株式會社ポスコ 有価証券報告書 第51期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
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株式會社ポスコ(E05807)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和元年6月27日
【事業年度】 第51期(自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日)
【会社名】 株式會社ポスコ(POSCO)
【代表者の役職氏名】 崔 正友(Choi, Jeong-Woo)
最高経営責任者兼代表理事(CEO and Representative Director)
【本店の所在の場所】 大韓民国慶尚北道浦項市南区東海岸路6261
(6261 Donghaean-ro (Goedong-dong), Pohang-si, Nam-gu,
Gyungsangbuk-do, Republic of Korea)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 松添 聖史
東京都港区六本木一丁目9番10号
アークヒルズ仙石山森タワー
【代理人の住所又は所在地】
ベーカー&マッケンジー法律事務所
(外国法共同事業)
【電話番号】 (03)6271-9900
【事務連絡者氏名】 弁護士 松添 聖史/弁護士 谷田部 耕介/弁護士 渡邊 大貴
東京都港区六本木一丁目9番10号
アークヒルズ仙石山森タワー
【連絡場所】
ベーカー&マッケンジー法律事務所
(外国法共同事業)
【電話番号】 (03)6271-9900
【縦覧に供する場所】 該当なし
(注)1.別段の記載がある場合を除き、本書において下記の用語は下記の意味を有する。
「当社」又は「POSCO」……………………………株式會社ポスコ(文脈によりその連結子会社を含む。)
「韓国」……………………………………大韓民国
「政府」……………………………………韓国政府
2.別段の記載がある場合を除き、本書に記載の「ウォン」又は「W」は韓国の通貨を指す。本書において記載されて
いる日本円への換算は、別段の記載がある場合を除き、100W=9.33円(2019年5月10日現在の株式会社三菱UFJ銀
行の対顧客電信売買相場の仲値)の換算率により換算されている。
3.当社の会計年度は、暦年である。
4.本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
5.本書には、当社及び当業界に関する現時点における予想、仮定、見積もり、予測に基づいた将来予想に関する記述
が含まれている。将来見通しに関する記述は、様々なリスク及び不確実性に左右される。これらの将来予想に関す
る記述は、「期待する」、「信じる」、「継続する」、「予想する」、「見積もる」、「意図する」、「予測す
る」、「目指す」、「計画する」、「しそうである」、「目標とする」、「予期する」、「予見する」、「可能性
がある」等の類似表現並びに「する予定である」、「するつもりである」、「すべきである」、「かもしれな
い」、「できる」、「しうる」等の未来形又は条件付きの動詞及び類似する表現を用いた記述等、通常、将来予想
に関する記述を区別することを意図した類似表現を含むがこれらに限定されない。これらの記述は、当社の事業戦
略についての検討や、当社の市場位置、将来の事業、利鞘、利益率、流動性及び資本資源に関する予想を含んでい
る。将来見通しに関する記述に依拠することにはリスク及び不確実性が伴うものであり、当社は将来見通しに関す
る記述が基づいている仮定は合理的であると信じているが、いずれの仮定も不正確となる可能性があり、その結果
かかる仮定に基づいた将来見通しに関する記述が不正確となる可能性がある。この点に関する不確実性は、「第一
部-第3-2 事業等のリスク」に述べられたリスク要因に特定されているが、これに限定されない。これらの不
確実性及びその他不確実性の観点から、将来見通しに関する記述のいずれかに言及された計画及び目標又は財務業
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績予測を当社が必ずしも達成すると結論付けるべきではない。当社は、将来の事象又は状況を反映して、これらの
将来見通しに関する記述の更新結果を公表する義務を負うものではない。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当社の組織に適用される基本的な法的枠組は、韓国「商法」(以下「商法」という。)の第3編「会社」の第4章
「株式会社」である。さらに、当社のような韓国取引所に上場されている株式会社に対し、商法及び韓国「金融投資
サービス及び資本市場法」(以下「FSCMA」という。)などに基づき適用される一定の特別規定がある。以下は、商法
及びFSCMAの主要な規定の概略である。
設立
株式会社の設立については、次のような基本的な要件がある。(ⅰ)1人以上の発起人が必要である。発起人の資
格については要件がないので、自然人だけでなく法人も発起人になることができる。発起人は、1株以上の株式を引
受けて会社に出資しなければならない。(ⅱ)発起人は、定款を作成して全員が記名捺印あるいは署名しなければな
らない。定款は、公証人の認証を受けることによって効力を生じる。但し、資本金の総額が1,000,000,000ウォン未満
の会社の発起人による設立の場合、定款は、各発起人が記名捺印又は署名することによって効力を生じる。(ⅲ)定
款を作成した後、出資者を確定してからその払込みを受ける。資本を形成する方法としては、発起設立と募集設立の
2つの方法が認定されるが、前者は、発起人だけが発行株式を全額引受ける方法であり、後者は、発起人と発起人で
ない者が一緒に株式を引受ける方法である。(ⅳ)会社は、設立登記によって成立する。会社設立の無効は、会社設
立日から2年以内に限りこれを主張することができる。
商法が定款の有効要件として定めた事項について、これを欠如したりその内容が違法である時は定款が無効とな
る。それを欠くと会社設立の無効事由となる定款の絶対的記載事項は、(ⅰ)目的、(ⅱ)商号、(ⅲ)会社が発行
する株式の総数、(ⅳ)額面株式を発行している場合、1株の額面金額、(ⅴ)会社の設立に際して発行する株式の
総数、(ⅵ)本店の所在地、(ⅶ)会社が行う公告の方法及び(ⅷ)発起人の氏名、住民登録番号及び住所である。
株式
会社は、定款に従い、額面株式又は無額面株式を発行することができる。額面株式を発行する場合、会社の資本金
額は1株当たり額面金額と発行済株式数を掛けた数に等しくなる。無額面株式を発行する場合、会社の資本金額は株
主総会又は理事会において決定するものとする。商法上、会社の最低資本金要件については規定されていないが、会
社の資本は、これを株式に分割しなければならず、1株の額面金額は、100ウォン以上で均一にしなければならない旨
定められているため、会社の最低資本金要件は100ウォン以上であると解釈される。商法上は原則として無額面株式は
認められない。株式の譲渡は、定款の規定により理事会の承諾が要求される場合を除き、自由にできる(現在、当社
の定款は、株式の譲渡についてこのような制限をしていない。)。ただし、韓国取引所に上場される会社に関する株
式は、自由に譲渡できる。
株主及び株主総会
株主の責任は、当該株主の有する株式の引受価額を限度とする。株主は、法律や定款に別段の定めがない場合は、
当該株主の有する株式の数に応じて新株の割当てを受ける権利がある。FSCMAに基づき韓国取引所上場企業が株式を募
集又は売出す場合に、当該法人の従業員持株会に加入した従業員は、募集又は売出す株式の総額で100分の20を超過し
ない範囲で新株の割当てを受ける権利がある。但し、従業員持株会員が所有する株式数が、新規に発行される株式と
既に発行された株式の総数の100分の20を超過する場合は、これを適用しない。
株主総会は、法律又は定款に定められた事項を決議する株式会社の最高意思決定機関である。株主総会は、定時総
会と臨時総会から成る。定時総会は、毎年1回招集しなければならず、年2回以上の決算期を定めている会社は、毎
期に1回定時総会を招集しなければならない。臨時総会は、必要な場合には随時招集することができる。株主総会の
招集は、原則として理事会がこれを決定する。しかし、発行済株式の総数の100分の3以上に当たる株式を有する株主
又は上場企業の場合、6ヶ月前から継続して上場企業の議決権のある発行済株式総数の1千分の15以上に該当する株
式を一定の要件により保有した株主は臨時総会の招集を理事会に請求することができ、もしも理事会がこれに応じな
い時は、裁判所の許可を得て臨時総会を直接招集することができる。監事又は監査委員会も臨時総会の招集を理事会
に請求することができ、もしも理事会がこれに応じない時は、裁判所の許可を得て総会を直接招集することができ
る。
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株主は、直接株主総会に出席して議決権を行使したり、又は代理人にその議決権を行使させることができる。議決
権は、原則として1株につき1票である。会社が数種の株式を発行する場合、当該会社が無議決権株式又は議決権制
限株式を、それらの株式の数が当該会社の全ての発行済株式の総数の4分の1を超えない範囲で発行することができ
る 旨、定款に定めることができる。会社が自己の株式を有する場合、その他一定の例外的な場合は、議決権がない。
理事、理事会及び監事又は監査委員会
理事は、株主総会で選任し、原則的に3人以上でなければならない。但し、資本金の総額が1,000,000,000ウォン未
満の会社の場合、理事は3人未満でもよい。上場企業の場合、理事の4分の1以上が社外理事で構成される。但し、
直近の会計年度(通年)の資産総額が2兆ウォン以上である上場企業は、3名以上の社外理事を置かなければなら
ず、社外理事が理事会の過半数を構成しなければならない。理事会は、会社の業務執行に関する意思決定のために理
事全員で構成される株式会社の必須常設機関である。理事会の決議は、理事過半数の出席と出席理事の過半数により
可決されなければならないが、定款でこの比率を高めることができる。会社は、理事会の決議により理事の中から会
社を代表する代表理事を選任しなければならない。しかし、定款を以て株主総会でこれを選任する旨を定めることが
できる。なお、理事会は定款に定めるところにより、委員会を設置することができ、一定の事項を除いては理事会の
権限を委員会に委任することができる。
会社の業務監査のために、監事又は監査委員会を置かなければならない。但し、資本金の総額が1,000,000,000ウォ
ン未満の会社の場合、監事を置かなくてもよい。直近の会計年度(通年)の資産総額が2兆ウォン以上である上場企
業は、監査委員会を置かなければならない。監事は株主総会で選任される。監査委員会の構成員全員は理事でなけれ
ばならず、監査委員会の構成員の3分の2以上は社外理事でなければならない。監事の選任においては、発行済み株
式総数の100分の3(議決権のない株式を除く。)以上を保有する株主は、かかる100分の3を超過した部分の株式の
議決権を行使することができない。上場企業の場合、100分の3以上の議決権付発行済株式を直接に又は実質的に保有
する株主、及びかかる株式を実質的に所有する一定の関係者は、かかる100分の3を超過した分の株式の議決権を行使
して、監事又は(社外理事ではない)監査委員会の構成員を、任命又は解雇することができない。かかる100分の3の
基準は、定款で、より低い比率に設定することができる。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当社の会社制度は(既に法令により決定かつ規定されていることに加えて)、201 9 年3月 15 日付けで最終改正され
た当社の定款によっても決定かつ規定されている。
株式
当社の授権株式の総数は、2億株とする。当社が発行する株式の種類は記名式普通株式及び記名式無議決権優先株
式とし、株式1株の額面金額は5千ウォンとする。無議決権優先株式の配当率は額面金額に対して年9%以上であ
り、発行の際理事会が定める。
当社が証券市場において関連法令に従い一般公募を行う場合、関連法令に従い従業員持株会員に割当てる場合、関
連法令に従い預託証書の形式で新株を発行する場合、関連法令に従い理事会決議に基づき一般公募増資を行う場合、
債務を資本に転換するため既存の債権者に対し新株を発行する場合、当社が経営上の目的により締結した合弁契約、
戦略的提携又は技術導入契約に従い国内外の法人に新株を発行する場合、又は緊急事態において資金調達のため国内
外の金融機関に新株を発行する場合には、株主以外の第三者に新株を割当てることができる。
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株主総会
定時株主総会は、毎決算期終了後3ヶ月以内に開催し、株主は、直接株主総会に出席して議決権を行使し、又は代
理人にその議決権を行使させることができる。株主総会の決議は、法令又は定款に別段の規定がある場合(後述す
る。)を除いて、出席した株主の議決権の過半数の賛成票により採択されるが、発行済株式の議決権株式の4分の1
以上に相当する数でなければならない。
定款の変更、事業の全部若しくは主要部分の譲渡、当社の事業全部のリースのため、営業の委託のため若しくは当
社の事業に関する全ての利益及び損失を他者と共有若しくは分担するための契約若しくはそれらに類似する契約の締
結、変更若しくは解除、当社の事業に重大な影響を与える可能性のある一部の事業の他社からの取得、当社の合併若
しくは連結、理事会が決定した当社の資産に重大な影響を与える可能性があり株主総会の承認を必要とする事項、又
はその他かかる決議が法令により定められている事項に関する株主総会の決議は、出席した株主の議決権の3分の2
以上の賛成票により採択されるが、発行済株式の議決権株式の3分の1以上に相当する数でなければならない。
当社の事業年度は、毎年1月1日から12月31日までである。毎決算期後に財務書類を理事会及び定時株主総会に提
出して承認を受けなければならず、定時株主総会から承認を得たときには遅滞なく貸借対照表を公告しなければなら
ない。
理事、理事会及び監査委員会
当社は、3名から12名までの理事で構成される理事会(このうち過半数が社外理事でなければならない。)を置く
ものとする。現在、当社は5名の社内理事と7名の社外理事を置き、理事は株主総会で選任される。また、当社は3
名以上の理事で構成される監査委員会を置く。監査委員会を構成する委員は社外理事でなければならず、株主総会で
選任されなければならない。監査委員会の委員を株主総会で選任する時、議決権付発行済株式総数の100分の3を超え
る数の株式を持つ株主は、その超過分の株式に対して議決権を行使することができない。
理事会は、法令及び規制、又は定款で定めた事項及び当社の業務執行に関する重要な事項を決議する。理事会の決
議により、理事会の議長1名を社外理事の中から選任する。理事会の決議により、1名の最高経営責任者及び数名の
代表理事を社内理事の中から選任する。また、最高経営責任者の推薦によって社内理事の中から理事会の決議により
社長、副社長、専務及び常務理事を選任する。代表理事は、各々が会社を代表する。理事会の決議は、少なくとも理
事の過半数が出席をする正式に招集された会において、出席理事の過半数の賛成投票を以て採択されるものとする。
ただし、代表理事候補の選任に関する決議の投票要件は、かかる投票要件が、理事の3分の2の賛成投票を超えない
限り、理事会によって変更することができる。
理事会は、その傘下に理事候補推薦委員会、評価報酬委員会、財政及び運営委員会、経営委員会、監査委員会及び
内部取引委員会を設置する。
2【外国為替管理制度】
韓国の外国為替取引令及び大統領令及び関連規定(これらを合わせて以下「外国為替取引法」と総称する。)に基づき
当社が社債などの外貨証券を発行し募集するためには、指定取引外国為替銀行に申告しなければならない。但し、外貨証
券を3千万米ドル(過去1年以内に発行又は借入された外貨債務の総計)を超えて発行しようとする場合には、指定取引
外国為替銀行を経由して企画財政部長官に事前に申告しなければならない。さらに、当社が外貨証券の元利金その他これ
に付帯する費用を支払うためには、かかる支払金額はその支払の都度指定取引外国為替銀行に確認されなければならな
い。かかる確認の目的は、実際の送金額が当該証券に基づき支払うべき金額に合致するかを確実にすることである。
3【課税上の取扱い】
以下の情報は、現在適用される韓国の税制及び税慣行の完全な概要を述べたものではない。
以下の韓国の租税上の考察事項概要は、次に該当しない投資家に適用される。
・韓国の居住者
・登記上の所在地若しくは本社所在地を韓国内に有する企業又は実際の業務を韓国内で行う企業
・当該所得が帰せられるか、又は当該所得が実質的に関連している、恒久的施設又は固定拠点(以下「恒久的施設」
という。)を通じて韓国で取引又は事業に携わる者
韓国の非居住者である個人又は外国法人(以下「非居住者」という。)に対する課税は、当該非居住者が韓国に恒久的
施設を有するか否かによって異なる。韓国に恒久的施設を有しない非居住者は、後述の方法によって課税されるが、韓国
に恒久的施設を有する非居住者についての課税には、異なる規則が適用される。
利子及びキャピタル・ゲインに関する課税
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韓国の租税特例制限法(以下「租税特例制限法」という。)上、当社が発行し、非居住者が保有する外貨建て社債の利
子及び手数料に対しては、韓国外で発行された社債の場合、個人所得税及び法人税が免除される。韓国の税法上、社債償
還時の割増金は一定の実質背景の下では利子所得とみなされるとの韓国課税当局の公式解釈があった。
当社が発行した外貨建て社債を韓国に恒久的施設を有しない非居住者が他の非居住者(その韓国内の恒久的施設は除
く。)に譲渡することにより生じる譲渡所得については、韓国では課税されない。更に、非居住者が韓国外で行う当社発
行の社債の譲渡から得た譲渡所得は現在のところ租税特例制限法によって課税されない。但し、当該社債の発行は租税特
例制限法上、韓国外での発行とみなされる。租税特例制限法上の免税措置が今後法の改正によって適用されない場合に
は、上記の利子の支払及び譲渡所得は、韓国で源泉徴収の対象となり得る。
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本と韓国との間の条約(以下「日韓租税条約」と
いう。)によれば、当社が日本の居住者に支払う利子及び上記追加額(利子所得として扱われる場合)は、最高10%(地
方所得税を含む。)の源泉徴収の対象となる。さらに、日韓租税条約によれば、社債の譲渡所得に対しては、譲渡人の居
住地国でのみ課税される。有価証券譲渡差益に対する免税の要件を備えていない場合は、韓国の個人所得税法又は法人税
法によって、実現収益総額の11%(地方所得税を含む。)又は譲渡差益の22%(地方所得税を含む。)のうちの少ない方
の金額に相当する額の個人所得税又は法人税が課される(取得原価及び直接取引経費の十分な証拠の作成を条件とす
る)。
配当に関する課税
韓国の非居住者である保有者に対し支払われた普通株式又は預託証券に対する配当は(現金配当であるか又は株式配当
であるかに拘わらず)、税率22%の韓国源泉徴収税(地方所得税を含む。)又は韓国及びかかる非居住者である保有者が
税務上属する国との間の租税条約により適用される税率のいずれか低い方の対象となる。一定の資本準備金の払込資本へ
の組込みを表彰する株式を無償分配する場合、かかる分配は韓国の課税対象となりえる。韓国と日本の間の租税条約によ
れば、(ⅰ)実質保有者が、ある会社の発行する議決権株式の25%以上を保有する企業であり、会計期間終了直前の6か月
間において、当該会社が利益分配を伴う配当を支払っている場合、配当の最高5%、又は(ⅱ)その他すべての場合は配当
の最高15%が課せられる。
源泉徴収は、配当の支払者により行われる。支払者は源泉徴収を行うことを義務付けられている一方で、韓国法は、同
法に基づき定められる一定の条件を満たす場合、後により低い税率の源泉徴収を受けることができたとの証明を提出する
ことにより、韓国の源泉徴収の対象者が源泉徴収の一部の払戻しを政府に請求する権利を一般的に認めている。
相続税及び贈与税
韓国の相続税は、相続開始の時に被相続人が韓国の居住者であり、又は韓国内に相続財産がある時に課される。贈与税
は、一般的に贈与を受ける時に受贈者が韓国の居住者であるか、又は贈与される財産が韓国内にある場合に課される。相
続税及び贈与税は、相続財産や贈与財産の価値が一定額以上であれば課され、その税率は、他の要素がある中でも特に相
続財産や贈与財産の価値によって決定される。現在、韓国は、相続税又は贈与税に関するいかなる租税条約も締結してい
ない。
韓国の相続税及び贈与税賦課の決定において、韓国で設立された法人が発行した債券は、その債券が実際に何処に所在
し、又は誰が所有しているかを問わず、韓国内に所在する財産とみなされる。
有価証券取引税
韓国の企業により発行された株式の譲渡又はかかる株式を引受ける権利には、一般的にかかる株式の売却価格の0.5%の
有価証券取引税が課せられる。韓国取引所有価証券市場に上場される有価証券(普通株式など)の譲渡においては、一般
的に(ⅰ) 市場内取引の場合は、かかる株式の売却価格の0.3%(農業・漁業特別税を含む。)、又は(ⅱ) 市場外取引の場
合は、一部の例外を除いて、かかる株式の売却価格の0.5%の有価証券取引税が課せられる。
有価証券取引税又は農業・漁業特別税は、(ⅰ)株式又は株式を引受ける権利が、指定された外国証券取引所において上
場されている場合、及び(ⅱ)株式の売却がかかる取引所において行われる場合には適用されない。
有価証券取引税(適用ある場合)は、原則として、株式又は権利の譲渡人により支払われる。かかる譲渡が証券決済会
社を通じて行われる場合、一般的に、かかる証券決済会社が源泉徴収を行い、課税当局に税金を支払うことが義務付けら
れており、仲介業務免許のみを有する金融投資会社を通じて行われる場合、かかる会社が源泉徴収を行い、税金を支払う
ことが義務付けられている。かかる譲渡が、証券決済会社又は仲介業務免許を有する金融投資会社を通じて行われる場合
を除き、韓国における恒久的施設を有しない非居住者により行われる場合、譲受人が有価証券取引税の源泉徴収を行う義
務がある。かかる義務の履行を怠った場合、(ⅰ)支払義務がある税金に対し10%から40%(不適切な報告の性質により異
なる。)及び(ⅱ)不履行期間において支払義務のある税金に対し年率10.95%を合計した金額に相当する課徴金が課せられ
る。
租税条約
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現在韓国は、とりわけオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ド
イツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、ス
ウェー デン、スイス、英国及び米国を含む多数の国と租税条約を締結しており、条約に基づき配当及び利息に対する源泉
徴収税率が通常5%から16.5%(地方税を含む。)の範囲に引下げられ、韓国企業が発行する有価証券の移転により非居
住者が得たキャピタルゲインに対する課税はしばしば免除される。
非居住者である普通株式の各保有者は、韓国との租税条約による恩恵を受ける権利があるか否かにつき問合わせを行う
べきである。利息、配当、キャピタルゲイン又は「その他の所得」に関し租税条約の恩恵を受けようとする者は、場合に
より支払の前又は支払時に、当社(若しくは当社の代理人)、購入者又は仲介業の免許を有する金融機関に対し、韓国の
租税当局が条約による保護を認めるために要求する税法上の居住地の証明を提出する責任を有する。十分な証明がない場
合、当社(若しくは当社の代理人)、購入者又は仲介業の免許を有する金融機関は、場合により、通常の税率により源泉徴
収しなければならない。
韓国税法上、適用ある租税条約に基づき、韓国を源泉とする一定の所得 (すなわちキャピタルゲインおよび利息) に対
する制限税率の恩恵を受けようとする 韓国の 非居住者(又はその代理人)は、かかる韓国を源泉とする所得の支払者に対
し、当該韓国を源泉とする所得を受取る前に、制限税率適用申請書を提出することが求められる。但し、当該 韓国の 非居
住者が 米国 預託証券の所有者であり、 米国 預託証券に関する韓国を源泉とする所得が、海外の預託機関が韓国証券預託院
(Korea Securities Depository)に開設した口座を通じて支払われる場合には、申請書を提出する必要はない。 韓国を源
泉とする所得の支払者は、当該所得の最初の支払日から9日以内に関連する地方税務当局にかかる申請書を提出しなけれ
ばならない。
韓国を源泉とする所得が、海外の投資ビークルを通じて非居住者に支払われる場合、当該投資ビークルは、 当該投資
ビークル の実質所有者である各非居住者から免税申請書又は制限税率適用申請書を取得し、韓国を源泉とする所得の支払
者に対し、非居住者である実質所有者が作成した免税申請書又は制限税率適用申請書と共に海外投資ビークル報告書を提
出しなければならない。海外の投資ビークルとは、投資の勧誘を通じて集めた資金を、投資対象の取得、売却、その他の
投資を手段として運用し、運用成果を投資家に分配する、韓国国外で設立された組織を意味する。非居住者により提出さ
れた免税申請書又は制限税率適用申請書は、提出から3年間有効であるが、当該申請書に記載された情報に関し重大な変
更が生じた場合は、かかる変更を反映した申請書を新たに提出しなければならない。
現在、韓国は相続税又は贈与税に関する租税条約を締結していない。
4【法律意見】
当社の韓国における特別法律顧問であるユルチョン法律事務所より、本書に記載されている韓国法に関する記述は、全
ての重要な点において正しい旨の法律意見書が関東財務局長宛に提出されている。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
2011年より、当社は、韓国採択国際会計基準(以下「K-IFRS」という。)に基づく財務報告を開始した。
連結財務情報
単位:十億ウォン(下段の括弧内の数値は十億円)
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
65,098 58,192 53,084 60,655 64,978
(1)
売上高
(6,074) (5,429) (4,953) (5,659) (6,062)
57,815 51,658 46,394 52,299 57,005
(2)
売上原価
(5,394) (4,820) (4,329) (4,879) (5,319)
7,283 6,534 6,690 8,356 7,972
売上総利益
(680) (610) (624) (780) (744)
4,070 4,124 3,845 3,734 2,430
販売費及び一般管理費
(380) (385) (359) (348) (227)
3,214 2,410 2,844 4,622 5,543
営業利益
(300) (225) (265) (431) (517)
(300) (506) (89) 11 113
持分法損益
((28)) ((47)) ((8)) (1) (11)
2,397 2,557 2,232 2,373 1,706
金融収益
(224) (239) (208) (221) (159)
3,222 3,387 3,014 2,484 2,244
金融費用
(301) (316) (281) (232) (209)
1,378 181 1,433 4,180 3,563
税引前純利益
(129) (17) (134) (390) (332)
821 277 385 1,206 1,671
法人税費用
(77) (26) (36) (113) (156)
557 (96) 1,048 2,973 1,892
当期純利益/(損失)
(52) ((9)) (98) (277) (177)
101 (258) 1,502 2,412 1,464
総包括利益/(損失)
(9) ((24)) (140) (225) (137)
当期純損益の帰属
支配企業の所有者 626 181 1,363 2,790 1,691
持分 (58) (17) (127) (260) (158)
(69) (277) (315) 183 201
非支配持分
((6)) ((26)) ((29)) (17) (19)
総包括損益の帰属
支配企業の所有者 175 33 1,823 2,218 1,271
持分 (16) (3) (170) (207) (119)
(74) (291) (320) 194 192
非支配持分
((7)) ((27)) ((30)) (18) (18)
基本的及び希薄化後1株当り純利益
7,432 1,845 16,627 34,464 20,911
(3)
(ウォン(円))
(693) (172) (1,551) (3,215) (1,951)
10,750 9,050 10,388 12,181 14,713
(4)
運転資本
(1,003) (844) (969) (1,136) (1,373)
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32,627 29,181 29,304 31,127 33,651
流動資産
(3,044) (2,723) (2,734) (2,904) (3,140)
35,241 34,523 33,770 31,884 30,018
有形資産
(3,288) (3,221) (3,151) (2,975) (2,801)
52,625 51,228 50,459 47,898 44,597
非流動資産
(4,910) (4,780) (4,708) (4,469) (4,161)
85,252 80,409 79,763 79,025 78,248
資産合計
(7,954) (7,502) (7,442) (7,373) (7,301)
12,195 12,371 10,195 11,275 10,290
短期借入金
(1,138) (1,154) (951) (1,052) (960)
15,233 12,849 12,510 9,789 9,920
長期借入金
(1,421) (1,199) (1,167) (913) (926)
39,961 35,339 33,925 31,561 31,489
負債合計
(3,728) (3,297) (3,165) (2,945) (2,938)
482 482 482 482 482
資本金
(45) (45) (45) (45) (45)
45,291 45,070 45,838 47,464 46,760
資本合計
(4,226) (4,205) (4,277) (4,428) (4,363)
営業活動による 3,412 7,602 5,269 5,607 5,870
キャッシュ・フロー (318) (709) (492) (523) (548)
投資活動による (3,745) (4,535) (3,755) (3,818) (2,648)
キャッシュ・フロー ((349)) ((423)) ((350)) ((356)) ((247))
財務活動による 135 (2,242) (3,951) (1,566) (3,195)
キャッシュ・フロー (13) ((209)) ((369)) ((146)) ((298))
現金及び現金性資産の (186) 849 (2,424) 165 31
増加/(減少) ((17)) (79) ((226)) (15) (3)
現金及び現金性資産の 4,209 4,022 4,871 2,448 2,613
期首残高 (393) (375) (454) (228) (244)
現金及び現金性資産の 4,022 4,871 2,448 2,613 2,644
期末残高 (375) (454) (228) (244) (247)
(1)当社の連結子会社が第三者(当社が鉄鋼製品を販売する貿易会社を含む。)から購入した鉄鋼製品を販売した部分を含む。
(2)当社の連結子会社が第三者(当社が鉄鋼製品を販売する貿易会社を含む。)から購入した部分を含む。
(3)算出方法は、「第一部 第6 経理の状況」に含まれる連結財務書類の「注記36.一株当り利益」を参照のこと。基本的及
び希薄化後一株当り利益の算出に用いられた発行済株式数の加重平均は、2014年12月31日時点で79,801,539株、2015年12月
31日時点で79,993,834株、2016年12月31日時点で79,996,389株、2017年12月31日時点で79,998,600株及び2018年12月31日時
点で80,000,606株であった。
(4)「運転資本」とは、流動資産から流動負債を差引いたものである。
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個別財務情報
単位:十億ウォン(下段の括弧内の数値は十億円)
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
29,219 25,607 24,325 28,554 30,659
売上高
(2,726) (2,389) (2,270) (2,664) (2,860)
1,721 1,668 2,189 3,355 2,235
税引前純利益
(161) (156) (204) (313) (209)
1,139 1,318 1,785 2,546 1,073
当期純利益
(106) (123) (167) (238) (100)
482 482 482 482 482
資本金
(45) (45) (45) (45) (45)
発行済株式数(株) 87,186,835 87,186,835 87,186,835 87,186,835 87,186,835
42,475 43,026 44,329 45,941 45,272
資本合計
(3,963) (4,014) (4,136) (4,286) (4,224)
52,597 51,309 52,056 53,692 54,126
資産合計
(4,907) (4,787) (4,857) (5,009) (5,050)
(1)
自己資本比率(%)
80.8 83.9 85.2 85.6 83.6
1株当り配当金 8,000 8,000 8,000 8,000 10,000
(ウォン(円))
(746) (746) (746) (746) (933)
基本的及び希薄化後1株当り純利益 13,858 16,067 21,899 31,409 13,186
(ウォン(円))
(1,293) (1,499) (2,043) (2,930) (1,230)
配当性向(%) 56.2 48.5 35.9 25.1 74.6
従業員数(人) 17,687 17,045 16,584 17,055 17,150
(1)株主資本合計を資産合計で除した値である。
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2【沿革】
当社は、国内及び海外市場において鉄鋼の圧延材及び厚板を製造販売するために、商法に基づき、1968年4月1日に韓
国政府により設立された。設立から1988年までは、韓国政府が当社株式の70%以上を所有していたが、同年韓国政府は公
募及び韓国取引所株式市場部での上場を行うことによって当社普通株式の所有を35%まで引下げた。1998年12月、政府
は、政府が直接所有する当社の全ての普通株式を売却し、2000年9月に韓国産業銀行は、韓国産業銀行が所有する当社の
株式の売却を完了した。当社に対する政府の直接持分はなくなり、当社の発行済普通株式は現在個人及び機関投資家によ
り保有されている。「第5-1 株式等の状況-(5)大株主の状況」参照。
当社は2002年3月に正式名称を浦項綜合製鐵株式會社から株式會社ポスコ(POSCO)へ変更した。
3【事業の内容】
(1)会社の目的
当社は、次の事業を営むことを目的とする。
1.製鉄、製鋼及び圧延材の生産、マーケティング、プロモーション、販売及び流通
2.港湾荷役業、運輸業、倉庫業
3.専門職業競技団体の運営
4.ガス供給事業、発電及び電力供給事業並びに資源開発事業
5.不動産賃貸業及び流通業
6.地域暖房事業
7.韓国内外における鉱物の海上輸送、加工及び販売業
8.教育サービス及び事業目的に関連したその他のサービス
9.非鉄金属の製造、加工及び販売
10.技術ライセンス販売及びエンジニアリング事業
11.前各号に直接又は間接的に関連した一切の付帯事業
(2)事業の内容
当社は大韓民国最大の完全一貫体制の製鉄会社であり、年間粗鋼生産量によれば、当社は世界最大の製鉄会社の一つ
である。当社は、2018年には約42.9百万トンの粗鋼およびステンレス鋼を生産しており、そのほとんどすべてが浦項製
鉄所と光陽製鉄所で生産された。2018年12月31日現在、当社の粗鋼及びステンレス鋼の生産能力は年間約47.6百万トン
であり、そのうち浦項製鉄所の生産能力が年間17.6百万トンであり、光陽製鉄所が年間24.8百万トンであった。当社
は、浦項製鉄所及び光陽製鉄所は世界でも最も技術的に進歩した一貫製鉄施設のうちの2つを占めていると信じてい
る。当社は、冷延製品、熱延製品、ステンレス鋼製品、厚板、線材、シリコン鋼板等多様な鉄鋼製品を製造、販売して
おり、自動車、造船、家電、エンジニアリング及び機械産業を含む鉄鋼の消費者である製造業の顧客からの幅広いニー
ズに応えることが可能である。
韓国は、当社の最も重要な市場である。2018年に当社で生産及び販売された鉄鋼製品の売上高に占める国内販売量の
割合は、38.4%であり2017年は39.0%であった。単体ベースで、当社の鉄鋼製品は、2018年において、国内の鉄鋼製品
の総販売量の約50%を占め、2017年は約44%を占めたと確信する。2018年に当社で生産及び販売された当社の鉄鋼製品
の売上高のうち海外の顧客に対する輸出販売量及び海外販売量は、61.6%を占め、2017年には61.0%を占めた。当社の
主な輸出市場はアジアであり、2018年に当社で生産及び輸出された鉄鋼製品の輸出売上高のうち、中国は28.9%、中国
及び日本以外のアジア地域は23.4%並びに日本は10.3%を占め、2017年に当社で生産及び輸出された鉄鋼製品の輸出売
上高のうち、中国は28.5%、中国及び日本以外のアジア地域は23.3%並びに日本は11.3%を占めた。
当社は、鉄鋼製造業務を補完する事業も行っており、また、当社の事業を垂直的且つ水平的に多角化するための有望
な投資機会をも注意深く追求している。これは、来るべき韓国鉄鋼市場の成熟化に備えるためでもある。㈱POSCOイン
ターナショナル(旧㈱POSCO大宇、以下「POSCOインターナショナル」という。)は、国際的な貿易会社であり、主に、
鉄鋼及び原料の取引並びにエネルギー及び鉱物資源開発プロジェクトへの投資を世界中で行っている。㈱POSCO建設は、
韓国における代表的な建設会社の一つであり、主に工業プラント及び建築物の計画、設計及び建設並びに土木工事に従
事している。POSCOエナジー㈱は、韓国最大の民間電力会社である。
2018年の当社の売上高は65,155十億ウォン、純利益は1,932十億ウォンであった。2017年の当社の売上高は60,187十億
ウォン、純利益は2,909十億ウォンであった。2018年12月31日現在の当社の総資産は78,777十億ウォン、資本合計は
46,673十億ウォンであり、2017年12月31日現在の当社の総資産は79,786十億ウォン、資本合計は47,327十億ウォンで
あった。
(3)主要製品
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当社は、下記を含む広範囲の鉄鋼製品を製造及び販売している。
冷延製品
熱延製品
ステンレス鋼製品
厚板
線材
シリコン鋼板
(4)製造工程
当社の主要製造施設である浦項製鉄所及び光陽製鉄所は、酸素製鋼法により鉄鋼を製造している。浦項製鉄所のステ
ンレス鋼プラントでは電気アーク炉工法によりステンレス鋼が製造されている。連続鋳造は鉄鋼に均質な構造を与える
ことにより製品の品質を向上させる。浦項製鉄所及び光陽製鉄所は全ての製品を連続鋳造によって製造している。
鉄鋼-酸素製鋼法
まず、高炉で製鋼に使用される原材料である鉄鉱石から溶融銑鉄を製造する。次に、溶融銑鉄は不純物を取り除くた
めに高圧酸素を吹きつけられることにより転換炉で溶鋼に精製される。内容物の化学物質を調整することにより異なる
望ましい鉄の特性が得られることがある。
この時点で、溶鋼は、連続鋳造機でスラブ、ブルーム又はビレット等の半製品にされる。スラブ、ブルーム及びビ
レットは、異なる標準のサイズ及び形で製造されることになる。スラブ、ブルーム及びビレットは利益の少ない半製品
であり、当社がそれを使って更なる加工品を製造するか、又はそれを使って更に加工された鉄鋼を製造しようとする他
の製鉄業者に販売されるものである。
スラブは、熱間仕上圧延機で熱延コイル製品を製造するか、厚板圧延機で厚板を製造するために加工される。熱延コ
イルは、中間段階の製品であり、顧客に多種類の加工品として販売されるか、又は当社若しくは顧客によって冷延薄板
やシリコン鉄鋼薄板などの更に高付加価値の製品に加工される。ブルーム及びビレットは、線鋼圧延機で線材に加工さ
れる。
ステンレス鋼-電気アーク炉工法
ステンレス鋼は、電気アーク炉を使って、ステンレス鋼スクラップ、クロム、ニッケル及び鉄スクラップから製造さ
れる。次に、ステンレス鋼は、鉄鋼製造に使われるものと同様の方法で更に付加価値の高い製品に加工される。ステン
レス鋼スラブは、連続鋳造設備で製造される。このスラブは熱間圧延機でステンレス鋼熱コイルに加工され、冷延ステ
ンレス鋼製品を製造するために冷間圧延機で更に加工されることもある。
(5)事業内容の変更等
該当事項なし。
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4【関係会社の状況】
(1)親会社
親会社はない。
(2)子会社
2018年12月31日現在、当社の子会社(国内及び海外を含む。)は172社であった。次の表は当社の重要な子会社を示し
たものである。 なお、K-IFRSにおいて従属企業とは、日本において一般的に公正妥当と認められる会計原則に基づく連
結子会社に相当する。
(2018年12月31日現在)
議決権株式の
資本 (1)
所有割合
名称 所在地 主要事業 関係内容
(百万ウォン)
(%) (2)
㈱POSCOインターナショナル 貿易及び資源開発 原材料の安定した供
韓国ソウル 2,799,146 62.9
(旧㈱POSCO大宇) 等 給支援
総合建設及びエン 社会インフラ及び製
(株)POSCO建設 韓国浦項 2,567,002 52.8
ジニアリング 鉄施設の設立
POSCOエナジー(株) 韓国ソウル 1,221,038 89.0 発電 発電事業への参入
インドネシ
PT. Krakatau POSCO
106,557 70.0 鉄鋼製造及び販売 鉄鋼製造及び販売
ア
POSCO Asia Co., Ltd.
香港 195,899 100.0 鉄鋼及び原料貿易 海外販売支援
インドにおける冷延
POSCO Maharashtra Steel
インド 449,687 100.0 鉄鋼製造及び販売 製品及び自動車用鉄
Private Limited
鋼製造
(3)
Zhangjiagang Pohang 82.5
ステンレス鋼板製 国内ステンレス鋼板
中国 526,652
Stainless Steel Co., Ltd. 造及び販売 製造及び販売
(23.9)
(株)POSCOケミカル 耐火物製造及び販
韓国浦項 693,809 60.0 安定生産支援
(旧(株)POSCOケムテック) 売
POSCO SS VINA Co., Ltd.
ベトナム (33,935) 100.0 鉄鋼製造及び販売 鉄鋼製造及び販売
(1)当該数値は株主資本合計を示す。
(2)括弧内の数値は間接所有の議決権の割合を示す。
(3)当社が58.6%の持分を保有し、POSCO Chinaが23.9%の持分を保有する。
(単位:百万ウォン)
当期純利益
税引前当期純利
名称 収益 純資産 資産合計
益
(株)POSCOインターナショナル
23,308,796 134,008 97,772 2,799,146 8,773,244
(旧(株)POSCO大宇)
(株)POSCO建設 6,625,473 386,150 150,394 2,567,002 5,629,254
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(3)関連会社
2018 年12月31日現在、当社の関連会社(国内及び海外を含む。)は299社であった。 なお、K-IFRSにおいて関係会社と
は、日本において一般的に公正妥当と認められる会計原則に基づく持分法適用会社(持分法適用の非連結子会社及び関連
会社を含む。)に相当する。
(4)子会社及び国際的合弁事業
鉄鋼生産
当社の戦略イニシアティブを効果的に実行し、世界の鉄鋼産業におけるその主導的な地位を強化するために、当社は
韓国およびその他世界中において様々な子会社及び鉄鋼生産に携わる合弁事業を設立している。
中国
当社は、ステンレス冷延鋼板製品の製造及び販売を行う中国の合弁会社である、Zhangjiagang Pohang Stainless
Steel Co., Ltd. (張家港浦項不銹鋼有限公司)を設立する契約をSagang Group Co.と締結した。当社は合弁会社の
82.5%(POSCO China Holding Corporationが保有する23.9%の持分を含む。)の持分を所有している。同工場はステン
レス冷延鋼板製品鋼の生産を1998年12月に開始した。2018年12月31日現在、Zhangjiagang Pohang Stainless Steel Co.,
Ltd.は、ステンレス鋼板製品について年間1,100千トンの生産能力を有し、2018年に1,158千トンのステンレス鋼板製品
を生産した。「第4.設備の状況-2.主要な設備の状況-海外における生産設備-Zhangjiagang Pohang Stainless
Steel」を参照のこと。
インドネシア
当社は、PT. Krakatau Steel (Persero) Tbk.と契約を締結し、インドネシアにおいて厚板及びスラブの製造販売のため
の合弁会社であるPT. Krakatau POSCO Co., Ltd.(以下「PT. Krakatau POSCO」という。)を設立した。当社はかかる合弁会
社の70.0%の持分を保有する。当社は2013年12月に、鉄鋼製造工場の建設を完了した。2018年12月31日現在、PT.
Krakatau POSCOは、厚板及びスラブについて年間3,000千トンの生産能力を有し、2018年において、3,009千トンの厚板及
びスラブを生産した。「第4.設備の状況-2.主要な設備の状況-海外における生産設備-PT. Krakatau POSCO」を参
照のこと。
ベトナム
当社は、形鋼及びスチール補強製品の製造販売に携わる完全子会社であるPOSCO SS VINA Co., Ltd.を設立した。工場は
2015年6月に生産を開始した。2018年12月31日現在、POSCO SS VINA Co., Ltd.は、形鋼及びスチール補強製品について
年間1,100千トンの生産能力を有し、2018年において965千トンの形鋼及びスチール補強製品を生産した。「第4.設備
の状況-2.主要な設備の状況-海外における生産設備-POSCO SS VINA Co., Ltd.」を参照のこと。
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貿易
当社の貿易活動は、主にPOSCOインターナショナルの貿易活動により構成される。貿易活動に携わっている当社の連
結子会社には、香港に所在するPOSCO Asia Co., Ltd.、日本の東京に所在するPOSCO Japan Co., Ltd.、米国ジョージア州
に所在するPOSCO America Corporation、タイのチョンブリに所在するPOSCO (Thailand) Company Limited 及びシンガ
ポールに所在するPOSCO Singapore LNG Trading Pte. Ltd.がある。
POSCOインターナショナルは、国際的な貿易会社であり、主に鉄鋼及び原材料の取引並びにエネルギー及び鉱物資源
開発プロジェクトへの投資に従事している。同社はさらに、繊維製品及び農産物の生産及び販売に従事した。
POSCOインターナショナルは、大宇コーポレーションの債務整理の一環として国際貿易事業及び建設事業が3社に分か
れて独立した際、2000年12月に設立された。同社の主要な事業の拡大及び強化並びにポスコグループ内における効率化
促進のため、2017年3月にPOSCOインターナショナルはPOSCO P&Sから鉄鋼販売事業を取得した。
以下の表は、表示期間におけるPOSCOインターナショナルの連結輸出販売、国内販売及び第三国間貿易による売上高
の合計並びに製品カテゴリーを分類したものである。
12月31日終了年度
製品カテゴリー
2017年 2018年
十億ウォン % 十億ウォン %
輸出売上高
鉄鋼及び金属 5,059 22.4 5,354 21.3
化学製品及び日用品
1,429 6.3 1,563 6.2
自動車及び機械部品
2,224 9.9 1,795 7.1
電子機器及びその他品目 - - - -
天然資源品目 - - - -
その他商品 - - 0 0.0
小計
8,712 38.6 8,712 34.6
国内売上高
鉄鋼及び金属 2,322 10.3 3,316 13.2
化学製品及び日用品
23 0.1 19 0.1
自動車及び機械部品 59 0.2 36 0.1
電子機器及びその他品目
- - - -
その他商品 17 0.1 - -
小計
2,421 10.7 3,371 13.4
工業製品売上高 502 2.2 547 2.2
その他 253 1.1 222 0.9
第三国取引
(1)
取引
14,969 66.3 17,390 69.1
(1)
天然資源開発
573 2.5 829 3.3
工業製品取引 221 1.0 329 1.3
第三国取引合計
15,763 69.8 18,547 73.7
27,650 122.4 31,399 124.7
売上高合計(連結調整前)
連結調整
(5,079) (22.4) (6,225) (24.7)
売上高合計
22,572 100.0 25,174 100.0
(1) 原材料の取引による収益は取引収益に含まれていた。
貿易活動
POSCOインターナショナルの貿易活動は、鉄鋼、鉄鋼生産用原材料、非鉄金属、化学製品、自動車部品、機械及び工
場設備、電気製品、農産物、繊維製品などの幅広い種類の製品及び商品の輸出入からなる。また、POSCOインターナ
ショナルは、韓国からの輸出又は韓国への輸入を行わない三国間貿易にも従事している。海外貿易子会社並びに支店及
び代理店から構成される世界的な貿易ネットワークを通じて調達される製品は、韓国内外における多数の供給業者から
入手され、購入者に提供される。かかる子会社及び代理店は、顧客を代理して適切な国内の供給業者及び購入者を特定
し、ビジネス機会を識別し、国内市場状況の情報を提供することにより、POSCOインターナショナルの取引活動を支援
する。
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多くの場合、POSCOインターナショナルは、取引の基となる販売契約及び購買契約が対当した後に貿易取引を開始す
るため、POSCOインターナショナルの棚卸資産及び価格リスクは軽減される。POSCOインターナショナルは、通常、本人
と して、そして限られた場合においては輸入又は輸出代理人として、取引を行っている。本人又は代理人として取引を
行う場合、POSCOインターナショナルは、製品の販売価格から、同社がかかる製品に支払う購入価格を差引いた利鞘か
ら、取引売上総利益を獲得している。本人取引において、販売価格は売上高として計上され、購入価格は売上原価とし
て計上される。一方、POSCOインターナショナルがリスクを負わず、商品の所有権の恩恵を受けない代理人取引の際に
おいては、売上総利益のみが売上高として計上される。第三国取引における幹事会社として同社が機能する場合におい
ては、POSCOインターナショナルは、顧客により支払われる手数料から取引売上総利益を獲得し、売上高として計上す
る。POSCOインターナショナルの貿易活動に関する売上総利益及び手数料の程度は、関係する製品の一般的な需給状
況、資金調達、保険、倉庫及び運輸の費用並びに顧客の信用度を含む、複数の要因により異なり、製品又は市場が成熟
するに従い、低下する傾向にある。
輸出入取引に関連し、POSCOインターナショナルは複数の通貨による売掛金及び買掛金を有しているが、主となるの
は米ドルである。通常、貿易取引では、通常、購入契約及び販売契約が対当しているため、決済エクスポージャーが限
定されており、また、製品輸出のためのPOSCOインターナショナルと国内供給業者との契約及び製品輸入のためのPOSCO
インターナショナルと国内購買者との契約は通常米ドル建であるため、ウォン/米ドル為替レートを含む為替レートの
変動に対するPOSCOインターナショナルのエクスポージャーは、限定されている。かかる戦略により為替レートの変動
の影響は大幅に軽減されているものの、POSCOインターナショナルは、外国為替リスクをさらにヘッジするために、定
期的にデリバティブ契約(主に為替予約契約)を締結している。
取引活動に関連し、POSCOインターナショナルは、顧客の要望に応じて、保険及び製品運搬を手配しており、かかる
費用は通常、関連する製品の販売価格に反映される。また、同社は、購入者及び供給業者に対して必要に応じて金融
サービスも提供している。大規模な産業又は建設プロジェクトに関係する取引においては、POSCOインターナショナル
は、顧客に対し必要なプロジェクト計画及び組織化サービスの提供も行う。
天然資源開発活動
POSCOインターナショナルはまた、全世界におけるエネルギー及び鉱物開発プロジェクトにも投資を行っている。具
体的には、POSCOインターナショナルは、ミャンマーにおける複数のガス鉱区プロジェクトに対する持分を有してお
り、ガス生産は2013年7月に開始した。POSCOインターナショナルは、ミャンマーガス鉱区プロジェクトから2016年に
おいて530十億ウォン、2017年において498十億ウォン及び2018年において474十億ウォンの収益を認識した。
かかる天然資源開発プロジェクトは、伝統的な貿易事業と比較しより高いリスクを伴うものであるが、より高い潜在
的利益を提供するものである。POSCOインターナショナルは、海外での有望なエネルギー開発プロジェクトを慎重に探
し出すことにより、引き続き業務を拡大する意向である。
競争
POSCOインターナショナルは、主に韓国の他の総合貿易会社と競合しており、それらは主要な国内事業グループ及び
海外に拠点を有する世界的な貿易会社の関係会社である。国内市場においては、主要な韓国の事業グループの関係会社
である総合貿易会社のほとんどは、通常、貿易事業の大半を関係会社間取引に依存しているため、国内供給業者に代わ
る輸出取引及び国内購買者に代わる輸入取引の競争は限定されている。しかしながら、近年において、それらの韓国の
総合貿易会社の多くは、関係事業グループへの依存及び関係会社に代わる取引の遂行を減らし、競争における利点を有
する輸出入市場のセグメントに焦点を当てるようになった。結果として、従来の取引が行われていた地域における韓国
の総合貿易会社間の競争は、さらに激しくなった。海外貿易市場におけるPOSCOインターナショナルの主要な競合企業
には、さまざまな国際市場において事業を展開する韓国の貿易会社及び特に日本を拠点とする海外の貿易会社が含まれ
る。POSCOインターナショナルが、天然資源開発など、従来の貿易以外の事業を多角化するにつれて、同社と、それら
事業に関与するその他の韓国及び海外企業との競争も激しくなる。
建設
㈱POSCO建設は、主に産業工場、建築物及び土木建築プロジェクトの計画、設計及び建設に携わっている韓国におけ
る主要なエンジニアリング及び建設会社の一つである。㈱POSCO建設は、とりわけ、以下のことを通じ、韓国における
主要なエンジニアリング及び建設会社の一つとしてその地位を確立している。
・ 強固でかつ安定した顧客基盤
・ 高度な一貫製鉄所の建設を通じて得られる最先端の技術的専門知識並びに浦項製鉄所及び光陽製鉄所における多数
の近代化及び合理化計画への関与
その技術上のノウハウと韓国において主要な工業複合体のいくつかを設立した実績をてこに、㈱POSCO建設は、その
業務を高級共同住宅の建設にも多様化させ、幅広い建築物及び土木建築プロジェクトへの関与、さらに都市開発計画プ
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ロジェクトの実施や海外業務への進出に力を注いでいる。2015年9月、当社は、㈱POSCO建設の持分のうち38.0%を、
1.05十億米ドルでサウジアラビアのソブリン・ウエルス・ファンドであるPIFへ売却した。かかる売却に関連し、㈱
POSCO 建設及びPIFは、サウジアラビア政府が出資する複数のインフラストラクチャー・プロジェクトを含む、サウジア
ラビアにおけるさらなる事業機会を共同で模索することに合意した。
㈱POSCO建設は、POSCOグループ傘下の会社のために、LNG及び石炭を動力とする火力発電所の設計及び建設を主に専
門として様々な発電所を建設してきたことから、エネルギー分野における十分な経験も有している。近年、㈱POSCO建
設は、韓国仁川でのLNG火力発電所及びチリのベンタナス及びアンガモスでの石炭火力発電所、並びにパナマのコロン
における一貫サイクル発電所及びLNGターミナル施設など、様々な発電所の受注を獲得してきた。㈱POSCO建設は、エネ
ルギー産業からの需要の増加に応え、とりわけアジア及びアフリカにおいて大きな成長可能性を有すると思われる発電
所建設に対し、引続き的を絞る計画である。POSCOグループ傘下の会社間の効率性をさらに高め、㈱POSCO建設の技術力
を強化する目的で、2017年2月に㈱POSCO建設は㈱POSCOエンジニアリングを合併した。
競争
建設産業における競争は、主に価格、品質に対する評判、信頼性、期限の厳守及び請負業者の財務体質に基づく。韓
国における、住宅及び非住居用建物の建設、EPC(設計・調達・建設)プロジェクト、都市計画及び開発プロジェクト
並びに土木工事プロジェクトに関する㈱POSCO建設の主な競合は、約10の主要な国内建設会社により構成され、それら
の全ては、韓国における大規模事業グループの関係会社であり、より多くの利益をもたらす大規模かつ付加価値の高い
プロジェクトを引受けることが可能である。過去数年において、韓国における住宅の価格を規制するために政府により
導入された複数の方策及び土木工事プロジェクトの委任における安値入札による契約の支持の増加により、近年の韓国
の建設業界の競争は激しくなった。海外市場において、㈱POSCO建設は、現地建設会社及び海外で事業を行う韓国の主
要な建設会社並びにその他諸国の国際的建設会社との競争に直面している。
その他
多角化努力の一環として、当社は、発電、LNGロジスティックス、多様な工業製品の製造並びにネットワー及びシス
テム統合を含む、当社の鉄鋼、貿易及び建設セグメントを補完するビジネス機会の特定に注力している。
POSCOエナジー㈱
2006年に当社は1,800メガワットの総発電能力を有するLNG複合サイクル発電施設を運営する韓国最大の民間電力会社
を買収し、その後POSCOエナジー㈱に名称変更した。当社による買収後、POSCOエナジー㈱は、韓国及び東南アジアにお
ける発電能力を有する発電所を増設し、同社の発電能力を拡大した。POSCOエナジー㈱の総発電能力は、2018年12月31
日現在約4,570メガワットであった。
POSCOエナジー㈱はまた、エネルギー問題解決策の総合的供給業者となるために、太陽光、風力及びその他の再生可
能エネルギー事業の拡大の機会を選択的に模索している。
LNGロジスティックス
当社は、光陽において、年間最高2.4百万トンのLNGを処理できるLNG受入基地を運営している。当社のLNG基地の運営
効率を最大限に高めるために、当社は、LNGの貿易及びLNG船舶ガス試験事業に参加している。2019年4月、当社取締役
会はLNGロジスティックスの事業をPOSCOエナジー㈱に譲渡することを決定した。当該譲渡は2019年9月に完了する予定
である。
その他
(株)POSCOケミカル(旧㈱POSCOケムテック)は、主に耐火物の製造及び広範な化学製品などの加工品の製造を専門に
行っている。同社は、電池材料の生産を専門に行う当社の子会社であったPOSCO ESM Co., Ltd.との合併後、2018年に
アノード及びカソード電極の製造事業に進出した。㈱POSCOエムテックは、鉄鋼の製造過程で過剰酸素を除去し鉄鋼製
品の耐久性向上のために用いられる物質であるアルミニウム脱酸剤の生産及び製鉄施設のために一貫した鉄鋼製品包装
ソリューションの提供を行っている。㈱POSCO ICTは、情報技術コンサルティング、システム・ネットワーク統合及び
アウトソーシング・サービスを提供する。
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5【従業員の状況】
(1)従業員数
2018年12月31日現在、当社は16,634人の子会社従業員を含む33,784人の従業員を有している。全従業員のうち約80%
は技術者又は技能労働者であり、約20%が管理部門に属する。当社は、保守管理、清掃及び輸送活動に下請業者を使用
している。2017年12月31日現在、当社は15,232人の子会社従業員を含む32,287人の従業員を有していた。2016年12月31
日現在、当社は15,184人の子会社従業員を含む31,768人の従業員を有していた。
(2)従業員の賃金、賞与、退職給与制度及び保険給付金等
当社の従業員の賃金は韓国の製造業において最も高い水準に入る。基本月給に加え、従業員は定期的に賞与及び手当
の支給を受ける。基本給は、毎年、経営側と労働組合の多数との交渉に従い決定される。
韓国国民年金法に従い、当社は従業員の標準月給の4.5%に相当する金額を、また各従業員は標準月給の4.5%を、各
従業員の個人年金口座に拠出している。執行役員及び執行役員以外の従業員を含む当社の従業員は年金保険制度の対象
であり、当社は当該制度に基づき従業員の年金口座に毎月拠出しており、従業員は退職後に各自の年金口座から支払を
受ける。2010年以前は、当社の執行役員及び執行役員以外の従業員は退職金一時払い制度の対象であり、当該制度に従
い退職時の勤続期間及び給与水準に基づき、退職後に退職金を一括払いで受取る権利を有していた。2011年より、韓国
労働者退職給付保障法(Korean Employee Retirement Income Security Act)に従い、当社はかかる退職金一時払い制度に
代えて、現在の年金保険制度を確定給付プラン及び確定拠出プランの両形式で導入した。当社の従業員は、確定給付プ
ランか確定拠出プランのどちらかを選択することができる。連結財務書類の注記21を参照のこと。当社が現在の年金保
険制度を採用する以前に発生した一時払い退職金は、引続き支払われる。また、当社は、住宅供給、住宅ローン、会社
提供による病院及び学校、会社提供の年金プログラム、従業員福利基金、労災保険及び文化・運動施設を含む多種多様
の福利厚生を提供している。
2018年12月31日現在、当社の従業員は、従業員持株会を通じて当社株式の約1.69%を従業員口座に保有していた。
(3)労働組合の状況
当社は従業員と良好な関係にあると考えている。現在まで、作業停止やストライキが発生したことはない。限られた
数の当社従業員が、韓国金属加工業労働組合連合又は韓国金属加工業労働組合に所属している。現在、韓国金属加工業
労働組合連合が当社経営陣と雇用条件の交渉を行っている。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1)競争状況
① 国内市場
現在、当社は韓国における最大の一貫生産体制を備えた製鉄会社である。単体ベースで当社の市場シェアが2018年に
は約52%であったと当社が考える熱延製品は、小ミルを運営し、スラブより熱延コイル製品を製造する韓国の製鉄会社
並びに中国及び日本を中心とする多くの海外製造業社との競争にさらされている。単体ベースで当社の市場シェアが
2018年にはそれぞれ約61%及び40%であったと当社が考える冷延製品及びステンレス鋼製品は、より小規模の国内の専
門製造業者並びに中国及び日本を中心とする多くの海外製造業者との競争にさらされている。国内市場シェアの考察に
ついては、下記「-3-(8)市場及び価格政策-①市場-(イ)国内市場」を参照。
当社は、将来、韓国市場において、鉄鋼製品の専門又は一貫生産を行う国内新興製造業者と、より激しく競争するこ
とになる可能性がある。韓国における当社の最大の競合企業は、年間粗鋼生産量約21百万トンであったHyundai Steel
Co., Ltd.である。
韓国政府は、国内の鉄鋼製造者に対し市場割当を課すことはなく、助成金を提供することもない。また、世界貿易機
関の加盟国として、韓国はすべての鉄鋼関税を撤廃した。
② 輸出市場
当社は、輸出市場において、世界の一流製鉄会社と競争している。過去10年間において、当社の競争相手である会社
間において産業統合の傾向が見え、今日のグローバルな製鉄市場においては当社より小規模である競争企業が、将来よ
り大規模な競争企業になる可能性がある。近年、経済成長の減速に伴う中国における鉄鋼製品に対する国内需要の低迷
及び鉄鋼生産能力の拡大により、中国の鉄鋼業界において過剰生産が生じたため、中国政府は、2016年における宝鋼集
団と武漢鋼鉄集団との合併などの鉄鋼業界の統合を積極的に進め、その結果、少数で大規模な鉄鋼製造業者により世界
の鉄鋼市場における効率的な競争が可能となった。ArcelorMittal S.A.及び日本製鉄株式会社(旧新日鐵住金株式会
社)のような著しい生産能力を有する世界的な製鉄会社並びに特に中国及びインドなどの新興市場からの競合により、
競争が激化する可能性がある。主要な競争要因は、提供できる製品の範囲、品質、価格、納期及び顧客サービスを含
む。当社より大規模な競合企業は当社よりも豊かな資源を利用し、更なる買収を行うこと、製品開発及び生産能力によ
り積極的に投資すること並びに当社の輸出製品に対する需要を取って代えることを含めた様々な方法で当社に対抗する
可能性がある。
現在、多くの輸出市場は各種鉄鋼製品に対して関税を課している。しかし、関税は当該市場における当社の競争力に
重大な影響を及ぼすものではないと考える。
(2)保険
当社は、当社が考える韓国における市場慣行に沿って有形固定資産に対する損害保険を維持している。
(3)インフレ
韓国のインフレ率は、2016年には1.0%、2017年には1.9%及び2018年には1.5%であったが、近年において当社の業績に
は大きな影響を与えていない。
(4)市場リスクに関する定性的及び定量的開示
当社は、主として原債務に関連する外国為替及び金利リスクにさらされており、主要原料の商品価格の変動にさらされ
ている。これらのポジションを評価した後、当社は、主に外国為替レート及び金利リスクに関し、これらのリスクを管理
するためのデリバティブ金融商品を選択し、契約を締結する。これらの契約は、貸倒のリスクを最小化するため主要金融
機関との間で締結される。当社の市場リスク管理方針は、市場リスク許容水準、測定期間、支配責任、管理手続き、ヘッ
ジ期間及びヘッジ率を非常に細かく決定するものである。当社はまた、全ての投機的ヘッジ取引を禁止し、売掛金及び買
掛金に対する外国為替エクスポージャーを評価し、管理している。
デリバティブ契約に関連する当社の損失エクスポージャーのうち制限のないものはなく、当社は、当社のデリバティ
ブ・ポジションの純額が、韓国ウォンに対する主要な通貨の著しい変動により、当社の税引前利益又は総株主資本に対し
て重大な損失をもたらす可能性はないと確信している。主に外国為替リスクを管理するヘッジ商品である当社のデリバ
ティブ契約の性質により、デリバティブ取引の純損益及びデリバティブの評価額は、通常、外国為替取引及び外貨換算に
おける純損益により相殺される。当社は、2016年にデリバティブ取引の純損失22十億ウォン及びデリバティブ評価純損失
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16十億ウォンを計上し、2017年にデリバティブ評価純損失162十億ウォン及びデリバティブ取引の純損失26十億ウォンを計
上し、2018年にデリバティブ評価純利益56十億ウォン及びデリバティブ取引の純利益39十億ウォンを計上した。
(a)為替リスク
韓国は、当社の最も重要な市場であり、当社のキャッシュフローの大きな割合がウォン建てである。当社の輸出
の大部分は、ドル建てである。日本もまた、当社にとっての重要な市場であり、当社は、多額の円建てのキャッ
シュフローを持つ。当社は、外貨建負債及び想定される外貨支払に関する為替リスクを抱えている。多額かつその
ほとんどがドル建てである想定される外貨支払は、主として輸入原料費及び運送費に関するものである。外貨建負
債は、主として外貨建債務に関連する。
当社は、外貨による売掛金を外貨による買掛金と一致させることにより、外国為替リスクを自然に相殺するよう
努めており、当社の海外子会社は、為替レート変動による悪影響をさらに軽減するために、取引が行われるそれぞ
れの市場における現地通貨で取引を行うよう努めている。特に、POSCOインターナショナルのウォン/米ドルレート
を含む為替レート変動に対するエクスポージャーについては、貿易取引では、通常、購入契約及び販売契約が対当
しており、その結果として決済リスクが限定されているため、また、輸出向け製品の国内供給業者及び輸入製品の
国内購買者とPOSCOインターナショナルとの間の契約が通常米ドル建であるため、制限されている。かかる戦略によ
り、為替レート変動の影響は一部軽減されるものの、当社及び当社の子会社(特にPOSCOインターナショナル及び㈱
POSCO建設)は、主に外国為替スワップ及び為替予約契約などのデリバティブ契約を定期的に締結し、複数の外国為
替リスクをさらにヘッジしている。
当社の為替リスクのエクスポージャー及び対ウォン為替レートの10%の変動による損益の変動は下表の通りであ
る。
12月31日終了年度
2017年 2018年
増加 減少 増加 減少
(単位:十億ウォン)
米ドル
(173) 173 (204) 204
日本円 (54) 54 (29) 29
ユーロ 10 (10) 15 (15)
(b)金利リスク
当社は、また、金利変動から生じる市場リスクを抱えている。とりわけ、当社は、既存の変動金利借入並びに設
備投資及び既存の借入の借換えなどの様々な理由により当社が定期的に行う追加的な社債発行による資金調達にお
いて、金利リスクにさらされている。金利の上昇は、当社の既存の変動金利借入のコストを上昇させる。変動金利
率による借入の金利が1%上昇又は下落した場合(他の変数は全て一定とする。)、適用ある期間の損益に与える
影響は下表のとおりである。
12月31日終了年度
2017年 2018年
(単位:十億ウォン)
年間利益及び純資産の増加又は減少
100 85
金利の低下もまた、大半が固定金利である当社の債務ポートフォリオの公正価額を増加させる。当社は、随時その
債務の一部につきその金利変動リスクを軽減するために金利スワップを限定的に利用し、また、変動及び固定利息
債務のバランスを取ることにより支払利息を管理する。
次の表は、2018年12月31日現在の、為替レート及び/又は金利に敏感な当社の短期及び長期負債の簿価、公正価
額、満期日別元本キャッシュ・フロー及び加重平均利率を示す。情報は当社の報告通貨であるウォンで表示されて
いる。
満期
2018年12月31日 2017年12月31日
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 以後
合計 公正価額 合計 公正価額
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(利率を除き十億ウォン)
現地通貨:
2,426 736 1,871 254 150 270 5,707 5,620 5,983 5,882
固定利率
2.78% 2.87% 3.15% 2.68% 2.79% 2.98% 2.92% 3.12 %
加重平均
(1)
利率
333 32 68 11 60 8 512 511 1,062 1,062
変動利率
2.82% 2.53% 2.22% 3.26% 3.49% 1.83% 2.80% 2.98%
加重平均
(1)
利率
2,759 768 1,939 265 210 278 6,219 6,131 7,045 6,944
小計
外貨(主にド
ルと円):
3,052 1,011 1,180 1 658 124 6,026 5,944 5,157 5,016
固定利率
加重平均
2.87% 3.86% 3.92% 1.34% 3.98% 2.51% 3.33% 3.05%
(1)
利率
3,748 525 852 ▶ 475 2,360 7,964 7,966 8,861 8,871
変動利率
加重平均
2.54% 4.19% 4.53% 5.11% 3.09% 8.98% 4.80% 4.33%
(1)
利率
小計
6,800 1,536 2,032 5 1,133 2,484 13,990 13,910 14,018 13,887
合計
9,559 2,304 3,971 270 1,343 2,762 20,209 20,041 21,063 20,831
(1)年度末のポートフォリオの加重平均利率。
2【事業等のリスク】
投資家は、以下に記載されたリスクを慎重に検討すべきである。
世界的な景気の低迷が当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性がある。近い将来における経済見通しは引続き不確実
である。
当社の事業は、建設、自動車、造船及び電気機器業界を含む複数の業界並びに世界経済の全般的な状況に敏感な川下鉄
鋼製造業者からの当社の鉄鋼製品に対する非常に循環的な市場需要の影響を受ける。経済成長率、雇用水準、利率、イン
フレ率、為替レート、物価、人口統計学的傾向及び政府の財政政策などのマクロ経済の要因は、かかる業界に対して重大
な影響を及ぼす可能性がある。その時々に、これらの業界は、結果として当社の鉄鋼事業に悪影響を及ぼす重大かつ時に
は長期にわたる低迷を経験している。近年において世界経済状況は低迷しており、世界の金融及び資本市場において相当
な変動があった。かかる動向は、とりわけ中国及びその他主要な新興市場における経済成長の減速、ヨーロッパ及びラテ
ンアメリカにおける厳しい経済的及び政治的環境並びに北朝鮮及び複数の中東地域において継続する地政学的及び社会的
な不安定性並びに英国によるEU離脱(以下「Brexit」という。)の時期及び方法に関する不確実性に加え、米国と中国、
カナダ及びメキシコを含む米国の主要貿易相手国との経済及び貿易関係の悪化により引き起こされ、悪化し続けている。
世界経済状況の現実的な又は予想されるさらなる悪化は、当社製品に対する需要の低迷をもたらし、それらの販売価格
に悪影響を及ぼす可能性がある。そのような場合、当社は価格の引下げの圧力に直面し、生産能力を合理化し、低下を引
下げなければならない可能性がある。過去に当社は、世界的な景気の悪化の悪影響を受けた産業における当社の顧客から
の低迷する需要に対応して、粗鋼生産の水準及び販売価格を調整した。当社は、2016年において42.2百万トン、2017年に
おいて42.2百万トン及び2018年において42.9百万トンの粗鋼及びステンレス鋼生産を記録した。半製品及び鉄鋼製品の1
トン当たり平均販売単価は、2016年において745千ウォン、2017年において904千ウォン及び2018年において934千ウォンで
あった。
当社の鉄鋼製品及び取引サービスに対する需要の変動は、少なくとも近い将来においてはさらに続くものと予想してい
る。当社は、当社製品の市場需要、世界鉄鋼産業の生産見通し及び世界の経済状況一般によっては、当社の将来の粗鋼生
産又は販売価格をさらに調整する決定をする可能性がある。さらに、韓国及び世界経済の悪化は、複数の業界からの鉄鋼
製品に対する脆弱な需要及び輸出入製品の価格低下並びに貿易水準の低下により特徴づけられる市場状況をもたらす可能
性がある。市場状況の悪化は、一定の資産の帳簿価格の基礎となる仮定の変動につながる可能性もあり、これはさらに、
のれん等無形資産を含むかかる資産の減損につながる可能性がある。さらに、競争的な地位を維持する必要性から、業界
の低迷において生産設備及び研究開発費用を削減する当社の能力は限られている。もしも当社が、価格及び販売量の減少
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を相殺できるほどの費用を削減できない場合、当社の利益率は打撃を受け、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及
ぶ可能性がある。
韓国は当社にとって最も重要な市場であり、韓国における経済状況の悪化は当社の現在の事業及び将来の成長に大いに悪
影響を及ぼす可能性がある。
当社は韓国で設立され、当社の事業及び資産の大部分が韓国にある。韓国市場は当社により生産及び販売された鉄鋼製
品の2018年の売上高の38.4%を占め、当社のもっとも重要な市場である。当社製品に対する国内需要は、建設、造船、自
動車、電化製品及び川下鉄鋼加工業者などの主要鉄鋼消費業者の状況、並びに韓国全般の経済状況に影響される。さら
に、POSCOインターナショナルの貿易事業は、韓国と諸外国との貿易水準の影響を受けるので、韓国及び世界経済の全般的
な状況により変動する傾向がある。結果的に、当社は韓国特有の政治的、経済的、法的及び規制上のリスクにさらされて
おり、当社の業績及び事業計画の達成は韓国経済全体に大きく依存している。
近年の韓国の経済指標はあいまいな兆候を示し、将来の韓国経済の成長は、世界経済の発展を含め、当社の制御できな
い多くの要因に左右される。
近年の世界的金融市場における悪条件及び乱高下、石油及び商品価格の変動並びに世界経済の全体的な脆弱性は、世界
経済の見通し全般の不確実性に拍車をかけ、韓国経済に悪影響を及ぼし、今後も悪影響を及ぼす可能性がある。主要な外
貨に対するウォンの価値もまた著しく変動し、世界経済及び韓国経済の変動により、韓国企業の株価は、近年著しく変動
している。将来における韓国総合株価指数(以下「KOSPI」という。)の下落及び海外投資家による大規模な韓国有価証券
の売却並びにかかる売却による手取金の本国への回帰により、ウォンの価値、韓国金融機関が保有する外貨準備高及び韓
国企業の資本調達能力に悪影響が及ぶ可能性がある。韓国及び世界経済の将来的な悪化は当社の事業、財務状況及び業績
に悪影響を及ぼす可能性がある。
韓国経済に悪影響を及ぼす可能性のある展開には以下を含む。
・ 消費者信頼感の低下及び消費支出の低迷
・ 領土問題若しくは貿易問題又は外交政策における意見の相違(韓国及び韓国の最大の輸出市場である中国との間で現
在繰り広げられている、2017年3月における米国による韓国における終末高高度防衛システムの配備並びにそれに引
き続く2017年における中国による韓国に対する経済その他の手段による報復措置に関する論争等)など、韓国及び貿
易相手国若しくは同盟国との経済又は外交関係の悪化
・ 中国、米国、欧州及び日本等、韓国の重要な輸出相手市場である国及び地域又はアジアその他の新興市場国の経済情
勢の悪化並びにBrexitに関する不確実性
・ 外貨準備水準、商品価格(石油価格を含む。)、為替レート(米ドル、ユーロ若しくは日本円の為替レートの変動又
は中国人民元の切り上げ)、金利、インフレ率及び株式市場の有害な変動又は不安定性
・ 特定の国々のデフォルト・リスクの増加及びそれによる世界金融市場への悪影響
・ 韓国の大企業グループ及び最高幹部に対する違法行為に関する捜査
・ 韓国の家庭における負債水準の継続的な増加並びにリテール及び中小企業の借り手による延滞及びクレジット・デ
フォルトの増加
・ 社会不安及び労働不安
・ 韓国の不動産市場価格の下落
・ 懸案中若しくは今後の自由貿易協定による経済的影響又は既存の自由貿易協定に対する何らかの変更
・ 政府財政赤字を増加させる税収の減少並びに財政刺激策、失業手当並びにその他経済及び社会プログラムに関する政
府の歳出の大幅な増加
・ 韓国の事業グループ、その他の問題を抱えた大手企業、そのサプライヤー又は金融セクターの再編に関する財政的問
題又は進展不足
・ 企業財務上の不正又は特定の韓国企業に関する企業統治問題に起因する投資家の信認の失墜
・ 韓国の老齢人口を支援する社会的支出の増加又は韓国の人口の減少に起因する経済的生産性の低下
・ 地政学的不安定性及び世界中のテロ組織による更なる攻撃を受けるリスク
・ 2015年の韓国における中東呼吸器症候群を含む韓国又は世界の他の地域における伝染病の発生
・ 韓国又は主要な貿易相手国の経済その他に重大な悪影響を及ぼす自然災害又は人為的災害
・ 韓国における政党間若しくは政党内の政治不安又は紛争の増加
・ 中東及び北アフリカ産油諸国間における対立又は政治的若しくは社会的緊張並びに石油の世界的供給又は石油価格の
急上昇に関する重大な紛争
・ 韓国の貿易相手国との間に摩擦を生じさせる可能性のある外債務返済のための輸出への依存の増加
・ 利益(中国への輸出の増加など)が費用(輸出市場又は海外投資などにおける競争及び韓国から中国への製造基盤の
移行など)を上回る規模の、中国経済の持続的成長
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・ ロシアに関連する政治的又は社会的緊張並びにそれに伴う石油の世界供給又は世界金融市場への悪影響
・ 韓国若しくは米国及び北朝鮮間における緊張の度合いの増大又は対立の発生
当社は総売上の重要な一部となる輸出販売に依存している。アジアにおける将来的な経済及び金融情勢の悪化はアジアで
の当社製品に対する需要に悪影響を及ぼし、当社の外国為替リスクを増大する可能性がある。
海外顧客に対する当社の輸出販売及び海外販売は、2018年に当社により生産及び販売された鉄鋼製品の総売上高の
61.6%を占めた。中国、日本、インドネシア、タイ及びマレーシアを含むアジアの顧客に対する輸出販売は、当社により
生産及び輸出された鉄鋼製品の2018年の総輸出売上高の62.6%を占めており、当社はこれら諸国に対する販売は今後増加
する可能性があると見込んでいる。特に中国に対する当社の輸出量は近年増加しており、2018年における鉄鋼製品の総輸
出売上高の28.9%を占めた。従って、これら諸国における経済及び金融情勢の悪化は当社製品の需要に悪影響を及ぼす可
能性がある。好ましくない又は不確実な経済及び市場状況は、とりわけ、金融セクターにおける問題、市場の信頼性を低
下させる可能性のある、韓国の企業、政治その他のスキャンダル、企業信頼性の低下、インフレの増大、自然災害若しく
は感染病、戦争行為の発生又はその他の地政学的不安によって引起こされる可能性がある。経済又は韓国とその貿易相手
国若しくは同盟国との間の外交関係(領土問題若しくは貿易問題又は外交政策における意見の相違(韓国及び韓国の最大
の輸出市場である中国との間で繰り広げられている、2017年3月における米国による韓国における終末高高度防衛システ
ムの配備並びにそれに引き続く2017年における中国による韓国に対する経済その他の手段による報復措置に関する論争
等)を含む。)又はこれら及びその他要因との組合せにより、当社の製品は過去に悪影響を受けたことがあり、将来にお
いても重大な悪影響を受ける可能性がある。
アジアにおける景気の低迷もまた、建設、造船、自動車、電気製品及び川下鉄鋼加工産業における企業を含む、かかる
地域へ輸出を行う韓国企業に対する当社の売上に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの国々での需要の低下は、世界的
な鉄鋼生産能力の増加と相まって、アジアにおける顧客に販売される世界的な鉄鋼産業における過剰生産能力についての
議論は、「当社は、競争率の高い鉄鋼、貿易及び建設産業において事業を行っており、競争における失敗は、当社の市場
ポジション及び事業に悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。当社の主要製品のドル建ての輸出価格を引き下げ
る可能性がある。当社は外貨購入と債務返済義務のための外貨獲得を目的で輸出売上を維持し拡大することを試みてい
る。従って、当社の輸出売上の低下も当社の外国為替リスクを増加させる可能性がある。
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米ドル及びその他主要外国通貨に対するウォンの価値が下落した場合、当社の業績及び米国預託株式(以下「ADS」とい
う。)の価格に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社の連結財務書類は、当社の現地通貨建ての財務結果、資産及び負債並びに全世界における当社の子会社に基づき作
成されてから、ウォンに換算される。当社の連結財務結果の大部分は、ウォン以外の通貨が占める。従って、当社の連結
財務結果並びに資産及び負債は、外貨の為替レートの変動に著しく影響される可能性がある。2018年において、当社によ
り生産及び販売された鉄鋼製品の総売上高の61.6%は、韓国以外の海外市場におけるものであった。当社が、費用をある
通貨で発生させ、別の通貨で販売を行う限り、当社の利益率は、その2つの通貨の為替レートの変動に影響を受ける可能
性がある。売上が計上される際の通貨と費用が発生する際の通貨が同一ではない可能性があるため、外国為替レートの変
動は当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。ウォンの下落がとりわけ以下を引き起こすため、当社の業績に重大
な影響を及ぼす可能性がある。
・外貨建債務の元利金の支払いをするのに当社が必要なウォン金額の増加。
・当社が海外から購入する原料及び設備の費用並びに運送費の大部分(主に米ドル建て)のウォン建て金額の上昇。
・会計目的上、当社の売上高を低下させる外貨建て負債に関する外貨換算損失
一方、主要な通貨に対するウォンの上昇は、以下を引き起こす。
・米ドル、日本円及び中国人民元建て価格を上昇させるため当社の輸出製品の競争力を弱める。
・主としてドル建て、またより少ない程度で日本円及び中国人民元建ての輸出によるウォン建ての売上高及び売掛金残
高を減少させる。
主要な通貨に対するウォンの変動による全体的な影響は予測が難しく、毎年変化する。当社は、外貨による売掛金を外
貨による買掛金と一致させることにより、外国為替リスクを自然に相殺するよう努めており、当社の海外子会社は、為替
レート変動による悪影響をさらに軽減するために、取引が行われるそれぞれの市場における現地通貨で取引を行うよう努
めている。特に、POSCOインターナショナルのウォン/米ドルレートを含む為替レート変動に対するエクスポージャーは、
通常、貿易取引では購入契約及び販売契約が対当しており、それにより決済リスクが限定されるため、及び輸出向け製品
の国内供給業者及び輸入製品の国内購買者とPOSCOインターナショナルとの間の契約が通常米ドル建であるため、制限され
ている。かかる戦略により、為替レート変動の影響は一部軽減されるものの、当社及び当社の子会社(特にPOSCOインター
ナショナル及び㈱POSCO建設)は、主に外国為替スワップ及び為替予約契約などのデリバティブ契約を定期的に締結し、外
国為替リスクの一部をさらにヘッジしている。しかしながら、当社の業績は、歴史的に為替レートの変動に影響を受けて
おり、かかる戦略が将来におけるかかる変動による悪影響を軽減又は除外するために十分であるという保証はない。
ウォン及びドル間の為替レートの変動は、韓国取引所における当社の普通株式のウォン建て株式価格のドル相当額に影
響を与えるものであり、結果として、ADSの市場価格にも影響を与えかねない。当該変動は、ADSに表章される普通株式へ
の現金配当がウォンで支払われた場合、かかる現金配当のADR預託機関によるドル転換にも影響を与えることになる。
当社は輸入原料に依存しており、主要な原料の市場価格の高騰は当社の利鞘及び利益に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は使用する主要原料(鉄鉱石及び石炭を含む。)の実質全てを韓国外から購入している。2018年に当社は約54百万
ドライ・メトリック・トンの鉄鉱石及び約29百万ウェット・メトリック・トンの石炭を輸入した。鉄鉱石は主にオースト
ラリア、ブラジル及びカナダから輸入している。石炭は主にオーストラリア、カナダ及びロシアから輸入している。当社
はこれまでに重大な予期せぬ供給の中断を経験したことはないが、当社が原料を輸入している国における政治的若しくは
その他事由によりこれが起こった場合、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。 さらに、当社は、当社の売上原価
の大きな部分を占める石炭、鉄鉱石及びニッケル価格の上昇にさらされている。当社の主要な原料の価格は近年、著しく
変動している。例えば、石炭1ウェット・メトリック・トン当たりの平均市場価格(Plattsが公表したPremium Low Vol
Coking Coal, FOB Australia Index)は2016年には143米ドル、2017年には188米ドル及び2018年には207米ドルであった。
鉄鉱石1ドライ・メトリック・トン当たりの平均市場価格(Plattsが公表したIron Ore 62% Fe, CFR China Index)は、2016
年には58米ドル、2017年には71米ドル及び2018年には69米ドルであった。
当社の長期供給契約は、通常、契約期間が3~10年で、その時の市場価格に合わせた定期的な価格調整について規定し
ている。当社は通常、四半期ベースで価格を調整しており、約1か月分の原料の在庫を保持している。かかる価格調整
は、世界経済の見通し、原料及び鉄鋼製品の世界市場価格、原料の需給見通し、及び原料の生産費用を含む複数の要因の
影響を受ける。石炭及び鉄鋼石双方について、通常、当社は、Plattsが定期的に公表するスポット市場価格に基づく購入
価格(Premium Low Vol Coking Coal, FOB Australia Index及びIron Ore 62% Fe, CFR China Index)で供給者と合意す
る。2018年12月31日現在、鉄鋼石100百万トン及び石灰14百万トンが引続き長期供給契約に基づき購入されている。主要な
原料の価格が将来、さらに上昇し、当社がその上昇を当社の顧客に転嫁できない場合には、当社の利鞘及び利益に悪影響
が及ぶ可能性がある。また、急激な価格の低下は、価格が高い時に購入した原材料の在庫の評価損を増加させる可能性が
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ある一方で、価格の上昇は潜在的な顧客が鉄鋼製品の購入を見送る原因となり得るため、そのいずれもが、当社の事業、
財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、競争率の高い鉄鋼、貿易及び建設産業において事業を行っており、競争における失敗は、当社の市場ポジション
及び事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
鉄鋼
当社の鉄鋼製品の市場は競争が激しく、当社は緊迫した国際競争に直面している。中国は、大差で世界最大の鉄鋼生産
国であり、その国内生産と需要が世界鉄鋼価格の決定において重要な要因となる。近年、経済成長の減速に伴う中国にお
ける鉄鋼製品に対する国内需要の低迷及び鉄鋼生産能力の拡大により、中国の鉄鋼業界において過剰生産が生じたため、
中国政府は、2016年における宝鋼集団と武漢鋼鉄集団との合併などの鉄鋼業界の統合を積極的に進め、その結果、少数で
大規模な鉄鋼製造業者により世界の鉄鋼市場における効率的な競争が可能となった。さらに過去において、世界の鉄鋼産
業では統合が行われており、それらには2006年のMittalとArcelorの合併及び2012年の新日本製鐵と住友金属工業の合併が
含まれる。拡大された生産能力を有する世界的鉄鋼製造会社との競争や、特に中国やインドなどの新興市場からの競合他
社との競争は、著しい価格競争をもたらし、将来において結果的に利益の低下や売上高の減少につながる可能性がある。
当社の大手競合相手は、当社より豊かな資源を活用し、追加的買収を行う、製品開発又は生産能力に対しさらに積極的に
投資する、当社製品への需要を圧排するなど、さまざまな方法を用いて、当社に対抗する可能性がある。
過去において、増加した生産能力は、世界経済の減速による需要減少と相まって、その時々に世界鉄鋼産業の生産能力
の過剰を生じたため、今度は世界の鉄鋼価格に対する引下げ圧力を生む結果となった。例えば、2018年第4四半期におい
て、中国からの需要減少及び中国鉄鋼業界の統合で生き残った中国の製鉄業者の生産能力の増加を要因の一部として、世
界の鉄鋼価格が下落した。世界経済の成長が減速し、又発展途上国、特に中国からの需要増加が生産能力の拡大に後れを
取れば、世界鉄鋼産業において生産能力の過剰が激化する可能性はある。世界鉄鋼産業における過剰生産能力は以下をも
たらす可能性が高い。
・当社の主要製品のドル表示輸出価格を引き下げ、さらに韓国での販売価格を下落させる可能性がある。
・他の市場が減速している中、海外の生産業者が鉄鋼製品を韓国に輸出しようとするため、韓国市場における競争が増
加する。
・当社製品の海外での需要及び当社が輸出販売を拡大する能力にマイナスの影響を与える。
・当社の鉄鋼生産全般を増加する能力に影響を与える。
鉄鋼はまた、アルミニウム、セメント、複合材、ガラス、プラスチック及び木材といった鉄鋼代替物として用いられる
可能性がある天然材料及び合成材料と競争している。環境その他の理由にかかわらず、鉄鋼の代わりにかかる材料を使用
することを命じる政府規制の取組み及び魅力的な鉄鋼製品の代替物の開発は、鉄鋼製品の需要を減少させ、国際鉄鋼産業
における競争を増大させる可能性がある。
かかる挑戦的な展望における戦略のひとつとして、当社は引続き、最大限の利益をもたらす革新的な製品開発への投資
を行い、当社製品の総合的な品質を強化し、新たな製造技術の開発に対する追加的な投資を行っていく。しかしながら、
現在の経済状況下において当社が競争力を維持し続ける、又は世界経済の低迷及び過剰な生産能力が当社の事業、営業成
績又は財務状況に重大な悪影響を及ぼさないとの保証はできない。
貿易
POSCOインターナショナルは、主に韓国の他の総合貿易会社と競合しており、それらは、主要な国内事業グループ及び海
外に拠点を有する世界的な貿易会社の関係会社である。国内市場においては、主要な韓国の事業グループの関係会社であ
る総合貿易会社のほとんどは、通常、貿易事業の大半を関係会社間取引に依存しているため、国内供給業者に代わる輸出
取引及び国内購買者に代わる輸入取引の競争は限定されている。しかしながら、近年において、それらの韓国の総合貿易
会社の多くは、関係事業グループへの依存及び関係会社に代わる取引の遂行を減らし、競争において利点を有する輸出入
市場のセグメントに焦点を当てるようになった。結果として、従来の取引が行われていた地域における韓国の総合貿易会
社間の競争は、さらに激しくなった。
POSCOインターナショナルが事業を展開する国際貿易市場もまた、大変競争が激しい。海外貿易市場におけるPOSCOイン
ターナショナルの主要な競合企業には、さまざまな国際市場において事業を展開する韓国の貿易会社及び特に日本を拠点
とする海外の貿易会社が含まれる。POSCOインターナショナルが、天然資源開発など、従来の貿易以外の事業を多角化する
と同時に、同社は、それら事業に関与するその他の韓国及び海外企業との競争も激しくなる。POSCOインターナショナルの
競合他社のいくつかは、より経験が豊富であり、より多くの財源及び価格決定の柔軟性並びに幅広い世界的ネットワーク
及びより広範な顧客アクセスを有する可能性がある。POSCOインターナショナルがかかる経済環境において引続き競争に成
功し、世界経済の長期的な停滞が、同社の事業、業績又は財務状況に重大な悪影響を及ぼさないという保証はない。2018
年において、当社はPOSCOインターナショナルの使用価値の減少に関連したのれんの減損159十億ウォンを認識した。
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建設
㈱POSCO建設は、非常に競争の激しい建設産業において事業を営んでいる。競争は、主に価格、品質に対する評判、信頼
性、期限の厳守及び請負業者の財務体質に基づく。建設会社間の激しい競争は、とりわけ、㈱POSCO建設が同社のサービス
に対して請求する価格を低下させ、建設プロジェクトにおける落札を困難にし、建設費用を増加させ、質の高い建築請負
業者及び資格を持つ従業員の獲得を困難にする可能性がある。
韓国における、住宅及び非住居用建物の建設、EPC(設計・調達・建設)プロジェクト、都市計画及び開発プロジェクト
並びに土木工事プロジェクトに関する㈱POSCO建設の主な競合は、約10社の主要な国内建設会社により構成され、それらの
多くは、韓国における大規模事業グループの関係会社であり、より多くの利益をもたらす大規模かつ付加価値の高いプロ
ジェクトを引受けることが可能である。過去数年において、韓国における住宅の価格を規制するために政府により導入さ
れた複数の方策及び土木工事プロジェクトの委任における安値入札による契約の支持の増加により、近年の韓国の建設業
界の競争は激しくなった。
海外市場における新プロジェクトの獲得に対する競争も激しい。これらの市場において、㈱POSCO建設は、現地建設会
社、海外で事業を行うその他の韓国の主要な建設会社及びその他の国の国際的建設会社との競争に直面している。その他
の先進国の建設会社は、㈱POSCO建設よりも多くの経験及び財源を有し、より優れた技術を有する可能性がある一方、発展
途上国の建設会社はしばしば、低賃金費用による利点を有している。これら競合他社のいくつかは、㈱POSCO建設が競争す
る特定の市場において有する市場浸透度よりも高い市場浸透度を達成している可能性があり、㈱POSCO建設は、それらの会
社に対抗するために低利益を受け入れなければならない可能性がある。㈱POSCO建設が国内又は海外建設市場において競争
に成功しない場合、同社の市場における地位並びに業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、多様化戦略を成功裏に実行できない可能性がある。
韓国の鉄鋼産業の結果的な成熟に備えるためにも、当社は過去10年において、鉄鋼部門及び天然資源開発におけるEPCプ
ロジェクトへの参加など、より大きな売上高を生む可能性があると当社が考える鉄鋼事業関連の新規事業への多角化、並
びに発電及び代替エネルギー・ソリューション、LNG及び農産物貿易並びに充電式電池用のアノード及びカソード電極材
料、その他リチウム、マグネシウム板、ニッケル及びコバルトなどの包括的材料の生産といった鉄鋼事業に関係のない新
規事業への参入などにより、新しい成長の原動力を確保することに投資を行っている。当社は、随時、かかる多様化戦略
を追及するため、選択的に会社の買収又は投資を行う可能性がある。
当社の多様化戦略の成功は、ある程度は、予期される成長の機会と相乗効果を実現する能力にかかっている。当社の多
角化の取り組みのいくつかは成功していない。例えば、当社が2011年に操業開始した光陽市の合成天然ガス製造施設にお
ける事業を廃止したことにより、2018年に810十億ウォンの減損損失を計上した。これは液化天然ガス(以下「LNG」とい
う。)の市場価格の下落による悪影響を受けたものである。予期される利益の実現は、資格要件を満たした人員の確保可
能性、多様な顧客及び供給業者との新しい関係の構築及び既存の関係の拡大、かかる新事業に必要なテクノロジーとノウ
ハウの確保並びに当社製品又はサービスの競争力を低下させるような競合製品又はサービスの価格引き下げといった膨大
な要素にかかっており、その幾つかは当社の支配能力を超えるものである。予期される利益の実現は、幾つかは支配能力
を超えるものもある膨大な要素のために、結果的に、妨害されたり、遅れたり、減じられたりする可能性がある。これら
の要因には、次のようなものがある。
・情報及び会計のシステム、人事、方針並びに手続など、買収した事業の運営統合における困難、並びに膨大な時間、
財源及び経営陣の注意を要する可能性のある、重複する業務、マーケティングのネットワーク、管理機能の再編成及
び削減における困難
・将来明らかになってくる可能性のある、買収に関連した予知できない偶発リスク又は潜在的債務
・より大規模な事業の運営における困難
・主要な経営陣の人員や顧客を失うこと
さらに、かかる買収の資金調達のため、当社は、手元現金、営業活動からの資金、株式及び負債証券の発行、並びに必
要な場合には、銀行その他の調達先からの資金調達及び金融投資家とのコンソーシアム契約を利用する意図がある。しか
し、当社が、かかる買収又は投資に十分な資金調達を獲得できる、あるいは当社にとって商業的に受け入れられる条件で
それを獲得できるという保証はできない。当社は、多様化戦略が完了して利益を生むこと、並びに、多様化に向けての活
動が当社の組み合わせた事業、財務状態及び運営の結果に悪い影響を及ぼさないことを保証できない。
当社の生産業務の海外展開は当社の長期的成功のために重要であるが、当社の海外事業に関する経験の浅さにより、海外
展開に対する取組みが成功しないリスクが高まる。
当社は国際取引及び海外での建設業務を行っており、当社の事業は海外の子会社、支社及び駐在員事務所で構成される
世界的取引ネットワークに依存している。多くの当社子会社及び海外支社は先進国に設置されているが、経済的に開発途
上の多数の国においても業務を行っている。また、当社はひとつには来るべき韓国鉄鋼市場の成熟への準備に関連し、と
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りわけ中国、インド、東南アジア及びラテンアメリカにおいて有望な投資機会を慎重に模索することにより、引続き鉄鋼
生産業務を国際的に拡大するつもりである。当社は、海外で当社の業務を行い、地域のネットワークを設立し、また海外
に おける販売及び営業努力を調整する事業について信頼のおける海外の鉄鋼生産業者との合弁事業に参加する可能性があ
る。当社がこれらのアレンジに参加する限りにおいて、当社の成功は、当社との提携に対し十分な資源を投入しようとす
る相手企業の意欲に部分的に依存することになる。
その他の状況では、当社は事業パートナーに頼ることなく、自らによる生産施設の設置を決定する可能性がある。当社
が海外で生産した製品に対する需要及び市場による受容は、非常に不確実であり、国際的鉄鋼市況に実質的に依存してい
る。当社は、当社の海外発展計画が有益なものとなる、又はかかる投資費用を回収できるという保証はできない。
当社の取引、建設及び生産業務の海外への発展には、経営上の配慮及び経営資源が必要である。また当社は、韓国国外
における事業展開に関し、以下のリスクに直面している。
・ 距離、言語及び文化的相違によって生じる課題
・ 国際的に事業を行うことに関連する費用の増加
・ 海外における利益の本国送金を妨げる可能性のある為替管理制度を含む、法的規制及び行政上の規制
・ 国によっては、支払サイクルの長期化
・ 信用リスク及び支払に関する高度な不正
・ 為替リスク
・ 悪影響を及ぼす可能性のある税効果
・ 政治的及び経済的不安定性
・ 国によっては、夏季の経済活動の季節的後退
当社が有する保険の補償には制限があり、運営上の障害、顧客からの製造物損害賠償請求又は事業の中断により重大な損
失が発生する可能性がある。
当社の製造設備の通常運営は、運営上の障害、電力供給の中断及び機器不良並びに自然災害による事故により中断され
る可能性がある。その他の工業会社と同様に、当社の運営には、火災、爆発、流出及び物的損害及び人身傷害若しくは死
亡を伴うその他の予想外若しくは危険な事故を引起す可能性のある危険物の使用、扱い、生産、処理、保管、輸送及び処
分が関係する。当社はまた、当社が販売する製品により傷害が起きた場合に、製造物損害賠償請求に関連するリスクにも
さらされている。当社は、当社が考える韓国における市場慣行に沿って有形固定資産に対する損害保険を維持している。
しかしながら、保険の補償額を超過する当社に対する損害賠償請求が成功した際に、当社は十分な資源を有していない可
能性がある。当社の運営に影響のある事故又はその他事象の発生は、当社の事業、財務状況及び業績に重大な悪影響を及
ぼす可能性のある重大な金銭的損害、資源の流用、生産の中断及び当社製品の納品の遅延を引起す可能性がある。
反ダンピング関税、セーフガード関税又は相殺関税措置の更なる増加又は新たな賦課により、当社の輸出販売が悪影響を
受ける可能性がある。
当社は、グローバルに販売及び事業を展開する鉄鋼製造業者として、米国を含む世界中の市場において貿易救済手続き
に関与している。当社は、悪影響及び関連するリスクを最小化するため、積極的にかかる手続きに参加又はかかる手続き
を検討している。近年において貿易訴訟が増加し、貿易に対する政府関係者による注目が高まる一方、かかる訴訟は全て
製品別及び市場別になってきており、当社の海外販売及び事業に関連する範囲に限定されている。当社は、引き続き、当
社が参加する全ての市場における貿易救済政策に関する進展について注意深く監視し、必要に応じて、米国国際通商裁判
所等の審判の前に訴訟を通じ当社の権利を積極的に防御する。現在、反ダンピング関税セーフガード関税、相殺関税、割
当て又は関税の対象となる当社の製品は、総合しても当社の総売上高における割合は重大ではなく、かかる手続きは近年
において当社の事業及び業績に重大な悪影響を及ぼしてもいない。しかしながら、当社製品の海外への輸出に対する反ダ
ンピング関税、セーフガード関税、相殺関税、割当量若しくは関税の一層の上昇又はそれらの新規賦課は、将来的に当社
の輸出に重大な悪影響を及ぼさないという保証はない。
当社は天然資源探査、開発及び生産プロジェクトに参加しており、それによりさまざまなリスクにさらされている。
当社の事業を多様化する努力の一環として、当社は有望な海外での天然資源探査、開発及び生産の機会を慎重に追求し
ている。例えば、2018年8月に当社はアルゼンチン北部のサラ・デル・オンブレ・ムエルト塩原におけるリチウム採掘権
を280百万米ドルで取得した。また当社は、POSCOインターナショナルによるミャンマーにおけるガス鉱区の採掘プロジェ
クトのように、コンソーシアムの一環として又は被支配持分の取得を通じて天然資源プロジェクトに参加している。当社
はまた、かかる活動に関与する会社又は事業を選択的に取得し、又はそれらに投資する可能性がある。これらの取決めを
締結する範囲において、これらの試みにおいて当社が成功するかは、一部分においては、当社のパートナー会社が当社と
の提携に対して十分な資源を提供する意欲がどれほどあるか及びかかる投資に対する当社の資金調達能力によって異な
る。
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海外におけるかかる活動に対する需要及び市場の受入れは、当社の従来の鉄鋼事業よりも非常に高い水準の不確実性の
影響を受け、世界の天然資源産業における市場状況及び対象国の政治的、社会的環境による。当社が参加するプロジェク
ト の成果は、軍事行為、政治不安又はテロ活動の勃発により悪影響を受ける可能性がある。さらに、現在の探査、開発及
び生産プロジェクトには、天然資源の埋蔵量が未確認な地所における試掘井戸の掘削が含まれる。開発又は試掘に関わら
ず、全ての掘削はリスクを伴うものの、試掘は空井戸の可能性や商業化するのに十分な量の資源を採掘できない高いリス
クを含む。かかる活動に対するその他のリスクには、必要な規制承認及びライセンスの取得並びに土地及び天然資源に対
する適切な財産権の確保及び維持、並びにプロジェクト開発に対する地域住民の反対の管理が含まれる。原材料の市場価
格の低下もまた、天然資源プロジェクトに関する当社の投資に対して悪影響を及ぼし、減損損失の計上を招く可能性があ
る。例えば、2018年に当社は、オーストラリアの石炭採掘会社であるHume Coal Pty Limitedに対する投資に関連する工業
所有権の減損78十億ウォンを認識し、カナダにおけるシェールオイル及びガスプロジェクトに関し工業所有権の減損50十
億ウォンを認識した。当社はかかる事業において限られた経験しか有しておらず、海外における天然資源探査、開発及び
生産プロジェクトが実益があるものであり、当社がかかるプロジェクトに対する資金調達要件を満たし、かかる投資に関
連する費用を回収することができるとは断言できず、それらは当社の事業、財務状況及び業績に重大な悪影響を及ぼす可
能性がある。
当社は、共同での海外における天然資源探査、開発及び生産プロジェクト並びに大規模インフラストラクチャー・プロ
ジェクトに関し、当社の事業に重大な悪影響を及ぼすかもしれない問題に直面する可能性がある。
当社は通常、これらの天然資源探査、開発及び生産プロジェクトを、かかるプロジェクトのコンソーシアム・パート
ナーと共同で、又は非支配持分を取得することにより進めており、将来的には他の共同プロジェクトにも関与する予定で
ある。当社は時折、コンソーシアム・パートナーとの間で、プロジェクトにおける過半数持分を有することがあるが、多
くの場合は支配持分は有していない。従って当社は、当社のコンソーシアム・パートナーの過半数の投票なくして、合弁
事業に対し、資産の売却、払込済資本の払戻し、追加的な資本拠出又はその他のいかなる行為も要請することができな
い。コンソーシアム・パートナーと当社の間で、共同プロジェクトの事業及び運営に関して意見の相違があった場合、当
社は、当社の最大の利益となる方法でそれらを解決することができるとの断言はできない。共同プロジェクトの持分を売
却するなど特定の重大な決断は、その他全てのパートナーの承諾を得なければならない可能性がある。これらの制限は、
当社がこれらのプロジェクトに参加することにより追求する経済的及びその他の利益を獲得する能力に悪影響を及ぼす可
能性がある。
さらに、当社のコンソーシアム・パートナーは、以下である可能性がある。
・当社と合致しない経済的又は事業上の関心若しくは目的を有している。
・当社の指示、要望、方針又は目的とは逆の行動をとる。
・自身の義務を履行することができない、又はその意思がない。
・財政難である。
・自身の権利、責任又は義務について、当社と紛争がある。
これらのいずれか及びその他の要因により、当社の合同プロジェクトの成果が重大な悪影響を受け、パートナーがパー
トナーシップに対して必要とされる財務支援を提供できないリスク並びにパートナーが自身の義務を果たすことができ
ず、結果としてその他パートナーと当社との間の紛争のみならず、合弁事業とそれらの顧客との間の紛争が生じるリスク
を含め、複数のリスクに当社がさらされる可能性がある。当社の共同プロジェクトの成果に対するかかる重大な悪影響
は、当社の事業、業績及び財務状況に多大な悪影響を及ぼす可能性がある。
マクロ経済的要因に基づく周期的な変動が㈱POSCO建設の業務及び業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、㈱POSCO建設を通じて、エンジニアリング及び建設活動に従事している。建設事業部門は極めて周期的であり、
消費者のマインド及び所得、雇用水準、金利、インフレ率、人口動態並びに政府の政策などのマクロ経済的要因に基づい
て変動する傾向がある。その時々に、建設産業は著しく、時には長期的な低迷を経験しており、当社の建設事業部門の収
益は、韓国及び海外における公的及び民間セクターの建設活動の水準に依存して変動してきた。さらに、㈱POSCO建設の国
内居住用財産事業の業績は、韓国の不動産市場の一般的な状況に大きく左右される。韓国の建設産業は景気回復の兆しを
見せているものの、海外における建設活動への需要は弱く、2019年以降における韓国建設会社の全体的な見通しは引続き
不確実である。
長引く建設市場の全体的な低迷は需要の低迷を引起し、当社の事業、営業成績又は財務状況に悪影響を与える可能性が
ある。
建設プロジェクトに関して予測できない追加費用が発生した際、㈱POSCO建設の多くの国内外のプロジェクトが固定価格を
ベースにしていることが当社に損失をもたらす可能性がある。
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㈱POSCO建設の多くの国内及び海外建設プロジェクトは、固定価格契約の条件に従って、所定の予定表に基づいて固定価
格ベースで実行される。このような固定価格契約に基づき、㈱POSCO建設は、完成物における全ての経費削減分を留保でき
る が、全ての予算超過分も負担することになり、遅延に関して損害の支払を要求されることもある。固定価格契約の価格
設定は、㈱POSCO建設が自己のリスクを評価しそれに従って契約に偶発事象を規定する能力とともに、㈱POSCO建設の利益
性にとって非常に重要である。
㈱POSCO建設は固定価格契約の入札において労働力、原料、部品及びコンポーネントのコストを予測しようと努めてい
る。しかしながら、固定価格契約において発生したコストと実現された総利益は以下のような要因によって㈱POSCO建設の
見通しとは異なる可能性がある。
・ 契約期間中における労働生産性及び設備生産性の予測できない変化
・ (悪天候を原因とするものを含む)労働力、原料、部品及びコンポーネント、下請け並びに間接費用の予測できな
い増加
・ 遅延及び不出来による是正工事
・ 見積り及び入札における誤り
建設プロジェクトの過程において予測できない追加費用が発生した場合、かかる費用は通常、㈱POSCO建設が負担し、そ
れに従って、㈱POSCO建設の利益は減少又は消失することになる。例えば、当社は、ブラジルのCSP‑Companhia Siderurgia
do Pecem製鉄所の建設の遅延に関連し、近年損失を発生している。固定価格プロジェクトに関して、㈱POSCO建設が予測で
きない重大な追加費用を負担すれば、当該プロジェクトに損失が発生する可能性があり、㈱POSCO建設の財務状況及び営業
実績に重大な悪影響を及ぼすかもしれない。
当社は環境規制に従っており、当社の事業により当社に多大な負担が課せられる可能性がある。
当社は、当社の製造工程に関連した二酸化炭素の排出の削減に対する圧力の高まりを含め、国家及び地方の環境法及び
規則に従っている。当社の製鉄及び建設事業により、当社は、環境への汚染物質及び二酸化炭素の放出、固形物、危険物
又は廃棄物の取扱い、保管及び処分並びに汚染地域の調査及び改善から生じるものなど、環境上又は保健及び安全上の問
題に関連した多大な負担のリスクにさらされる可能性がある。当社は、現在及び過去に運用された製造又は建設用地の環
境状態の調査及び改善に対して責任を負う可能性がある。例えば、江陵のマグネシウム精錬工場及び浦項製鉄所のガス処
理工場の汚染に関連し、近年当社は費用を発生している。また、当社は、政府又は民間の訴訟者が提起した訴訟により、
天然資源の損害、第三者の財産の損害又は人身傷害に対する責任などの関連の債務を負担する可能性がある。当社の業務
の過程において、第三者が所有又は運営する用地において有害廃棄物が発生する可能性があり、それらは第三者が所有又
は運営する処理場において廃棄又は処理される可能性がある。これらの用地が汚染された場合、関連する天然資源の損害
についてかかる用地の調査及び改善の費用並びに民事・刑事の罰金又は課徴金を負わされる可能性がある。
当社のサイバーセキュリティが侵害された場合、当社は多大な法的及び財務リスクを生じ、当社の評判が損なわれ、当社
の顧客の信頼を失う可能性がある。
当社の事業は、当社並びに当社顧客及びサプライヤーに関する機密情報の保管及び伝送を伴うものであり、何らかのサ
イバーセキュリティ侵害により、当社は、かかる情報の喪失、不正な使用又は開示、それに続く法的責任又は訴訟のリス
クに晒され、それらにより当社の評判が損なわれ、事業に悪影響を及ぼす可能性がある。権限の無い者により当社のデー
タ又は当社の顧客のデータが取得されるという重大な事象はこれまでに発生していないものの、将来において当社がサイ
バー攻撃の被害を受けないという保証はない。当社のサイバーセキュリティ対策はまた、従業員による過失や不正行為等
によっても失敗する可能性がある。適切なアクセス制御及び情報技術インフラストラクチャーに及ぶ予防手段の構築は非
常に難しい。さらに、当社のデータ若しくは当社の顧客のデータ又は口座へアクセスするための機密情報を開示させるた
めに外部者が従業員を不正に誘導することを試みる又はかかるデータ若しくは口座へのアクセスを獲得する可能性があ
る。不正アクセスを獲得し、サービスを無効化又は低下させ、システムを妨害するのに用いられる技術はしばしば変更さ
れ、ターゲットに対して発せられるまで認識されないことが多いため、当社はこれらの技術を予測する又は適切な防止策
を講ずることができない可能性がある。当社のサイバーセキュリティが侵害され又は侵害の予兆が発生した場合、又は当
社のサイバーセキュリティ対策の効果の市場認識が悪影響を受けた場合、当社は、法的要求及び規制上の罰金及び罰則、
当社の評判の失墜並びに当社の顧客の信頼の喪失を含む、多大な法的及び財務リスクを発生させる可能性があり、それら
により当社の事業、財務状況及び経営成績が悪影響を受ける可能性がある。
当社の知的所有権を保護できない場合、当社の競争力が弱まり、当社の事業及び将来の見通しに悪影響が及ぶ可能性があ
る。
当社は、FINEX、自動車用鉄鋼製造技術及び高マンガン鋼製造技術などの競合相手との差別化が図れる新たな製鉄技術の
開発が当社事業の成功に不可欠であると信じている。当社は、特許の取得と当社の主要市場を監視することにより知的財
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産の保護のための積極的な措置を採っている。しかしながら、当社が採っている措置が競合相手による当社の占有技術の
不正利用を効果的に阻止するとの保証はできない。競合相手が当社の知的財産を不正に流用し、知的財産の所有権につい
て の紛争が起こる可能性があり、また、当社の知的財産が別の方法で知れ渡る、又は当社の競合相手により独自に開発さ
れることもあり得る。知的財産の保護ができなかった場合、当社の競争力が弱まり、当社の事業及び将来の見通しに悪影
響が及ぶ可能性がある。
当社はその競争上の地位の維持にあたり企業秘密及びその他の特許権の付与されていない独自のノウハウに依存してお
り、企業秘密又はその他の特許権の付与されていない独自のノウハウが許可なく公開された場合は、当社事業に悪影響が
及ぶ可能性がある。
当社は企業秘密及び特許権の付与されていない独自のノウハウや情報に依存している。当社は、雇用又は顧問関係の開
始時において各従業員及びコンサルタントと秘密保持契約を締結する。これらの契約は、雇用関係又は顧問関係に伴い個
人が行った又は着想した全ての発明、考案、発見、改良及び特許可能なもの、並びに上記関係の期間中に生まれた又は個
人に知られることになった全ての機密情報は、当社の独占的な財産であると一般的に規定している。これらの種類の契約
の執行可能性やこれらが違反されないことについて保証することはできない。また、違反に対して当社が適切に救済措置
を採れるかについては定かでない。上記の違反の結果、当社の企業秘密又はその他のノウハウが公開されれば、当社の事
業に悪影響が及ぶ可能性がある。
当社は、第三者の知的所有権侵害に関する訴訟のリスクに直面しており、当社に不利な判決が下りた場合、当社は重要な
権利を失い、多額の裁定額を支払い、又は一定の製品は販売を停止しなければならなくなる可能性がある。
当社の成功は、第三者の知的所有権を侵害することなく、当社が所有する技術及びノウハウを用いて開発を行う能力に
大きく依存している。技術及び特許に関連する申立ての有効性及び範囲は、科学的、法的及び事実上の複雑な問題及び分
析を含むため、非常に不確実である可能性がある。さらに、複数の法域における特許申請は、公表されるまでの長期間に
おいて機密であるため、当社は、当社の製品又は製造プロセスに関連する第三者の申請中の特許申請について気づかない
場合がある。従って、当社は第三者の知的所有権の侵害に関する訴訟のリスクに直面している。知的所有権の侵害に関連
する訴訟の原告は、通常、差止命令及び実質的損害賠償金を要求する。特許及びその他の知的所有権紛争はしばしば、ラ
イセンス付与又は類似の和議により解決されるが、かかるライセンスを受諾可能な条件により獲得できるか、又は獲得で
きないかは不確実である。従って、係争中の特許の範囲若しくは有効性又は潜在的若しくは実際の訴訟当事者によるいか
なる特許侵害の申立ての是非に関わらず、当社は、長期的な訴訟に関与しなければならない可能性がある。知的所有権訴
訟の抗弁、審理、特許の異議申立手続き並びに関連する法的及び行政手続きは、費用及び時間を要するものであり、当社
の技術者並びに経営陣の労力及び資源を著しく奪う可能性がある。かかるいかなる告訴又は訴訟においても、当社に不利
な判決により、当社は実質的損害賠償金を第三者に支払う、第三者からのライセンスを取得する、又は継続的な使用料を
支払う若しくは一定の製品を再設計することを余儀なくされる可能性があり、又、一定の裁判管轄区域において当社の製
品の販売又は技術の活用を禁止する差止め命令が下される可能性がある。上記の発生は、当社の評判、事業、財務状況及
び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、未払賃金に関する損害賠償の対象になる可能性があり、韓国の最高裁判所による通常賃金の解釈により追加的な
人件費を支払わなければならない可能性がある。
労働基準法に基づき、従業員の「通常賃金」が複数の法定給付の計算の基準として用いられている。以下に記載される
韓国の最高裁判所の判決以前、当社及び韓国のその他企業は、雇用労働部が発行した従前の指針において、毎月ではない
固定賞与(隔月、四半期又は半期に支払われる賞与など)は従業員の通常賃金から除くものであると解釈していた。
2013 年12月18日、韓国の最高裁判所は、毎月ではないものを含み、定期的に支払われる賞与が、年功に基づく金額の差
に関わらず、(i)「定期的に」、(ii)「均一に」及び(iii)「固定ベースで」支払われる場合、通常賃金の範囲に含まれる
べきであるとの判決を下した。かかる判決に基づき、かかる定期的賞与を従業員の通常賃金から除外することを試みるい
かなる包括的労働協約又はその他協定の条項も、韓国法の強制条項の違反であるとして無効と見なされる。
韓国の最高裁判所は、定期的な賞与の支払いが特定の日付において雇用主に対する役務を提供する者に対してのみに限
られる場合、かかる賞与は固定ではなく、従って通常賃金の一部を構成しないものであることを明確にした。雇用労働部
は後に、2014年1月23日に指針(以下「本指針」という。)を発表した。本指針に基づき、政府は、特定の日付における
雇用に付随する定期的な賞与を通常賃金から除外している。韓国の最高裁判所の判決及び本指針に基づき、当社は、支払
計算日である各月15日に役務を提供している者に対してのみ定期的な賞与を支払ってきたため、当社が従業員に対して支
払ってきた定期的な賞与は、通常賃金に含む必要はない可能性が高いと考える。しかしながら、過去3年間において又は
将来において従業員の通常賃金を低く計算することにより不当な未払いを行った従業員がいると決定された場合、当社
は、拡大された従業員の通常賃金を反映するために追加的な支払義務を負う可能性がある。かかる追加的な支払いは、当
社の財務状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
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北朝鮮との緊張状態の上昇は当社並びに当社普通株式及びADSの市場価格に悪影響を与える可能性がある。
韓国と北朝鮮の関係は、韓国の近代史において緊張したものであった。二国間の緊張状況は流動的であり、現在及び
将来の事象の結果として、突然に高まる可能性がある。特に近年、北朝鮮の核兵器及び弾道ミサイルプログラム並びに韓
国に対する攻撃的な軍事活動による安全保障上の懸念が増している。近年における重大な出来事には、以下が含まれる。
・2003年1月、北朝鮮は、核不拡散条約に基づく諸義務を放棄し、報道されるプルトニウム爆弾よりも威力のある水素
爆弾及び弾道ミサイルに搭載できる弾頭の起爆を含め、2006年10月から6回の核実験を行った。ここ何年も、北朝鮮
は、潜水艦から発射されるミサイル及び米国本土に達する事が可能であると同国が主張する大陸間弾道ミサイルな
ど、複数の弾道ミサイル実験を行っている。それに応じて政府は、かかる挑発及び国連安全保障理事会決議の著しい
違反を繰り返し非難した。2016年1月の北朝鮮の4回目の核実験に対し、政府は2016年2月、南北朝鮮間の開城工業
地区を閉鎖した。国際的には、国連安全保障理事会は、北朝鮮を非難する複数の決議を採択し、最も最近は2017年11
月の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル実験に対し、北朝鮮に対する制裁の範囲を著しく拡大することを決定した。近
年、米国及び欧州連合は、北朝鮮に対する制裁を拡大した。
・2010年3月に、韓国の戦艦が海中爆発により破壊され、多くの乗組員が死亡した。韓国政府は、戦艦の沈没を引き起
こしたとして北朝鮮を公式に非難したが、北朝鮮は沈没に対する責任を否定した。さらに、2010年11月、北朝鮮軍
は、朝鮮半島西岸の韓国と北朝鮮の間の事実上の海上境界線である北方限界線近くに位置する延坪島に向けて百発以
上の大砲の砲弾を撃ち込み、死者を出し、また所有物に著しい損害を与えた。政府はかかる行為について北朝鮮を非
難し、さらなる挑発行為があれば容赦なく報復することを明言した。
北朝鮮の経済もまた、厳しい課題に直面し、北朝鮮内の社会的及び政治的緊張をさらに悪化させる可能性がある。
南北朝鮮による二国間首脳会談が2018年4月、5月及び9月に開催され、米国及び北朝鮮の二国間首脳会談が2018年6
月及び2019年2月に開催されたものの、朝鮮半島に影響を及ぼしている緊張状態が今後高まらないという保証はない。北
朝鮮が統率の危機に直面する、韓国又は米国と北朝鮮との高官レベルの接触が断絶される、またさらなる軍事対立が勃発
するなどにより起こりうる緊張状態の高まりは、韓国経済並びに当社の事業、財務状況及び業績並びに当社普通株式及び
ADSの市場価格に重大な悪影響を与える可能性がある。
当社は米国及び欧州連合による経済制裁の対象国に関係する業務及び投資を引続き行う予定である。
米国財務省外国資産管理局(以下「OFAC」という。)は、一定の法律及び規則(以下「OFAC制裁」という。)を施行
し、米国人及び(場合により)米国人が所有又は支配する外国企業に対し、OFAC制裁の対象である一定の国、政府、企業
及び個人(以下「米国制裁対象」という。)に関連する活動又は取引について規制を設けた。米国人はまた、一般的にか
かる活動又は取引を促進することを固く禁止されている。同様に、欧州連合(以下「EU」という。)は、一定の法律及び
規則(以下「EU制裁」という。)を施行し、EU加盟国の国民、EU加盟国居住者、EU加盟国の法律に基づき設立若しくは構
成された企業又はEU加盟国において全体若しくは一部が実施される事業に対し、EU制裁の対象である一定の国、政府、企
業及び個人(以下「EU制裁対象」という。「米国制裁対象」と総称して「制裁対象」という。)との活動又は取引につい
て規制を設けた。EU居住者もまた、一般的にかかる活動又は取引を促進する活動を固く禁止されている。
当社は、イラン及びキューバを含む制裁対象とみなされる国に関し、限定された程度の事業活動を行っている。当社
は、自動車用鉄鋼及びその他の鉄素材を含む鉄鋼製品をイラン企業に対して輸出するなど、通常は販売子会社を通じて当
該諸国への製造及び販売を行っている。当社の子会社もまた、制裁対象とみなされる国に関し、限定された程度の事業活
動を行っている。特に、POSCOインターナショナルは、イラン及びキューバを含む制裁対象とみなされる国の企業との間
の、鉄鋼、原料及びその他の品目の貿易に携っている。当社は、かかる活動及び投資は米国の製品又はサービスに関係す
るものではないと考える。イラン及びキューバにおける当社の活動の割合は、当社の連結総売上高に対し、2016年は
0.5%、2017年は0.6%及び2018年は0.3%であった。
当社は、引続き予測可能な将来に向かって制裁対象とみなされる国における事業活動への従事及び投資の実施を予定し
ている。当社は、OFAC制裁の現在の条件は当社の現在の活動に適用されないと考えているが、当社の評判が悪影響を受け
る可能性があり、また当社の米国の投資家が米国連邦法若しくは内部投資方針に基づき当社への投資の引きあげを求めら
れる可能性又は評判を理由として投資の引きあげを決定する可能性がある。当社は、テロ支援国家として特定された国と
事業を行う企業との取引若しくはかかる企業への投資を禁止し又は投資の引きあげを求める法律、規則又は方針を、米国
の政府系企業及び年金基金などの米国の機関投資家が採用する又は採用を検討する取り組みを認識している。当社は、以
上の事象が発生しないことを保証できず、またかかる事象の発生が当社の有価証券の価値に重大な悪影響を及ぼさないと
保証することはできない。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析】
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本項における「営業利益」とは、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を差引き、その他営業外利益及びそ
の他営業外費用の差額を加算した調整営業利益の計算方法によるものである。そのため、「第6.経理の状況」に含まれ
る 連結財務書類において「営業利益」と表示された金額(売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を差引いた金
額で、その他営業外利益及びその他営業外費用を算入しないもの。)とは異なる。
(1)概要
当社は、韓国における最大の一貫生産体制を備えた製鉄会社である。当社は、鉄鋼セグメント、貿易セグメント、建設
セグメント及び報告基準値を下回るすべての事業体を含むその他セグメントの4つの報告義務のあるセグメントを有す
る。鉄鋼セグメントには、鉄鋼製品の生産及びかかる製品の販売が含まれる。貿易セグメントは、主にPOSCOインターナ
ショナルによる世界規模の貿易活動及び天然資源開発活動から成る。POSCOインターナショナルは、当社から出荷される及
び当社へ供給される並びに韓国及び海外においてその他の供給業者と購入業者間で行われる広域な鉄鋼製品の輸出入を行
う。建設セグメントには、韓国及び海外における工場、土木計画並びに商業用及び住居用建築物の企画、設計及び建設が
含まれる。「その他」のセグメントには、発電、LNGロジスティックス、様々な工業製品の製造及びネットワーク並びにシ
ステム統合が含まれる。本書に記載の連結財務書類注記40を参照のこと。
当社の歴史的な実績に寄与する主要な要因の一つが、韓国経済の成長であり、当社の将来の実績は少なくとも部分的
に、韓国の一般経済成長及び見通しに依存する。当社の経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼし、また及ぼし続ける可能
性がある最近の進展については、「第3 事業の内容-2 事業等のリスク- 韓国は当社にとって最も重要な市場であ
り、韓国における経済状況の悪化は当社の現在の事業及び将来の成長に大いに悪影響を及ぼす可能性がある。 」を参照の
こと。その他多くの要因が、当社の営業成績、財務状態及び資本支出に重大な影響を与えてきた又は与えることが予想さ
れる。これらの要因には以下のものが含まれる。
・当社の販売量、単価及び製品構成
・費用及び生産効率性
・為替レート変動
これらの要因の結果として、当社の過去の財務実績が、かかる報告における将来の業績又は傾向の指標にならない可能
性がある。
(a)販売量、価格及び製品構成
近年、当社の売上高は、以下の事由の影響を受けて来た。
・当社製品に対する韓国市場の需要、及び当社がその需要に応えることのできる能力
・輸出市場の販売における当社の競争力
・価格水準
・製品構成を向上する当社の能力
当社製品に対する国内需要は、建設、造船、自動車、電化製品及び川下鉄鋼加工業者等を含む主要な鉄鋼消費産
業、並びに韓国経済全般の状況の影響を受ける。
2017年、当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品のウォン建ての販売単価は上昇した。かかる製品
の加重平均単価は、2016年における米ドルに対するウォンの平均価値の上昇により当社のウォン建ての輸出価格が低
下したにも関わらず、2016年から2017年にかけて21.3%上昇した。Seoul Money Brokerage Services, Ltd.が発表し
た米ドルに対するウォンの平均為替レートは、2016年の1.00米ドルに対し1,160.5ウォンから2017年は1.00米ドルに対
し1,130.8ウォンに上昇した。
2017年において、当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品の総販売量の25.9%を占める熱延製品の
販売単価は29.2%上昇した。かかる主要鉄鋼製品の総販売量の7.8%を占める線材の販売単価は2017年に26.2%上昇し
た。かかる主要鉄鋼製品の総販売量の37.5%を占める冷延製品の販売単価は、2017年に25.7%上昇した。かかる主要
鉄鋼製品の総販売量の9.6%を占めるステンレス鋼製品の販売単価は2017年に15.0%上昇した。かかる主要鉄鋼製品の
総販売量の2.9%を占めるシリコン鋼製品の販売単価は2017年に9.7%上昇した。かかる主要鉄鋼製品の総販売量の
16.3%を占める厚板の販売単価は2017年に8.4%上昇した。
2018年、当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品のウォン建ての販売単価は、シリコン鋼製品を除
き、上昇した。かかる製品の加重平均単価は、2016年における米ドルに対するウォンの平均価値の上昇により当社の
ウォン建ての輸出価格が低下したにも関わらず、2017年から2018年にかけて3.3%上昇した。Seoul Money Brokerage
Services, Ltd.が発表した米ドルに対するウォンの平均為替レートは、2017年の1.00米ドルに対し1,130.8ウォンから
2018年は1.00米ドルに対し1,100.3ウォンに上昇した。
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2018年において、当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品の総販売量の15.8%を占める厚板の販売
単価は14.8%上昇した。かかる主要鉄鋼製品の総販売量の26.0%を占める熱延製品の販売単価は2018年に5.2%上昇し
た。かかる主要鉄鋼製品の総販売量の7.1%を占める線材の販売単価は2018年に4.9%上昇した。かかる製品の総販売
量 の39.2%を占める冷延製品の販売単価は、2018年に2.8%上昇した。かかる製品の総販売量の9.1%を占めるステン
レス鋼製品の販売単価は2018年に0.8%上昇した。一方、かかる製品の総販売量の2.8%を占めるシリコン鋼製品の販
売単価は2018年に2.9%低下した。
次の表は、下記の期間における当社の鉄鋼製品及び半製品の平均単価を示している。
12月31日終了年度
製品目 2017年 2018年
(千ウォン/トン)
冷延製品 837 861
熱延製品 655 689
ステンレス鋼製品 2,304 2,322
厚板 631 724
線材 806 845
シリコン鋼板 1,169 1,135
(1)
平均
904 934
(1) 「平均」価格は、表中の、当社で製造され外部顧客に直接販売された主要な製品についての売上の販売量による加重平均に
基づいている。「-3-(7)販売の状況」を参照。平均販売単価の計算は、「その他」に分類される鉄鋼製品の販売量を含
まない。
(b)費用及び生産効率性
当社の主要な費用及び営業費用は、原料購入、減価償却、労務費及びその他の購入品に関する費用である。
次の表は、下記の期間における当社の売上原価、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率並びに売上総利益率
及び営業利益率である。
12月31日終了年度
2017年 2018年
(売上高に対する割合)
売上原価 86.3 % 87.7 %
販売費及び一般管理費 6.2 3.7
売上総利益率 13.7 12.3
営業利益率 7.0 6.2
当社の営業利益率は、以下のとおり2016年の4.3%から2017年には7.0%へ上昇したが、2018年には6.2%へ低下し
た。
当社は市況の変化を慎重に監視しており、当社は近年、利益率を改善するために以下の方策を実行した。
・ 製品設計の強化、生産性の向上及び固定費の低減により費用を削減すること。
・ 利益率及び付加価値の高い製品の売上を増やし、国内市場におけるポジションを強化するためのマーケティング
活動に重点を置くこと。
・ 企業再編を通じてPOSCOグループのメンバー会社間のシナジーを追求すること。
・ 市況の変化により効果的に対応するために特別販売委員会を設立し、様々な将来の販売シナリオへの対応に準備
すること。
生産能力は、当社の設備を最適に稼動させた場合に達成できる当社の最大の生産能力を示している。
次の表は表示期間における当社の鉄鋼製品の生産能力及び効率についての情報を表している。
12月31日終了年度
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201 7 年 201 8 年
粗鋼及びステンレス鋼生産能力(百万トン/年)
47.6 47.6
POSCO 42.4 42.4
Zhangjiagang Pohang Stainless Steel Co., Ltd.
1.1 1.1
PT. Krakatau POSCO
3.0 3.0
POSCO SS VINA Co., Ltd.
1.1 1.1
粗鋼及びステンレス鋼生産実績 (百万トン)
42.2 42.9
POSCO 37.2 37.7
Zhangjiagang Pohang Stainless Steel Co., Ltd.
1.2 1.2
PT. Krakatau POSCO
2.9 3.0
POSCO SS VINA Co., Ltd.
0.9 1.0
設備稼働率(%) 88.7 90.1
POSCO 87.8 89.0
Zhangjiagang Pohang Stainless Steel Co., Ltd.
105.4 105.3
PT. Krakatau POSCO
97.4 100.3
POSCO SS VINA Co., Ltd.
82.3 87.7
(c)為替変動
当社の連結財務書類は、当社の現地通貨建の業績、資産及び負債、並びに世界中に存在する当社子会社の状況から
作成され、その後ウォンに換算されている。つまり、当社の連結決算の大部分がウォン以外の通貨によって計上され
ている。したがって、当社の連結決算並びに資産及び負債は外貨の為替レートによって重大な影響を受けている可能
性がある。2018年に当社で製造及び販売された鉄鋼製品の売上高合計の61.6%は韓国以外の海外市場からのものであ
る。ある通貨で費用計上し、別の通貨で売上を計上している限り、当社の利益率はその二通貨間の為替レートの変動
によって影響を受ける可能性がある。売上が計上される通貨と費用が計上される通貨が同一でない可能性があるた
め、外国為替レートの変動が当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。ウォンの下落がとりわけ以下を引き起
こすため、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
・ 外貨建債務の元利金の支払いをするのに当社が必要なウォン金額の増加。
・ 当社が海外から購入する原料及び設備の費用並びに運送費の大部分(主にドル建て)のウォン建て金額の上昇
・ 会計目的上、当社の売上高を低下させる外貨建て負債に関する外貨換算損失
一方、主要通貨に対するウォンの上昇は、
・ ドル、円及び人民元建て価格を上昇させるため当社の輸出製品の競争力を弱め、
・ 主としてドル建ての輸出売上のウォン建ての売上高及び売掛金残高を減少させ、また、より少ない程度で円及び
人民元建ての輸出売上のウォン建ての売上高及び売掛金残高を減少させる。
主要な通貨に対するウォンの変動による全体的な正味の影響額を見積もることは困難であり、毎年変化する。当社
は、外貨による売掛金を外貨による買掛金と一致させることにより、外国為替リスクを自然に相殺するよう努めてお
り、当社の海外子会社は、為替レート変動による悪影響をさらに軽減するために、取引が行われるそれぞれの市場に
おける現地通貨で取引を行うよう努めている。特に、ウォン/米ドルレートを含む為替レート変動に対するPOSCOイン
ターナショナルのエクスポージャーは、通常、貿易取引では購入契約及び販売契約が対当しており、それにより決済
リスクが限定されるため、及び輸出向け製品の国内供給業者及び輸入製品の国内購買者とPOSCOインターナショナルと
の間の契約が通常米ドル建であるため、制限されている。かかる戦略により、為替レート変動の影響は一部軽減され
るものの、当社及び当社の子会社(特にPOSCOインターナショナル及び㈱POSCO建設)は、主に外国為替スワップ及び
為替予約契約などのデリバティブ契約を定期的に締結し、ある程度の外国為替リスクをさらにヘッジしている。しか
しながら、過去に当社の業績は為替レート変動の影響を受けたことがあり、かかる戦略が、将来におけるかかる変動
の影響を軽減する又は除去するという保証はない。
(2)重要な会計上の見積り
韓国会計基準委員会が採択したK-IFRSに基づき作成された財務書類に加え、当社は、米国証券取引委員会に提出するた
めのIASBが発行するIFRSに従った財務書類も作成している。本書の「第6.経理の状況」に含まれる財務書類は、K-IFRS
に基づき作成されている。
かかる会計原則により、当社連結財務書類上の報告金額に影響を与える特定の見積りと判断を行う必要がある。当社の
見積りと判断は過去の経験及び予測される将来の事象、並びに諸状況の下で合理的と考えられるその他様々な前提に基づ
くものである。見積り及び判断は、前提又は条件が異なれば変化する可能性がある。当社は継続企業の前提に基づき見積
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り及び判断を行っている。当社は、下記で言及される重要な会計方針は当社の財務状態及び業績を映し出すために最も重
要なものと考える。各会計方針は将来の市場状態に関する予測に依拠したものであるが、そのためには、しばしば困難、
主 観的かつ複雑な判断が要求される。
貸倒引当金
当社は、当社顧客の支払不能による短期及び長期の売上債権残高に対する貸倒れの可能性の見積りを表す、売上債権
残高のリスクに対する貸倒引当金を維持している。当社顧客の財政状態が悪化し、当社顧客の支払能力に悪影響を及ぼ
す場合、追加の引当金が必要となる可能性がある。貸倒引当金の決定は、とりわけ当社顧客の信用力、これまでの回収
形態の経験、将来の回収に影響を与える事態及び状況の可能性並びに当社顧客の支払能力に関する継続的なリスク評価
を含む、経営陣による重要な判断及び見積りを必要とする。
売掛金は定期的に分析され、当社顧客が当社への財政的責任を果たすことができないと認識した時点で、貸倒引当金
への計上を通じて売掛金の価値を削減する。加えて、当社は、経営陣が完全には回収できないと予想する売上に関し
て、顧客の主張を受けた時点で、貸倒引当金を計上する。2018年12月31日現在、売上債権及び受取手形並びにその他債
権に対する貸倒引当金の割合は7.12%であった。当社の貸倒引当金は、主に2017年12月31日現在の1,094十億ウォンから
16.2%(178十億ウォン)減少し、2018年12月31日現在には917十億ウォンになった。本書に記載の連結財務書類注記23
を参照のこと。
残存期間にわたる予想信用損失とは、金融商品の予想される残存期間中に発生しうるデフォルトに起因する予想信用
損失である。12か月予想信用損失とは、報告日から12か月間において発生しうるデフォルトに起因する、残存期間の一
部の予想信用損失である。金融商品の予想残存期間は、当社が信用リスクに晒されることとなる契約期間全体を指す。
予想信用損失とは、確率で加重平均された信用損失の見積もりである。信用損失は、契約で定められるキャッシュフ
ローと当社が受領すると予想するキャッシュフローとの差額などの不足現金全額の現在価値で測定される。
2018年12月31日に終了した3年間において償却された売掛金の年次平均未回収率は、1.14%であった。これらの実績
及び当社が現在把握している売掛金残高の回収可能性に影響を与える状況は、当社が貸倒引当金の必要金額を見積もる
際に重要な要因である。歴史的に、未回収の売掛金による損失は、想定内であり、設定された引当金と合っている。し
かしながら、当社の見積りから著しく乖離した市況の悪化などの予定外の状況により、当社の売上債権残高に対する追
加的な引当金の設定及び時期の変更が必要となる可能性がある。この場合、当社の営業成績、財政状態及び純資産は、
重大な悪影響を受ける可能性がある。
債務証券及び持分証券並びにデリバティブを含む金融商品の評価
当社は債務証券、持分証券及びデリバティブを含む各種の金融商品に投資する。各種類の金融商品に固有の会計上の
取扱いに依拠して、当社の連結財務書類に金融商品が与える影響を決定するために公正価額の見積りが必要となる。利
用可能な場合、取引市場価格が最もよく公正価額を示すものである。当社は利用可能な場合、取引市場価格(これら有
価証券の取引を行うディーラーによる見積価格を含む。)を利用して当社の金融商品の公正価額を決定する。取引市場
価格が利用できない場合、当社は価格決定又は評価モデル、類似の性質を持つ商品の取引価格又は割引キャッシュフ
ローを元に公正価額を決定する。非上場の金融商品は取引価格が存在せず、当該証券は一般的に少しだけしか取引され
ていないため、それらの公正価額は、かなりの程度の経営資源及び判断を以て決定される。取引市場価格が入手可能で
ないデリバティブは、割引キャッシュフロー法などの評価モデルを用いて評価される。当該デリバティブの評価に使用
される主要な情報は、デリバティブの種類及び元となる商品の性質に依拠しており、利回り曲線、為替レート、元とな
る商品のスポット価格、ボラティリティ及び相関関係が含まれる。価格決定及び評価モデル並びに割引キャッシュフ
ロー分析に基づくこれらの公正価額は、使用される各種仮定を条件とし、仮定が変わる場合、投資の公正価額に著しい
影響を与える可能性がある。
当社は各報告期間末に金融資産又は金融資産グループの価値が減損している客観的証拠の有無を評価する。売却可能
有価証券に区分される持分証券の場合、公正価値が顕著又は長期にわたり取得原価を下回ることも当該資産が減損して
いる証拠となる。かかる減損の検討の一部として、証券発行体の顕著な財政困難等の客観的証拠の有無を評価するた
め、投資先の業績、純資産価値及び将来の業績予測並びに一般的市況が考慮される。
当社は、非市場性証券の公正価値を見積もってきた。当社は、価格決定又は評価モデル、類似した性質を有する商品
の取引価格又は割引キャッシュフロー法に基づきこれらの公正価値を見積もる。割引キャッシュフロー・モデル評価法
は、基礎となる被投資会社の見積キャッシュフロー予測に基づく。主要な前提及び見積りには、市況、収益成長率、営
業利益率、所得税率、減価償却率、資本支出水準、運転資本額及び割引率が含まれる。これらの見積りは、被投資会社
の実績及びその他の市場データに基づく。これらのキャッシュフロー予測において、二つの最も重要な見積りは、割引
率及び営業利益率である。これらの評価において使用される割引率が1%増加した場合、見積公正価値は全体で約10%減
少していたことになる。加えて、キャッシュフロー・モデルにおける前提の営業利益率が1%減少した場合、見積公正価
値は全体で約13%減少していたことになる。
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当社は、売却可能金融資産について2016年には248十億ウォン及び2017年には123十億ウォンの減損損失を認識した
が、2018年1月1日からIFRS第9号「金融商品」を適用したことにより2018年にはかかる減損損失を認識しなかった。
IFRS 第9号は、売却可能金融資産をその他の包括的利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類するものであ
る。本書に記載の連結財務書類注記2及び33を参照のこと。
当社の投資減損を評価するための当社の見積り及び前提は直近に入手可能な情報による当社の評価を考慮したもので
ある。しかしながら、当社の見積りから著しく乖離した市況の悪化などの予定外の状況により、当社は、投資減損につ
いて追加損失を認識しなければならない可能性がある。当社の公正価値見積りは当社が合理的であると考える前提に基
づいているが、それらは予測不可能で本質的に不確かなものである。その他の見積り及び前提を採用することにより、
当社の投資の見積り公正価値は増加又は減少し、結果として当社の営業成績へ別の影響を及ぼす可能性がある。
長期性資産
各報告期日において、当社は有形資産及び無形資産(のれんを除く。)の帳簿価額を検討し、継続的な使用下でこれ
らの資産の帳簿価額が回収できない可能性を示す兆候があるか否かを測定する。そのような兆候が存在する場合、減損
額(もしあれば)を測定するために、その資産(又は資金生成単位)の回収可能価額が検討される。回収可能価額は、
資産の正味売却価格(売却費用控除後の公正価値)及び使用価値のうちどちらか高い額である。長期性資産の帳簿価額
が陳腐化、物理的損傷又は市場価格の下落のために資産の回収可能価額を上回り、かつかかる金額が大きい場合、資産
の減損が認識され、資産の帳簿価額は回収可能価額まで減額され、その結果としての減損損失は当期損益に計上され
る。かかる回収可能価額は、当社による将来の資産使用の見積りに基づき、市況の変化の影響を受ける。
2018年12月31日現在の減損テストに基づき、当社は主に、2011年に操業開始した光陽市の合成天然ガス製造施設にお
ける事業をLNGの市場価格の下落による悪影響を受け廃止したことにより、2018年に810十億ウォンの有形固定資産の減
損損失を認識した。また当社は、オーストラリアの石炭採掘会社であるHume Coal Pty Limitedに対する投資に関連して
工業所有権の減損損失78十億ウォンを認識し、当社燃料電池事業の再編に関連して有形固定資産の減損損失54十億ウォ
ンを認識した。
当社の長期性資産の償却可能期間及び残存価額については、長期性資産の経済的耐用年数を反映する業界慣行及びこ
れまでの経験に基づき、毎年見積りを行い検討する。
長期性資産の耐用年数及び回収可能価額の当社による見積りは、歴史的傾向に基づき、将来の市場及び営業条件に関
する当社の最善の見積りを反映するよう調整される。また、当社の見積りは、当社が減損につき検討した資産の継続的
利用から将来のキャッシュフローが生み出されると予想される将来の期間、並びに合理的かつ一貫したベースで直接帰
属又は分担されうる資産を利用のために用意するキャッシュ流出を含む。適用ある場合、見積りには耐用期間末におい
て資産の処分のために受取る若しくは支払う正味キャッシュフローも含む。減損の検討の結果、資産より生み出される
と予想される将来の割引キャッシュフローの合計が資産の帳簿価格より低い場合、当社はこれら資産の回収可能価額を
元に減損損失を認識する。当社はキャッシュフローの予測に割引キャッシュフロー・モデルを適用するに当たり、事業
予測、市場環境、製品の販売価格及び売上高、製造原価並びに資金源などの多数の重要な仮定及び見積りを行う。見積
キャッシュフロー予測額は、最新の今後3年間から5年間の財務予算から導き出される。特定の予測期間後は、当社は
見積成長率に基づき、残りの年数についてのキャッシュフローを予想している。この評価営業利益率は、業界の長期平
均成長率を上回ることはない。2018年12月31日現在、適用ある資金生成単位に対し、当社は4.6%から10.4%の割引率及
び0.6%から2.0%の収益率を見積もった。資産の回収可能性又は公正価額の悪化を示唆する市況の悪化など、契機とな
る事態が発生した場合、さらに減損の計上が必要となる可能性がある。実際の取引の結果は、かかる有形固定資産の減
損を評価するのに利用されたこれらの見積りと異なる可能性がある。当社の将来のキャッシュフローが長引く景気後退
又はその他の予測不可能事象により認識されない場合、将来において減損の計上が必要となる可能性がある。
これらの評価において使用される見積割引率が1%増加した場合、見積回収可能額は全体で4.2%から4.9%減少して
いたことになる。見積営業利益率が1%減少した場合、見積回収可能額は全体で1.9%から8.5%減少していたことにな
る。当社は、回収可能額の基礎となる主な仮定における合理的に可能なマイナスの変化は、有形固定資産の減損を引起
すものと考える。
のれん
のれんの減損テストは、資金生成単位グループのレベルにおいて、毎年又は状況の変化により帳簿価額が回収できな
い可能性を示す兆候がある場合に適宜実施される。資金生成単位グループの回収可能価額は、売却費用控除後の公正価
値又は使用価値の算定額のうちどちらか高い額として定められる。使用価値の算定上の主要な仮定には、割引率、成長
率並びに売却価格及び直接費用の変動等がある。
当社の経営陣は、リスクの類似している投資の現在の市場相場を反映した税引き後の利率を使用して、割引率を算定
している。成長率は業界成長予測を基礎とし、並びに売却価格及び直接費用について起こり得る変動は過去の実績及び
将来的な市場変化の見込みを基礎とする。キャッシュフロー予測は、5年先にわたる最新の財務予算から導き出され
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る。明示の予測期間を超えたキャッシュフロー予測は、見積成長率に基づく残年度期間について推測する。その際の成
長率は、関連市場の長期平均成長率を超えないものとする。一度認識されたのれんの減損損失については、戻入れを行
わ ない。
資金生成単位について測定される使用価値の評価において、割引キャッシュフロー・モデルに用いられる割引率及び
期間成長率等の主要な仮定の感応度が評価された。これらの評価で用いられる見積平均割引率が0.25%増加した場合、
関連する資金生成単位に対する見積使用価値は全体で2.72%から3.71%減少していたことになる。見積期間成長率が仮
に0.25%減少した場合、関連する資金生成単位に対する見積使用価値は全体で1.49%から1.76%減少していたことにな
る。2018年12月31日現在の減損テストにおいて、当社は、主にPOSCOインターナショナル及び㈱POSCO建設の使用価値の
減少に関連して発生したのれんの減損としてそれぞれ158十億ウォン及び66十億ウォンを認識し、オーストラリアの石炭
採掘会社であるHume Coal Pty Limitedに対する当社の投資に関し工業使用権の減損78十億ウォンを認識した。当社は、
資金生成単位の価値の評価には重大な経営陣の判断が関係し、回復可能な金額の基準となる主要な仮定の合理的に可能
ないかなる変更も、のれんの減損の変更を引起すことから、のれんの存在及び減損の決定は、重要な会計上の見積もり
であると考える。本書に記載の連結財務書類注記15を参照のこと。
棚卸資産
棚卸資産は、取得原価又は正味実現可能価額のいずれか低い方で表示される。棚卸資産の原価は移動加重平均法又は
加重平均法を用いて決定される。未達材料は個別法を用いて決定される。棚卸資産の価額は、通常の事業の過程で生じ
る損失のため正味実現可能価額まで評価減され引当金は相対勘定として計上される一方、関連費用は売上原価として認
識される。
正味実現可能価額は、直接帰属販売費を考慮した各四半期末に入手可能な最新の販売価格に基づいて決定される。最
新の販売価格とは、主要な顧客と行った最新の取引に基づいた交渉販売価格を基準価格としたものをいう。当社の棚卸
資産回転率が約2か月であり、貸借対照表日現在の棚卸資産が翌2か月間で売却されることを考慮し、当社は、貸借対
照表現在の基準価格を使用して棚卸資産を評価し、報告日後に発生する販売価格における重大な変化についての調整を
行う。当社棚卸資産の正味実現可能価額決定に用いられる販売価格の範囲は、棚卸資産の原価の92.9%から116.1%であ
る。予想販売価格が取得価額よりも低い在庫については、棚卸資産の評価額を正味実現可能価額まで減額する調整が行
われる。2016年、2017年及び2018年には評価額の戻入れはなかった。売上原価において認識された棚卸資産の評価損
は、2016年は152十億ウォン、2017年は79十億ウォン及び2018年は142十億ウォンであった。
関連会社及び合弁事業への投資
当社は、関連会社及び合弁事業に対する相当額の投資を保有しており、その持分は持分法により計上されている。
2018年12月31日現在、関連会社及び合弁事業に対する投資の帳簿価額は3,650十億ウォンであった。関連会社及び合弁事
業に対する投資の帳簿価額は、報告期間末に見直され、減損の兆候の有無が決定される。かかる兆候が見られた場合、
資産の回収可能価額が見積もられる。
当社は、個別の資産の回収可能価額を見積もっている。個別の資産の回収可能価額が個別に測定できない場合、資金
生成単位(CGU:他の資産又は資産グループからのキャッシュ・インフローとは独立したキャッシュ・インフローを生成
させるものとして識別される資産グループの最小単位)の回収可能金額を見積もっている。資産又はCGUの回収可能価額
は、使用価値又は公正価値の大きい方から売却費用を差し引いたものである。使用価値は、資産又はCGUにより生成され
る予定の将来キャッシュフローに対し、貨幣の時間価値の現在の市場評価及び将来キャッシュフローが調整されていな
い資産又はCGUに特有のリスクを反映した税引後割引率を適用することにより、見積もられる。当社は、個別の事業体を
CGUとして扱い、資産又はCGUの帳簿価額がその回収可能額を超過した場合に、減損損失を認識する。減損損失は、損益
計算書において認識される。
減損の見直しの一部として、営業成績、資産価値純額並びに当社関連会社及び合弁事業の将来の業績予想並びに一般
市況が、関連会社又は合弁事業の著しい財政難など、減損の客観的兆候があるかどうかを評価するために考慮される。
市況の悪化など、当社の予想から著しく逸脱した予測不能な事態は、当社の関連会社又は合弁事情における持分の追加
的な減損損失の認識を必要とする場合がある。当社は、使用価値見積の基準に当社が合理的であると考える仮定を用い
ているが、かかる仮定は予測不可能かつ常に不確実である。別の見積り及び仮定を用いることで、当社の関連会社及び
合弁事業における持分の公正価値の見積もりは増減する可能性があり、よって当社の業績に異なる影響を及ぼす可能性
がある。
インプット法による収益認識
当社の連結子会社である㈱POSCO建設は、工場建設並びに土木工事プロジェクトを含むさまざまな建設活動に携わって
おり、収益認識は契約の種類により異なる。当社は収益を、(i)当社顧客が当社の建設活動の実行と同時にかかる活動に
起因する利益を受け取る時点、(ii)当社の建設活動が当該顧客が支配する資産を創出し若しくはかかる資産の価値を増
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加させる時点、又は(iii)当社の建設活動が当社にとって代替的な利益を提供せず、それまでに当社が完了した業務に関
する支払を受領する強制可能な権利を有する時点にわたり認識する。
当社が工場又はその他の類似の構造物を建設する建設契約の場合、当社の顧客が建設中である当該資産を支配する。
かかる契約に基づき、当社は顧客の現状の設計書に従いプロジェクトの建設を実行し、建設が顧客によって中止される
場合、当社はそれまでに発生した全ての費用に合理的なマージンを含めた額の返還を受ける権利を有する。契約にかか
る収益及び費用を確実に見積もることが出来る場合、当社は、報告期間末現在の建設の進行状況に基づき見積もられた
収益及び費用を認識する。建設完了の割合は、現時点で遂行された作業について発生した費用の見積もられた建設費用
の合計に対する割合により、決定される。建設契約の収益及び費用を確実に見積もることができない場合、収益は、費
用の回収が可能な範囲においてのみ、認識される。契約の費用総額が契約の収益総額を上回る可能性が高い場合、予想
損失は、ただちに費用として認識される。
当社の契約収益の認識に関する指針は、契約の結果の見積り並びにプロジェクトに関して、作業完了の割合及び実際
発生した費用の測定について経営陣の決断を要するものであり、それらは収益及び売上原価、損失の見積りに対する引
当金、現在の利益に対する費用、売上債権及び前受金の金額及び認識のタイミングに影響を及ぼす。例えば、2018年に
おいていくつかの要因により費用の差異がもたらされたことにより、見積契約費用の合計は修正された。見積契約費用
の修正の詳細及び2018年以降における税引前利益に対する影響は以下のとおりである。
金額
(百万ウォン)
見積契約費用合計の修正 427,812
建設契約の税引前利益の修正:
当期 (38,720)
来期以降 69,428
当期及び来期以降の利益への影響は、契約開始日から2018年末までに発生した状況に基づき見積られている。かかる
見積りは、期末における契約費用合計及び予想契約収益合計に対して評価される。かかる見積りは将来において修正さ
れる可能性がある。
当社がプロジェクトの費用の合計を確実に見積る能力は、当社の売上高及び売上原価を認識する上で金額及びタイミ
ングに対して重大な影響を及ぼす。当社が報告する売上高の認識のタイミングは、当社が実際に契約に関する支払いを
受領するタイミングと大きく異なる場合がある。さらに、当社が認識した売上高が受領する支払いの金額を上回る場合
は、かかる金額は貸借対照表において売上債権として計上される。当社が受領した支払いの金額が認識された売上高を
上回る場合は、かかる金額は貸借対照表において顧客からの前受金として計上される。従って、当社が費用の合計及び
プロジェクトの完了の割合を確実に見積る能力は、売上債権及び顧客からの前受金の金額にも影響を及ぼす。契約収益
及び費用に関連する見積りの不確実性に関する議論は、本書に記載の連結財務書類注記29(d)を参照のこと。
繰延税金
当社の繰延税金資産及び負債は、報告期間終了時点において資産又は負債の帳簿価額の回復又は清算から得られると
当社が見込む税効果を反映する。当社は、子会社、関連会社及び合弁事業に対する投資に関連する課税対象のすべての
一時的差異に関して、繰延税金負債を認識する。ただし、当社が一時的差異の戻入れのタイミングを管理でき、見通し
可能な将来において戻入が行われない可能性が高い場合はこの限りではない。当社は、見通し可能な将来において一時
的差異が戻入られる可能性が高く、かかる戻入に活用できる課税対象の利益が存在する場合、控除可能な一時的差異に
関して繰延税金資産を認識する。しかしながら、企業合併ではない取引におけるのれんの当初認識又は資産若しくは負
債の当初認識から生じる繰延税金において、会計上の利益若しくは損失又は課税対象所得のいずれにも影響を及ぼさな
い場合において課税対象の一時的差異に関しては認識されない。繰延税金資産の帳簿価額は、各報告期間終了時点にお
いて見直され、かかる繰延税金資産の一部又は全部のベネフィットを可能にするための十分な課税対象所得が見込めな
くなった場合、引下げられる。
当社は、繰延税金資産及び負債の認識は、とりわけ将来における課税対象所得、税法の解釈及び税務計画などに関
し、当社の経営陣の見積もり及び仮定を必要とする重要な会計方針であると考える。税法の改正、課税対象所得の水準
の見積り及び税務計画は、実行税率及び将来計上される税金の金額に影響を及ぼす。
従業員給付
当社の確定給付型の退職給付制度のための従業員給付会計には、割引率、寿命、将来の賃金上昇、制度資産の期待運
用収益率等の不確定な事象に関する判断が含まれるが、これらに限らない。割引率は、満期が当社の給付債務期間と近
く、給付の支払いが予想される通貨と同じ通貨建てで発行された高格付社債の決算報告日における利回りを参照して決
定される。当社は、会計期間における確定給付債務(資産)純額の受取費用(利息)純額について、会計期間における
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支払利息及びその他損益計算書において認識される確定給付制度に関連する費用控除後の拠出金及び給付金支払いの結
果としての確定給付債務(資産)純額の変更を考慮して、会計期間の開始時における確定給付債務の測定に用いられる
割 引率を、その時点における確定給付債務(資産)純額に適用して決定している。市況及び経済情勢の変化により、基
本となる重要な前提が状況によって変化し、当社の確定給付型退職給付制度に重大な変更をもたらす可能性がある。
当社は確定給付型退職給付制度から発生した数理計算上の差異すべてを、留保利益に直ちに認識している。かかる評
価に利用される見積平均割引率は数理計算上の前提に基づくものであるが、これが1%上昇した場合、2018年12月31日
現在、見積退職給付引当金は総額で144十億ウォン(6.7%)減少する。将来の見積賃金上昇率が1%下落した場合、
2018年12月31日現在、見積退職給付引当金は総額で147十億ウォン(6.9%)減少する。
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(3)業績の分析
業績
2018年度の業績(2017年度との比較)
次の表は包括利益計算書から数値を抜粋し、2017年から2018年の変化を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
売上高 60,187 65,155 4,968 8.3
売上原価 51,916 57,129 5,123 10.0
売上総利益 (246) (3.0)
8,271 8,026
販売費及び一般管理費:
貸倒償却費 174 75 (99) (56.9)
その他一般管理費 2,003 1,986 (17) (0.9)
販売費 1,557 369 (1,188) (76.3)
その他営業外損益
その他貸倒償却費 98 63 (35) (35.7)
その他営業外収益 448 524 75 16.7
その他営業外費用 691 2,014 1,323 191.4
営業利益 (154) (3.7)
4,196 4,042
持分法関連利益(純額) 11 113 102 968.6
金融収益 2,373 1,706 (667) (28.1)
金融費用 2,484 2,244 (240) (9.7)
税引前純利益 (479) (11.7)
4,095 3,616
法人税費用 1,186 1,684 498 42.0
純利益 (977) (33.6)
2,909 1,932
支配企業の所有者持分利益 2,756 1,712 (1,044) (37.9)
非支配持分利益 153 220 67 44.0
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売上高
次の表は当社売上高のセグメント内訳及び2017年から2018年の変化を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
鉄鋼セグメント
外部売上高 30,230 32,358 2,128 7.0
内部売上高 17,381 18,063 682 3.9
鉄鋼セグメント売上高
47,611 50,421
合計 2,810 5.9
貿易セグメント
外部売上高 20,802 22,408 1,606 7.7
内部売上高 14,076 15,911 1,835 13.0
貿易セグメント売上高
34,878 38,319
合計 3,441 9.9
建設セグメント
外部売上高 6,887 6,769 (117) (1.7)
内部売上高 399 551 152 38.2
建設セグメント売上高
7,286 7,321
合計 35 0.5
その他セグメント
外部売上高 2,736 3,443 707 25.8
内部売上高 2,549 2,755 207 8.1
その他セグメント
5,285 6,198
売上高合計 913 17.3
連結及び基準差異調整前
95,060 102,259
売上高合計 7,199 7.6
連結調整 (2,876) 8.4
(34,405) (37,281)
(1)
基準差異調整 (468) 177 645 該当なし
売上高 4,968 8.3
60,187 65,155
(1) 基準差異調整は、一定の住居用不動産の開発及び販売に関連し、最高経営責任者により確認された報告書と連結財務書類とにおけ
る建設セグメントの売上高及び費用の認識についての差異に関連する。連結財務書類の注記3及び40を参照のこと。
当社の売上高は、鉄鋼セグメント、貿易セグメント及びその他セグメントの外部売上高の増加(建設セグメントの外
部売上高の減少により一部相殺された。)により、2017年の60,187十億ウォンから4,968十億ウォン(8.3%)増加し、
2018年には65,155十億ウォンとなった。詳細は以下のとおりである。
鉄鋼セグメント
鉄鋼セグメントにおける外部売上高(連結過程で、また基準差異調整により除外される関連会社間取引による内部売
上高を除く。)は、主に当社で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品(主要な製品カテゴリーに含まれない多様
な鉄鋼製品を含む。)の販売量の増加及び当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品の1トン当りの平均
販売単価の上昇により、2017年の30,230十億ウォンから2,128十億ウォン(7.0%)増加し、2018年には32,358十億ウォ
ンとなった。当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品の全体的な販売量は2017年の30.0百万トンから
2018年には31.4百万トンへと4.4%増加した一方で、当社で生産され外部顧客に直接販売された主要鉄鋼製品の1トン当
りの加重平均販売単価は、2017年の1トン当り903,897ウォンから3.3%上昇し、2018年には1トン当り933,990ウォンと
なった。これには以下のような原因が挙げられる。
・ 当社の各主要製品カテゴリーの販売量(線材及びステンレス鋼製品を除く。)が、2017年から2018年にかけて増加
した。当社で生産され外部顧客に直接販売された冷延製品、熱延製品、シリコン鋼製品及び厚板の販売量は、2017
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年から2018年にかけてそれぞれ9.1%、4.7%、1.7%及び1.2%増加した。一方で、当社で生産され外部顧客に直接
販売された線材及びステンレス鋼製品の販売量は、2017年から2018年にかけてそれぞれ4.6%及び0.8%減少した。
当 社の各主要鉄鋼製品の販売量の変動についての詳細は、下記「 (7)販売の状況」を参照のこと。
・シリコン鋼製品を除き、当社の主要製品カテゴリーのウォン建て販売単価は、2017年から2018年にかけて上昇し
た。当社で生産され外部顧客に直接販売された厚板、熱延製品、線材、冷延製品及びステンレス鋼製品のウォン建
て販売単価は、2017年から2018年にかけてそれぞれ14.8%、5.2%、4.9%、2.8%及び0.8%上昇した。一方で、当
社で生産され外部顧客に直接販売されたシリコン鋼製品のウォン建て販売単価は、2017年から2018年にかけて
2.9%低下した。当社の各主要製品ラインの販売単価の変動についての詳細は、上記「(1)概要-(a)販売量、価
格及び製品構成」を参照のこと。
関連会社間取引による内部売上高を含む鉄鋼セグメントの売上高の合計は、関連会社間取引による内部売上高が2017
年から2018年にかけて682十億ウォン(3.9%)増加し17,381十億ウォンから18,063十億ウォンになったため、2017年の
47,611十億ウォンから2,810十億ウォン(5.9%)増加し、2018年には50,421十億ウォンとなった。
貿易セグメント
貿易セグメントにおける外部売上高(連結過程で、また基準差異調整により除外される関連会社間取引による内部売
上高を除く。)は、主に、農産物及び鋼スラブの取引の増加を反映し、㈱POSCOインターナショナル及びその他の貿易子
会社による第三国貿易が2017年から2018年にかけて増加したこと、並びに㈱POSCO P&Sの鉄鋼製品販売事業の㈱POSCOイ
ンターナショナルへの譲渡にともない、2017年3月からかかる事業の売上高を貿易セグメントにおいて認識したことに
起因し、2017年の20,802十億ウォンから1,606十億ウォン(7.7%)増加し、2018年には22,408十億ウォンとなった。
関連会社間取引による内部売上高を含む貿易セグメントの売上高合計は、関連会社間取引による内部売上高が2017年
の14,076十億ウォンから1,835十億ウォン(13.0%)増加し15,911十億ウォンとなったことから、2017年の34,878十億
ウォンから3,441十億ウォン(9.9%)増加し、2018年には38,319十億ウォンとなった。
建設セグメント
建設セグメントにおける外部売上高(連結過程で、また基準差異調整により除外される関連会社間取引による内部売
上高を除く。)は、主にPOSCO建設㈱によるブラジルのCSP-Companhia Siderurgia do Pecem製鉄所の建設が2017年に完了
したことに伴い、建設活動が減少したため、2017年の6,887十億ウォンから117十億ウォン(1.7%)減少し、2018年には
6,769十億ウォンとなった。
関係会社間取引による内部売上高は2017年における399十億ウォンから152十億ウォン(38.2%)増加し、2018年に551
十億ウォンとなったため、関係会社間取引による内部売上高を含む建設セグメントの売上高合計は、2017年の7,286十億
ウォンから35十億ウォン(0.5%)増加して2018年には7,321十億ウォンになった。かかる内部売上高の増加は、2017年
から2018年にかけてのPOSCOグループ会社の建設活動の増加を反映したものであり、上記のとおり外部売上高の減少によ
り一部相殺された。
その他セグメント
その他セグメントには、主に発電、LNGロジスティクス、多様な工業原料の製造、及び情報技術サービスが含まれる。
その他セグメントの外部売上高(連結過程で、また基準差異調整により除外される関連会社間取引による内部売上高を
除く。)は、主に、㈱POSCOエナジー及び㈱POSCOケミカルの売上高の増加により、2017年の2,736十億ウォンから707十
億ウォン(25.8%)増加して2018年には3,443十億ウォンとなった。
関係会社間取引からの内部売上高は、2017年の2,549十億ウォンから207十億ウォン(8.1%)増加し、2018年には
2,755十億ウォンとなり、関係会社間取引による内部売上高を含むその他セグメントの売上高合計は、2017年の5,285十
億ウォンから913十億ウォン(17.3%)増加し、2018年には6,198十億ウォンとなった。かかる増加は、主に㈱POSCOケミ
カルから当社に対するコークス用炭副産物のに関連する内部売上高の増加を反映している。
売上原価
当社の売上原価は、2017年の51,916十億ウォンから5,213十億ウォン(10.0%)増加し、2018年には57,129十億ウォン
となった。売上原価の増加の主な原因は、販売される完成品の製造に利用される主要な原料のウォン建て平均価格の上
昇及び鉄鋼製品の販売量の増加によるものであった。2018年1月1日からのIFRS第15号「顧客との契約から生じる収
益」の適用に伴い、当社は、2017年においては全額を販売費用として認識していた運搬保管費の大半を売上原価に含め
ることとなった。当社は、2018年において1,415十億ウォンの運搬保管費を認識し、そのうち1,230十億ウォンを売上原
価として、また185十億ウォンを販売費用として認識した。
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以下の表は、2017年及び2018年における連結過程及び基準差異で相殺消去された関連会社間取引の調整前のセグメン
ト別の売上原価及び2017年から2018年における増減を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
鉄鋼セグメント 41,479 44,377 2,898 7.0
貿易セグメント 33,388 37,202 3,814 11.4
建設セグメント 6,598 6,651 53 0.8
その他セグメント 4,636 5,603 967 20.9
連結調整 (33,802) (36,828) (3,026) 9.0
(1)
基準差異調整
(383) 124
507 該当なし
売上原価 51,916 57,129 5,213 10.0
(1) 基準差異調整は、一定の住居用不動産の開発及び販売に関連し、最高経営責任者により確認された報告書と連結財務書類とにおけ
る建設セグメントの売上高及び費用の認識についての差異に関連する。連結財務書類の注記3及び40を参照のこと。
鉄鋼セグメント
鉄鋼セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上原価は、主に、当社で生産され外部及び内部顧客に販売された
主要な鉄鋼製品の販売量の増加及び販売される完成品の製造に利用される主要な原料のウォン建て平均価格の上昇並び
にIFRS第15号の適用に伴い2018年より鉄鋼セグメントにおける919十億ウォンの運搬保管費を(販売費用ではなく)売上
原価として認識したことにより、2017年の41,479十億ウォンから2,898十億ウォン(7.0%)増加し、2018年には44,377
十億ウォンとなった。
貿易セグメント
貿易セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上原価は、主に輸出入製品の販売量の増加及びIFRS第15号の適用
に伴い2018年より貿易セグメントにおける307十億ウォンの運搬保管費を(販売費用ではなく)売上原価として認識した
ことにより、2017年の33,388十億ウォンから3,814十億ウォン(11.4%)増加し、2018年には37,202十億ウォンとなっ
た。
建設セグメント
建設セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上原価は、前述した建設活動量の増加に伴い、2017年の6,598十億
ウォンから53十億ウォン(0.8%)増加し、2018年には6,651十億ウォンとなった。
その他セグメント
その他セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上原価は、主に、㈱POSCOエナジーが使用する主要な原材料の
ウォン建て平均価格が上昇したことにより、2017年の4,636十億ウォンから967十億ウォン(20.9%)増加し、2018年に
は5,603十億ウォンとなった。
売上総利益
当社の売上総利益は、4つの各セグメント(特に貿易セグメント)の売上総利益が減少したことにより2017年の8,271
十億ウォンから246十億ウォン(3.0%)減少し、2018年には8,026十億ウォンとなった。当社の売上総利益率は、2017年
の13.7%から2018年には12.3%に低下した。
以下の表は、連結過程及び基準差異で相殺消去された関係会社間取引の調整前のセグメント別の売上総利益及び2017
年から2018年における増減を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
鉄鋼セグメント 6,132 6,044 (88) (1.4)
貿易セグメント 1,490 1,117 (374) (25.1)
建設セグメント 688 669 (18) (2.6)
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その他セグメント 649 595 (54) (8.3)
連結調整 (603) (453) 150 (24.8)
(1)
基準差異調整
(85) 53
138 該当なし
売上総利益 8,271 8,026 (246) (3.0)
(1) 基準差異調整は、一定の住居用不動産の開発及び販売に関連し、最高経営責任者により確認された報告書と連結財務書類とにおけ
る建設セグメントの売上高及び費用の認識についての差異に関連する。連結財務書類の注記3及び40を参照のこと。
鉄鋼セグメント
当社の鉄鋼セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益は、主にIFRS第15号の適用に伴い、2018年より鉄
鋼セグメントにおける919十億ウォンの運搬保管費を(販売費用ではなく)売上原価として認識したことにより、2017年
の6,132十億ウォンから88十億ウォン(1.4%)減少し、2018年には6,044十億ウォンとなった(その大半は、前述のとお
り、売上原価の増加よりも高い割合で増加した連結調整及び基準差異調整前の鉄鋼セグメントの外部収益の影響により
相殺された。)。それらの要因により、当社の鉄鋼セグメントの売上総利益率(連結調整及び基準差異調整前の売上高
合計に対する売上総利益の割合)は、2017年の12.9%から低下し、2018年は12.0%となった。
貿易セグメント
当社の貿易セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益は、主にIFRS第15号の適用に伴い、2018年より貿
易セグメントにおける307十億ウォンの運搬保管費を(販売費用ではなく)売上原価として認識した結果として貿易利益
率が低下したことにより、2017年の1,490十億ウォンから374十億ウォン(25.1%)減少し、2018年には1,117十億ウォン
となった。当社の貿易セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益率は、2017年の4.3%から低下して2018年
は2.9%となった。
建設セグメント
当社の建設セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益は、主に2018年における㈱POSCO建設の海外におけ
る建設活動の減少及び利益率の高い建設プロジェクトへの参加の減少により、2017年の688十億ウォンから18十億ウォン
(2.6%)減少し、2018年には669十億ウォンとなった。当社の建設セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総
利益率は、2017年の9.4%から低下して2018年は9.1%となった。
その他セグメント
当社のその他セグメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益は、主にPOSCOエナジー㈱の売上総利益の減少に
より、2017年の649十億ウォンから54十億ウォン(8.3%)減少し、2018年には595十億ウォンとなった。当社のその他セ
グメントの連結調整及び基準差異調整前の売上総利益率は、2017年の12.3%から低下して2018年は9.6%となった。
販売費及び一般管理費
以下の表は、販売費及び一般管理費の内訳並びに2017年から2018年における増減を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
貸倒償却費 174 75 (99) (56.9)
運搬保管費 1,337 185 (1,152) (86.2)
販売手数料 116 79 (37) (31.8)
販売促進費用 12 14 1 11.1
販売保険料 37 37 1 1.9
契約費用 23 17 (6) (26.3)
32 37
その他 5 15.7
販売費合計 1,557 369 (1,188) (76.3)
給与 775 813 39 5.0
確定給付制度関連費用 79 73 (5) (6.8)
その他の福利厚生費 160 176 16 10.2
減価償却費 97 101 ▶ 4.1
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償却費 146 112 (34) (23.2)
租税公課 73 72 (1) (9.6)
支払賃借料 70 70 (0) (0.7)
広告宣伝費 120 107 (13) (10.7)
研究開発費 126 108 (17) (13.9)
サービス手数料 193 166 (27) (14.2)
164 186
その他 22 13.4
その他一般管理費合計 2,003 1,986 (17) (0.9)
3,734 2,430
販売費及び一般管理費合計 (1,304) (34.9)
当社の販売費及び一般管理費は、主に(2017年においては販売費用として全額認識していた)運搬保管費の大半を
2018年より売上原価として認識したこと、及び貸倒償却費、販売手数料、償却費及びサービス手数料の減少(給与の増
加により、一部相殺された。)により、2017年の3,734十億ウォンから1,304十億ウォン(34.9%)減少し、2018年には
2,430十億ウォンとなった。かかる要因は、基本的に以下に起因するものである。
・ 運搬保管費は、主に2018年から運搬保管費の1,230十億ウォンを売上原価として区分するようになったことから、
2017年の1,337十億ウォンから1,152十億ウォン(86.2%)減少し、2018年には185十億ウォンとなった。
・ 貸倒償却費は、主に㈱POSCOインターナショナルの貸倒償却費の減少により、2017年の174十億ウォンから99十億
ウォン(56.9%)減少し、2018年には75十億ウォンとなった。
・ 販売手数料は、主に2017年における1度限りの多額の販売手数料が2018年には発生しなかったこと及び販売手数
料が発生しない取引の増加により、2017年の116十億ウォンから37十億ウォン(31.8%)減少して、2018年には79
十億ウォンとなった。
・ 償却費は、主に当社の情報技術インフラのアップグレードに関連して無形資産の償却が減少したことにより、
2017年の146十億ウォンから34十億ウォン(23.2%)減少し、2018年には112十億ウォンとなった。
・ 給与は、主に従業員に対するインセンティブ賞与の増加により、2017年の775十億ウォンから39十億ウォン
(5.0%)増加して、2018年には813十億ウォンとなった。
その他営業利益及び営業費用
次の表はその他の貸倒償却費及びその2017年から2018年における増減を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
その他の貸倒償却費 98 63 (35) (35.7)
当社のその他の貸倒償却費は、2017年の98十億ウォンから35十億ウォン(35.7%)減少し、2018年には63十億ウォン
となった。2017年において、当社のその他の貸倒償却費は主に㈱POSCO建設のジョイント・ベンチャー・プロジェクトに
関連するものであった。2018年において、当社のその他の貸倒償却費は主に㈱POSCO建設によるPT. POSCO E&C
Indonesiaに対する回収不能の貸付金に関連するものであった。
次の表は当社のその他の営業利益及びその2017年から2018年の増減を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
売却予定資産処分益 1 27 26 2,202.6
従属企業、関係企業及び共同企業投資
82 45 (37) (44.7)
処分益
有形資産処分益 32 53 21 65.3
無形資産処分益 23 117 94 400.8
確定約定評価益 56 39 (17) (30.7)
保険金収益 6 14 8 138.8
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248 228
その他 (20) (8.1)
75
その他営業利益合計 448 524 16.7
当社のその他営業利益は、主に無形資産処分益、売却予定資産処分益及び有形資産処分益の増加(従属企業、関係企
業及び共同企業投資処分益の減少により一部相殺された。)により、2017年の448十億ウォンから75十億ウォン
(16.7%)増加し、2018年には524十億ウォンとなった。かかる要因は、基本的に以下に起因するものである。
・ 無形資産処分益は、主に炭素クレジットの処分益の増加により、2017年の23十億ウォンから著しく(94十億ウォ
ン)増加し、2018年には117十億ウォンとなった。
・ 売却予定資産処分益は、主に2018年においてPOSPower㈱の資産の売却があったことに対して2017年にはそのよう
な売却予定資産処分益がなかったことから、2017年の1十億ウォンから著しく(26十億ウォン)増加し、2018年
には27十億ウォンとなった。
・ 有形資産処分益は、主に社宅を従業員に売却したことによる利益の増加により、2017年の32十億ウォンから21十
億ウォン(65.3%)増加し、2018年には53十億ウォンとなった。
・ 従属企業、関係企業及び共同企業投資処分益は、主に当社の組織再編努力の一貫として一部の従属企業及び関係
企業に対する当社持分の処分が減少したことにより、2017年の82十億ウォンから37十億ウォン(44.7%)減少
し、2018年には45十億ウォンとなった。
下記の表は2017年から2018年にかけての当社のその他営業費用の内訳を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
売却予定資産減損損失 - 51 51 該当なし
従属企業、関係企業及び共同企業投資
20 5 (15) (73.9)
処分損
有形資産処分損 151 118 (34) (22.3)
有形資産減損損失 117 1,005 887 757.0
投資不動産処分損 2 9 7 365.6
投資不動産減損損失 - 51 51 該当なし
無形資産減損損失 168 338 170 100.9
引当負債繰入額 34 135 101 296.4
確定約定評価損 43 66 23 53.6
寄付金 51 52 1 1.3
運休資産費用 10 9 (1) (11.8)
94 176
その他 82 87.3
その他営業費用合計 691 2,014 1,323 191.4
当社のその他営業費用は、主に有形資産減損損失、無形資産減損損失及び引当負債繰入額の増加(有形資産処分損の
減少により一部相殺された。)により、2017年の691十億ウォンから1,323十億ウォン(191.4%)増加し、2018年には
2,014十億ウォンになった。かかる要因は、主に以下に起因する。
・ 有形資産減損損失は、2017年の117十億ウォンから著しく(887十億ウォン)増加し、2018年には1,005十億ウォン
となった。2017年において、当社の有形資産減損損失は、主に㈱順天エコトランスが運営するSkyCube及び一定の
資産の処分計画に関するものであった。2018年、当社は、事業の廃止に伴い、光陽における合成天然ガス生産施
設に関する有形資産減損損失810十億ウォン及び㈱POSCOエナジーの燃料電池事業の営業損失に関連する減損損失
54十億ウォンを認識した。
・ 無形資産減損損失は、2017年の168十億ウォンから著しく(170十億ウォン)増加し、2018年には338十億ウォンと
なった。2017年において、無形資産減損損失は、主に㈱POSCO建設に吸収合併された㈱POSCOエンジニアリングの
損失に関連するものであった。2018年において、無形資産減損損失は、主に不確実な世界経済環境による予測
キャッシュフローの減少に起因する㈱POSCOインターナショナル及び㈱POSCO建設の使用価値の低下によるそれぞ
れ158十億ウォン及び66十億ウォンののれんの減損損失並びにオーストラリアの石炭採掘会社であるHume Coal
Pty Limitedに対する当社の投資に関連する78十億ウォンの工業所有権の減損によるものであった。
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・ 引当負債繰入額は、主に2018年において、事業の廃止に伴う光陽における合成天然ガス生産施設に関して引当金
が増加したことにより、2017年の34十億ウォンから著しく(101十億ウォン)増加し、2018年には135十億ウォン
となった。
・ 有形資産処分損は、2017年の151十億ウォンから34十億ウォン(22.3%)減少し、2018年には118十億ウォンと
なった。2017年において、有形資産処分損は、主に浦項製鉄所における溶鉱炉の改良プロジェクトに関連してい
た。2018年において、有形資産処分損は、主に光陽製鉄所におけるLNG工場の合理化に関連していた。
営業利益
上記の諸要因により、当社の営業利益は、2017年の4,196十億ウォンから154十億ウォン(3.7%)減少し、2018年には
4,042十億ウォンとなった。営業利益率は2017年の7.0%から2018年は6.2%に低下した。
持分法利益(損失)
当社の持分法利益は、2017年の11十億ウォンから著しく(102十億ウォン)増加し、2018年には113十億ウォンとなっ
た。2017年、当社は、主にKOBRASCO(56十億ウォン)、Roy Hill Holdings Pty Ltd. (46十億ウォン)、South-East Asia
Gas Pipeline Company Ltd. (43十億ウォン) 及び POSCO Mitsubishi Carbon Technology Ltd. (28十億ウォン)の当社持分に
よる利益(CSP-Compania Siderurgica do Pecemの当社持分による損失(148十億ウォン)により一部相殺された。)によ
り、持分法純利益として11十億ウォンを認識した。2018年、当社は、主にKOBRASCO(75十億ウォン)、POSCO
Mitsubishi Carbon Technology Ltd.(70十億ウォン)、Roy Hill Holdings Pty Ltd. (59十億ウォン)及びAES-VCM Mong
Duong Power Company Limited (30十億ウォン)の当社持分による利益(CSP-Compania Siderurgica do Pecemの当社持分によ
る損失(110十億ウォン)により一部相殺された。)により、持分法純利益として113十億ウォンを認識した。本書に記載
の連結財務書類の注記11を参照のこと。
金融収益及び金融費用
次の表は当社の金融収益及び金融費用の内訳並びに2017年から2018年の変化を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
受取利息 212 337 125 58.7
受取配当金 93 63 (30) (31.9)
為替差益 786 716 (70) (8.9)
為替評価益 564 212 (352) (62.3)
デリバティブ取引益 211 248 37 17.5
デリバティブ評価益 65 97 32 49.8
売却可能金融資産処分益 426 - (426) (100.0)
損益を通じて公正価値で測定する
- 16 16 該当なし
金融資産評価益
その他 16 16 (0) (1.6)
金融収益合計 2,373 1,706 (667) (28.1)
支払利息 653 741 88 13.5
為替差損 757 811 54 7.2
為替評価損 423 322 (101) (23.9)
デリバティブ取引損 236 209 (28) (11.6)
デリバティブ評価損 226 41 (186) (82.0)
売却可能金融資産損傷差損 123 - (123) (100.0)
損益を通じて公正価値で測定する
- 59 59 該当なし
金融資産評価損
66 62
その他 (4) (6.1)
金融費用合計 2,484 2,244 (240) (9.7)
2017年には米ドルに対するウォンが上昇したのに対し2018年では下落したため、当社は、2017年には141十億ウォンの
為替評価益(純額)を認識したが、2018年には109十億ウォンの為替評価損(純額)を計上し、2017年には29十億ウォン
の外国為替差益(純額)を計上したのに対し、2018年には95十億ウォンの外国為替差損を計上した。Seoul Money
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Brokerage Service, Ltd.が発表する市場平均為替レートによると、ウォンの価値は2016年12月31日付の1.00米ドル=
1,208.5ウォンから2017年12月31日付で1.00米ドル=1,071.4ウォンに上昇したが、2018年12月31日付で1.00米ドル=
1,118.1 ウォンに下落した。かかる為替変動の中、当社は、2017年にデリバティブ評価純損失162十億ウォンを認識した
のに対し、2018年にはデリバティブ評価純利益56十億ウォンを認識し、2017年にデリバティブ取引純損失26十億ウォン
を認識したのに対し、2018年にはデリバティブ取引純利益39十億ウォンを認識した。
2017年において、当社は、現代重工業及びKB金融グループにおける当社持分の処分に関連して売却可能金融資産処分
益426十億ウォンを認識したが、2018年には売却可能金融資産処分益はなかった。
当社の受取利息は、主に利息を発生する金融資産の増加及び韓国における金利の全般的な上昇により2017年の212十億
ウォンから125十億ウォン(58.7%)増加し、2018年には337十億ウォンとなった。
当社は、2017年において、主にCongonhas Minèrios S.A.の株式の公正価値の継続的かつ著しい低下に関連し、売却可
能金融資産減損損失123十億ウォンを認識した。一方で、2018年にはそのような損失はなかった。
税引前当期利益
上記の諸要因により、当社の税引前当期利益は、2017年の4,095十億ウォンから479十億ウォン(11.7%)減少し、
2018年には3,616十億ウォンとなった。
次の表は当社純利益及び純損失のセグメントごとの内訳(のれん及び企業公正価値調整、セグメント間利益の相殺、
法人税費用及び基準差異調整前)及び2017年から2018年の変化を示したものである。
増減
12月31日終了年度
2017年-2018年
2017年 2018年 金額 %
(十億ウォン)
鉄鋼 2,791 1,268 (1,523) (54.6)
貿易 113 49 (63) (56.3)
建設 25 0 (24) (99.0)
その他 233 14 (219) (94.2)
のれん及び企業公正価値調整 (84) (78) 7 (7.8)
セグメント間利益の相殺 (103) 638 741 該当なし
法人税費用 1,206 1,671 465 38.5
(1)
基準差異調整
(85) 53
137 該当なし
税引前当期利益 4,095 3,616 (479) (11.7)
(1) 基準差異調整は、一定の住居用不動産の開発及び販売に関連し、最高経営責任者により確認された報告書と連結財務書類とにおけ
る建設セグメントの売上高及び費用の認識についての差異に関連する。連結財務書類の注記3及び40を参照のこと。
法人税費用
当社の法人税費用は、2017年の1,186十億ウォンから498十億ウォン(42.0%)増加し、2018年には1,684十億ウォンと
なった。当社の実効税率は、2017年の29.0%から2018年は46.6%へ上昇した。これは主に、以下に起因する。
・ 2018年に光陽における合成天然ガス製造施設に対して当社が認識した課税所得控除の対象とならない有形資産減
損損失に関連し、法人税費用が2017年の28十億ウォンから2018年に272十億ウォンに増加した(結果として実効税
率が6.8%上昇した。)。
・ 2018年における課税当局と当社の間における一定の税法に関する解釈の不一致の調整に関連した税効果130十億
ウォンを認識したが(結果として実効税率が3.6%上昇した。)、一方で2017年にはそのような税効果はなかっ
た。
本書に記載の連結財務書類の注記35を参照のこと。
当期純利益
当社の当期純利益は、上述の要因により、2017年の2,909十億ウォンから977十億ウォン(33.6%)減少し、2018年には
1,932十億ウォンとなった。
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(4)キャッシュフローの状況
次の表は表示期間に関する当社のキャッシュフローの要約である。
12月31日終了年度
2017年 2018年
(単位:十億ウォン)
営業活動による正味現金 5,607 5,870
投資活動に用いられた正味現金 (3,818) (2,648)
財務活動に用いられた正味現金 (1,566) (3,195)
現金に対する為替レート変動の影響 (59) 5
現金及び現金性資産の期首残高 2,448 2,613
現金及び現金性資産の期末残高 2,613 2,644
現金及び現金性資産の純増(減)額 165 31
(a)資金需要
従来、現金の使途は有形固定資産及びその他の資産の取得並びに未払債務の返済及び配当金の支払いで構成されて
いた。
投資活動に用いられた正味現金額は2016年が3,755十億ウォン、2017年が3,818十億ウォン及び2018年が2,648十億
ウォンであった。これらの金額には有形固定資産の取得として、2016年には2,324十億ウォン、2017年には2,288十億
ウォン及び2018年には2,136十億ウォンが含まれている。
当社は、2019年に、設備投資に約6.1兆ウォンを費やす計画であるが、当社製品の市場の需要、世界の鉄鋼産業の生
産見通し並びに世界の経済状況一般によっては、これを継続的に調整する可能性がある。当社は、かかる市場状況の
評価に基づいて、現行の設備投資の一部の実施を延期又は中止する可能性がある。当社は、2016年に1,401十億ウォ
ン、2017年に1,697十億ウォン及び2018年に1,068十億ウォンの短期金融投資純取得額を計上した。当社はまた2016年
に48十億ウォンの売却可能投資の純取得額を計上し、2017年に941十億ウォンの売却可能投資の純処分額を計上し、
2018年に100十億ウォンの有価証券純取得額を計上した。
財務活動において、当社は、借入れの返済に、2016年に4,275十億ウォン、2017年に3,136十億ウォン及び2018年に
3,136十億ウォンの現金を使用した。当社は、普通株式の配当金として、2016年に709十億ウォン、2017年に863十億
ウォン及び2018年に724十億ウォンを支払った。
また、当社は近年、当社の事業を補完する可能性のある会社を買収し、又はかかる会社に投資し、海外の資源の開
発プロジェクトに投資するなど多様な機会を選択的に考慮してきた。当社は、かかる買収やその他の戦略的関係を結
ぶために追加の資本金を必要とする可能性がある。かかる活動に必要な資金以外に、当社は、設備投資、未払債務の
返済及び現金配当の支払が、今後数年間において、最も重要な資金使途であると予想している。
契約債務及び確定契約の支払いにも、相当な資金を必要とする。通常の業務の過程で、当社は、業務の様々な側面
で商業的確定契約を日常的に締結すると共に、関連会社その他の債務についても保証を行う。当社の保証の残高に対
する偶発債務については、本書に記載の連結財務書類注記38(b)を参照のこと。次の表は2018年12月31日現在の長期債
務、キャピタル・リース及びオペレーティング・リース債務の金額である。
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期間別支払予定額
契約債務
総額 1年未満 1年から3年 4年から5年 5年超
(単位:十億ウォン)
長期債務(a) 13,118 2,842 6,519 2,858 899
長期債務の支払利息(b) 1,787 656 838 237 56
キャピタル・リース債務 101 10 43 42 6
オペレーティング・リース債務 8,561 1,437 2,365 1,520 3,239
購入債務(c) 21,660 9,501 6,342 3,436 2,381
長期配送サービス契約 18,930 2,479 4,443 3,804 8,204
2,968 110 327 408 2,123
未払退職金(d)
合計 67,125 17,035 20,877 12,305 16,908
(a) 1年以内支払予定の社債償還プレミアムが含まれるが、債券の割引の償却及び発行費用は含まれない。
(b)2018 年12月31日現在、長期債務の一部は変動金利によるものであった。当社は2018年12月31日現在の金利を使用し、表示され
る期間における長期債務の支払利息を計算した。
(c) 当社の購入債務には、鉄鉱石、石炭、ニッケル、LNG及び他の原材料の供給契約が含まれる。かかる契約は一般に1年から10年
間にわたるもので、長期契約はその時点の市場価格に基づく定期的な価格調整を規定している。2018年12月31日現在、鉄鉱石
100百万トン及び石炭14百万トンが長期契約に基づき今後購入される予定である。さらに、当社はインドネシアのタングLNGコン
ソーシアムとの間に、2005年8月から20年間にわたり550千トンのLNGを購入する契約を締結した。タングLNGコンソーシアムと
の契約に基づく購入価格は、月間基準原油価格(日本輸入原油価格で表示される。)に基づく変数(ただし上限を有する。)で
ある。当社は、上記に表示される期間における鉄鉱石、石炭及びLNGの購入債務の算出に2018年12月31日現在有効な市場価格及
び為替レートを使用した。
(d) 適用ある韓国法に基づき、通常の定年に達した従業員全員に対して支払うことが義務付けられている退職金の2018年12月31日
現在の予定額を示す。かかる金額は、従業員の定額給の率及び退職までに累積される役務年数に基づき決定される。これらの金
額には、通常の定年より前に当社における役務を終了する従業員に対し支払われる金額は含まれない。
(b)資金調達
当社は伝統的に運転資金及びその他の資金需要を主として営業活動から得られる現金により満たしており、資金需
要の残りを主に長期債務及び短期借入により調達してきた。当社は、将来においてもこれらが当社の主要な資金源と
なると予想する。随時、当社は新種資本証券の発行、自己株式の売却及び売却可能有価証券の保有によっても現金を
調達する可能性がある。
営業活動による正味現金は、2016年の5,269十億ウォンから338十億ウォン(6.4%)増加して、2017年には5,607十
億ウォンとなった。当社の販売活動による現金の総流入額は、上述のとおり増加した。さらに、当社の売上高に対す
る売上原価の割合は、2016年の87.4%から2017年の86.2%に低下し、営業活動による正味現金の流入額をさらに増加
させた。しかしながら、支払手形の残高及び子会社の支払手形の残高は2017年に減少し、結果として営業活動による
現金の総流入額にマイナスの影響がもたらされた。
営業活動による正味現金は、2017年の5,607十億ウォンから263十億ウォン(4.7%)増加して2018年には5,870十億
ウォンとなった。当社の販売活動による現金の総流入額は、上述のとおり増加した。さらに、当社の買掛金及び支払
手形の残高は、主要な供給業者に対する支払期日を延長したことにより2018年に増加し、営業活動による正味現金の
流入額をさらに増加させた。しかしながら、2018年において当社の原料及び未着原料の棚卸資産は増加し、結果とし
て営業活動による現金の流入額にマイナスの影響をもたらした。
借入れによる手取金調整後の借入れの正味返済額は2016年には2,286十億ウォン、2017年には1,410十億ウォン及び
2018年には374十億ウォンとなった。短期借入れによる手取金を差し引いた後の短期借入れの正味返済額は、2016年に
は886十億ウォンであり、短期借入の返済を差引いた後の短期借入からの正味手取金は2017年には558十億ウォンであ
り、短期借入れによる手取金を差し引いた後の短期借入れの正味返済額は2018年には855十億ウォンであった。1年以
内期限到来分を除く長期借入れは、2016年12月31日現在12,510十億ウォン、2017年12月31日現在9,789十億ウォン及び
2018年12月31日現在9,920十億ウォンであった。短期借入れ総額及び1年以内に期限が到来する長期借入れは、2016年
12月31日現在10,195十億ウォン、2017年12月31日現在11,275十億ウォン及び2018年12月31日現在10,290十億ウォンで
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あった。新種資本証券の残高は、2016年及び2017年12月31日現在997十億ウォンであり、2018年12月31日現在は199十
億ウォンであった。当社の負債資本比率(借入金合計から現金及び現金性資産を差引き、その純額を株主資本合計で
除 した数値)は、2016年12月31日現在44.26%、2017年12月31日現在38.99%及び2018年12月31日現在37.64%であっ
た。
当社は、資金需要の変化に基づいて、定期的に短期借入れを増額し長期債務の資金調達水準を調整する。当社はま
た、その時々に自己株式の売却によって資金調達を行っている。当社は現在の資金需要に対応する充分な運転資金を
有しており、営業活動による資金によって満たされない場合も、社債又は株式の発行及びウォン及び様々な外貨建て
の銀行借入れを含む、当社の流動性基準を満たすために利用可能な多様な手段を有しているものと信じている。しか
し、当社がかかる手段をとりうる能力は韓国及び世界の金融市場の流動性、その時の金利、当社の格付及び政府の
ウォン及び外貨借入に関する政策等の要因に左右される。
(c)流動性
当社は運転資本(流動資産から流動負債を引いたもの)を2016年12月31日現在で10,711十億ウォン、2017年12月31日
現在12,354十億ウォン及び2018年12月31日現在14,721十億ウォン有していた。当社が保有する現金及び現金性資産
(「売却予定資産」に分類される現金及び現金性資産は含まれない。)は、2016年12月31日現在2,448十億ウォン、2017
年12月31日現在2,613十億ウォン及び2018年12月31日現在2,644十億ウォンであった。当社が保有するその他未収入金及
びその他短期金融資産は、2016年12月31日現在で6,765十億ウォン、2017年12月31日現在で8,682十億ウォン及び2018年
12月31日現在で9,467十億ウォンであった。2018年12月31日現在、当社の現金及び現金性資産、その他未収入金及びその
他短期金融資産の約18%は韓国国外で保有されており、設備投資を含む海外における営業活動において使用される予定
である。かかる資産が韓国における営業活動に必要な場合、一般的には韓国内における使用は現地の法規定による制限
を受けない。さらに、当社は、当社の海外子会社が当社に対して現金配当を行うことを決定した場合における重大な課
税はないと考える。2018年12月31日現在、当社は信用限度額1,375十億ウォンを有しており、かかる枠のうち300十億
ウォンは同日付で未使用であった。当社は現在の資金需要を満たすために十分な短期資金調達先を確保しており、今後
も困難になるとは考えていない。
当社の流動性は為替変動により影響を受ける。「-(1)概要-(c)為替変動」を参照。
(5)オフバランスシート取引
2017年及び2018年12月31日現在、当社は連結されていない企業体又は金融関係のパートナーシップ(例えば仕組金融
若しくは特別目的企業体としてしばしば名前が挙げられる企業体)との関係はなかった。特別目的企業体は、オフバラ
ンスシート取引の促進又はその他契約により限られた目的のために設立される。
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(6)生産実績(連結)
鉄鋼業
① 生産実績
(単位:千トン)
製品 2017年 2018年
42,193 42,867
粗鋼
製品 熱延鋼 8,372 8,716
厚板 6,512 7,432
線材 2,830 2,867
酸洗鋼 3,005 2,946
冷延製品 7,563 8,551
6,249 7,163
被覆鋼
1,028 1,078
電炉鋼
3,863 3,978
ステンレス鋼
6,359 5,903
その他
45,781 48,634
合計
※生産量は、当社及び当社子会社の生産量の合計であり、関係会社間取引を含む可能性がある。
② 2018年の設備稼働率
(単位:千トン)
会社 生産能力 生産実績 設備稼働率
37,735 89.0%
ポスコ 42,390
Zhangjiagang 1,158 105.3%
Pohang Stainless
1,100
Steel, Co. Ltd
粗鋼生産
PT.KRAKATAU POSCO 3,009 100.3%
3,000
POSCO SS-VINA Co., 965 87.7%
1,100
Ltd.
42,867 90.1%
合計 47,590
※貿易並びにエンジニアリング及び建設事業は、生産能力、生産実績及び設備稼働率の測定が困難であるため、上
記の表に含まれていない。
その他
① 生産実績
(単位:ギガワット時、千トン)
事業分野 製品 2017年 2018年
電力 15,297
発電 13,774
石灰 石灰 2,406 2,511
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② 2018年の設備稼働率
(単位:(電力)時間、(石灰)千トン)
事業分野 製品 生産能力 生産実績 設備稼働率
仁川 8,760 5,309 60.6%
発電 電力 光陽 8,760 8,117 92.7%
浦項 8,760 7,638 87.2%
石灰 石灰 2,190 2,511 114.7%
(7)販売の状況
以下の表は、表示期間内における鉄鋼セグメントにおいて外部売上高と認識された、当社で生産され外部顧客に直接
販売された鉄鋼製品(当社を通じて又は当社で生産された鉄鋼製品の販売に主に携わっていた当社の前子会社であり、
2017年3月にPOSCOインターナショナルにその鉄鋼製品販売事業を譲渡したPOSCO P&Sを通じて販売されたかを問わな
い。)の売上高の主要な製品カテゴリー別の内訳を示すものである。かかる金額には、当社で生産されPOSCOP&Sを除く
当社の連結子会社(POSCO インターナショナルを含む。)に販売された鉄鋼製品は含まれない。2018年における当社の
鉄鋼セグメントの外部売上高は2017年と比較し増加したものの、2018年3月における㈱POSCO P&Sの鉄鋼製品販売事業の
POSCOインターナショナルへの譲渡後、POSCO P&Sの外部売上高が貿易セグメントにおいて認識されるようになったた
め、2018年においてマイナスの影響を受けた。
12 月31日終了年度
2017 年 2018 年
鉄鋼製品
十億ウォン % 十億ウォン %
冷延製品 9,441 31.2 10,585 32.7
熱延製品 5,101 16.9 5,620 17.4
ステンレス鋼製品 6,624 21.9 6,624 20.5
厚板 3,087 10.2 3,587 11.1
線材 1,880 6.2 1,882 5.8
1,025 3.4 1,012 3.1
シリコン 鋼板
小計 27,159 89.8 29,309 90.6
その他
3,072 10.2 3,049 9.4
30,230 100.0 32,358 100.0
合計
以下の表は、表示期間内における鉄鋼セグメントにおいて外部販売量と認識された、当社で生産され外部顧客に直接
販売された主要鉄鋼製品(当社を通じて又は2017年3月のPOSCOインターナショナルに対する鉄鋼製品販売事業譲渡前に
おいて㈱POSCO P&Sを通じて販売されたかを問わない。)の販売量の製品カテゴリー別の内訳を示すものである。かかる
金額には、当社で生産されPOSCOP&Sを除く当社の連結子会社(POSCOインターナショナルを含む。)に販売された鉄鋼製
品は含まれない。2017年及び2018年における当社の鉄鋼セグメントの外部販売量は、2017年3月におけるPOSCO P&Sの鉄
鋼製品販売事業のPOSCOインターナショナルへの譲渡後、POSCO P&Sの当該事業における外部販売量が貿易セグメントに
おいて認識されるようになったため、マイナスの影響を受けた。
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12 月31日終了年度
2017 年 2018 年
鉄鋼製品
千トン % 千トン %
冷延製品 11,279 37.5 12,300 39.2
熱延製品 7,786 25.9 8,153 26.0
ステンレス鋼製品 2,874 9.6 2,853 9.1
厚板 4,896 16.3 4,957 15.8
線材 2,333 7.8 2,227 7.1
シリコン鋼板 877 2.9 892 2.8
(1)
合計
30,046 100.0 31,381 100.0
(1) 「その他」のカテゴリーに分類された鉄鋼製品の販売量を含まない。
当社で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品(当社を通じて又は2017年3月のPOSCOインターナショナルに対す
る鉄鋼製品販売事業譲渡前において㈱POSCO P&Sを通じて販売されたかを問わない。)に加え、当社は、連結販売子会社
(POSCOインターナショナルを含む。)による、当社で生産された鉄鋼製品の販売も行っている。当社で生産され当社の
連結販売子会社に販売され、さらにそれから外部顧客に販売された鉄鋼製品の売上高は、2016年に6,403十億ウォン、
2017年に7,385十億ウォン及び2018年に7,492十億ウォンであった。かかる鉄鋼製品の、当社の連結販売子会社による外
部顧客への売上は貿易セグメントの外部売上高として認識される。
冷延製品
冷延コイル及び精錬亜鉛めっき冷延製品は、主として自動車産業において自動車の車体パネルの製造に用いられる。
その他に、家庭用品、電気製品、エンジニアリング及び金属製品工業でも用いられている。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された冷延製品の出荷量は12.3百万トンであり、当社で生産され外部顧
客に直接販売された当社の主要な鉄鋼製品の総販売量の39.2%を占めた。
当社で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品において、冷延製品は販売量及び売上高に関し当社最大の製品分
野である。2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された冷延製品の販売量は、主に当社の中国子会社により製造
され販売された冷延製品の販売量の増加により、2017年と比較し、9.1%増加した。
当社で生産され外部顧客に直接販売された冷延製品に加え、当社で生産され当社の連結販売子会社を通じて販売され
た冷延製品を含むと、当社は、2018年において冷延製品の国内市場において単体ベースで約61%のシェアを有したと考
える。
熱延製品
熱延コイル及び鋼板は、多くの異なる工業製品に応用される。それらは、建物の建設、工業用パイプ及びタンク、並
びに自動車用シャーシに用いられる構造用鋼の製造に用いられる。熱延コイルは、また、冷延製品及びシリコン鋼板等
の、より付加価値の高い製品の材料として、広い範囲の幅及び厚みで製造される。
当社で生産され外部顧客に直接販売された熱延製品の2018年の出荷量は8.2百万トンであり、当社で生産され外部顧客
に直接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量の26.0%を占めた。当社の熱延製品の最大顧客は、それをパイプ製造及び
冷延製品の製造に用いる韓国内の川下鉄鋼メーカーである。
当社で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品に関し、熱延製品は当社の販売量においては2番目に、売上高に
おいては3番目に大きな製品分野である。2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された熱延製品の販売量は、主
に浦項製鉄所における第3溶鉱炉の合理化の完了により熱延製品の生産量及び販売量が増加したため、2017年に比べ
4.7%増加した。
当社で生産され外部顧客に直接販売された熱延製品に加え、当社で生産され当社の連結販売子会社を通じて販売され
た熱延製品を含むと、当社は、2018年において熱延製品の国内市場において単体ベースで約52%のシェアを有したと考
える。
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ステンレス鋼製品
ステンレス鋼製品は、家庭用品製造に使用され、また化学産業、製紙工場、航空産業、自動車産業、建設産業及び食
品加工産業により用いられる。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された当社のステンレス鋼製品の出荷量は2.9百万トンであり、当社で生
産され外部顧客に直接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量の9.1%を占めた。
当社で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品の売上高に関し、ステンレス鋼製品は2番目に大きな製品分野で
ある。2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量のうちステンレス鋼製品の販売量
が占める割合は9.1%に過ぎなかったが、2018年のかかる鉄鋼製品販売による売上高合計のうちステンレス鋼の占める割
合は20.5%であった。2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売されたステンレス鋼製品の販売量は、2017年に比べ
0.8%減少した。これは、自動車産業からの需要の減少に一部起因する。ステンレス鋼製品の生産に用いる電気炉の生産
効率の強化もまた、当社の生産及び販売量の増加に寄与した。
当社で生産され外部顧客に直接販売されたステンレス鋼製品に加え、当社で生産され当社の連結販売子会社を通じて
販売されたステンレス鋼製品を含むと、当社は、2018年において、ステンレス鋼製品の国内市場において単体ベースで
約40%のシェアを有したと考える。
厚板
厚板は、造船、構造用鉄鋼、海上石油・ガス生産、発電、採鉱、土木・運搬機械、ボイラー及び圧力容器、並びにそ
の他の工業用機械に用いられる。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された厚板の出荷量は5.0百万トンであり、当社で生産され外部顧客に直
接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量の15.8%を占めた。厚板を化学タンカー、艤装、撤積船及びコンテナ船に用い
る韓国造船産業並びに建設産業が当社厚板の最大顧客である。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された厚板の販売量は、主に造船産業からの需要の増加、2017年に比べ
1.2%増加した。
当社で生産され外部顧客に直接販売された厚板に加え、当社で生産され当社の連結販売子会社を通じて販売された厚
板を含むと、当社は、2018年において厚板の国内市場において単体ベースで約49%のシェアを有したと考える。
線材
線材は、主にワイヤー、留め具、釘、ボルト、ナット及び溶接棒の製造業者により用いられる。また、線材は自動車
産業において、コイルスプリング、テンションバー(引張り金具)及びタイヤコードの製造にも用いられる。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された線材の出荷量は2.2百万トンであり、当社で生産され外部顧客に直
接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量の7.1%を占めた。当社線材の最大顧客は、ワイヤーロープ及び留め具の製造業
者である。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された線材の販売量は、主にベトナム及び日本における線材の販売量の
減少により、2017年に比べ4.6%減少した。当社で生産され外部顧客に直接販売された線材に加え、当社で生産され当社
の連結販売子会社を通じて販売された線材を含むと、当社は、2018年において線材の国内市場において単体ベースで約
59%のシェアを有したと考える。
シリコン鋼板
シリコン鋼板は、主として電力変圧器、発電機及び回転機の製造に用いられる。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売された当社のシリコン鋼板の出荷量は0.9百万トンであり、当社で生産さ
れ外部顧客に直接販売された主要な鉄鋼製品の総販売量の2.8%を占めた。
2018年に当社で生産され外部顧客に直接販売されたシリコン鋼板販売量は、主にインドにおけるシリコン鋼板に対す
る需要の増加により、2017年と比較して1.7%増加した。
当社で生産され外部顧客に直接販売されたシリコン鋼板に加え、当社で生産され当社の連結販売子会社を通じて販売さ
れたシリコン鋼板を含むと、当社は、2018年においてシリコン鋼板の国内市場において単体ベースで約80%のシェアを
有したと考える。
その他
その他の製品は、銑鉄、ビレット、ブルーム及びスラブを含む、低付加価値の半製品等からなる。
(8)市場及び価格政策
① 市場
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韓国は当社にとって最も重要な市場である。国内販売量は、2018年に当社で生産及び販売された鉄鋼製品の売上高合
計の38.4%を占めた。海外の顧客に対する当社の輸出販売量及び海外販売量は、2018年中の当社の鉄鋼製品の売上高合
計 の61.6%を占めた。当社の販売戦略は、第一に国内需要を充足するよう生産に重点を置きつつも、他方で、最大限に
その能力を活用して当社の国際市場における存在を大きなものとするために輸出販売に努力を傾けることを目的とす
る。
(イ)国内市場
当社は、主に韓国において高付加価値及びその他の完成品をエンドユーザーに、半製品を、更なる加工を加える
ためにその他の鉄鋼製造業者に販売している。地域流通業者及び販売会社の役割は、小規模顧客に対して完成品を
販売することである。当社は、各重要な製品分野における大口の需要家及び流通業者に対してサービス技術者を派
遣している。
下記の表は、表示期間についての、韓国における鉄鋼製品の販売量に基づく市場シェアの推定を示したものであ
る。
12月31日終了年度
2017年 2018年
% %
(1)
ポスコの販売量
43.4 49.5
その他国内鉄鋼会社の販売量 28.2 28.0
輸入 28.4 22.5
合計
100.0 100.0
(1) 当社の販売量には、当社(子会社を除く。)で生産され外部顧客に直接販売された鉄鋼製品に加え、当社(子会社を除く。)で生
産され当社の連結販売子会社を通じて販売された鉄鋼製品が含まれる。
(ロ)輸出
海外顧客に対する当社の輸出販売及び海外販売は、当社で生産及び販売されたの鉄鋼製品の2018年の売上高合計
の61.6%を占めた。このうち62.6%はアジア諸国の顧客向けの輸出販売及び海外販売であった。かかる製品の売上
高の面では海外の顧客に対する当社の輸出販売及び海外販売は、2017年の22,963十億ウォンから6.9%増加し、2018
年には24,551十億ウォンとなった。
次の表は、表示期間において当社(当社の連結販売子会社を含む。)で生産及び販売された鉄鋼製品の海外顧客
に対する輸出売上高及び海外売上高を、地理的分布及び製品別に示したものである。
12 月31日終了年度
2017 年 2018 年
地域 十億ウォン % 十億ウォン %
中国 6,542 28.5 7,097 28.9
アジア
5,354 23.3 5,749 23.4
( 中国及び日本を除く。)
日本 2,601 11.3 2,530 10.3
欧州 2,181 9.5 2,212 9.0
中東 163 0.7 204 0.8
北米 1,947 8.5 1,861 7.6
4,176 18.2 4,898 19.9
その他
合計 22,963 100.0 24,551 100.0
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12 月31日終了年度
2017 年 2018 年
鉄鋼製品
十億ウォン % 十億ウォン %
冷延製品 9,224 40.2 10,499 42.8
熱延製品 2,604 11.3 2,738 11.2
ステンレス鋼製品 5,345 23.3 5,661 23.1
厚板 2,000 8.7 1,812 7.4
線材 606 2.6 677 2.8
シリコン鋼板 950 4.1 1,021 4.2
2,235 9.7 2,143 8.7
その他
合計 22,963 100.0 24,551 100.0
当社は、主にPOSCOインターナショナルをはじめとする韓国の商社及び当社の海外販売子会社を通して製品を輸出
している。2018年における当社の最大の輸出先は中国であり、当社で生産及び販売された鉄鋼製品の輸出売上高の
28.9%を占めた。中国に輸出された主要な製品は連続亜鉛めっき製品を含む冷延製品であった。中国への当社の輸
出は、2017年には6,542十億ウォンであり、主に中国における鉄鋼加工会社に対する冷延製品の販売量が増加したこ
とにより、8.5%増加して2018年には7,097十億ウォンとなった。2018年において2番目に大きな輸出先はアジア
(中国及び日本を除く)であり、当社で生産及び販売された鉄鋼製品の輸出売上高の23.4%を占めた。アジア(中
国及び日本を除く)に輸出された主要な製品は、連続亜鉛めっき製品を含む冷延製品であった。アジア(中国及び
日本を除く)への当社の輸出は、2017年には5,354十億ウォンであったが、主にタイ及びベトナムにおける鉄鋼製品
の販売量の増加により7.4%増加し、2018年には5,749十億ウォンとなった。
反ダンピング関税、セーフガード関税及び相殺関税訴訟
当社の輸出活動は、その時々に反ダンピング、セーフガード関税及び相殺関税手続きの対象となる。当社は、グ
ローバルに販売及び事業を展開する鉄鋼製造業者として、米国を含む世界中の市場において貿易救済手続きに関与
している。当社は、悪影響及び関連するリスクを最小化するため、積極的にかかる手続きに参加又はかかる手続き
を検討している。近年において貿易訴訟が増加し、貿易に対する政府関係者による注目が高まる一方、かかる訴訟
は全て製品別及び市場別になってきており、当社の海外販売及び事業に関連する範囲に限定されている。当社は、
引き続き、当社が参加する全ての市場における貿易救済政策に関する進展について注意深く監視し、必要に応じ
て、米国国際通商裁判所等の審判の前に訴訟を通じ当社の権利を積極的に防御する。現在、反ダンピング関税、
セーフガード関税又は相殺関税又は割当ての対象となる当社の製品は、総合しても当社の総売上高における割合は
重大ではなく、かかる手続きは近年において当社の事業及び業績に重大な悪影響を及ぼしてもいない。
② 価格政策
当社は、市況を基に製品の販売価格を決定する。価格の決定に当たり、当社は、原料費などの当社コスト、韓国市場
における供給及び需要、為替レート並びに国際鉄鋼市場における市況を考慮する。当社の価格は、市況その他の要因に
よって、かなり激しく変動する可能性がある。大市場における当社の高付加価値鉄鋼製品の価格は、競合他社が課す同
様の製品の価格を考慮して決定される。
当社の輸出価格及び国内販売価格のいずれもが、全世界の鉄鋼業界における過剰生産能力を反映し、2016年において
低下した。2017年から2018年の第3四半期までにおいて、中国における鉄鋼業界の統合が中国からの輸出量の減少につ
ながり、結果的に2018年第4四半期まで全世界での鉄鋼価格にプラスの影響を及ぼしたため、当社の輸出価格及び国内
販売価格は全体的に上昇した。全世界での鉄鋼価格は、一部、中国からの需要の低下及び中国鉄鋼産業における統合に
生き残った中国製造業者の生産能力の増加に起因し、2018年第4四半期に低下した。当社は引続き、当社製品の市場需
要、原料価格、世界の鉄鋼産業の生産見通し及び世界の経済状況一般によっては、当社の将来の販売価格を調整する。
(9)原料
① 鉄鋼製造
酸素製鋼法により鉄鋼を製造する際の主要な原料は鉄鉱石及び石炭である。当社は、1トンの鉄鋼を生産するのに1.7
トンの鉄鉱石及び0.7トンの石炭を必要とする。当社は、使用する石炭の全部及び使用する鉄鉱石の実質上全部を輸入し
ている。2018年、当社は約54百万ドライ・メトリック・トンの鉄鉱石及び29百万ウェット・メトリック・トンの石炭を
輸入した。鉄鉱石は主にオーストラリア、ブラジル及びカナダから、石炭は主にオーストラリア、カナダ及びロシアか
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ら輸入している。当社は、輸入鉄鉱石及び輸入炭の大半を長期購入契約に基づいて購入している。当社の長期供給契約
は通常3年から10年の期間であり、その時点の市場価格に対する定期的な価格調整を規定している。当社は通常、四半
期 毎に価格を調整し、約1か月分の在庫に対する原料を維持している。かかる価格調整は、世界経済の見通し、原料及
び鉄鋼製品の世界的な市場価格、原料の供給及び需要の見通し並びに原料の生産費を含む様々な要因により進められ
る。石炭及び鉄鉱石の場合、通常、当社は、Plattsが定期的に公表するスポット市場価格に基づく購入価格(Premium
Low Vol Coking Coal, FOB Australia Incec及びIron Ore 62% Fe, CFR China index)で供給者と合意する。当社又は契約の
相手方である供給者は、各自の裁量を超えた原因により契約を履行することが妨げられ、かつその原因が一定期間継続
した場合に限り、この長期購入契約を解除することができる。
当社はまた、原料の採鉱権の獲得することにより、また、コンソーシアムの一環として又は被支配持分の取得を通じ
たプロジェクトへの投資により、高品質の原料に対する当社の需要を満たすべき当社の能力を向上させるため、外国の
探鉱及び生産プロジェクトに携わっている。当社は、2018年において輸入鉄鉱石の約36%及び輸入石炭の18%を自ら投
資を行っている外国の鉱山より購入した。当社の石炭、鉄鉱石及びニッケルの供給を得るための主な投資先は、主に
オーストラリア、ブラジル、ニューカレドニア及びカナダである。
当社は、選択的に主要原料に対する当社の需要を満たすべき当社の能力を向上させる可能性のある更なる戦略的関係
の締結機会を、継続的に追求している。
石炭1ウェット・メトリック・トン当たりの平均市場価格(Plattsが公表したPremium Low Vol Coking Coal, FOB
AustraliaIndex)は、2016年には143米ドル、2017年には188米ドル及び2018年には207米ドルであった。鉄鉱石1ドラ
イ・メトリック・トン当たりの平均市場価格(鉄(Fe)62%含有の鉄鉱石指数(Plattsが公表したIron Ore 62% Fe, CFR
China Index))は、2016年には58米ドル、2017年には71米ドル及び2018年には69米ドルであった。当社は、現在のとこ
ろ鉄鉱石及び石炭の供給を一つの国又は供給者に依存していない。
② ステンレス鋼製造
ステンレス鋼生産の主な原料は、ニッケル鉄、クロム鉄及びステンレス鋼スクラップである。当社は、ニッケル鉄の
ほとんどを、ニューカレドニアからニッケル鉄を調達する韓国の供給業者から購入し、残りは、インドネシア、日本及
びウクライナの主要な供給業者から購入している。クロム鉄の主な供給業者は、南アフリカ、インド及びカザフスタン
に位置する。ステンレス鋼スクラップは主に国内及び日本及び東南アジアの海外供給業者から供給されている。当社の
ステンレス鋼生産には、浦項製鉄所からのスクラップも利用されている。ロンドン金属取引所におけるニッケル1トン
当たり平均市場価格は、2016年には9,609米ドル、2017年には10,411米ドル及び2018年には13,122米ドルであった。
③ 輸送
鉄鉱石及び石炭の運搬の必要性を満たすため、当社は、専用船の船団を保有するために韓国の船会社との長期契約を締
結した。かかる契約は連続航海ベースで最大積載量制限があり、かかる積載量に達する積載があるか否かに関わらず、船
会社は1回の渡航に対して最大積載量に対する報酬を受ける。2018年、これらの専用船は全体の73%を運搬し、残りの約
27%は市況により短期及び中期契約を通じて保有された船で運送された。当社は、世界的な船舶輸送環境の変化に対応す
るために、2020年までに使用する専用船の船団を引続き最適化し、既存の船を、よりエネルギー効率技術の高いものに
アップグレードする計画を立てている。
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4【経営上の重要な契約等】
当社は、関連会社及び関係会社に対し有利な支払保証を提供しており、子会社及び関係会社との間で複数の取引に関与
している。本書に記載の連結財務書類注記37及び38を参照のこと。
5【研究開発活動】
当社は基礎研究及び応用技術開発活動を遂行するための研究開発プログラムを維持している。2018年12月31日現在、
POSCO技術研究所は、516人の研究者を含む950人の職員を雇用していた。当社の技術開発部門はまた、当社が1986年に設立
した韓国初の研究を主体とする大学である浦項工科大学及び1987年に同じく当社が設立した韓国初の私立総合研究機関で
ある産業科学技術研究所と緊密に協力している。当社はまた、1994年に、研究活動及びコンサルティング・サービスに携
わるPOSCO経営研究所(POSRI)を設立した。
当社の研究開発プログラムでは、製鋼技術関連の44,000件を超す工業所有権が申請されており、そのうち約15,000件
が2018年12月31日現在登録済みで、その多くは当社の製造工程の改善に応用されている。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
有形資産の取得に使用された現金は、2016年は2,324十億ウォン、2017年は2,288十億ウォン及び2018年は2,136十億ウォ
ンであった。当社は、2019年に設備投資として約6.1兆ウォンを投じる計画であるが、当社製品の市場需要、世界の鉄鋼産
業の生産見通し及び世界の経済状況一般によっては、これを継続的に調整する可能性がある。当社は、かかる市場状況の
評価に基づいて、現在の設備投資計画の一部を延期又は中止する可能性がある。
当社の生産設備に対する現在の資本投資計画は、生産力の合理化、より付加価値の高い製品の生産拡大、経費削減のた
めの旧式設備の能率改善及び鉄鋼以外の事業に関連する設備の建設及び拡張に力点が置かれている。以下の表は当社の
2018年12月31日現在中の設備投資の主な項目を示す。
(単位:十億ウォン)
プロジェクト 2018年12月31日現在の
プロジェクト名 竣工(予定)
の総費用 費用残額(推定)
光陽製鉄所第3溶鉱炉の合理化及び浦項製鉄所の
2021年12月 2,155 1,683
鉄鉱石処理中の窒素酸化物除去設備の建設
浦項製鉄所の副産ガス工場の建設及び光陽製鉄所
2021年11月 506 400
の強力製鉄設備の拡張
陽極材料生産設備の建設 2019年5月 135 67
2019年に当社が予定している資本投資計画は以下のとおりである。
(単位:十億ウォン)
2019年における 2020年における 2021年における
プロジェクト名 合計
予定投資額 予定投資額 予定投資額
光陽製鉄所及び浦項製鉄所の定期メン
テナンス及び鉄鋼製品の改善に関連す 146 950 823 1,919
る設備の合理化及び改良
光陽製鉄所及び浦項製鉄所の鉄鋼製品
の改善に関連する設備の合理化及び改 48 54 462 564
良
陰極材料生産設備の建設及び拡張 21 122 - 143
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2【主要な設備の状況】
当社の主要な設備は、韓国東南海岸の迎日湾に位置する浦項製鉄所、及び韓国南西部の光陽市に位置する光陽製鉄所で
ある。当社はまた、中国のZhangjiagang Pohang Stainless Steel、インドネシアのPT. Krakatau POSCO及びベトナムのPOSCO
SS Vinaを含め、海外における生産設備も、維持及び運営している。当社は、将来、施設拡張の一貫として、又は既存施設
の更なる現代化及び合理化の結果としての生産力拡大に際し、当社の生産能力を増強する場合がある。現在進行中の当社
の主な設備投資項目については上記「1 設備投資等の概要」を参照。
当社は、環境に対し責任をもって当社業務の管理を行い、当社の業務による被害から環境を保護するために精力的な努
力を行っている。当社の汚染管理の水準は政府の基準で強制される水準より厳しい。当社は、汚染レベルについてのリア
ルタイムでの評価を行うオンライン環境監視システムと周辺地域の汚染濃度の予測システムを構築した。また、当社の環
境管理プランの遂行と持続の監視を目的としてISO 14001基準に従い社内及び外部の検査官による定期的な環境検査を行っ
ている。当社はまた、納入業者及び外部委託先を対象とする認証プログラムを運営しており、これに従い、各業者は独自
に環境管理システムを構築することが推奨される。
(a)浦項製鉄所
浦項製鉄所の建設は、1970年に着工し、1983年に完成した。浦項製鉄所は現在、17.6百万トンの粗鋼及びステンレス
鋼製品の年間生産能力を有する。浦項製鉄所は、多種類の鉄鋼製品を生産している。その製品には、熱延薄板、厚板、
線材、冷延薄板並びにステンレス鋼薄板及びシリコン鋼薄板等の特殊鋼製品がある。当社の顧客の仕様に対応するた
め、これらの製品に対する特別注文にも応じている。
浦項製鉄所は、韓国の東南海岸に位置する迎日湾岸の、8.9百万平方メートルの敷地内にあり、銑鉄製造、粗鋼製造、
連続鋳造及びその他圧延のための設備からなる。さらに、浦項製鉄所は、大型船舶に対応できる原料荷下ろし用ドック
設備、原料貯蔵施設及び輸出製品を輸送する船舶専用ドック設備を擁している。浦項製鉄所は、高度先進のコンピュー
ターによる生産管理システムを備え、製造工程を常時監視制御することができる。
(b)光陽製鉄所
光陽製鉄所の建設は、1985年に着工され、1992年に完成した。光陽製鉄所は現在、24.8百万トンの粗鋼の年間生産能
力を有する。光陽製鉄所は、限定された鉄鋼製品の大量生産を専門としている。光陽製鉄所で生産される製品は熱延・
冷延双方を含んでいる。
韓国南西部の光陽市の海岸埋立地13.7百万平方メートルの敷地内に位置する光陽製鉄所は、銑鉄製造プラント、製鋼
プラント、連続鋳造プラント、鋳込工場及び薄スラブ熱延プラントからなる。また敷地内には、大型船舶に対応できる
原料荷下ろし用ドック設備、原料貯蔵施設及び輸出製品を輸送する船舶専用ドックを擁している。
当社は、光陽製鉄所は世界最新の技術を有する一貫製鉄施設の一つであると考えている。光陽製鉄所は、銑鉄製造か
ら完成品までの全製造工程を中断することなく行うことができる完全オートメーション化の一貫生産システムをとって
おり、熱延製品の生産時間をわずか4時間に短縮した。光陽製鉄所には、浦項製鉄所と同様、高度先進のコンピュー
ターによる生産管理システムが備えられており、常時製造工程の監視及び制御が可能である。
(c)工場稼働率 次の表は、下記に示された期間の韓国内における当社生産設備の稼働率の推移である。
12月31日終了年度
2017年 2018年
年度末における粗鋼及びステンレス鋼生産能力(百万トン/年)
42.39 42.39
粗鋼及びステンレス鋼生産実績(百万トン) 37.21 37.74
(1)
工場稼働率(%)
87.8% 89.0%
(1)粗鋼及びステンレス鋼の生産実績を、当社が決定する当該期間の粗鋼及びステンレス鋼の実生産能力で除すること
によって計算される。
海外における生産設備
中国のZhangjiagang Pohang Stainless Steel、インドネシアのPT. Krakatau POSCO及びベトナムのPOSCO SS Vinaを含
む、全世界における複数の当社子会社及び合弁事業は、製鉄活動に携わっている。かかる事業の詳細は、「第2-4.関
係会社の状況-(4) 子会社及び合弁事業」を参照のこと。
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Zhangjiagang Pohang Stainless Steel
以下は、示された期間における同社の稼働率を示したものである。
12月31日終了年度
2017 年 2018 年
1.10 1.10
年度末における粗鋼及びステンレス鋼生産稼働率(百万トン/年)
粗鋼及びステンレス鋼生産実績(百万トン) 1.16 1.16
(1)
工場稼働率(%)
105.4 % 105.3 %
(1)粗鋼及びステンレス鋼の生産実績を、当社が決定する当該期間の粗鋼及びステンレス鋼の実生産能力で除する
ことによって計算される。
PT. Krakatau POSCO
以下は、示された期間における同社の稼働率を示したものである。
12月31日終了年度
201 7 年 201 8 年
年度末における粗鋼生産能力(百万トン/年)
3.00 3.00
粗鋼生産実績(百万トン) 2.92 3.01
(1)
工場稼働率(%)
97.4 % 100.3 %
(1)粗鋼の生産実績を当社が決定する当該期間の粗鋼生産の実生産能力で除することによって計算される。
POSCO SS VINA Co., Ltd.
以下は、示された期間における同社の稼働率を示したものである。
201 7 年 201 8 年
年度末における粗鋼生産能力(百万トン/年)
1.10 1.10
粗鋼生産実績(百万トン) 0.91 0.97
(1)
工場稼働率(%)
82.3 % 87.7 %
(1 )粗鋼の生産実績を当社が決定する当該期間の粗鋼の実生産能力で除することによって計算される。
3【設備の新設、除却等の計画】
上記「1 設備投資等の概要」を参照。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2018年12月31日現在)
授権株数 発行済株式総数 未発行株式数
(注)
87,186,835株
200,000,000株 112,813,165株
(注)このうち7,185,703株は当社が自己株式として保有している。
②【発行済株式】
(2018年12月31日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は登録認可金融
種類 発行数
額面・無額面の別 商品取引業協会名
韓国証券先物取引所
記名式額面株式
(2)
87,186,835株
普通株式
(1)
(額面金額 5,000ウォン)
ニューヨーク証券取引所
注(1) 米国預託証券上場のための登録
(2) 発行済普通株式は全て全額払込済みかつ追加払込義務を持たず、記名式である。当社は、1、5、10、50、100、500、
1,000及び10,000株単位の株券を発行している。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし
(3)【発行済株式総数、資本金の推移】
単位:千ウォン(千円)
発行済株式数 資本金
年月日
増減数 残高 増減額 残高
482,403,125
2014年12月31日 - 87,186,835株 -
(45,008,212)
482,403,125
2015年12月31日 - 87,186,835株 -
(45,008,212)
482,403,125
2016年12月31日 - 87,186,835株 -
(45,008,212)
482,403,125
2017年12月31日 - 87,186,835株 -
(45,008,212)
482,403,125
2018年12月31日 - 87,186,835株 -
(45,008,212)
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(4)【所有者別状況】
(2018年12月31日現在)
総株主数に対する 発行済株式数に対す
区分 株主数 株式数
割合(%) る割合(%)
10,000 以上 741 0.44 74,093,893 84.98
5,000 ~ 9,999 332 0.2 2,345,802 2.69
1,000 ~ 4,999 1,731 1.04 3,568,615 4.09
500 ~ 999 1,876 1.12 1,260,583 1.45
100 ~ 499 17,907 10.74 3,607,316 4.14
50 ~ 99 12,588 7.55 836,554 0.96
10 ~ 49 46,492 27.88 991,672 1.14
9 以下
85,105 51.03 482,400 0.55
合計 166,772 100.00 87,186,835 100.00
(5)【大株主の状況】
(2018年12月31日現在)
発行済株式総数に
所有株式数
氏名又は名称 住所 対する所有株式数
(株)
の割合(%)
国民年金 管理公団 韓国
9,342,192 10.72
ブラックロック・ファンド・アドバイ
米国
(1)
ザーズ及び子会社
4,549,553 5.22
日本製鉄株式会社(旧新日鐵住金株式
日本
(1)
会社)
2,894,712 3.32
シンガポール政府投資公社 シンガポール
2,016,887 2.31
KB 金融持株㈱及び子会社 韓国ソウル市中区乙支路2街11
2,001,820 2.30
理事及び上級役員全体 -
16,565 0.02
(1)
一般投資家
-
59,179,403 67.88
POSCO (自己株式の形式で保有) 慶尚北道浦項市南区東海岸路 6261
7,185,703 8.24
発行済普通株式総数 87,186,835 100.00
(1) 米国預託証券を含む。
2018年12月31日現在、発行済普通株式総数の10.57%が、米国預託証券の形式による普通株式9,215,072株であった。
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2【配当政策】
当社普通株式に関して支払われる金額は、通常翌年度の2月若しくは3月に開催される年次株主総会での承認を必要と
する。年次配当以外に、当社理事会は、当社定款に基づき四半期配当を宣言しその配当を行う権限を有する。当社が四半
期配当の支払を決定した場合、当社定款により当社は該当年の3月、6月及び9月末現在の登録株主に対しかかる四半期
配当を現金で支払う権限を付与される。当社は法定準備金に充当されなかった留保利益から現金配当を支払うことができ
る。
次の表は表示年の12月31日現在の登録株主に対して宣言された当社の発行済普通株式に関する年間配当及び表示年の適
用ある登録株主に対して宣言された当社の発行済普通株式に関する中間配当(2016年下半期から開始した四半期配当が含
まれる。)を示している。2018年12月31日現在、普通株式87,186,835株が発行済みであった。同日現在、これらのうち、
80,001,132株が流通しており、7,185,703株は当社が自己株式の形で保有している。以下に表示される各年度の配当は翌年
支払われた。
(単位:ウォン)
普通株式1株当たり 普通株式1株当たり 普通株式1株当たり
期間
年次配当 中間配当 配当金合計
2014年 6,000 2,000 8,000
2015年 6,000 2,000 8,000
2016年 5,750 2,250 8,000
2017年 3,500 4,500 8,000
2018年 5,000 5,000 10,000
米国預託証券の所有者は普通株式の原株数に関して支払われる配当を受取る権限を有する。
従来、当社は普通株式の登録株主に対して年次配当を支払ってきた。しかし、将来的に当社が引続き配当を宣言し支払
うことを保証することはできない。
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3【株価の推移】
(1)【最近5年間の事業年度別最高・最低株価】
東京証券取引所(ADR)
事業年度 第47期 第48期 第49期 第50期 第51期
決算年月 2014年12月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月
最高 9,330円 7,700円 - - -
最低 6,310円 3,845円 - - -
(注)当社は、2015年12月14日付で東京証券取引所における上場を廃止した。
韓国証券先物取引所
単位:ウォン(円)
事業年度 第47期 第48期 第49期 第50期 第51期
決算年月 2014年12月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月
W 363,500 W 290,500 W 282,500 W 345,000 W 395,000
最高
(33,915円) (27,104円) (26,357円) (32,189円) (36,854円)
W 268,500 W 162,000 W 156,000 W 244,000 W 239,500
最低
(25,051円) (15,115円) (14,555円) (22,765円) (22,345円)
(2)【当該事業年度中最近6月間の月別最高・最低株価】
韓国証券先物取引所
単位:ウォン(円)
月別 2018年7月 2018年8月 2018年9月 2018年10月 2018年11月 2018年12月
W 330,500 W 334,500 W 319,500 W 295,500 W 274,000 W 259,500
最高
(30,836円) (31,209円) (29,809円) (27,570円) (\25,564円) (24,211円)
W 305,000 W 313,000 W 291,500 W 254,000 W 239,500 W 241,500
最低
(28,457円) (29,203円) (27,197円) (23,698円) (22,345円) (22,532円)
資料出所:韓国証券先物取引所
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4【役員の状況】
(1)社内理事
(提出日現在、但し所有株式数は2019年3月31日現在)
所有
氏名
役名及び職名 略歴 任期満了
(生年月日)
株式数
最高経営 Choi, Jeong-Woo 2012 年3月-2014年3月 当社専務理事(企業監査部) 911 株 2021 年
責任者兼 2014 年3月-2015年7月 POSCO大宇副社長兼代表理事 3月
(チョイ・ジョンウ)
代表理事 2015 年7月-2017年3月 当社副社長兼社内理事(企業戦略及び財務セン
(1957 年4月10日)
ター長)
2017 年3月-2018年2月 当社社長兼代表理事(企業戦略及び財務セン
ター長)
2018 年2月-2018年7月 ポスコケムテック社長兼代表理事
2018 年7月-現在 当社最高経営責任者兼代表理事
社長兼 Chang, In-Hwa 2015 年2月-2016年2月 当社専務理事(鉄鋼ソリューション・マーケ 889 株 2020 年
代表理事 ティング部部長) 3月
(チャン・インファ)
2016 年2月-2017年2月 当社副社長(技術及び投資本部本部長)
(1955 年8月17日)
2017 年3月-2018年3月 当社副社長兼社内理事(製鉄本部本部長)
2018 年3月-現在 当社社長兼代表理事(鉄鋼事業ユニット長)
副社長 Chon, Jung-Son 2016 年2月-2017年2月 当社専務理事(企業戦略部部長) 262 株 2020 年
2017 年2月-2018年2月 POSCO C&C社長兼代表理事 3月
(チョン・ジュンソン)
(1962 年8月26日) 2018 年3月-2019年1月 当社副社長兼社内理事(企業戦略及び財務セン
ター長)
2019 年1月-現在 当社副社長兼社内理事(企業戦略及び企画本部
本部長)
副社長 Kim, Hag-Dong 2013 年3月-2015年2月 SNNC副社長兼代表理事 960 株 2020 年
2015 年3月-2017年2月 当社副社長(浦項製鉄所所長) 3月
(キム・ハグドン)
2017 年2月-2019年1月 当社副社長(光陽製鉄所所長)
(1959 年5月27日)
2019 年3月-現在 当社副社長兼社内理事(製造本部本部長)
副社長 Jeong, Tak 2015 年3月-2016年9月 当社専務理事(エネルギー及び造船資材マーケ 699 株 2020 年
ティング部長) 3月
(ジョン・タク)
2016 年9月-2018年1月 当社専務理事(鉄鋼事業戦略部長)
(1959 年4月5日)
2018 年1月-2019年1月 当社副社長(鉄鋼事業本部本部長)
2019 年3月-現在 当社副社長兼社内理事(マーケティング本部本
部長)
(注)各社内理事は、常勤である。
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(2)社外理事
以下に現在の当社社外理事を記載する。当社社外理事各人は金融投資サービス及び資本市場法(FSCMA)に規定される
適用ある独立性の基準を満たしている。
(提出日現在)
所有
氏名
役職 略歴 任期満了
(生年月日)
株式数
会長 Kim, Shin-Bae 2004 年-2008年 SKテレコム社長兼CEO 2022 年
2005 年-2012年 韓国IoT協会会長 3月
(キム・シンベ)
0
2009 年 SK C&C副会長兼CEO
(1954 年10月15日)
2010 年-2013年 SKホールディングス副会長
社外理事 Kim, Joo-Hyun 2004 年-2014年 現代経済研究院 社長兼CEO 0 2021 年
2014 年 現代経済研究院 相談役 3月
(キム・ジュヒュン)
(1952 年10月11日) 2016 年-2017年 国民大学校フューチャー・コリア・インスティテュー
ト会長
2017 年-現在 The Financial News 社長兼CEO
社外理事 Bahk, Byong-Won 2007 年-2008年 ウリィ・ファイナンス・ホールディングス・カンパ 0 2021 年
ニー・リミテッド 会長 3月
(パク・ビョンウォン)
2011 年-2014年 韓国銀行連合会 会長
(1952 年9月24日)
2015 年-2018年 韓国経営者総協会 会長
2018 年-現在 韓国経営者総協会 名誉会長
社外理事 Chung, Moon-Ki 1981 年-2012年 三逸PWC会計法人 パートナー兼最高品質責任者 0 2022 年
2007 年-2011年 金融監督院会計審議委員会委員 3月
(チュン・ムンキ)
2016 年-現在 成均館大学校会計学教授
(1959 年3月1日)
社外理事 Chang, Seung-Wha 2000 年-2013年 国際商業会議所(ICC)仲裁裁判所メンバー 0 2020 年
2012 年-2016年 世界貿易機関(WTO)上級委員会メンバー 3月
(チャン・スンファ)
2018 年-現在 ソウル大学校法学部学部長
(1963 年6月5日)
社外理事 Kim, Sung-Jin 2004 年-2006年 中小企業庁行政官 0 2021 年
2006 年-2007年 海洋水産部長官 3月
(キム・スンジン)
2011 年-現在 ソウル大学校経済学部非常勤教授
(1949 年4月18日)
Pahk, Heui Jae
社外理事 2013 年4月-2016年4月 産業通商資源部、研究開発戦略企画部長 0 2022 年
(パク・ヒュジェ)
2016 年5月-現在 韓国青年基金 理事会長 3月
(1961 年1月27日)
1993 年3月-現在 ソウル大学校 機械・航空宇宙工学教授
2019年3月に選任された理事の任期は、最長3年である。各理事の任期中、最後の会計年度末に開催される通常株主総会の
閉会時に満了する。
(3)上級管理職
当社の執行役員でもある社内理事に加え、当社には以下の執行役員がいる。
(提出日現在)
所有
氏名 役職 部署 年齢
株式数
Oh, Gyu-Seok 副社長 新成長事業ユニット長 55歳 0株
(オー・ギュソク)
Oh, Hyoung-Soo 副社長 浦項製鉄所 所長 58歳 273株
(オー・ヒョンス)
Kim, Jhi-Yong 副社長 PT Krakatau POSCO Co., Ltd.社長 56歳 385株
(キム・ジヨン)
Han, Sung-Hee 副社長 経営支援本部 本部長 57歳 174株
(ハン・スンヒ)
Choi, Joo 副社長 技術研究所 所長 59歳 796株
(チョイ・ジュ)
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Yoo, Byeong-Og 副社長 購買投資本部 本部長 56歳 649株
(ユ・ビョンオ)
Lee, Si-Woo 副社長 光陽製鉄所 所長 58歳 566株
(リー・シウ)
Lee, Duk-Lak 専務理事 技術戦略部 部長 58歳 474株
(リー・ダクラ)
Kim, Gyo-Sung 専務理事 自動車鉄鋼研究所 所長 57歳 685株
(キム・ギョサン)
Lee, Sung-Wook 専務理事 法務部 部長 54歳 0株
(リー・スンウク)
Yang, Weon-Jun 専務理事 企業市民部 部長 53歳 476株
(ヤン・ウォンジュン)
Bae, Jae-Tak 専務理事 ステンレス鋼マーケティング部 部長 54歳 126株
(ベ・ジェタク)
Lim, Seung-Kyu 専務理事 財務部 部長 55歳 392株
(リム・スンキュ)
Choo, Se-Don 専務理事 鉄鋼ソリューション研究所 所長 57歳 405株
(チュ・セドン)
Jung, Duk-Kyoon 専務理事 情報企画部 部長 56歳 10株
(ジュン・ダキュン)
Choi, In-Suk 専務理事 浦項製鉄所 所長代理(総務) 55歳 269株
(チョイ・インスク)
Lee, Ju-Tae 専務理事 企業戦略部 部長 54歳 323株
(リー・ジュテ)
Yun, Yang-Su 専務理事 自動車原料マーケティング部 部長 55歳 112株
(ユン・ヤンス)
Kim, Soon-Ki 専務理事 労働提携部 部長 54歳 707株
(キム・スンキ)
Lee, Jeon-Hyeok 専務理事 グローバル・インフラ事業管理部 部 55歳 89株
長
(リー・ジョンヒョク)
Kim, Bok-Tae 専務理事 販売生産調整部 部長 56歳 238株
(キム・ボクテ)
Chun, Sung-Lae 専務理事 熱延製品及び線材マーケティング部 55歳 227株
部長
(チュン・スンレイ)
Kim, Jeoung-Su 専務理事 光陽製鉄所 所長代理(総務) 55歳 243株
(キム・ジョンス)
Kim, Kwang-Moo 専務理事 鉄鋼事業企画及び調整部 部長 54歳 73株
(キム・クァンム)
Kim, Kyung-Han 専務理事 国際貿易部 部長 53歳 0株
(キム・キュンハン)
Jung, Hae-Seong 常務理事 原料第二部 部長 54歳 450株
(ジュン・ヘソン)
Park, Hyeon 常務理事 リチウムイオン二次電池原料事業部 51歳 403株
部長
(パク・ヒェオン)
Kim, Min-Chul 常務理事 投資計画及びエンジニアリング部 部 56歳 380株
長
(キム・ミンチュル)
Lee, Jae-Yeol 常務理事 経営支援及び外部関係部 57歳 298株
(リー・ジェヨル)
Lee, Jean-Su 常務理事 光陽製鉄所 表面処理部 部長 55歳 53株
(リー・ジンス)
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Kim, Young-Joong 常務理事 マーケティング戦略部 部長 53歳 0株
(キム・ヨンジョン)
Choi, Hyeon-Soo 常務理事 欧州部 部長 59歳 25株
(チョイ・ヒョンス)
Kim, Ki-Soo 常務理事 処理及び工学研究所 所長 53歳 79株
(キム・キスー)
Choi, Yong-Jun 常務理事 浦項製鉄所 所長代理(熱延及び冷 54歳 27株
延)
(チョイ・ヤンジュン)
Song, Yong-Sam 常務理事 電気・電子材料マーケティング部 部 55歳 60株
長
(ソン・ヨンサム)
Lee, Yu-Kyung 常務理事 工場設備及び原料調達部 部長 51歳 377株
(リー・ユキュン)
Lee, Hee-Geun 常務理事 浦項製鉄所 所長代理(鉄鋼製造) 56歳 0株
(リー・ヒグン)
Lee, Ju-Hyeob 常務理事 浦項製鉄所 所長代理(ステンレス鋼 54歳 0株
製造)
(リー・ジュヒョブ)
An, Geun-Sik 常務理事 グローバル品質及びサービス管理部 57歳 200株
部長
(アン・グンシク)
Lee, Kyung-Sub 常務理事 投資戦略部 部長 53歳 31株
(リー・キュンスブ)
Jung, Bum-Su 常務理事 光陽製鉄所 所長代理(メンテナン 54歳 483株
ス)
(ジャン・ブンス)
Nam, Jae-Bok 常務理事 光陽製鉄所ギガスチール商業化タスク 57歳 10株
フォース・チームリーダー
(ナム・ジェボク)
Hong, Sam-Young 常務理事 光陽製鉄所 所長代理(熱延及び冷 57歳 10株
延)
(ホン・サムヤン)
Lee, Sang-Ho 常務理事 PT Krakatau POSCO Co., Ltd.製造本 54歳 4株
(リー・サンホ) 部 本部長
Kim, Sang-Gyun 常務理事 建築用鋼材マーケティング部 部長 54歳 180株
(キム・サンギュン)
Lee, Baik-Hee 常務理事 光陽製鉄所 所長代理(鉄鋼製造) 54歳 214株
(リー・ベクヒ)
Ahn, Sang-Bog 常務理事 製鉄研究所 所長 56歳 0株
(アン・サンボグ)
Han, Soo-Ho 常務理事 PT KP Downstream Construction 57歳 359株
(ハン・スーホ) Cooperation タスクフォース・チーム
リーダー
Choi, Young 常務理事 コミュニケーション部 部長 50歳 205株
(チョイ・ヨング)
Lee, Cheol-Ho 常務理事 労働及び経営開発部 部長 53歳 379株
(リー・チェルホ)
Yoon, Chang-Woo 常務理事 PT Krakatau POSCO Co., Ltd. マーケ 54歳 0株
(ユン・チャンウー) ティング本部 本部長
Jeong, Dae-Hyung 常務理事 事業評価部 部長 50歳 0株
(ジョン・デヒュン)
Yang, Byeong-Ho 常務理事 人事及び企業文化部 部長 52歳 0株
(ヤン・ビョンホ)
Kim, Sang-Chul 常務理事 エネルギー及び造船資材マーケティン 51歳 0株
グ部 部長
(キム・サンチュル)
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Cho, Ju-Ik 常務理事 新成長企画部 部長 53歳 0株
(チョ・ジュイク)
Kim, Yong-Soo 常務理事 人事管理部 部長 53歳 12株
(キム・ヨンス)
Oh, Kyung-Shik 常務理事 浦項製鉄所 PosMC技術開発 タスク 60歳 2株
(オー・キュンシク) フォース・チームリーダー
Kim, Kyeong-Chan 常務理事 鉄鋼事業計画及び調整グループ グ 49歳 0株
ループ長
(キム・キョンチャン)
Choi, Jong-Kyo 常務理事 高マンガン鋼ソリューション タスク 57歳 224株
フォース・チームリーダー
(チョイ・ジョンキョ)
Chung, Kyung-Jin 常務理事 企業監査部 部長 53歳 0株
(チュン・キュンジン)
Song, Chi-Young 常務理事 浦項製作所 所長代理(安全及び環 54歳 500株
境)
(ソン・チヨン)
Choun, Si-Youl 常務理事 製鉄戦略部 部長 53歳 31株
(チョン・シヨル)
Kang, Sung-Wook 常務理事 原料第一部 部長 53歳 83株
(カン・スンウク)
Lee, Chan-Gi 常務理事 浦項製鉄所 所長代理(メンテナン 55歳 73株
ス)
(リー・チャンギ)
Lee, Chang-Hyun 常務理事 光陽製鉄所 所長代理(安全及び環 57歳 0株
境)
(リー・チャンヒュン)
Park, Sung-Jin 常務理事 産業・学術・研究協力部 部長 51歳 0株
(パク・スンジン)
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取締役/役員の男女別人数及び女性の比率
男性76名 女性2名(取締役/役員のうち女性の比率3%)
役員の報酬
社内理事の給与及び賞与並びに社外理事の給与は、定時株主総会により承認された理事報酬限度額内において理事会が決
定した基準に従い支払われる。また、執行役員の報酬は理事会により決定された基準に従い支払われる。2018年に全ての理
事及び執行役員に対して支払われた報酬及び未払の報酬の総額は、約48十億ウォンであり、かかる役員に対し年金及び退職
給付金を提供する目的で当社により引当てられるか積立てられた金額の総額は12十億ウォンであった。
2018年において受領した年間の報酬の総額が500百万ウォンを超えた理事及び執行役員のうち上位5名は以下のとおりで
ある。
(単位:百万ウォン)
氏 名 役 職 2018年の 2018年以後に支払われる
報酬総額 長期インセンティブ報酬
Kwon, Oh-Joon 前最高経営責任者兼代表理事 5,068 436
(クォン・オジュン)
Choi, Jeong-Woo 最高経営責任者兼代表理事 1,822 284
(チョイ・ジョンウ)
Ahn, Dong-Il 前副社長 1,581 302
(アン・トンイル)
Oh, In-Hwan 社長兼代表理事 1,252 266
(オー・インファン)
Kim, Jung-Sik 前専務理事 1,207 247
(キム・ジュンシク)
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5【コーポレート・ガバナンスの状況】
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
企業統治の体制
理事会
当社理事会は当社業務の運営につき最終的な責任を有する。当社理事会は、執行役員である5名の理事(以下「社内理
事」という。)及び社外理事となる7名の理事(以下「社外理事」という。)から構成される。当社株主は株主総会にお
いて社内理事及び社外理事の両方を選任する。社内理事候補者は、理事会が当該候補者の資質を検討した後、理事会によ
り株主に対して推薦され、また社外理事候補者は社外理事3名及び社内理事1名からなる個別の理事会の委員会(以下
「理事候補推薦及び管理委員会」という。)が当該候補者の資質を検討した後、同委員会により株主に対して推薦され
る。
韓国商法及び当社定款にしたがい、議決権付発行済株式を有する株主は、理事候補推薦及び管理委員会に対して社外理
事候補者を提案することができる。
当社理事会は以下の5つの下部委員会を保持している。
・ 理事候補推薦及び管理委員会
・ 評価報酬委員会
・ 財政及び関係当事者取引委員会
・ 経営委員会
・ 監査委員会
当社理事会委員会の詳細は、下記「理事会の実務」に詳述する。
商法及び当社定款に基づき、理事会決議により、社外理事の中から1名の会長を選任しなければならず、また、社内理
事の中から複数の代表理事を選任することができる。
理事会の実務
理事候補推薦及び管理委員会
理事候補推薦及び管理委員会は社外理事3名(パク・ビョンウォン、キム・ジュヒュン及びパク・ヒュジェ)及び社内
理事1名(チョン・ジュンソン)から構成される。理事候補推薦及び管理委員会は有力候補の資質を検討し、社外理事と
して理事会の一員を務める候補者を提案する。また同委員会は、理事会の運営事項の検討も行う。議決権付発行済株式を
有する株主は、理事候補推薦及び管理委員会に対して社外理事候補を提案することができる。
評価報酬委員会
評価報酬委員会は社外理事4名(チャン・スンファ、キム・シンベイ、チュン・ムンキ及びキム・スンジン)から構成
される。評価報酬委員会の主要な責任には執行役員に対する評価手順及び報酬制度の確立、並びにこれらの遂行のための
必要措置が含まれる。
財政及び関係当事者取引委員会
財政及び関係当事者取引委員会は社外理事3名(キム・ジュヒュン、キム・スンジン及びパク・ヒュジェ)並びに社内
理事1名(チャン・インファ)から構成される。この委員会は、潜在的資本投資に関する査定及び見込みのある資金調達
活動の評価を含む財政及び経営事項に関する決定を監視する運営委員会である。また、同委員会は関連当事者取引及びそ
の他内部取引を検討し、韓国の独占規制及び公正取引法の遵守を確保する。
経営委員会
経営委員会は社内理事5名(チョイ・ジョンウ、チャン・インファ、チョン・ジュンソン、キム・ハグドン及びジョ
ン・タク)から構成される。この委員会は、経営陣による新たな戦略イニシアティブの提案の検討、組織構造及び人材開
発に関する重要な内部問題の審議を含む当社の経営管理事項に関する決定を監視する。
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監査委員会
韓国法及び定款に基づき、当社は監査委員会を設置することが義務付けられる。監査委員会は3名以上の理事から構成
することができる。監査委員会の全委員は社外理事でなければならない。また、監査委員会の全委員は、2002年米国企業
改革法(サーベンス・オクスリー法)の規則及び規制に定められる適用ある独立基準を満たさなければならない。監査委
員会の委員は定時株主総会において株主により選出される。当社は現在社外理事3名から構成される監査委員会を有して
いる。監査委員会の委員は、チュン・ムンキ、パク・ビョンウォン及びチャン・スンファである。
監査委員会の職務には以下が含まれる。
・ 社外監査人の雇用
・ 社外監査人報酬の承認
・ 監査業務及び非監査業務の承認
・ 年次財務書類の検討
・ 経営陣の意見及び提案を含む監査結果及び監査報告書の検討
・ 利益相反及び企業倫理を含む当社の管理及び政策体系の検討
・ 不正又は不正疑惑の調査
更に、株主総会に関連して、同委員会は理事会の議題並びに各株主総会において理事会から提出される予定の財務書類
及びその他報告書を検討する。当社の社内及び社外監査人は監査委員会に直接報告を行う。同委員会は少なくとも四半期
ごとに一度、また必要な場合には更に頻繁に定例会議を開催する。
会計監査
・ 業務を執行した公認会計士の指名及び当社にかかる継続監査年数
KPMG三