株式会社リニカル 有価証券報告書 第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
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株式会社リニカル(E21706)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 近畿財務局長
【提出日】 2019年6月26日
第14期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
【事業年度】
【会社名】 株式会社リニカル
Linical Co., Ltd.
【英訳名】
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 秦野 和浩
【本店の所在の場所】 大阪市淀川区宮原一丁目6番1号
(06)6150-2582
【電話番号】
【事務連絡者氏名】 専務取締役管理本部長 髙橋 明宏
【最寄りの連絡場所】 大阪市淀川区宮原一丁目6番1号
(06)6150-2582
【電話番号】
【事務連絡者氏名】 専務取締役管理本部長 髙橋 明宏
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第10期 第11期 第12期 第13期 第14期
決算年月 2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
(千円) 4,872,041 7,666,824 8,355,754 9,113,157 11,313,468
売上高
(千円) 840,735 1,985,908 2,076,596 1,826,476 1,253,326
経常利益
親会社株主に帰属する当
(千円) 437,139 1,330,970 1,447,513 1,295,994 568,455
期純利益
(千円) 368,141 1,278,458 1,368,157 1,388,566 551,082
包括利益
(千円) 2,060,512 3,016,699 4,096,179 5,204,674 5,250,832
純資産額
(千円) 5,642,371 7,122,177 8,300,159 9,247,440 13,259,233
総資産額
(円) 90.41 132.37 179.97 229.02 232.48
1株当たり純資産額
(円) 19.18 58.40 63.59 57.02 25.09
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後1株当た
(円) - - - - -
り当期純利益
(%) 36.5 42.4 49.4 56.3 39.6
自己資本比率
(%) 22.3 52.4 40.7 27.9 10.9
自己資本利益率
(倍) 25.81 34.45 23.10 35.02 54.25
株価収益率
営業活動によるキャッ
(千円) 690,010 1,817,153 2,291,683 1,360,117 △ 796,810
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(千円) △ 1,364,765 47,619 △ 374,890 △ 91,767 △ 2,617,503
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(千円) 822,299 △ 694,071 △ 456,750 △ 471,753 3,282,153
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期
(千円) 1,756,030 2,910,773 4,354,914 5,173,058 5,055,547
末残高
450 529 599 672 823
従業員数
(人)
〔外、臨時雇用人員数〕 〔 12 〕 〔 15 〕 〔 11 〕 〔 13 〕 〔 46 〕
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は、2016年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、1株当たり純
資産額、1株当たり当期純利益は、当該株式分割が第10期の期首に行われたと仮定して算定しております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第10期 第11期 第12期 第13期 第14期
決算年月 2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
(千円) 4,446,186 6,115,072 6,786,165 7,099,836 7,686,609
売上高
(千円) 944,389 1,956,102 1,943,161 1,718,064 1,708,860
経常利益
(千円) 552,298 1,347,209 1,298,667 1,132,932 1,135,501
当期純利益
資本金 (千円) 214,043 214,043 214,043 214,043 214,043
(株) 12,370,000 24,740,000 24,740,000 24,740,000 24,740,000
発行済株式総数
(千円) 2,304,577 3,492,176 4,503,194 5,351,760 5,984,963
純資産額
(千円) 5,193,535 6,730,522 7,831,612 8,531,018 12,469,135
総資産額
(円) 101.12 153.23 197.86 235.50 264.98
1株当たり純資産額
14.00 10.00 10.00 11.00 12.00
1株当たり配当額
(円)
(うち1株当たり中間配
( - ) ( - ) ( - ) ( - ) ( - )
当額)
1株当たり当期純利益 (円) 24.23 59.11 57.05 49.84 50.12
潜在株式調整後1株当た
(円) - - - - -
り当期純利益
(%) 44.4 51.9 57.5 62.7 48.0
自己資本比率
(%) 26.2 46.5 32.5 23.0 20.0
自己資本利益率
(倍) 20.43 34.04 25.75 40.07 27.16
株価収益率
(%) 28.9 16.9 17.5 22.1 23.9
配当性向
316 367 419 457 472
従業員数
(人)
〔外、臨時雇用人員数〕 〔 8 〕 〔 9 〕 〔 5 〕 〔 9 〕 〔 5 〕
(%) 110.8 224.7 165.9 225.4 156.5
株主総利回り
(比較指標:TOPIX) (%) ( 130.7 ) ( 116.5 ) ( 133.7 ) ( 154.9 ) ( 147.1 )
(円) 1,053 4,445 2,415 2,136 2,584
最高株価
※2,084
(円) 776 973 1,172 1,232 1,178
最低株価
※1,222
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は、2016年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っております。これに伴
い、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益は、当該株式分割が第10期の期首に行われたと仮定して算
定しております。また、1株当たり配当額は、第10期については当該株式分割前、第11期、第12期、第13期
及び第14期については当該株式分割後の金額を記載しております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.第11期の1株当たり配当額には、創業10周年に伴う記念配当1円00銭を含んでおります。
5.最高株価及び最低株価は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。
6.2015年11月30日開催の取締役会決議に基づき、2016年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株
式分割を行っております。※印は、株式分割による権利落後の最高・最低株価を示しております。
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2【沿革】
年月 事項
2005年6月 医薬品の開発における臨床試験(治験)(注1)の受託を行う医薬品開発業務受託(CRO)
(注2)事業を目的として、資本金3,100万円で大阪市淀川区に株式会社リニカルを設立
2006年1月 SMO(注3)事業に進出するため、SMO事業を営むアウローラ株式会社を子会社化
2006年6月 東京都中央区茅場町に東京オフィスを開設
2007年5月 CRO事業に注力するため、連結子会社アウローラ株式会社の全保有株式を他のSMO事業者に
売却
2008年7月 国内の製薬会社の米国進出を支援することを目的として、米国カリフォルニア州に全額出資子会
社であるLINICAL USA,INC.を設立
2008年10月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2013年3月 東京証券取引所市場第一部に市場変更
2013年5月 台湾及び韓国に全額出資子会社であるLINICAL TAIWAN CO., LTD.及びLINICAL KOREA CO., LTD.
を設立
2014年1月
LINICAL KOREA CO., LTD.が韓国にてCRO事業を営むP-pro. Korea Co., Ltd.を子会社化
2014年4月
LINICAL KOREA CO., LTD.がP-pro. Korea Co., Ltd.を吸収合併
2014年11月
Nuvisan CDD Holding GmbHを買収
2014年12月
Nuvisan CDD Holding GmbHがLINICAL Europe Holding GmbHに社名変更
2015年11月
LINICAL TAIWAN CO., LTD.が、シンガポールにLinical Singapore Pte. Ltd.を設立
2015年12月
LINICAL USA, INC.が 業務拡大を目的として、ニュージャージー事務所を開設、本社移転
2016年3月
LINICAL Europe Holding GmbH がイギリスにLINICAL U.K. LIMITEDを設立
2016年10月
LINICAL Europe Holding GmbH がポーランドにLINICAL POLAND sp. z o.o.を設立
2016年12月
LINICAL USA, INC.が 業務拡大を目的として、ニューヨーク州へ本社移転
2017年9月
LINICAL Europe Holding GmbH がチェコにLINICAL Czech Republic s.r.o.を設立
2018年4月
LINICAL USA,INC.がAccelovance,Inc.を子会社化
2018年4月
Accelovance,Inc.が Linical Accelovance America,Inc. に社名変更
2019年3月
LINICAL Europe Holding GmbH がハンガリーにLinical Hungary Kft.を設立
2019年5月
中国(上海)に全額出資子会社であるLinical China Co., Ltd.を設立
(注1)臨床試験とは、ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験のことをい
い、治験とは、臨床試験のうち、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
(以下、「薬機法」という。)の規定により、医薬品の製造(輸入)承認を申請することを目的として行う
臨床試験のことをいいます。
(注2)CRO(Contract Research Organization)とは、開発業務受託機関と訳されます。製薬会社が行う医薬品
開発について、医薬品開発段階での治験、医薬品の製造販売後臨床試験などに関わる業務の一部を代行、支
援する企業のことをいいます。
(注3)SMO(Site Management Organization)とは、治験施設支援機関と訳されます。製薬会社が行う医薬品開
発の治験について、医療機関の立場で、治験に関わる医師、看護師、事務局の業務を支援する企業のことを
いいます。
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3【事業の内容】
(1)当社グループの事業の内容について
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社リニカル)及び連結子会社であるLINICAL
USA,INC.、LINICAL TAIWAN CO., LTD.、Linical Singapore Pte. Ltd.、LINICAL KOREA CO., LTD.、LINICAL
Europe Holding GmbH、LINICAL Europe GmbH、LINICAL Spain, S.L.、LINICAL France SARL、LINICAL Benelux
B.V.、LINICAL Croatia d.o.o. 、 LINICAL U.K. LIMITED、LINICAL POLAND sp. z o.o.、LINICAL Czech Republic
s.r.o.、Linical Hungary Kft.、Linical Accelovance America, Inc.、Linical Accelovance Europe B.V.、
Linical Accelovance Europe Limited、Linical Accelovance Europe Holding、Linical Accelovance Romania
S.R.L.及びLinical Accelovance China Ltd.等で構成され、製薬会社の医薬品開発における治験の一部を受託する
医薬品開発業務受託事業(CRO事業)を主たる業務としており、その他に、医薬品販売支援事業(育薬事業)を
展開しております。
なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメン
トの区分と同一であります。
① CRO事業
近年、製薬会社は、先発医薬品(新薬)の特許切れや薬価下落の問題を背景として、多額の研究開発費を投じ
て、新薬開発に挑んでおります。このような中、製薬会社は主要市場国での早期・同時上市を目指しており、C
ROに対するアウトソーシングのニーズが高まっております。
既存のCROは、製薬会社が有する様々なニーズに応えるため、業務内容を多角化すると共に業務形態も多角
化させ、治験業務全般の受託や臨床開発モニター(CRA)(注1)の派遣等、あるいはそれらの混合型などの
ビジネスモデルを展開しております。
しかしながら、当社グループは同業他社との差別化を図り、製薬会社から高い評価を獲得するためには、業務
内容や業務形態を多角化するよりも、選択と集中を推し進めることが重要であると考えております。実際にCR
O先進国といわれる欧米では特定領域の治験に注力することにより製薬会社から高い評価を得ているCROが存
在しております。
このような考えの下、当社グループは主に、医薬品開発の中でも難易度・重要度の高いフェーズⅡ及びフェー
ズⅢにおけるモニタリング業務を中心に、それに付随する品質管理業務 、 データマネジメント、統計解析、メ
ディカルライティング、ファーマコビジランスなどの業務の他、治験の企画や薬事対応、承認申請などに関する
コンサルティング業務に注力し、受託特化型の業務形態を取っております。
② 育薬事業
当社グループは、CRO事業で得たノウハウを活かすことができる事業として、 企業・医師主導臨床研究の組
織体制構築業務、製造販売後の企画業務・モニタリング業務・監査業務 を展開しております。
(注1)CRA(Clinical Research Associate)とは、臨床開発モニターと訳されます。医薬品開発段階での
治験が、薬機法、その他の関連法令及び治験実施計画書を遵守して行われているかどうかを監視(モニ
タリング)する担当者のことをいいます。
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当社グループの事業系統図は次のとおりであります。
[事業系統図]
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(2)製薬会社における医薬品の研究開発の概要
製薬会社の医薬品開発には、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に他の製薬会社が同じ成分で発売する安価な
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の発売が可能になることや、医薬品の価格改定による薬価下落の問題があり、
さらに、新薬として製品化するまでの成功確率が低いという特徴があるため、製薬会社は多額の研究開発費を投じ
て、次々に新薬の開発に挑んでおります。
なお、製薬会社における医薬品の研究開発の概要は以下のとおりであります。
医薬品の研究開発は上記に示したとおり、研究(①~②)と開発(③~④)との2つの段階に大別されます。研
究段階では主に新規の化合物等を探すことから始まり、基礎研究(①)にて新規物質の創製・医薬品候補物質の選
別を行い、非臨床試験(動物実験)(②)にて実験動物を用いてその化合物等の生体への作用及び安全性の検討を
行います。開発段階では、研究によって証明された化合物等がどの疾患に適応するか、どのような用量であれば安
全かつ有効に使用できるか、どのように既存治療薬との差異化を行うかを企画し、治験を通じて検証します
(③)。そうして研究・開発のすべての段階を経て規制当局によって承認されると新薬の販売が開始されることに
なります(④)。
なお、販売が開始された新薬について、治験で判明しなかった副作用・有効性を広範囲に追跡調査するため、製
薬会社は製造販売後調査(⑤)を行っております。
以上が製薬会社における医薬品の研究開発の概略ですが、特に治験については、規制当局の定めたガイドライン
に沿って治験実施計画書(注2)に様々な基準を設定し、これに従って実施する必要があります。このため、医薬
品の研究開発期間の長期化や、研究開発費の増大の主な原因となっています。
(注2)治験実施計画書とは、プロトコルともいい、治験を実施するにあたって、治験を実施する医療機関、治
験を依頼する製薬会社その他、その治験にかかわる関係者が遵守しなければならない事項を網羅的に記
載した計画書を指し、治験依頼者(製薬会社)により作成されます。
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(3)製薬会社及びCROにおける治験の概要
治験とは、製薬会社が新薬候補物質についてヒトに対する有効性及び安全性を確認し、厚生労働省から医薬品と
しての認可を受けることを目的として実施する臨床試験であり、医療機関において健常成人や患者を被験者として
実施されます。
なお、製薬会社及びCROにおける治験の概要は以下の通りであります。
治験は医薬品開発のために不可欠なものであり、治験依頼者(製薬会社)は、フェーズⅠ~Ⅲまでのすべてのス
テージで、医療機関において法令に則り倫理的・科学的に治験が行われているかどうかを確認(モニタリング)す
ることが法令で義務付けられております。このことから、製薬会社は治験を成功させる(その薬物の用法・用量を
決定し、人体での有効性・安全性について既存治療薬との差異化を実証する)ため、膨大な費用、時間、労力を費
やすこととなります。
なお、フェーズⅡに関しては、通常、治験の目的と対象となる患者数の規模により、前期(Ⅱa)及び後期(Ⅱ
b)に段階を区分して実施されており、このフェーズⅡのうち患者にとって最適な用法・用量を決定する後期
フェーズⅡ試験(Ⅱb)及び既存薬との有効性を比較するフェーズⅢ試験が、目標患者数、実施医療機関数も多
く、期間・費用・労力のかかる難易度の高い治験となっています。
また、治験の業務内容は、主要業務であるモニタリング業務及びそれに付随する品質管理業務、コンサルティン
グ業務のほか、治験薬が投与された症例の有効性・安全性データが記載された症例報告書(注3)を入力しデータ
ベース化するデータマネジメント業務、治験実施計画書・届出書類・治験によって得られたデータをまとめた申請
書類など監督官庁に提出する各種文書の作成を行うメディカルライティング業務、及び治験の実施状況を調査して
治験データの信頼性の保証を目的とする監査業務等から構成され、多岐に亘っております。
(注3)症例報告書とは、治験実施計画書に規定されているすべての情報を記録するために、被験者ごとに作成
される報告書(電子記録のものも含む)をいいます。
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(4)当社グループにおけるモニタリング業務、品質管理業務及びコンサルティング業務の概要
モニタリング業務とは、治験の主要業務であり、製薬会社またはCROのモニタリング担当者であるCRAが、
医療機関の治験実施可能性の調査、医療機関への治験の依頼、法令に基づく治験実施に関する契約(製薬会社、医
療機関及びCROとの3者契約)の締結手続き、治験責任医師等に対する治験薬概要書(注4)及び治験実施計画
書の説明、医療機関への治験薬の搬入、治験実施時の薬機法・GCP(注5)等の法令及び治験実施計画書の遵守
状況の確認、治験の進捗管理、治験データの確認及び症例報告書の回収、治験薬の回収などを行う業務をいいま
す。
品質管理業務とは、CRAが作成したモニタリング報告書や入手した手続書類、症例報告書の記載形式や記載内
容について、品質管理担当者が関連法規、治験実施計画書及び治験標準業務手順書(注6)等に則った適切性の
チェックを行う業務をいいます。
コンサルティング業務とは、製薬会社に対して医薬品開発に係る各種コンサルティングを行う業務をいい、具体
的には、治験実施計画書の内容及び治験実施方法等に関する提案や、新薬候補物質に関する治験の実施可能性及び
治験実施計画等についての調査・報告を行う業務をいいます。
当社グループにおけるモニタリング業務、品質管理業務及びコンサルティング業務の概要については以下の通り
であります。
(注4)治験薬概要書とは、治験実施期間中の被験者の管理に必要な知識を提供するために作成される書類で、
その内容は治験薬に関する非臨床試験及び治験の結果を編集したものとなっております。
(注5)GCP(Good Clinical Practice)とは直訳では「適正な治験の実施」を指す包括概念ですが、本邦に
おいては、これを定めた厚生労働省令である「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」及び「医
療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(1997年3月27日付)並びにこれらの運用通知をいいま
す。
(注6)治験標準業務手順書とは、治験が、倫理的な配慮のもとに科学的に適正に実施され、かつ臨床試験結果
の信頼性が確保されるように、医薬品開発の基本的な業務手順を体系的にまとめた手順書のことをい
い、GCPに基づいて作成されます。
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(5)当社グループの事業の特徴
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社リニカル)及び連結子会社であるLINICAL
USA,INC.、LINICAL TAIWAN CO., LTD.、Linical Singapore Pte. Ltd.、LINICAL KOREA CO., LTD.、LINICAL
Europe Holding GmbH、LINICAL Europe GmbH、LINICAL Spain, S.L.、LINICAL France SARL、LINICAL Benelux
B.V.、LINICAL Croatia d.o.o. 、 LINICAL U.K. LIMITED、LINICAL POLAND sp. z o.o.、LINICAL Czech
Republic s.r.o.、Linical Hungary Kft.、Linical Accelovance America, Inc.、Linical Accelovance Europe
B.V.、Linical Accelovance Europe Limited、Linical Accelovance Europe Holding、Linical Accelovance
Romania S.R.L.及びLinical Accelovance China Ltd.等で構成され、製薬会社の医薬品開発における治験の一部
を受託する医薬品開発業務受託事業(CRO事業)を主たる業務としており、その他に、医薬品販売支援事業
(育薬事業)を展開しております。
① CRO事業
1997年3月の法改正(新GCP)においてCROの定義が明文化されて以来、その社会的認知度も徐々に向上
し、人材の確保・育成がなされ、CRO業界は医薬品の基礎研究から非臨床試験、治験、製造販売後臨床試験な
ど医薬品開発のすべての段階において製薬会社から受託を得られるまでに成長してきました。
しかしながら、特に大手製薬会社は、迅速に治験を進めることにより新薬を早期に開発するために、単なるア
ウトソーシング先としてのCROではなく、自社開発部門とほぼ同等の能力を有し、同等の立場で医薬品開発を
実行・支援できるCROを求めていると、当社グループでは想定しております。
そのような中、当社グループは人材面において、国内大手製薬会社で医薬品開発経験を有するメンバーが中心
となって創業し、医薬品開発の経験者の中途採用を積極的に実施したことを背景として、現在では大手製薬会社
との継続的な取引関係を構築しております。
また、当社グループは前述のとおり、製薬会社の医薬品開発のパートナーとしてのCROを実現するために
は、業務内容や業務形態の選択と集中を推し進めることが重要であるという考えに基づき事業展開を行っている
ため、当社グループのCRO事業は以下のような特徴を有しております。
イ.特定業務及び特定治験段階への注力
治験の業務は、前述のとおり多岐に亘り、また、治験段階も製造販売後調査を含めるとフェーズⅠ~Ⅳに及
びます。これらすべてを網羅的に受託することは当社グループの持つ医薬品開発の知識・技術・経験等の経営
資源を分散させることになり、顧客である製薬会社のニーズに対して十分に応えることができなくなると考え
ております。
従いまして、当社グループでは、医薬品開発ノウハウの分散を防ぎ、当社グループの持つ知識・技術・経験
を有効活用し、顧客のニーズに応えるため、治験の主要業務であるモニタリング業務並びにそれに付随する品
質管理業務及びコンサルティング業務を中心とする受託特化型の業務形態を取っております。
また、治験段階においては、治験の主たる段階であり、特に利益率の高いフェーズⅡ、フェーズⅢを中心と
して事業を展開しております。
ロ.特定の顧客への特化
大手製薬会社は常に医薬品の開発・承認申請業務に着手しており、最新の医薬品開発情報を豊富に所有して
いるという特徴を有しております。当社グループはこれらの情報をタイムリーに入手し、更なる知識・技術・
経験を積み上げていくため、大手製薬会社を中心として取引を行っております。
また、製薬会社は、それぞれにその医薬品開発手法及び治験標準業務手順書が独自のものであるという特徴
を有しているため、当社グループが多数の製薬会社と取引を行った場合に、それぞれの開発手法及び治験標準
業務手順書に対応する必要が生じます。取引先を限られた大手製薬会社各社に特化することは、手法・手順が
多数存在することにより発生するエラーやミスを回避し、治験の品質を高め、競争力を向上させる効果が期待
できるものと考えております。
ハ.治験領域の拡大
製薬各社がアンメット・メディカル・ニーズに対応するために開発パイプラインを増加させている以下の領
域については専門部署を設置し、業務受託を行っております。
(イ)がん領域
がん領域プロジェクトは一般的に重篤な症例が対象となるため、安全性情報報告を中心に慎重かつ迅速な
対応が必要になります。よって、がん領域での経験が豊富なマネージャーとCRAを配置し、ノウハウを集
約して継続的な受託を実現しております。
(ロ)中枢神経系(CNS)領域
CNS領域プロジェクトは有効性評価の標準化が難しいため、この領域での経験と高いスキルが求められ
ます。よって、この領域での経験が豊富なマネージャーとCRAを配置し、ノウハウを集約することで、こ
れまでの受託実績に加え、今後開発パイプラインの増加が予想される領域・疾患の受託にも成功しておりま
す。
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ニ.コンサルティング業務(創薬支援)
国内大手製薬会社でライセンス、事業開発、臨床開発、開発薬事、マーケティングといった業務に携わり、開
発品の目利きから、導入・導出交渉、臨床開発などで数々の実績と豊富な経験をしているものが中心となり、主
に、開発品の市場分析、開発戦略立案、薬事対応、パートナリング支援等のコンサルティングサービスを提供し
ております。これにより、新薬開発における創薬支援から、臨床開発、製造販売後の臨床試験や臨床研究という
承認後のライフサイクルマネジメントまでワンストップのサービスを提供することが可能です。
② 育薬事業
CRO事業が医薬品の開発業務を受託するのに対して、育薬事業では医薬品の販売支援業務を受託しておりま
す。当事業においても、CRO事業同様、自社営業部門と同等の能力を有し、医薬品の販売を支援できるパート
ナーを求めていると、当社グループでは想定しております。
当社グループの育薬事業は、CRO事業で得たノウハウを活かし、より専門性の求められ る企業・医師主導臨
床研究の組織体制構築業務、製造販売後の企画業務・モニタリング業務・監査業務を受託することで、同業他社
との差別化を図っております。
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4【関係会社の状況】
議決権の所有割合
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 又は被所有割合 関係内容
(%)
(連結子会社)
米国 ・業務の委託
LINICAL USA, 300千USドル CRO事業 100.0
ニューヨーク 州 ・役員の兼任
INC. (注)2
(連結子会社)
LINICAL TAIWAN
・業務の委託
台湾台北市 13百万台湾 ドル CRO事業 100.0
CO., LTD. ・役員の兼任
(注)2
(連結子会社)
Linical
216千シンガポール 100.0
シンガポール CRO事業
Singapore
ドル (100.0)
Pte. Ltd.
(連結子会社)
LINICAL KOREA
・業務の委託
韓国ソウル特別市 1,000百万ウォン CRO事業 100.0
CO., LTD. ・役員の兼任
(注)2
(連結子会社)
ドイツ
LINICAL Europe
25千ユーロ 持株会社 100.0 ・役員の兼任
ヘッセン州
Holding GmbH
(連結子会社)
ドイツ 100.0 ・業務の委託
LINICAL Europe
25千ユーロ CRO事業
ヘッセン州 (100.0) ・役員の兼任
GmbH
(連結子会社)
スペイン 100.0 ・業務の委託
LINICAL Spain,
3千ユーロ CRO事業
マドリード州 (100.0) ・役員の兼任
S.L.
(連結子会社)
フランス 100.0
LINICAL France
1,002千ユーロ CRO事業 ・役員の兼任
パリ市 (100.0)
SARL(注)2
(連結子会社)
オランダ 100.0
LINICAL Benelux
18千ユーロ CRO事業 ・役員の兼任
ヘルダーラント 州 (100.0)
B.V.
(連結子会社)
クロアチア 100.0
LINICAL Croatia
20千クーナ CRO事業 ・役員の兼任
ザグレブ市 (100.0)
d.o.o.
(連結子会社)
イギリス 100.0
LINICAL U.K.
1ポンド CRO事業 ・役員の兼任
ロンドン市 (100.0)
LIMITED
(連結子会社)
ポーランド 100.0
LINICAL POLAND
5千ズウォティ CRO事業 ・役員の兼任
ワルシャワ市 (100.0)
sp. z o.o.
(連結子会社)
チェコ 100.0
LINICAL Czech
200千コルナ CRO事業 ・役員の兼任
プラハ市 (100.0)
Republic s.r.o.
(連結子会社)
ハンガリー 3,000千ハンガリー 100.0
Linical Hungary
CRO事業 ・役員の兼任
ブダペスト フォリント (100.0)
Kft.
(連結子会社)
Linical
100.0
米国
108千USドル CRO事業 ・役員の兼任
Accelovance (100.0)
メリーランド州
America,Inc.
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議決権の所有割合
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 又は被所有割合 関係内容
(%)
(連結子会社)
Linical
100.0
オランダ
18千ユーロ CRO事業 ・役員の兼任
Accelovance (100.0)
北ブラバント州
Europe B.V.
(連結子会社)
Linical
100.0
イギリス
1ポンド CRO事業 ・役員の兼任
Accelovance (100.0)
サフォーク州
Europe Limited
(連結子会社)
Linical
100.0
ルーマニア 16千
CRO事業 ・役員の兼任
Accelovance (100.0)
ティミシュ県 ルーマニアレイ
Romania S.R.L.
(連結子会社)
立力科阿克