果前 (56) 96 261
資本から損益計算書に振り替えられた減損損失 0 15 5
資本から損益計算書に振り替えられた実現利得 0 (209) (376)
資本から損益計算書に振り替えられた実現損失 0 14 26
未実現利得/(損失)純額に関連する法人所得税 12 (6) 26
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、税効果後小計 (45) (91) (58)
金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動の
有効部分、税効果前 (42) 45 234
資本から損益計算書に振り替えられた(利得)/損失純額 (294) (843) (1,094)
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連する法人所得税 67 163 176
キャッシュ・フロー・ヘッジ、税効果後小計 (269) (635) (684)
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益、税効果後合計 (829) 797 (1,146)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
確定給付制度
確定給付制度に係る利得/(損失)、税効果前 (70) 308 (880)
確定給付制度に関連する法人所得税 245 6 51
確定給付制度、税効果後小計 175 314 (829)
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用による利得/(損失)、税効
517 (315) (134)
果前
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用に関連する法人所得税 (8) (2) ▶
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用、税効果後小計 509 (317) (130)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 684 (3) (959)
その他の包括利益合計 (145) 794 (2,105)
株主に帰属する包括利益合計 3,961 1,552 1,246
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包括利益計算書(続き)
終了事業年度
単位:百万米ドル 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
優先証券保有者に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 0 73 80
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
為替換算調整の変動、税効果前 0 247 (21)
為替換算調整の変動に関連する法人所得税 0 0 0
為替換算調整、税効果後小計 0 247 (21)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 0 247 (21)
優先証券保有者に帰属する包括利益合計 0 320 59
非支配株主持分に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 7 ▶ ▶
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
為替換算調整の変動、税効果前 (1) 2 (1)
為替換算調整の変動に関連する法人所得税 0 0 0
為替換算調整、税効果後小計 (1) 2 (1)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 (1) 2 (1)
非支配株主持分に帰属する包括利益合計 5 6 3
包括利益合計
当期純利益/(損失) 4,113 834 3,435
その他の包括利益 (147) 1,044 (2,127)
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益 (829) 797 (1,146)
内、損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益 682 247 (981)
包括利益合計 3,967 1,878 1,308
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有価証券報告書
包括利益計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
株主に帰属する包括利益
821 3,630
当期純利益/(損失) 4,450
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益
為替換算調整
1,683
在外営業活動体の純資産に関連する為替換算調整の変動、税効果前
(759) (905)
196 386
純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値の変動の有効部分、税効果前
(60)
▶ 35 83
損益計算書に振り替えられた在外営業活動体に係る為替換算調整差額
損益計算書に振り替えられた純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値
2
の変動の有効部分 (7) (5)
2
為替換算調整に関連する法人所得税(純投資のヘッジによる影響を含む)
(2) (2)
1,649
為替換算調整、税効果後小計
(558) (438)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
104 283
未実現利得/(損失)純額、税効果前
(61)
0 16 5
資本から損益計算書に振り替えられた減損損失
0
資本から損益計算書に振り替えられた実現利得
(226) (407)
0 15 28
資本から損益計算書に振り替えられた実現損失
13 28
未実現利得/(損失)純額に関連する法人所得税
(7)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、税効果後小計 (49) (99) (63)
金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動の
49 254
有効部分、税効果前 (46)
資本から損益計算書に振り替えられた(利得)/損失純額 (319) (913) (1,185)
73 177 191
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連する法人所得税
キャッシュ・フロー・ヘッジ、税効果後小計 (291) (688) (741)
863
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益、税効果後合計
(898) (1,242)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
確定給付制度
334
確定給付制度に係る利得/(損失)、税効果前 (76) (953)
265 7 55
確定給付制度に関連する法人所得税
190 340
確定給付制度、税効果後小計
(898)
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用による利得/(損失)、
560
(341) (145)
税効果前
▶
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用に関連する法人所得税
(9) (2)
551
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用、税効果後小計
(343) (141)
741
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計
(3) (1,039)
860
その他の包括利益合計 (157) (2,281)
4,291 1,681 1,350
株主に帰属する包括利益合計
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有価証券報告書
包括利益計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
優先証券保有者に帰属する包括利益
0 79 87
当期純利益/(損失)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
0 268
為替換算調整の変動、税効果前
(23)
0 0 0
為替換算調整の変動に関連する法人所得税
0 268
為替換算調整、税効果後小計
(23)
0 268
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計
(23)
0 347 64
優先証券保有者に帰属する包括利益合計
非支配株主持分に帰属する包括利益
8 ▶ ▶
当期純利益/(損失)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
2
為替換算調整の変動、税効果前
(1) (1)
0 0 0
為替換算調整の変動に関連する法人所得税
2
為替換算調整、税効果後小計
(1) (1)
2
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計
(1) (1)
5 7 3
非支配株主持分に帰属する包括利益合計
包括利益合計
4,456 904 3,721
当期純利益/(損失)
1,131
その他の包括利益 (159) (2,304)
863
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益 (898) (1,242)
739 268
内、損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益 (1,063)
包括利益合計 4,298 2,035 1,417
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有価証券報告書
貸借対照表
2018年 2017年 2017年
単位:百万米ドル 注記 12月31日現在 12月31日現在 1月1日現在
資産
現金及び中央銀行預け金 108,370 90,045 105,883
銀行貸出金及び前渡金 10 16,642 14,047 12,896
10, 25
有価証券ファイナンス取引による債権
95,349 91,951 79,936
10, 25
デリバティブに係る差入担保金
23,603 24,040 26,198
顧客貸出金及び前渡金 10 321,482 328,952 300,678
10, 17a
償却原価で測定されるその他の金融資産
22,637 37,890 27,130
償却原価で測定される金融資産合計 588,084 586,925 552,721
12, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産
104,513 129,509 90,501
内、取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある
32,121 36,277 29,731
差入担保資産
デリバティブ金融商品 11, 24, 25
126,212 121,286 155,642
ブローカレッジ債権 24 16,840
13, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産
82,387 60,070 63,888
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 329,953 310,865 310,031
14, 24
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
6,667 8,889 15,402
関連会社投資 31b 1,099 1,045 947
有形固定資産及びソフトウェア 15 8,479 8,191 8,152
のれん及び無形資産 16 6,647 6,563 6,442
繰延税金資産 8 10,066 9,993 13,147
その他の非金融資産 17b 7,062 7,548 12,395
資産合計 958,055 940,020 919,236
負債
銀行預り金 18a 10,962 7,728 10,459
有価証券ファイナンス取引による債務 25 10,296 17,485 9,266
デリバティブに係る受入担保金 25 28,906 31,029 34,852
顧客預金 18a 421,986 423,058 418,129
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達 18b 41,202 35,648 24,201
償却原価で測定される社債 20 91,245 107,458 77,617
償却原価で測定されるその他の金融負債 22a 7,576 38,092 38,361
償却原価で測定される金融負債合計 612,174 660,498 612,884
12, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融負債
28,949 31,251 22,426
11, 24, 25
デリバティブ金融商品
125,723 119,138 151,121
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債務 24 38,420
19, 24
公正価値での測定を指定された社債
57,031 50,782 49,057
22b, 24
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債
33,594 16,643 14,122
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合計 283,717 217,814 236,727
引当金 21a 3,457 3,164 4,097
その他の非金融負債 22c 6,275 6,499 11,902
負債合計 905,624 887,974 865,610
資本
資本金 338 338 338
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資本剰余金 24,655 24,633 27,154
利益剰余金 23,317 22,189 21,480
資本に直接認識されたその他の包括利益、税効果後 3,946 4,828 3,985
株主に帰属する持分 52,256 51,987 52,957
優先証券保有者に帰属する持分
631
非支配株主持分に帰属する持分 176 59 39
資本合計 52,432 52,046 53,627
負債及び資本合計 958,055 940,020 919,236
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貸借対照表(続き)
2018年 2017年 2017年
単位:億円 注記 12月31日現在 12月31日現在 1月1日現在
資産
117,408 97,555 114,714
現金及び中央銀行預け金
18,030 15,219 13,972
銀行貸出金及び前渡金
10
10, 25 103,301 99,620 86,603
有価証券ファイナンス取引による債権
10, 25 25,571 26,045 28,383
デリバティブに係る差入担保金
348,294 356,387 325,755
顧客貸出金及び前渡金
10
10, 17a 24,525 41,050 29,393
償却原価で測定されるその他の金融資産
637,130 635,875 598,818
償却原価で測定される金融資産合計
12, 24 113,229 140,310 98,049
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産
内、取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある
34,800 39,303 32,211
差入担保資産
デリバティブ金融商品 11, 24, 25 136,738 131,401 168,623
18,244
ブローカレッジ債権
24
13, 24 89,258 65,080 69,216
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産
357,471 336,791 335,888
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計
14, 24 7,223 9,630 16,687
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
1,191 1,132 1,026
関連会社投資
31b
9,186 8,874 8,832
有形固定資産及びソフトウェア
15
7,201 7,110 6,979
のれん及び無形資産
16
10,906 10,826 14,243
繰延税金資産
8
7,651 8,178 13,429
その他の非金融資産
17b
1,037,957 1,018,418 995,900
資産合計
負債
11,876 8,373 11,331
銀行預り金
18a
11,155 18,943 10,039
有価証券ファイナンス取引による債務
25
31,317 33,617 37,759
デリバティブに係る受入担保金 25
457,180 458,341 453,001
顧客預金
18a
44,638 38,621 26,219
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達
18b
98,855 116,420 84,090
償却原価で測定される社債
20
8,208 41,269 41,560
償却原価で測定されるその他の金融負債
22a
償却原価で測定される金融負債合計 663,229 715,584 663,999
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融負債 12, 24 31,363 33,857 24,296
11, 24, 25 136,208 129,074 163,724
デリバティブ金融商品
41,624
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債務
24
19, 24 61,787 55,017 53,148
公正価値での測定を指定された社債
22b, 24 36,396 18,031 15,300
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債
307,379 235,980 256,470
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合計
3,745 3,428 4,439
引当金
21a
6,798 7,041 12,895
その他の非金融負債
22c
981,153 962,031 937,802
負債合計
資本
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有価証券報告書
366 366 366
資本金
26,711 26,687 29,419
資本剰余金
25,262 24,040 23,271
利益剰余金
4,275 5,231 4,317
資本に直接認識されたその他の包括利益、税効果後
56,614 56,323 57,374
株主に帰属する持分
684
優先証券保有者に帰属する持分
191 64 42
非支配株主持分に帰属する持分
56,805 56,387 58,099
資本合計
1,037,957 1,018,418 995,900
負債及び資本合計
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持分変動計算書
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
1
単位:百万米ドル 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2016年1月1日現在残高 338 27,126 22,664 5,144 3,337 171 1,635 55,272 1,951 41 57,264
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム ▶ ▶ ▶
(税金費用)/税務上の便益 26 26 26
配当金 (3,589) (3,589) (80) (5) (3,674)
優先証券 0 (1,299) (1,299)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 13 (13) (17) ▶ 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (2) (2) 0 (2)
当期の包括利益合計 2,392 (1,146) (404) (58) (684) 1,246 59 3 1,308
内、当期純利益/(損失) 3,351 3,351 80 ▶ 3,435
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 (1,146) (404) (58) (684) (1,146) (1,146)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 (829) (829) (829)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 (130) (130) (130)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 (21) (1) (22)
2016年12月31日現在残高 338 27,154 21,480 3,985 2,933 96 955 52,957 631 39 53,627
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 6 6 6
(税金費用)/税務上の便益 16 16 16
配当金 (2,219) (2,219) (73) (4) (2,297)
優先証券 0 (878) (878)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額
(46) 46 7 39 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (324) (324) 18 (306)
当期の包括利益合計 755 797 1,522 (91) (635) 1,552 320 6 1,878
内、当期純利益/(損失) 758 758 73 ▶ 834
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 797 1,522 (91) (635) 797 797
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 314 314 314
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有価証券報告書
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 (317) (317) (317)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 247 2 250
2017年12月31日現在残高 338 24,633 22,189 4,828 4,455 13 360 51,987 0 59 52,046
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有価証券報告書
持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
1
単位:百万米ドル 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2017年12月31日現在残高 338 24,633 22,189 4,828 4,455 13 360 51,987 0 59 52,046
IFRS第9号の適用による影響額 (518) (74) (74) (591) (591)
IFRS第15号の適用による影響額 (25) (25) (25)
IFRS第9号及びIFRS第15号適用後の2018年1月1日
現在残高 338 24,633 21,646 4,754 4,455 (61) 360 51,370 0 59 51,429
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 34 34 34
(税金費用)/税務上の便益 (5) (5) (5)
配当金 (3,098) (3,098) (10) (3,108)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (21) 21 3 18 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (7) (7) 122 115
当期の包括利益合計 4,790 (829) (515) (45) (269) 3,961 0 5 3,967
内、当期純利益/(損失) 4,107 4,107 7 4,113
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 (829) (515) (45) (269) (829) (829)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 175 175 175
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 509 509 509
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 (1) (1)
2018年12月31日現在残高 338 24,655 23,317 3,946 3,940 (103) 109 52,256 0 176 52,432
1
利益剰余金に直接計上されている確定給付制度及び自己の信用を除く。
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有価証券報告書
持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
1
単位:億円 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2016年1月1日現在残高 366 29,388 24,554 5,573 3,615 185 1,771 59,882 2,114 44 62,040
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム ▶ ▶ ▶
(税金費用)/税務上の便益 28 28 28
配当金 (3,888) (3,888) (87) (5) (3,980)
優先証券 0 (1,407) (1,407)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 14 (14) (18) ▶ 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (2) (2) 0 (2)
当期の包括利益合計 2,591 (1,242) (438) (63) (741) 1,350 64 3 1,417
内、当期純利益/(損失) 3,630 3,630 87 ▶ 3,721
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 (1,242) (438) (63) (741) (1,242) (1,242)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 (898) (898) (898)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 (141) (141) (141)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 (23) (1) (24)
2016年12月31日現在残高 366 29,419 23,271 4,317 3,178 104 1,035 57,374 684 42 58,099
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 7 7 7
(税金費用)/税務上の便益 17 17 17
配当金 (2,404) (2,404) (79) (4) (2,489)
優先証券 0 (951) (951)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (50) 50 8 42 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (351) (351) 20 (332)
当期の包括利益合計 818 863 1,649 (99) (688) 1,681 347 7 2,035
内、当期純利益/(損失) 821 821 79 ▶ 904
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 863 1,649 (99) (688) 863 863
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 340 340 340
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有価証券報告書
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 (343) (343) (343)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 268 2 271
2017年12月31日現在残高 366 26,687 24,040 5,231 4,827 14 390 56,323 0 64 56,387
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有価証券報告書
持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
1
単位:億円 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2017年12月31日現在残高 366 26,687 24,040 5,231 4,827 14 390 56,323 0 64 56,387
IFRS第9号の適用による影響額 (561) (80) (80) (640) (640)
IFRS第15号の適用による影響額 (27) (27) (27)
IFRS第9号及びIFRS第15号適用後の2018年1月1日
現在残高 366 26,687 23,451 5,150 4,827 (66) 390 55,654 0 64 55,718
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 37 37 37
(税金費用)/税務上の便益 (5) (5) (5)
配当金 (3,356) (3,356) (11) (3,367)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (23) 23 3 20 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (8) (8) 132 125
当期の包括利益合計 5,189 (898) (558) (49) (291) 4,291 0 5 4,298
内、当期純利益/(損失) 4,450 4,450 8 4,456
内、損益計算書に振り替えられる可能性のある
その他の包括利益(OCI)、税効果後 (898) (558) (49) (291) (898) (898)
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-確定給付制度 190 190 190
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-自己の信用 551 551 551
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
税効果後-為替換算調整 0 (1) (1)
2018年12月31日現在残高 366 26,711 25,262 4,275 4,269 (112) 118 56,614 0 191 56,805
1
利益剰余金に直接計上されている確定給付制度及び自己の信用を除く。
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ユービーエス・エイ・ジー(E05852)
有価証券報告書
UBS AGの発行済株式
2018年12月31日に、UBS AGが発行した株式は合計3,858,408,466株(2017年12月31日:3,858,408,466株)であ
り、すべてUBSグループAGが保有していた。
条件付資本金
2018年12月31日に、社債又は同様の金融商品の発行に関連して付与された転換権及びワラントのために最大
380,000,000株の条件付資本を使用することが可能であった。
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ユービーエス・エイ・ジー(E05852)
有価証券報告書
1
キャッシュ・フロー計算書
終了事業年度
単位:百万米ドル
2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
当期純利益/(損失)
4,113 834 3,435
当期純利益に含まれている非資金項目及びその他の調整:
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損
1,052 945 992
無形資産の償却費及び減損
65 71 93
信用損失費用/(戻入)
117 131 38
関連会社/共同支配企業持分純利益及び関連会社の減損
(528) (69) (109)
繰延税金費用/(税務上の便益)
374 3,398 (35)
投資活動から生じた純損失/(利得)
(49) (198) (1,223)
財務活動から生じた純損失/(利得)
(4,829) 2,763 9,627
その他の調整純額
(1,092) 384
(1,077)
営業活動に係る資産及び負債の変動純額:
銀行貸出金及び前渡金/銀行預り金
3,504
(3,236) (1,289)
有価証券ファイナンス取引
945
(11,230) (111)
デリバティブに係る担保金
(1,449) (2,454) (4,182)
顧客貸出金及び前渡金
3,736
(4,152) (15,661)
顧客預金
7,931 33,402
(12,073)
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び金融負債並びに
デリバティブ金融商品
11,093 8,453
(23,560)
ブローカレッジ債権及びブローカレッジ債務
11,432
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産、その他の金融資産
及びその他の金融負債
10,902
(1,801) (77,035)
引当金、その他の非金融資産及びその他の非金融負債
1,377 4,236
(29)
支払税金、還付金控除後
(888) (1,021) (638)
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
27,744
(53,147) (19,172)
投資活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
子会社、関連会社及び無形資産取得
(287) (106) (27)
2
子会社、関連会社及び無形資産処分
137 339 95
有形固定資産及びソフトウェア購入
(1,473) (1,532) (1,782)
有形固定資産及びソフトウェア処分
114 210 182
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の購入
(1,999) (8,626) (7,022)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還
1,361 15,250 54,433
償却原価で測定される社債の(購入)/償還純額
(3,770)
満期保有目的金融資産の(購入)/償還純額
(91) (9,224)
投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
5,444 36,655
(5,918)
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有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:百万米ドル
2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
財務活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
短期借入債務発行/(償還)純額
24,500 5,474
(12,245)
UBS AG株式に係る配当金の支払
(3,098) (2,219) (3,589)
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務発行
54,726 40,270 19,786
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務償還
(44,344) (45,187) (33,902)
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達
5,956 11,180 13,917
配当金の支払及び優先証券の償還
(782) (1,382)
非支配株主持分の変動純額
(31) (5) (5)
財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
963 27,758 299
キャッシュ・フロー合計
現金及び現金同等物期首残高
104,787 118,984 102,797
営業、投資及び財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
22,789 17,783
(19,944)
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響
5,749
(1,722) (1,596)
3
現金及び現金同等物期末残高
125,853 104,787 118,984
内、現金及び中央銀行預け金
108,268 89,968 105,832
内、銀行貸出金及び前渡金
15,452 12,726 11,719
▶
内、マネー・マーケット・ペーパー
2,133 2,093 1,433
追加情報
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)は以下を含む:
現金による利息受取額
7,720 7,635 7,907
現金による利息支払額
4,719 3,977 3,581
5
現金による株式投資、投資信託受益証券及び関連会社に係る配当
2,322 1,828 1,618
1
2018年1月1日のIFRS第9号の適用により、過年度に売却可能金融資産として分類されていた一部の金融資産によるキャッシュ・フロー
は、2018年1月1日以降、当該資産が純損益を通じて公正価値で測定される資産として会計処理されることから、投資活動から営業活動
2 3
に組替えられている。詳細については、注記1cを参照。 関連会社からの受取配当金を含む。 現金及び現金同等物のうち、2018年12月
31日、2017年12月31日及び2016年12月31日現在、それぞれ5,245百万米ドル、2,497百万米ドル及び2,615百万米ドル(主として「銀行貸出
▶
金及び前渡金」に反映されている。)が使用制限のあるものである。詳細については、注記26を参照。 マネー・マーケット・ペーパー
は、貸借対照表上では、「公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産」(2018年12月31日:366百万米ドル、2017年12月31
日:135百万米ドル、2016年12月31日:74百万米ドル)、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」(2018年12月31
日:8百万米ドル、2017年12月31日:17百万米ドル、2016年12月31日:416百万米ドル)、「公正価値で測定されるトレーディング目的保
有でない金融資産」及び「償却原価で測定されるその他の金融資産」(2018年12月31日:1,760百万米ドル、2017年12月31日:1,941百万
5
米ドル、2016年12月31日:942百万米ドル)に含まれる。 投資活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出) (2018年:42百万米ドル、
2017年:53百万米ドル、2016年:50百万米ドル)に計上された関連会社からの受取配当金を含む。
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有価証券報告書
1
キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円
2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
当期純利益/(損失)
4,456 904 3,721
当期純利益に含まれている非資金項目及びその他の調整:
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損
1,140 1,024 1,075
無形資産の償却費及び減損
70 77 101
信用損失費用/(戻入)
127 142 41
関連会社/共同支配企業持分純利益及び関連会社の減損
(572) (75) (118)
繰延税金費用/(税務上の便益)
405 3,681
(38)
投資活動から生じた純損失/(利得)
(53) (215) (1,325)
財務活動から生じた純損失/(利得)
2,993 10,430
(5,232)
その他の調整純額
416
(1,183) (1,167)
営業活動に係る資産及び負債の変動純額:
銀行貸出金及び前渡金/銀行預り金
3,796
(3,506) (1,397)
有価証券ファイナンス取引
1,024
(12,167) (120)
デリバティブに係る担保金
(1,570) (2,659) (4,531)
顧客貸出金及び前渡金
4,048
(4,498) (16,967)
顧客預金
8,592 36,188
(13,080)
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び金融負債並びに
デリバティブ金融商品
12,018 9,158
(25,525)
ブローカレッジ債権及びブローカレッジ債務
12,385
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産、その他の金融資産
及びその他の金融負債
11,811
(1,951) (83,460)
引当金、その他の非金融資産及びその他の非金融負債
1,492 4,589
(31)
支払税金、還付金控除後
(962) (1,106) (691)
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
30,058
(57,579) (20,771)
投資活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
子会社、関連会社及び無形資産取得
(311) (115) (29)
2
子会社、関連会社及び無形資産処分
148 367 103
有形固定資産及びソフトウェア購入
(1,596) (1,660) (1,931)
有形固定資産及びソフトウェア処分
124 228 197
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の購入
(2,166) (9,345) (7,608)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還
1,475 16,522 58,973
償却原価で測定される社債の(購入)/償還純額
(4,084)
満期保有目的金融資産の(購入)/償還純額
(99) (9,993)
投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
5,898 39,712
(6,412)
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有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円
2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日
財務活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
短期借入債務発行/(償還)純額
26,543 5,931
(13,266)
UBS AG株式に係る配当金の支払
(3,356) (2,404) (3,888)
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務発行
59,290 43,629 21,436
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務償還
(48,042) (48,956) (36,729)
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達
6,453 12,112 15,078
配当金の支払及び優先証券の償還
(847) (1,497)
非支配株主持分の変動純額
(34) (5) (5)
財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
1,043 30,073 324
キャッシュ・フロー合計
現金及び現金同等物期首残高
113,526 128,907 111,370
営業、投資及び財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
24,690 19,266
(21,607)
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響
6,228
(1,866) (1,729)
3
現金及び現金同等物期末残高
136,349 113,526 128,907
内、現金及び中央銀行預け金
117,298 97,471 114,658
内、銀行貸出金及び前渡金
16,741 13,787 12,696
▶
内、マネー・マーケット・ペーパー
2,311 2,268 1,553
追加情報
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)は以下を含む:
現金による利息受取額
8,364 8,272 8,566
現金による利息支払額
5,113 4,309 3,880
5
現金による株式投資、投資信託受益証券及び関連会社に係る配当
2,516 1,980 1,753
1
2018年1月1日のIFRS第9号の適用により、過年度に売却可能金融資産として分類されていた一部の金融資産によるキャッシュ・フロー
は、2018年1月1日以降、当該資産が純損益を通じて公正価値で測定される資産として会計処理されることから、投資活動から営業活動
2 3
に組替えられている。詳細については、注記1cを参照。 関連会社からの受取配当金を含む。 現金及び現金同等物のうち、2018年12月
31日、2017年12月31日及び2016年12月31日現在、それぞれ5,682億円、2,705億円及び2,833億円(主として「銀行貸出金及び前渡金」に反
▶
映されている。)が使用制限のあるものである。詳細については、注記26を参照。 マネー・マーケット・ペーパーは、貸借対照表上で
は、「公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産」(2018年12月31日:397億円、2017年12月31日:146億円、2016年12月31
日:80億円)、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」(2018年12月31日:9億円、2017年12月31日:18億円、
2016年12月31日:451億円)、「公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産」及び「償却原価で測定されるその他の金
5
融資産」(2018年12月31日:1,907億円、2017年12月31日:2,103億円、2016年12月31日:1,021億円)に含まれる。 投資活動による
キャッシュ・フロー収入/(支出) (2018年:46億円、2017年:57億円、2016年:54億円)に計上された関連会社からの受取配当金を含
む。
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財務活動により生じた負債の変動
UBSグループ
店頭(OTC) AG及びその
償却原価で 公正価値での測
負債性 子会社からの
測定される 定を指定された
2 3
単位:百万米ドル
発行済社債 内、短期 内、長期 発行済社債 金融商品 資金調達 合計
2017年1月1日現在残高
25,720 51,897
77,617 49,057 4,581 24,201 155,456
キャッシュ・フロー
24,500 1,131
25,631 11,180 30,765
(5,625) (422)
非資金項目の変動
2,050 2,159
4,210 7,350 269 267 12,095
内、為替換算
4,523 2,050 2,473 3,085 173 399 8,180
内、公正価値の変動
4,265 95 4,360
1 1
内、その他
0 0
(313) (446)
(314) (133)
2017年12月31日現在残高
52,270 55,187
107,458 50,782 4,428 35,648 198,316
キャッシュ・フロー
13,332 5,956 4,092
(12,245) (1,113)
(13,358) (1,838)
非資金項目の変動
(1,000) (1,854)
(2,855) (7,083) (140) (402) (10,481)
内、為替換算
309
(2,624) (1,000) (1,623) (59)
(289) (2,663)
0
内、公正価値の変動
0
(7,392) (82) (7,475)
1 1
内、その他
(231) (344)
(231) (113)
2018年12月31日現在残高
91,245 39,025 52,220 57,031 2,450 41,202 191,928
1 2
長期債務に係る公正価値ヘッジの影響を含む。詳細については、注記1aのjの項及び注記20を参照。 貸借対照表の公正価値での測定を
3
指定されたその他の金融負債に含まれる。 貸借対照表の「顧客預り金」に報告されているUBSグループAG及びUBSグループ・ファンディン
グ(スイス)AGからのグループ内調達金を反映している。
UBSグループ
店頭(OTC) AG及びその
償却原価で 公正価値での測
負債性 子会社からの
測定される 定を指定された
2 3
単位:億円
発行済社債 内、短期 内、長期 発行済社債 金融商品 資金調達 合計
2017年1月1日現在残高
84,090 27,865 56,225 53,148 4,963 26,219 168,421
キャッシュ・フロー
27,769 26,543 1,225 12,112 33,331
(6,094) (457)
非資金項目の変動
4,561 2,221 2,339 7,963 291 289 13,104
内、為替換算
4,900 2,221 2,679 3,342 187 432 8,862
内、公正価値の変動
4,621 103 4,724
1 1
内、その他
0 0
(339) (340) (144) (483)
2017年12月31日現在残高
116,420 56,629 59,790 55,017 4,797 38,621 214,856
キャッシュ・フロー
14,444 6,453 4,433
(14,472) (13,266) (1,206) (1,991)
非資金項目の変動
(3,093) (1,083) (2,009) (7,674) (152) (436) (11,355)
内、為替換算
335
(2,843) (1,083) (1,758) (64) (313) (2,885)
内、公正価値の変動
0
0
(8,008) (89) (8,098)
1 1
内、その他
(250) (250) (122) (373)
2018年12月31日現在残高
98,855 42,280 56,575 61,787 2,654 44,638 207,935
1 2
長期債務に係る公正価値ヘッジの影響を含む。詳細については、注記1aのjの項及び注記20を参照。 貸借対照表の公正価値での測定を
3
指定されたその他の金融負債に含まれる。 貸借対照表の「顧客預り金」に報告されているUBSグループAG及びUBSグループ・ファンディン
グ(スイス)AGからのグループ内調達金を反映している。
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有価証券報告書
連結財務書類に対する注記
注記1 重要な会計方針の概要
a)重要な会計方針
本注記では、ユービーエス・エイ・ジー及びその子会社(以下「UBS」という。)の連結財務書類(以下「当
財務書類」という。)の作成に適用された重要な会計方針を説明している。2019年3月14日、取締役会により
当財務書類の発行が承認された。
会計の基礎
当財務書類は、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)が発行する国際財務報告基準(以下「IFRS」
という。)に準拠して作成されており、UBS AGの本部、ロンドン支店及び米国を拠点とする事業の機能通貨で
もある米ドルで表示されている。
当財務書類の一部である当年次報告書の「リスク、財務及び資本管理」のセクション(訳者注:UBS AGの年
次報告書の「Risk, treasury and capital management」のセクション。以下同じ。)に記載された監査済とし
て表示されている開示は、当財務書類の不可欠な一部を成している。これらの開示は、IFRS第7号 「金融商
品:開示」 及びIAS第1号 「財務諸表の表示」 の下での規定に関連しており、本セクションには繰り返して記載
されていない。
本注記に記載された会計方針は、注記1bに別途記載のある場合を除き、表示された全ての年度に継続適用さ
れている。また、2018年1月1日より、UBS AGは、金融資産に係る会計を実質的に変更するIFRS第9号 「金融
商品」 及び当グループの収益認識、測定及び表示に影響を及ぼすIFRS第15号 「顧客との契約から生じる収益」
を適用している。本注記では、2018年12月31日終了事業年度に適用された方針と異なる過年度の方針は、「比
較対象期間の方針」として特定されている。
重要な会計上の見積り及び判断
当財務書類をIFRSに準拠して作成するに当たり、経営者は判断を行い、見積りや仮定をする必要がある。そ
れらは報告された資産、負債、収益及び費用の額並びに偶発資産及び偶発負債の開示に影響を与えており、判
断や見積り、仮定を行った時、重要な不確実性を伴うことがある。これらの見積りや仮定は、入手可能な最善
の情報に基づいている。UBS AGは、定期的に見積りや仮定を再評価し、現在の状況に照らして引き続き妥当性
を有するか判断するとともに、必要に応じて改定している。当該評価には、過去の実績や将来の予想、その他
の要因が含まれている。かかる見積りや仮定に変更が生じた場合、当財務書類に重要な影響を及ぼす可能性が
ある。さらに、実際の結果は、UBS AGの見積りと著しく異なることがあり、予想を上回る損失又は引当金計上
額を超えた損失が発生する恐れがある。
以下は、見積りに不確実性が存在し、重要な判断が必要とされ、当財務書類の認識金額に重要な影響を与え
る領域である。
-金融商品の公正価値(本注記の3fの項及び注記24を参照)
-予想信用損失に係る評価性引当金及び負債性引当金(本注記の3gの項及び注記23を参照)
-金融商品を分類する際の事業モデル及び特定の契約上の特徴に関する評価(本注記の3bの項を参照)
-年金及びその他の退職後給付制度(本注記の7の項及び注記29を参照)
-法人所得税(本注記の8の項及び注記8を参照)
-のれん(本注記の11の項及び注記16を参照)
-引当金及び偶発負債(本注記の12の項及び注記21を参照)
-ストラクチャード・エンティティの連結(本注記の1の項及び注記31を参照)
-機能通貨の決定及び表示通貨の変更に伴う修正再表示を行うために実務上可能な最も古い日の評価(本注記
の13の項及び注記1bを参照)
1)連結
a.連結原則
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当財務書類は、UBS AG及びその子会社の財務書類から成り、単一の経済実体として表示されており、会社間
の取引及び残高は消去されている。UBS AGは、(ⅰ)事業体の関連性のある活動に対するパワーを有している
場合、(ⅱ)変動リターンに対するエクスポージャーを有している場合、及び(ⅲ)そのパワーを自らのリ
ター ンに影響を及ぼすように行使する能力を有している場合に事業体を支配しているとされ、当該事業体(支
配するストラクチャード・エンティティ(以下「SE」という。)を含む。)を全て連結している。
議決権により事業体を支配する場合は通常、議決権の過半数を直接保有することで支配しているとみなされ
る。
その他のケースでは、支配の評価はより複雑であり、より広範な判断を求められる。UBS AGが変動性にさら
される事業体の持分を有している場合、当該事業体のリターンの変動性に影響を与えることが可能な、当該事
業体の関連性のある活動に対するパワーがUBS AGにあるかどうかの検討が行われる。全ての事実と状況を考慮
してUBS AGが別の事業体にパワーを有しているか、すなわち、事業体の関連性のある活動に関する意思決定を
行う必要がある場合に当該活動を指図する現時点での能力を有しているかを判断する。事業体の目的や設計、
コールの権利、プットの権利又は清算権等の契約上の取決め、並びに潜在的な意思決定権などの要因は、この
評価を行う際に全て検討される。UBS AGが関連性のある活動に対するパワーを有している場合は、当該パワー
を通じて、自らのリターンに影響を及ぼす能力を有しているかさらに評価を行うが、これは、パワーを本人と
して保有しているのか、あるいは代理人として保有しているのかを評価することにより行う。検討事項は、
(ⅰ)意思決定権限の範囲、(ⅱ)他の当事者が保有する権利(解任権や他の参加権を含む。)、(ⅲ)事業
体の変動性の合計と比較した変動性(報酬を含む。)に対するエクスポージャー、並びに当該エクスポー
ジャーの他の投資家との相違である。これらの要因の検討後、UBS AGがそのパワーを自らのリターンに影響を
及ぼすように行使することができるとの結論に至った場合、事業体は連結される。
SEを含む子会社は、支配を獲得した日から連結され、支配が終了した日に連結対象から除外される。支配又
は支配の喪失は、事実や状況が、支配の存在を認めるのに必要であった要素のうち1つ以上に変更があること
を示す場合に再評価される。
→ 詳細については、注記31を参照。
b.ストラクチャード・エンティティ
UBS AGは、顧客が特定のリスク特性を取得したり、当該リスクにさらされたりすること、資金を供給するこ
と又は信用リスクの売買を行うことを可能にするなど、様々な理由でSEを組成するための出資を行い、出資し
ていないSEとの相互関係を有している。SEとは、事業体を誰が支配しているかの判定に際し、議決権又は類似
の権利が決定的な要因にならないように事業体が設計されている場合に該当する。このような事業体は通常、
限定的な十分に明確化された目的を有しており、これまで特別目的事業体と呼ばれていた事業体や一部の投資
信託が含まれる。UBS AGは、事業体の活動の性質及び他の当事者(投資家や独立した役員を含む。)に付与さ
れた議決権又は類似の権利の実体を考慮して、事業体がSEであるかを評価する。UBS AGは、事業体を清算する
能力や意思決定者を解任する能力等の権利を、その保有者が理由なく当該権利を行使する実質的能力を有して
いる場合に、議決権に類似するとみなしている。このような権利がない場合又はこのような権利の存在が十分
に確認できない場合に、当該事業体はSEとみなされる。
UBS AGが関与しているSEの種類は以下の通りである。
- 証券化ストラクチャード・エンティティ は、SEが保有する資産を裏付けとして投資家に証券を発行するため
に設立される。これにより(ⅰ)証券化のエクスポージャーに伴う重大な信用リスクが第三者に移転され、
(ⅱ)バーゼルⅢの証券化定義に準拠した証券化ビークルが発行した2つ以上のリスク・ポジション又はト
ランシェが存在することになる。証券化事業体は全てSEに分類される。
- 顧客投資ストラクチャード・エンティティ は、SEが発行した債券を(大部分が期限付きで)購入することに
より、顧客が主として特定の資産又はリスク・エクスポージャーに投資するために設立される。当該SEは、
UBS AGからの移転により又は外部市場取引を通じて資産を調達することがある。場合によっては、UBS AGは
SEとデリバティブ契約を締結し、事業体のキャッシュ・フローを投資家の意図する投資目的に一致させた
り、希望する他のリスク・エクスポージャーを導入したりすることがある。一定の場合には、特定のリスク
をヘッジするか、又は資産担保による資金調達への参加を行うために、UBS AGは第三者がスポンサーとなっ
ているSEへの関与を有することがある。
- 投資信託ストラクチャード・エンティティ は、共同の投資目的を有し、投資運用会社によりパッシブ運用
(従って、意思決定者が変動性に実質的な影響を及ぼさない。)又はアクティブ運用され、投資家又はその
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支配機関に実質的な議決権又は類似の権利がないものである。UBS AGは多数のファンドを組成し、そのスポ
ンサーになっていることから、変動管理報酬を受けること及び/又は直接投資を通じて当該ファンドへの関
与 を有する場合がある。さらにUBS AGは、発行済仕組商品をヘッジするために、第三者が組成し、スポン
サーとなっている多数のファンド(取引所取引ファンドやヘッジ・ファンドを含む。)に対する持分を有し
ている。
SEを連結しないが、UBS AGがSEに関与している場合やスポンサーとなっている場合は、当該関与やスポン
サー活動の性質に関する追加の開示を行っている。
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重要な会計上の見積り及び判断
個々の事業体について、上記の連結原則に従って連結の評価を行っている。支配の評価は複雑な場合があ
り、重要な判断を必要とする。UBS AGの関与の性質や程度は各事業体に独自のものであるため、連結結果は事
業体ごとに異なる。同一種類に属していても、連結される事業体もあれば、連結されない事業体もある。連結
の評価を実施するにあたり、投資先の性質及び活動等、関連のある全ての事実及び状況、並びに議決権及び類
似の権利の実態を考慮する。
→ 詳細については、注記31を参照。
2)セグメント報告
2018年度第1四半期の前までは、UBS AGの事業は、世界的規模で5つの事業部門、すなわちウェルス・マネ
ジメント、ウェルス・マネジメント・アメリカズ、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセット・マネ
ジメント及びインベストメント・バンクで構成され、これらの全ての事業部門がコーポレート・センターによ
るサポートを受けていた。この5つの事業部門は、セグメント報告の目的上、報告セグメントとしての要件を
満たし、また、コーポレート・センターとともにUBS AGの経営上の構造を反映していた。コーポレート・セン
ター-非中核業務及びレガシー・ポートフォリオは、コーポレート・センター内の独立した報告単位として管
理及び報告されていた。内部の経営者向け報告において、5つの事業部門及びコーポレート・センター(その
構成部門:サービス業務、グループ資産・負債管理(以下「グループALM」という。)並びに非中核業務及びレ
ガシー・ポートフォリオ)に関する財務情報は、区分表示されていた。
2018年度第1四半期より、UBS AGは、ウェルス・マネジメントとウェルス・マネジメント・アメリカズの両
事業部門を単一のグローバル・ウェルス・マネジメント事業部門に統合した。グローバル・ウェルス・マネジ
メントは統合ベースで管理され、単一の業績目標、統合された業務計画及び管理体制を有している。これに合
わせて、グローバル・ウェルス・マネジメントの業績は、内部の経営者向け報告において統合ベースで表示さ
れ、評価されている。従って、2018年度より、グローバル・ウェルス・マネジメントは、セグメント報告の目
的上、事業セグメント及び報告セグメントとしての要件を満たし、パーソナル&コーポレート・バンキング、
アセット・マネジメント、インベストメント・バンク及びコーポレート・センター(サービス、グループALM並
びに非中核業務及びレガシー・ポートフォリオの各部門を含む。)と共に当財務書類に表示されている。UBS
AGの事業セグメント及びそれに対応する報告セグメントの構成の変更に伴い、過年度に報告されたセグメント
情報は修正再表示されている。当該変更は、認識されたのれんを含め、従前のセグメントに重要な影響を及ぼ
さない。
→ 詳細については、本注記の11の項及び注記16を参照。
経営者向け報告用の会計方針及びサービス・レベルに関する合意を含むUBS AGの社内の会計方針は、各報告
セグメントに直接帰属する収益及び費用を決定する。報告セグメント間の取引は内部で合意済みの価格で実施
され、各報告セグメントの業績に反映されている。収益分配契約は、複数の報告セグメントが一連の価値の創
出に関与する場合、外部顧客収益を報告セグメント配分するために使用される。手数料は、対応する顧客関係
に基づいて報告セグメントに貸方計上される。UBS AGのセグメント間収益の合計は、当該収益の大部分が収益
分配契約により事業部門全体にわたって配分されるため、重要ではない。UBS AGの連結持分の運用から稼得し
た受取利息は、平均帰属持分及び通貨構成に基づいて報告セグメントに配分される。報告セグメントの資産及
び負債は、コーポレート・センター-グループALMを通じて資金供給され、同部門により投資されて、利息差額
純額が各報告セグメントの業績に反映される。
セグメントの資産は第三者の観点に基づいており、当該資産の額には連結会社間残高は含まれていない。こ
の観点は経営者への内部報告と一致している。コーポレート・センター-サービス業務及びコーポレート・セ
ンター-グループALMによって中央管理されている一部の資産は、対応する費用又は収益の配分とは異なる基準
で各セグメントに配分される場合がある。例えば、コーポレート・センター-サービス業務又はコーポレー
ト・センター-グループALMに計上されている一部の資産は、コーポレート・センターの該当する構成要素の貸
借対照表上に留保される可能性があるが、これらの資産に関連する費用又は収益は全体又は部分的に各事業セ
グメントに配分されている。同様に、一部の資産は各事業部門に報告されているが、対応する費用又は収益
は、全体又は部分的にコーポレート・センター-サービス業務及びコーポレート・センター-グループALMに配
分されている。
セグメント報告目的で開示されている非流動資産とは、回収されるまで報告日から12ヶ月超と見込まれる資
産を表している。ただし、金融商品、繰延税金資産及び退職後給付は含まれない。
→ 詳細については、注記1b及び2を参照。
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3)金融商品
a.認識
UBS AGは、UBS AGが金融商品に関する契約条項の当事者になった時点で当該商品を認識している。UBS AGは
金融商品の通常の売買全てに決済日基準会計を適用している。
UBS AGが譲受人となる取引において、金融資産の譲渡が譲渡人による認識中止の基準を満たさない場合、UBS
AGは譲渡された商品を自己の資産として認識しない。
UBS AGはまた、信託に基づく役割を果たしているため、個人、信託、退職給付制度及びその他の機関の代理
として資産の保有又は売却を行う。当該資産は、認識に関する基準が満たされていない場合、UBS AGの貸借対
照表に認識されないことから、関連収益は当財務書類に含まれていない。
デリバティブの清算及び執行サービスに関連する顧客現金残高は、契約上の取決め、規制又は慣行を通じ
て、UBS AGが顧客現金残高から便益を得ず、もしくは顧客現金残高を管理しない場合には貸借対照表に認識さ
れない。
b.分類、測定及び表示
全ての金融商品は当初、公正価値で測定される。その後に償却原価又はその他の包括利益を通じて公正価値
(以下「FVOCI」という。)で測定される金融商品については、当初の公正価値が、直接帰属する取引費用に応
じて調整される。
1
2018年1月1日より適用される方針
金融資産は、当初認識時に、償却原価で測定される金融資産、FVOCIで測定される金融資産又は純損益を通じ
て公正価値(以下「FVTPL」という。)で測定される金融資産として分類される。
負債性金融商品は、以下の条件を満たす場合、償却原価で測定される。
-契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有するという目的を有する事業モデルの中で
保有されていること
-金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に係る利息の支払いのみ(以下「SPPI」という。)である
キャッシュ・フローが生じること
負債性金融商品は、以下のいずれの条件も満たす場合、FVOCIで測定される。
-契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で
保有されていること
-金融資産の契約条件により、元本残高に対するSPPIに該当するキャッシュ・フローが生じること
その他全ての金融資産はFVTPLで測定される。当該金融資産は、トレーディング目的保有金融資産、公正価値
での測定を義務付けられた金融資産及びデリバティブから成る。ただし、当該金融商品がヘッジ関係に指定さ
れている場合を除く。その場合、IAS第39号のヘッジ会計の要求事項が引き続き適用される。
1
本セクションにおける会計方針は、IFRS第9号の発効日である2018年1月1日から適用される。この移行による影響に関
する詳細については、注記1cを参照。
事業モデルの評価
UBS AGは、特定の事業目的を達成するために経営者が決定した金融資産の管理方法を考慮に入れて、事業モ
デルの目的が金融資産の保有と契約上のキャッシュ・フローの回収であるかなど、事業モデルの性質を判断し
ている。
トレーディング目的で保有する金融資産又は公正価値ベースで管理する金融資産は、関連する事業モデルが
契約上のキャッシュ・フローの回収のため又は契約上のキャッシュ・フローの回収と売却のために金融資産を
保有するという目的のいずれも有していない限り、FVTPLで測定される。
UBS AGは、満期まで保有することを目的とするほか、他の当事者への売却又はサブ・パーティシペーション
を目的として貸出を実行する。これにより、リスクと経済価値のほぼ全てが移転し、当該貸出金又はその一部
の認識が中止されることになる。UBS AGは、満期保有目的の貸付活動と売却又はサブ・パーティシペーション
目的の貸付活動は2つの別個の事業モデルであると考えている。前者の金融資産は、契約上のキャッシュ・フ
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ローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルにおいて保有されるとみなされ、後者
の金融資産は、トレーディング・ポートフォリオに含まれるとみなされる。場合によっては、貸出金又は貸出
金 の一部について売却又はサブ・パーティシペーションが行われるのか、実行時に特定できないことがあり、
また一部の貸出金は、例えばクレジット・デリバティブの利用により、公正価値ベースで管理されることがあ
る。これらの金融資産は、FVTPLでの測定が義務付けられる。
重要な会計上の見積り及び判断
UBS AGは、事業モデルを評価するための適切なレベルを決定するにあたり、判断を行っている。評価は通
常、商品レベル(リテール・モーゲージや商業用モーゲージなど)で実施される。評価がより細分化されたレベ
ル(地域別の貸出金ポートフォリオなど)で行われる場合もあり、必要に応じて事業戦略に基づき細分類され
る。また、金融資産の評価方法及びUBS AGの主要経営者への報告方法、業績に影響を与えるリスク、並びに経
営者の報酬体系を踏まえ、詳細な評価が実施される。さらに、UBS AGは、金融商品の売却が事業モデルの評価
に与える影響を測定する際にも判断を行う。特に、売却が事業モデルの目的に合致しているか、及びその程度
について評価を行う。
契約上のキャッシュ・フローの特性
契約上のキャッシュ・フローがSPPIに該当するか否かを評価する際、UBS AGは、金融商品の契約条件に当該
金融商品の契約期間を通じて発生する契約上のキャッシュ・フローの時期又は金額を変更する可能性がある条
項が含まれているか否かを検討する。このような条項は、金融商品がSPPI基準を満たすか否かの判断に影響を
及ぼす可能性がある。
例えば、UBS AGはパーソナル&コーポレート・バンキング内で、一般的に期限前償還が発生した場合に当事
者いずれかへの補償を定めた条項を含むプライベート・モーゲージ契約及び法人向け貸出金のポートフォリオ
を保有している。UBS AGが支払う又は支払いを受ける補償額は、市場金利の変動による影響を反映している。
UBS AGでは、市場金利の変動を補償額に含めることが契約の期限前解約に照らして妥当であると判断してお
り、契約上のキャッシュ・フローはSPPIに該当することになる。
重要な会計上の見積り及び判断
UBS AGは、金利更改頻度やノンリコース特性など、特定の契約上の特徴が将来のキャッシュ・フローに重要
な影響を及ぼすか、また、貸付契約の期限前解約に伴う補償支払額又は補償受取額がSPPIに該当しないキャッ
シュ・フローをもたらすかどうかを検討するにあたって、判断を行っている。全ての関連性のある事実及び状
況を綿密に分析及び評価した上で、金融商品の契約上のキャッシュ・フローが元本及び利息の支払であるかど
うかの結論を下す。
当初の認識後、UBS AGは、金融資産及び金融負債を、次の表に記載の通り、IFRS第9号に従って分類、測定
及び表示する。
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2018年1月1日からの金融商品の分類、測定及び表示
金融資産の分類 含まれる重要項目 測定及び表示
償却原価で測定 負債性金融資産は、以下を満たす場合に償却原価で測 実効金利(以下「EIR」という。)法による償却
定される。 原価から予想信用損失(以下「ECL」という。)
に係る引当金(詳細については、本注記の3c及
-契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産
び3gの項を参照)を控除した価額で測定され
を保有することを目的とする事業モデルで保有され
る。
ていること、かつ
以下の項目は、損益計算書に認識される。
-契約条件により、SPPIに該当するキャッシュ・フ
ローが生じること -本注記の3cの項に従って会計処理される受取
利息
この分類に含まれる資産は以下の通りである。
-ECL及び戻入額
-現金及び中央銀行預け金
-為替差損益
-銀行貸出金及び前渡金
貸出の実行、借換及び条件緩和並びにローン・
-借入有価証券に係る担保金
コミットメント(UBS AGが特定の貸付関係を結
-リバース・レポ契約に係る債権
ぶ可能性が高い場合)に係るアップフロント・
-デリバティブに係る差入担保金
フィー及び直接費用は繰り延べられ、EIR法に
-住宅モーゲージ及び商業用モーゲージ
より貸出期間にわたって償却される。
-法人向け貸出金
償却原価で測定される金融資産の認識が中止さ
れる場合、利得又は損失は損益計算書に認識さ
-担保付貸出金(ロンバード・ローン及び無担保貸出金
れる。
を含む。)
中央清算機関を通じて清算される取引所取引デ
-ファイナンシャル・アドバイザーに対する貸出金
リバティブ(以下「ETD」という。)及び一部の
-適格流動資産(以下「HQLA」という。)として保有す
店頭(以下「OTC」という。)デリバティブで、
る負債性証券
日次で決済される、又は実質的に純額ベースで
-報酬債権及びリース債権
日次で決済される(本注記の3d及び3iの項を参
照)ものは、 デリバティブに係る差入担保金 と
して表示される。
FVOCIで FVOCIで 負債性金融資産は、以下に該当する場合にFVOCIで測定 公正価値で測定され、未実現利得及び損失は、
される。 当該投資の認識が中止されるまで(売却、回収
測定 測定される
又は処分される時点まで)、税効果後の金額で
-契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方に
負債性金融
その他の包括利益 に計上される。認識中止の時
よって事業の目的が達成される事業モデルで保有さ
商品
点で、 その他の包括利益の 累積残高は損益計算
れていること、かつ
書に振り替えられ、 その他の収益 に計上され
-契約条件により、SPPIに該当するキャッシュ・フ
る。
ローが生じること
以下の項目は、損益計算書に認識される。
この分類に含まれる主な資産は、負債性証券及びHQLA
-本注記の3cの項に従って会計処理される受取
として保有する特定の資産担保証券で、契約上の
利息
キャッシュ・フローがSPPIの基準を満たすものであ
る。 -ECL及び戻入額
-為替差損益
損益計算書への認識額は、償却原価で測定され
る金融資産の場合と同じ基準で決定される。
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FVTPLで トレーディン トレーディング目的保有金融資産には、以下が含まれ 公正価値で測定され、公正価値の変動は純損益
測定 グ目的保有 る。 に認識される。
-正の再構築コストを有する全てのデリバティブ(指定 公正価値の変動、当初の取引費用並びに売却又
された有効なヘッジ手段のデリバティブを除く。)、 は償還により実現した利得及び損失は、 金融商
及び 品の公正価値の変動に係る収益純額 に認識され
る。ただし、デリバティブ以外の金融商品に係
-主として短期的に売却又は買戻しを行う目的で取得し
る受取利息及び受取配当金(詳細については、本
たその他の金融資産、又はまとめて管理され、かつ、
注記の3cの項を参照)、ヘッジ会計におけるヘッ
最近における実際の短期的な利益獲得のパターンの証
ジ関係の特定の種類においてヘッジ手段として
拠がある、識別された金融商品のポートフォリオの一
指定されたデリバティブに係る受取利息、並び
部であるその他の金融資産。この区分に含まれる例と
に一部の短期及び長期外国為替契約に係るフォ
して、負債性金融商品(有価証券、マネー・マーケッ
ワードポイントは例外で、 受取利息純額 に計上
ト・ペーパー並びに売買された法人向け貸出金及び銀
される。
行貸出金)及び資本性金融商品が挙げられる。
デリバティブ資産(指定された有効なヘッジ手
FVTPLでの 金融資産は、以下に該当する場合、FVTPLでの測定が義
段のデリバティブを含む。)は通常、 デリバ
測定が義務付 務付けられる。
ティブ金融商品 として表示される。ただし、日
けられる
-契約上のキャッシュ・フローの回収又はキャッシュ・
次で決済されるとみなされる、又は実質的に純
資産-
フローの回収と売却のために資産を保有することを目
額ベースで日次で決済されるとみなされる取引
その他
的とする事業モデルにおいて保有されていないこと、
所で取引されるデリバティブ金融商品又はOTC清
及び/又は
算のデリバティブは例外で、 デリバティブに係
る差入担保金 に表示される。
-契約条件により、SPPIに該当しないキャッシュ・フ
ローが生じること、及び/又は
指定された有効なヘッジ手段のデリバティブに
係る公正価値の変動の表示方法は、ヘッジ関係
-トレーディング目的保有でないこと
の種類によって異なる(詳細については、本注記
以下の資産は、FVTPLでの測定が義務付けられる。
の3jの項を参照)。
-一部の仕組ローン、一部の商業用貸出金、リバース・
トレーディング目的保有金融資産(デリバティブ
レポ契約に基づく債権及び有価証券借入契約に係る担
以外)は、 公正価値で測定されるトレーディング
保金で、公正価値ベースで管理するもの
目的保有金融資産 として表示される。
-貸出金のうち、公正価値ベースで管理するもので、ク
純損益を通じて公正価値での測定を義務付けら
レジット・デリバティブでヘッジされているもの
れるその他の金融資産は、 公正価値で測定され
-HQLAとして保有する一部の負債性証券で、公正価値
るトレーディング目的保有でない金融資産 とし
ベースで管理するもの
て表示されるが、 ブローカレッジ債権 は例外
-一部の保有投資信託及び現金決済型従業員報酬制度の
で、UBS AGの貸借対照表上、独立した項目とし
履行義務をヘッジするために保有する資産。当該資産
て表示される。
は投資信託に対する持分であることから、入口価格と
出口価格が当該信託の資産の公正価値に基づいている
ため、契約上のキャッシュ・フローはSPPIの基準を満
たさない。
-ブローカレッジ債権(残高全体が単一の計算単位とし
て会計処理されるが、利息は個別の構成要素に対して
計算されるため、契約上のキャッシュ・フローはSPPI
の基準を満たさない。)
-オークション・レート証券(金利がレバレッジを含む
利率に更改される可能性があるため、契約上のキャッ
シュ・フローはSPPIの基準を満たさない。)
-資本性金融商品、及び
-ユニットリンク型投資契約に基づき保有する資産
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金融負債の分類 含まれる重要項目 測定及び表示
償却原価で測定 この分類に含まれる負債は、以下の通りである。 EIR法による償却原価で測定される。
-要求払預金及び定期預金 債務の発行及び組成に関するアップフロント・
フィー及び直接費用は繰り延べられ、EIR法に
-リテール貯蓄/預金
より債務の契約期間にわたって償却される。
-リバース・レポ契約に基づく債務
償却原価で測定される金融負債の認識が中止さ
-貸付有価証券に係る担保金
れた場合、利得及び損失は損益計算書に認識さ
-仕組債以外の固定利付債券
れる。
-劣後債
償却原価が適用される負債は貸借対照表上、主
-譲渡性預金、カバード・ボンド に 銀行預り金 、 顧客預金 、 有価証券ファイナン
ス取引による債務 、 償却原価で測定される社債
-UBSグループAG及びその子会社からの資金調達に係
並びに UBSグループAG及びその子会社からの資
る債務、並びに
金調達 として表示される。
-デリバティブに係る受入担保金
中央清算機関を通じて清算されるETD及び一部
のOTCデリバティブで、日次で決済される、又
は実質的に純額ベースで日次で決済されるとみ
なされるもの(詳細については、本注記の3dと
3iの項を参照)から生じる金額は、 デリバティ
ブに係る受入担保金 として表示される。
純損益を トレーディン トレーディング目的保有金融負債には、以下が含まれ FVTPLで測定に分類される金融負債の測定に
通じて公正 グ目的保有 る。 は、FVTPLに測定に分類される金融資産の場合
価値で測定 と同じ原則が適用される。ただし、金融負債の
-負の再構築コストを有する全てのデリバティブ(一
公正価値の変動額のうち、UBS AGの自己の信用
部のローン・コミットメントを含む。)(指定された
の変動に帰属する部分は、OCIに表示される。
有効なヘッジ手段のデリバティブを除く。)、及び
FVTPLで測定される金融負債は、 公正価値で測
-UBS AGが第三者に売却したが、保有していない負債
定されるトレーディング目的保有金融負債 及び
性金融商品及び資本性金融商品等の金融商品を引渡
公正価値での測定を指定されたその他の金融負
す義務(ショート・ポジション)
債 としてそれぞれ表示されるが、 ブローカレッ
ジ債務 及び 社債 は例外で、UBS AGの貸借対照表
FVTPLでの UBS AGでは、以下の金融負債を「FVTPLでの測定を指
上、区分表示される。
測定を指定
定」としている。
デリバティブ負債(指定された有効なヘッジ手
-主として株価連動型債券、クレジット・リンク債、
段のデリバティブを含む。)は通常、 デリバ
金利連動型債券を含む発行済混合負債性金融商品
ティブ金融商品 として表示される。ただし、日
-公正価値に基づき管理する発行済負債性金融商品
次で決済されるとみなされる、又は実質的に純
-レポ契約に基づく一部の債務及び有価証券貸付契約
額ベースで日次で決済されるとみなされる取引
に係る担保金で、関連するリバース・レポ契約及び
所で取引されているデリバティブ金融商品及び
借入有価証券に係る担保金と一緒に管理するもの
OTC決済デリバティブは例外で、 デリバティブ
(2018年1月1日以降)
に係る受入担保金 に表示される。
-キャッシュ・フローがFVTPLで測定される金融資産
区分処理された組込デリバティブは公正価値で
に連動し、会計上のミスマッチを排除するユニット
測定されるが、償却原価で測定される主契約と
リンク型投資契約に係る未払額(2018年1月1日以
貸借対照表上同じ項目に表示される。
降)
指定された有効なヘッジ手段であるデリバティ
-ブローカレッジ債権に関連して発生し、測定方法に
ブも公正価値で測定される。公正価値の変動の
一貫性を持たせるためにFVTPLで測定されるブロー
表示方法はヘッジ関係の種類によって異なる
カレッジ債務(2018年1月1日以降)
(詳細については、本注記の3jの項を参照)。
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EDINET提出書類
ユービーエス・エイ・ジー(E05852)
有価証券報告書
比較対象期間の方針