ドイツ復興金融公庫 有価証券報告書
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019 年6月24日
【会計年度】 自 2018年 1 月 1 日 至 2018年12月31日
【発行者の名称】 ドイツ復興金融公庫
(KfW)
【代表者の役職氏名】 シニア・ヴァイス・プレジデント、トレジャラー
フランク・チコウスキー博士
(Dr. Frank Czichowski, Senior Vice President and
Treasurer)
ヴァイス・プレジデント
ユルゲン・ケストナー
(Jürgen Köstner, Vice President)
【事務連絡者氏名】 弁護士 柴 田 弘 典
弁護士 白 川 も え ぎ
弁護士 北 島 義 之
弁護士 山 元 貴 恵
弁護士 望 月 美 希
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 03-6775-1119
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中「KfW」はドイツ復興金融公庫を、「連邦共和国」および「ドイツ」はドイツ連邦共和国を、
「連邦政府」はドイツ連邦共和国政府を指す。また「KfWグループ」および「当グループ」はドイツ復
興金融公庫(KfW)およびその連結子会社を指す。
注(2) 株式会社三菱UFJ銀行が発表した2019年6月3日現在の対顧客電信直物売買相場の仲値は、1ユーロ
=121.10円であった。
注(3) ドイツ復興金融公庫(KfW)の会計年度は、1月1日から12月31日までである。
注(4) 本書中の表に記載されている数値が四捨五入されたものである場合には、その合計額は合計欄記載の数
値と必ずしも一致するものではない。
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第1【募集(売出)債券の状況】
売出債券
上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫2018年11月満期
2013 年11月 5,230 万豪ドル 5,230 万豪ドル 0豪ドル なし
豪ドル建債券
ドイツ復興金融公庫2019年1月22日満
期 期限前償還条項・円償還条項付
2014 年1月 7億4,500万円 7億4,500万円 0円 なし
円/豪ドル デジタルクーポン デュア
ル・カレンシー債券
ドイツ復興金融公庫2019年8月満期豪
2014 年8月 2,331 万豪ドル - 2,331 万豪ドル なし
ドル建債券
ドイツ復興金融公庫2018年8月満期ト
2014 年8月 8,800 万トルコリラ 8,800 万トルコリラ 0トルコリラ なし
ルコリラ建債券
ドイツ復興金融公庫 2019年9月17日
2014 年9月 2,150 万米ドル - 2,150 万米ドル なし
満期 米ドル建債券
ドイツ復興金融公庫 2019年9月17日
2014 年9月 1,770 万豪ドル - 1,770 万豪ドル なし
満期 豪ドル建債券
ドイツ復興金融公庫 2019年12月16日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2014 年12月 12 億6,300万円 - 12 億6,300万円 なし
円/豪ドル デジタルクーポン デュ
アル・カレンシー債券
ドイツ復興金融公庫 2020年3月17日
満期 円建 早期償還条項付 円/トル
2015 年3月 12 億9,500万円 - 12 億9,500万円 なし
コリラ参照 デジタル・クーポン債券
(円償還条件付)
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2015 年7月 23 億2,300万円 - 23 億2,300万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動3段デジタルクーポ
ン 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2015 年7月 7億8,300万円 - 7億8,300万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動デジタルクーポン
円建債券
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2015 年7月 55 億7,500万円 55 億7,500万円 0円 なし
価連動3段デジタルクーポン 円建債
券
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2015 年7月 6億8,600万円 6億8,600万円 0円 なし
価連動3段デジタル型クーポン 円建
債券
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2015 年7月 24 億7,100万円 24 億7,100万円 0円 なし
価連動デジタルクーポン 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2020年7月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2015 年7月 3,233 万米ドル 3,233 万米ドル 0米ドル なし
価連動デジタルクーポン 米ドル建債
券
ドイツ復興金融公庫2018年9月満期ト
2015 年9月 1億6,398万トルコリラ 1億6,398万トルコリラ 0トルコリラ なし
ルコリラ建債券
4,458 万 4,458 万
ドイツ復興金融公庫2018年9月満期ブ
2015 年9月 0ブラジルレアル なし
ラジルレアル建債券(円貨決済型) ブラジルレアル ブラジルレアル
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上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫2019年1月満期ト
2016 年1月 2,267 万トルコリラ - 2,267 万トルコリラ なし
ルコリラ建債券(1)
ドイツ復興金融公庫2019年1月満期ブ
1億732万 1億732万
ラジルレアル建債券(円貨決済型) 2016 年1月 - なし
ブラジルレアル ブラジルレアル
(1)
ドイツ復興金融公庫 2021年2月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2016 年2月 14 億4,100万円 - 14 億4,100万円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2019年6月17日
2016 年6月 5,400 万トルコリラ - 5,400 万トルコリラ なし
満期 トルコリラ建債券(1)
ドイツ復興金融公庫 2021年1月12日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2017 年1月 1,294 万米ドル 1,294 万米ドル 0米ドル なし
価連動デジタルクーポン 米ドル建債
券
ドイツ復興金融公庫 2020年4月9日満
期 円建 判定価格逓減型期限前償還
条項付 日経平均株価連動デジタル・
2017 年3月 19 億5,200万円 19 億5,200万円 0円 なし
クーポン債券(ノックイン条項付 満
期償還金額日経平均株価連動型)
(ドイツ復興金融公庫法に基づくド
イツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2018年7月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2017 年7月 207 億300万円 207 億300万円 0円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2022年7月11日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2017 年7月 70 億9,200万円 70 億9,200万円 0円 なし
価連動3段デジタルクーポン 円建債
券
ドイツ復興金融公庫2019年3月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2017 年9月 79 億2,800万円 - 79 億2,800万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)(1)
ドイツ復興金融公庫 2022年9月21日
満期 円建 早期償還条項付 ノックイ
2017 年9月 14 億9,200万円 14 億9,200万円 0円 なし
ン型225連動 デジタル・クーポン債
券(満期償還額225連動型)
ドイツ復興金融公庫 2020年10月8日
満期 円建 判定価格逓減型期限前償
還条項付 日経平均株価連動デジタ
2017 年9月 14 億700万円 14 億700万円 0円 なし
ル・クーポン債券(ノックイン条項
付 満期償還金額日経平均株価連動
型)(ドイツ復興金融公庫法に基づ
くドイツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2020年10月16日
満期 期限前償還条項付 日経平均株 2017 年10月 88 億4,600万円 88 億4,600万円 0円 なし
価連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2020年10月16日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス 2017 年10月 39 億600万円 - 39 億600万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2022年10月25日
満期 円建 早期償還条項付 ノックイ
2017 年10月 24 億5,900万円 24 億5,900万円 0円 なし
ン型225連動 デジタル・クーポン債
券(満期償還額225連動型)
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上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫2019年6月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2017 年12月 48 億7,500万円 - 48 億7,500万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)(1)
ドイツ復興金融公庫 2022年12月12日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2017 年12月 250 億5,700万円 - 250 億5,700万円 なし
価連動3段デジタルクーポン 円建債
券
ドイツ復興金融公庫 2020年12月9日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2017 年12月 278 億7,700万円 - 278 億7,700万円 なし
価連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2019年7月17日
満期 円建 期限前償還条項付 日経平
均株価連動債券(ノックイン条項付
2018 年1月 20 億1,900万円 - 20 億1,900万円 なし
満期償還金額日経平均株価連動型)
(ドイツ復興金融公庫法に基づくド
イツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2023年1月10日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年1月 8,181 万米ドル - 8,181 万米ドル なし
価連動デジタルクーポン 米ドル建債
券
ドイツ復興金融公庫 2021年1月13日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2018 年1月 118 億8,600万円 - 118 億8,600万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2023年1月25日
満期 円建 早期償還条項付 ノックイ
2018 年1月 14 億5,300万円 - 14 億5,300万円 なし
ン型225連動 デジタル・クーポン債
券(満期償還額225連動型)
ドイツ復興金融公庫 2019年7月25日
満期 円建 期限前償還条項付 日経平
均株価連動債券(ノックイン条項付
2018 年1月 13 億6,600万円 - 13 億6,600万円 なし
満期償還金額日経平均株価連動型)
(ドイツ復興金融公庫法に基づくド
イツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2019年2月8日満
期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年2月 32 億3,000万円 - 32 億3,000万円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券(1)
ドイツ復興金融公庫 2019年2月8日満
期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年2月 74 億6,300万円 74 億6,300万円 0円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2023年2月23日
満期 円建 早期償還条項付 ノックイ
2018 年2月 11 億5,300万円 11 億5,300万円 0円 なし
ン型225連動 デジタル・クーポン債
券(満期償還額225連動型)
ドイツ復興金融公庫 2022年3月3日満
期 円建 期限前償還条項付 日経平均
株価連動デジタル・クーポン債券
(ノックイン条項付 満期償還金額日 2018 年3月 10 億円 10 億円 0円 なし
経平均株価連動型)(ドイツ復興金
融公庫法に基づくドイツ連邦共和国
保証)
ドイツ復興金融公庫2020年3月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2018 年3月 44 億6,700万円 - 44 億6,700万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
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上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫 2023年3月23日
満期 円建 早期償還条項付 ノックイ
2018 年3月 24 億7,200万円 24 億7,200万円 0円 なし
ン型225連動 デジタル・クーポン債
券(満期償還額225連動型)
ドイツ復興金融公庫 2019年5月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年5月 118 億6,900万円 - 118 億6,900万円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券(1)
ドイツ復興金融公庫 2019年5月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年5月 72 億2,100万円 - 72 億2,100万円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券(1)
ドイツ復興金融公庫2019年7月満期
円/米ドル・デュアル・カレンシー
2018 年7月 21 億7,900万円 - 21 億7,900万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫2020年7月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2018 年7月 36 億9,900万円 - 36 億9,900万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫 2019年8月9日満
期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年8月 28 億400万円 - 28 億400万円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2019年8月9日満
期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年8月 27 億8,000万円 - 27 億8,000万円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券(1)
ドイツ復興金融公庫 2021年8月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年8月 229 億6,900万円 - 229 億6,900万円 なし
価連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫2019年9月満期
円/米ドル・デュアル・カレンシー
2018 年9月 22 億1,500万円 - 22 億1,500万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫2020年9月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2018 年9月 51 億4,300万円 - 51 億4,300万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫 2019年9月18日
満期 満期円償還特約付 円/米ドル
2018 年9月 23 億2,400万円 - 23 億2,400万円 なし
デュアル債券(ドイツ復興金融公庫
法に基づくドイツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2021年10月15日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年10月 357 億5,500万円 - 357 億5,500万円 なし
価連動 円建債券(1)
ドイツ復興金融公庫2019年10月満期
円/米ドル・デュアル・カレンシー
2018 年10月 14 億6,500万円 - 14 億6,500万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫2020年10月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2018 年10月 70 億1,500万円 - 70 億1,500万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
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上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫 2021年11月12日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年11月 141 億5,500万円 - 141 億5,500万円 なし
価連動 円建債券(1)
ドイツ復興金融公庫 2023年11月13日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年11月 46 億3,600万円 - 46 億3,600万円 なし
価連動3段デジタルクーポン 円建債
券
ドイツ復興金融公庫 2020年12月11日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年12月 45 億1,700万円 - 45 億1,700万円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2020年12月11日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2018 年12月 151 億1,000万円 - 151 億1,000万円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
* 当会計年度中、本債券の所有者の権利等に重要かつ不利な影響を与える事象は発生していない。
(1) 当該各債券は、2019年1月1日以降本書提出日までに全額償還されている。
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2019年1月1日以降本書提出日までに、KfWは日本において以下の債券の売出しを行った。
上場金融商品取引所名又
債券の名称 発行年月 券面総額 は登録認可金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫 2024年1月満期 株価指数参
2019 年1月 1,327 万米ドル なし
照米ドル建債券(デジタルクーポン型・早期償還
条項付)参照指数:日経平均株価
ドイツ復興金融公庫 2020年3月11日満期 期限前
償還条項・円償還条項付 円/米ドル デュアル・ 2019 年3月 24 億9,100万円 なし
カレンシー債券
ドイツ復興金融公庫 2020年3月11日満期 期限前
償還条項・円償還条項付 円/豪ドル デュアル・ 2019 年3月 45 億200万円 なし
カレンシー債券
ドイツ復興金融公庫2020年9月満期 円/米ドル・
2019 年3月 12 億6,200万円 なし
デュアル・カレンシー債券(円貨償還条件付)
(任意繰上償還条項付)
ドイツ復興金融公庫2021年3月満期 円/豪ドル・
2019 年3月 57 億2,100万円 なし
デュアル・カレンシー債券(円貨償還条件付)
(任意繰上償還条項付)
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第2【外国為替相場の推移】
(1)【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
米ドルおよび豪ドルと本邦通貨との間の為替相場は、日本国内において時事に関する事項を掲載する2以上の
日刊新聞紙に最近5年間の事業年度において掲載されているため、記載を省略する。
(2)【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
同上
(3)【最近日の為替相場】
同上
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
該当事項なし
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
1) 設立の目的および根拠、法的地位および特権等の概要、設立年月日ならびに沿革
KfW は、ドイツ復興金融公庫法( Gesetz über die Kreditanstalt für Wiederaufbau )(以下「KfW法」とい
う。)に基づき、ドイツ連邦共和国(以下「連邦共和国」という。)の連邦政府(以下「連邦政府」という。)の
国内・国際公共政策目標を遂行する無期限の公法機関( Anstalt des öffentlichen Rechts )として設立された。
KfW 法に基づいて、
1.KfWは以下の機能を有する。
(1)以下に列挙する分野について、連邦政府からの委任により、特に融資による助成の任務を遂行するこ
と。
(a)中小企業、自由業および起業
(b)ベンチャー・キャピタル
(c)住宅供給
(d)環境保護
(e)インフラ整備
(f)技術進歩および技術革新
(g)国際的合意に基づく助成事業
(h)開発協力
(i)法律、規則または公共経済政策に関する公表されているガイドラインに明記されているその他の助
成分野であって、連邦共和国または連邦州によってKfWに割り当てられているもの
各助成の任務は規則の本文中に明記されなければならない。
(2)公法( öffentlich-rechtliche Zweckverbände )に基づき、地方機関( Gebietskörperschaften )および
特定目的組合への貸出およびその他の形式の融資を行うこと。
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(3)純粋な社会的目的をもつ施策および教育の推進のための施策に融資を行うこと。
(4)その他、ドイツ経済および欧州経済の利益促進のために、下記の分野でその他の融資を行うこと。
(a)欧州投資銀行(European Investment Bank)(以下「EIB」という。)または類似の欧州の金融機
関によって共同融資される、欧州共同体の利益促進のためのプロジェクト。
(b)欧州連合(European Union)(以下「EU」という。)の加盟国、欧州経済地域間合意の当事国、お
よびEU加盟国候補としての公式な地位を持つ国以外における、(aa)シンジケートによる、または
(bb)融資提供が不十分な国に対して提供される輸出金融。
ドイツ経済および欧州経済の利益促進のためになされるその他すべての融資は、公的支援なしで、KfWが
過半数を保有する他の法人によって行われる。定款にはより具体的な規定が含まれる。
2.上記第1項第(1)号(a)および(b)に記載される任務は、中小企業銀行( Mittelstandsbank )(以下「中
小企業銀行」という。)の名称の下、KfWにおける助成担当部門によって遂行される。これらの任務には、特
に、技術進歩および技術革新の分野におけるアドバイザリー・サービスおよび助成的な施策の実施が含まれ
る。
3.KfWは、上記第1項に記載される機能の遂行との間に直接的関連が存在する場合に限り、特に下記の事業を含
むその他の事業を遂行することができる。
(1)債権および有価証券を購入または売却すること。為替手形および約束手形の形態による債務を負うこ
と。
(2)金融の流動性を管理および保護するために、事業を遂行することおよび施策を講じること(財務管
理)。
(3)リスク管理に必要な事業すべてを実行すること。
(4)上記第1項第(4)号に記載されている任務に直接的に関連して設立された子会社に、市況に応じて、必
要な借換資金および他のサービスを提供すること。
KfWは、預金の受入れおよび取次業務を行ってはならない。これは、KfWが直接または間接的な持分を有する
会社、KfWによって設立された財団、ドイツの地方機関、ドイツのその他の行政機関、EU、その他の国際機
関、経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development)(以下「OECD」とい
う。)の加盟国またはそれらの国家開発援助機関との取引には適用されない。
4.上記第3項の制約は、連邦共和国の国益となる事業および連邦政府( Bundesregierung )がKfWに個別に委託し
た事業には適用されない。
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法的地位
KfW は、KfW法に基づき、無期限の公法機関として設立された。連邦政府の公共政策目標を遂行する公法機関とし
て、KfW自体は法人税を課税されず(ただし一部の子会社は課税される。)、また、助成銀行として、利益を最大
限にすることを追求していない。ただし、KfWは、助成活動を支えるため、自己資本基盤の強化を可能とする全体
的な収益水準の維持を追求している。KfWは、KfW法により利益の分配を禁じられており、代わりにこれを法定準備
金および別途報告を行う準備金に計上している。またKfWは、KfW法により、通常、預金の受入れや取次業務を行う
ことも禁じられている。
沿革
KfW は、1948年に連邦共和国の前身である統合経済地域本部によって設立された。KfWの当初の目的は、マーシャ
ル・プランとしても知られる欧州復興計画(以下「ERP」という。)の資金を配分し、貸し出すことであった。今
日でも、ドイツ経済および欧州経済の振興を目的とするKfWのプログラムのうちいくつかは、いわゆる「ERP特別基
金」から金利補助を行う資金を使って支援されている。KfWは、過去数十年間にわたって事業の拡大と国際化を進
めてきた。1994年に連邦共和国と旧ドイツ民主共和国が再統一された後、KfWはドイツのベルリンにあった旧ドイ
ツ民主共和国の旧中央銀行( Staatsbank )の業務を引き継いだ。
2001 年9月、KfWは連邦共和国からドイツ投資開発会社(DEG- Deutsche Investitions-und
Entwicklungsgesellschaft mbH )(以下「DEG」という。)を買収した。DEGは、発展途上国および新興経済国の民
間企業を支援するドイツの開発金融機関としての役割を果たす有限責任会社である。DEGの詳細については、「(4)
業務の概況―2) 当年度の事業の状況 発展途上国および新興経済国支援 DEG (ドイツ投資開発会社)」を参照の
こと。
2003 年、ドイツのボンに本拠のあったドイツ調整銀行( Deutsche Ausgleichsbank )(以下「DtA」という。)
が、KfWに吸収合併された。DtAは1950年に公法機関として、また、特に中小企業および新規事業への貸出の分野で
活動する助成銀行として設立された。かかる合併は、助成金融機関の新構築に関する法律
( Förderbankenneustrukturierungsgesetz )に基づいて行われ、連邦共和国における助成銀行業務の再編および簡
素化と、欧州委員会との合意との調和を目指したものであった。
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2) 連邦共和国との関係
所有関係
連邦共和国はKfWの引受済資本の80%を所有し、ドイツ連邦諸州(以下、それぞれを「連邦州」( Land )、全部
の州を「連邦諸州」( Länder )という。)が残りの20%を所有している。KfW法は、株主総会について規定してい
ないが、代わりに、監事会( Verwaltungsrat )が株主総会の責任を負う。監事会の詳細については、「(3) 組織―
2) 監事会」を参照のこと。
KfW の資本持分は、担保に入れることはできず、また、連邦共和国または連邦諸州以外の主体に対して譲渡する
ことはできない。KfWに対する資本拠出は、連邦共和国と連邦諸州による所有割合が維持されるような形で行われ
ており、今後も引き続きそのように行われるものと予測される。
連邦共和国の保証者責任
KfW 法は、KfWの借入金、発行債券および手形ならびにデリバティブ取引に関するKfWのすべての既存債務および
将来債務、ならびにKfWが明示的に保証を与えている第三者の債務を連邦共和国が保証することを明示的に規定し
ている(KfW法第1a条)。この法定保証(以下「連邦共和国の保証者責任」という。)に基づき、KfWがその発行し
た有価証券の元利金その他の金員を支払わない場合、またはKfWによる保証に基づき行うべき支払を支払期限に行
わない場合には、連邦共和国がその支払期限に、常に当該支払を行う義務を負う。連邦共和国の保証者責任に基づ
く連邦共和国の債務は、連邦共和国の現在および将来にわたるすべてのその他の無担保および非劣後負債と同順位
であり、相互にいかなる優先関係もない。KfWが発行したまたはKfWの保証の下で発行された有価証券の所有者は、
最初にKfWに対して法的措置を講ずることなく、連邦共和国に対して直接、かかる債務の履行を主張することがで
きる。連邦共和国の保証者責任は、厳格な制定法上の事項であり、なんらかの契約または証書によって証せられる
ものではない。連邦共和国の保証者責任は、保証の対象たる債務に関し、KfWが行使できる抗弁に服する可能性が
ある。
組織維持責任( Anstaltslast )
KfW は、公法機関( Anstalt des öffentlichen Rechts ) である。したがって、連邦共和国には、KfWの設立機関
として、ドイツ行政法の原則である組織維持責任( Anstaltslast ) (以下「組織維持責任」という。)に基づき、
KfWの経済基盤を保護する義務がある。連邦共和国は、組織維持責任に基づき、KfWを事業遂行可能な状態に維持
し、かつKfWに財政的困難が生じた場合には、資金の割当てその他の適切な方法によりKfWがその債務を期日に履行
できるようにしなければならない。組織維持責任は、KfWの債務に対する連邦共和国の正式な保証ではなく、KfWの
債権者は連邦共和国に対し、直接請求権を有するものではない。しかしながら、この法的原則の効果として、KfW
の債務(KfWが発行したまたはKfWの保証の下に発行された有価証券の所有者に対するKfWの債務を含む。)は、連
邦共和国の信用により完全に担保されている。連邦共和国は、組織維持責任に基づき、適法に成立した義務である
国庫負担の義務を有し、ドイツ議会による歳出配分その他の行為を必要とすることなくかかる支払を行うことがで
きる。
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欧州委員会との合意
KfW の債務に対する連邦共和国の責任負担が、EU法の国庫補助に対する禁止とこれまでも矛盾しておらず、また
現在も矛盾していないことを明確化するため、ドイツ連邦財務省と欧州委員会の競争政策担当委員は協議を重ね、
2002年3月1日に正式な合意に至った。欧州委員会との当該合意において、KfWが責任を負う助成活動については、
KfWが引き続き組織維持責任と連邦共和国の保証者責任の恩恵を受けることが合意された。当該合意において、特
に中小企業、ベンチャー・キャピタル、環境保護、技術/革新、インフラ整備および住宅供給に対する融資提供に
おけるKfWの役割ならびにKfWの発展途上国との協力は、助成事業に当たるものであり、したがって、EUの規則と矛
盾しないことが確認された。
欧州委員会との当該合意により、KfWが輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの事業部門で行っているそ
の輸出金融業務および国内・国際プロジェクト・ファイナンス事業のうち、KfWの助成活動の範囲を超えていると
欧州委員会がみなす部分を、法的に独立した子会社に対して譲渡することが要求された。当該事業の譲渡は2007年
12月31日までに行われなければならず、この日以降、KfWは当該子会社に対し市場金利以外の金利で融資を行うこ
とは認められておらず、当該子会社に対して組織維持責任または連邦共和国の保証者責任の恩恵を及ぼすこともで
きなくなった。
しかしながら、KfWは引き続き、以下の助成目的の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業を直接行う
ことが認められている。
・ 金利補助のCIRR(Commercial Interest Reference Rate、市場貸出基準金利)(以下「CIRR」という。)
やASU(Aircraft Sector Understanding、航空機部門合意計画)(これらはOECDのコンセンサスに従い助
成活動として認められる。)等の国際助成プログラムの実施
・ EU、欧州経済圏および正式なEU加盟候補国の地位を有する国々以外での協調融資への参加(ただし一定の
条件に服する。)ならびに十分な資金源のない国々への単独融資活動
・ EIBまたは類似の欧州の金融機関によって協調融資される、EUの利益となるプロジェクトへの参加
欧州委員会は当該合意を決定に変え、連邦共和国はこれを正式に受諾した。2003年8月、助成金融機関の新構築
に関する法律の一部により、欧州委員会との合意が実施され、KfW法は適宜改正された。
2008 年1月1日、KfWの完全子会社として設立された有限責任会社( Gesellschaft mit beschränkter Haftung ) で
あるKfW IPEX有限責任銀行(KfW IPEX-Bank GmbH)(以下「KfW IPEX銀行」という。)は、法的に独立した事業体
として業務を開始し、これにより、欧州委員会との合意に規定された要件を満たした。KfW IPEX銀行は、欧州委員
会がKfWの助成活動の範囲を超えるとみなす輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業を、直接、自らのた
めに行っている。KfW IPEX銀行の詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―輸出金融および
プロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)」を参照のこと。
監督
連邦財務省は、ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWi)(以下「ドイツ連邦経済エネルギー省」という。)と協議
の上で、KfWの法的監督( Rechtsaufsicht ) を行っている。すなわち、連邦財務省は、KfWに適用ある法律の遵守を
監督しており、かかる遵守を確保するために必要なすべての措置を講じることができる。法的監督とは、主にKfW
法およびKfWの定款の遵守の監督であるが、その他のすべての適用法令(ただし、次の段落において言及され、下
記「規制」において説明される銀行規制法の一定の規定を除く。)の遵守の監督も含む。関係する連邦大臣は、
KfWの活動全般を監督しているKfWの監事会の構成員になっている。「(3) 組織―2) 監事会」を参照のこと。
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KfW は、当該連邦省による法的監督を受けることに加え、2013年10月に、ドイツ連邦金融監督庁( Bundesanstalt
für Finanzdienstleistungsaufsicht ) (以下「BaFin」という。)が行う銀行業に特化した監督の対象となった。
この監督は、省令( KfW-Verordnung ) (以下「KfW省令」という。)によって定められた。KfW省令は、2013年7月
に施行されたKfW法の改正を補完するものである。KfW省令は、KfWに対する銀行規制法の一般的な適用免除を継続
させる一方で、KfWに準用される銀行規制法の規定を特定し、当該規定の遵守の監督をBaFinに担当させている。
BaFinは、その監督を行うに当たり、通常の銀行監督手続に従ってドイツ中央銀行( Deutsche Bundesbank ) (以下
「ドイツ中央銀行」という。)と協力する。詳細については、下記「規制」を参照のこと。
KfW は、ドイツの銀行に一般的に適用される財務報告および監査基準の遵守に加え、KfW法に基づき、予算原則法
( Haushaltsgrundsätzegesetz ) に規定される政府所有の事業体向けの特別な監査基準に従わなければならない。
かかる特別な監査基準により、KfWの年次監査の対象に、通常の範囲に加えて、KfWの経営陣がその事業を適切に
行っているか否かを含めることが義務付けられている。その結果として作成される監査報告書は、監事会、連邦の
担当省および連邦会計検査院( Bundesrechnungshof ) が各自の意見を作成し、かつ必要な場合に対策を講じること
ができるものでなければならない。
最後に、KfWは、政府所有の事業体として、予算原則法に基づき、その資金の経済的運用について連邦会計検査
院による監査を受ける。
規制
KfW の規制状況の概要 KfWは、ドイツ銀行法( Gesetz über das Kreditwesen - KWG)(以下「ドイツ銀行法」
という。)の意味における「信用機関」もしくは「金融サービス機関」またはEUの自己資本指令Ⅳ(Capital
Requirements Directive IV)(以下「CRD Ⅳ」という。)およびEUの自己資本規制(Capital Requirements
Regulation)(以下「CRR」という。)を始めとする関連するEUの指令および規制の意味における「信用機関」に
該当しないため、一般的に、銀行規制法令の適用を免除される。しかしながら、KfW省令の施行により、ドイツ銀
行法およびCRR(関連施行規則を含む。)のかなりの部分がKfWに準用される。銀行監督法のKfWへの準用は段階的
に導入され、上記の規則、規制および執行権限の大部分が2016年1月1日から適用されている。KfW省令は、通常預
金の取扱いを行わず、貸出事業における低リスク特性および連邦共和国の保証者責任による恩恵に特徴付けられ
る、KfWの事業体としての特別な地位に配慮している。よってKfW省令は、関連規則の準用に関して一定の変更およ
び特例を定めている。
KfW 省令によって課されるEUおよび国内の銀行規制法の準用は、CRR第4条第1項第8号の意味における「公共部門
事業体」としてのKfWの地位を損なうものではない。EUおよび国内の銀行規制法に基づく自己資本要件、大口エク
スポージャーに関する制限および流動性測定に関して、銀行が保有する公共部門事業体に対するエクスポージャー
が特別扱いされていることを考慮すると、かかる地位は、KfWのリファイナンス事業をある程度有利な立場にす
る。KfWによって発行された債券等の有価証券は、2014年10月10日付の欧州委員会委任規則(Commission
Delegated Regulation)(以下「委任規則」という。)2015/61第10条第1項第(c)号(v)に従い、EUにおいてレベル
1資産として適格であり、委任規則におけるその他のすべての要件を満たしている。
準用される銀行規制 KfW省令の施行により、ドイツ銀行法第25c条から第25d条に規定されるコーポレート・ガ
バナンスに関する銀行規制要件がKfWに準用されている。これらの要件を遵守するため、2014年にKfWの監事会の委
員会構成に一定の調整がなされた。かかるKfWの監事会の委員会構成の詳細については、「(3) 組織―2) 監事会」
を参照のこと。
ドイツ銀行法第25a条において規定され、ドイツの信用機関の報酬に関する規則
( Institutsvergütungsverordnung ) (以下「IVV」という。)においてより詳細に規定されている報酬方針に関す
る銀行規制要件については、2018年1月1日からKfWに適用されている。BaFinは従前、KfWに対し、2016年1月1日か
ら2018年1月1日までをIVVの適用への準備のための移行期間として認めていた。
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CRR の第2部第Ⅰ編から第Ⅲ編および第3部第Ⅰ編から第Ⅵ編に規定される自己資本充実度に関する規制が、規制
上の自己資本および自己資本要件の計算を含め、ほぼ全体として、2016年1月1日から、連結ベースでKfWに準用さ
れた。さらに、KfWは、CRD Ⅳによって導入され、ドイツ銀行法第10c条から第10i条として国内法に移入された資
本バッファー規制の対象となっている。2017年6月、KfWは、2017年6月30日現在のKfWの大部分のポートフォリオに
つき、先進的内部格付手法(以下「IRBA」という。)に従って規制上の自己資本要件を計算することについて、
BaFinの承認を得た。KfWは、規制要件に従い、その他の副次的ポートフォリオ・セグメントについても2022年まで
に追加承認を得る予定である。2018年12月31日現在のCRR第92条によるKfWの総自己資本比率およびTier 1資本比率
注1)
は20.1%(2018年6月30日現在の中間利益を含む。 )であり、2017年12月31日現在の総自己資本比率および
Tier 1資本比率である20.6%と比較して減少したが、これは主に、評価方法および評価手順の再パラメーター化、
為替効果(ユーロ/米ドル)ならびに主要な転貸銀行の信用格付の低下に起因している。KfWが先進的IRBAの適用機
関として全面的に承認されるまでの間、まだ承認されていない副次的ポートフォリオは、一般的にはより資本集約
的な信用リスク標準化アプローチ(以下「CRSA」という。)を引き続き用いて評価される。IRBAの承認プロセスの
一環として、国内助成事業における最終借入人の選定のための担保評価方法の調整が必要とされ、その結果リスク
加重資産(以下「RWA」という。)は増加した。先進的IRBAの準用に基づく自己資本比率を含むKfWのその他の主要
な指標の詳細については、「(5) 経理の状況―3) リスクの報告―主要な指標の概要」を参照のこと。
注1)
CRR 第26条第(2)項に基づく。
自己資本充実度に関する規制の適正要件の適用に関連して、2018年12月31日現在のKfWグループの総自己資本比
率に対する自己資本要件は全体で15.7%となったが、これは13.8%の監督上の審査および評価プロセスによる総自
己資本要件(以下「TSCR」という。)と、資本保全バッファーおよびカウンターシクリカル資本バッファーから成
る。KfWグループに対するTSCRには、監督上の審査および評価プロセス(以下「SREP」という。)のサーチャージ
3%が含まれる。一般的に、SREPのサーチャージには各銀行の特定のリスク状況が反映されるようになっている。
さらに、KfWグループに対するTSCRには、一定のIT、内部監査およびオペレーショナル・リスク管理についての調
査結果に係る合計2.75%の追加的なサーチャージも含まれる。かかるサーチャージは、次の状況に鑑みて、2018年
にBaFinにより課され、これによりKfWグループのTSCRは一時的に増加した。2016年にドイツ中央銀行およびBaFin
が行ったKfWに対する通常監査の際、銀行監督機関は、KfWのITに関する調査結果を報告した。これを受け、2017年
にBaFinによりIT関連のサーチャージが課された。KfWのIT構造の近代化の必要性は通常監査が行われる前から指摘
されており、KfWにおいて、ITのアップデートおよび改善の必要性に取り組む大規模プロジェクトは以前から進行
している。また、 銀行監督機関は、2017年にKfWの外部委託管理および内部監査手続についての通常監査も行い、
かかる監査の結果、一定の追加的な調査結果が報告された。2018年6月、BaFinはKfWに対し、IT、内部監査および
オペレーショナル・リスク管理についての調査結果に関連し、一時的な自己資本要件を課すと通知した。 2.75 %の
サーチャージは、指摘事項が解消されるまでの間、継続して課される。 さらに、BaFinはKfWに対し、資本バッ
ファーを、ドイツにおけるその他のシステム上重要な機関(O-SIIs)向けの資本バッファーである1%に維持する
よう求めると通知した。かかるバッファーは、2019年からの3年間で段階的に導入される予定である。
KfW は、2016年1月1日より、ドイツ銀行法および関連施行規則によって補足されたCRR第Ⅳ編の大口エクスポー
ジャー規制の準用を受けている。この規制の下では、1顧客または関係する顧客から成る1グループに対するエクス
ポージャーは適格自己資本の25%までに制限され、適格自己資本の10%を超えるエクスポージャーは特別な内部モ
ニタリング要件およびドイツの銀行監督機関に対する報告義務を課される。
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さらに、KfWは、2016年1月1日から、レバレッジ比率に関する規定の準用を受けている。この規制の下では、KfW
の資産および貸借対照表外のエクスポージャーの簿価に対するTier 1資本の比率は、連結ベースで計算される。レ
バレッジ比率は内部的に監視されており、2020年より、健全性要件の一部となる予定である。
2015 年12月の監督当局であるBaFinの決定によれば、自己資金要件、大口エクスポージャーおよびレバレッジと
いったCRRの特定の条項については、グループレベル(連結ベース)でのみ考慮される必要があり、事業体レベル
ではその必要はない。
KfW は、すでにドイツの反マネー・ロンダリング法( Geldwäschegesetz ) の対象となっているが、2016年1月1日
から、グループレベルおよび事業体レベルにおいて、ドイツ銀行法のマネー・ロンダリング、テロリストの資金調
達およびその他の犯罪行為に関する規定の対象ともなっている。
最後に、ドイツ銀行法およびドイツのリスク管理の最低要件( Mindestanforderungen an das
Risikomanagement ) (以下「MaRisk」という。)に規定されるリスク管理システムに関する銀行規制要件が、2016
年1月1日からKfWに準用されている。かかる銀行規制要件には、リスク戦略立案、リスク管理ならびに財務管理お
よび業務管理の実施のための健全なシステムに加え与信に関する意思決定プロセスの要件が定められている。これ
に関連して、KfW法第2条第(4)項に従ったKfWの委託業務( Zuweisungsgeschäft ) (以下「連邦政府委託業務」とい
う。)(すなわち、KfWが、連邦政府の指示に従い、通常、連邦政府による経済的リスクの負担において行う活
動)に対して一定の免除が認められている。
KfW の規制は、CRRおよびドイツ銀行法に規定される流動性規制の適用を受けていない。同じ理由で、KfWは、EU
および国内の開示要件ならびにEU銀行再建・破綻処理指令(以下「BRRD」という。)を一般的に免除されている。
監督体制および執行権限 KfWによる銀行規制法令の遵守の監督は、BaFinに任されており、BaFinはその一般的
リスクを重視したSREPに従ってドイツ中央銀行と協力してこれを行う。これに関連して、ドイツ中央銀行は、銀行
の財務の安定性ならびに内部統治およびリスク管理システムの妥当性の両方について銀行の継続的な監査および分
析を担当する。ドイツ中央銀行は、関連データを受け取りその再処理を行うが、最終的な意思決定および執行権限
の行使はBaFinが行う。
KfW 省令は、監督の目的上、2016年1月1日以降、KfWを、ドイツの銀行に一般的に適用される報告および情報要件
(顧客口座の詳細への自動アクセスを除く。)の準用対象としている。KfWは、これらの報告および情報要件を遵
守する制度を構築するまでの間、監督当局に対し、同当局の合意を得た形式で、関連する報告および情報を提供す
る。監督当局と合意した通り、KfWは、2020年までに本格的な規制報告制度を構築する予定である。
さらに、KfW省令は、KfWをBaFinの一定の執行権限の対象として準用しており、BaFinは、特定の状況下において
規制上の自己資本の増加および規制リスクの軽減を要求する権限またはKfWの経営幹部の変更を要求する権限等を
有している。
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KfW は、国内またはEUの銀行規制法上の規制対象事業体に該当しないため、近年施行された国内およびEUの銀行
監督体制における変更の影響を受けなかった。特に、KfWは欧州単一監督制度(European Single Supervisory
Mechanism)(以下「SSM」という。)について定めたEU理事会規則第1024/2013号に基づく欧州中央銀行
(European Central Bank)(以下「ECB」という。)による監督を受けない。2014年、KfW IPEX銀行は、SSMに参
加する加盟国各国の監督当局の協力により運営される、大手銀行の総合的評価の対象に含まれた。2014年9月のECB
による決定に従い、KfW IPEX銀行は重要信用機関とはみなされず、またその後ECBにより実施されているドイツの
大手金融機関の年次評価においても、これまでに重要信用機関とみなされたことはない。よって、KfW IPEX銀行は
ECBの直接的な監督下には置かれていないが、現在も引き続き、ドイツ中央銀行と連携しているBaFinの監督下に置
かれている。KfW IPEX銀行およびECBによる総合的評価の詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の
状況―輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)」を参照のこと。SSMの詳細については、
「(7) 発行者の属する国等の概況―3) 通貨・金融制度―金融制度―欧州の金融制度―欧州の金融監督制度および
欧州銀行同盟」を参照のこと。
規制に関する費用 KfWは、すでにその事業の大部分に銀行規制法の重要な部分を自主的に適用していたことか
ら、かかる従前の自主的な遵守のため、KfW省令の施行により義務となる規則および規制の遵守は円滑に進んだ。
しかしながら、かかる遵守により、特別な組織的取組みとその関連費用が引き続き必要とされると見込まれる。
3) 日本との関係
KfW の設立について、日本との関係はない。
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(2) 【資本構成】
KfW グループの資本構成(2018年12月31日現在)
(単位:百万ユーロ)
借入金
短期資金 44,051
債券およびその他の確定利付証券 376,842
18,211
その他借入金 (1)
借入金合計 439,104
株主持分
払込済資本 (2)
3,300
資本準備金 (3)
8,447
ERP特別基金からの準備金 1,191
利益剰余金 17,371
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600
-594
再評価準備金
30,315
株主持分合計
469,419
資本構成合計
(1) ERP 特別基金からの長期および短期の借入金691百万ユーロを含む。
(2) KfW の自己資本(そのうち80%を連邦共和国が所有し、残りの20%を連邦諸州が所有している。)は、2018年において3,750百万ユーロであった。そ
のうち、3,300百万ユーロは連邦共和国および連邦諸州の所有割合に応じて払い込まれている。
(3) ERP 特別基金からの助成準備金( Förderrücklage ) の形での自己資本7,150百万ユーロを含む。
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(3) 【組織】
KfW の機関は、執行理事会( Vorstand ) および監事会である。
1) 執行理事会
執行理事会は、KfWの日常業務の遂行および資産の管理の責任を担っている。基本的に、執行理事は監事会によ
り当初の任期を最長3年間として選任される。最初の任期終了後、各執行理事は、任期を最長5年間として監事会に
より複数回にわたり再任、またはその任期が延長される可能性がある。各執行理事はKfWの特定の業務に責任を負
うが、執行理事会が行う行為について責任を共有する。
2019 年2月、監事会は、メラニー・ケア氏を2019年3月1日付でKfWの新たな執行理事に選任した。ケア氏の任期は
2022年8月に終了する。また、監事会は、2018年7月にベルント・レーヴェン氏の任期を2024年6月30日まで延長
し、2019年4月にステファン・パイス博士の任期を2024年12月31日まで延長した。
以下に記載する、現在の執行理事の略歴には、構成員の2019年4月9日現在の年齢、選任された年、任期、地位お
よび担当分野が記載されている。執行理事会の報酬については、「(5) 経理の状況―5) 連結財務書類」の連結財
務書類に対する注記82を参照のこと。
ギュンター・ブロイニヒ博士
年齢:63歳
ギュンター・ブロイニヒ博士は、2006年10月にKfWの執行理事に就任した。ブロイニヒ博士は、2018年1月1日付
で最高経営責任者に選任された。ブロイニヒ博士の任期は2021年6月に終了する。同博士は、事務総局、内部監査
部、グループ成長・経済部、金融市場部および法務部を担当している。
ブロイニヒ博士は、1989年9月に、国際資本市場部を率いるためにKfWグループに参画した。その後、同博士は、
信用業務部および経営業務部において管理職を務めた。1996年、同博士は、シニア・ヴァイス・プレジデントおよ
び経営業務部長に就任した。2000年5月、同博士は、KfWのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントに任命され
た。2017年9月、同博士はKfWの最高経営責任者代理に任命された。2007年8月から2008年10月までの間、同博士
は、IKBドイツ産業銀行エージー( IKB Deutsche Industriebank AG ) (以下「IKB」という。)(ドイツ、デュッ
セルドルフ)の最高経営責任者を務め、その間に、IKBは、当時その主要株主であったKfWによって経営難を救済さ
れた後、売却された。ブロイニヒ博士は、IKBの最高経営責任者としての任期中、KfWの執行理事としての職務執行
を一時停止した。
ブロイニヒ博士は、マインツ大学(ドイツ)およびディジョン大学(フランス)において法律を学び、マインツ
大学(ドイツ)において法律学の博士号を取得した。同博士の職歴は、1984年に、コメルツ銀行エージー
( COMMERZBANK Aktiengesellschaft ) (以下「コメルツ銀行」という。)(ドイツ、フランクフルト・アム・マイ
ン)の投資銀行部から始まった。1986年から1989年の間、同博士は、フランスのトゥールーズおよび米国ワシント
ンD.C.において販売金融責任者としてエアバス・インダストリー・S.A.S.(Airbus Industrie S.A.S.)に勤務し
た。
ブロイニヒ博士は、ドイツファンドブリーフ銀行エージー( pbb Deutsche Pfandbriefbank AG ) (ドイツ、ミュ
ンヘン)の監事会会長を務めている。また、同博士は、ドイツポスト・エージー( Deutsche Post AG ) (以下「ド
イツポスト」という。)(ドイツ、ボン)およびドイツテレコム・エージー( Deutsche Telekom AG ) (以下「ド
イツテレコム」という。)(ドイツ、ボン)の監事である。
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イングリッド・ヘングスター博士
年齢:58歳
イングリッド・ヘングスター博士は、2014年4月にKfWの執行理事に就任した。同博士は、国内助成事業部門、営
業部、新規事業信用サービス部、デジタル開発部および中央サービス部を担当している。2017年6月、KfWの監事会
は、ヘングスター博士の任期を2023年3月31日まで延長した。
ヘングスター博士は、ザルツブルク大学(オーストリア)の法学博士号を有している。ヘングスター博士は、
1984年に、オーストリア輸出銀行(Oesterreichische Kontrollbank)(オーストリア)のプロジェクト・マネー
ジャーとして勤務を開始した。1986年、同博士はコメルツ銀行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)へ入行
し、民営化およびプロジェクト・ファイナンス部のヴァイス・プレジデントを務めた。1995年から1998年にかけ
て、ヘングスター博士は、ユービーエス・ドイツ・エージー( UBS Deutschland AG ) のドイツ実務において、アク
イジション・ファイナンスおよびストラクチャード・ファイナンス部長を務めた。その後、同博士は、クレディ・
スイス・ファースト・ボストン(Credit Suisse First Boston)の投資銀行部門のマネージング・ディレクターと
して勤務した。2005年、同博士は、ABNアムロ銀行(ドイツ)エージー(ABN AMRO Bank (Deutschland)AG)の最
高経営責任者ならびにドイツおよびオーストリア支店長兼統括責任者として入行した。2008年から2014年には、ヘ
ングスター博士は、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(The Royal Bank of Scotland)のドイツ、オースト
リアおよびスイス統括責任者およびロイヤルバンク・オブ・スコットランド(ドイツ)エージー(Royal Bank of
Scotland (Deutschland)AG)の運営委員会の最高経営責任者を務めた。
ヘングスター博士は、KfWキャピタル有限合資会社(KfW Capital GmbH & Co. KG)(以下「KfWキャピタル」と
いう。)(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)の監事会会長を務めている。また、ヘングスター博士は、
ティッセンクルップ・エージー( ThyssenKrupp AG ) (ドイツ、エッセン)およびドイツ鉄道エージー( Deutsche
Bahn AG ) (ドイツ、ベルリン)の監事である。
メラニー・ケア氏
年齢:44歳
メラニー・ケア氏は、2019年3月にKfWの執行理事に就任した。同氏は、情報技術部および取引管理部を担当して
いる。ケア氏は、2018年9月1日にゼネラル・マネージャーとしてKfWに参画した。ケア氏のKfWの執行理事としての
任期は2022年8月に終了する。
ケア氏は、ビーレフェルト大学(ドイツ)において経営管理学を学び、またパデュー大学(米国、インディア
ナ)の経済学の修士号を取得している。同氏の職歴は、1999年に、コンサルティング会社であるアンダーセン・コ
ンサルティング経営コンサルタント有限責任会社( Andersen Consulting Unternehmensberatung GmbH ) (2001年
にアクセンチュア(Accenture)に名称変更)から始まり、2012年には同社の工業金融サービス部門のマネージン
グ・ディレクターとなった。同氏は、2014年にバイエルン州立銀行( Bayerische Landesbank ) (ドイツ、ミュン
ヘン)のグループ最高情報責任者に任命され、2018年7月まで同役職を務めた。
ベルント・レーヴェン氏
年齢:53歳
ベルント・レーヴェン氏は、2009年7月にKfWの執行理事としてKfWグループに参画した。同氏は、財務部、人事
部、ポートフォリオ信用サービス部および組織・コンサルティング部を担当している。レーヴェン氏は、2016年1
月1日付で最高リスク管理責任者と最高財務責任者の職務が分離されるまでKfWのリスク部と財務部の両方を担当し
た後、KfWの最高財務責任者を務めている。ベルント・レーヴェン氏の任期は2024年に終了する。
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同氏は、ミュンスター大学(ドイツ)において経営管理学の学位を取得して卒業した後、監査法人において専門
職としてのキャリアを開始し、そこで租税コンサルタントの試験を成功裏に完了した。次に、レーヴェン氏はコメ
ルツ銀行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)の経営企画部に入り、その後、エクイティ・デリバティブ取
引部に異動した。2002年以降、ベルント・レーヴェン氏は、米国ニューヨークに所在するコメルツ銀行の子会社で
あるコメルツ・キャピタル・マーケッツ・コーポレーション(Commerz Capital Markets Corporation)の共同マ
ネージング・ディレクターを務めた。2005年、同氏は、コメルツ銀行のポーランドの子会社であるエムバンク
(mBank)(旧BRE銀行エスエー(BRE Bank SA))の取締役に任命され、ニューヨークからポーランドのワルシャ
ワに転勤した。
レーヴェン氏は、通貨為替基金(TCX)(オランダ、アムステルダム)およびDEG(ドイツ、ケルン)の監事であ
る。
ヨアヒム・ナーゲル教授/博士
年齢:52歳
ヨアヒム・ナーゲル教授/博士は、2017年11月にKfWの執行理事に就任した。同教授/博士は、発展途上国および
新興経済国支援(KfW開発銀行( KfW Entwicklungsbank ) (以下「KfW開発銀行」という。)およびDEG)ならびに
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)を担当している。ナーゲル教授はゼネラル・マネー
ジャーとしてすでに2016年11月1日にKfWに参画していた。同教授/博士は、前職では2010年よりドイツ中央銀行
(ドイツ、フランクフルト)の執行理事を務めていた。ナーゲル教授/博士の任期は2020年に終了する。
ナーゲル教授/博士は、カールスルーエ大学の経済学の修士号と博士号を取得している。同教授/博士は、1999年
に、以前のブレーメン州、ニーダーザクセン州およびザクセン・アンハルト州の中央銀行(現在のドイツ中央銀
行)の頭取室長として銀行部門においてキャリアを開始し、2003年までかかる役職を務めた。その後、同教授/博
士は、2003年に市場分析・報告部長、2004年に市場分析・ポートフォリオ部長、2008年にドイツ中央銀行の市場部
長に任命された。
ナーゲル教授/博士は、KfW IPEX銀行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)の監事会会長を務めている。
また、同教授/博士は、DEG(ドイツ、ケルン)およびドイツ証券取引所エージー(Deutsche Börse AG)(ドイ
ツ、フランクフルト・アム・マイン)の監事である。
ステファン・パイス博士
年齢:49歳
ステファン・パイス博士は、2016年1月にKfWの執行理事に就任した。同博士は、信用リスク管理部、リスク制御
部およびコンプライアンス部を担当し、またKfWの最高リスク管理責任者を務めている。パイス博士の任期は2024
年12月に終了する。
パイス博士は、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学(ドイツ、ミュンヘン)において経営管理学を学び、また同
大学のリスク管理・保険機関において政治学の博士号を取得した。1995年、同博士は、バイエルン州立銀行
( Bayerische Landesbank ) (ドイツ)の不動産部にて勤務を開始した。その後リスク管理部へ異動し、チームの
主任(顧客ポートフォリオおよび戦略統括)および部長(ポートフォリオ統括およびシステマティクス統括ならび
にリスク統括取引業務)として管理職を務めた。2007年、パイス博士はリスク運用部門長に就任し、2008年にグ
ループリスク制御部門長へと昇進した。パイス博士は2009年にシニア・ヴァイス・プレジデントおよびリスク管
理・制御部長としてKfWに参画した。
パイス博士は、KfW IPEX銀行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)およびKfWキャピタル(ドイツ、フラ
ンクフルト・アム・マイン)の監事である。
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2) 監事会
監事会の監事は通常37名であり、連邦財務大臣、連邦経済エネルギー大臣、連邦外務大臣、連邦食料農業大臣、
連邦運輸デジタルインフラ大臣、連邦経済協力開発大臣、連邦環境自然保護原子力安全大臣、連邦参議院
( Bundesrat ) が選任した監事7名、連邦議会( Bundestag ) が選任した監事7名、商業銀行代表5名、工業代表2名、
地方自治体、農業、熟練手工業、通商および住宅部門の代表各1名ならびに労働組合の代表4名から構成される。商
業銀行、工業、地方自治体、農業、熟練手工業、通商および住宅の各部門ならびに労働組合の代表は、連邦政府が
関係者と協議の上選任する。
連邦財務大臣および連邦経済エネルギー大臣が、監事会の会長および副会長を務める。両者は1年毎にその役職
を交代し、2018年においては、連邦経済エネルギー大臣が会長を務めた。KfWの監事会に在籍するすべての連邦大
臣の任期については、各連邦大臣の任期に一致するが、監事会のその他の監事は、個別に3年の任期を任命され
る。
監事会は、KfWの事業の遂行全般および資産の管理を監督する。執行理事会に一般的な指示を与えることもでき
る。特に、監事会は通常、とりわけ運営機関の構成員に対する融資( Organkredite ) 、短期融資、借入人1名につ
き50百万ユーロを超える投資不適格または無格付の発行体への貸出コミットメント、一定の無担保貸付、および
100百万ユーロを超える投資適格発行体への貸出コミットメントにつき(そのリスク・信用委員会( Risiko - und
Kreditausschuss ) を通じて)承認せねばならない。監事会は、その他の取引または取引の種類を承認する権利を
留保することもできる。ただし、KfWを代表する権限またはKfWの代わりに融資のコミットメントを行う権限はな
い。
KfW の監事会の委員会構成は、執行・指名委員会( Präsidial- und Nominierungsausschuss ) 、報酬委員会
( Vergütungskontrollausschuss ) 、リスク・信用委員会および監査委員会( Prüfungsausschuss ) である。執行・
指名委員会は、法的事項および事務的事項、基本事業や会社の方針といった事柄の取扱いについて責任を負ってい
る。緊急事案( Eilentscheidung ) につき監事会に代わって決定を行うこともある。さらに、定期的に執行理事会
および監事会の評価を行い、執行理事会に対して適切な候補者の推薦を行うほか、監事の選任に関し責任を負って
いる連邦政府関係機関の補助を行うこともある。報酬委員会は、執行理事会およびKfWの従業員の報酬制度ならび
にそれらがKfWのリスク、資本および流動性管理に与える影響の取扱いについて責任を負い、執行理事に支払われ
る報酬に関して執行・指名委員会に助言を行う。リスク・信用委員会は、特にKfWの現在および将来の全般的なリ
スク耐性および戦略につき、監事会に助言を行う。また、KfWの定款に規定された一定の閾値を超える、業務レベ
ルでの貸付および株式投資の承認や、債務証券の発行、外貨の借入れおよびスワップ取引の承認についても責任を
負う。監査委員会は特に、会計処理や、内部統制システム(以下「ICS」という。)および内部監査システムと
いったリスク管理システムの実効性を監視する。また、年次財務書類の監査の実施および監査法人によって指摘さ
れた誤りの適時の是正について監視を行う。さらに、監査委員会は年次非連結財務書類の承認および年次連結財務
書類の採択に関し、監事会に助言を行う。執行・指名委員会および報酬委員会の委員長は、原則として監事会の会
長が務めることとされている。リスク・信用委員会および監査委員会の委員長は、原則として銀行部門の代表が務
めることとされている。
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2019 年4月9日現在の監事は以下の通りである。
氏名 役職
ドーリス・アーネン ラインラント・プファルツ州財務大臣(連邦参議院による選
任)
ペーター・アルトマイヤー 連邦経済エネルギー大臣(2019年の副会長)
ゼーレン・バルトール 国会議員(連邦議会による選任)
ホルガー・ビングマン博士 ドイツ卸売・貿易業連合会(BGA)会長(卸売・外国貿易部
門代表)
フォルカー・ブフィエ ヘッセン州首相(連邦参議院による選任)
ロバート・ファイガー ドイツ建設・農業・環境労働組合(IG Bau)委員長(労働組
合代表)
ヴェレナ・ゲパット ドイツ都市協会常任副専務理事(地方自治体代表)
オラフ・グッティン 国会議員(連邦議会による選任)
ルイス・ハーゲン博士 ドイツファンドブリーフ銀行協会(vdp)会長(抵当銀行代
表)
ラインホルド・ヒルバース ニーダーザクセン州財務大臣(連邦参議院による選任)
ライナー・ホーフマン ドイツ労働総同盟(DGB)会長(労働組合代表)
ゲルハルト・ホーフマン ドイツ協同組合銀行協会(BVR)運営理事(協同組合銀行代
表)
ブルーノ・ホリナーゲル博士 国会議員(連邦議会による選任)
アンドレアス・イーベル ドイツ民間不動産・住宅企業連邦協会会長(住宅部門代表)
バルトロメウス・カルプ 国会議員(退任)(連邦議会による選任)
ユリア・クロックナー 連邦食料農業大臣
アンドレア・コクシス 統一サービス産業労働組合(ver.di)副委員長(労働組合代
表)
シュテファン・コルゼル ドイツ労働総同盟執行委員(労働組合代表)
ヨアヒム・ラング博士 ドイツ産業連盟(BDI)会長兼会長主宰の委員会の委員(工
業代表)
ルッツ・リネンカンペール ノルトライン・ヴェストファーレン州財務大臣(連邦参議院
による選任)
ハイコ・マース 連邦外務大臣
ゲルト・ミュラー博士 連邦経済協力開発大臣
ハンス=ヴァルター・ペータース博士 ドイツ銀行連盟(BdB)会長(商業銀行代表)
エックハルト・レーベルク 国会議員(連邦議会による選任)
ヨハネス=ヨルグ・リーグラー博士 ドイツ公的銀行連盟(VÖB)会長(退任)(産業信用分野に
おいて著名な信用機関の代表)
ヨアヒム・ルークヴィート ドイツ農業者連盟(DBV)会長(農業部門代表)
アンドレアス・ショイアー 連邦運輸デジタルインフラ大臣
ヘルムット・シュリーヴァイス ドイツ貯蓄銀行協会(DSGV)会長(貯蓄銀行代表)
カルステン・シュナイダー 国会議員(連邦議会による選任)
オラフ・ショルツ 連邦財務大臣(2019年の会長)
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スヴェンニャ・シュルツ 連邦環境自然保護原子力安全大臣
ホルガー・シュワネッケ ドイツ手工業中央連盟(ZDH)事務総長(熟練手工業部門代
表)
エーディト・シーツマン バーデン・ヴュルテンベルグ州財務大臣(連邦参議院による
選任)
ペーター・シュトローベル ザールラント州財務欧州担当大臣(連邦参議院による選任)
ハイケ・タウバート テューリンゲン州副首相兼財務大臣(連邦参議院による選
任)
フローリアン・トンカー博士 国会議員(連邦議会による選任)
マルティン・ヴァンスレーベン博士 ドイツ商工会議所連盟(DIHK)会頭(工業代表)
監事会の報酬については、「(5) 経理の状況―5) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記82を参照のこ
と。
3) 従業員
KfW グループの従業員数は、2018年は平均で6,376名(2017年は6,113名)であった(執行理事および研修員を除
き、臨時雇用者を含む。)。KfWの従業員の約30%は団体労働協約に加入している。KfWは従業員のために年金等の
給付を行っている。
KfW グループの従業員のうち、約21%はKfWの国内事業活動、24%は発展途上国および新興経済国支援事業部門、
11%は輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門、残りはKfWの経理、出納、担保、資金調達および貸
出支援の各部門ならびに総務・人事部に所属している。
KfW グループの従業員についての詳細は、「(5) 経理の状況―5) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記81
を参照のこと。
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(4)【業務の概況】
1) 概要
KfWは、連邦共和国の連邦政府の国内・国際公共政策目標を遂行する公法機関( Anstalt des öffentlichen
Rechts )である。KfWは、KfWグループというブランド名の傘下で金融活動を助成している。
KfWは、2018年12月31日現在4,858億ユーロの総資産(1,269億ユーロの銀行および顧客に対する貸出金等を含
む。)を有するドイツの最も重要な助成銀行であり、ドイツ最大手の金融機関の1つである。KfWの助成事業額は、
2018年に755億ユーロにのぼった。KfWの助成事業額の詳細については、「2) 当年度の事業の状況」の「事業部門
別助成事業額」の表を参照のこと。
KfWの事業は以下の事業部門で行われている。
・ 中小企業銀行および民間顧客( Mittelstandsbank und Private Kunden )(以下「中小企業銀行および民間
顧客」という。)は、中小企業、起業家、新規事業、自営の専門家および個人に対し、高度に標準化され
た商品を提供する。
・ 個別対応金融および公的顧客( Individualfinanzierung und Öffentliche Kunden )(以下「個別対応金融
および公的顧客」という。)は、地方自治体インフラ整備および社会インフラ整備に係る融資につき個別
の解決策を提供し、企業金融およびプロジェクト・ファイナンスを提供し、金融機関およびドイツの州立
支援財団( Landesf örderinstitute )(以下「州立支援財団」という。)に対し個別対応の融資を提供す
る。
・ KfWキャピタル(旧エクイティ・ファイナンス)は、専門的に運用されるファンドを通じて、革新的技術を
志向するドイツの成長企業が資本にアクセスすることを容易にするために、ドイツおよび欧州のベン
チャー・キャピタル・ファンドおよびベンチャー・デット・ファンドに投資する。KfWキャピタルは、KfW
が完全所有する法的に独立した事業体であり、2018年10月15日に営業活動を開始した。
・ 輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス:KfW IPEX銀行は、世界各地で個別対応の輸出金融、プロ
ジェクト・ファイナンスおよび企業金融を提供する。KfW IPEX銀行は、KfWが完全所有する法的に独立した
事業体である。
・ 発展途上国および新興経済国支援:KfW開発銀行は、KfWによる公共部門に対する開発援助活動について責
任を有しており、DEGは、発展途上国の民間部門投資に対する融資を行っている。DEGは、KfWが完全所有す
る法的に独立した事業体である。
・ 金融市場は、KfWの財務、資金調達、資産運用およびその他の資本市場関連の活動から成る。
KfWの事務所は、ドイツ、60325 フランクフルト・アム・マイン、パルメンガルテンシュトラーセ5-9にある。
KfWの電話番号は、+49-69-74310である。KfWはまた、ドイツのベルリンとボンに支店を、ベルギーのブリュッセル
にEU連絡事務所を有している。
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2) 当年度の事業の状況
下表は、記載された各年におけるコミットメント額に関して、各事業部門の相対的な規模を示すものである。
事業部門別助成事業額
2018年12月31日 2017年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
中小企業銀行および民間顧客 (1)
36,294 42,388 -14
個別対応金融および公的顧客 (1)
9,544 9,319 2
KfW キャピタル (旧エクイティ・ファイナンス)
141 105 34
(1)(2)
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス
17,730 13,751 29
(KfW IPEX銀行)
発展途上国および新興経済国支援 10,558 9,748 8
このうちKfW開発銀行 8,692 8,197 6
このうちDEG(ドイツ投資開発会社) 1,866 1,551 20
1,472 1,541
金融市場 -4
75,495 76,481
助成 事業 額の合計 (3)(4)
-1
(1) 2018 年4月1日より、KfWは、以前は顧客グループ間の区分に基づき中小企業銀行事業部門ならびに地方自治体および民間顧客銀行/信用機関
( Kommunal-und Privatkundenbank/Kreditinstitute )(以下「地方自治体および民間顧客銀行/信用機関」という。)事業部門を通じて行っていた
国内助成事業を、異なる運営モデルにより特徴付けられる3つの事業部門へと再編した。かかる3つの事業部門には、中小企業銀行および民間顧客事
業部門、個別対応金融および公的顧客事業部門ならびにKfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部門)が含まれる。2017年12月
31日に終了した年度の比較数値は、KfWの国内助成事業の再編を反映して修正再表示されている。
(2) KfW は2018年8月に、ベンチャー・キャピタル・ファンドへの投資活動とベンチャー・デット・ファンドへの投資活動を1つの事業体に統合する目的
で、新たな子会社であるKfWキャピタルを設立した。KfWキャピタルは、2018年10月に営業活動を開始し、KfWの以前のベンチャー・キャピタルへの
ファイナンス活動の一部は、2019年1月1日付でKfWキャピタルへと移管された。KfWのベンチャー・キャピタル・ファンドおよびベンチャー・デッ
ト・ファンドへの投資活動は、以前はエクイティ・ファイナンスの項目において開示されていた。今後、かかるベンチャー・キャピタル・ファンド
およびベンチャー・デット・ファンドへの投資活動は、再編されたKfWの構造に従い、エクイティ・ファイナンスの項目ではなくKfWキャピタルの項
目において表示される。
(3) 2018 年の助成事業額の合計は、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスに関してKfW IPEX銀行が行い、かつ、KfWプログラム・ローンの一部に
基づきリファイナンスされた245百万ユーロ(2017年は372百万ユーロ)に関する調整を含む。
(4) コミットメント額とは、対象期間の貸出およびその他の事業取引(州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンおよび連邦教育
促進法( Bundesausbildungsförderungsgesetz - BAföG )に基づく政府によるローン・プログラムを除く。)についてコミットされた資金額をい
い、将来の期間に貸し出される金額を含むが、過去の期間までに行われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。州立支援
財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンおよび連邦教育促進法(BAföG)に基づく政府によるローン・プログラムについては、コ
ミットメント額とは、対象期間に貸し出された実際の資金額をいう。
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下表は、6つの各事業部門の相対的な規模を、2018年末におけるコミットメント額残高および経済資本の必要額
の比率で示すものである。一般に、コミットメント額残高の比率に比べて経済資本の必要額における比率が低いと
いうことは、それに伴うリスクが平均を下回ることを示す。金融市場事業部門の経済資本の必要額の比率には、財
務活動に係る経済資本の必要額も含まれる。
各事業部門の相対的な規模
2018年12月31日現在
コミットメント額残高 経済資本の必要額(1)
中小企業銀行および民間顧客 51% 44%
個別対応金融および公的顧客 13% 13%
KfWキャピタル 0% 1%
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス
15% 6%
(KfW IPEX銀行)
発展途上国および新興経済国支援(KfW開発銀行およ
9% 9%
びDEG(ドイツ投資開発会社))
12% 6%
金融市場
518.1 18.4
総額(単位:10億ユーロ)
(1) 経済資本の必要額残高は、グループ機能に関連する。経済資本の必要額は、99.99%の支払能力レベルで計算されている。KfWグループの経済資本の
必要額についての詳細は、「(5) 経理の状況―3) リスクの報告―KfWグループのリスク管理手法―自己資本充実度に関する評価プロセス―経済的リ
スク許容能力」および「(5) 経理の状況―5) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記40を参照のこと。
国内助成事業
概括
連邦政府の経済目標および政策目標を支援するために、KfWは、ドイツ国内および欧州各地の限られた範囲内
で、広範な融資プログラムおよび国内助成目的のために連邦予算を原資とする供与を行っている。KfWの主な国内
金融活動は、中小企業銀行および民間顧客事業部門、個別対応金融および公的顧客事業部門ならびにKfWキャピタ
ル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部門)において行われている。国内市場を対象にしたさらなる助成
活動は、金融市場事業部門で報告されている。
KfW法に基づき、KfWは通常、融資を行う場合は、銀行その他の金融機関を介在させなければならない。したがっ
て、KfWは、まず商業銀行に対して貸出を行い、商業銀行が最終的な借入人に対して転貸を行うという手順によ
り、KfWによる貸出の取扱いに商業銀行を介在させている。ただし、KfWは、地方自治体への融資等、限られた範囲
において最終的な借入人に対して直接融資を行うことができる。KfWは、商業銀行に貸出を行うことによって、原
則として資金の最終的な借入人の信用リスクを回避し、商業銀行の顧客に関する情報ならびに管理業務および貸出
業務に関する専門的知識の恩恵を受けている。KfWは、貸出先である各金融機関のリスクおよび信用状態を監視し
ている。KfWは、国内の事業部門において、現在約180の銀行に対して貸出を行っている。2018年のKfWの銀行間の
総エクスポージャー(デフォルト時エクスポージャー(以下「EAD」という。))の60%(2017年は61%)は、KfW
の大手銀行グループ取引先の10行によるものであった。当該エクスポージャーの大部分は、KfWの転貸事業に関係
するものであるが、その他の事業取引から生じた部分(デリバティブ、有価証券、短期金融市場およびグローバ
ル・ローン取引等)は、これよりはるかに限定されている。
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KfWは、商業銀行に貸出を行うために2つの異なるモデルを提供している。KfWの貸出事業の取扱いに関する従来
からのモデルで、最も重要なモデルは、特定貸出またはメザニン資本商品の枠組み内における各借入人の個別ロー
ン申込書に基づいている。KfWは、もう一方のモデルで、グローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバ
ル・ローンを州立支援財団に、また、非プログラム・ベースのグローバル・ローンを既存の契約に基づく特定の州
立支援財団、ならびにドイツおよび欧州における特定の金融機関に提供している。
個別ローン KfWは、商業銀行に行うローン毎、および商業銀行がその各貸出プログラムに基づき最終的な借入
人に転貸するローン毎に、形式上の要件の詳細を定める。しかし、借入人は、一般に、KfWに直接申込まず、商業
銀行を通してのみKfWのローンに申込むことができる。かかる中間銀行は、申請者の財務状態および営業状況を評
価し、ローンの担保をとり、KfWへの返済の責任を負う。商業銀行により転貸されるKfWのローンは、通常、不動産
もしくはその他の資産上の担保権で担保されるか、または連邦共和国もしくは各連邦州によって保証される。KfW
の貸出プログラムにおける個別ローンの貸出は、各借入人につき、2つの形式的に異なるローン承認(まず中間銀
行による承認、その後にKfWによる承認)によって特徴付けられる。しかし、KfWのローン承認は、ほとんどの場
合、各貸出プログラム毎に定められた要件の遵守を審査するための個別のローン申請書の審査のみに依拠してい
る。
近年、KfWは、より効率的で、自動化および加速化されたプロセスの確立を目的として、ローンの申請および承
認プロセスの近代化を行った。かかる目的のため、KfWは、高度に標準化された貸出プログラムのためのデジタ
ル・オンライン・プラットフォームを開発した。当該オンライン・プラットフォームは、2014年に住宅投資プログ
ラムにおけるローン申請用のツールとして運用を開始し、KfWによるローンの承認につき、電子認証の形式で即時
のフィードバックを提供している。2015年末現在、住宅投資プログラムにおけるローン申請のすべてがこのプラッ
トフォームを通じて行われている。2018年、KfWは、営利企業に対する国内の助成プログラム(中小企業向けのプ
ログラムおよび環境投資プログラムを含む。)ならびに地方自治体の企業、事業および非営利団体向けのプログラ
ムの大部分を支援するために、かかるプラットフォームを拡大するという目標を達成した。2019年、KfWは助成プ
ログラムにおいて、すべての中間銀行を引き続きプラットフォームに接続させる。今後、州立支援財団の大部分も
また、プラットフォームを通じて独自の商品の提供を行う。これにより、顧客および融資パートナーは、統一され
た方法で、連邦政府および州政府から委託された助成ローンにアクセスすることができる。
KfWは、ローン供与に際し、定率プライシング・モデル、リスク調整後プライシング・モデルという異なったプ
ライシング・モデルを適用している。定率プライシング・モデルに基づき、KfWの貸出を受けた商業銀行は、KfWに
対して支払う適用金利に固定されたスプレッドを乗せて、当該資金の転貸を行うことが認められている。当該定率
プライシング・モデルは、住宅投資および一部の起業融資向けの貸出プログラム、さらには教育の貸出プログラム
にも適用されている。KfWはリスク調整後プライシング・モデルに基づき、借入人の信用力と貸出担保の組合せに
基づくプライシング・カテゴリーを確立している。各貸出プログラムに基づき、KfWは、プライシング・カテゴ
リー毎に最高金利を設定している。転貸を行う銀行は、借入人のリスク特性および貸出担保を査定し、貸出毎に適
用されるプライシング・カテゴリーおよびプライシング・カテゴリーの適用最高金利を決定する。プライシングの
過程におけるKfWの役割は、各銀行が、最終的な借入人の信用力および差入担保に基づいて適切に最高金利を決定
したか否かの検証に限定されている。
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KfWの従来の中小企業向け貸出プログラムにおいては、前述の通り、転貸銀行がKfWに支払義務を負うものとし、
顧客の債務不履行リスクを負担する。近年、KfWは、中小企業へのサポートを強化する中小企業向け融資プログラ
ムを頻繁に改訂および更新している。リスク調整後プライシング・モデルが適用されるかかる貸出プログラムの一
部に基づき、KfWは、転貸銀行に対し、義務を一部免除する選択権を提供している。転貸銀行が義務の免除を申請
した場合、KfWは当該銀行が負わないリスクを負担し、リスク・マージンはKfWと当該銀行間で按分して共有する。
リスク調整後プライシング・モデルは、とりわけ中小企業銀行および民間顧客において、最も規模が大きく最も重
要な貸出プログラムであるKfW起業家ローン・プログラム( KfW Unternehmerkredit )に適用されている。さらに、
中小企業銀行および民間顧客が提供するメザニン資本および零細企業による投資の特別プログラムは、KfWが最終
的な借入人の信用リスクを直接負担するよう設計されているが、かかる信用リスクは、最終的な借入人に課される
金利に含まれるリスク・プレミアム、または連邦政府もしくは欧州投資基金からの保証等の様々な方法により補填
または補償される。
グローバル・ローンおよびグローバル融資枠 グローバル・ローンおよびグローバル融資枠は、主に、手続が簡
略化している点、各個別の最終的な借入人につきKfWの正式なローン承認が不要である点、また、一般的に転貸を
行う州立支援財団および特定の金融機関により高い柔軟性が与えられているという点で、KfWの個別ローンとは異
なる。KfWは、かかる貸出を受領する機関が合理的な期間内に資金を転貸するよう求めている。グローバル・ロー
ンおよびグローバル融資枠は、KfWの個別ローンとは対照的に、より柔軟な貸出形態で行われている。その結果、
これらの金融商品は、KfWの従来の貸出プログラムに比べ、KfWおよび転貸を行う機関の双方が負担する管理運営費
が少ない。そのため、最終借入人は一般的に有利な金利の恩恵を受ける。
KfWは、プログラム・ベースのグローバル・ローンおよび州立支援財団に対するグローバル融資枠、また、特定
の州立支援財団ならびにドイツおよび欧州における特定の金融機関に対する非プログラム・ベースのグローバル・
ローンといった、異なる種類のグローバル・ローンおよびグローバル融資枠を提供している。州立支援財団の多く
は、それぞれの連邦州の明確な法定保証の恩恵を受ける独立した公法機関である。各州立支援財団は、連邦州内の
助成問題について責任を負う。KfWは、16の州立支援財団に協力している。
州立支援財団は、州立支援財団とKfWの共同融資プログラムの枠組みの中で、それぞれの連邦州における中小企
業、住宅プロジェクトおよび地方自治体インフラ整備プロジェクトに関する特定の投資に融資するためにKfWのプ
ログラム・ベースのグローバル・ローンを利用する。各共同融資プログラムの条件は、関連するKfWプログラムの
条件に服さなければならない。州立支援財団への資金は、通常、一括貸出の形で行われ、その後分割され、個別
ローンとして最終的な借入人に対して提供される。
なお、KfWは、州立支援財団独自の助成事業に対する資金を供給する目的のために、州立支援財団のみにグロー
バル融資枠を設定している。これにより、KfWの貸出プログラムと直接関わりなく、州立支援財団の助成事業に貸
し出された資金の使用について柔軟性が与えられている。
KfWはまた、特定の州立支援財団ならびにドイツ国内および欧州各地の特定の金融機関に対する非プログラム・
ベースのグローバル・ローンを行っており、かかる州立支援財団および金融機関は、中小企業、住宅プロジェク
ト、地方自治体インフラ整備プロジェクトおよび省エネ推進プロジェクトに対し融資するために、個別のローンお
よびリースとして転貸を行っている。
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中小企業銀行および民間顧客
KfWの中小企業銀行および民間顧客事業部門は、中小企業、大規模企業、起業家、新規事業および自営の専門家
に対し支援を行い、発展段階の異なる企業に多様な目的のために融資を行っている。かかる事業部門はまた、個人
に対し、住宅関連のローンおよび補助金ならびに教育資金の融資を提供している。かかる融資は主に、ローン・プ
ログラム(2018年は360億ユーロ、2017年は420億ユーロ)およびメザニン・プログラム(2018年は3億ユーロ、
2017年は4億ユーロ)により提供される。
下表は、記載された各年における中小企業銀行および民間顧客の分野別コミットメント額を示すものである。
中小企業銀行および民間顧客のコミットメント額
2018年12月31日 2017年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:10億ユーロ) (%)
17.2 21.3
中小企業銀行 -19
起業融資および一般投資 6.7 9.6 -30
技術革新 3.1 1.9 +63
7.4 9.8
環境投資 -24
19.1 21.1
民間顧客 -9
住宅投資プログラム 5.0 4.7 +6
教育プログラム 2.1 2.2 -5
12.0 14.2
環境投資 -15
36.3 42.4
コミットメント総額 -14
社会の生活環境を改善し、ドイツの経済を支援するため、中小企業銀行および民間顧客は、2018年に363億ユー
ロ(2017年は424億ユーロ)の融資を確約した。コミットメント額は、中小企業銀行および民間顧客のいずれにつ
いても、前年に比べ減少した。かかる減少は主に、一般投資および環境プログラムの分野における減少に起因して
いる。一般投資は、主に低金利環境における需要の減少に起因して減少し、その結果、この特定の分野における銀
行間の競争は激しさを増した。さらに、ドイツのエネルギー政策の変更により、KfWの環境投資プログラムの需要
は減少し、例えば再生可能エネルギープログラムにおけるコミットメント額は、2017年の39億ユーロから2018年の
18億ユーロへと減少した。その一方で、技術革新投資プログラムおよび住宅投資プログラムにおいてはコミットメ
ント額が増加した。住宅分野における需要の増加は主に、子どもがいる家庭およびひとり親の家庭による住宅所有
を支援するためにドイツ政府が2018年9月18日に開始した、KfWが連邦共和国により完全に補償される承認ベースの
プログラムである、建築子ども手当( Baukindergeld )(以下「建築子ども手当」という。)という新たなプログ
ラムに起因している。
中小企業銀行
2018年KfW中小企業パネルとして知られる、ドイツ国内における中小企業部門についての代表的なKfWの調査によ
れば、2017年にはドイツにおける中小企業(調査目的のため、グループの年間生産高が500百万ユーロ以下の企業
として定義される。)の数が376万社であったと見積られた。同時期において、中小企業は、ドイツの企業部門が
行った総投資の44.5%を占めており、労働人口の70.4%を雇用していた。
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中小企業銀行は、主として、ローン・プログラムを提供している。ローン・プログラムの一部に基づき、中小
企業銀行は転貸銀行に対して義務の一部免除を行っている。転貸銀行が義務の免除を申請した場合、KfWは当該銀
行が負わないリスクを負担し、リスク・マージンはKfWと当該銀行間で按分して共有する。例えば、最も重要な中
小企業ローン・プログラムであり、起業融資および一般投資分野において幅広い投資対象(建設や機械の購入等)
に融資を行っているKfW起業家ローン・プログラム( KfW Unternehmerkredit )はこれに該当する。
また、中小企業銀行は、無担保劣後ローンの形式でメザニン資本の融資も行っている。これは、負債と株主資本
の特徴を組み合わせた準株式の要素をもっている。これらの融資において、転貸銀行は劣後ローンについては中小
企業銀行に対する支払義務を負わない。かかるローンの金利は、資本市場の実勢金利に加え、借入人の信用状態お
よびかかるローンを保証する担保を考慮して決定されている。借入人の信用力はまず転貸銀行により査定される。
しかしながら、KfWがかかるローンの信用リスクを引き受けるため、KfWは独自の格付方法を適用して転貸銀行によ
る査定を見直し、必要であれば改定する権利を留保している。
起業融資および一般投資プログラム
中小企業銀行は、不動産および建物、工場または機械設備に対する投資等、様々な目的のために起業融資および
一般投資向けの金融支援を提供している。この分野における2018年のコミットメント額は67億ユーロであり、前年
から減少した(2017年は96億ユーロ)。一般投資分野におけるコミットメント額が2017年の58億ユーロから2018年
の31億ユーロに減少した一方で、中小企業銀行の起業融資はほぼ変動がなかった(2018年は36億ユーロ、2017年は
38億ユーロ)。
技術革新プログラム
中小企業銀行は、融資またはメザニン資本により研究開発活動およびデジタル化活動に資金を提供することに
よって、技術革新に対する融資を行っている。2018年の技術革新融資の分野におけるコミットメント額は、31億
ユーロへと大幅に増加した(2017年は19億ユーロ)。
環境投資プログラム
中小企業銀行は、環境保護プロジェクト、中でも特にエネルギー効率の向上および温室効果ガス排出削減を目指
す措置に対する融資を行い、再生可能エネルギー源の利用を促進している。環境投資プログラムにおけるコミット
メント額は、2017年の98億ユーロから2018年の74億ユーロへと減少したが、これは特にKfWの再生可能エネルギー
プログラムにおけるコミットメント額の減少によるものであった。2017年の高水準(39億ユーロ)の後、KfWの再
生可能エネルギープログラムにおけるコミットメント額は2018年の18億ユーロへと減少した。とりわけ、風力エネ
ルギー、太陽光エネルギー、バイオガス/バイオマスシステムおよび水力エネルギーの利用のためのプロジェクト
への投資を促進するかかるプログラムにおける貸出額は、KfWのグリーンボンドの発行に関連している(下記「金
融市場―資金調達」を参照のこと。)。中小企業銀行の省エネプログラムにおけるコミットメント額は、2017年の
57億ユーロから2018年の53億ユーロへと減少した。
KfWの再生可能エネルギープログラムである「貯蔵」プログラムおよび省エネプログラムである「廃熱」プログ
ラムは、2018年末までに終了した。それと同時に、新たなプログラムである「事業における省エネおよび再生可能
エネルギーからのプロセスヒート」プログラムが2019年1月1日付で導入された。かかるプログラムは、連邦経済エ
ネルギー省により資金提供され、最終的な借入人に対し、返済ボーナスを提供している。
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民間顧客
住宅投資プログラム
民間顧客部門の住宅投資プログラムは、住宅所有の促進、ならびに現存住宅のセキュリティおよび現存住宅に対
するまたは現存住宅内の利便性の向上のために資金を提供するものである。これらのプログラムの一部は、連邦資
金より支払われる金利の引下げを通じて助成を受けている。2018年のコミットメント額は50億ユーロであった
(2017年は47億ユーロ)。このうち35億ユーロ(2017年は42億ユーロ)は住宅所有促進プログラムに提供された。
2018年9月18日、KfWは、子どもがいる家庭およびひとり親の家庭による住宅所有を支援するためにドイツ政府が
2018年9月に開始した、KfWが連邦共和国により完全に補償される承認ベースのプログラムである、建築子ども手当
という新たなプログラムを開始した。
教育プログラム
民間顧客部門は、学生や被雇用者の高等教育および高度職業訓練を支援するための直接ローンを提供する。これ
らのプログラムの一部は、連邦政府または連邦諸州の信用保証を受けている。2018年のコミットメント額は21億
ユーロであり、前年の水準にほぼ達した(2017年は22億ユーロ)。
環境投資プログラム
民間顧客部門はまた、新たな省エネ住宅の建築ならびに既存物件の改築および省エネ改修を支援するため、民間
顧客に対しローンおよび補助金を提供する。コミットメント額は、2017年の142億ユーロから2018年の120億ユーロ
へと減少した。
個別対応金融および公的顧客
KfWの個別対応金融および公的顧客事業部門は、地方自治体インフラ整備プロジェクトおよび社会インフラ整備
プロジェクトに係る融資につき個別の解決策を提供し、企業金融およびプロジェクト・ファイナンスを提供し、州
立支援財団およびその他の金融機関に対しグローバル融資商品を供与する。
下表は、記載された各年における個別対応金融および公的顧客の分野別コミットメント額を示すものである。
個別対応金融および公的顧客のコミットメント額
2018年12月31日に 2017年12月31日に
前年比
終了した年度 終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
地方自治体インフラ整備プログラム 3,497 3,924 -11
企業金融およびプロジェクト・ファイナンス 176 520 -66
技術革新 50 0
州立支援財団に対するグローバル融資枠 2,928 3,951 -26
輸出ローンのリファイナンス・プログラム 1,423 275 417
1,470 650
特定の金融機関に対するグローバル・ローン 126
9,544 9,319
コミットメント総額 (1)
2
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンを除く。)についてコ
ミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まな
い。州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンについては、コミットメント額とは、各年の実際に貸し出された資金額をい
う。
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個別対応金融および公的顧客事業部門におけるコミットメント額は、2017年の93億ユーロから2018年の95億ユー
ロへと増加したが、これは主に、輸出ローンのリファイナンス・プログラムにおけるコミットメント額の増加およ
び特定の金融機関に対するグローバル・ローンの増加によるものである。それと同時に、州立支援財団に対するグ
ローバル融資枠の需要は減少した。
地方自治体インフラ整備プログラム
個別対応金融および公的顧客は、地方自治体(すなわち、地方自治体当局および地方自治体の特別目的団体)に
対する直接ローンとしてか、または商業銀行が関与するKfWの通常の転貸スキームを通じて、地方自治体インフラ
整備および社会インフラ整備への投資向けに融資を行っている。後者は、地方自治体当局が過半数を保有する民間
企業によるインフラ整備への投資および非営利団体による社会投資に用いられている。地方自治体インフラ整備プ
ログラムの一部は連邦資金より助成を受けている。2018年の地方自治体インフラ整備プログラムにおけるコミット
メント額は、前年の水準(39億ユーロ)から減少して合計35億ユーロとなったが、これは社会インフラ企業による
借入需要が減少したことによるものであった。
グローバル・ローンおよびグローバル融資枠
下表は、記載された各年における個別対応金融および公的顧客のグローバル・ローンおよびグローバル融資枠に
指定されたコミットメント額を示すものである。
2018年12月31日に 2017年12月31日に
前年比
終了した年度 終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
州立支援財団に対するグローバル融資枠 2,928 3,951 -26
州立支援財団に対するプログラム・ベースの
653 674 -3
グローバル・ローン
ドイツおよび欧州の特定の金融機関に対する
1,470
650
126
非プログラム・ベースのグローバル・ローン
5,051 5,275
コミットメント総額 (1)
-4
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローン および連邦教育促進法
(BAföG)に基づく政府によるローン・プログラム を除く。)についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年ま
でに行われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローン およ
び連邦教育促進法(BAföG)に基づく政府によるローン・プログラム については、コミットメント額とは、各年の実際に貸し出された資金額をい
う。
2018年、個別対応金融および公的顧客は、州立支援財団に対し、グローバル融資枠およびプログラム・ベースの
グローバル・ローンを提供しており、州立支援財団に対するグローバル融資枠は29億ユーロ(2017年は40億ユー
ロ)相当、州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンは7億ユーロ(2017年も7億ユーロ)相
当であった。州立支援財団のリファイナンスの減少は、主に需要の低下によるものであった。
州立支援財団に対するコミットメントの他に、個別対応金融および公的顧客は、グローバル・ローンを、(ⅰ)
中小企業に対するリース契約をリファイナンスするためにドイツの特定の金融機関に対して供与し、また、(ⅱ)
欧州の中小企業融資の分野において協働するために、欧州の特定の金融機関に対して供与している。これらの金融
機関は、このグローバル・ローンを分割し、中小企業に対して個別のローンおよびリースとして提供している。
2018年におけるドイツおよび欧州の特定の金融機関に対するグローバル・ローンは、15億ユーロ(2017年は7億
ユーロ)であった。これはすべて(2017年においても7億ユーロすべて)、リース契約のリファイナンスに起因し
ている。現行の市場環境を受け、欧州の金融機関に対しては2017年と2018年においてグローバル・ローンの提供は
なかった。その一方で、ドイツにおけるリース契約のリファイナンス需要は2018年に大幅に増加した。
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輸出ローンのリファイナンス・プログラム
個別対応金融および公的顧客は、連邦政府の公的輸出信用保証(いわゆる「ヘルメス・カバー」)によってカ
バーされている輸出ローンの長期リファイナンスを商業銀行に提供している。これらの保証は、連邦政府に代わ
り、ユーラーヘルメス合資会社(以下「HERMES」という。)によって管理されている。HERMESの詳細については、
下記「輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)―事業」を参照のこと。KfWは、2018年にこ
のプログラムに基づき14億ユーロ(2017年は3億ユーロ)のコミットメントを行っている。
企業金融およびプロジェクト・ファイナンス
個別対応金融および公的顧客は、企業金融、プロジェクト・ファイナンスおよび一定のエクイティ・ファイナン
スを提供する。企業金融およびプロジェクト・ファイナンスのコミットメント総額は、2017年の520百万ユーロか
ら2018年の176百万ユーロへと減少した。かかる減少は主に、海上風力発電プログラム(2017年のコミットメント
額が313百万ユーロであったのに対し、2018年におけるコミットメントはない。)に起因している。
技術革新
2018年、KfWは、大きめの中規模企業の技術革新プロジェクトおよびデジタル化プロジェクトを支援するため、
「成長のためのKfWローン」という新たなプログラムを開始し、かかるプログラムに対して24百万ユーロをコミッ
トした。かかるKfWの新たなプログラムは、利用可能な国の資金調達手段の範囲を拡大することにより、成長段階
にある企業を支援することを目的とした、ドイツ政府の技術成長ファンド・イニシアチブの一環である。新たな成
長のためのKfWローン・プログラムにおいて、KfWは、個別に設定される技術革新施策およびデジタル化施策のため
の大規模な融資枠を、KfWの現行の標準的な銀行仲介による助成商品の範囲に含める。KfWはまた、かかる新たな商
品により、年間取引高が20億ユーロ以下の大きめの中規模企業に係る提携銀行の信用リスクの一部を引き受けるこ
とができる。KfWは、かかる新たな助成プログラムに基づき、1または複数の提携銀行のデット・ファイナンス業務
に同じ条件で参加し、リスク仲介を通じてプロジェクト・リスクの最大70%をカバーする予定である。KfWは、可
能な限り、EIBを通じ、欧州戦略投資基金(EFSI)による50%の保証を利用して、かかる信用リスクを引き受け
る。
KfWはまた、2018年に、ベンチャー・キャピタルへのファイナンス活動を、新たに設立された子会社であるKfW
キャピタルに移管し始めた。ベンチャー・キャピタル以外のエクイティ事業およびポートフォリオ事業は、KfW
キャピタルに移管されておらず、また将来においてもKfWキャピタルに移管されず、KfW(個別対応金融および公的
顧客)に留まる。ポートフォリオの再編により、残存する事業(主にERP起業基金)におけるコミットメント額
は、2017年の28百万ユーロから2018年の21百万ユーロへとわずかに減少した。
KfW キャピタル(旧エクイティ・ファイナンス)
KfWの新たなベンチャー・キャピタル子会社であるKfWキャピタルは、2018年8月31日に法的に独立した事業体と
して設立された。KfWキャピタルのジェネラル・パートナーであるKfWキャピタル・マネジメント有限責任会社
( KfW Capital Verwaltungs GmbH )は、2018年8月9日に設立され、KfWキャピタルにより完全所有されている。KfW
は、KfWキャピタルの有限責任パートナーであり、究極的にはその単独の株主である。KfWキャピタルは、ドイツ銀
行法第1条第3項に基づく金融事業体( Finanzunternehmen )であり、特定の規制制度の対象となる。
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KfWキャピタルの事業目標は、50百万ユーロ以上の規模の専門的に運用されるファンドを通じて、革新的技術を
志向するドイツの成長企業が資本にアクセスすることを容易にするために、ドイツおよび欧州のベンチャー・キャ
ピタル・ファンドおよびベンチャー・デット・ファンドに投資することである。KfWキャピタルは、ファンドにの
み投資し、直接企業に投資することはない。10年間の投資目標額は、年間平均200百万ユーロである。KfWキャピタ
ルは、1つのファンドにつき、25百万ユーロを上限とする資本投資を、また19.99%を上限とする資本および議決権
の取得を予定している。
KfWキャピタルは2018年10月15日に営業活動を開始した。2018年10月から2018年12月までは、ベンチャー・キャ
ピタル・ファンドおよびベンチャー・デット・ファンドへの新たな投資は、依然としてKfWを代理してKfWの勘定で
行われていた。ハイテク起業基金Ⅰ、ⅡおよびⅢ( High-Tech Gründerfonds )への投資、公的ベンチャー・キャピ
タル共同投資基金( coparion GmbH & Co. KG )への投資ならびにERPベンチャー・キャピタル基金投資( ERP-
Venture Capital-Fondsinvestment )プログラムを通じたその他のファンドへの投資等の、KfWによるベンチャー・
キャピタルへの投資の一部は、2019年1月1日付でKfWキャピタルに移管された。KfWキャピタルは、マネジメント・
サービス契約に基づき、2018年10月から2018年12月まで、これらの投資に関する責務の一部を、KfWのためにKfWを
代理して遂行した。さらに、KfWは、KfWキャピタルとの間で損益移転契約を結んだ。
2018年、KfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部門)のコミットメント総額は、2017年の
105百万ユーロから141百万ユーロに増加した。資金の大部分は、「ERPベンチャー・キャピタル基金投資」プログ
ラムを通じて投資された。2018年10月15日より、KfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部
門)には、KfWキャピタルの営業活動も含まれる。
下表は、記載された各年におけるKfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部門)のコミット
メント額を示すものである。
KfW キャピタルのコミットメント額
2017年12月31日に
2018年12月31日に
終了した年度 (1) 前年比
終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
ハイテク起業基金 17 32 -47
124 73
ERPベンチャー・キャピタル基金投資 70
141 105
コミットメント総額 34
(1) 2017 年12月31日現在の数値は、旧エクイティ・ファイナンス事業部門の数値である。2018年4月1日付のKfWの国内助成事業の再編については、上記
「事業部門別助成事業額」の表を参照のこと。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)
沿革
KfW IPEX銀行は、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス活動のうち、欧州委員会がKfWの助成活動の範囲
を超えるとみなす部分を、直接、自らのために行う一方、KfW IPEX銀行の名称の下で信託に基づきKfWに代わって
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの助成事業を行っている。KfWはKfW IPEX銀行に対して、KfW IPEX銀
行が国際格付機関から付与された格付に基づいて市場金利で資金を提供している。2008年1月1日から、欧州委員会
と連邦共和国の間で成立した合意に従って、KfW IPEX銀行は、KfWが完全所有する法的に独立した事業体として業
務を開始した。詳細については、「(1) 設立―2) 連邦共和国との関係―欧州委員会との合意」を参照のこと。
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2018年12月31日現在のKfW IPEX銀行の国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に基づく総資産額(連結前)
は、280億ユーロであった(2017年12月31日現在は264億ユーロ)。2018年12月31日現在のKfWの輸出金融およびプ
ロジェクト・ファイナンス事業部門のローンおよび保証総額残高(助成活動を含む。)は、539億ユーロであった
(2017年12月31日現在は513億ユーロ)。KfW IPEX銀行の本部は、ドイツのフランクフルト・アム・マインにあ
り、英国のロンドンに支店と、ドイツ国外に9箇所の代理店を構えている。2018年12月31日現在、KfW IPEX銀行
は、運営理事を除き、臨時雇用者を含めると、704人を雇用している(2017年12月31日現在は679人)。
欧州委員会との合意に従い、KfW IPEX銀行は、銀行免許を取得し、ドイツ銀行法および法人税制に服している。
KfW IPEX銀行は、関係するドイツの監督機関(BaFinおよびドイツ中央銀行)によって、バーゼルⅡ規制に基づく
IRBA銀行として承認を受けている。現在KfW IPEX銀行はSSMの重要信用機関とはみなされておらず、よってECBの直
接的な監督下にも置かれていないが、ドイツ中央銀行と連携しているBaFinの監督下には引き続き置かれている。
KfW IPEX銀行およびSSMに関する追加情報については、「(1) 設立―2) 連邦共和国との関係―規制―監督体制およ
び執行権限」を参照のこと。SSMの詳細については、「(7) 発行者の属する国等の概況―3) 通貨・金融制度―金融
制度―欧州の金融制度―欧州の金融監督制度および欧州銀行同盟」を参照のこと。
KfW IPEX銀行(被支配会社)は、法人所得税に係る財政の統一を図るために、KfW持株有限責任会社(支配会
社)との間で利益移転契約を締結した。かかる利益移転契約に基づき、KfW IPEX銀行は、2016年12月31日に終了し
た年度末以降、適用されるドイツ商法に従って年間収益の全額をKfW持株有限責任会社に移転しなければならな
い。
事業
KfW IPEX銀行は、国際的に活動するドイツおよび欧州の会社の国際化および競争力を支援することを主眼とし、
プロジェクト・ファイナンス、輸出金融および貿易金融を提供している。KfW IPEX銀行は、分割返済型ローンの形
式による中長期的な投資金融および輸出金融、保証またはリース金融ならびにプロジェクト・ファイナンス、オブ
ジェクト・ファイナンスおよびアクイジション・ファイナンスを提供する。また、KfW IPEX銀行は、その顧客が金
利および為替リスクを回避できるよう金融派生商品および信用状のパーティシペーション等の短期貿易金融商品も
提供している。
KfWは、連邦政府の承認のもと、KfW IPEX銀行に対し、船舶CIRRプログラムおよびERP輸出金融プログラムの管理
権限を委託した。これらのプログラムは、KfW IPEX銀行により、厳格な「チャイニーズ・ウォール」を適用して実
施されている。これらのプログラムは、買手に対し、OECDが競争上の中立性を確保するために公的な支援融資に対
して規定している最低限の金利であるCIRRに基づく固定金利融資を提供する。船舶CIRRプログラムは、ドイツの造
船所で建造された船舶に対する融資を行う銀行が利用することができるものであり、KfWを通じてリファイナン
ス・オプションを提供している。ERP輸出金融プログラムは、KfWを通じて、ドイツから新興国および発展途上国へ
の輸出向けの貸出ならびに固定リファイナンスを支援している。これらの融資は、ERPを通じて支援されている。
従前、ERPプログラムにおけるCIRRに基づく融資は、いずれも登録貸主としてのKfW IPEX銀行およびAKA輸出信用有
限会社( AKA Ausfuhrkredit-Gesellschaft mit beschränkter Haftung )を通じて行われていた。2017年1月以降、
バイヤーズ・クレジットによる保証(ヘルメス・カバー)の対象となるすべての銀行は、直接ERP輸出金融プログ
ラムに申込むことができる。
KfW IPEX銀行の主要顧客は、基礎産業部門および製造業部門のほか、小売、健康、通信、エネルギー/再生可能
エネルギー、水、船舶輸送、航空、鉄道、運輸および社会インフラ整備の各部門において、国際的に事業展開して
いるドイツおよび欧州の企業(およびそれらの顧客)や大きめの中規模企業である。
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従来は、KfW IPEX銀行による貸出金のほとんどは、ドイツまたは欧州の輸出の買手に対する輸出金融およびプロ
ジェクト・ファイナンスに使用されていた。近年、KfW IPEX銀行は、ドイツ企業による直接投資への融資やその他
のドイツ企業の国際化に関連した企業目的のための貸出を強化してきた。また、KfW IPEX銀行は、ドイツおよび欧
州の運輸部門における大規模なインフラ整備プロジェクトおよび交通機関(例として、航空機および船舶)に対し
協調融資を行っている。KfW IPEX銀行は、その中心的事業として、環境および気候保護プロジェクトのための融資
も行っている。最後に、KfW IPEX銀行の貸出は、ドイツおよび欧州の産業向けの原材料の仕入先を確保する目的で
も行われている。
KfW IPEX銀行の貸出は、通常、最終的な借入人に対して直接貸し出され、KfW IPEX銀行はこれらの貸出の大部分
を自己のリスク負担で行っている。KfW IPEX銀行は、通常、コンソーシアムやシンジケートにより他の金融機関と
協調している。KfW IPEX銀行は、時には、KfW IPEX銀行による一部貸出のリスクをリスク・パーティシペーション
により商業銀行に引き受けさせる取決めを行うことがあり、KfW IPEX銀行はこれについてリスクを引き受ける銀行
に手数料を支払う。KfW IPEX銀行は、一定のKfWの助成プログラムに基づき、転貸銀行として行動する資格を有す
る。2018年において、KfW IPEX銀行は、KfWの助成プログラムに基づき、245百万ユーロ(2017年は372百万ユー
ロ)の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスのための貸出コミットメントにつきリファイナンスを行った。
KfW IPEX銀行は、随時、ドイツ以外の銀行と枠組みローン契約も締結しており、これにより当該ドイツ以外の銀
行は、ドイツやその他の欧州諸国の輸出業者から機器を輸入することを目的として顧客に貸出を行うことができる
ようになる。貸出毎の金額は通常少額なので、関連取引費用は割高となる。枠組み契約は、このような取引の費用
を削減する一助となる。
KfW IPEX銀行が行った貸出には、通常、担保が差し入れられ、しばしば支払保証またはその他の担保契約により
保証される。直接投資のための資金調達に応じて行われる貸出については、投資先の国のリスクが重大であると判
断された場合には、連邦共和国が政治リスクに対する投資保証を行うことがある。
KfW IPEX銀行が行う輸出金融ローンの一部は、ドイツ公認の輸出信用保険会社であるHERMESを通じて連邦共和国
によって保証されている。HERMESの保険は、カバーされるリスクがドイツ政府のリスクと同等となるように、KfW
IPEX銀行の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業のリスクの最大で95%(最大100%の場合もある。)
をカバーする。またHERMESは、輸出金融ローンの対象となる総出荷額のうち一定の割合を超えないという条件で、
他国(主に欧州諸国)からの関連出荷物への付保も行っている。さらに、KfW IPEX銀行の融資はしばしば、外国の
輸出信用機関または購入者の国の政府機関による保証の対象となる。
カントリー・リスクが高くないと考えられている他の欧州諸国およびOECD諸国の借入人については、KfW IPEX銀
行は、HERMESまたはこれと同様の保険による保証を求めることなく、通常の銀行担保(例えば、航空機または船舶
のモーゲージ)による貸出を強化している。さらに、HERMESによる保証が求められる場合であっても、KfW IPEX銀
行はしばしば、付保される部分が95%に満たない貸出も行っている。2018年12月31日現在、KfWの輸出金融および
プロジェクト・ファイナンス事業部門におけるドイツ国外のローンおよび保証金残高(助成活動を含む。)は436
億ユーロであり、そのうち90億ユーロ(22%)がHERMESによって(全部または一部)保証された輸出金融ローンで
あった。
コミットメント額
2018年における輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門のコミットメント総額は、177億ユーロ
(連邦予算により支援される銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコミットメントを含む。)に増加
した(2017年は138億ユーロ)。
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下表は、記載された各年におけるKfWの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門のコミットメント
額を示すものである。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスのコミットメント額
2018年12月31日 2017年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位: (単位:
総額に対する 総額に対する
割合(%) 割合(%) (%)
百万ユーロ) 百万ユーロ)
商業事業 12,963 73 8,275 60 57
4,767 27 5,476 40
助成事業(KfWの代理として運営) -13
17,730 100 13,751 100
コミットメント総額 (1)
29
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行
われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。
2018年の新規コミットメント額は、2017年が138億ユーロであったのに対して、177億ユーロであった。この増加
は、2018年を通して、競争が激しく、非常に低金利かつ流動性の高い市場環境において、輸出金融およびプロジェ
クト・ファイナンスに対する需要があったことによるものであり、KfW IPEX銀行にとっては、かかる市場環境にお
いてリスクリターン率のバランスをとることが鍵である。
部門別コミットメント額 下表は、記載された各年における部門別のKfW IPEX銀行のコミットメント額を示すも
のである。
2018年12月31日 2017年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
エネルギー、再生可能エネルギーおよび水 3,381 2,629 29
金融機関、貿易および商品金融 2,815 1,473 91
基礎産業 2,509 2,014 25
海運業 2,268 1,623 40
工業およびサービス 2,184 2,057 6
航空、交通および運輸 (1)
2,150 1,273 69
インフラ整備 (1)
1,709 998 71
銀行のリファイナンスに係るCIRRスキーム(船舶およ
714 1,685
-58
びERPに係る融資) (2)
17,730 13,751
コミットメント総額 29
(1) 2018 年、「航空および鉄道」部門は「航空、交通および運輸」に、「運輸および社会インフラ整備」部門は「インフラ整備」に、名称が変更され
た。
(2) 2017 年以降、銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームは、新たな「ERP輸出金融プログラム」(ERP-CIRR)におけるコミットメント額(2018年は3
億ユーロ、2017年は0.3億ユーロ)を含む。
2018年を通して、引き続き輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスに対する強い需要があり、これにより、
2018年のコミットメント額(銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコミットメント額を除く。)は
170億ユーロとなった(2017年は121億ユーロ)。最も高額なコミットメント額は、エネルギー、再生可能エネル
ギーおよび水部門の34億ユーロ(2017年は26億ユーロ)であり、次に、金融機関、貿易および商品金融部門のコ
ミットメント額が28億ユーロ(2017年は15億ユーロ)であった。基礎産業部門のコミットメント額は5億ユーロ増
加し、25億ユーロとなった(2017年は20億ユーロ)。
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2018年の銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコミットメント額は、7億ユーロへと減少した
(2017年は17億ユーロ)。かかる減少は、潜在的借入人による需要の減少に起因している。
地域別コミットメント額 2018年のKfW IPEX銀行のコミットメントは、ドイツ、欧州(ドイツを除き、ロシアお
よびトルコを含む。)およびその他地域の3つの地域について報告されている。2018年において、KfW IPEX銀行の
ドイツ国内におけるプロジェクト・ファイナンスおよび輸出金融(銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームを除
く。)のコミットメント額は安定しており、29億ユーロであった(2017年は28億ユーロ)。2018年において、欧州
(ドイツを除き、ロシアおよびトルコを含む。)におけるコミットメント額は、72億ユーロへと増加した(2017年
は45億ユーロ)。2018年のその他地域におけるKfW IPEX銀行のコミットメント額もまた、2017年の48億ユーロと比
較して増加し、69億ユーロとなった。CIRRスキームにおけるコミットメント額(2018年は7億ユーロ、2017年は17
億ユーロ)は地域横断的であった。
商品別コミットメント額 下表は、記載された各年における商品別のKfW IPEX銀行のコミットメント額を示すも
のである。
2018年12月31日 2017年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
法人取引(対ドイツまたは欧州の輸出会社) 12,607 9,252 36
ローン(タームローンおよび一括返済ローン) 8,080 5,848 38
貿易金融
1,690 1,078 57
現金引出のためのリボルビング信用枠 2,078 1,383 50
保証
703 685 3
リース金融 57 145 -61
債券 0 113 -100
プロジェクト・ファイナンス (1)
3,786 2,550 48
資産ファイナンス (1)
218 67 226
アクイジション・ファイナンス (1)
310 168 84
ファンド向け融資 45 0 100
商品貿易ファイナンス 51 30 71
銀行のリファイナンスに係るCIRRスキーム(船舶およ
714 1,685
-58
びERPに係る融資)
17,730 13,751
コミットメント総額 29
(1) 「プロジェクト・ファイナンス」、「資産ファイナンス」および「アクイジション・ファイナンス」の商品カテゴリーには、「法人取引」内のサブ
カテゴリーのいずれにも属さないローン、保証、リース金融またはリボルビング信用枠も含まれている。
資金調達
KfW IPEX銀行によるコミットメントの資金は、主に、KfWが行う資本市場での借入れで手当されている。KfWは
KfW IPEX銀行の国際プロジェクト・ファイナンス事業および輸出金融事業に対して、KfW IPEX銀行が国際格付機関
から付与された格付に基づいて市場金利で資金を提供している。KfWの助成活動の範囲内であると欧州委員会がみ
なした輸出金融分野については、金利を助成するためにERP特別基金からの資金を利用することもできる。2018
年、207百万ユーロの貸出金の支払が、ERP特別基金から提供された(2017年は184百万ユーロ)。
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資本市場で供給される輸出金融ローンおよびプロジェクト・ファイナンス・ローンの条件は、KfWの資金コスト
にローンの管理費、信用リスクおよび資本収益率をカバーするマージンを加算して決定される。連邦共和国はOECD
加盟国であるため、ERP特別基金の資金で賄われる貸出または船舶産業向けCIRRスキームに基づく貸出は、最低金
利および最長信用期間を定めるOECD規則を遵守しなければならない。このような貸出金のマージンは、一般には、
当該貸出のすべてのリスクならびに管理費用および資本収益率をカバーすることが想定されている。さらに、KfW
IPEX銀行は、融資の確保および提供ならびに事務処理に係る慣行上の銀行手数料も請求している。ユーロ以外の通
貨建の貸出は、同等の融資やその他の仕組みによってヘッジされている。
発展途上国および新興経済国支援
KfWは、その発展途上国および新興経済国支援事業部門において、連邦共和国を代理して、KfW開発銀行(主に公
共部門の開発協力活動を支援)またはDEG(発展途上国の民間部門に対する投資を促進)を通じて、発展途上国お
よび新興経済国への金融支援を行っている。
下表は、記載された各年におけるKfWの発展途上国および新興経済国支援事業部門へのコミットメント額を示す
ものである。
発展途上国および新興経済国支援のコミットメント額
2018年12月31日 2017年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
KfW開発銀行 8,692 8,197 6
1,866 1,551
DEG(ドイツ投資開発会社) 20
10,558 9,748
コミットメント総額 8
KfW開発銀行
KfWは、KfW開発銀行のブランド・ネームの下で、主に外国の公共部門の借入人や受取人に対して貸出および供与
を行う連邦共和国の国際開発銀行としての役割を果たしている。2018年においてこのような貸出および供与の約
34%は、KfWに提供された連邦予算資金からリファイナンスされた。すべてのKfWの国際開発活動は、連邦政府の指
示に従って行われている。ただし、マンデート(すなわち、政府機関または超国家的な組織が資金を提供し、KfW
の専門知識と分配経路を利用して分配する供与(以下「マンデート」という。))の場合は、当該資金提供者の指
示に従っている。マンデートならびに貸出コミットメントに含まれる連邦政府からの資金および供与金はすべて、
その性質上、KfWの連結財政状態計算書には反映されない。
KfWは以下の3つの方法で金融支援ローン( Finanzielle Zusammenarbeit - FZ )の貸出を行っている。
・ 連邦共和国のために行う従来型の金融支援ローン( FZ-Standardkredite )
・ 金融支援開発ローン( FZ-Entwicklungskredite ) :当該ローンでは、KfWが独自の資金を追加の資金源とし
て提供している。これらのローンについては、低利の連邦予算資金または供与資金を、KfWが資本市場でリ
ファイナンスした資金と組み合わせて融資される。2018年12月31日現在、KfWの資金によってリファイナン
スされたコミットメント額残高のうち、約91%については、連邦共和国の特別保証枠または輸出信用機関
により保証されていた。金融支援開発ローンの金利その他の条件は、市場条件に比べ、借入人にとって著
しく有利なものとなっているため、公的開発支援(以下「ODA」という。)としての認定要件を満たすもの
である。
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・ 金融支援促進ローン( FZ-F örderkredite ) :当該ローンは、KfWが資本市場で調達した資金のみで賄われて
いる。当該ローンは、借入人に提示される条件が市場条件よりも有利なものであるため、ODAとしての認定
要件を満たす可能性もある。2018年12月31日現在、金融支援促進ローンの債務残高の約80%は連邦共和国
の特別保証枠により保証されている。
通常、金融支援の申請は、関心を有する外国政府から連邦政府に提出される。これを受けた連邦政府は、提案さ
れたプロジェクト案の評価をKfWに委託する。金融支援促進ローンの場合は、プロジェクトの出資者がKfWに直接プ
ロジェクト案を提出することができる。KfWは、プロジェクトの評価および開発を補佐するエコノミスト、技師、
その他の専門家スタッフを維持している。KfWは、連邦予算より融資されている範囲において、連邦政府のために
実行された貸出金および供与金ならびに金融支援開発ローンにつき、貸出金残高および供与残高の一定率で計算し
た手数料を連邦共和国から受け取っている。連邦共和国は、KfWの評価報告および勧告に基づいて、特定のプロ
ジェクトに融資するかを決定する。連邦共和国が支援を決定し、融資の条件が決定された場合、KfWは、被援助国
または(該当する場合は)個々のプロジェクト担当機関(この場合は、通常、各被援助国が貸出契約または供与契
約に基づく義務を全面的に保証する。)と、貸出契約または供与契約を締結する。
金融支援の貸出金および供与金は、各プロジェクトの進行の度合に従って支払われる。KfWは、貸出契約または
供与契約の条項が遵守されていることを検証するために、資金の利用状況を監視する。
下表は、記載された各年におけるKfW開発銀行のコミットメント額を示すものである。
KfW 開発銀行のコミットメント額
2018年12月31日 2017年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
貸出コミットメント額 (1)
5,587 4,975 12
このうち連邦資金 315 113 179
このうち資本市場でリファイナンスされたKfWの
5,272 4,862 8
資金
供与コミットメント額 2,627 2,756 -5
478 466
マンデート 2
8,692 8,197
コミットメント総額 6
(1) 株式投資(2018年は25百万ユーロ、2017年は119百万ユーロ)を含む。
2018年のKfW開発銀行のコミットメント総額は、特に多部門のプロジェクト、エネルギー・プロジェクトおよび
社会インフラ整備プロジェクトのための貸出コミットメントの増加により6%増加し、8,692百万ユーロ(2017年は
8,197百万ユーロ)となった。資本市場でリファイナンスされた貸出コミットメント額の相対的な割合は、2018年
に94%(2017年は98%)へと減少した。
2018年のKfW開発銀行のコミットメント額のうち、アジア向けは30%(2017年は29%)、サハラ以南のアフリカ
向けは20%(2017年は21%)、中東・北アフリカ向けは27%(2017年は17%)、欧州・コーカサス地方向けは10%
(2017年は14%)、中南米向けは12%(2017年は15%)、地域横断的なコミットメント額は1%未満(2017年は
4%)を占めた。
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下表は、記載された各年におけるKfW開発銀行の部門別コミットメント額とそのコミットメント総額に対する割
合を示すものである。
2018年12月31日 2017年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位: 総額に対する (単位: 総額に対する
百万ユーロ) 割合(%) 百万ユーロ) 割合(%) (%)
経済インフラ整備 2,845 33 2,437 30 17
社会インフラ整備 3,387 39 2,938 36 15
金融部門 597 7 928 11 -36
生産部門 354 ▶ 381 5 -7
1,509 17 1,513 18
その他 (1)
0
8,692 100 8,197 100
コミットメント総額 6
(1) 主に環境プロジェクト、多部門のプロジェクトおよび危機的状況における緊急支援のためのコミットメント額から成る。
DEG(ドイツ投資開発会社)
ドイツの有限責任会社であるDEGは、1962年に設立された法的に独立した事業体である。DEGはドイツのケルンを
本拠地としている。2001年にKfWが連邦共和国からDEGを買収した。それ以降、KfWはDEGの単独の株主であり、DEG
は、KfWの連結財務書類に完全に連結されている。2018年12月31日現在、DEGは発展途上国または新興経済国に13箇
所の代理店を構えていた。DEGは、2018年に平均611人雇用した(2017年は569人)。2018年末におけるDEGのIFRSに
基づく総資産額(連結前)は、63億ユーロ(2017年は57億ユーロ)であった。
DEGの活動は、アフリカ、アジア、中南米、中欧および東欧に投資する企業、プロジェクト・ファイナンス、金
融機関およびファンドに重点を置いている。DEGは、民間企業体制を支援することにより、持続可能な経済成長、
地域住民の生活環境の持続的な改善およびグローバルな持続可能開発目標に貢献している。DEGは、この目的のた
めに、発展途上国に投資する民間企業に対し、長期融資を提供している。DEGはさらに、環境管理、コーポレー
ト・ガバナンス、資源効率、訓練および技術等の分野において、ニーズに合わせたコンサルタント・サービスを提
供している。
DEGは、補完性原理に従って活動を行っており、商業銀行と競業するというよりはむしろ協力している。DEGは、
助成資金は提供せず、純粋に商業上の条件にのみ従って資金を提供する。DEGはまた、DEGの顧客の投資のための追
加資金を集めるために、他の共同出資者も募っている。
DEGは、連邦政府の公共政策目標を遂行することにより、DEGの活動の一部にしか法人所得税が課税されないとい
う税法上の優遇が認められている。DEGは利益を配分せず、かかる利益を新規投資に再充当している。
DEGの債務は、連邦共和国の保証者責任および組織維持責任の恩恵を受けない。また、DEGの債務残高はKfWの連
結財政状態計算書に反映されているが、それはDEGの債務であって、KfWのものではない。KfWとDEGはリファイナン
ス契約を締結し、同契約に従って、KfWが資本市場において単独の発行者となり、DEGの資金需要に応じてDEGに対
し中長期の資本市場資金を提供している。さらに、それぞれの事業活動分野、海外事務所の相互利用、共同の広報
活動および一部の情報技術サービスの共同利用に関して内部合意に達している。
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下表は、記載された各年におけるDEGのコミットメント額を示すものである。
DEG のコミットメント額
2018年12月31日 2017年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
貸出金 1,109 988 12
資本参加 531 475 12
226 88
メザニン融資 157
1,866 1,551
コミットメント総額 20
金融市場
KfWの金融市場事業部門は、融資活動および金融資産管理を含む、当グループの財務活動により構成されてい
る。さらに、この事業部門は、KfWの助成活動の一環である資産担保証券(以下「ABS」という。)および資産担保
コマーシャル・ペーパー(以下「ABCP」という。)ポートフォリオならびにKfWのグリーンボンドポートフォリオ
を管理し、さらに現在ドイツテレコムおよびドイツポストに係る民営化政策で構成されている、その他の資本市場
関連の活動をも管理している。
資金調達
KfWの主要な資金源は、国際的な金融市場および公的資金であり、その事業部門における貸出の大部分はKfWが国
際的な金融市場で調達した資金から提供されている。2018年末現在のKfWグループの連結貸借対照表の資産合計
は、4,858億ユーロであった。このうちの90.4%にあたる4,391億ユーロは、借入金(すなわち、金融市場調達資金
や公的資金)により提供された。さらに2018年末においてKfWは、168億ユーロの債務(すなわち、連邦政府が資金
を提供し、すべてのリスクを負う債務)を信託において保有しており、当該債務は、KfWの連結財政状態計算書に
は記載されない。助成事業により生じるローン・ポートフォリオにおける中期的および長期的ローンへ焦点を置く
方針に従って、2018年末におけるKfWの連結借入金残高合計の73%は、1年以上の残存期間を有していた。
金融市場調達資金 KfWは、国際的な金融市場における債券および手形(コマーシャル・ペーパーを含む。)の
発行ならびに債務証書借入( Schuldscheindarlehen または「手形貸付」)によって短期的および長期的な資金を
調達している。当初満期が1年超の長期的な資金調達(以下「資本市場での資金調達」という。)は、最も重要な
資金源となっている。コマーシャル・ペーパーの形をとる当初満期が1年未満の短期的な借入れ(以下「短期金融
市場での資金調達」という。)は、主にKfWの流動性管理を目的として使用される。2018年末における資本市場で
の資金調達残高が金融市場調達資金残高の総額に占める割合は、90%であった。
KfWの資本市場および金融市場での資金調達取引または資金調達額に関連して記載される金額は、すべて、別途
記載のない限りKfWに対する手取金ベースであり、かかる手取金は元本金額から割引額および引受手数料(もしあ
れば)を差し引いて計算される。
資本市場での資金調達 KfWの資本市場での資金調達方針は、二元的な目的を追求するものである。すなわち、
資本市場で調達する資金については可能な限り有利な条件を設定すること、そして、主として金利および為替ヘッ
ジ商品によって、またこれより規模は限定されているが、資金調達債務と貸出資産を一致させることにより、実務
的に可能な限度で利率および外国為替の変動の影響を最小限に抑えることである。調達する資金について望ましい
条件を獲得するため、KfWは、すべての主要な資本市場で活発な存在感を維持し、あらゆる長さの償還期間を有す
る、様々な通貨建の幅広い資本調達手段を活用している。
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KfW の資本市場での資金調達は、(ⅰ)「ベンチマーク」債券プログラム(米国証券取引委員会(SEC)に登録さ
れるグローバル債として発行するか、またはKfWの欧州ミディアム・ターム・ノート・プログラムに基づき発行す
る、ユーロ建および米ドル建債券)、(ⅱ)ベンチマーク・プログラム以外の「公募債」および(ⅲ)「私募」
(KfWが特定の投資家または限定された数の投資家に対する販売を指して商用的に使用する用語)で構成される。
KfWは、これらの債券の一部について、手取金を、再生可能エネルギー分野への投資等の、KfWが資金提供し、環境
的利益をもたらすことが明白な投資に結びつけている。KfWはかかる債券を「グリーンボンド」と呼んでいる。
2018 年において、ベンチマーク債の資金調達額は554億ユーロ(KfWの資本市場での資金調達総額の73%)であっ
た。ベンチマーク・プログラム以外の公募債および私募は、それぞれ186億ユーロ(24%)および21億ユーロ
(3%)であった。2018年の資本市場での資金調達総額は761億ユーロ(2017年は782億ユーロ)であった。KfWは、
2019年の資本市場における長期資金調達額は約800億ユーロになると予測している。
2018年、KfWは、ユーロ建ベンチマーク・プログラムに基づき、元本総額375億ユーロにのぼる、7件の新規債券
の発行、2015年発行の2つの債券のリオープン方式3件、2016年発行の債券のリオープン方式2件および2017年発行
の債券のリオープン方式1件(2018年における取引は合計13件)を実施した。KfWはまた、2018年に、米ドル建ベン
チマーク・プログラムに基づき、元本総額215億米ドルの、5件の新規債券の発行および2013年発行の債券のリオー
プン方式1件を実施した。ベンチマーク債券の発行に加えて、KfWは、2018年に米ドル建の1件の新たなシリーズの
グローバル・ノートを発行した。
2018年におけるKfWのベンチマーク債券の発行
元本総額 当初償還期間 利率
(単位:10億) (年) (年率%)
KfW米ドル-ベンチマーク I/2018年
USD 5.0
5 2.375
KfW米ドル-ベンチマーク II/2018年 USD 3.0
10 2.875
KfW米ドル-ベンチマーク III/2018年 USD 4.0
3 2.625
KfW米ドル-ベンチマーク IV/2018年 USD 4.0
2 2.750
KfW米ドル-ベンチマーク V/2018年 USD 4.0
3 3.125
KfW米ドル-ベンチマーク V/2013年(リオープン方式) USD 1.5
2 2.750
KfWユーロ-ベンチマーク I/2018年 EUR 5.0
10 0.625
KfWユーロ-ベンチマーク II/2018年 EUR 4.0
5 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク III/2018年 EUR 5.0
7 0.375
KfWユーロ-ベンチマーク IV/2018年 EUR 5.0
5 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク V/2018年 EUR 4.0
7 0.250
KfWユーロ-ベンチマーク VI/2018年 EUR 4.0
10 0.750
KfWユーロ-ベンチマーク VII/2018年 EUR 5.0
5 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク I/2016年(リオープン方式) EUR 1.0
5 0.375
KfWユーロ-ベンチマーク VI/2017年(リオープン方式) EUR 1.0
▶ 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク III/2015年(リオープン方式) EUR 1.0
2 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク I/2016年(リオープン方式) EUR 1.0
5 0.375
KfWユーロ-ベンチマーク II/2015年(リオープン方式) EUR 1.0
▶ 0.625
KfWユーロ-ベンチマーク II/2015年(リオープン方式) EUR 0.5
▶ 0.625
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2018 年におけるKfWの新規の資本市場での資金調達総額は、12の異なる通貨および144の個別の資本市場取引で調
達された。KfWの主要な通貨はユーロおよび米ドルであり、2018年におけるKfWの新規の資本市場での資金調達総額
の88%(2017年も88%)を占めた。ユーロでの新規資金調達の割合は2017年の53%から2018年の61%へと増加し、
最も多額な通貨となった一方、米ドルでの新規資金調達の割合は、同期間において34%から27%に減少した。英ポ
ンドでの新規資金調達の割合は7%から6%に減少し、2018年のKfWの資金調達において3番目に多額の通貨となっ
た。豪ドルでの資金調達の割合は3%から1%に減少し、日本円での資金調達の割合は変わらず2%(2017年も2%)
であった。
2018 年におけるKfWの資本市場での新規資金調達の通貨別総額
総額に対する割合
単位:10億ユーロ
(%)
ユーロ(EUR) 46.2 61
米ドル(USD) 20.5 27
英ポンド(GBP) 5.0 6
日本円(JPY) 1.4 2
豪ドル(AUD) 0.9 1
ノルウェークローネ(NOK) 0.5 1
その他の通貨(例:スウェーデンクローナ(SEK)、ニュー
1.6 2
ジーランドドル(NZD)、香港ドル(HKD))
76.1 100
合計
KfW は、資金調達プログラムの一環として、KfWが「グリーンボンド」と呼ぶ一定の債券の手取金を、再生可能エ
ネルギー分野への投資等の、KfWが資金提供し、環境的利益をもたらすことが明白な投資に結びつけている。KfW
は、グリーンボンドの発行を通して、社会的責任のある投資家に呼びかけを行うことにより投資家基盤を拡大する
こと、および温室効果ガス排出の削減を共通の目的とする環境プロジェクトへの融資を行う資本市場のインフラを
向上させることを目指している。KfWのグリーンボンドの販売による手取金および適格な環境プロジェクトにおけ
る支出の要請は、KfWにより適切な方法で監視される。KfWは投資家に対し、手取金の使途のうち支出についての情
報を、自身のウェブサイトにおいて定期的に提供している。別段の記載がない限り、KfWのウェブサイト上で入手
可能な情報または当該ウェブサイトを通してアクセス可能な情報を本書に引用して組み込むことはない。
2018 年におけるKfWのグリーンボンド発行額
元本総額 当初償還期間 利率
(単位:10億) (年) (年率%)
KfWスウェーデンクローナ(SEK)グリーン
SEK 1.00
5 0.460
ボンド (1)
KfWスウェーデンクローナ(SEK)グリーン
SEK 5.00
10 1.375
ボンド (1)
KfWユーロ(EUR)グリーンボンド (1) EUR 1.00
8 0.500
(1) 欧州ミディアム・ターム・ノート・プログラムに基づく。
KfWにとって資本市場での資金調達における最も重要な資金源は債券および手形の発行であり、次に重要なもの
は手形貸付である。KfWが発行した債券および手形の2018年末における未償還残高は、合計3,768億ユーロであり、
2017年末の未償還残高である3,661億ユーロより107億ユーロ増加した。
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借入金残高のうち、手形貸付は、引き続きKfWにとって2番目に重要な資本市場での資金調達方法であり、2018年
末現在の残高は64億ユーロであった。このうち19億ユーロは、KfWの連結財政状態計算書の銀行に対する債務に、
45億ユーロは、顧客に対する債務に含まれている。手形貸付は、ドイツ資本市場の特殊な調達手段である。手形貸
付において貸出機関(一般的には、銀行、保険会社または公的年金基金である。)は、借入人に対する貸出および
かかる貸出条件を証する証書を受け取る。手形貸付の満期は1年から30年に及び、借入人と貸主双方にとって非常
に柔軟性のあるものとなっている。債務証書借入は、譲渡でしか移転することができないので、銀行間の流通市場
内において限定的な流動性しか持たない。2018年1月、KfWは私募により、満期を10年とする、2.0百万ユーロの初
のグリーン手形貸付を発行した。
下表は、KfWの債券および手形の未償還残高ならびに資本市場において発行され当初満期日が1年を超える手形貸
付に関する要約情報を示したものである。
KfWグループの調達負債の発行に関する情報(2018年12月31日現在)
満期到来
年間平均
利率 までの
ユーロ建での
(%)
金利の 適用通貨での
平均年数
(1) (2)
通貨 取引数 種類 発行年度 満期 元本残高総額 元本残高総額 (3)
(2)
AUD 17 固定 4.51 2009-2018 2019-2028 2.74 23,041,009,999.86 14,205,308,261.32
AUD 1 変動 2.26 2014 2019 0.12 200,000,000.00 123,304,562.27
BRL 7 固定 10.17 2010-2016 2019-2021 0.76 605,070,000.02 136,154,365.44
CAD 6 固定 2.78 2005-2015 2019-2037 3.47 3,977,200,000.00 2,548,670,297.98
CHF 5 固定 2.44 2005-2010 2019-2037 6.76 1,785,000,000.02 1,583,991,481.07
CNY 6 固定 3.89 2016-2018 2019-2020 0.84 1,417,999,999.98 180,061,205.57
DEM 1 固定 7.00 1993 2023 4.25 105,985,000.00 54,189,270.03
EUR 290 固定 1.13 1999-2018 2019-2048 4.97 196,923,901,758.30 196,923,901,758.30
EUR 48 変動 0.52 1999-2018 2019-2052 2.67 5,542,688,534.02 5,542,688,534.02
GBP 22 固定 2.51 2000-2018 2019-2037 4.20 21,626,702,999.96 24,176,610,063.34
GBP 1 変動 0.70 1999 2019 0.46 38,000,000.00 42,480,408.71
HKD 7 固定 1.28 2016-2018 2019-2020 0.90 5,249,999,999.89 585,447,449.11
JPY 30 固定 2.15 1999-2018 2019-2038 6.09 325,359,999,998.72 2,585,299,960.26
JPY 269 変動 1.57 1999-2018 2019-2048 13.71 190,198,999,963.72 1,511,315,057.32
MXN 5 固定 6.70 2016-2018 2019-2023 2.21 5,499,999,999.54 244,530,301.73
NOK 19 固定 3.15 2002-2018 2019-2036 3.62 20,650,000,000.09 2,075,731,532.03
NOK 2 変動 2.36 2016 2019 0.52 4,250,000,000.12 427,208,668.83
NZD 6 固定 3.67 2014-2018 2019-2028 2.00 2,590,000,000.01 1,518,527,204.51
PLN 1 固定 4.50 2006 2025 6.11 84,794,071.66 19,713,133.32
SEK 13 固定 2.89 2006-2018 2019-2031 4.34 25,899,999,999.54 2,525,646,526.46
SEK 1 変動 0.10 2010 2020 1.63 999,999,999.96 97,515,309.90
TRY 5 固定 9.50 2014-2016 2019-2021 1.11 831,670,000.04 137,266,455.41
USD 79 固定 2.25 2002-2018 2019-2047 3.04 136,544,986,581.36 119,253,263,389.83
USD 7 変動 2.37 2007-2018 2019-2023 3.29 289,309,999.39 252,672,488.55
▶ 2.43 151,888,890.23
ZAR 固定 7.59 2014-2018 2019-2023 2,499,999,999.85
852 4.18 376,903,386,575.54
合計
(1) 変動利付債券の金利は、2018年12月31日現在において適用される金利を意味している。利率が後から決定する変動利付債券については、直近の固定
利率が使用されている。ゼロクーポン債券は、平均実効金利の計算に含まれている。
(2) 平均利率は、ユーロ建での元本残高総額を考慮した、資本加重基準で計算されている。
(3) 直物レートでのユーロへの換算は、2018年12月31日のECBの参照レートを採用している。
短期金融市場での資金調達 KfWは、600億ユーロの複数通貨コマーシャル・ペーパー・プログラムおよび100億
米ドルのコマーシャル・ペーパー・プログラムの2つのコマーシャル・ペーパー・プログラムに基づき、コマー
シャル・ペーパーを発行している。2018年12月31日現在、KfWグループのコマーシャル・ペーパーの残高は、総額
417億ユーロであった(2017年12月31日現在は402億ユーロ)。
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複数通貨コマーシャル・ペーパー・プログラムは、KfWの最も重要な短期的な流動性供給源である。2018年12月
12日、KfWはかかるプログラムの規模を600億ユーロから700億ユーロへと100億ユーロ拡大した。
公的資金 2018年末のKfWグループの借入金における公的資金の割合は1%であった。KfWにとって最も重要な公
的資金の資金源は、連邦共和国の予算資金である。連邦予算により供給される長期・短期借入金(信託借入れを除
く。)の総額は、2018年12月31日現在で49億ユーロであった(2017年12月31日現在は35億ユーロ)。ERP特別基金
からのKfWグループの長期・短期借入金は、2018年12月31日現在で691百万ユーロであった(2017年12月31日現在は
633百万ユーロ)。公的資金は、KfWの国内活動ならびに発展途上国との輸出金融およびプロジェクト・ファイナン
ス取引の特定分野で使用するためにKfWグループに対し利用可能となる。
公的資金は、KfW開発銀行が、外国の公共部門の借入人ならびに発展途上国および新興経済国における受取人に
対して、貸付を行い、供与金を支払うにあたり、金融支援の面で特に重要である。連邦予算資金は、2018年におけ
るKfW開発銀行のコミットメント額の資金調達源の約34%を占めている。貸出コミットメントに関連するKfW連邦政
府からの資金およびKfW開発銀行の供与金は、その性質上、KfWの連結財政状態計算書には反映されない。詳細につ
いては、上記「発展途上国および新興経済国支援―KfW開発銀行」を参照のこと。
デリバティブ
KfW は、通常、その融資および資金調達活動に関連してヘッジを目的とするデリバティブ取引を行う。したがっ
て、そのデリバティブの大部分は、金利関連デリバティブおよび通貨関連デリバティブである。KfWグループは、
売買を目的としたデリバティブ取引を行わず、また、ブローカー業務またはこれに類似する代理業務を通じて当グ
ループ以外の事業体のためにデリバティブの購入を促進しない。
下表は、KfWグループのデリバティブ・エクスポージャーに関する詳細な情報を示したものである。
KfWグループのデリバティブ・エクスポージャー
想定元本 公正価値 公正価値
2018 年 2017 年
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 454,253 423,508 6,593 5,913 8,149 7,263
通貨関連デリバティブ (1)
196,941 201,670 7,993 6,494 5,978 10,108
プロテクションの買手としてのクレジット・
10 9 0 0 0 0
デリバティブ
0 0 0 0 0 0
その他
デリバティブ合計 (2) (3)
651,203 625,187 14,586 12,407 14,127 17,371
— — 200 13 92 18
別個に会計処理される組込デリバティブ
貸借対照表における「ヘッジ会計に指定され
651,203 625,187 14,786 12,420 14,219 17,389
たデリバティブ」と「その他のデリバティ
ブ」の科目の合計
(1) クロスカレンシー・スワップを含む。
(2) KfW の完全子会社であるKfW IPEX銀行がその輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス活動において融資に関連するヘッジ商品として顧客に提供
する金融派生商品を含む。KfW IPEX銀行は、かかるデリバティブ取引に起因するリスクをヘッジするために、KfWとの間でヘッジ取引を行ってい
る。一方、KfWは、グループ内における市場に直面しているヘッジ活動を親会社レベルに集中させ統合する中で、必要な限度において、市場におい
て、対応する反対取引によりヘッジを行っている。リスクを軽減するためにKfWが行うかかるヘッジ取引も開示されている。
(3) KfW 法第2条第(4)項に従って連邦政府が特別マンデートに基づき締結する、限定的リスク・ポジションにおけるデリバティブ契約を含む。
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2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ネッティング前の正の公正価値の合計 14,586 14,127
ネッティング後の正の公正価値の合計 (1)
5,694 3,996
受領担保 4,979 3,139
4,979 3,139
そのうち現金担保
715 857
ネッティングおよび担保差引後の正の公正価値の合計
(1) IFRS に基づく相殺基準を満たさないネッティング契約の効果を示す。国際会計基準(以下「IAS」という。)第32号に定める金融商品の相殺に関す
る厳格な基準のため、KfWグループの連結財政状態計算書には、デリバティブに関するネッティング効果は反映されていない。
KfW グループのデリバティブ活動は、連結財政状態計算書において、勘定科目の「ヘッジ会計に指定されたデリ
バティブ」および「その他のデリバティブ」に反映されている。KfWグループのデリバティブ・エクスポージャー
に関する追加情報については、 「(5) 経理の状況 5) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記8、注記48、注
記49、注記60、注記61および注記72 を参照のこと。デリバティブに関連する金利リスクおよび通貨リスクの詳細に
ついては「(5) 経理の状況 3) リスクの報告 リスクの種類 市場価格リスク」を、取引先の債務不履行リスク
の詳細については「(5) 経理の状況 3) リスクの報告 リスクの種類 取引先の債務不履行リスク」を参照のこ
と。
資産管理
KfW グループが保有する金融資産は、2018年12月31日現在は357億ユーロ(2017年12月31日現在は336億ユーロ)
であった。金融資産の詳細については、「(5) 経理の状況 2) 経済報告 純資産の推移」を参照のこと。全金融
資産のうち275億ユーロ(77%)は、流動目的のために確定利付証券の形で保有されていた。残りの金融資産は、
貸出金の代用としての有価証券、KfWグループの助成事業(例えば、KfWのABSおよびABCPポートフォリオまたはDEG
による直接投資)に関連して株式投資として保有する有価証券であった。最終的に、KfWが直接的または間接的に
保有した株式投資は、KfWグループの金融資産のうちかなり限定された金額しか占めていなかった。
流動性ポートフォリオ KfWは、慎重な流動性管理戦略を進めている。このため、KfWは流動性ポートフォリオに
金融資産を保有している。このポートフォリオに保有されている有価証券の大部分はユーロ建である。KfWは、銀
行が発行する中期有価証券(主にカバードボンド( Pfandbriefe ) )、公共部門の発行体および国際機関等による
債券ならびにABSを購入する。KfWの流動性ポートフォリオに含まれるユーロ建債券の大部分は、ECBにおいて担保
として適格であり、これにより、KfWは、ドイツ中央銀行を経由する欧州中央銀行制度(European System of
Central Banks)(以下「ESCB」という。)内のリファイナンス・オペレーションにおいて買戻し条件付契約を締
結することができる。2018年末、KfWは、流動性ポートフォリオに総額275億ユーロの有価証券を保有していた
(2017年末は258億ユーロ)。財務報告上、米ドル建または英ポンド建の有価証券は、2018年12月31日現在の為替
レートでユーロに換算された。これらの有価証券に加えて、KfWは、2018年12月31日現在、流動性管理目的で158億
ユーロの短期金融市場資産(オーバーナイト・ローン、タームローンおよびリバース・レポ取引)を保有していた
(2017年12月31日現在は165億ユーロ)。
ABS およびABCPポートフォリオ 中小企業が持続可能かつ安定的なリファイナンスから利益を得られるように、
KfWは自身の助成活動の一環として、2018年に、証券化された資産(例えば、中小企業リースおよびローンのポー
トフォリオ)およびABCPに投資することで、中小企業に対する融資として1,107百万ユーロを提供した(2017年は
1,195百万ユーロ)。2018年12月31日現在、ABSおよびABCPポートフォリオ額は、全体で27億ユーロであった( 2017
年12月31日現在 は25億ユーロ)。
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グリーンボンドポートフォリオ KfW は、自身のグリーンボンドポートフォリオにおいて、公共部門の発行体、
超国家的機関、銀行および企業のグリーンボンド、さらにはカバードボンドやABSに投資を行っている。2018年、
KfWは、自身の助成活動の一環として、気候および環境保護の施策に融資を行うため、グリーンボンドへの投資を
通じて365百万ユーロ(2017年は346百万ユーロ)を提供した。かかるポートフォリオは2015年に開始され、今後数
年間の目標額は20億ユーロである。2018年末現在、KfWのグリーンボンドポートフォリオの額は13億ユーロとなっ
た。
民営化政策
KfWは、連邦政府から、ドイツテレコムおよびドイツポストの民営化に関する施策を講じるよう委任されてい
る。KfWは、連邦政府による特別マンデートに基づき、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、1997年以
来様々な取引によりドイツテレコムおよびドイツポストの株式の取得および売却を行った。KfWは、連邦政府の民
営化政策をさらに推進するため、国内外での公募、私募、大口売買および他社株転換債その他の取引等を通じて、
これらの株式を売却してきた。連邦政府との独立当事者間契約に基づき、KfWは、これらの取引の市場リスクから
保護されている。この契約の規定に基づき、KfWは、取得および売却する株式の市場価値が増加した場合のその増
加額の一定割合に加え、そのサービスに対する手数料を受領する。
2018年末時点で、KfWのドイツテレコムにおける持分合計は、2017年末の普通株式約829.2百万株から変化してい
ない。これはドイツテレコムにおける持分の約17.4%(2017年12月31日現在も17.4%)に相当する。KfWの知る限
りでは、連邦共和国の持分は、2018年12月31日現在で約14.5%であった。
2018年末時点で、KfWのドイツポストにおける持分合計は、2017年末の普通株式約253.9百万株から変化していな
い。これはドイツポストにおける持分の約20.5%(2017年12月31日現在は20.7%)に相当する。KfWの知る限りで
は、連邦共和国はドイツポストの株式を直接保有していない。
連邦政府との契約は上記の通りであるため、KfWが保有するドイツポストおよびドイツテレコムの株式は、金融
資産に含まれていないが、顧客に対する貸出金等としてKfWの連結財政状態計算書に計上されている。
連邦政府は、将来KfWに対しドイツテレコムの持分をさらに売却する可能性がある。KfWは、ドイツテレコムおよ
びドイツポストの保有株式が中期的には減少すると予想している。
連邦政府により委任されたギリシャに対する融資制度
KfW は、EU全体によるギリシャに対する金融支援策 の実施において 連邦共和国 を支援 している。2010年に、連邦
政府は、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従って、KfWに連邦共和国を代理してギリシャに対する融資制
度に参加することを委任した。この融資制度に起因するリスクはすべて、連邦共和国の保証によりカバーされてい
る。2018年12月31日現在、ギリシャに対する貸出残高総額は152億ユーロであった(2017年12月31日現在も152億
ユーロ)。
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戦略的な株式保有
KfWの戦略的な株式保有のうち最も重要なのは、いずれもKfWが100%を直接保有するDEGおよびKfWキャピタルな
らびにKfWがKfW持株有限責任会社( KfW Beteiligungsholding GmbH ) を通じて間接的に100%を保有しているKfW
IPEX銀行である。KfWは、融資協議有限責任会社( Finanzierungs- und Beratungsgesellschaft mbH ) の100%の持
分、技術資本参加合資会社(tbg- Technologie-Beteiligungs-Gesellschaft mbH ) の100%の持分、ドイツエネル
ギー機構( Deutsche Energieagentur GmbH ) の26%の持分、ベルリン市エネルギーサービス社( Berliner
Energieagentur GmbH ) の25%の持分およびユーログリッド・インターナショナルCVBA/SCRL(Eurogrid
International CVBA/SCRL)(以下「ユーログリッド」という。)の20%の持分を直接保有している。KfWは、エア
バスSEの株式の9.31%を、様々な会社を通じて間接的に保有している。さらに、KfWはトゥルー・セール・イン
ターナショナル有限責任会社( True Sale International GmbH ) の7.7%の持分および欧州投資基金の2.3%の持分
を直接保有している。
KfWのエアバスSEおよびユーログリッドに対する投資ならびにドイツテレコムおよびドイツポストに対する投資
(上記「金融市場―民営化政策」を参照のこと。)は、連邦共和国が利害関係を有する事項に関連して施策を講じ
るようKfWに指示する権限を連邦政府に与えるKfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、連邦政府の特別マ
ンデートに基づいて行われた。これらの投資においては連邦共和国が経済的リスクを負担し、これらの投資の機会
およびリスクについても連邦共和国が責任を負う。
エアバスSE
2007年に、KfWは、欧州航空宇宙防衛会社(以下「EADS」という。)の7.5%(当時)の持分を、他の14の投資家
とともに、ダイムラー・クライスラー・グループ(現在のダイムラー・グループ)から共同で取得することに同意
しており、EADSの持分のうち、経済的持分は特別目的会社であるデダルス有限合資会社( Dedalus GmbH & Co.
KGaA ) (以下「デダルス」という。)を通して保有していた。2012年12月におけるダイムラー・グループのEADSに
おける持分比率のさらなる減少に関連して、EADSの所有構造を戦略的国益事項とみなしている連邦政府は、EADS、
フランスおよびスペインとの政府株式保有協定の改定に合意し、これにより、連邦政府は、EADSにおける持分を最
高12%まで直接的または間接的に保有することが可能となった。これに関連して、連邦政府は、KfWに対して、連
邦共和国を代理してEADSにおける持分を最高12%まで直接または間接的に取得し保有することを委任した。
2013年4月初めに、フランス、ドイツおよびスペインは、追加的株主間契約を締結した。同契約は、デダルスに
よるコンソーシアムの解散と、KfWをはじめとする投資家が、EADSにおけるそれぞれの持分を、直接およびゲゼル
シャフト・ツール・ベタイリグングスフェアヴァルトゥングGZBV mbH & Co. KG.( Gesellschaft zur
Beteiligungsverwaltung GZBV mbH & Co. KG. ) (以下「GZBV」という。)を通じて間接的に保有することを規定
している。2013年末に、GZBVは、約1.87百万株のEADSの株式を購入し、EADSにおける持分比率を増加させた。2015
年、EADSは法的形態を欧州会社( Societas Europaea ) に変更し、正式名称をエアバス・グループSEに変更した。
2017年4月、年次株主総会での承認を経て、正式名称はエアバスSEに変更された。2018年12月31日現在、KfWはGZBV
を通じて、エアバスSEの約9.31%の持分を保有していた。GZBVの他の投資家の持分も合わせると、GZBVは合計
11.05%のエアバスSEの持分を保有していた。
ユーログリッド
2018年7月、KfWは連邦政府より、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、ユーログリッドの株式の
20%を取得するよう委任された。ユーログリッドは、ドイツの送電システム業者である50ヘルツ・トランスミッ
ション有限責任会社( 50Hertz Transmission GmbH ) (以下「50ヘルツ」という。)の全株式を間接的に保有して
いる。かかる取引は2018年8月22日に完了した。
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3) 日本との関係
KfWは1993年に日本輸出入銀行(J-EXIM)との間に提携契約を締結した。1999年、日本輸出入銀行と海外経済協
力基金(OECF)の統合に伴い、国際協力銀行(JBIC)が設立され、日本輸出入銀行と海外経済協力基金が行ってい
た業務のすべてを引き継いだ。国際協力銀行とKfWは、2002年、日本企業とドイツ企業との間の経済、産業、財政
上の関係を強化する目的で、提携契約を更新した。両者はさらに、発展途上国支援の分野における効果、知名度お
よび効率を高め、また相互利益を促進するために協力することで合意した。
2008年10月のJBICの再編後、2002年の提携契約のうち、開発援助分野については新しい独立行政法人国際協力機
構(JICA)によって、また、国際輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス分野については日本政策金融公庫
(JFC)によって引き継がれることが承認された。
2011年11月、KfWの完全子会社であるKfW IPEX銀行は、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)と提携契約を締
結した。NEXIおよびKfW IPEX銀行は、日本とEU(特にドイツ)の企業間における経済、工業および金融の関係を促
進する目的で連携することに合意した。
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(5) 【経理の状況】
財務書類および監査法人
本書に含まれるKfWの連結財務書類は、EUによって採用されたIFRS、ドイツ商法( Handelsgesetzbuch )第315e条
第(1)項に基づくドイツ商法の追加要件およびKfW法の補足規定に従って作成された。IFRSは、米国で一般に公正妥
当と認められている会計原則および実施されている財務報告慣行(以下「米国GAAP」という。)とはいくつかの重
要な点で異なり、その結果、本書に含まれるKfWの連結財務書類は、米国GAAPに従って作成された財務書類と大幅
に異なる可能性がある。
KfW 法に従い、KfWの年次財務書類は、連邦財務大臣が監事会の提言により連邦会計検査院と協議の上で指名する
公認会計士( Wirtschaftsprüfer )により監査される。2018年12月31日に終了した年度のKfWの社外監査法人は、
Ernst & Young GmbH Wirtschaftsprüfungsgesellschaft(以下「EY」という。)である。
年次監査は、ドイツで一般に公正妥当と認められている監査基準に従って行われる。
2019 年3月5日付のEYによる2018年12月31日に終了した年度の監査報告書は、グループ営業報告書
( Konzernlagebericht )についてのものである。ドイツで一般に公正妥当と認められている監査基準に基づき、当
該グループ営業報告書の監査および当該グループ営業報告書についての監査報告書が求められている。当該監査は
米国で一般に公正妥当と認められている監査基準(以下「米国GAAS」という。)または米国証明基準に従って行わ
れたものではない。したがって、EYは、当該監査、グループ営業報告書または本書に含まれる財務書類について、
米国GAASまたは米国証明基準に従い、意見を述べない。監査報告書は、本書にも転載している。
1) KfW グループの基本情報
概要
KfW グループは、KfWと連結子会社5社から構成されている。連邦共和国の助成銀行として(連邦共和国がKfWの
80%を所有し、ドイツ連邦諸州が20%を所有する。)、KfWは世界有数の助成銀行の1つである。助成任務における
組織上の枠組み(KfWの債務に対する連邦共和国の責任を含む。)は、KfW法に定義されている。
KfW は、世界の経済的、社会的、環境的状況の持続可能な改善を支援しており、特にドイツ経済の振興を図るこ
とを重視している。KfWは、その助成活動において社会的メガトレンドに着目している。様々な異なる金融商品お
よびサービスは、特に中小企業、新規事業、デジタル化および技術革新、気候変動および環境保全、住宅部門、イ
ンフラ整備、教育、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス、ならびに開発協力の各分野に対応している。企
業および個人の両方に対する国内助成貸出事業は、実証済みであり、かつ成功を収めている転貸の戦略で特徴付け
られている。この転貸の戦略とは、KfWが商業銀行に貸出を行い、その商業銀行が最終借入人に対し有利な利率で
貸し付けるというものである。この戦略により、KfWは、独自の支店ネットワークが不要となる。事業活動の資金
は、ほとんど国際資本市場を通して調達している。KfWは、世界的にも最も活発に、大量の債券を発行する機関の1
つである。KfWに加えて、当グループで主要な事業子会社は、(ⅰ)輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス
を提供するKfW IPEX銀行と、(ⅱ)発展途上国および新興経済国における民間部門の助成を活発に行っているDEG
である。KfWの新たな子会社であるKfWキャピタルは、ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよ
びベンチャー・デット・ファンドへの投資を通じて、ドイツにおけるベンチャー・キャピタルおよび初期成長段階
への融資を強化している。
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KfW グループの事業部門の構造に従うと、各部門ならびにその主要な商品およびサービスは、以下の通りであ
る。
- 起業融資
- 企業による投資全般への融資ならびに技術革新、エネルギーおよび環
中小企業銀行および民間顧客 境保全への投資
- 教育への融資
- 住宅の建設、改築および改修への融資
- 地方自治体インフラおよび社会インフラへの融資
- 株主資本および借入資本による企業への個別対応金融
個別対応金融および公的顧客
- 銀行および州立支援財団への個別対応金融
- ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよびベン
KfW キャピタル
チャー・デット・ファンドへの投資(2019年1月1日付でKfWの既存のベ
ンチャー・キャピタル事業をKfWキャピタルへ移転)
- ドイツおよび欧州の輸出事業への融資
輸出金融およびプロジェクト・ファイ
- ドイツおよび欧州が特別の利害関係を有するプロジェクトおよび投資
ナンス
への融資
- 連邦政府を代理して、予算資金およびKfWが市場で調達した補完的な資
発展途上国および新興経済国支援 金により行う発展途上国および新興経済国支援
- DEG (ドイツ投資開発会社)が行う融資(民間部門の助成)
- 有価証券および短期金融市場への投資
- 連邦共和国のための株式保有のアレンジメント
金融市場
- 連邦政府から委任された取引(対ギリシャ融資)
- 資金調達
- 金利および為替の一括管理
本部
- 戦略的株式投資
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KfW グループの構成-IFRSに基づく総資産(連結前)(1)
2018年 2017年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
KfW 、ドイツ、フランクフルト・アム・マイン 483,453 470,645
子会社
KfW IPEX銀行、ドイツ、フランクフルト・アム・マイン
27,969 26,362
DEG(ドイツ投資開発会社)、ドイツ、ケルン 6,274 5,707
KfW持株有限責任会社、ドイツ、ボン 3,215 2,951
KfWキャピタル有限合資会社、フランクフルト・アム・マイ
25 0
ン(1)
インターコネクター有限責任会社( Interkonnektor
292 182
GmbH )、ドイツ、フランクフルト・アム・マイン
持分法により会計処理された投資
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリ
ティ・エスエー(Microfinance Enhancement Facility
592 552
S.A.)、ルクセンブルク、ルクセンブルク(18.5%)
DC北海ケーブル有限責任会社( DC Nordseekabel GmbH &
745 542
Co. KG )、ドイツ、バイロイト(50.0%)
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイース
ト・ヨーロッパ・エスエー(Green for Growth Fund,
470 414
Southeast Europe S.A.)、ルクセンブルク、ルクセンブル
ク(14.5%)
ドイツ中小有限合資会社向けAFエクイティファンド( AF
Eigenkapitalfonds für deutschen Mittelstand GmbH & Co 115 174
KG )、ドイツ、ミュンヘン(47.5%)
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金( coparion GmbH
45 14
& Co. KG )、ドイツ、ケルン(20.0%)
(1) 2018会計年度においてKfWキャピタル有限合資会社を初度連結した。
当グループの営業損益の推移は、主にKfWによって決まる。
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2023年戦略的目的
KfW グループは、KfWが目標とする中期的なポジションを規定する一連の戦略的目的を設定している。この枠組み
は、当公庫全体のレベルで選ばれたトップレベルの目的を含むものであり、すべての事業部門における5年間の戦
略的方向性の中心となる、拘束力のある基準の役割を果たしている。2018年、「2023年戦略的目的」が採択され
た。これには、持続可能性およびプロセス品質をはじめとする新たな重点分野が含まれている。
KfW の 主要な目的 は、 助成 である。KfWは、ドイツ、欧州および世界中における経済的、社会的および環境面での
生活条件の改善を目指しており、中でもドイツの中小企業への融資を特に重視している。KfWは、国内中小企業融
資割合を40%超とすることを目指している。かかる主要な目的は、補完性および持続可能性という2つの助成原則
によって支えられている。
補完性とは、KfWが民間企業を妨害または排斥することなく市場の脆弱性を排除することを重視していることを
いう。KfWは、この原則を実行し、助成活動に関して常に高い品質を保つよう努めている。KfWはまた、ドイツの名
目GDP成長率の上昇に合わせて新規コミットメント額を緩やかに増加させることを目指している。
持続可能性の原則に関して、KfWは、国内外の助成銀行の持続可能性ランキングにおいて1位を獲得するという戦
略的目的を新たに設定した。KfWはこれに伴い、事業に関して、経営に関して、また雇用主として、総合的な観点
から持続可能な銀行となるための取組みを強化している。これは、KfWがコーポレート・ガバナンスに関して最高
の環境的および社会的基準を採用することを意味する。
これらの助成原則の枠組みの中で、KfWは、現在の社会的メガトレンドに関連するプロジェクトへの融資を行っ
ている。
「気候変動および環境」のメガトレンドへの取組みの一例として、KfWは、再生可能エネルギーの支援、エネル
ギー効率の改善、生物多様性の保護ならびに環境汚染の防止および/または軽減に関する対策に資金を提供してい
る。このメガトレンドの特別な重要性に鑑みて、KfWは、環境コミットメントの比率を新規コミットメント総額の
35%超に設定した。
「グローバル化」のメガトレンドに関連して、KfWは、ドイツの原材料の供給を確保するプロジェクト、ならび
にインフラ整備および輸送を含む分野において、ドイツ企業に貸出を行うことによりドイツ企業の国際的競争力の
強化に貢献している。
「社会変革」のメガトレンドについて、KfWの目的は、より厳密な意味での人口動態の変化に関する課題(高齢
化に適したインフラ整備、継承支援融資等)、住宅、職業訓練および追加訓練に重点を置いている。
「デジタル化および技術革新」のメガトレンドは、ドイツ経済の発展に不可欠なデジタル・トランスフォーメー
ションの重要性を反映したものである。このメガトレンドへの対応策として、KfWは、適切な商品アプローチを通
じて、当該分野における対象を絞った助成の推進および拡大に尽力している。
主要目的に定められた優先事項は、採算性および効率性、リスクおよび資本、ならびに規制上の側面およびプロ
セスに関する 二次的目的 によって補完されている。「2023年戦略的目的」では、新たな目的としてプロセス品質の
持続的な向上が取り入れられている。さらに、KfWの成功は、デジタル化および機敏性に加えて、顧客および従業
員の高い満足度を達成することにかかっている。
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内部管理システム
KfW は、戦略と計画プロセスを密接に結びつけている。グループ全体の戦略プロセスとして捉えられているグ
ループ事業部門別計画は、KfWグループの中核的な計画および管理手段である。グループ事業部門別計画は、毎年
実施される戦略的計画および業務計画という2つの連続したサブプロセスから構成される。戦略および計画プロセ
スの全般において、すべての分野における計画責任を有する従業員の間で綿密な連携が行われる。
執行理事会が設定したグループ全体の戦略的目的は、戦略的計画の基礎を成している。かかる体系的な目的は、
KfWが今後5年間で進むべき方向を示す、KfWグループの明確なロードマップとしての役割を果たしている。かかる
体系は、KfWグループの中期的な目標ポジションを規定し、当公庫全体におけるトップレベルの目的を設定してい
る。戦略的目的は、関連性、完全性および未達成の要件に関して毎年見直され、パラメーターの変更または新たな
重点分野の設定等により、必要に応じて調整される。ただし、例年の見直しの過程において戦略的ロードマップに
関する根本的な変更がないよう、高い一貫性を保つための努力が行われている。主要な中期戦略的イニシアチブ
は、事業部門および部署により、戦略的枠組みの中で基本ケースにおいて策定される。期待される利益(プロジェ
クトの効率性等)は、プールされ、監視され、事業部門の計画に含められる。リスクおよび機会の評価に基づい
て、決定的要素の将来の進展が予想される。かかる分析は、外部要因(市場動向、規制要件、競争状況および顧客
行動を含む。)ならびに内部要因および内部資源(人的、技術的および組織的な資源、助成費用、基本的な費用計
画ならびに投資資本を含む。)の両方のほか、目標収益水準を考慮する。これには、主要事業ならびに事業部門お
よびグループの収益源に係る定期的な評価が含まれる。中央管理機能(例えば、情報技術、人事および中央サービ
ス)は戦略的目的を達成する上で重要な役割を果たしている。かかる中央管理機能を関与させることにより、KfW
グループの戦略を戦略的目的に沿うものにすることができる。基本ケースにおける1回目の定期的な資本予算は、
複数年の期間にわたる予算として編成される。これにより、戦略的検討またはパラメーターの変更から生じる資本
の障害を早期に特定し、かかる資本の不足を回避するための対策について合意することが可能になる。執行理事会
が、全計画期間を通じて、グループの観点からのすべての戦略的イニシアチブの評価および優先順位付けに基づ
き、すべての部署または子会社のための(事業、リスクおよび費用の指標ならびにFTEに係る数値に関する)トッ
プダウンの目的を定めている。2017年には、グループレベルでの戦略的計画が拡充され、事業戦略シナリオ分析も
行われることとなった。シナリオ分析とは、特有であるが妥当性のあるシナリオについて、外的な決定的要素の相
互作用を検討し、結果を新規事業、収益およびリスク/資本に関する経営関連のパラメーターに変換して行う「仮
の」分析である。かかるシナリオが、助成対象に係る潜在的なリスクおよび機会、ならびにKfWの収益性およびリ
スク許容能力の特定プロセスを支援し、その後の計画プロセスにおけるこれらの要素の検討を可能にする。
外部要因または内部要因における変化を考慮に入れ、執行理事会が定めるトップダウンの目的に基づき、事業部
門はその新規事業、リスクおよび収益の計画を立て、また、個々の部署はその予算およびFTEの計画を立てること
とされている。これらの計画は、グループおよび事業部門の戦略的計画との一貫性の観点からチェックされる。金
利の予測は、KfWの収益状況を形成する上で重要な役割を担う。このため、想定される基本ケースに加えて、高金
利および低金利のシナリオも検討される。これらの計画はまた、2回目の定期的な複数年にわたる基本ケースおよ
びストレスケースの資本予算の決定において、将来のリスク許容能力の観点からも評価される。執行理事会は、結
果として得られた運営予算を承認するか、または必要に応じて修正期間においてその計画を微調整する。業務計画
プロセスは、執行理事会が全計画期間についての最終予算(将来の資金需要を含む。)を採択した時点で終了す
る。
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計画プロセスにおける主要な決定事項は、事業戦略およびリスク戦略に盛り込まれる。経営陣は、事業戦略およ
びリスク戦略の策定および採用についての全責任を負う。事業戦略は、グループの主要な事業活動のための戦略的
目的ならびに戦略プロセスに含まれる重要な内部要因および外部要因で構成される。事業戦略には、戦略的目的に
対するそれぞれの事業部門の寄与および各目的を達成するための手段も含まれる。さらに、事業戦略は、グループ
および事業部門レベルでの運営予算を組み込んでいる。執行理事会は、KfWグループのリスク戦略において、事業
戦略に沿ったリスク管理方針を設定する。KfWグループは、リスク許容能力および流動性等の要素についての戦略
的リスク目標を定めた。主要なリスク管理手法およびリスク許容度もまた、オペレーショナル・リスク管理の基礎
としてリスク戦略に盛り込まれる。事業戦略を変更した場合は、事業戦略とリスク戦略の一貫性を確保するため
に、リスク制御部に相談しなければならない。執行理事会は、全計画期間について、将来の資金需要を含む運営予
算を策定し、また、事業戦略およびリスク戦略も策定する。かかる予算はその後、検討のための事業戦略およびリ
スク戦略とあわせて監事会に対して承認申請される。監事会が事業戦略およびリスク戦略について決定した後、か
かる予算は適切に従業員に伝達される。
事業部門別計画の採択は、グループの質的および量的な目標の基礎となる。執行理事会は、目標の達成を、当会
計年度を通して定期的に、また、特別な目的のためにチェックする。事業戦略を決定する際の外部要因および内部
要因に関する想定も、定期的なチェックの対象である。戦略的統制の一環として、関連する統制内容の変化、その
達成、および未達が生じた場合にはその原因が分析される。毎年初めに、戦略上の仮定が見直され、また当初の目
的および予測について体系的な差異分析が行われる。かかる比較から得られた結果は、次回の計画プロセスに織り
込まれる。これに付随して、年に1度予定されている、同業他社グループとの主要指標における比較が行われる。
この比較は体系的な評価に大きく寄与し、行動の必要性があればこれを示す。統合的な予測プロセスは、設定され
た目標を達成するための十分に根拠のある指針となる一方で、年半ばにおける、グループの戦略的に重要な変動
(新規事業リスクおよび資金調達の機会を踏まえた収益)についての暫定的な定量的管理データの包括的基準とし
ても機能している。戦略に関連する特別な問題点についても、グループの各部署に相談の上で取り組まれる。潜在
的な戦略調整または資源利用の最適化に関する行動に関する提案は、戦略上の業績に関する報告書を通じて、執行
理事会に提出される。かかる分析結果は、戦略に関するさらなる議論および戦略的計画プロセスに盛り込まれる。
目的の達成については、監事会が、KfWの定款に従って提出される報告書に基づき、定期的に監督する。これらの
報告書に含まれる注釈は、原因の分析および潜在的な行動計画の概略を示す。運営上の統制の一環として、包括的
および詳細な報告書が毎月または四半期毎に作成される。グループ、事業部門および/または商品グループのレベ
ルで行われるこれらの包括的かつ詳細な分析は、収益、費用および正規職員の推移により構成され、特定の部署に
報告される。さらに、グループ全体の業績に関して特に重要な包括的な分析も、執行理事会へ直接提示される。戦
略的統制および運営上の統制と並行してリスク統制機能も実施されている。すべての主要なリスクタイプにつき、
リスク戦略において定められたリスク管理要件に沿う形で、早期警告システムが確立され、リスク軽減策が定めら
れている。すべての統制方法および監視方法は、通常の包括的なリスク報告に盛り込まれる。監事会は、四半期毎
にリスク報告を受けている。
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代替的な主要財務数値
KfW グループの営業報告書には、IFRS以外の基準に基づく主要財務数値が含まれる。KfWはその戦略的目的におい
て、代表的な市場財務指標のほか、主要な事業活動である助成に適した主要財務数値を用いている。また、KfW
は、業績に対する一時的な影響(IFRSに基づいて定められ、連結財務書類において報告されているもので、KfWが
典型的ではないと考えるもの)について調整された主要数値も用いている。
KfW は代替的な主要財務数値について以下の通り定めている。
助成事業額
助成事業額とは、報告期間における各事業部門のコミットメント額をいう。助成事業額はまた、財政状態計算書
で表示される貸出コミットメントに加え、信託事業として会計処理される、発展途上国および新興経済国支援を目
的とした連邦政府の資金からの借入れ、ならびに金融保証、エクイティ・ファイナンスおよび特定の資産クラスに
係る債券(グリーンボンド・中小企業ローンの証券化)の購入により構成される。助成事業額には、開発援助およ
び国内の助成プログラムの一環としてコミットされた供与も含まれる。当該会計年度における助成事業額への割当
は、通常、それぞれの融資、金融保証および供与の実行日ならびにエクイティ・ファイナンスおよび証券取引の取
引日を基準としている。一方で、州立支援財団へのグローバル融資および連邦教育促進法(BAföG)に基づく政府
ローンへの割当は、支払義務発生時の契約上の総額ではなく、実際に貸し出された金額とその実行日を基準として
いる。外貨建の融資は、貸出事業においては実行日時点の為替レートで、証券事業およびエクイティ・ファイナン
ス事業においては通常取引日時点の為替レートで、ユーロに変換される。
部門別の助成事業額の内訳については、「2) 経済報告―KfWグループの業績推移」の経済報告およびセグメント
報告を参照のこと。
助成費用
助成費用 とは、KfWの助成目的の達成にプラスの影響を与える、中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに
個別対応金融および公的顧客 事業部門の両事業部門の特定の費用を意味するものと理解されている。
KfW の 助成費用の主要な構成要素は、現在価値で会計処理される金利の引下げである。KfWは、その有利な資金調
達状況の還元に加えて、最初の固定金利期間における特定の新規事業への国内助成ローンのために、かかる引下げ
を行う。金利が市場金利を下回るために生じる、最初の固定金利期間におけるかかる助成ローンの公正価値と取引
価額の差額は、支払利息として損益で認識され、(i)銀行に対する貸出金等または(ii)顧客に対する貸出金等
の項目において簿価の調整として会計処理される。さらに、固定金利期間における金利引下げの累計額は損益を通
じて正味受取利息において認識される(「KfWの助成貸出事業」、「銀行に対する貸出金等」または「顧客に対す
る貸出金等」および「引当金」に関する注記を参照のこと。)。
(支払手数料のうち)追加助成に関する部分は、小規模ローンを行う際に販売パートナーに対するアップフロン
トフィーとして支払われる費用で構成されている。助成費用には、利用可能な商品関連の営業費用および販売費用
(一般管理費)も含まれる。
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助成費用前収益費用比率
助成費用前収益費用比率は、助成費用前の正味受取利息および正味受取手数料に関する一般管理費(助成費用に
係るものを除く。)で構成される。
収益費用比率(CIR)は、収益に係る費用を示しており、効率性の指標となっている。(助成を行わない)他の
機関との間で収益費用比率を比較するため、また、標準化された正確な数値を決定するためには、助成費用につい
て分子(一般管理費)ならびに分母(正味受取利息および正味受取手数料)を調整する必要がある。
IFRS の影響を受ける前の連結利益
ヘッジ取引によるIFRSの影響を受ける前の連結利益もまた、IFRSに従った連結利益に基づく重要な財務数値であ
る。デリバティブ金融商品は、ヘッジ目的で取引されている。それにもかかわらず、IFRSでは、デリバティブおよ
びヘッジの認識および評価の要件は、一時的な純損益を生じさせる。KfWの見解としては、かかる純損益は財務面
から見ると経済的に有効なヘッジを十分に反映するものではない。
その結果、下記の通り、損益への一時的な影響を除外する以下の調整が行われている。
・ ミクロおよびマクロのヘッジ会計による評価損益。すべてのヘッジ関係は、経済的に有効であり、ヘッジ
の全期間にわたり純損益を一切生じさせない。
・ 関連ヘッジ・デリバティブを含む資金調達における会計上のミスマッチを回避するために公正価値オプ
ションを用いた純損益。ヘッジの全期間にわたり累積し、経済的に有効なヘッジ取引は、純損益を一切生
じさせない。
・ 経済的有効性は高いが、ヘッジ会計の対象にならないヘッジ取引の公正価値会計による純損益。このよう
なヘッジ取引は、満期日までの全期間にわたり純損益を一切生じさせない。
・ 外国通貨ポジションの外貨換算による純損益は、デリバティブおよびヘッジ関係の認識および評価要件に
従う。
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2) 経済報告
一般的な経済環境
2018 年、 世界経済 は再び前年並みの成長(+3.7%)を示す見通しである。しかしながら、各先進国が第1四半期
において想定外に低調であったことから、年初における成長の勢いは予測を下回った。米国の好調な景気動向は、
税制改革の支えもあり、1年を通じて、ユーロ圏および日本における控えめな推移に対抗する大きな力となった。
同期間における新興経済国の見通しは、より厳しい資金調達環境および投資家の信頼の変化によって特徴付けられ
た。通貨切下げおよび利回りプレミアムの程度は各国特有の要因に左右され、特にトルコおよびアルゼンチンが影
響を受けた。世界貿易は、米中間の関税と報復関税による対決を筆頭に、様々な貿易紛争による逆風に直面した。
世界の貿易量への影響は限定的であったものの、一部の領域では影響が見られた。全体として、世界的な経済成長
のリスクは、年間でマイナス方向に転じた。
欧州経済通貨同盟(以下「EMU」という。) の加盟国の昨年の景気は、2017年の勢い(+2.4%)を下回った。全
体として、2018年のEMU加盟国の経済生産高は、前年と比べて1.8%の増加となった。この景気減速は、一連の一時
的かつ非経常的な影響によって大幅に促進された(ドイツに関するセクションを参照のこと。)。これは、期待の
高さからすれば不本意な結果であった。KfWも、2.4%を上回る成長を予想していた。この景気減速の影響は、ユー
ロ圏の主要4経済国(ギリシャ、フランス、イタリアおよびスペイン)のすべてに及んだ。欧州の産業はとりわ
け、輸出需要の低下に苦しめられた。保護貿易傾向の高まりに加えて、ユーロ高も遅れて影響を及ぼしたものと考
えられる。個人消費は引き続き成長の確かな推進力となり、投資活動は、政治的リスクの再上昇や企業の景況感の
暗さにかかわらず、安定して成長に寄与した。
ドイツ連邦統計局( Statistisches Bundesamt )の速報によると、 ドイツ は、 2018年において1.5%成長し、2017
年のペース(+2.2%)を下回った。1年前、KfWは、2018年に関して2.5%の堅固な経済成長を予測していた。ほと
んどすべての予測者と同様に、KfWは国内総生産の実際の勢いを過大評価していた。2018年初めに公表された2018
年の経済成長予測は、1.9%から2.8%の範囲であった。複数の特殊要因が重なったことを大きな原因として、2018
年の成長予想は結果として過度に楽観的なものとなった。例えば、晩冬にかけての深刻なインフルエンザの流行、
警告ストライキおよび例年にない寒波が第1四半期の経済活動の足かせとなったことにより、2018年の経済は出だ
しにおいて当初の予測よりもかなり低調であった。第3四半期には、新たな乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試
験法(WLTP)排出テストの実施に関する大きな問題によって自動車業界の生産高が大幅に減少し、その後、景気動
向は、2015年初め以降初めて前四半期からわずかに減退した。最終的に、経済に対する当初の高い期待には及ばな
かったものの、2018年全体として、ドイツは引き続き健全な年間成長を示した。このことは、雇用率の持続的上昇
や失業率の低下のみならず、総固定資本形成の水準によって明確に示されている。これらの比率は、輸出国である
ドイツにとって極めて重要な世界経済環境が年間を通じてより厳しいものとなったにもかかわらず、2018年に再び
大幅に上昇した。
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2018 年の 金融市場 の状況は、年間を通じて、また様々な通貨圏に関して、複雑な様相を呈した。10月初めまで、
米国金融市場は最も良好な実績を記録していた。幅広い銘柄から構成されるS&P500株価指数は、年初から初秋にか
けて10%近く上昇した。また、米ドルの短期金利および長期金利はいずれも、堅調な経済およびより緊縮的な金融
政策を見込んで、相当程度上昇した。しかしながら、その後、海外投資家の間では悲観的な見方が広まり始めた。
これは主に、米中間の貿易紛争および米国景気循環の後期たることを背景として、米連邦準備制度理事会による主
要政策金利の引上げが過剰となるのではないかとの懸念によるものであった。この結果、主要な株価指数は大幅に
下落し、数値においても年初と比べて減少した。同時に、信用格付の高い国債の利回りが低下した一方で、信用ス
プレッドが広がった。様々な新興経済国が、同年初期における米国金利の上昇を受けて自国通貨の大幅な下落に苦
しめられた。アルゼンチンおよびトルコは通貨危機に直面したが、これは国内の問題に端を発するものであった。
ECB は、2018年も非伝統的金融政策からの段階的な脱却を継続した。ECBは、1月にその月間の純資産購入額を600
億ユーロから300億ユーロに減額し、9月末まで同水準を保った。その後、ECBは月間の純資産購入額を再び50%減
額した。ECBは、年末をもって資産購入プログラムを終了した。同時に、ECBはそのフォワード・ガイダンスにおい
て、少なくとも「2019年夏にかけて」主要政策金利を据え置くこと、および主要政策金利の最初の引上げから当分
の間は満期を迎えた債券の償還金を再投資に回すことを提示した。ECBは、2018年下半期に見られたユーロ圏の経
済成長の減速を、2019年初めに回復可能な減速と捉えている。こうした中、ユーロ圏金融市場の金利は、歴史的な
低水準のまま実質的に横ばい(かつ依然としてマイナス)となった。その後、2018年末頃にはわずかな上昇が生じ
た。これに対して、資本市場では、金利の上昇は年初にのみ見られた。利回りはその後変動し続け、全体としてさ
らに低下した。これは、一方では投資家における経済に関する悲観的な見方の強まりを表し、他方では、少なくと
も信用格付の高い債券に関して、リスク認識の高まりに鑑みてより安全な投資を保有したいとの願望を表すもので
あった。例えば、2018年のドイツ10年債の年平均利回りは前年の平均利回りを10ベーシス・ポイント上回った。し
かしながら、年末における「ブンズ」の利回りは0.25%弱で、年初の利回りを20ベーシス・ポイント近く下回っ
た。同時に、イールド・カーブはフラット化した。ドイツ10年債および2年債の年平均利回りのスプレッドは、前
年と比べて4ベーシス・ポイント縮小して105ベーシス・ポイント、年初との比較では20ベーシス・ポイントも縮小
して85ベーシス・ポイントとなった。
米国の市場金利は、2018年の大半にわたって上昇した。これは、米連邦準備制度理事会が、2017年に3回利上げ
を行った後、2018年には4回にわたってそれぞれ25ベーシス・ポイントの利上げを行うという、より一層断固とし
た措置を取ったことを背景とするものであった。これにより、年末における主要政策金利は2.25%から2.50%の範
囲となった。また、米連邦準備制度理事会は、2018年秋からバランスシートをさらに毎月500億ドル縮小した。米
国債市場の利回りは、10月初めまで上昇傾向にあった。その後、投資家の間で悲観的な見方が高まった(上記の全
般的な金融市場動向に関するセクションを参照のこと。)結果、とりわけ米国財務省証券の利回りが急低下した。
満期期間が長い債券の利率は、満期期間が短い債券のそれよりも急激に低下した。これにより、イールド・カーブ
は再びフラット化した。2018年初め、米国10年債および2年債の利回りのスプレッドは50ベーシス・ポイント強で
あった。かかるスプレッドは、年末には20ベーシス・ポイント弱まで縮小した。米国10年債の利回りは、10月初め
までに約3.25%に上昇したものの、その後再び下落して年末には約2.75%となった。
2018 年において、米ドルの対ユーロ為替レートは、当初、1ユーロ当たり約1.19米ドルから1ユーロ当たり1.25米
ドル超まで上昇した。しかしながら、4月中旬からは、ユーロ圏の低調な経済データによって再び価値を下げた。
さらに、5月に発足したイタリアの新政権が示した欧州委員会に対する対立的な方針が、年半ば以降、共通通貨へ
の負担となった。為替レートは、年末にかけて1ユーロ当たり約1.14米ドルで落ち着いたものの、2018年の平均で
は前年の1ユーロ当たり1.13米ドルを大きく上回る1ユーロ当たり1.18米ドルとなった。
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KfWグループの業績推移
全体的に見て、2018年はKfWにとって厳しい会計年度であった。KfWの2018年の 助成事業総額 は755億ユーロに達
し(2017年は765億ユーロ)、前年と同水準を維持した。KfWは、2018年も過年度と同様に、定性的目標に沿って助
成活動を行った。全体的に良好な経済環境により、KfWは、将来的に特に関連性の高い問題に注力することができ
た。助成では、ドイツにおける技術革新およびデジタル化のほか、アフリカその他のパートナー国における生活条
件の持続的な改善に重点を置いた。
2018 会計年度の 収益状況 は、 引き続き満足のいくものであった。困難な金利環境および進行中の近代化措置にか
かわらず、連結利益は、非常に高い評価損益の影響を受けて前年の水準を上回った。そのため、連結利益は予想を
大幅に超え、依然として長期の潜在的収益を大きく上回っている。評価前営業損益(助成費用前)は14億ユーロ
と、前年(2017年は17億ユーロ)を下回った。助成費用前収益費用比率は、受取利息の減少および一般管理費の増
加により、50.2%(2017年は42.6%)へと増加した。かかる受取利息の減少および一般管理費の増加は、年金引当
金やKfWに準用されるドイツ銀行法の強制適用等の規制要件への対応措置を含むKfWグループの近代化への取組みの
ための費用に引き続き起因している。評価損益は、連結利益に対しプラスかつ予想以上に寄与した。純額では、前
年と比較して大幅な増加となった。これは、1つには、とりわけ好調な経済環境およびKfWのポートフォリオの高い
品質の恩恵を受けて貸出事業におけるリスク引当金の費用純額が非常に少なかったことによるものであった。株式
投資ポートフォリオも、再び好成績を収めた。全体として、KfWは、16億ユーロ(2017年は14億ユーロ)と健全な
連結利益を計上したが、かかる連結利益は、純粋にIFRS由来のヘッジ会計や繰延税金による収益の影響により過大
表示されたものである。この結果は、KfWがその資本基盤を安定させ、それにより長期の助成能力を保全し、規制
要件を満たすことを確実にしていることを示している。KfWは、現在、2019年の連結利益の見通しにおいて、IFRS
の影響を受ける前の連結利益が約8億ユーロとなると予想しているが、これは戦略的予測の範囲内の下限に位置す
る。
連結資産総額 は、2018年に136億ユーロ増加して、4,858億ユーロとなった。この増加は、主に正味貸出金等が79
億ユーロ増加して3,849億ユーロとなったこと、および流動性ポジションが23億ユーロ増加して361億ユーロとなっ
たことによる。KfWの助成事業は主に国際資本市場を通じてリファイナンスされている。債務証書に計上される自
己発行額は4,186億ユーロ(2017年末は4,063億ユーロ)であった。株主持分は16億ユーロ増加して303億ユーロと
なったが、その増加の要因は特に連結包括利益によるものであった。
2018 年の業績は、主に以下の推移によって特徴付けられた。
A. KfWの商品への継続的な高い需要
当グループは、2018会計年度に755億ユーロ(2017年は765億ユーロ)の助成総額を計上し、予測していた新規事
業額の775億ユーロをわずかに下回った。
国内助成事業においては、460億ユーロの融資コミットメントを行った。好調な景気動向ならびに機関投資家お
よび個人投資家にとって良好な資金調達環境を背景に、KfWは国内における助成(2017年は518億ユーロ)を縮小し
た。ただし、デジタル化および技術革新のための融資等、将来のための推進力となる分野への助成は拡大された。
KfWの子会社であり、ベンチャー・キャピタルおよびエクイティ・ファイナンス活動の大幅な拡大を予定している
KfWキャピタルは、2018会計年度を首尾よく開始した。2018年9月に新たに導入された「建築子ども手当」制度に関
しては、非常に高い需要が記録された。
国際事業の額は、20%増加して283億ユーロ(2017年は235億ユーロ)となった。国際事業額の増加は、輸出金融
およびプロジェクト・ファイナンスにおけるコミットメントの138億ユーロから177億ユーロへの増加によって特徴
付けられ、エネルギー、再生可能エネルギーおよび水部門が、前年には26億ユーロであったのに対して34億ユーロ
となり、最大部分を占めた。発展途上国および新興経済国支援事業部門は、8%拡大して106億ユーロ(2017年は97
億ユーロ)となった。
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KfW は、事業活動の資金として、761億ユーロ(2017年は782億ユーロ)を国際資本市場から調達した。
KfW グループの助成事業額
2018 年 2017 年
(単位:10億ユーロ)
国内事業 46.0 51.8
中小企業銀行および民間顧客 36.3 42.4
個別対応金融および公的顧客 9.5 9.3
KfW キャピタル 0.1 0.1
金融市場 1.5 1.5
国際事業 28.3 23.5
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス 17.7 13.8
発展途上国および新興経済国支援 10.6 9.8
75.5 76.5
新規コミットメント額(1)
(1) KfW プログラム・ローンを通してリファイナンスされた輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスで調整される。
B. 予想を下回った営業損益
評価前営業損益(助成費用前)は、1,387百万ユーロ(2017年は1,661百万ユーロ)となり、前年の水準を大幅に
下回った。KfWにとって良好な資金調達の環境が継続したことから正味受取利息(助成費用前)は、引き続き主要
な収益源となった。かかる正味受取利息は、減少して2,413百万ユーロ(2017年は2,579百万ユーロ)となった。
正味受取手数料(助成費用前)は374百万ユーロとなり、前年の水準を上回った(2017年は316百万ユーロ)。
一般管理費(助成費用前)は1,400百万ユーロ(2017年は1,234百万ユーロ)へと増加し、目標を上回った。この
推移の主な要因は、グループの近代化措置および規制要件の遵守への拡張投資のほか、人事部門における1回限り
の引当金の設定であった。
C. 非常に低いリスク引当金および良好な株式投資成果により恩恵を受けた評価損益
良好な景気動向および過去に償却済みとしていたローンの回収により、2018年の貸出事業に係るリスク引当金の
収益への影響は極めて少ない数値(3百万ユーロ)となった。この数値は、依然として予想していた標準的リスク
費用の527百万ユーロを大きく下回り、かつ前年の数値(2017年は209百万ユーロ)を下回った。KfWは、安定した
経済環境およびローン・ポートフォリオの高い品質による恩恵を受けた。
ヘッジ目的に利用されたデリバティブの評価からの純粋なIFRS関連の影響は、325百万ユーロ(2017年は235百万
ユーロ)に増加した。株式投資ポートフォリオに起因する128百万ユーロの収益への寄与(2017年は19百万ユーロ
の収益の減少)は、主に発展途上国および新興経済国支援事業部門によるものであった。DEGポートフォリオにお
いては、為替レート関連の影響としての53百万ユーロが好成績を一層高め、合計で87百万ユーロの損益となった。
資本市場の目立った変動にもかかわらず、有価証券ポートフォリオの成績は、8百万ユーロで安定して推移し
た。
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D. 低金利環境における引き続き限定的な引下げ幅
KfW グループの収益状況にマイナスの影響を与えるKfWの国内助成費用は、2018会計年度、前年からほぼ横ばいの
216百万ユーロ(2017年は213百万ユーロ)にとどまり、引き続き計画を大幅に下回った。これは、特にKfWの助成
事業額の目標を達成する上で低金利環境において金利の引下げの必要性が限定的であったことに起因して、金利の
引下げがわずかに減少したこと(185百万ユーロ。2017年は186百万ユーロ)によるものであった。
次の主要な数値は、2018年の主要な財務数値の推移の概要を示したものである。
KfW グループの主要な財務数値
2018 年 2017 年
損益計算書における主要な数値 (単位:百万ユーロ)
評価前営業損益(助成費用前) 1,387 1,661
評価後営業損益(助成費用前) 1,834 1,669
助成費用 216 213
連結利益 1,636 1,427
収益費用比率(助成費用前)(1) 50.2% 42.6 %
2018 年 2017 年
主要な経済的数値 (単位:百万ユーロ)
IFRS の影響を受ける前の連結利益 1,311 1,192
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
財政状態計算書における主要な数値 (単位:10億ユーロ)
総資産 485.8 472.2
貸出額 483.5 471.7
事業額 590.7 572.1
株主持分 30.3 28.7
資本比率 6.2% 6.1 %
(1) 調整後利益に係る一般管理費(助成費用前)。調整後利益は、正味受取利息と正味受取手数料(いずれも助成費用前)から計算される。
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収益状況の推移
2018 年における収益状況は、引き続き好調であり、前年比で減少した営業損益とプラスの評価損益との組合せに
よって特徴付けられた。これにより、連結利益は16億ユーロとなり、前年の数値を超え、目標値を明らかに上回っ
た。
2018 会計年度における助成費用前の内部収益状況と助成費用後の外部収益状況の調整
助成費用
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,413 -185 2,228 正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 374 -12 362 正味受取手数料
1,400 18 1,418
一般管理費(助成費用前) 一般管理費
評価前営業損益
評価前営業損益
1,387 -216 1,171
(助成費用前)
貸出事業に係るリスク引当金 -3 -3 貸出事業に係るリスク引当金
ヘッジ会計から生じる純損益 480 480 ヘッジ会計から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定さ
損益を通じて公正価値で測定
-54 -54 れるその他の金融商品から生じ
されるその他の金融商品
る純損益
有価証券および投資からの純 償却原価で測定される金融商品
2 2
損益 の処分による純損益
持分法により会計処理された 持分法により会計処理された投
22 22
投資からの純損益 資からの純損益
評価後営業損益
評価後営業損益
1,834 -216 1,618
(助成費用前)
5 5
その他の正味営業収益 その他の正味営業収益/損失
営業活動による利益/損失
営業活動による利益/損失
1,839 -216 1,623
(助成費用前)
助成費用 216 -216 0 -
-13 -13
法人税 法人税
連結利益 連結利益
1,636 1,636
ヘッジ会計から生じる一時的 ヘッジ会計から生じる一時的な
325 325
な純損益 純損益
IFRS の影響を受ける前の IFRS の影響を受ける前の
1,311 1,311
連結利益 連結利益
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2017 会計年度における助成費用前の内部収益状況と助成費用後の外部収益状況の調整
助成費用
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,579 -186 2,393 正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 316 -14 303 正味受取手数料
1,234 14 1,247
一般管理費(助成費用前) 一般管理費
評価前営業損益
評価前営業損益
1,661 -213 1,448
(助成費用前)
貸出事業に係るリスク引当金 - 209 -209 貸出事業に係るリスク引当金
ヘッジ会計から生じる純損益 591 591 ヘッジ会計から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定さ
損益を通じて公正価値で測定
-397 -397 れるその他の金融商品から生じ
されるその他の金融商品
る純損益
有価証券および投資からの純 有価証券および投資からの純損
0 0
損益 益
持分法により会計処理された 持分法により会計処理された投
22 22
投資からの純損益 資からの純損益
評価後営業損益
評価後営業損益
1,669 -213 1,456
(助成費用前)
-2 -2
その他の正味営業収益 その他の正味営業収益
営業活動による利益/損失
営業活動による利益/損失
1,667 -213 1,453
(助成費用前)
助成費用 213 -213 0 -
26 26
法人税 法人税
連結利益 連結利益
1,427 1,427
ヘッジ会計から生じる一時的 ヘッジ会計から生じる一時的な
-235 -235
な純損益 純損益
IFRS の影響を受ける前の IFRS の影響を受ける前の
1,192 1,192
連結利益 連結利益
評価前営業損益(助成費用前) は、1,387百万ユーロ(2017年は1,661百万ユーロ)となり、前年の基準および目
標値を大幅に下回った。
正味受取利息(助成費用前) は、2017年の数値(2,579百万ユーロ)から減少して2,413百万ユーロとなった。こ
れは主に、利ざやによる収益が減少したこと、90百万ユーロ(2017年は123百万ユーロ)の早期償還の違約金から
生じる収益が減少したこと、また、2017年に省エネ建築および改修促進プログラムの契約規定が変更されたことに
より2017年7月1日付で報酬の計上先が正味受取利息から正味受取手数料に変更されたことに起因する。2017年上半
期においては、57百万ユーロの収益が依然として正味受取利息として計上されていた。さらに、貸出事業の利ざや
は、わずかながら減少した。それにもかかわらず、KfWが最高水準の信用格付を有していることからKfWの資金調達
の条件は非常に良好で、正味受取利息に積極的に貢献した。全体として、正味受取利息は引き続き主要な収益源で
あった。
正味受取手数料(助成費用前) は374百万ユーロで、2017年の316百万ユーロを上回った。かかる増加の主因は、
当初は省エネ建築および改修プログラムの下で受領していた、促進プログラムに係る143百万ユーロ(2017年は90
百万ユーロ)の報酬にあった。KfWは、発展途上国および新興経済国支援事業部門におけるドイツのファイナン
シャル・コーポレーションの管理から合計186百万ユーロ(2017年は180百万ユーロ)の受取手数料を生み出した。
かかる連邦政府からの報酬は、関連する一般管理費により相殺された。
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一般管理費(助成費用前) が1,400百万ユーロ(2017年は1,234百万ユーロ)に増加したことは、予想を超えるも
のであった。規制要件を満たすための方策、進行中の近代化に対する取組みおよび新しい市場のトレンドに係る投
資には引き続き費用を要した。人件費は、103百万ユーロ増加して771百万ユーロとなった(2017年は668百万ユー
ロ)。これは、従業員数の増加に加え、交渉により報酬が増加したことによるものである。また、KfWの効率を上
げるための近代化への取組みに関連して年金引当金を創設したことが人件費の増加に寄与した。人件費以外の費用
(助成費用前)は、629百万ユーロとなった(2017年は566百万ユーロ)。63百万ユーロの増加は、特にコンサルタ
ント・サービスおよびサポート・サービスの利用ならびにKfWの近代化への取組みの一環として、実務用ソフト
ウェアを展開したことにより無形固定資産の償却が増加したことによるものであった。これらは、特に必要な規制
要件の充足およびKfWのIT構造の包括的な近代化措置に関連している。
助成費用前収益費用比率は50.2%(2017年は42.6%)に上昇した。これは主に、全体的な営業収益の減少および
支出の増加によるものである。ドイツ連邦政府との間で原価基準の報酬で合意した商品に係る収支およびKfWの近
代化への取組みに関連した年金引当金を計上したことによる費用の調整後、2018会計年度の収益費用比率は39.0%
となった。
IFRS 第9号に従い作られたKfWグループの 貸出事業に係るリスク引当金 の費用は、2018年は3百万ユーロ(2017年
は209百万ユーロ)となり、収益にほとんど影響を及ぼさなかった。かかる値は前年から減少し、予想していた標
準的リスク費用を大きく下回った。貸出事業のリスク引当金に係る費用は、中小企業銀行および民間顧客事業部門
における教育への融資に大きく関連していた。
直接償却を含む差し迫った信用リスク引当金への正味繰入額(ステージ3)は前年から減少して96百万ユーロと
なり(2017年は316百万ユーロ)、主として64百万ユーロの繰入額を計上した中小企業銀行および民間顧客事業部
門に関連していた。かかる繰入額のうち45百万ユーロ(2017年は63百万ユーロ)は教育への融資によるものであっ
た。発展途上国および新興経済国支援事業部門は、追加で40百万ユーロ(2017年は42百万ユーロ)の繰入額を要
し、そのほとんどがDEGに起因する。輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門は、2018年は9百万ユー
ロの正味戻入額(2017年は147百万ユーロの繰入額)を計上した。
償却済み貸出金の回収額からの収益は、前年(2017年は107百万ユーロ)を下回り77百万ユーロとなった。かか
る収益のうち、39百万ユーロが中小企業銀行および民間顧客事業部門に、13百万ユーロが輸出金融およびプロジェ
クト・ファイナンス事業部門によるものであった。リスク引当金は、前年からほぼ変わらず2018会計年度には10億
ユーロとなった。 かかる合計のうち、 6 億ユーロは輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門に、ま
た、3億ユーロは発展途上国および新興経済国支援事業部門によるものであった。
2018 年中、割当不能なローン・ポートフォリオ・リスクに対するリスク引当金(ステージ1および2)について
は、変動はなく、6億ユーロであった。そのうち4億ユーロはステージ1に関連し、2億ユーロはステージ2に関連す
るものであった。
貸出事業に係るリスク引当金は、KfWグループによる保守的なリスク管理方針の一貫した実施を反映しており、
差し迫ったリスクも潜在的なリスクもすべてカバーしている。
2018 会計年度における ヘッジ会計および損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益
は426百万ユーロ(2017年は194百万ユーロ)であり、主に、株式投資ポートフォリオおよびヘッジ目的で使われる
デリバティブの評価によるIFRSのみに関連する大きな効果により、プラスの影響を受けたことによるものである。
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損益を通じて公正価値で測定される株式投資ポートフォリオは、投資の好成績および米ドル高に特に起因した為
替レート関連の価格上昇の両方による影響を受けた。全体として105百万ユーロの収益(2017年は32百万ユーロの
支出)を生み出した。この推移は、主に発展途上国および新興経済国支援におけるDEGの事業活動によるもので
あった。
外貨換算の損益については、為替レート(特に米ドル)の変動およびこれに対応する連結財政状態計算書におけ
る外貨建項目により、24百万ユーロの正味費用(2017年は4百万ユーロの純利益)のわずかなマイナス影響となっ
た。
ヘッジ会計および公正価値で認識される借入金(ヘッジ目的に用いられるデリバティブを含む。)により325百
万ユーロ(2017年は235百万ユーロ)の純利益が生じた。時価評価のデリバティブは、経済的にヘッジされたポジ
ションの一部である。しかし、ヘッジ関係の他の部分が公正価値で計上できない場合、または異なる評価方法およ
びパラメーターが適用される場合においては、必然的に収益に一時的な変動がもたらされるが、これは取引の期間
中に完全に相殺される。
損益を通じて公正価値で計上される有価証券により、8百万ユーロのプラスの利益(2017年は9百万ユーロ)が生
じた。損益を通じて公正価値で計上されない有価証券の場合は、金融市場の一般的な推移とIFRS第9号の初回適用
による相殺効果(112百万ユーロのプラス)とで簿価と公正価値との純マイナス差異9百万ユーロ(2017年は67百万
ユーロのプラス差異)を生み出した。かかる成長は、カバードボンドの価値の低下に一部起因するものである。
持分法により会計処理された有価証券および投資による純利益 に変動はなく22百万ユーロとなった。 輸出金融お
よびプロジェクト・ファイナンス事業部門におけるDC北海海底ケーブル有限合資会社の業績が、収益に特に大きく
貢献した。
その他の正味営業収益 は5百万ユーロのプラスであり、前年の数値(2017年は2百万ユーロのマイナス)をわずか
に上回った。
KfW グループの収益状況にマイナスの影響を与えるKfWの国内における2018年の 助成費用 は、 216百万ユーロとな
り、これは前年の水準(2017年は213百万ユーロ)をわずかに上回り、予想を大きく下回る値であった。
金利の引下げがKfWの助成費用の主要な構成要素となる。KfWは、その有利な資金調達状況の還元に加えて、最初
の固定金利期間中の国内の特定の助成ローンのために、これを行い、その収益状況に影響を与える。金利の引下げ
の金額は、2018年において185百万ユーロ(2017年は186百万ユーロ)となり、ほぼ横ばいかつ目標値を下回る数値
であった。これは部分的に、金利が引き下げられた助成ローンの需要が低下したことによるものであった。また、
継続的な低水準な金利により、助成事業について、助成目的を達成するために追加的な促進は必要とされなかっ
た。
さらに、正味受取手数料および一般管理費に計上されている助成費用が、30百万ユーロ(2017年は27百万ユー
ロ)発生した。これらの活動は、とりわけKfWの助成商品の売上を改善し、より的を絞ることを目的としていた。
13 百万ユーロのプラスの純法人税(2017年は26百万ユーロのマイナス)の影響を考慮すると、 連結利益 は、 前年
(1,427百万ユーロ)を上回る1,636百万ユーロとなり、予想を大きく上回った。
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ヘッジ取引によるIFRSの影響を受ける前の連結利益 もまた、デリバティブ金融商品が、ヘッジ目的で取引されて
いることを反映するためのIFRSに従った連結利益に基づく重要な財務数値である。それにもかかわらず、IFRSで
は、デリバティブおよびヘッジの認識および評価の要件は、一時的な純損益を生じさせる。KfWの見解としては、
かかる純損益は、財務面から見ると、経済的に有効なヘッジを十分に反映するものではない。その結果、下記の通
り、325百万ユーロ(2017年は235百万ユーロ)の利益への一時的な影響を除外する以下の調整が行われた。
・ ミクロおよびマクロのヘッジ会計による評価損益。すべてのヘッジ関係は、経済的に有効であり、ヘッジ
の全期間にわたり純損益を一切生じさせない。
・ 関連ヘッジ・デリバティブを含む資金調達における会計上のミスマッチを回避するために公正価値オプ
ションを用いた純損益。ヘッジの全期間にわたり累積するため、経済的に有効なヘッジ取引は、純損益を
一切生じさせない。
・ 経済的有効性は高いが、ヘッジ会計の対象にならないヘッジ取引の公正価値会計による純損益。このよう
なヘッジ取引は、満期日までの全期間にわたり純損益を一切生じさせない。
・ 外国通貨ポジションの外貨換算による純損益は、デリバティブおよびヘッジ関係の認識および評価要件に
従う。
調整済収益状況は、1,311百万ユーロ(2017年は1,192百万ユーロ)の利益となった。KfWグループは2018会計年
度において、再度、持続可能な潜在的収益を上回る非常に良い業績を残した。
純資産の推移
銀行および顧客に対する貸出は、引き続きKfWグループの中核事業である。2018年12月31日現在、KfWグループ資
産のうち合計79%は貸出事業に起因した。
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貸出額 は前年を上回り、4,835億ユーロとなった。
貸出額
2018 年 2017 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
貸出金等 386,453 378,439
-1,545 -1,457
貸出事業に係るリスク引当金
正味貸出金等 384,908 376,982
金融保証事業による偶発債務 2,312 2,229
取消不能貸出コミットメント 84,116 80,032
12,209 12,433
信託に保有する貸出金等
483,545 471,676
合計
貸出金等は、様々な影響により、2018年において80億ユーロ増加した。新たな貸出事業における貸出実行額の増
加および特に米ドル高による為替効果は、127億ユーロ(2017年は134億ユーロ)の予定外の貸出償還額を上回っ
た。貸出金の支払に係る増加は、主に、省エネ建築および改修促進プログラムに起因する。正味貸出金等は3,849
億ユーロとなり、引き続き貸出額の80%を構成した。
金融保証事業による偶発債務は22億ユーロからわずかながら増加し、23億ユーロとなった。取消不能貸出コミッ
トメントは、841億ユーロとなり、前年の水準を上回った。41億ユーロの増加額のうち、27億ユーロは 輸出金融お
よびプロジェクト・ファイナンス事業部門によるものである。 信託に保有する資産のうち、信託に保有する貸出金
等の額(主に連邦共和国の予算資金から提供される発展途上国を支援するためのローンで構成される。)は、2億
ユーロとわずかに減少し、122億ユーロとなった。
その他の銀行および顧客に対する貸出金等は209億ユーロで、前年の238億ユーロを大幅に下回った。かかる項目
には、とりわけ、一般的な流動性管理目的の短期の担保付投資および無担保投資ならびにデリバティブ事業の担保
管理に関連したものが含まれる。かかる減少は、主に短期の担保付投資に影響を与えた。
有価証券および投資 の総額は、前年と同水準の357億ユーロとなった。
有価証券および投資
2018 年 2017 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
債券およびその他の確定利付証券 32,867 30,900
株式およびその他の不確定利付証券 0 0
株式投資 2,818 2,672
43 43
非連結子会社株式
35,729 33,615
合計
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有価証券ポートフォリオは2018会計年度に6%増加しており、有価証券および投資の主要な構成要素となってい
る。ポートフォリオの増加は、短期金融市場証券の額が3億ユーロ増加して16億ユーロとなったものの、債券およ
びその他の債務証券が17億ユーロ増加して312億ユーロとなったことにほぼ完全に起因している。加えて、株式投
資は1億ユーロ増加して28億ユーロとなった。
主にリファイナンス取引をヘッジするために使用される正の公正価値を有するデリバティブは、前年の142億
ユーロからほぼ変わらず、148億ユーロとなった。原資産のポートフォリオに係るマクロヘッジ処理による評価調
整額は、96億ユーロから91億ユーロへと減少した。
財政状態計算書のその他の資産勘定項目については、小幅な変動があったのみである。
財政状態の推移
KfW グループの国際資本市場における資金調達戦略は、「ユーロおよび米ドル建のベンチマーク債」、「その他
の公募債」および「私募」の3つの柱に基づいている。債務証書の形式で調達した資金は、引き続き重要な役割を
果たし、総資産に占める割合は前年と変わらず86%であった。
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借入金 は、169億ユーロ減少して4,391億ユーロになった。
借入金
2018 年 2017 年
12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期資金 44,051 40,481
債券および手形 376,842 366,105
18,211 15,580
その他の資金調達
439,104 422,165
合計
KfW グループの主要な資金源は、KfWが発行する中長期債および手形であった。2018年末において、これらの資金
は、3,768億ユーロ(2017年12月31日現在は3,661億ユーロ)に達し、借入金の86%を占めた。短期コマーシャル・
ペーパーの発行額は、16億ユーロ増加して417億ユーロとなった。要求払預金および定期預金を含む短期資金の総
額は、441億ユーロとなった。KfWのその他の資金調達は、前年比6億ユーロ減少して64億ユーロとなった銀行およ
び顧客からの約束手形(債務証書借入: Schuldscheindarlehen )に加えて、連邦共和国に対する債務およびデリバ
ティブ事業による取引先リスクの縮小を主な目的として受領した現金担保62億ユーロ(2017年末は42億ユーロ)で
主として構成されている。
貸出金をヘッジするために主に使用された負の公正価値を有するデリバティブの簿価は、主に市場パラメーター
の変動により174億ユーロから50億ユーロ減少して、2018年末に124億ユーロになった。
財政状態計算書のその他の負債勘定項目については、小幅な変動があったのみである。
株主持分 は303億ユーロで、IFRS第9号の初回適用における2億ユーロのマイナスの影響を考慮しても2017年末の
287億ユーロを大幅に上回った。かかる増加は、主として16億ユーロの連結利益によりもたらされた。株主持分の
増加により、総資産が増加したにもかかわらず、資本比率は2017年末現在の6.1%から2018年12月31日現在には
6.2%へとわずかながら改善した。
株主持分
2018 年 2017 年
12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金 8,447 8,447
そのうちERP特別基金からの助成準備金 7,150 7,150
ERP 特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 17,371 15,500
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600 600
-594 -295
再評価準備金
30,315 28,742
合計
連結利益は、利益剰余金に割当てられた。
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3) リスクの報告
主要な指標の概要
リスクはKfWグループの内部リスク管理に従い報告されている。主要なリスク指標を以下に示している。
自己資本比率のわずかな低下の主因は、リスク管理の方法および為替レートの変動ならびに格付の低下であっ
た。
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投資適格のネット・エクスポージャーのシェアはネット・エクスポージャー合計の74%を構成した。リスク引当
金(ステージ1から3)の大部分は引き続き安定しており、2018年において16億ユーロ(2017年12月31日現在は15億
ユーロ)となった。
2018 年において、超過分カバレッジの範囲が拡大した。リスク許容能力は、99.99%のソルベンシー・レベルが
明確に保証されている。
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市場価格リスクに係る自己資本要件は、前年比でわずかに増加した。これは、内部管理の一環としてリスクの許
容度を高める予定であることから、主に金利リスクに係るECAP要件の増加によるものであった。
流動性リスク指標は、2018年を通して内部限度を大幅に下回った。
リスク・シナリオの更新およびモデリングの改善により、2018年において経済的資本要件の削減がもたらされ
た。
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最近の動向
世界経済は、2018年において6年連続で3%を上回る実質成長率を記録し、その勢いは前年同様に高い水準であっ
た。この健全な成長は、先進工業国および新興経済国の多くにおいて、総じて経済動向が広範囲にわたり安定して
いたことによるものであった。しかしながら、先進工業国の中でも、米国のみが成長率の大幅な上昇を示し、カナ
ダ、ユーロ圏(特にイタリア)、日本および(ブレグジット投票後の予測通り)英国においては成長の鈍化がみら
れ、場合によっては著しい鈍化もみられた。英国では、EU離脱方法に関する不確実性によって、従来の双子の赤字
(財政収支と経常収支がともに赤字であること)および工業部門における比較的弱い国際競争力といった、以前か
ら知られていた問題が浮き彫りとなり促進された。実際にハード・ブレグジット(すなわち合意なきブレグジッ
ト)となった場合には、ブリテン諸島における景気後退も考えられる。主要な新興経済大国については、中国は成
長の勢いが緩やかに減速した一方で、インドは前年の高水準の成長率を拡大させることができた。ブラジルおよび
ロシアは2017年に始まった不況からの脱出の道を歩み続け、成長率はわずかに上昇したが、南アフリカは前年に比
べて成長の著しい鈍化に苦しんだ。経済政策による刺激により発生し、持ち直した消費者および企業の前向きな景
況感の継続ならびに工業生産の増加が、多くの国々における幅広い成長の確保に貢献した。現在の景況感指標およ
び受注高は、先進工業国および新興経済国の多くにおいて成長が緩やかに減速すると示唆しているものの、基本シ
ナリオにおける成長率予測は、2019年についても引き続き良好である。
しかしながら、2018年における世界経済の安定した景気回復の継続は、過去の景気上昇期と比べて景気動向が控
えめであるという事実を変えるものではない。顕著に景気が回復しているにもかかわらず、2008年の金融危機の後
遺症は、2018年においても生産性、投資、賃金動向および貿易の分野で明らかである。先進工業国における経済の
勢いの加速は、主として継続的な拡張的金融政策および財政政策の緩和によって後押しされた。この経済政策のマ
イナス面は、低金利の長期化によりリスク許容度が増加しかつ(特に住宅用不動産市場において)資産価格が上昇
したため、金融市場において着実にリスクが高まることである。過去に比べて成長率も低い新興経済国および発達
途上国における成長発展ならびにそれによる景気回復の足取りは、改革に向けた取組みの縮小または遅延および政
府債務の増加による金融リスクの高まりによって阻止されている。また、最近の米国連邦準備制度理事会による金
融政策の引締めにより新たな金融危機がもたらされるというリスクが高まっているが、これはとりわけ、民間部門
(家計および企業)の債務水準がしばしば高く、かつ上昇傾向にあるという現象が広まったことで、多くの国々
(例えば、アイルランド、ベルギー、カナダ、中国、シンガポール、ベトナム、ブラジル、チリおよびトルコ)に
おいて民間部門の外的衝撃に対する脆弱性が顕著に高まったことに起因するものである。さらに、利上げによる資
金流出が、高い経常赤字を有する新興経済国の多くにさらなる圧力をかける可能性がある。
KfW グループは、これらの動向を継続的に観察および評価している。2018年におけるカントリー・リスクの評価
の下方修正は、前年と同様に、主に外的衝撃を非常に受けやすい国(とりわけ高い経常赤字および/または高水準
の債務を有する経済国)および政治的リスクが著しく増加している国に関するものであった。
ドイツの銀行市場では、中小規模の金融機関および住宅金融組合が引き続き、低金利および規制要件の引上げの
影響を感じていた。好調な景気および貸出事業に係るリスク引当金の減少にもかかわらず、多くの銀行の収益性
は、依然として低い水準であった。受取手数料は回復したものの、正味受取利息の減少を補うことはできなかっ
た。競争の激しいドイツの銀行市場は、費用および(例えば、デジタル化による)変化による大きな圧力とあい
まって、金融機関に対してその事業モデルを適合させるよう迫っている。
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イタリア政府とEUの間の財政を巡る対立の結果、イタリア国債の利率が過去最高の2013年の水準まで一時的に上
昇した。銀行は、多額の不良債権(NPL)に苦しみ、イタリア国債への大規模投資の市場価値の下落による評価損
の増加に直面した。
米国とトルコの対立により、トルコリラの下落が一時的に加速した。困難な状況は、外貨のリファイナンスへの
依存度が高いトルコの金融市場のほか、国内銀行にとっても、ますます厳しいものとなっている。
ECB は、資産買入プログラム(以下「APP」という。)に基づく買入れを、予定通り12月に終了した。米国連邦準
備制度理事会、ECBおよびイングランド銀行が実施したストレス・テストは、銀行の頑健性が全体的に高まったこ
とを示した。しかしながら、ドイツ、イタリアおよび英国の一部の金融機関については、その脆弱性が明らかで
あった。
中国の金融市場では、米国との貿易紛争により、実施された取引件数が減少し、その結果、一部の主要銀行にお
いて、関連する手数料が減少した。この紛争はまた、すでに重債務を抱えている中国企業に対してマイナスの影響
を及ぼし、すでに悪化していた銀行ポートフォリオの信用の質にもマイナスの影響を及ぼした。
インドの金融部門も、一定の例外事例を示した。中程度の資金源、高い不良債権および低い収益に加え、2018年
2月に発覚した大手国有銀行における約20億米ドルの不正も、様々な銀行の内部統制の脆弱性を示した。ノンバン
ク金融会社(NBFC)部門では、大手金融機関がそのコマーシャル・ペーパーの債務を返済することができず、債務
不履行となった。その結果、他の市場参加者のリファイナンス費用が著しく増加し、満期変換における脆弱性が露
呈された。
リスク軽減策を早期に実施できるよう、銀行市場の動向が定期的に観察および評価されている。
安定した国内需要を背景に、上記のマクロ経済的要因により、2018年に比べて控えめではあるが、2019年におい
ても引き続き、ドイツおよび欧州の企業部門は、好調な基礎業績が見込まれている。また、様々な形の圧力
(ディーゼル、貿易紛争、ブレグジット、エレクトロモビリティへの移行、新たな競合他社等)が今日まで非常に
安定していたドイツの自動車業界に影響を及ぼし始めることを排除することはできない。世界中の紛争多発地域に
おいて状況が悪化しない限り、当グループは、ポートフォリオの信用の質について全体的に安定して推移すると予
想している。関係する副次的ポートフォリオは継続的に厳密に監視される。
KfW は、KfWグループの各事業部門に対するブレグジットの影響を評価し、移行期間のない「ハード」ブレグジッ
トとなった場合の慎重な仮定に基づく措置について選択肢を導き出した。OTCデリバティブ、短期金融市場、有価
証券および発行事業(KfWの事業パートナーとなる新たなEU事業体の認定プロセス、OTCデリバティブに関する枠組
み契約の構造についての契約交渉、既存ポートフォリオのEU事業体への中期的な移転)に関しては特に技術的な措
置が必要である。中央清算機関に関しては、KfWの事業パートナーに何らかの影響が及んだ場合、KfWに対する影響
は間接的なものにとどまる。信用リスクに対する潜在的な影響は、概して許容可能である。無秩序なブレグジット
に対して必要なKfWグループの備えは進んでいる。現時点では、ハード・ブレグジットによる影響は、KfWにとって
耐えうるものであると考えている。
総合的には、2018年において当グループのポートフォリオは安定した業績を収めた。認識可能なすべてのリスク
は、保守的な基準を用いて測定されており、リスク管理ガイドラインの体系的な実施を通じて、KfWグループの新
しい経営管理において考慮されている。定期的に行われるリスクの許容能力の計算は、KfWグループが保守的なス
トレス・シナリオに基づく場合でも、その任務に関連して引き受けたリスクを許容できることを示している。
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2018 会計年度において、前年までと同様に、KfWグループは、現在の銀行規制を踏まえた上で、リスク管理およ
び制御のプロセスと手段を体系的に改善した。これは、特に特定の国々における取引先の債務不履行リスクおよび
リスクの集中を制限する概念の今後の策定、信用リスク方法のさらなる開発、ならびに事象データ、シナリオおよ
び措置を記録するための新たなオペレーショナル・リスク標準ソフトウェアの導入に関係していた。また、KfWグ
ループの自己資本充実度に関する評価プロセス(ICAAP)がさらに策定された。例えば、年1回行われる自己資本充
実度に関する評価プロセスの充実度評価は、再設計され、大幅に拡大された。さらに、内部リスク負担能力の概念
の監督上の評価に関する新たなガイドラインにつき、2019年以降の実施に向けて準備が行われた。
リスク管理の基本方針および目的
KfW グループには法で定められた助成任務があり、特別な地位と機関構造の基盤が与えられている。持続可能な
助成は、KfWグループの最も重要な目的である。KfWグループの助成任務を最も適切に遂行するために利用可能な財
源を有効に活用するには、発生したリスクを測定し、統制することが不可欠である。KfWグループは、そのリスク
管理の一環として、その当期および予想利益状況ならびにリスクの変動との関連で管理できると思われる範囲での
みリスクを負っている。KfWグループのリスク/リターン管理は、助成銀行の特性を考慮に入れたものであり、規制
要件の遵守をKfWグループの事業活動の基本的な必須条件としている。
KfW グループのリスクカルチャーは効率的なリスク管理の基礎を形成しており、かかる様式の大部分は、利益創
出を第一の目的とせず、トレーディング勘定を持たない助成銀行のビジネスモデルを特徴としている。行動規範に
加え、リスクカルチャーはオープンなコミュニケーション、明確な責任および適切なインセンティブ体制によって
も特徴付けられている。このテーマに特に重点的に取り組んでいるのは「リスクカルチャーのさらなる発展」プロ
ジェクトであり、これはとりわけ、リスクカルチャーの目標の定義およびリスクカルチャーを評価するための手順
の策定に関係している。組織内のリスクの管理および統制の実務知識を固めるために、KfWグループは、従業員に
対し、リスク問題に関するモジュール方式のプログラム等の研修を実施している。この研修プログラムにより、
KfWグループ全体の経営陣および経営陣ではない従業員は、基礎知識を得たり、その専門的な知識を深めたりする
ことができる。
リスク管理およびモニタリング体制
リスク管理機関および責任
KfW の 執行理事会は、その責務全般の一部として、KfWグループのリスク管理方針を定めている。監事会は、KfW
グループのリスク状況について、少なくとも四半期毎に情報提供を受けている。監事会が設置したリスク・信用委
員会は、主にKfWグループの現在および将来の全体的なリスク許容度およびリスク戦略に関する監事会への助言に
つき責任を負い、かかる戦略の実施を監視することにより監事会を支える。リスク・信用委員会は、KfWの定款に
基づき委員会の許可が必要とされるローン(経営陣へのローンを含む。)の承認、事業レベルでの株式投資、資金
調達およびスワップ取引に関する決定を行う。監査委員会は、とりわけ会計処理ならびにリスク管理システムおよ
び内部モニタリング手続の有効性の監視を行い、また、個別年次財務書類および連結財務書類の承認につき、監事
会に提言を行う。
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KfW グループ内のリスク管理は、密接に関連し合った複数の意思決定機関によって行われている。組織の頂点に
立つのが執行理事会で、リスク管理方針において重要な決定を下し、そのために必要な関連情報を受領する。執行
理事会の下の階層には、執行理事会のために決定の起草を行い、またその権限の範囲内において独自の決定をも行
う3つのリスク委員会(信用リスク委員会、市場価格リスク委員会およびオペレーショナル・リスク委員会)があ
る。かかる委員会はKfWグループの管理機能も果たすため、KfWの子会社の代表者も含まれる。追加的な作業部会が
これらの委員会の準備作業を行っている。委員会による決議は、単純多数により採択され、経営管理部および事務
処理部( Marktfolge )ならびにリスク制御部が決定に対する拒否権を持つ。すべての委員会は、執行理事会に上申
することができる。
信用リスク委員会
信用リスク委員会は、最高リスク管理責任者が委員長を務め、週に1回開かれる。当該委員会の議決権を持つ他
の委員は、信用リスク管理部の部長、フロント・オフィスの責任を有する執行理事およびKfW IPEX銀行の最高リス
ク管理責任者(以下「CRO」という。)である。週に1回行われる信用リスク委員会の会議は、貸出に関する重要な
決定に関係し、そこではKfW IPEX銀行およびDEGのエクスポージャーも提示される。さらに、カントリー・リスク
および部門別リスクを含む現在のローン・ポートフォリオの推移については月1回、必要に応じて議論され、DEGの
CROはこれらの議論においても議決権を有する。四半期毎に行われる追加的な会議には、リスク制御部の部長、信
用リスク問題により重大な影響を受けた事業部門の部長およびDEGのCROも参加する。内部監査部、グループ成長部
および法務部の職員はゲスト資格を有する。この四半期毎の会議は、一般的な信用リスク事項に関する議論および
決定を伴う。これには、リスク状況およびリスク管理ならびに信用リスクの方法および管理方針についての報告お
よび決議案の起草が含まれる。規制要件の進展、その影響およびKfWグループにおける実施プロジェクトの進捗状
況についても報告される。
当該委員会は、様々な作業部会により支えられている。ソブリン格付作業部会は、カントリー・リスクを評価す
る中心的な部会として役割を果たしている。担保作業部会は、担保承認・評価のあらゆる基本的側面に対応するこ
と、特に使用する手法およびその有効性ならびに担保管理手順に関して責任を負う。格付システム作業部会は、信
用リスク測定手段および格付手順の責任を負う。部門別リスク作業部会は、コーポレート・セグメントにおける部
門および商品に関連する信用リスクについて分析する。各作業部会において行われた決定および扱われた重要な問
題についても、議事録により定期的に報告される。
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市場価格リスク委員会
市場価格リスク委員会は、最高リスク管理責任者が委員長を務め、月に1回、また必要に応じて随時開かれる。
資本市場事業および財務に責任を負う執行理事も当該委員会に参加している。当該委員会の正規委員には、リスク
制御部、金融市場部、経理部、取引管理部およびグループ成長・経済部の各部長ならびにKfW IPEX銀行およびDEG
のCROも含まれる。内部監査部およびコンプライアンス部は、ゲスト資格で参加する。市場価格リスク委員会は、
KfWグループの市場価格リスク・ポジションについて議論し、毎月市場価格リスク戦略を評価する。また、当該委
員会は、KfWグループの流動性リスク・ポジションを監視し、市場価格および流動性リスクの管理のための原則お
よび方法、資金調達、移転価格ならびに商取引のための評価モデルに関するあらゆる問題について決定する。当該
委員会は、金利リスク戦略についての執行理事会の最終決定を起草する。
さらに、市場価格リスク委員会は、主にIFRSのヘッジ会計の利益への影響およびそのさらなる展開に対応する
ヘッジ委員会ならびに市場価格リスク作業部会によって支えられている。検証報告書およびモデル変更の承認に加
え、かかる市場価格リスク作業部会は、測定に関する問題のみならず市場価格リスクおよび流動性リスクに関連す
るその他の方法論的な問題についても策定し、決定しまたは市場価格リスク委員会による決定を起草する。
オペレーショナル・リスク委員会
オペレーショナル・リスク委員会は、四半期に1度開かれ、部署横断的管理ならびにオペレーショナル・リスク
および風評リスクに関して必要な決定および承認、また事業継続性管理(BCM)を含むグループのセキュリティに
ついて執行理事会を支えている。オペレーショナル・リスク委員会は、委員会の委員長を務める責任を有する最高
リスク管理責任者、さらに執行理事(委員会の副委員長)およびKfWのすべての取締役から構成される。KfW IPEX
銀行、DEGおよびKfWキャピタルも当該委員会に参加している。内部監査部も委員会に参加するが、投票権は持たな
い。当該委員会の役割は、ガイドラインに規定されるリスク管理方針ならびにリスク管理サイクルにおける第1の
防衛線において適用される方法および手段を決議することである。当該委員会は、グループ全体の管理方法につい
ての決定も行う。さらに、当該委員会は、様々な方法および手段を通じて得られた結果に基づくリスク状況につい
て議論し、適切なリスク管理を目指してグループ全体の措置の必要性についての評価を行う。事業継続性管理の分
野において、当該委員会は、毎年のビジネス・インパクト分析の結果を用いて、危機回避および緊急計画措置を策
定している。モニタリングは、計画または実施された緊急対策および危機対応チームによるテストならびに重大な
事業の混乱についての報告に基づいて行われている。オペレーショナル・リスク委員会によるすべての決議および
勧告は、執行理事会に提示される。当該委員会は、グループのセキュリティおよび事業継続性管理に関する事項に
対処するためのグループ・セキュリティ理事会(GSB)ならびに分権化されたオペレーショナル・リスクおよび事
業継続性管理のための部門の責任者(BOB)に代わる小委員会としてオペレーショナル・リスク作業部会を組成し
た。
さらに、KfWグループの子会社および組織事業体は、グループ全体のリスク管理システム内でそれぞれ自己制御
機能を実行している。このような事業体においても、当グループ全体のプロジェクトや作業部会は、例えば子会社
に対する格付手段の展開や担保の管理および評価において、協調の取れた手法を確保している。リスク管理および
リスク制御活動を開発し構築する責任は、市場事業外の特にリスク制御部門に含まれている。
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KfWグループのリスク管理手法
概要
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定義されたリスク許容度に沿った自己資本充実度および流動性の十分性を確保するため、リスク制御部は、関連
する子会社と共同でグループの リスク戦略 の策定および実施にあたり執行理事会を支えている。
KfW グループのリスク戦略は事業戦略に沿ったものであり、KfWグループの事業モデルに関する規制要件を考慮に
入れている。リスク戦略により、KfWグループの長期目標および戦略的リスク目標がオペレーショナル・リスクの
管理へと変更された。これには、主要な事業活動に関するリスク管理目標および目的達成のための手段を設定する
こと、ならびにKfWグループの主要なリスクに関するリスク選好を決定することが含まれる。
KfW グループは、その重要なリスクを決定するために、少なくとも年に1度 リスク調査 を行っている。リスク調査
は、構造化プロセスにおいてKfWグループに関連あるリスクの種類を特定・定義し、これらのリスクの重要性を評
価する。リスクの種類が重要であるかは、主にKfWグループの純資産、利益および流動性に係る定量化できる潜在
的危険性、ならびに執行理事会により定義される重要性基準によって決定される。リスク調査の主な結果は、KfW
グループの重要なリスクと重要でないリスクの種類の概要を提供する総合的なリスク・プロファイルである。2018
年の調査は、KfWグループが以下の重要なリスク、すなわち信用リスク、市場価格リスク、流動性リスク、オペ
レーショナル・リスク、株式投資リスク、規制リスク、プロジェクト・リスク、風評リスクおよびグループ内リス
クに直面することを特定した。リスク調査では、特定のリスクの種類内または様々なリスクの種類の重要なリスク
のいずれかに関連する リスクの集中度 が考慮されている。
リスク報告は、規制要件(MaRisk)に沿って行われる。執行理事会は、KfWグループのリスク状況について月に1
回報告を受けている。リスク報告書は、KfWグループの監督機関宛てに四半期毎に発行される。それぞれの組織に
は、必要に応じて随時通知される。リスク管理・制御部の使用するリスク指標および情報システムは継続的に見直
されている。
KfW グループ全体のリスク測定および制御の方法および手段は、定期的に検証され、必要に応じてさらなる開発
を通して調整されている。財務報告測定に関するモデルとともに、信用リスク、市場価格リスク、流動性リスクお
よびオペレーショナル・リスクを測定、制御および価格設定するモデルに特に焦点が当てられている。検証および
さらなる開発活動は、規制要件を考慮に入れる。
リスク管理手法は、KfWグループのリスク・マニュアルに記載されている。リスク・マニュアルは、統一された
方針や手順の適用およびリスクの特定、測定、制御およびモニタリングのための方針に係る枠組みを定めている。
リスク・マニュアルに記載された規則および規制は、KfWグループ全体を拘束し、全従業員が閲覧することがで
き、継続的に更新されている。KfWグループ全体に関する規制は、各事業部門の個別の規則により補完される。KfW
グループのリスク管理手法のその他の要素の詳細については、下記の項を参照のこと。
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自己資本充実度に関する評価プロセス
KfW グループの自己資本充実度に関する評価プロセスは、リスク許容能力に関する規制要件と経済的要件の遵守
がKfWグループにとって同じように重要な包括的目的であることによって特徴付けられている。したがって、すべ
てのリスク・モニタリングおよび管理尺度は、経済支払能力目標および規制上の自己資本比率に関する最低要件の
両方を遵守していることを確保しなければならない。この手法は、経済的に実行可能な資本管理と、規制上の自己
資本要件を遵守する義務とを結びつけている。かかる2つの観点の緊密な統合の基礎として、KfWグループは、資本
について統一的な定義を採用している。規制(EU)第575/2013(CRR)第25条から第91条までに沿った規制資本が
両方の観点から利用可能な財源として使われている。
自己資本充実度に関する評価プロセスのもう1つの中核的な特徴は、さらなる先見的な構成要素による予防的措
置の重視である。これらの措置は、特定の経済(ストレス)シナリオにおける、KfWグループの準備金の潜在的吸
収力、すなわち行動する能力を評価する。これに関連して警告システムが設立され、戦略的運用管理の一環として
危機的状況が生じた場合に求められる行動を知らせる規制リスク許容能力および経済的リスク許容能力の限界値が
定められた。
リスク許容能力を確保するために、各事業部門/分野のRWAに基づく予算が考慮される。配分された予算は、様々
な種類のリスクについて各事業部門/分野が既存事業および新規事業を支援するために利用することができる。資
本配分はKfWグループの事業部門の年次計画の一環として実施される。各事業部門計画により生じた要件に加え
て、かかるプロセスは、リスク目的および当公庫のリスク許容度も考慮に入れる。月毎に予算遵守状況が確認さ
れ、必要に応じて措置が実施される。さらに、経済的資本予算は、その集中管理としてかつ変数を制限するため、
各リスクの種類毎に設定されており、毎月監視される。
債務超過を回避するため、さらなる管理の一種として、レバレッジ比率は、自己資本充実度に関する評価プロセ
スに統合された。レバレッジ比率は、追加的な将来の予測において考慮され、四半期毎に確認される、警告システ
ムにおける限界値を遵守する。
KfW の リスク許容能力の概念に加えて、資本計画プロセスは中期的な自己資本充実度の変動を監視する。 シナリ
オベースの 複数年の観測期間にわたる 推定を用いて 、資本計画プロセスは、 資本の潜在的な障害を早期に特定し、
必要に応じて資本強化、またはリスクを軽減させる行動のための提言を引き出すことができる。かかるプロセスに
は、戦略的目的、事業活動および経済環境の変更が考慮される。自己資本充実度指標は、基本ケースに加えて、ス
トレスケースにおいても観察される。資本計画は、KfWグループ全体の計画および戦略プロセスの一環として実施
される。
リスク許容能力の概念は、その適切性について年に1度見直しが行われる。その結果は、リスク許容能力の評価
において考慮される。
2018 年5月、リスク許容能力の概念に関する改訂ガイドラインが公表され、その手続の銀行管理全体への統合に
より、ドイツの銀行監督機関は銀行のリスク許容能力の概念に関する要件を根本的に改良した。ガイドラインで要
求されている規範的な視点および経済的な見通しを実行するために、KfWは2018年においてリスク許容能力の概念
に対して大幅な改良を加え、2019年1月よりリスク許容能力の算定に適用する予定である。
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規制リスク許容能力
主要な規制数値(先進的IRBAの準用に基づく)
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
CRR 第92条に準拠したリスク・エクスポージャー合計 140,832 133,072
信用リスク 133,785 126,180
市場価格リスク 1,276 1,233
オペレーショナル・リスク 5,798 5,660
規制資本(利用可能なリスク担保財源) 28,297 27,347
Tier 1 資本
28,278 27,347
Tier 2 資本
19 0
Tier 1 資本比率
20.1% 20.6%
総自己資本比率 20.1% 20.6%
KfW は予想通り、2017年6月30日付で、先進的IRBAに従って規制上の自己資本比率を計算するための初期承認を一
部得た。KfWは、2022年までにその他のポートフォリオのセグメントのための追加的な承認を得ることを目標とし
ている。その一方で、まだ承認されていないポートフォリオのセグメントは、一般的にはより資本集約的なCRSAを
適用することで評価される。自己資本比率は年間を通してわずかに減少したが、これは手法および為替レートの変
更に加えていくつかの事業パートナーの格付の引下げによるものである。2018年末の総自己資本比率は20.1%とな
り、これは全体の自己資本要件を引き続き上回った。
総自己資本比率の最低要件
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
TSCR 13.8% 13.0%
資本保全バッファー 1.875% 1.250%
0.114% 0.054%
カウンターシクリカル資本バッファー
15.7% 14.3%
全体の自己資本要件(OCR)
経済的リスク許容能力
経済的リスク許容能力を評価するために、KfWグループは、重要な定量化できるリスクによる潜在的損失に係る
経済的資本要件を、利用可能な財源と比較している。KfWグループは、経済的資本要件の計算を99.99%のソルベン
シー・ターゲットで、1年の対象期間に基づき行っている。様々な種類のリスクに係る経済的資本要件は、加算に
よって合計され、多様化の効果は考慮しない。
KfW グループにおける最も重要なリスクの種類は、 信用リスク である。信用リスクとは、事業パートナーがKfWグ
ループに対する支払義務を全く履行しない場合、期限までにもしくは満額で履行しない場合(債務不履行)、また
は事業パートナーの信用格付が悪化した場合(マイグレーション)の損失リスクを意味する。信用リスクは、デリ
バティブ取引の決済に関連する決済リスクを含む。信用リスクに係る経済的資本要件は、主に統計モデルを用いて
リスク制御部が数値化する。取引先リスクに関する損失可能性は、ローン・ポートフォリオ・モデルおよびリスク
尺度である「クレジット・バリュー・アット・リスク」を用いて計算される。クレジット・バリュー・アット・リ
スクと予想損失との差異を経済的資本要件という。マイグレーション・リスクは、シナリオに基づきリスク許容能
力の算出の先見的な構成要素において考慮される。決済リスクについては、経済的リスク許容能力の計算に、異な
る定量化アプローチに基づいて決定された年間を通して有効であるバッファーが適用される。
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事業レベルでの 株式投資 における経済的資本要件は、取引先リスクおよびマイグレーション・リスクと同じ方法
で測定される。
市場価格リスク の経済的資本要件はバリュー・アット・リスクの概念に基づいて計算されている。第2の柱の経
済分析は、銀行勘定における金利リスク、外国為替リスク、有価証券の信用スプレッド・リスクおよびベーシス・
スプレッド・リスクを考慮している。現在の価値または価格を失う可能性については、統計モデルに基づくバ
リュー・アット・リスクを用いて市場価格リスクの種類毎に決定される。さらに、金利リスクおよび外国為替リス
クのためのストップ・ロス・バッファーが定義され、資本に裏付けられている。最終的には経済的資本要件はバ
リュー・アット・リスクおよび追加的なストップ・ロス・バッファーの合計として決定される。
オペレーショナル・リスク の 経済的 資本要件は、最新の測定方法に関する規制要件に基づいて作成された内部統
計モデルを用いて計算される。内部事象や外部事象に関するデータおよびリスク・シナリオには、リスク感応度の
高い方法を用いている。自己資本要件は、各事業部門における多様化の効果を用いて計算される。さらに、グルー
プ内のオペレーショナル・リスク管理の質の測定は、自己資本要件に適用されるプレミアムおよびディスカウント
を生む。
リスク許容能力に関しては、 プロジェクト・リスク も考慮された。主要なプロジェクトの数値化された個別リス
クおよびプロジェクト・ポートフォリオにおける潜在的損失に関する一般的な想定の両方がリスク測定に含まれて
いる。
KfW グループは、固定資産として保有する 有価証券の隠れ負担金 ( stille Lasten )も直接に経済的資本要件とし
て含めるが、相殺される隠れ準備金( stille Reserven )を含めない。
この方法を用いると、2018年12月31日現在の経済的リスク許容能力は、99.99%のソルベンシー・レベルを満た
した。2018年12月31日現在の総自己資本要件額を上回る利用可能な財源の超過分カバレッジ9,928百万ユーロは、
2017年12月31日(9,119百万ユーロ)と比べて増加した。かかる増加は主に、2017年第4四半期および2018年上半期
注1)
の中間業績を含めたことによる、潜在的リスク担保の改善に起因している。総経済的資本要件は、その一方
で、わずかに増加した。信用リスクに係る自己資本要件は2017年とほぼ同水準である。市場価格リスクに係る自己
資本要件の増加は、主に金利リスクの上昇によるものである。オペレーショナル・リスクおよびプロジェクト・リ
スクに係る自己資本要件はわずかに減少した一方で、有価証券の隠れ負担金は増加した。
注1)
監査意見発行後の2019年3月31日までは、2018年下半期の業績は考慮されない。
当グループは、主に適切な内部のリスク指標に基づき、 流動性リスク を管理している。さらに、流動性ギャップ
の最大限度(月次および年次ベースでの支出)、利用可能な流動性(潜在的流動性)および流入と流出の平均残存
期間の差異(マチュリティ・ギャップ)が監視される。KfW法に基づき、KfWの流動性リスクはKfW法第4条に従った
利用閾値を活用することにより、追加的に制限されている。利用閾値は流動負債および固定負債を比較し、10%を
超えてはならない。流動性の状態に関する内部指標は、異なる深刻さのストレス・シナリオにおける比率としての
流動性要件と潜在的流動性との比較に基づいている。リスク許容能力の計算の一環としての資本は、現在割り当て
られていない。
風評リスク は、定量的基準に基づいて評価および管理される。リスク許容能力の計算の一環としての資本は、リ
スクの重要性が、主にKfWが政府所有の機関であり高い道徳的責任を有していること、およびそれに相応する期待
を社会全般およびその他の利害関係者から寄せられることに基づくため、現在割り当てられていない。よって、重
要性はKfWグループの純資産、収益または流動性において確認された減少または潜在的な減少に基づくものではな
い。
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KfW グループのリスク測定は、銀行実務で使用されている最新モデルに基づいている。ただし、各モデルは、複
雑な現実を単純化したものであり、過去に確認したリスク・パラメーターを将来の代表例とみなしうるという前提
に基づいている。潜在的要因とその複雑な相互作用のすべてが特定され、ポートフォリオのリスク推移のモデルと
なるわけではない。KfWグループが信用リスク・モデルと市場価格リスク・モデルの双方でストレス・テストを実
施している理由の1つはここにある。KfWグループはさらに、そのリスク・モデルおよびプロセスを改良すべく継続
的に取り組んでいる。
ストレスおよびシナリオ計算
リスク許容能力の概念において、早期発見機能を強化し、一層の予防的措置を重視するために、KfWグループ
は、四半期毎に予測シナリオ(基礎のシナリオ)、下降シナリオ(軽微な景気後退)およびストレス・シナリオ
(深刻な不況)、ならびにそれぞれが経済的リスク許容能力および規制リスク許容能力に与える影響を監視してい
る。この 将来見通し は、当該シナリオが起こった場合のKfWグループの強靭性および行動力を示し、これにより経
営に直接的なインプットを与えている。また、予測シナリオおよびストレス・シナリオも、レバレッジ比率のため
計算される。
予測シナリオは、その年の年末におけるリスク許容能力のプレビューを提供し、これにはリスク許容能力に影響
を与える業績予想、包括利益予想およびその他の影響(例えば、予測可能な資本構造の変化および方法論的推移)
が含まれる。現時点における2019年12月31日予測は、2018年12月31日と比べて、経済的資本要件に対する利用可能
な財源の超過分カバレッジの大幅な増加を示す。同時に、かかる予測は、2018年12月31日と比べて、総自己資本比
率が改善することを示している。
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下降シナリオおよびストレス・シナリオでは、収益への影響と自己資本要件の変化について、12ヶ月間分のシ
ミュレーションを行い、様々な深刻度のマイナスの経済推移シナリオを想定している。ストレス・シナリオでは、
ユーロ圏から広がった深刻な世界的不況の影響が描かれている。両シナリオにおいて、KfWグループは現在、信用
リスク(取引先リスクおよびマイグレーション・リスク)および株式投資リスクの全体的な増加を予想している。
これらのシナリオでは、ユーロおよび米ドルの金利ならびにユーロ/米ドルの為替レートが経済状況に応じて変動
すると予想されている。同時に、市場の不確実性の高まりが、金利、信用スプレッドおよびベーシス・スプレッド
の変動の増大をもたらすと予想され、その結果、類似の種類のリスクに係る経済的資本要件も増加すると予想され
ている。有価証券の価格、オペレーショナル・リスクおよびプロジェクト・リスクからの損失もストレス・シナリ
オにおける利用可能な財源をさらに減少させている。
全体的には、99.99%のソルベンシー・レベルである経済的リスク許容能力、規制上の自己資本比率およびレバ
レッジ比率は、適度な水準である。
KfW グループの経済リスク許容能力および規制リスク許容能力の強靭性を検証するため、経済シナリオに加え
て、さらなるストレス・テストが定期的に実施されている。標準的なストレス・テストに加えて、現在の潜在的マ
クロ経済的危険因子は、変化するシナリオ・ストレス・テストの基礎を形成している。シナリオは、2018年におい
て、想定されるEUにおける信用危機、新興経済国に波及するトルコにおける経済危機およびEUに悪影響を及ぼす困
難なブレグジットの可能性についてのシナリオが重視された。コンセントレーションおよびインバース・ストレ
ス・テストは、好ましくない組合せで具体化するコンセントレーションリスクおよびその他の潜在的危機がどのよ
うにKfWグループの事業モデルを脅かすのかを示すものである。2018年には、バーゼルⅢの最終化に関連して予定
されている規制の変更によるグループの自己資本比率に対する潜在的な影響のシミュレーションを再度行った。
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リスクの種類
取引先の債務不履行リスク
注2)
KfW グループは、その助成任務に関連して取引先の債務不履行リスク に直面する。国内助成貸付事業におい
て、最終借入人の債務不履行リスクの大半は転貸機関により負担される。ビジネスモデルにより、かかる負担が
ポートフォリオにおける銀行リスクの大部分を占める結果となっている。その他の主なリスクは、中小企業向けの
起業融資および株式投資の分野における助成活動により生じる。特に、これらの国内助成セグメントにおいて、
KfWグループは最終借入人から生じるリスクも負う。さらに、KfWグループは、輸出金融およびプロジェクト・ファ
イナンス事業部門に関連するリスクとともに、発展途上国および新興経済国支援に関連するリスクにも直面する。
注2)
取引先の債務不履行リスクは、借入人または取引先が契約上の支払債務を履行しない場合に生じうる財務上の損失リスクと定義される。取引先の
債務不履行リスクには、移転リスク、換算リスクおよび政治リスクで構成されるカントリー・リスクも含まれる。
取引先の債務不履行リスクは、デフォルト確率(以下「PD」という。)、EADおよびデフォルト時損失率(以下
「LGD」という。)を見積もることで測定される。上記3つの変動項目から算出されるものは、統計的に予想される
損失の多年にわたる平均である。予想損失は、CRR第158条における規制要件に基づき、利用可能な財源から予想損
失を差し引くことにより、リスク許容能力を決定する際に考慮される。
KfW グループは、銀行、国、企業、中小企業、新規企業、自営業者および投資ファンドのPDの決定に内部格付手
注3)
順を用いている。この手順は採点表 に基づき、一般的には一貫した統一モデルに従ったものである。特別融資
の重要部分および仕組商品については、シミュレーションおよびキャッシュ・フローに基づく格付方法が使用さ
れ、外部プロバイダーによりライセンスされたものもある。仕組商品については、資産プールのデフォルト・パ
ターンおよび当該取引のウォーターフォール構造に基づき、トランシェ格付が決定される。教育融資の分野による
ものといった、既存の小規模な小売ポジションは、この目的のために特別に設定された手順を用いて評価される。
当該格付手順は1年間のPDを予測することを目指している。原則として、経営管理部および事務処理部がリスク許
容事業の格付を作成する責任を負う。格付は定期的に、少なくとも年に1度は更新される。
注3)
採点表は、数学的・統計学的なモデルおよび専門家の知識に基づいたモデルである。信用格付に適切とみなされる各リスク要因は、その普及また
は価値に従って点数化され、集約のために加重される。
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PD は、KfWグループ全体の統一マスター・スケールに割り当てられ、異なる格付手順および事業部門からの格付
を比べることができる。マスター・スケールは、投資適格、投資不適格、ウォッチ・リストおよびデフォルトの4
グループに分類される20の異なる等級で構成される。マスター・スケールの等級毎にPDおよび平均PDの範囲が定め
られている。各格付手順において関連する責任、能力および統制方式を定める業務手順書がある。内部格付と外部
格付機関の格付との比較可能性を確保するために、外部格付はKfWグループのマスター・スケールに割り当てられ
ている。格付手順は継続的に検証され、さらに改良される。
EAD と担保の評価は、損失の度合いに重要な影響を与える。担保には、LGDの計算においてリスクを緩和する効果
がある。受入可能な担保の評価において、損失(債務削減も含む。)が出た場合の担保実行による予想純収益が決
定される。最終借入人の信用リスクを補填する債務削減は、転貸事業において融資パートナーが実施する譲渡の評
価における重要な要素である。有形担保については、債務削減は、特に市場価格の変動、売却費用および減価償却
によって生じる評価減に適用される。データの入手可能性に応じて、個々の種類の担保を評価する様々な手順は、
社内外の過去のデータや専門家の見積もりに基づいている。ローン担保のリスク管理方針は、KfWグループ全体に
おける統一的な担保の管理、評価および認識を規定する。担保売却による純収益に加えて、無担保エクスポー
ジャー額に対するリカバリー・レートもまた、LGDを決定する重要な要素である。担保評価の手順ならびにEADおよ
びLGDを見積もる手順についても、定期的な検証の対象となり、必要に応じてさらに改良され、新たな規制要件に
ついても対処される。
KfW グループは、新規事業から生じるリスクを限定するために、制限管理システム、リスク・ガイドラインおよ
び様々なポートフォリオ・ガイドラインを設けている。これらの一連のリスク管理手段は貸出取引の二次決議の基
準となり、ローン承認のオリエンテーション・ガイドの役割を果たし、KfWグループのポートフォリオの適切な品
質およびリスク構造を確保する機能を有する。かかるプロセスには、KfWグループの助成事業の特別な性質が勘案
される。KfWでは、グループのリスク管理部が単一エクスポージャーレベルでの二次決議を行う。KfW IPEX銀行お
よびDEGは、それぞれフロント・オフィスから独立した独自の二次決議を行う。関連するビジネス上の意思決定プ
ロセスは、リスクを視野に入れて構築されている。貸出取引は、取引の種類、リスク内容の範囲および取引の複雑
性に応じて、二次決議を必要とする。新規事業を承認する際の認定水準は、格付、担保化またはネット・エクス
ポージャーおよび関係する顧客から成るグループへのコミットメント総額によって決定される。事前に定義された
個別取引(格付および商品タイプによる)については、監事会のリスク・信用委員会にも承認される必要がある。
ポートフォリオ・ガイドラインは、異なる種類の取引先や商品の種類を区別し、一般に行うことができるビジネ
ス取引の条件を規定する。さらに、既存のまたは潜在的なマイナスの影響に対処するため、国、部門および商品に
係るリスク・ガイドラインが定められ、貸出には特定の要件が設けられている。制限管理システムは、最終的に、
リスクの集中(集中限度)および信用格付に依存した個別取引先リスク(取引先限度)の両方を監視する。集中限
度は、ローン・ポートフォリオにおけるリスクの集中を制限し、結果として、多額の個別損失の防止に役立つ。取
引先限度は、取引先別の信用デフォルト・リスクの管理を微調整する役割を果たす。
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既存の高リスク・エクスポージャーは、ウォッチ・リストと不良債権リストに分類される。ウォッチ・リスト
は、潜在的な問題債権を早期に特定し、必要であればかかる債権の処理を準備する役割を果たす。これは、経済状
況、特定の借入人の市場環境および差入担保の定期的な見直しおよび文書化ならびに是正措置の提案(特にリスク
注4)
を制限する措置の提案)の策定を伴う。不良債権および大部分のウォッチ・リストのリスク は、再編担当の部
署に引き継がれる。この権限の委譲により、問題債権の専門的な管理を確保するために、初期の段階から専門家が
関与することが可能となる。このシステムの目的は、再構築、再編成および整理業務を通してローンの回収を果た
すことである。事業パートナーに再編する能力がない、または再編するに値しないとみなされる場合、資産および
関連担保を最適に実現させることが優先される。再編部は、不良債権ならびにKfWのポートフォリオにおける銀行
および1百万ユーロを超えるリスク額を伴う多額のローンに対し、集中的な支援を提供する責任を負う。ポート
フォリオ・信用管理部は、リテール事業の支援について責任を負う。KfW IPEX銀行の集中的なサポートの下での不
良債権およびエクスポージャーは、KfWおよびDEGの信託事業を含み、各子会社により直接管理される。関連する事
業部門に内部連絡規則が整備され、責任と配分の明確な統制を確保している。再編部は、市場部門や中央法務部と
も密接に協力している。
注4)
KfW IPEX 銀行におけるウォッチ・リストの事案についての責任の引受は、リスク管理部が再編担当の部署と協議の上、事案毎に決定される。
銀行部門に危機が発生した場合は、リスク管理部署が社内外で直ちに対応しなければならない。この目的のため
に金融機関の危機対策も体制を整えている。かかる対策は主に、信用リスク管理部の指示の下で行われる作業部会
の創設、即時損失分析および次に必要な措置の実行を規定している。
債務不履行時の最大リスク
IFRS 第7号第36項によると、2017年12月31日現在の金融商品から生じるKfWグループの信用リスクに対する最大エ
クスポージャーは、各リスク・ポジションの損失の合計である。偶発債務や取消不能貸出コミットメントも勘案さ
れている。簿価は、リスク引当金の設定により縮小した。
2017 年12月31日現在の債務不履行時の最大リスク
ヘッジ会計に指定
された 有価証券および
偶発債務および
ヘッジ会計に デリバティブ; 投資;持分法に
銀行に対する 顧客に対する
取消不能貸出
よるマクロ公正価 その他の より会計処理
貸出金等 貸出金等 値からの価額調整
コミットメント
デリバティブ された投資
2017 年 2017 年 2017 年 2017 年 2017 年 2017 年
12 月31日現在 12 月31日現在 12 月31日現在 12 月31日現在 12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
債務不履行時の
最大リスクに相 274,119 126,671 9,648 14,219 34,029 83,733
当する簿価
貸出事業に係る
177 1,280 0 0 2 61
リスク引当金
期日内であり減
損処理されてい 273,674 123,669 9,648 14,219 33,879 83,718
ない簿価
差入担保 151,487 51,108 0 3,797 182 0
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2017 年12月31日現在の個別に減損処理されていない延滞の金融商品
有価証券および投資;
持分法により
銀行に対する貸出金等 顧客に対する貸出金等
会計処理された投資
2017 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
遅延から90日未満 341 1,854 0
遅延から90日以上 52 284 1
合計
394 2,138 1
差入担保 245 452 0
2017 年12月31日現在の個別に減損処理された金融商品
有価証券および投資;
持分法により 偶発債務および取消不
銀行に対する貸出金等 顧客に対する貸出金等 能貸出コミットメント
会計処理された投資
2017 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
簿価 52 864 150 14
個別減損損
26 930 0 8
失、引当金
差入担保 1 446 0 0
債務不履行時の最大リスクの2017年の数値は、2018年12月31日現在の債務不履行リスクおよび債務不履行リスク
の集中度に関する以下の開示情報と比較することができない。また、IFRS第9号の初期導入に起因して、2017年の
数値は、2018年12月31日現在の償却原価で計上された金融商品の信用リスクおよび関連担保とも比較することがで
きない。
2018 年12月31日現在の債務不履行リスクおよび債務不履行リスクの集中度に関する情報(1)
銀行に対する 顧客に対する
有価証券および 投資 貸借対照表外の取引
貸出金等 貸出金等
ステージ ステージ ステージ ステージ
ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ
3
2 3 1 2 2 3 2 3
1 1 1
(単位:百万ユーロ)
投資適格 格付1-4 165,648 0 0 32,677 0 0 23,234 0 0 34,545 0 0
格付5-8 83,773 0 0 28,338 15 0 8,780 16 0 29,042 3 0
投資不適格 格付9-15 29,814 144 0 31,203 1,419 0 719 20 0 20,637 108 0
ウォッチ・
格付16-18 581 309 0 3,432 3,011 0 0 0 0 1,198 259 0
リスト
デフォルト 格付19-20 0 0 127 0 0 17,159 0 0 91 0 0 211
279,816 453 127 95,650 4,445 17,159 32,732 35 91 85,422 370 211
合計
(1) 簿価総額
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2018 年12月31日現在の償却原価で計上された金融商品の信用リスクおよび関連担保
ステージ3の
債務不履行時の
債務不履行時の
ステージ3の担保からのリスク緩和
最大リスク(1)
最大リスク
有形 個人
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 280,201 88 0 25
顧客に対する貸出金等 115,904 16,184 120 15,718
有価証券および投資 32,851 91 0 90
貸借対照表外の取引 85,930 260 0 10
514,885 16,568 120 15,843
合計
(1) 正味簿価(担保およびその他の信用補完措置を除く。)
ステージ3に分類される金融商品の個人向け担保の大部分は、連邦政府の保証および信用保険から成る。これら
には、ギリシャに対する支援策の枠組みの範囲内において負託を受けた、全額保護されている約150億ユーロの委
任取引に関する連邦政府の保証も含まれる。ステージ3に分類される金融商品の有形担保は、船舶抵当権から成
る。
公正価値で測定される金融商品に係る担保のほとんどすべてが、金融デリバティブに係る担保に関連する。かか
る担保は、現金残高の形で各事業パートナーにより提供される。
KfW グループは、従前、不動産担保として保有していた重要な資産を2018年には取得していない。2018年の正常
債権ポートフォリオの条件緩和方策は、主に輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門におけるもので
あった。かかる条件緩和の額は、貸出総額と比較して考えると多くはない。
ポートフォリオ構成
注5)
KfW グループのローン・ポートフォリオ に関連するリスクに対する個別ポジションの寄与度は、内部ポート
フォリオ・モデルに基づき評価される。個々の借入人や借入人グループが集中していると、KfWグループの存続を
脅かしかねないような大規模な損失リスクを生じさせる。経済資本の概念に基づき、リスク制御部は、リスクの集
中を個々の借入人、部門および国毎に測定している。リスクの集中は、主に経済的資本要件に反映され、高いリス
クと好ましくないPDが、望ましくないリスクとの相関関係とともに、勘案されることが確保される。その結果は、
ローン・ポートフォリオの管理の主要な基準となる。
注5)
ローン・ポートフォリオには、貸出金ならびに正常な事業における有価証券および投資が含まれる。不良債権ポートフォリオは、信用の質の表示
においてのみ含まれる。
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地域
ローン・ポートフォリオの経済的資本要件は、全体としてほぼ一定のままであった。ユーロ圏に占める割合は、
エネルギー移行および住宅分野における新規事業、また中小企業銀行および民間顧客事業部門における技術革新に
よりわずかに増加し、88%となった(2017年12月31日現在は87%)。
部門
金融部門に帰属する信用リスクに要する資本全体の大部分は、KfWグループの助成任務によるものである。KfWグ
ループの国内助成事業のうち最大部分は、商業銀行を通じて転貸する融資で構成されている。金融部門の経済的資
本要件は、主に転貸事業の拡大により、全体としてわずかに増加した。金融投資/ファンドの経済的資本要件もま
た、ベンチャー・キャピタルの分野における新規事業に起因して増加しつつある。総経済的資本要件に占める割合
は、その他のすべての部門群においておおむね安定した状態を保っている。
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信用の質
信用の質は、経済的資本要件に影響を与える重要な要因であるため、信用の質の構成を分析する際は、信用の質
注6)
の分類によってネット・エクスポージャーの分布 を検討することが適切である。全体として、ネット・エクス
ポージャーは、主に輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門における新規事業ならびに金融市場事業
部門における短期金融市場の取引高の増大により増加した。この結果、良い格付が付されたクラスおよびより高い
投資適格のエクスポージャーが増加した。投資不適格の割合は主に、リテール・ローン(学生ローン)に特に影響
する手法の変更(LGDモデルの再パラメーター化)に起因して、大幅に減少した。ウォッチ・リストおよびデフォ
ルトの割合は、ほぼ変動がなかった。KfWグループのローン・ポートフォリオの信用の質の構成は、引き続き良好
であった。
注6)
ネット・エクスポージャーは、経済的または政治的債務不履行事由が発生した際に起こりうる経済損失である。
KfW グループのポートフォリオの証券化
証券化は、2018年12月31日現在、約55億ユーロの額面価額を有していた。公正価値および減損を勘案した時価評
価にて当該証券を会計処理すると、ポートフォリオはまた、約55億ユーロの簿価(比例配分金利を含む。)を保有
していた。下の図表は、証券化ポートフォリオの構成を、資産クラス、格付および原資産の地域的分布別に示した
ものである。
原資産プールの地域別内訳(額面価額に基づく)
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
(%)
欧州 99.5 99.3
世界 0 0
北米 0.5 0.7
アフリカ 0 0
アジア 0 0
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額面価額に基づくエクスポージャー
2018 年 2017 年
その他の 12 月31日現在 12 月31日現在
CLO RMBS CMBS ABCP 証券化 合計 合計
(単位:百万ユーロ)
投資適格 0 1,777 ▶ 1,642 2,558 5,381 4,773
投資不適格 0 0 1 0 92 93 50
ウォッチ・リスト 0 0 0 0 0 0 0
15 0 0 0 0 15 21
デフォルト
15 1,777 5 1,642 2,650 5,488 4,844
ポートフォリオ額は、2017年12月31日現在の額と比較して増加した(額面6億ユーロ増)。かかる増加は、主に
投資適格ポートフォリオに関連するものである。原資産プールの地域別内訳において、ポートフォリオ全体は、そ
の最大部分をドイツが占めているため、ほぼすべてが依然として欧州に起因している。総じて、ドイツの証券化を
含む欧州の証券化は、好調であった。欧州の証券化の累積デフォルト率は、低い状態を維持した。
市場価格リスク
KfW グループは、現在価値に基づき市場価格リスクを測定し管理する。これに関連する市場価格リスクの主要な
要因は、以下の通りである。
・ 特にユーロおよび米ドル通貨地域の金利構造(金利リスク)
・ 為替レート(通貨リスク)
・ ベーシス・スプレッド(ベーシス・スプレッド・リスク)
・ 有価証券の発行者関連のスプレッド(信用スプレッド・リスク)
全体として、グループ内の市場価格リスクは、2018年12月31日現在、合計54億ユーロの経済資本を必要とした。
これは、2017年12月31日現在に比べ161百万ユーロ増加した。
KfW グループの市場価格リスクの内訳は、以下の通りである。
市場価格リスクに対する経済的資本要件
2018 年 12月31日現在 2017 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利リスク 3,562 2,975
通貨リスク 769 833
ベーシス・スプレッド・リスク 711 969
361 464
信用スプレッド・リスク
5,403 5,242
市場価格リスク
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金利リスク
KfW グループは、長期的なリターンの機会を得るためにユーロおよび米ドルの限定的な金利リスクを引き受けて
いる。固定金利計算書を作成する際のすべての関連データは、銀行勘定における金利リスクを決定する上で考慮さ
れる。このデータに基づき、KfWグループは、金利リスク・ポジションを評価するために、分散/共分散法を用いて
定期的にバリュー・アット・リスクを計算している。金利リスクの管理構想は、長期管理方針の一部である。金利
による現在価値の短期変動を軽減するために、十分なストップ・ロス・バッファーが維持されている。当該バッ
ファーに加えて、リスク許容能力を算出するために、バリュー・アット・リスクは、99.99%のソルベンシー・レ
ベルで2ヶ月間計算される。この期間の選択は、すべての金利リスク・ポジションを手仕舞うための最大時間枠の
保守的な予想に基づいている。リスク・ポジションの継続的なモニタリングと利用可能な管理オプションは、配分
された資本が統一的に適用される99.99%のソルベンシー・レベルに従って、1年間のリスクをカバーするために十
分であることを確保している。定期的なストレス・テストは、極端な市況における損失の可能性を分析するために
この計算を補足する。当該テストには、規制法に定められたイールド・カーブの平行移動の他に、イールド・カー
ブの傾きや保有期間の延長等のシナリオが組み込まれている。2018年12月31日現在、金利リスクのための自己資本
要件は586百万ユーロ増加した。かかる増加は、利用可能なリスク担保財源の増加に比例した増加であった。
通貨リスク
外国通貨による融資の多くは、当該通貨と同じ通貨により資金供給されるか、適切な外国通貨のヘッジ商品に
よって担保されている。DEGの外国通貨による株式投資および一部のKfW開発銀行の助成商品は、可能かつ現実的で
ある場合に限り、同じ通貨により資金供給されている。年間を通して貸出事業から稼得された利益としての外国通
貨は、速やかに売却される。金利リスクと同様に、流動性通貨ポジションの経済的資本要件は、ストップ・ロス・
バッファーと99.99%のソルベンシー・レベルでの2ヶ月間のバリュー・アット・リスクの合計として分散/共分散
法を用いる金利リスクと同様に計算される。取引が限定され、機会がヘッジされたすべての通貨には、12ヶ月間の
バリュー・アット・リスクが適用されている。市場価格リスク委員会は少なくとも年に1回、各通貨が流動的か非
流動的かの分類を行っている。通貨ポートフォリオは、主に流動性ポジションで構成されている。極端な市況にお
ける損失の可能性を見積もるためにストレス・テストが定期的に行われている。報告年度における米ドル相場の上
昇(2018年12月31日現在のユーロ/米ドルレートは1.1450、2017年12月31日現在のユーロ/米ドルレートは1.1993)
は、正味現在価値にプラスの影響を与えた。さらに、ストップ・ロス・バッファーは、年初に50百万ユーロ引き下
げられ、現在500百万ユーロとなっている。これは、同額分の経済的資本要件の引下げに相当する。年初における
為替ヘッジ取引(先物マージン取引)は、自己資本要件のさらなる引下げをもたらした。
ベーシス・スプレッド・リスク
ベーシス・スプレッド・リスクは、大きく分けて、期間および外国為替に基づくスプレッド・リスクから構成さ
れる。このリスクの経済的資本要件は、99.99%のソルベンシー・レベルで分散/共分散法および12ヶ月間の保有期
間を用いて計算されている。2018年12月31日現在のベーシス・スプレッド・リスクに係る自己資本要件は711百万
ユーロであり、前年比で258百万ユーロ減少している。この減少は、リスク軽減市場データの影響および米ドルの
クロスカレンシー・ポジションの低下によるものであった。
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信用スプレッド・リスク
リスク測定は、有価証券ポートフォリオで行われる。経済的資本要件は、過去3年(取引日数750日)より構成さ
れる信用スプレッドの時系列に基づく実績シミュレーション法を用いて計算される。バリュー・アット・リスク
は、最初に保有期間1日、95%の信頼水準における信用スプレッドの変動から確定され、その後期間を1年間、
99.99%のソルベンシー・レベルに拡大する。2018年12月31日現在、信用スプレッド・リスクに係る経済的資本要
件は361百万ユーロであった。信用スプレッド・リスクは前年比103百万ユーロ減少した。かかる減少の主な要因
は、市場データの変動が減少したことであった。
流動性リスク
流動性リスクとは、機関または市場において流動性が不足するリスクをいう。以下のリスクはそれぞれ区別され
ている。
・ 支払不能リスク(支払債務を履行できないリスク)
・ リファイナンシング・リスク(借入人に転嫁できない、より高額な資金調達(債務)から生じる収益減少
のリスク)
・ 市場流動性リスク(不十分な市場の深さまたは市場崩壊による市場価値の重大な低下を起こすことなく、
特定のエクスポージャーの解消ができないリスク)
流動性管理の主な目的は、KfWグループが常に支払債務を履行できるよう確保することである。すべての子会社
の商取引、特にその資金調達において、KfWを契約パートナーとして利用することができる。このため、子会社の
流動性要件は、KfWグループの資金調達計画と流動性維持の戦略の双方に組み込まれている。
流動性リスクは、経済シナリオ分析およびKfW法第4条に基づく利用基準に基づいて測定される。さらに、流動性
ギャップはすでに成立している取引、利用可能な潜在的流動性、ならびに流入と流出のマチュリティ・ギャップに
より限定されている。
内部流動性充実度に関するプロセス(ILAAP)
KfW グループの流動性リスクのポジションの管理およびモニタリングは、内部流動性充実度に関するプロセス
(以下「ILAAP」という。)を原則としている。当機関が策定した手続は、指令2013/36/EU(CRD IV)第86条に
従って流動性を特定、測定、管理およびモニタリングする働きをしている。ILAAPは、流動性を確保し、流動性の
障害を回避することを目的とするものである。また、ILAAPでは、内部統治および機関全体における統制の評価も
行われる。
KfW グループは、支払不能リスクの管理を最優先している。市場流動性リスクおよびリファイナンシング・リス
クは、毎年、リスク調査の一環として検証されている。しかしながら、現在これらのリスクは重要なリスクに分類
されておらず、そのため(直接的には)管理されていない。リファイナンシング・リスクは、マチュリティ・
ギャップを制限することによって間接的に制限されている。支払不能リスクは、主に経済的流動性リスク比率、な
らびに潜在的流動性および流動性のギャップの限度を通じて制限されている。KfWが従う必要のある流動性リスク
を制限するもう1つの数値は、KfW法第4条第(2)項に基づく利用閾値である。流動性リスク戦略は、ストレス・シナ
リオを含むいかなる場合においても、支払債務をその期限到来時に履行する能力を確保することを目的としてい
る。このため、基本的に、これらすべての指標に関するすべての制限(=リスク許容度の上限)に従うことが必要
となる。各制限の適切性は、毎年見直されている。
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具体的には、月に1回開催される市場価格リスク委員会が、執行理事会と協議の上で流動性リスクの管理および
モニタリングを行う責任を負っている。流動性に関する緊急事態が生じた場合には、特定された流動性の障害を是
正するために必要な措置について決定するため、臨時の委員会が開催される。
流動性リスクの評価において重要な要素は、金融商品から生じるKfWグループの契約上の支払債務(元本および
金利)で構成され、下表において満期期間別に示されている。
2018 年12月31日現在の金融商品から生じる契約上の支払債務(満期期間別)(1)
1 ヶ月超 3 ヶ月超 1 年 超
1 ヶ月以内 5 年超 合計
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する債務 5,311 59 2,999 1,448 12,878 22,694
債務証書 23,277 27,882 64,737 213,225 108,050 437,170
デリバティブ金融商品から
-247 -44 -1,936 -2,406 -3,491 -8,123
生じる純債務
そのうちデリバティブ金融
11,710 19,141 50,230 105,942 36,420 223,442
商品から生じる債務
貸借対照表上の金融商品
28,341 27,897 65,800 212,268 117,436 451,742
から生じる債務
貸借対照表外の取引
88,212 0 0 0 0 88,212
から生じる債務
116,553 27,897 65,800 212,268 117,436 539,954
合計
(1) デリバティブ金融商品に基づく純債務は、それらの契約上の対応する債権と相殺される支払債務で構成される。総支払債務は、デリバティブ金融商
品から生じる債務として計上されている。貸借対照表外の取引は、通常、最初の満期期間に割り当てられている。
2017 年12月31日現在の金融商品から生じる契約上の支払債務(満期期間別)(1)
1 ヶ月超 3 ヶ月超 1 年 超
1 ヶ月以内 5 年超 合計
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する債務 4,394 1,795 565 3,144 8,596 18,494
債務証書 25,916 18,311 69,123 209,530 103,246 426,126
デリバティブ金融商品から
-190 -251 -356 297 -6,842 -7,341
生じる純債務
そのうちデリバティブ金融
16,465 15,086 44,213 129,157 43,442 248,363
商品から生じる債務
貸借対照表上の金融商品
30,120 19,856 69,332 212,972 105,000 437,279
から生じる債務
貸借対照表外の取引
83,733 0 0 0 0 83,733
から生じる債務
113,852 19,856 69,332 212,972 105,000 521,012
合計
(1) デリバティブ金融商品から生じる純債務は、それらの契約上の対応する債権と相殺される支払債務で構成される。総支払債務は、デリバティブ金融
商品から生じる債務として計上されている。貸借対照表外の取引は、通常、最初の満期期間に割り当てられている。
流動性リスクの内部測定は、シナリオ計算に基づいている。この手法では、まず、すでに成立している取引に基
づいて今後12ヶ月間に予想される支払の流入と総流出を分析する。この基礎キャッシュ・フローは、計画支払およ
び見積もり支払(資本市場からの借入れ、予想流動性関連のローン・デフォルトまたは予定される新規事業等)に
よって補完される。これにより、KfWグループが今後12ヶ月間に必要とする流動性の概要がわかる。必要な流動性
は、異なるシナリオについて計算される。この点について、市場全体のリスク要因および機関に特有のリスク要因
にストレスがかけられ、KfWグループの流動性についての影響が評価される。
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上記手法と並行して、KfWグループは、利用可能な流動性潜在力(主にKfWのドイツ中央銀行における担保勘定、
買戻し条件付き契約資産、流動性ポートフォリオおよび定期的に市場で発行可能なコマーシャル・ペーパー額で構
成されている。)を定める。利用可能な流動性潜在力は、他のキャッシュ・フロー要素と同様に、ストレス分析に
従う。累積的必要流動性の累積的利用可能な流動性潜在力に対する比率は、シナリオ毎に計算される。この数値
は、いかなる期間のいかなるシナリオにおいても1を超えてはならない。通常のケースのシナリオにおいて定めら
れた期間は12ヶ月であり、ストレスケースは6ヶ月、2つのワーストケースシナリオでは3ヶ月である。シナリオの
前提は毎年検証されている。
主要数値は、月単位で計算され、市場価格リスク委員会に報告されている。下表は、2018年12月31日現在のシナ
リオ毎の主なリスク指標を示している。
2018 年12月31日現在のKfW流動性リスク指標
指標
通常のケース
0.00
ストレスケース 0.13
ワーストケース(特定の機関) 0.17
ワーストケース 0.42
内部流動性リスク指標は、引き続き2018年を通して内部的上限の1を下回っている。
現在の資金調達環境
2018 年、 国際資本市場は、ブレグジットに関する交渉、米中間の貿易紛争およびイタリアの政治情勢等の政治的
要因により大きく変動した。これらに加えて、経済的危険信号およびユーロシステムの公共部門の資産買入プログ
ラム(PSPP)の終了の発表が市場環境を方向付けた。一方で、ユーロシステムによる再投資は、市場に安定性をも
たらした。
KfW グループの定着した資金政策は、通貨、証券および構造に関する高い柔軟性により特徴付けられ、世界中の
大きな投資家基盤を対象としている。2018会計年度、KfWは国際資本市場において、合計761億ユーロ(2017年は
782億ユーロ)の資金を調達した。KfWは、12の異なる通貨建で合計144件の個別の取引を行った。長期資金調達の
うち約88%は、ユーロと米ドルの2大主要通貨建で行われた。2018年にはユーロ建債券の負債に占める割合が、
61%(2017年は53%)まで再上昇し、米ドル建債券の割合は27%(2017年は34%)であった。2018年の傾向は、取
引額が多く流動性のあるユーロおよび米ドルの各主要通貨建の債券を投資家が選好することを明確に示すもので
あった。
2018 年の資金調達活動の動向は、KfWの短期金融市場セグメントにおいても同様に好調であった。世界中の投資
家に向けて設計されたユーロ建コマーシャル・ペーパー(以下「ECP」という。)・プログラムのプログラム額
は、600億ユーロから、2018年11月には700億ユーロに増加した。2018年にECPプログラムで発行された額は、前年
度より減少した。2018年末現在の発行残高は、合計351億ユーロ(2017年末は347億ユーロ)である。米ドル建コ
マーシャル・ペーパー(以下「USCP」という。)・プログラムの発行額もまた、2018年に前年度と比較して減少し
た。USCPにおけるプログラム額は100億米ドルであり、かかるプログラムは米国市場特有のものである。KfWグルー
プは、米ドルによる短期的な資金調達の需要を充足するために、かかるプログラムを使用している。2018年末現在
の発行残高は、合計68億米ドル(2017年末は81億米ドル)であった。
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オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理
KfW グループの組織構成は、分権化された部門と中央集権化された部門から成る二重構造になっており、これら
はオペレーショナル・リスク委員会と連携している。リスクの管理は分権化され、事業部門および子会社におい
て、各役員または常務役員が、オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理の各部門責任者の支援を受けて
行っている。リスクの監視および伝達は、リスク制御(中央オペレーショナル・リスク制御)およびコンプライア
ンス(中央事業継続性管理)により部署横断的に行われている。これらの人員は、リスクの特定および評価を行う
関連方法および手段を開発し、それらがグループ全体で統一的に適用されているかを監視している。
オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理の管理および制御の目的は、KfWグループの潜在的損失の積極
的な特定および回避である。すなわち、緊急事態および危機を管理できるようにし、主要な財源が失われた場合に
も、KfWグループが事業を継続できるよう組織能力を確保することである。
CRR 第4条第(1)項第52号に従い、KfWグループは、オペレーショナル・リスクを、内部処理、人員およびシステム
が不適切であったかもしくは失敗したことによる損失リスクまたは外部事象に起因する損失リスクと定義してい
る。コンプライアンスリスク、情報セキュリティリスク、支払取引リスク、物理的セキュリティリスク、法的リス
ク、遂行リスク、サービス・プロバイダーリスク(外部委託リスクを含む。)、雇用者リスク、調整過程における
オペレーショナル・リスク、モデルリスクならびに情報セキュリティと無関係の情報技術リスクといった種類のリ
スクまたはサブタイプのオペレーショナル・リスクも定義され、原則として第2の専門ディフェンスラインユニッ
トにより監視されている。
損失は、KfWグループのオペレーショナル・リスク事象データベースに記録される。記録された損失事象と、そ
の結果導入された措置について、各四半期後に詳細な報告が関連する部署に対して行われる。執行理事会、監事会
およびオペレーショナル・リスク委員会は、内部リスク報告の一環として、月毎または四半期毎に概要の報告を受
ける。損失がある一定の水準を超える場合は、特別報告も行われる。
さらに、オペレーショナル・リスクは、グループ全体で実施されるリスク評価に体系的に記録される。かかる評
価では、新商品プロセス(以下「NPP」という。)における新たな活動および潜在的なオペレーショナル・リスク
に関するオペレーショナル・プロセスにおける変更についても検討する。オペレーショナル・リスクは、リスク評
価において、損失の頻度および額に関する分布仮定によって実証された専門家の見積もりおよび内部損失事象をは
じめとするその他の情報に基づき測定される。リスク評価の結果は、オペレーショナル・リスク委員会および執行
理事会に報告される。事業分野では、リスク評価の一環として、追加的なリスク軽減措置(例えば、ICSの一環と
しての調査)の実施を確認している。
測定基準を使用してオペレーショナル・リスクを十分に監視することが可能な場合には、リスク指標が使用され
る。一元的に定められたリスク軽減のための要件(例えば、研修への参加、期日、エスカレーション手順)の遵守
状況は、事業分野別オペレーショナル・リスク情報ダッシュボードを使用して監視されている。これにより、すべ
ての階層における不遵守が執行理事会へ報告されることが保証される。
全体として、グループ内のオペレーショナル・リスクは2018年12月31日現在、合計1,441百万ユーロの経済資本
を必要とした。これは、2017年12月31日現在に比べ157百万ユーロ減少した。経済資本の減少は、リスク・シナリ
オの更新に加えて、統計モデルの改良に起因するものであった。さらなる開発においては、モデルの安定性を高め
ること、リスク・シナリオをより一層考慮することおよびモデルの透明性を向上させることに重点が置かれた。
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事業継続性管理は、内外の事象により事業の中断が発生した場合に実施される。これは、4つの主要な停止およ
び損失シナリオ(すなわち、用地(建物またはインフラ)の停止、ITシステムの停止、人材の停止およびサービ
ス・プロバイダーの停止)のすべての側面をカバーする統合的な管理プロセスである。事業継続性管理は、予防的
な要素(緊急事態の備え)と反応的な要素(緊急事態および危機の管理)を同等に組み入れている。
事業継続性管理の目的のため、事業プロセスは、分析され、かつどの程度重要であるかに応じて分類され、それ
に従って各事例の支援財源が検討される。重要な事業プロセスとその支援財源への依存度を特定することは、効果
的な事業継続性管理の基盤を形成する。これらの事業プロセスと、その支援財源について個別の措置が策定され、
それにより、必要な利用可能性が保証され、事業リスクが削減されることが確保される。これらの措置には、緊急
事態用のワークステーション、緊急計画、通信手段および警告/警報が含まれる。KfWグループの危機対応チーム
は、必要な場合には危機管理全般について責任を負う。定期的な危機対応チームのテストにおいて、緊急事態およ
び危機時の組織的な共同作業の訓練が行われている。
その他のリスク
株式投資リスク
株式投資リスクの管理において、KfWグループは、事業レベルでの株式投資からのリスクと戦略的な株式投資か
らのリスクを区別している。
株式投資(事業レベル)
事業レベルでの株式投資の実行は、グループの助成任務の一環である。したがって、国内および欧州での投資資
金融資に関連する株式投資、発展途上国および新興経済国支援における株式投資ならびに輸出金融およびプロジェ
クト・ファイナンス事業部門における株式投資が存在する。事業レベルでの株式投資に係るKfWグループ全体の基
本的規則は、ガイドラインに定められている。株式投資の特定のセグメントのために作成された特別規則は、ポー
トフォリオのガイドライン、業務指針およびリスク・ガイドラインにも規定されている。事業レベルでの株式投資
に係るリスク測定は、信用リスクと同様、個別の貸出コミットメント・レベルで行われる。株式投資ポートフォリ
オ・リスクは、四半期毎のリスク報告書のほか、専用の報告書においても別途報告される。
戦略的な株式投資
戦略的な株式投資は、効率的かつ持続可能な助成業務の提供というKfWの任務を支えている。中核となる能力を
強化し、拡大することに加え、この種類の投資の焦点はKfWの事業部門の補完にある。戦略的な株式投資は通常、
保有期間が長期となる。さらにKfWは、KfW法第2条第(4)項(委任取引)に従った株式投資も行う。ドイツ連邦政府
が国益を有するため、連邦政府は、これらの株式投資をKfWに委任した。
戦略的な株式投資については、専属の組織的な部署が株式投資マニュアル(株式投資管理の法的根拠、戦略、方
針、手続および責任について記載する。)に基づき責任を負う。戦略的な株式投資に係る取得、処分および変更
は、KfWの定款に従い、定められたデューデリジェンスのプロセスならびに執行理事会および監事会による承認を
条件とする。さらに、持分が25%を超える株式投資の取得、かかる株式投資の増加または部分的あるいは全面的な
処分は、連邦予算法( Bundeshaushaltsordnung - BHO)第65条第(3)項に従い、連邦財務省の承認を得なければな
らない。戦略的な株式投資およびその個別のリスクは、常時監視され、年次の株式投資に関する報告の一環とし
て、さらに、必要な場合には特別報告において、執行理事会に提出される。株式投資について個別に定められた戦
略は、毎年更新される。さらに、KfWグループは、通常、その戦略的な株式投資の監督機関に代表を派遣してい
る。
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グループ内リスク
KfW グループのリスクに高い関連性があることから、また、統一的なグループ管理という目的のために、KfW
IPEX銀行、DEGおよび2018年に設立されたKfWキャピタルのリスクは、KfWグループのリスク管理の一部として十分
に考慮される。例えば、これらの子会社の事業活動は、ルックスルーの原則に基づき、KfWグループ全体の制限の
対象となり、グループの資本配分に含められる。また、子会社の代表者は、グループのリスク委員会の委員であ
る。KfWはまた、その子会社のリスク状況につき、単体での監視も行う。各子会社の経営陣は、リスクならびに財
務および戦略について、執行理事会の担当者に対し定期的に報告を行う。
風評リスク
風評リスクは、関連する内外の利害関係者の観点から当グループに対する認識が長期にわたり悪化し、KfWグ
ループにマイナスの影響を与えるリスクである。このマイナスの影響は、KfWグループの純資産、収益または流動
性の減少(例えば、新規事業の減少)につながるおそれがあるほか、非金銭的な性質(例えば、従業員の新規採用
難)の影響として生じる可能性もある。風評リスクは、他の種類のリスクの結果として生じることも、単独で生じ
ることもある。
リスク管理プロセスにおいて、風評リスクは分散的に管理されている。かかる目的の枠組みは、与信承認に関連
するグループ全体を通じた環境および社会原則の持続可能性管理、またはKfWグループの有価証券ポートフォリオ
の管理を持続可能な基準をベースにすることを含む。さらに、NPPにおける新たな活動および外部委託管理におけ
る外注活動についても、潜在的な風評リスクを検出するために定期的に監視が行われている。
また、リスク特定の一環として、風評リスクの中央管理機能は定性的な風評リスク評価の取りまとめを行い、当
グループ最大の風評リスクをまとめたリスク・プロファイルを作成している。さらに、生じた風評リスクの事象
は、継続的に報告されている。
プロジェクト・リスク
当初のプロジェクト・リスクは、とりわけ、想定していた計画が正確でないと判明することである。プロジェク
ト・リスクは、プロジェクト目的の達成に、費用、時間および目的の達成の可否の面で影響を及ぼす(例えば、新
技術要件やプロジェクトを並行して行うことにより生じる時間的制約等)。KfWグループのプロジェクト・リスク
は、特に、様々な大型の長期プロジェクトに関連して生じる。プロジェクト・リスクの管理は、プロジェクト管理
の一部であり、プロジェクト計画段階および実施段階の双方で行われる。
中央プロジェクト管理室は、主要なプロジェクトがその目的を果たし、目標を達成するための支援を行ってい
る。プロジェクト・ポートフォリオ管理の中央権限として、中央プロジェクト管理室は、KfWグループの主要なプ
ロジェクト実施に方法論的枠組みを提供し、全プロジェクト・ポートフォリオのレベルで透明性を作り出す。これ
により、プロジェクト審議会および執行理事会が的を絞った意思決定を行うことが可能となる。中央プロジェクト
管理室を通して方法に関する要件を設定することで、常に質の高いプロジェクトの実施が可能となる。主要なプロ
ジェクトによる当該枠組みおよびこれらの要件の遵守は、監視され、サポートも行われている。
規制リスク
KfW グループに関する規制リスクは、主に最低自己資本比率要件の引上げにより、また、将来的な規制環境の変
化がグループの事業モデルに及ぼしうる不利な影響により生じる。これには、追加的要件の実施および継続的な履
行のほか、関連する資本提携に伴う費用が含まれる。
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自己資本充実度に関するプロセスの一部として、規制リスクには、規制上の自己資本要件に関する管理および早
期警告の手段としての保守的な警告基準を通じて対応している。また、KfWグループの資本構成は、資本計画の一
部として、所有者と連携して継続的に見直されている。その際には、特にバーゼルⅢに基づく自己資本充実度に関
する要件の最終決定に起因する潜在的な不利な影響が分析され、評価されている。
また、KfWは、その法的環境に関する変化の状況を積極的に注視しており、これにより、新たな規制要件を早い
段階で特定し、必要な措置を決定することができている。
追加的な内部モニタリング手続
プロセス統合ICS
KfW グループのICSの目的は、事業活動の有効性および収益性、KfWグループに適用ある法的要件の遵守、内外の
会計の正確性および信頼性ならびに資産保護を確保するために、適切な方針、措置および手続を用いることであ
る。
グループ全体のICS規則や、グループ規模で拘束力のあるICSの最低限の要件が存在する。KfWグループのICSは、
注7)
とりわけ、ドイツ銀行法およびMaRiskならびに市場基準のCOSOモデル に規定される関連する法的(銀行規制)
注8)
要件 に基づいている。
注7)
トレッドウェイ委員会組織委員会
注8)
ドイツ銀行法の第25a条第(1)項第1号、MaRisk第4.3条ならびにドイツ商法第289条第(5)項、第315条第(2)項第5号、第324条および第264d条を参照
のこと。
KfW の 執行理事会は、当グループのICSについて全般的な責任を負う。DEGおよびKfW IPEX銀行については、経営
陣が全般的な責任を負う。それぞれ異なる企業レベルでの設計および実施については、組織構成に従い関係あるマ
ネージャーが責任を負う。
COSO モデルに従って、ICSは相互に関連のある以下の5つの要素(統制環境、リスク評価、統制活動、情報/伝達
およびモニタリング/監査)で構成される。これらの構成要素は、KfWグループのすべての組織的事業体、機能およ
びプロセスにわたっている。
統制環境とは、KfWグループが規則を導入し適用する環境である。リスク評価には、企業戦略の実行から生じる
リスクの特定、分析および評価が含まれる。統制活動は、企業目標の効果的な達成およびリスクの発見または最小
化を目的としている。KfWグループにおける適切な情報および伝達手続は、すべての関係者が必要とする情報を必
要な詳細にわたって受け取ることを可能にする。適切なモニタリングおよび監査の仕組みは、ICSの機能性および
有効性を決定する。
手続規則がICSの基礎を構成している。手続規則は、拘束力のある政策の形式でKfWグループにおける適正な事業
組織の枠組みを構成している。
ワークフローの組織的な措置および統制は、モニタリングがプロセスに統合されることを確保する。プロセスに
統合されたモニタリング措置は、プロセスにおける誤りまたは財務上の損失の回避、削減、発見および/または訂
正に役立つ。運用プロセスおよび構成に対しての予定された変更が監視プロセスや監視強度に及ぼす影響は、事前
に分析される。
KfW グループは、単体および連結財務書類におけるエラー・リスクを最小化し、内外の財務報告の正確性と信頼
性を確保するために会計関連の統制を実施している。会計関連の統制は、ICSの一部である。
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当該システムはコンプライアンス部により補完される。コンプライアンス部は、関連する措置の関連規則および
基準に基づく遵守について定め、監視する。コンプライアンス機能は、ICSの関連する分野について、プロセスに
基づく、またはそれに付随する定期的な監視を行っている。追加の第2のディフェンスライン(特にオペレーショ
ナル・リスク)の結果は、監視および更なるICSの向上に含まれる。
ICS の 適切性および有効性を確保するため、KfWは、KfWグループの基準および慣例を定期的に精査し、継続的に
発展させる。
報告書は毎年KfWグループの監督機関に提供される。ICSの適切性および有効性はまた、グループの手続から独立
して行われるリスク・ベースの監査に基づき内部監査部により評価される。
コンプライアンス
KfW グループの成功は、主にその効率性、そして何よりも健全性に対する株主、顧客、事業パートナー、従業員
および公衆の信頼に基づいている。かかる信頼は、特に関連する法定の、監督上のおよび内部的な規制ならびにそ
の他の関連諸規則の実施および遵守に大きく基づいている。執行理事会は、当グループのコンプライアンスに係る
全責任を負う。執行理事会は、関連する業務をコンプライアンス部に委託している。
コンプライアンスの組織は、スリーライン・ディフェンスモデルに従って構築され、第2のディフェンスライン
として、MaRiskのコンプライアンス機能に関する要件に一致している。これに関連して、当グループのコンプライ
アンスには数年間、情報保護規制を遵守するための措置、インサイダー取引、マネー・ロンダリング、テロ資金供
与その他の犯罪活動の防止および法的要件の監視のための措置ならびに関連する実施措置が含まれてきた。これは
情報、建物、個人およびIT基盤の保護ならびに事業継続性管理の確保も含んでいる。よって、日々の価値および企
業文化の実行に影響を与える拘束力のある規則および手続があり、これらは現行法および市場要件を反映するよう
継続的に更新されている。
コンプライアンスおよび反マネー・ロンダリングに関する定期的な研修がKfWグループの従業員のために開かれ
ている。かかる教室でのセミナーに加えて、情報保護、情報セキュリティ、セキュリティ・コンプライアンスなら
びにマネー・ロンダリングおよび不正の防止に関するオンラインの研修プログラムも利用できる。
内部監査部
内部監査部は、執行理事会の手段である。KfWグループの手続から独立して業務を行う組織として、当該部署
は、関係するリスクを特定するためにKfWグループのあらゆるプロセスと活動に関する監査および評価を行い、執
行理事会に直接報告している。
リスク管理プロセスを目的として、内部監査部は、2018年において、当グループ全体に関連する分散型のリスク
管理プロセスならびにリスク管理およびリスク統制の中心的側面を監査した。重要なポイントには、主要なプロ
ジェクトを支える市場リスクおよび信用リスクの分析や、CRR第191条の条件を満たすための格付システムの見直し
が含まれた。
過年度と同様に、内部監査部は、意思決定機関の会議に(ゲストの立場で)参加することによって2018年にリス
ク測定手続の継続的な開発も監視した。
内部監査部は、KfWグループの内部監査部としても機能する。子会社の監査の企画立案に携わるほか、グループ
全体の内部監査報告に子会社の内部監査部による監査結果を組み入れている。
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▶ )業績予測および機会の報告
本項中の将来に関する記述は、2019年4月10日付で公表されたKfWの考え、展望、目的、予測および見積もりに基
づくものである。
一般的な経済環境および動向
KfW は、2019年に 世界経済 が減速し、世界成長が前年に比べて3.6%低下すると予測している。2018年にピークを
過ぎた先進工業国が、こうした経済動向の主な要因となっている。これは特に米国およびユーロ圏に関連するもの
であり、先進工業国の2019年の実質成長率は、前年には2.3%であったのに対し、2.0%と示唆されている。発展途
上国および新興経済国については、さらなる後退はなく、4.7%の成長率で横ばいとなる見込みである。2017年に
広範囲にわたる世界的景気上昇が記録されて以来、経済的な乖離は広がっている。アジアの発展途上国および新興
経済国は、2018年には及ばないものの、引き続き高い成長率を示す見込みである。冷え込みの程度は、その経済の
規模および地域的な貿易関係により、主に中国に左右されることとなる。中国は、予定された成長の減速のみなら
ず、米国との貿易紛争による不利な影響をも管理することが必要となる。中国はまた、その支援的な財政および金
融対策と与信の伸び率を抑える措置のバランスを取らなければならない。
2018 年の EMU の成長に対する高い期待は、達成されなかった。外国貿易が勢いを欠いたために、EMU経済は成長率
の低下へと下向きに推移した。KfWは、経済が2019年も引き続き徐々に冷え込むと予想している。困難なリスク環
境の中、2019年の実質GDPは1.6%増加する見込みである。これは、依然として健全な潜在成長力を表し、複数年に
わたる上昇が今後も続くことを意味する。より厳しい資金調達条件および緊迫した貿易環境が世界の経済成長の下
方圧力となることにより、外国貿易は当年においても欧州の成長を一定程度抑制し、したがって国内経済による押
上げが必要となる。基礎的な条件によれば、これは実現可能と見られる。低い失業率、実質賃金の上昇傾向、高い
設備稼働率および目立った経済刺激策は、いずれもその支えとなる。
ドイツ の国内需要を推進する一般的条件は、ユーロ圏全体と同様に、2019年初めの時点で引き続き非常に良好で
ある。そのため、消費および住宅建設が景気をさらに浮揚させることが見込まれる。一方で、米国の保護貿易傾
向、ブレグジットおよびイタリアの予算問題等、世界における多くの不確実性は引き続き存在し、企業投資の増加
を抑制する見通しである。世界経済成長の減速は、輸出の停滞により、2018年の時点ですでに顕著であった。2019
年も、かかる傾向が大きく変化することは見込まれない。全体として、KfWは2019年の実質成長率を1.6%と予想し
ており、これはドイツの潜在成長率と概ね一致している。したがって、設備稼働率は高い水準にとどまるものの、
さらに上昇することはない。ダウンサイド・リスクを無視することはできない。
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2018 年終盤の数ヶ月間と同様に、2019年の 金融市場環境 は、 引き続き、米連邦準備制度理事会が米国経済を損な
うことなく金融政策の引締めを継続できるかに関する投資家の信用の問題によって大きく特徴付けられる見込みで
ある。厳密にはそれが米連邦準備制度理事会の任務であるものの、米国があまりに急激に金融政策の引締めを行っ
たことが一因となった2007年から2008年にかけての金融危機は、未だ多くの投資家の記憶に新しい。KfWは、連邦
公開市場委員会(以下「FOMC」という。)の委員らがかかる危機から教訓を得て、さらなる利上げに対しては慎重
になるであろうと予想している。フェデラル・ファンド金利誘導目標は、2018年を通じて4回、25ベーシス・ポイ
ントずつ引き上げられ、2018年末の時点で2.25%から2.50%までの範囲であった。KfWは、FOMCが2019年中、利上
げ終了までの間に、同様の利上げを最大で3回行うと見込んでいる。かかる利上げは、世界中の株式を後押しし、
リスクプレミアムの低下を可能にする一方で、米国金利の緩やかな上昇を構成するにとどまり、金融市場をより安
定化させるものと考えられる。海外では、ECBが2018年12月31日をもって純資産購入を終了し、少なくとも「2019
年夏にかけて」主要政策金利を据え置くこと、および主要政策金利の最初の引上げから当分の間は満期を迎えた債
券の償還金を再投資に回すことを発表した。KfWは、2019年秋を皮切りに、慎重を期して預金金利の引上げが行わ
れ、その後、ECBの3つの主要政策金利が6ヶ月毎に25ベーシス・ポイントずつ引き上げられると予想している。そ
の結果として、2019年に、ユーロ圏および米国のイールド・カーブはわずかに上昇するものと考えられる。米ドル
のカーブは引き続き非常にフラットなものとなり、ユーロのカーブはスティープ化することが予想される。
リスクの見通し-リスク状況およびリスク許容能力
世界経済 は、2018年も2017年と同率で成長した。主に金融および財政刺激策によって牽引されたかかる上昇は、
指標、経済部門および国の数に関して全般的に安定していた。短期の経済予測は全般的には引き続き良好であるも
のの、世界の経済成長に関する機会とリスクのバランスはすでに保たれておらず、マイナスの領域へと移行してい
る。
(ⅰ)米国の経済政策および対外政策についての継続的な不透明感(特に、対中国および対EUをはじめとする貿
易紛争の拡大に関するもの)、(ⅱ)英国のEU離脱に伴う欧州の経済および政治情勢の変化に関する不確実性、
(ⅲ)イタリアの不安定な銀行問題および債務負担が他の欧州諸国へ波及する度合い、(ⅳ)来たるべき欧州議会
選挙が新たな欧州委員会の政治的および経済的な意思決定および行動能力に及ぼす影響、ならびに(ⅴ)低金利環
境により、中央銀行が急激な経済の悪化に際して対策を講じる能力が限定されていること等を原因に、多大なマイ
ナス面のリスクが中長期的な成長を脅かしている。また、米連邦準備制度理事会の最近の金融政策の引締めにより
新たな金融危機が生じるリスクが高まっているが、これはとりわけ、民間部門の債務水準が相当に高く、かつ上昇
傾向にあるという現象が広まったことで、多くの国々において民間部門の外的衝撃に対する脆弱性が顕著に高まっ
たことに起因するものである。さらに、利上げに伴う資本の流れの転換は、多額の経常収支赤字を抱える多くの新
興経済国に追加的な負担を課す可能性がある。
上記に加えて、ペルシャ湾岸(イラン、カタール、サウジアラビア)、ウクライナ東部/クリミア、トルコ/シリ
ア北部、シリア内戦、アフリカの複数の地域紛争、アジアおよび中南米、ならびに南シナ海において続く緊張等、
危機に直面している様々な国および地域により、国際的に重要な地政学的リスクが高まっている。
こうした背景の中、2019年から2020年にかけて世界経済の高い成長が保たれるという国際通貨基金(以下
「IMF」という。)およびOECDの最近の予測は、非常に楽観的なシナリオである。中期的に見て高まったとされる
マイナス面のリスクは、早ければ2019年から2020年にかけて世界の経済成長の減速をもたらす可能性が高い。最悪
のシナリオでは、それらのリスクが今後2年間に危機をもたらす可能性もある。
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また、予測されている経済成長の減速は、 欧州の銀行市場 における事業活動を抑制する影響を及ぼすことが見込
まれる。欧州の銀行は近年、貸出需要の増加およびその後の数年間にわたる非常に少ない信用リスク費用により収
益をわずかに向上させるにとどまっており、KfWは、とりわけ2019年下半期以降、リスク費用が再び増加すると予
想している。これは、経済環境の悪化が、わずかに遅延して銀行の貸借対照表上の資産内容に対してマイナスの影
響を及ぼすためである。
欧州の金融部門の収益性は、国際的基準では中程度にとどまっているにすぎず、したがって、2019年に低迷する
可能性が高い。大半の市場関係者が予想する2019年末のECB主要政策金利の引上げは、早くとも2020年までは、銀
行の現在極めて少ない状態にある純利ざやおよびその収益性にプラスの影響を及ぼさない。
欧州の監督当局による、不良債権のさらなる削減も、収益にマイナスの影響を与えている。欧州銀行監督機構
(European Banking Authority)(以下「EBA」という。)が昨年公表した、不良債権および債権放棄エクスポー
ジャーの管理に関する最終的なガイドラインは、2019年6月に施行される予定である。欧州委員会も貸倒損失引当
金の水準の引上げを求めており、ECBはこれを、ECBの監督下にある銀行を対象に、2021年以降規定する予定であ
る。
ECB の 資産購入プログラムの下での純資産購入の終了は、債券市場の変動性を高め、顧客および取引関連収益を
増加させる可能性がある。これは銀行にとって、近年減少傾向にある取引関連収益を押し上げる機会になると考え
られる。
欧州の金融部門は、2019年も引き続き、ITシステムのデジタル化および近代化に重点的に投資していく。欧州の
銀行に関するEBAのデータでは、収益費用比率による評価で、銀行の効率に改善の余地があることが示されてい
る。そのため、支店および事務処理部における過剰生産能力のさらなる削減が予想される。
ドイツおよび欧州のシステム上重要な銀行の資本基盤は、底堅い水準まで強化されている。個別の金融機関、と
りわけ小規模または単独志向の金融機関は、依然としてさらなる資本を必要としている。しかしながら、ECBによ
る内部モデルに関する対象限定レビュー(TRIM)プロジェクトの結果では、一部の金融機関に関して普通株式等
Tier 1(CET1)比率の修正の可能性が示されており、それにより、かかる金融機関において自己資本に関する新た
な措置が実施される可能性がある。
2018 年末以降の米国金融部門に関する懸念の高まり に関して、かかる部門は、主に米国税制改革によって生じた
大幅な減税の恩恵を受け、2018年も記録的な業績を上げたものの、かかる上昇は2019年には失われる。特に小規模
な銀行は、利上げによって与信の伸びが減速することを懸念している。米中間の貿易紛争も、大手国際銀行の事業
活動に影響を及ぼす可能性が高い。そのため、2018年の良好な業績が繰り返されることは見込まれない。
上記の政治的および地政学的なリスク(米国対中国、米国対EU、イタリア、英国/ブレグジット)は、金融市場
に混乱を生じさせる可能性をはらんでいる。これらのリスクはまた、一部の新興経済国の銀行部門に悪影響を及ぼ
し、それらの資本市場への参入を妨げるおそれがある。米連邦準備制度理事会による金融政策の引締めが、すでに
昨年、かかる地域に対して同様の影響を及ぼしている。例えば、エマージング・マーケット・ボンド・インデック
ス(ユーロおよび米ドル)は、100ベーシス・ポイントを優に上回るスプレッドの拡大を記録した。
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安定した国内需要を背景に、 ドイツおよび欧州の企業部門 は、 2019年も堅実な基礎的業績を継続する見込みであ
る。ただし、上述したマクロ経済要因により、2018年と比べれば低調となる見込みである。さらに、様々な圧力
(ディーゼル、貿易紛争、ブレグジット、エレクトロモビリティへの移行、新たな競合者等)が、これまで非常に
安定していたドイツの自動車業界の収益性を圧迫し始める可能性も否定できない。ドイツのプライベート・エクイ
ティ市場は、資金調達、提示される投資資産の数および質ならびに既存のプロジェクトの売却機会に関して安定し
た市場環境から恩恵を受け続けている。2019年も続く可能性のある低金利環境は、依然として代替投資への投資家
の関心を促進している。しかしながら、市場における高い流動性および投資家間における競争の激化は、高い債務
水準および脆弱な財務制限条項を特徴とするプライベート・エクイティ部門の比較的高い企業価値およびアグレッ
シブな資金調達構造に反映されており、低迷が生じた場合のリスクを示唆している。要約すると、2019年における
市場の見通しは、安定した政治経済環境を前提に、引き続き良好なものとなると考えられる。この他には、上述し
たマイナスのマクロ経済シナリオが生じた場合、特にプライベート・エクイティ部門において大幅な後退のリスク
が存在する。
様々な政治経済面での不確実性が存在する中、2019年における 欧州の 証券化の 業績 は、 既存の強固なヘッジ構造
によりプラスの安定した水準を維持することが予想される。
一部のリスクが著しく上昇したとしても、KfWグループのリスクに関連するセグメントで期待される発展によ
り、リスク状況全体に重大な影響が及ぶとは考えられていない。
グループ内部の自己資本充実度に関するプロセスにより作成された予測によれば、2019会計年度における当グ
ループのTier 1資本比率および総自己資本比率に関しては、全体的に安定した推移が予想される。新たな規制要件
に伴い、当グループの経済的リスク許容能力の判定に関する考え方は、2019年初めに調整される予定である。全体
として、当グループの2019会計年度における経済的リスク許容能力は、明確に確保される見通しである。
2018 年の 流動性の状態は安定していた。資金調達額は予測通りであった。2019年における資金調達の需要額は、
前年比で増加しているが、これは2018年と比べて返済による資金収入がわずかに増加し、資金支出が増加したこと
に起因する。予定外の返済は、引き続き高水準となると予想される。流動性リスクの状況については、安定的な資
金調達状況が継続することから、大きな変更はないと予想されている。
新規事業の見通し
概要
KfW グループは、2019年において781億ユーロの新規事業額を計画しており、これは、2018年の計画と比べると、
銀行の戦略的目的に沿った補完的な成長の原則に沿ったものである。これには、品質イニシアチブにより判断する
外国事業部門の成長軌道の継続のほか、戦略的に関連性のある省エネおよびデジタル化の各分野を考慮し、かつ
「建築子ども手当」制度を実施したことによる国内の新規事業のわずかな全体的成長が反映されている。
KfW グループの戦略的目的を遂行するために、当グループの事業部門の計画には、「助成の質」の高い融資なら
びに主要なメガトレンド(「気候変動および環境」、「グローバル化」、「社会変革」ならびに「デジタル化およ
び技術革新」)に向けた事業活動を戦略的に重視した措置が含まれている。気候および環境保護融資の助成事業総
額に占める割合は37%、「助成の質」は86%と安定した高水準である。したがって、主要な目的はいずれも、戦略
的目的の要件を着実に上回っている。このため、国内助成事業において中小企業銀行によって新たに計画されたコ
ミットメントが占める割合は、目標水準の41%に達する予定である。
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国内事業
国内事業は、2018年4月1日、2017年に完了した「国内目標2020+」プロジェクトの一環として開発された組織モ
デルに沿って再編成された。中小企業銀行および民間顧客事業部門は、将来的にデジタル化および自動化が可能な
リテール事業を統合し、様々な主要助成分野における幅広い助成の提供により、国内助成事業額の約80%を担う。
個別対応金融および公的顧客事業部門は、革新的な個別対応型の助成ソリューションを企業および銀行向けに提供
しており、その地方自治体融資に関する専門知識により、ドイツの連邦政府、州および地方自治体の魅力的なパー
トナーとなっている。
新たに設立されたベンチャー・キャピタル子会社であるKfWキャピタルは、ベンチャーおよびグロース・キャピ
タルの持続的な提供を向上させ、長期的な視点でドイツをイノベーション・ハブとして強化するために、ベン
チャー・キャピタル・ファンドおよびベンチャー・デット・ファンドへの投資を行っている。
中小企業銀行および民間顧客 事業部門は、ドイツ連邦政府の信頼できるパートナーとしての役割を有し、顧客グ
ループにより、中小企業銀行と民間顧客の2つのセグメントに分割されている。
中小企業銀行セグメントは、2019年も様々な主要助成分野にわたる広範な助成の提供を通じてドイツ経済を支援
する。経済および金利に関して予想される動向により、中小企業銀行セグメントの事業部門は、商工業融資への活
発な需要を見込んでいる。ERPのデジタル化および技術革新のためのローンのさらなる発展により、長期的に見て
技術革新の助成は高水準となる見込みである。連邦政府による省エネおよび再生可能エネルギー熱助成戦略の導入
は、「KfW省エネプログラム-商工業」という新たな助成プログラムを生み出した。かかる業界向けプログラム
は、工場における特定かつ個別の手段およびプロジェクトならびにプロセス近代化プロジェクトであってテクノロ
ジーを利用するもののほか、再生可能エネルギーによるプロセスヒートを提供するための手段の助成を行う。一方
で、再生可能エネルギーの助成は減少傾向にある。これはとりわけ、ドイツの再生可能エネルギー源法
( Erneuerbare-Energien-Gesetz EEG )の改正に起因している。起業融資は、前年と同水準となる見込みであ
る。
民間顧客セグメントは、教育、ならびに住宅の建設および改修における省エネの支援のほか、持ち家住宅の取得
および建設ならびに利用可能な住宅の改修および新築の助成も行っている。民間顧客セグメントにおける住宅関連
融資への需要は、2019年も引き続き高水準となる見込みである。かかる需要の主な要因は、(ⅰ)低金利環境およ
び所得の増加が住宅資産への投資を促進すること、(ⅱ)気候変動およびドイツのエネルギー移行が省エネ建築お
よび改修のための住宅関連プログラムへの需要を強化していること、(ⅲ)人口動態の変化がニーズに応じた住宅
供給の発展に対する投資の増加を必要とすること、ならびに(ⅳ)手頃な住宅に関する問題が助成のさらなるイン
センティブとなることである。教育への融資は、常に高い資金需要があることから、引き続き高水準となる見込み
である。
当セグメントの助成の重点分野におけるさらなる発展の主な要因は、連立合意に基づく「建築子ども手当」制度
(2018年に開始され、2019年の予算は33億ユーロとされている。)の実施であり、これにより、関連部分の助成は
大幅に増加している。
中小企業銀行および民間顧客事業部門は、2019年に、2018年の計画上の水準を上回る総額390億ユーロのコミッ
トメントを予定している。
助成事業の体系的なデジタル化は、引き続き、主要な戦略的行動分野となる。かかるプロセスの主な要素は、顧
客アクセスから助成、迅速なコミュニケーションおよび助成終了の決定に至るまでのプロジェクトにおける顧客の
総合的な支援である。自動化されたプロセスおよび標準化された商品は、これらの目的を達成するために調整可能
なリテール事業の手段である。
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個別対応金融および公的顧客 事業部門は、3つのセグメントに分割されている。
地方自治体インフラ整備および社会インフラ整備事業セグメントは、環境、エネルギー転換および社会変革(こ
の場合、特に既存資産の利用性を改善するプログラムを通じたもの)に焦点を合わせた地方自治体、公営企業およ
び非営利組織への広範な基本的融資から成る。地方自治体の投資機会は、主にその予算および債務状況の不均一性
の増加によって特徴付けられる。インフラ融資においては、KfWは公共建築の省エネに関する基準設定主体にも
なっている。2つの基本的なプログラムである「地方自治体向け投資用ローン(IKK)」ならびに「公営企業および
社会組織向け投資用ローン(IKU)」により、KfWは、地方自治体および自治体サービス企業にとって信頼できる
パートナーとして位置付けられている。
個別対応企業金融セグメントは、ドイツ経済に関する業務を行う企業のための、デジタル化されたリテール事業
を超えた個別対応型の助成ソリューションに重点を置いている。この目的において、リスク担保が付された様々な
負債性資本商品が提供されている。大きめの中小企業の技術革新およびデジタル化への投資を目的とする新たな
「成長のためのKfWローン」プログラムのために、中期的に多額の投資が計画されている。新たなベンチャー・テ
クノロジー成長商品の提供は、急成長するテクノロジー企業への融資の重要な推進力となる。法的枠組みの変化に
より、このセグメントにおいて風力発電のための海外資金調達機会を提供する上での恒久的な障壁が生じている。
新たな欧州レベルでの協力のための取組みが、とりわけ中小企業の成長のための融資の支えとなる可能性がある。
銀行および州立支援財団への個別融資のセグメントの市場環境は、引き続き提携銀行における堅実なリファイナ
ンス状況によって特徴付けられている。ドイツにおいては、中小企業のリース投資を助成するグローバル・ローン
への高い需要がある一方で、他の欧州諸国においては、グローバル・ローンによる融資は依然として困難な状況に
ある。輸出ローンのリファイナンスの需要は、近年、一定程度回復したものと見られる。
当事業部門は、州立支援財団の融資パートナーとして、プログラム・ベースのグローバル・ローンの事業額につ
いて現在の高い水準を確保することを目指している。当事業部門は、信頼できるパートナーとして、州立支援財団
に対する一般融資の中で、当事業部門の助成をさらに大幅に強固なものとすることを目指している。
リース融資向けのグローバル・ローンおよび連邦政府がカバーする輸出ローンのリファイナンスに関する安定し
た計画アプローチは、中小企業および輸出経済を助成するという戦略的な主要目的を効果的に後押ししている。こ
れらの手段は、欧州ライトハウス・プロジェクトによって強化されている。
当事業部門は、2019年、新規事業額を100億ユーロとし、2018年の計画上の水準とほぼ同水準で助成を継続する
予定である。
新たに設立された子会社である KfWキャピタル は、 ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル市場における機
関ファンド投資家としての立場を確立することを目指している。KfWキャピタルは、ドイツおよび欧州のベン
チャー・キャピタル・ファンドに投資し、それによりドイツのベンチャー・キャピタルおよび初期成長段階への融
資を強化する上で、連邦政府のERP特別基金からの補助に依存している。かかる取引額がより大きいファンドによ
り、設立間もない革新的技術を志向するドイツの成長企業による資本へのアクセスを向上させることができる。
KfWキャピタルは2020年までに、KfWのこれまでの投資額を倍増させ、年間平均200百万ユーロ(2019年の計画上の
コミットメント額は155百万ユーロ)とすることを目指している。今後10年間で、KfWキャピタルは、20億ユーロの
投資を、少なくとも同額をドイツ企業に出資するファンドを対象に行うことを目指している。
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KfW キャピタルの設立の背景には、ドイツにおけるベンチャーおよび初期成長段階への融資を強化するという政
治的意思がある。研究により、このセグメントは特に後れを取っていることが示されている。ベンチャー・キャピ
タル投資が国のGDPに占める割合において、ドイツは実際に欧州平均を下回っている。一方で、近年ドイツにおい
ては、非常に将来性のある力強い起業環境が形成されている。ドイツにおける革新的な新興企業の数は、昨年だけ
でも15,000社増加し、現時点で合計108,000社に達している。KfWのベンチャー・キャピタル投資事業の完全子会社
としてのスピンオフにより、株式投資をそれに特化した機関においてより重点的に行うことが可能となる。かかる
スピンオフは、政府によるドイツのベンチャー・キャピタル市場へのコミットメントをより可視化するとともに、
その重要性をより適切に反映するものでもある。
KfW は、既存の3つの商品およびプログラム(ハイテク起業基金、公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金およ
びERPベンチャー・キャピタル基金投資)により、市場を独占することなくドイツのベンチャー・キャピタル環境
を再生させるための対象を絞ったアプローチを採っている。対象となるファンドは、一方では欧州のすでに確立さ
れているファンド、他方ではベンチャー・キャピタル提供者の数を増やすための「新規の」ファンドである。KfW
キャピタルは、ファンドに対して最大で25百万ユーロおよびファンド金額の19.99%を投資し、それにより民間資
本に大幅にてこ入れしている。
金融市場
金融市場 事業部門は、資本市場商品を通じた信用供給の向上を支援するため、証券化取引に投資している。この
ため、当事業部門は、ドイツ連邦経済エネルギー省の委嘱を受けて、ドイツおよび欧州の中小企業の資金調達機会
の多様化および安定化に貢献している。
2019 年には10億ユーロの中小企業関連の証券投資が計画されている。欧州の証券化市場を強化し、欧州の中小企
業による資本市場での資金調達を支援するため、EIF-NPB証券化イニシアチブ(ENSI)の下で欧州の助成機関間の
協力が続けられている。
ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)により2015年春に発布された助成任務に基づくKfWによるグリー
ンボンドの購入は、環境および気候保護プロジェクトへの融資ならびにグリーンボンド市場のさらなる発展の支援
に役立っている。グリーンボンドに関するポートフォリオの目標額は、最大で20億ユーロである。2018年12月31日
の時点で、かかる金額の半分以上がすでに投資されている。2019年には、3億ユーロの新規事業が見込まれてい
る。
金融市場事業部門は、2つの助成貸出ポートフォリオの新規事業額を再び、2018年の目標額と等しい総額13億
ユーロとして計画している。
国際事業
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス 事業部門は、競争力および国際化を維持し、強化するためにプロ
ジェクト・ファイナンスおよび輸出金融によりドイツおよび欧州の経済を持続的に支援すること、ならびに当グ
ループの業績への貢献を高めることを目標としている。
当事業部門に関連する市場における経済業績は、ドイツにおいては安定しており、OECD加盟国においても概ね順
調であった。関連する発展途上国および新興経済国の中には、アンデス諸国といった実際に成長の可能性がある地
域がある。ロシアおよび特にトルコ等の主要な市場は、依然として課題に直面している。地政学的なリスク(潜在
的な保護貿易主義的運動等)は、世界の貿易、ひいては融資機会に顕著な悪影響を及ぼす可能性がある。しかしな
がら、全体的には、その競争力に投資するドイツおよび欧州の輸出業者および企業には十分な潜在力があり、これ
を基に輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門の融資アプローチを策定することが可能である。
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当事業部門の融資活動は、環境および気候の保護、経済的および社会的インフラ整備ならびにドイツにおける原
料供給の確保にも重点を置いている。かかる事業部門が世界有数の特別な資金提供者として位置付けられるために
は、とりわけ資本保全商品に関する組成能力を持続的に展開することが重要である。プロジェクト・ボンド(通常
はインフラ融資)の場合と同様に、資本市場取引における特定の取引の役割を引き受ける能力も、それらが主力商
品のローンの代わりに用いられる場合において検討される。大規模なセルフストラクチャード・ファイナンスの実
施の結果として、複雑な輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスにおける主導的な役割を引き受ける頻度が増
加している。リスクは、主に銀行、投資家および保険者に対して融資を行うこと、ならびにより積極的なポート
フォリオの管理の一環として、事業パートナーおよび追加的なプロジェクトのために限度額の一部が確保されるこ
とによって軽減されている。
RWA の 効率性の高い方法で収益を持続的に安定および増加させるためにリスク分散を継続的に改善することが、
最重要視されている。重要な点は、RWAに影響を与えないマーケティング事業をより強化すること、ならびにヘッ
ジ商品の利用の増加および市場に対するリスクの移転(プライベート・リスク保険(PRI)およびシンジケーショ
ン)、さらにはより積極的なポートフォリオの管理およびこれに伴いローン・ポートフォリオのRWAの最適化を高
めることである。
かかる事業は、2019年も引き続き有機的成長軌道を辿る予定であり、新規事業額は166億ユーロ(2018年の目標
額と比べて2%弱の増加)と計画されている。
発展途上国および新興経済国支援 事業部門は、KfW開発銀行およびDEGの事業活動を含む。
KfW 開発銀行 の事業分野は、力強い事業成長が今後数年間にわたり継続することを期待している。連邦政府の予
算および欧州委員会の両方からの開発協力に関する政治的重要性および関連予算資金は、増加し続けている。KfW
開発銀行の主な戦略的目的は、連邦政府による国際的目標(2030アジェンダおよびパリ合意)の達成への寄与を支
援すること、および国際的開発課題(貧困の軽減、危機の管理および防止)に取り組むことにある。このため、と
りわけ危機との関連において増加する予算資金を迅速に活用すること、および気候に関するコミットメントを一層
強化することに引き続き重点が置かれる。
国際的な気候変動ファイナンスは、気候適応ポートフォリオの拡大、需要に応じた省エネおよびエネルギー・シ
ステムへの再生可能エネルギーの取入れを含む手段を通じて拡大される予定である。(特にアフリカおよび中東に
おける)危機関連ファイナンスの拡大に加えて、世界規模の安全保障と安定性に対する市民的寄与を支援するため
の連邦政府に対する支援も行う予定である。かかる支援は、ドイツの資金の使途を明確に可視化し、ドイツ連邦政
府による国際的義務の履行を後押しする。
同時に、資金調達の質のさらなる改善も行う予定である。これに関しては、様々なパートナー国における債務額
の増加により、パートナー国の債務リスクを軽減するための融資手段の開発の継続(現地通貨建の資金調達の拡大
等)が特に優先される。手段の開発に加えて、KfW開発銀行は、貸付におけるパートナーの債務持続可能性をより
一層考慮に入れた枠組みも構築した。環境的および社会的な国際基準の遵守ならびに腐敗行為防止基準をはじめと
する重点分野は、全体としての開発協力の質に関する要件の厳格化および非財務的/風評リスクの高まりに鑑み
て、さらに強化される。資金調達の質を向上させるため、ファイナンシャル・コーポレーションの成果および影響
の監視および報告に関する開発が強化され、とりわけ環境的および社会的リスクの分野における透明性が高められ
る。デジタル化措置の実施も、内部ポートフォリオおよびデータ管理の最適化を目標としている。
さらに、主要パートナーとの協力が維持および拡大される予定である。EU対外投資計画の一環として、KfW開発
銀行は、欧州の他の助成機関との緊密な協力の下、EUの保証手段の開発および実施に積極的に参加している。
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KfW 開発銀行は、2019年の新規事業額を、2018年の目標額の84億ユーロを大きく上回る91億ユーロと計画してい
る。
DEG がそのコミットメントを追及する発展途上国および新興市場における2019年の経済成長は、世界的な経済成
長の鈍化により、複雑な全体像を示している。DEGの事業戦略は、ドイツの中小企業への総合的な業務提供によ
り、発展途上国および新興経済国の民間部門の有利で効果的な助成を行うことを目標としている。持続的な収益
は、DEGのリスク負担能力および有機的成長を確保する。収益が保持されることにより、DEGの資本基盤が支えら
れ、新たな投資が可能となる。ドイツ企業向けの現在の融資および助成業務の提供は、発展途上国および新興経済
国におけるドイツの経済活動を支援するために拡大された。その目標は、ドイツの顧客およびその事業パートナー
のための現地資金調達へのアクセスを改善し、ドイツのプライベート・ファンドの活用を向上させることである。
これには、5つのドイツ・デスク(ケニア、ナイジェリア、ペルー、インドネシアおよびバングラデシュ)の開設
が含まれた。民間企業への融資は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す世界的提携における不可欠な要素
として、民間部門を助成する。民間企業は、その投資および活動により、雇用を創出し、地域所得を生み出し、ま
た市場および部門を画期的に発展させる。アフリカ、アジア、中南米および欧州(東欧)に市場を持つDEGは、最
も地域的多様性のある開発金融機関の1つである。アフリカは、現在、および今後も引き続き、DEGが特に重要視す
る地域であり、DEGはアフリカとのコンパクトによるイニシアチブの一環として、ドイツ連邦政府との協力の下、
アフリカへの関与を高めている。DEGは、顧客に個別融資や包括的なアドバイザリー・サービスを提供する「融資
+」アプローチの継続的な発展を重要視している。特にその事業サポート・サービスによって、DEGは同業他社と
差別化され、顧客のための付加価値を生み出し、投資の開発上の有効性を明確に向上させている。
2018 年12月31日現在、DEGのポートフォリオは約81億ユーロに達しており、DEGは、2019年の新規コミットメント
額を約20億ユーロと予想している。
ドイツ連邦政府との民営化取引
連邦政府の 民営化取引 に関連して、KfWは、市況および連邦政府の戦略的要件を考慮して、2019年にもさらなる
民営化取引を行う一般的な準備を整えている。
資金調達の見通し
KfWは、世界最大の民間発行体の1つとして世界中で債券を発行しており、連邦共和国による明確な直接保証に
よって、非常に高い 信用の質を享受している。KfWは、多様かつ長期指向の資金調達戦略により、 資本市場 におい
て安定した地位を築き上げてきた。
KfW は、国際市場参加者から非常に高い評価を享受し、変動する市況に対し柔軟に対応することができる。KfWは
今後も引き続き、KfWの助成事業への資金調達を確実に行うために、多大な責任をもってこの卓越した立場を維持
しようと努めている。KfWの資金調達戦略において3本の柱は引き続き、流動性の高いユーロ建および米ドル建のベ
ンチマーク債、公募債ならびに私募である。
債券発行ビジネスにおける商品の提供については、投資家の需要を引き続き重視する予定である。KfWのユーロ
および米ドル建のベンチマーク債は、引き続き総額に対して最大の割合を占めることとなる。かかる事業セグメン
トは、持続可能性の問題に関する資本市場との対話を通じてKfWの「責任ある銀行」としての立場をさらに下支え
し、それにより、引き続き様々な通貨建のグリーンボンドを発行することを含め、KfWの持続可能性プロファイル
を強化する。
2019 年における資本市場を通じた長期的な資金調達は、前年の目標範囲の上限に当たる約800億ユーロと計画さ
れている。
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収益の見通し
2019 年に関する現在の当グループの収益見通しにおいて、予想されているマクロ経済的条件に基づき、KfWは、
IFRSの影響を受ける前の連結利益が約8億ユーロになると予想している。したがって、予想される業績は戦略的目
標である10億ユーロを下回る。正味受取利息(助成費用前)からの寄与は、前年と同様に高い水準である。しか
し、低金利環境の継続により、金利および流動性満期変換がさらなる収益に寄与する可能性が限定され、結果とし
て、その後数年間における正味受取利息合計にさらなる負荷となる可能性がある。正味受取手数料は、新たな「建
築子ども手当」商品に伴い、2018年を上回る見込みである。
2019 年において計画される一般管理費は、近代化およびデジタル化、規制ならびに会社方針に関するプロジェク
トの実施に係る高額の費用に起因して、1,370百万ユーロとなった。
2019 年の 助成費用前収益費用比率は、46.3%となる見込みである。
長年の過去平均として予測される2019年の標準的リスク費用は、2018年における実際の貸出事業に係るリスク引
当金を大幅に上回っており、収益にマイナスの影響が及ぶことを示唆している。見通しの根拠となっているマクロ
経済学のシナリオに従えば、実際の貸出事業に係るリスク引当金は、2019年も標準的なリスク費用の水準に達しそ
うもない。すなわち、戦略的な連結利益目標は達成可能と見込まれる。KfWはまた、市況が許せば、2019年におい
ても助成費用が前年の計画に近い水準になると見込んでいる。
KfW の ビジネスモデルは、中長期志向であり、特に貸出事業からの収益(金利マージンおよび正味受取手数料)
は、非常に安定している。連結利益の 機会およびリスク は、 デリバティブ市場の状況やそれに関連するKfWの位置
付けに起因して、とりわけ財務について増加する可能性がある。さらに、査定に係る機会およびリスクは、リスク
引当金が計画および経済的に有効なヘッジの評価から生じる業績への一時的な影響(業績に対するIFRS関連の影
響)から変動することにより生じる可能性がある。後者は、経済的な根拠がないためKfWの計画に明示的には含ま
れない。
人事戦略/労働力の展開
KfW の 事業戦略を実施するにあたり、適切な 人材配置 が重要な要件となる。執行理事会は、その継続的な計画に
おいて、予算期間全体にわたって、拘束力のあるフルタイム当量上限(FTE上限)を毎年決定している。これらの
上限は、平常時および危機時の業務遂行を確実にし、かついかなる基礎的状況の変化および/または責任にも柔軟
に対処できるように、すべての内部スタッフを考慮したものである。
人件費の管理を改善するために、コスト意識の向上を目的とする多数の手段が実施され、今後数年間にわたって
も実施される予定である。
KfW は、2018年1月1日以来、IVVの報酬規制の対象となっている。新たな報酬制度は、KfWの助成任務に沿った固
定報酬を中心とする業績連動型報奨制度として設計されている。費用およびリスクの側面を考慮に入れて、適切な
引当金を備え、かつ市場に従ったグループ全体の統一的な企業年金制度を目的として、新規雇用者のための新たな
企業年金制度を設計することが必要であった。
高い雇用水準および熟練労働の不足によっても特徴付けられる人口変動の時代において、KfWの人材需要を適切
にカバーするため、採用活動はより特定のグループに的を絞り、かつデジタル手段を用いたものとなっている。若
手の人材に対する現代的かつ需要に合わせたサポートが、外部からの採用を補うようになってきている。さらに、
変化するニーズに応え、戦略的な要因としてのスキル(ITスキルおよびデジタル化との関連における機敏性の利用
等)を確立するため、既存の従業員の能力およびスキルの包括的な管理が 人材開発 の主要な役割の1つとなってい
る。
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労働環境に関しては、デジタル化、規制要件(パートタイムおよび有期雇用法( Gesetz über Teilzeitarbeit
und befristete Arbeitsverträge ))やワークライフバランス重視の高まりにより、場所、勤務時間および労働の
構成に関する慣行は柔軟性を増している。KfWは、既存の労働モデルおよびサービス提供内容を、こうした流動的
で柔軟な働き方に関する新たな要件に適応させている。このようにして、スタッフの雇用可能性を(育児・介護推
進策等を通じて)支える近代的で魅力的な労働環境を創出している。
持続可能な人事戦略のもう1つの重要な要素が、インクルージョンの管理である。これにより、障害のある人々
の潜在能力も最大限に活かすことが確保される。戦略的な競合優位性としてKfWに組織的に多様性を持たせる多様
性の管理は、ジェンダーバランスおよび若年従業員と高齢従業員間の知識移転の各サブエリアから成り、これらは
多様性の管理に関する全体的な多次元のアプローチに統合されている。
機会としてのデジタル化
経済の デジタル化 は、 生産性、技術革新および新たなビジネスモデルを推進する。この変更の過程の成功は、デ
ジタルインフラ、適切なデータセキュリティおよびデータ保護計画ならびに従業員の関連スキルへの投資にかかっ
ている。
一方では、KfWは、経済のデジタル化を支援している。国内における助成に適した商品およびドイツ国内外のデ
ジタル化を推進する計画への融資により、KfWはこのメガトレンドに対応している。また、適切なパートナーとと
もに、顧客ならびにその情報および助言に関するニーズに焦点を合わせ、包括的なソリューションを提供するデジ
タル・プラットフォーム(www.gründerplattform.de等)の開発に取り組んでいる。他方では、KfWはデジタル化を
促進する技術の活用を、自社の助成業務の提供を強化するための好機として考えている。このため、KfWは、KfWに
とって戦略的なおよび/または定量化可能な利益を生み出すであろうすべての組織分野においてデジタル変革を推
進するための的を絞った措置を講じている。KfWは、助成の確保およびさらなる発展と、効率の向上という2つの主
要な目的を追求している。これらの目的を達成するために、銀行は引き続き、助成プログラムを合理的かつデジタ
ル的に処理するためのデジタル・ソリューション(デジタルオンレンディング・プラットフォーム「BDO」および
KfW助成ポータル等)に投資し、助成事業におけるプロセスとワークフローを最適化するための新しい技術(例え
ば、開発協力および債券取引におけるブロックチェーンのパイロット・プロジェクト化)を試みる。
KfW でのデジタル変革はまた、人事チームと連携しての文化的な変化および従業員訓練に対するサポートも含ま
れる。デジタル化後の職場の人間関係、管理およびコミュニケーションの長期にわたる変化に焦点が置かれてい
る。この目的のためだけに、デジタル化の知識と経験を交換するための中心的なハブとして機能するデジタル・ア
カデミーが創設された。さらに、デジタルおよび非デジタルの各分野において、新しく機動的な業務方法が実施さ
れ、革新が強化されている。
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持続可能な融資に関する課題
2018 年5月に導入され現在進行中の欧州委員会の分類および開示に関する立法イニシアチブにより、KfWの助成事
業の枠組みが、持続可能性に関する問題およびその報告に関して大幅に変更される可能性がある。金融部門は、
「持続可能な経済活動」とは何であるかについて共通の分類または「文言」を定義しようとする欧州委員会のイニ
シアチブを、基本的に支持している。かかるイニシアチブにより、信頼性がありスケーラブルな「グリーンの」ま
たは「持続可能な」金融商品の開発が可能になるものと考えられる。分類に関する立法プロセスについては、計画
されていた当年中の完了は見込まれず、2020年まで継続される可能性が高い。すべての商品がこれまでに策定され
た「グリーン」に関するEUの分類基準を完全に遵守するとは考えがたいため、「気候商品」の定義を伴う第一段階
の効力が生じた後に、KfWが金融商品および助成商品をどのように一般に提示するかに関して影響が生じることと
なる。また、KfWは、EUの分類よりも制限的でないKfWの環境株に関する評価手法の最適な扱い方についても検討す
る必要がある。欧州委員会の開示イニシアチブにおいては、主に気候リスクに関して(拘束力のない指針の強化と
いう形での緩やかな要件ではあるものの)追加的な報告要件が定義されるため、これに伴い、KfWの持続可能性に
関する報告の枠組みが拡大されることとなる。これらは2019年半ばに効力を生じ、したがって、2020年春に公表さ
れるKfWの次回の持続可能性報告書に影響を及ぼす見込みである。
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5 )連結財務書類
連結包括利益計算書
損益計算書
注記 2018 年 2017 年
(単位:百万ユーロ)
実効金利法による受取利息 2,836 n/a
851 n/a
その他の受取利息
受取利息合計 (27)
3,687 3,213(1)
1,459 821(1)
支払利息 (27)
正味受取利息
2,228 2,393
貸出事業に係るリスク引当金 (2) -3 -209
(7)(13)(28)
正味受取利息(リスク引当金控除後)
2,225 2,184
受取手数料 (29) 387 331
25 29
支払手数料 (29)
正味受取手数料
362 303
ヘッジ会計からの純損益 (8)(30) 480 591
損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商
(31) -54 -397
品から生じる純損益
有価証券および投資からの純損益 (32) n/a 0
証券事業に係るリスク引当金からの純損益 (7)(33) 0 n/a
償却原価で測定される金融商品の処分による純損益 (34) 2 n/a
持分法により会計処理された投資からの 純損益 (6)(35) 22 22
一般管理費 (36) 1,418 1,247
5 -2
その他の正味営業収益または損失 (37)
営業活動による損益
1,623 1,453
-13 26
法人税 (38)
連結利益 1,636 1,427
(1) 注記の「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に記載のとおり前年の数値を調整。
(2) 重要でない契約上の変更から生じる純損益は、貸出事業に係るリスク引当金に計上される。
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連結包括利益計算書
注記 2018 年 2017 年
(単位:百万ユーロ)
1,636 1,427
連結利益
損益計算書に組替調整可能な金額 n/a 202
金融商品 (39)
n/a 208
n/a –6
金融商品に係る繰延税金 (39)
損益計算書に組替調整されない金額 155 79
損益を通じて公正価値で測定することが指定され
(39)
157 n/a
た負債に係る自己信用リスクの増減からの純損益
確定給付債務 (39) 0 82
-1 -3
確定給付債務に係る繰延税金 (39)
その他の包括利益合計 155 281
連結包括利益 1,791 1,708
その他の包括利益は、株主持分の再評価準備金に直接認識された金額から成る。これらの金額は、損益を通じて
公正価値で測定することが指定された負債に係る自己信用リスクの増減からの利益および費用、売却可能金融資産
に分類される金融商品からの利益および費用(2017会計年度)、確定給付債務に係る数理計算上の損益の変動なら
びに元となる取引により計上される繰延税金の変更を含む。
損益計算書に含まれる組替調整額の表示
2018 年 2017 年
(単位:百万ユーロ)
金融商品の 組替 に関する 調整額 n/a 6
n/a 0
金融商品に係る繰延税金の 組替 に関する 調整額
合計 0 6
昨年の金融商品の組替に関する調整額には、有価証券および投資の売却可能金融資産から貸出金および債権の測
定区分への再分類に係る再評価準備金の償却も含まれていた。昨年においては、損益計算書において認識される利
益はマイナスの金額として計上され、費用はプラスの金額として計上された。
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連結財政状態計算書
資産の部
2018 年 2017 年
12 月31日 12 月31日
注記 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
現金準備高 (42) 17,465 11,087
銀行に対する貸出金等 (7)(11)(12)(43)(71) 280,413 274,491(1)
顧客に対する貸出金等 (7)(11)(12)(44)(71) 126,878 127,759(1)
貸出事業に係るリスク引当金 (7)(13)(45) -1,545 -1,457
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る
(8)(47)(71) 9,071 9,648
評価差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ (8)(48)(70)(71)(72) 9,512 9,074
その他のデリバティブ (7)(8)(49)(72) 5,274 5,145
有価証券および投資 (7)(14)(15)(50)(70) 35,729 33,615
持分法により会計処理された投資 (6)(51) 514 415
有形固定資産 (16)(52) 958 950
無形固定資産 (17)(53) 225 252
税金資産 (54) 579 498
716 704(1)
その他の資産 (10)(55)
合計 485,790 472,183
(1) 注記の「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に記載のとおり前年の数値を調整。
負債および資本の部
2018 年 2017 年
12 月31日 12 月31日
注記 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する債務 (7)(18)(56)(70)(71) 8,220 5,990(1)
顧客に対する債務 (7)(18)(57)(70)(71) 12,303 9,886(1)
債務証書 (7)(18)(58)(70) 418,581 406,290
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る
(8)(59)(71) 98 119
評価差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ (8)(60)(70)(71)(72) 9,891 14,488
その他のデリバティブ (7)(8)(61)(72) 2,529 2,902
引当金 (13)(19)(62) 3,028 2,877
税金負債 (63) 284 272
その他の負債 (10)(64) 540 617(1)
株主持分 (20)(65) 30,315 28,742
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金 8,447 8,447
ERP 特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 17,371 15,500
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600 600
-594 -295
再評価準備金 (7)(20)
合計 485,790 472,183
(1) 注記の「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に記載のとおり前年の数値を調整。
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連結持分変動計算書
2018 会計年度 連結持分変動計算書
連結グ 2018 年 連
2017 年 2018 年 2018 年
IFRS 第9 ループに 結包括利
12月31日 1月1日 12月31日
号への移 おける変 益の処
現在 行の影響 現在 動 分・充当 現在
(単位:百万ユーロ)
引受済資本 3,750 0 3,750 0 0 3,750
控除:未請求の未払込資本 -450 0 -450 0 0 -450
資本準備金 8,447 0 8,447 0 0 8,447
ERP 特別基金からの助成準備金 7,150 0 7,150 0 0 7,150
ERP 特別基金からの準備金 1,191 0 1,191 0 0 1,191
利益剰余金 15,500 236 15,735 0 1,636 17,371
KfW 法第10条第(2)項による法定準備金 1,875 0 1,875 0 0 1,875
KfW 法第10条第(3)項による特別準備金 9,207 0 9,207 0 884 10,092
特別準備金
(ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4) 21 0 21 0 0 21
項に基づく引当による特別損失控除後)
その他の利益剰余金 4,396 236 4,632 0 751 5,383
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600 0 600 0 0 600
再評価準備金 -295 -454 -749 0 155 -594
金融商品による評価損益(税引き後) 277 -277 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定することが
指定された負債に係る自己信用リスクの 0 -178 -178 0 157 -21
増減からの評価損益
確定給付債務に係る数理計算上の
-572 0 -572 0 -1 -573
損益(税引き後)
28,742 -218 28,524 0 1,791 30,315
株主持分
KfW の当期純利益のうち884百万ユーロは、KfW法第10条第(3)項による特別準備金を増加させるのに充当された。
連結包括利益の差分は、その他の利益剰余金、または株主持分に直接認識されている場合は、再評価準備金に割
当てられる。
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以下の表ならびに注記20および注記65は、連結持分変動計算書の詳細を示している。
2018 会計年度 再評価準備金変動計算書
FVD の
カテゴ
リーに
おける
銀行に 顧客に
自己債券
対する 対する
および 確定給付
債務 債務
手形貸付 債務 に
(FVD) (FVD)
(自己 (自己 (自己 係る
有価証券 信用 信用 信用 数理
および リスクの リスクの リスクの 計算上の
投資 割合) 割合) 割合) 損益 税効果 合計
(単位:百万ユーロ)
277 0 0 0 –603 32 -295
2017 年12月31日現在
-277 -7 -42 -128 0 0 -454
IFRS 第9号初期導入の影響
0 -7 -42 -128 -603 32 -749
2018 年1月1日現在
株主持分において直接
認識された増減
損益を通じて公正価値で測
定することが指定された負
n/a 2 14 140 0 0 157
債に係る自己信用リスクの
増減
数理計算上の評価パラメー
n/a 0 0 0 0 -1 -1
ターの変動による再評価準
備金の変動
株主持分において直接
n/a 2 14 140 0 -1 155
認識された増減合計
n/a -5 -29 12 -603 30 -594
2018 年12月31日現在
2017 会計年度 連結持分変動計算書
2017 年 2017 年 2017 年
連結グルー
1月1日 プにおける 包括利益の 12月31日
変動
現在 処分・充当 現在 合計
(単位:百万ユーロ)
引受済資本 3,750 0 0 3,750
控除:未請求の未払込資本 -450 0 0 -450
資本準備金 8,447 0 0 8,447
ERP 特別基金からの助成準備金 7,150 0 0 7,150
ERP 特別基金からの準備金 1,191 0 0 1,191
利益剰余金 14,092 -20 1,427 15,500
KfW 法第10条第(2)項による法定準備金 1,875 0 0 1,875
KfW 法第10条第(3)項による特別準備金 8,312 0 895 9,207
特別準備金
(ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4)項に基 21 0 0 21
づく引当による特別損失控除後)
その他の利益剰余金 3,885 -20 532 4,396
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600 0 0 600
再評価準備金 -576 0 281 -295
金融商品による評価損益(税引き後) 75 0 202 277
確定給付債務に係る数理計算上の
-650 0 79 -572
損益(税引き後)
27,055 –20 1,708 28,742
株主持分
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2017 会計年度 金融商品(関連する繰延税金を含む。)の再評価準備金
および 持分法により会計処理された投資の変動
債券 株式
および および
その他の その他の
確定利付 不確定
証券 利付証券 株式投資 税効果 合計
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 75 0 0 0 75
A. 損益計算書において認識
された増減
処分による減少 0 0 0 0 0
処分による増加 0 0 0 0 0
減損による減少 0 0 0 0 0
再分類後の償却 6 0 0 0 6
0 0 0 0 0
連結グループにおける変動
損益計算書において認識
6 0 0 0 6
された増減 合計
B. 株主持分において直接
認識された増減
資本性金融商品のみに係る減損損
0 0 0 0 0
失戻入に伴う再評価準備金の増減
公正価値の変動に伴う再評価準備
38 0 165 -6 196
金の増減
株主持分において直接認識
38 0 165 -6 196
された増減 合計
118 0 165 -6 277
2017 年12月31日現在
2018 会計年度 確定給付債務に係る数理計算上の損益(関連する繰延税金を含む。)
による再評価準備金の変動
確定給付債務に
税効果 合計
係る 数理計算上の損益
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 -603 32 -572
株主持分において直接認識
0 -1 -1
された増減
数理計算上の評価パラメーターの変
0 -1 -1
動による再評価準備金の変動
-603 30 -573
2018 年12月31日現在
2017 会計年度 確定給付債務に係る数理計算上の損益(関連する繰延税金を含む。)
による再評価準備金の変動
確定給付債務に
税効果 合計
係る 数理計算上の損益
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 -685 35 -650
株主持分において直接認識
82 -3 79
された増減
数理計算上の評価パラメーターの変
82 -3 79
動による再評価準備金の変動
-603 32 -572
2017 年12月31日現在
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連結キャッシュ・フロー計算書
2018 年 2017 年
(単位:百万ユーロ)
連結利益 1,636 1,427
連結利益に含まれる非現金項目および営業活動
によるキャッシュ・フローに一致させるための調整
減価償却費、償却費、減損および減損損失戻入(貸出金等、
有形固定資産、有価証券および投資)ならびに貸出事業に係 -190 401
るリスク引当金の増減
その他の引当金の増減 200 190
その他の非現金費用および収益 112 0
有価証券および投資ならびに有形固定資産の売却損益 0 -16
-2,176 -2,941(1)
その他の調整
小計
-418 -940(1)
非現金項目修正後の営業活動による資産および負債の増減
銀行に対する貸出金等 -5,924 1,603(1)
顧客に対する貸出金等 912 8,625(1)
有価証券 -2,098 -704
営業活動に係るその他の資産 -134 25,605(1)
銀行に対する債務 2,247 -13,847(1)
顧客に対する債務 2,405 -1,748(1)
債務証書 12,292 -16,285
営業活動に係るその他の負債 -5,066 -4,510(1)
利息および配当金受取額 3,687 2,820
利息支払額 -1,459 -634
-81 -56
法人税支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
6,363 -71(1)
有形固定資産:
売却による収入 1 2
取得による支出 -104 -131
有価証券および投資(株式投資):
118 -86
売却による収入/取得による支出
投資活動によるキャッシュ・フロー
15 -215
増資/減資による収入/支出 0 0
0 -200
その他財務活動による増減
財務活動によるキャッシュ・フロー 0 -200
前期末現在の現金および現金同等物 11,087 11,573
営業活動によるキャッシュ・フロー 6,363 -71(1)
投資活動によるキャッシュ・フロー 15 -215
0 -200
財務活動によるキャッシュ・フロー
当期末現在の現金および現金同等物 17,465 11,087
(1) 注記の「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に記載のとおり前年の数値を調整。
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IAS 第7号に従って、 キャッシュ ・フロー計算書に計上される現金および現金同等物の残高は、財政状態計算書項
目の「現金準備高」と同一であり、手許現金および中央銀行残高から成る。
キャッシュ・フロー計算書は、営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローに分類されて、会
計年度における現金および現金同等物の増減を示している。その他の調整は、主に、正味受取利息 -2,228 百万ユー
ロ(2017年は-2,393百万ユーロ)の調整および評価損益158百万ユーロ(2017年は-525百万ユーロ)から成る。
KfW グループの流動性リスク管理の詳しい情報については、「3) リスクの報告―リスクの種類―流動性リスク」
を参照のこと。
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注記
会計方針
(1) 表示の基礎
KfW は連邦共和国の助成銀行であり、フランクフルト・アム・マインに拠点を置く公法に則った機関として1948
年に設立された。
KfW の執行理事会は、連結財務書類およびグループ営業報告書の作成について責任を負っている。連結財務書類
およびグループ営業報告書は、監査委員会による勧告後、KfWの監事会に提出され、承認を受ける。報告日(2018
注1)
年12月31日)以降2019年3月5日現在 まで重要な事象は生じていない。
注1)
執行理事会による公表承認日。
報告日現在、KfWグループは、KfWおよび完全に連結されている子会社5社で構成されている。2018会計年度にKfW
キャピタルを初めて連結したことにより、子会社数は前年に比べて1社増えた。前年の通り、ジョイント・ベン
チャー1社と関連会社4社は持分法により会計処理されている。
2018 年12月31日現在の連結財務書類は、ドイツ商法( Handelsgesetzbuch- HGB)第315e条第(1)項に従い、EUに
より採用されたIFRS、およびIFRS解釈指針委員会(IFRS IC)により定められた解釈指針に準拠して作成されてい
る。これは、特定の国際会計基準を適用した諸規則はもとより、2002年7月19日付欧州議会および欧州理事会の規
則(EC)第1606/2002号(IAS規則)の第4条に準拠した、必須の連結会計として適用されている。適用されている
基準および解釈指針は、報告日現在EUが公表および承認したものである。
IFRS による連結財務書類にも適用されるドイツ商法の補足規定が考慮されている。ドイツ商法第315条に準拠し
て作成されたグループ営業報告書には、IFRS第7号に規定される金融商品のリスク情報を含むリスク報告書のほか
にIAS第1号第134項に規定される資本および資本管理に係る情報も含まれている。
連結財務書類は、KfWグループ内で一貫した会計方針に準拠して作成され、継続企業の前提に基づいて作成され
ている。連結財務書類に含まれる企業は、2018年9月30日現在の財務書類が使用された持分法により会計処理をし
ているいくつかの関連会社を除いて、2018年12月31日現在の年次財務書類を作成している。報告日現在における後
者の企業についての重要な事象も考慮されている。
連結財務書類における会計方針は、一貫して適用されている。
報告通貨は、ユーロである。特に記載のない限り、すべての金額は百万ユーロで記載されている(単位:百万
ユーロ)。
(2) 新しい会計基準、改訂される会計基準または初めて採用される会計基準
A. 2018 会計年度に初めて採用されるIFRS/IFRIC新解釈指針または改訂解釈指針による影響
2014 年7月、IASBは、IAS第39号「金融商品:認識および測定」に代わるIFRS第9号「金融商品」を公表した。こ
の基準(2016年11月に実施され、欧州法に組み込まれた。)は、2018年1月1日以後に開始する会計年度について適
用される。IFRS第9号には、金融商品の分類および測定ならびに減損およびヘッジ会計に関する新たなルールが含
まれている。IFRS第9号の初度適用に関する詳細は、「IFRS第9号への移行に関する報告」において確認することが
できる。
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IASB は、2017年10月に「負の補償を伴う期限前償還要素(IFRS第9号の改訂)」を公表した。これにより、負の
補償が行われる金融商品を償却原価または公正価値で測定し、変動をその他の包括利益において報告することがで
きる。この改訂には、認識の中止とならない金融負債の条件変更に関する明確化も含まれている。IFRS第9号の改
訂は、2019年1月1日以後に開始する会計年度について適用される予定である。KfWは、2018報告年度についてこの
改訂を先行適用する選択権を行使した。
2014 年5月、IASBは、IAS第11号「工事契約」、IAS第18号「収益」、IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤリティ・
プログラム」、IFRIC第15号「不動産の建設に関する契約」、IFRIC第18号「顧客からの資産の移転」およびSIC第
31号「収益-宣伝サービスを伴うバーター取引」の各基準に代わるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を
公表した。また、2016年4月には「IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化」を公表した。この基準
の適用は、2018年1月1日以後に開始する会計年度について義務化される。
IFRS 第15号を適用することにより、KfWにはIAS第18号から大きな変化は生じず、その結果として、当グループの
純資産、財政状態および経営成績に重大な影響はないとみられる。IFRS第15号の初度適用に関する詳細は、注記10
「顧客との契約から生じる収益」において確認することができる。
初めて適用されたIFRS第2号「株式に基づく報酬」の改訂(2016年6月、株式に基づく報酬取引の分類および測
定)は、当グループの純資産、財政状態および経営成績に影響を及ぼさなかった。
初めて適用されたIFRS第4号「保険契約」の改訂(2016年9月、IFRS 第9号「金融商品」の IFRS 第4号「保険契
約」との適用)は、当グループの純資産、財政状態および経営成績に影響を及ぼさなかった。
初めて適用されたIFRIC解釈指針第22号「外貨建取引と前渡・前受対価」は、当グループの純資産、財政状態お
よび経営成績に影響を及ぼさなかった。
2016 年12月に公表され、初めて適用された「投資不動産の振替(IAS第40号の改訂)」は、当グループの純資
産、財政状態および経営成績に影響を及ぼさなかった。
IFRS の年次改善2014-2016サイクル(2014年12月)のために初めて適用される各種基準の改訂は、当グループの
純資産、財政状態および経営成績に影響を及ぼさなかった。
B. 報告日前にEUにより承認され、欧州法に組み込まれた将来的に採用となるIFRS/IFRIC新解釈指針または改訂
解釈指針による影響
2016 年1月、IASBは、IAS第17号「リース」、IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」、SIC第
15号「オペレーティング・リース-インセンティブ」およびSIC 第27号「リースの法形式を伴う取引の実質の評
価」に代わる新基準のIFRS第16号「リース」を公表した。この基準は、2019年1月1日以後に開始する会計年度につ
いて適用される予定である。
KfW グループは、2019年1月1日からIFRS第16号「リース」を適用する。新たな会計モデルの実施は、将来のリー
スについて、借手としてのKfWが財政状態計算書において各使用権を資産として、また関連リース債務を負債とし
て認識しなければならないことを意味する。IFRS第16号は、少額資産のリースまたは短期(12ヶ月以内のリース期
間)のリースについて、リース料を費用として会計処理することにより引き続き当該リース料をオフバランスで認
識する選択権を認めている。KfWは、リース期間が12ヶ月未満のリースについてこうした簡便法を適用することを
選択した。
IFRS 第16号の初期導入は、純資産、財政状態および収益状況に重大な影響を及ぼさない。約82百万ユーロ相当の
各使用権が今後貸借対照表において認識されることから、主として建物の賃貸借による軽微な影響が生じる。かか
る資産は同額のリース負債と両建て計上される。現在、そうした事例はIAS第17号に基づくオペレーティング・
リースに関係する。関連するリース費用は、現在は損益計算書において認識されている。
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KfW は、IFRS第16号への移行にあたり修正遡及アプローチを適用し、対応する過年度の数字を調整しない。
IAS 第12号「法人所得税」に基づくIFRIC解釈指針第23号「法人所得税の処理に関する不確実性」が2017年6月に
公表された。これは、法人所得税に関する不確実性の会計処理を明らかにするものである。この解釈指針は、2019
年1月1日以後に開始する会計年度について適用される予定である。その適用は、当グループの純資産、財政状態お
よび収益状況に影響を及ぼさない。
C. 報告日前にEUにより公表されたがまだ承認され欧州法に組み込まれていない将来的に適用となるIFRS/IFRIC
新解釈指針または改訂解釈指針
2017 年12月、IFRSの年次改善2015-2017サイクルの一環として、IFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配
の取決め」、IAS第12号「法人所得税」およびIAS第23号「借入費用」の改訂が行われた。年次改善の目的は、要件
や文言を明確にすることにより基準の質を高めることである。2015-2017サイクルによる改訂は、2019年1月1日以
後に開始する会計年度について適用される予定である。欧州法への組込みは2019年に予定されている。
IASB は、2017年10月に「関連会社および共同支配企業に対する長期持分(IAS第28号の改訂)」を公表した。こ
の改訂には、IAS第28号「関連会社および共同支配企業に対する長期持分」ならびにIFRS第9号「金融商品」の適用
範囲を定めるための明確化が含まれている。改訂は、関連会社または共同支配企業に対する純投資の一部を構成す
るものの持分法が適用されない関連会社または共同支配企業に対する長期持分をIFRS第9号の適用範囲に含めてい
る。IAS第28号の改訂は、2019年1月1日以後に開始する会計年度について適用される予定である。欧州法への組込
みは2019年に予定されている。
「制度改訂、縮小または清算(IAS第19号の改訂)」が2018年2月に公表された。この改訂は、確定給付制度の改
定、縮小または清算の会計処理に関するものである。この改訂は、2019年1月1日以後に開始する会計年度について
適用される予定である。欧州法への組込みは2019年に予定されている。
IASB は、2018年10月に「事業の定義(IFRS第3号の改訂)」を公表した。この改訂は、企業が事業を取得したか
または資産グループを取得したかを判断することの困難を解決することを目指している。この改訂は、取得日が
2020年1月1日以後に開始する最初の年次報告期間の開始以後である企業結合に関するものである。欧州法への組込
みは2019年に予定されている。
IFRS 第17号「保険契約」が2017年5月に公表された。この基準は、将来、IFRS第4号「保険契約」に取って代わる
予定である。IFRS第17号は、基準の範囲内にある保険契約の認識、測定、表示および開示に関する原則を定めてい
る。IFRS第17号は、2021年1月1日以後に開始する会計年度について適用される可能性がある。
IASB は、2018年10月に「『重要性がある』の定義(IAS第1号およびIAS第8号の改訂)」を公表した。この改訂
は、「重要性がある」の定義を統一することを目指している。IAS第1号「財務諸表の表示」には「重要性がある」
の標準的な定義および対応する条文番号が現在記載されており、IAS第8号「会計方針、会計上の見積もりの変更お
よび誤謬」中の定義は、将来、IAS第1号に言及することにより取って代えられる。この改訂は、2020年1月1日以後
に開始する会計年度について適用される予定である。欧州法への組込みは2019年に予定されている。
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(3) 重要な会計方針および会計上の見積もりの変更
A. 手法の変更による調整
新たな金融アーキテクチャが実施されたことにより、報告について構造上の変更が生じた。
包括利益計算書 において、正味受取利息に影響を及ぼさない受取利息/支払利息の報告について主とした変更が
ある。マクロヘッジ・デリバティブからの受取利息は、今後は総額で認識されず、ヘッジ対象の資産項目に対応す
る受取利息として損益を通じて純額で認識される。当グループの受取利息には正味の影響はない。
また、資産からのマイナス利息は受取利息において認識され、負債からのマイナス利息は支払利息において認識
される。
財政状態計算書 では、金融資産に係るマイナス利息は債権において認識され、金融負債に係るマイナス利息は負
債において認識される。これにより貸借対照表の総額は減少する。
新たな部門分類を採用することにより、個々の事案において、顧客に対する貸出金等から銀行に対する貸出金等
へのアセット・スワップを用いた取引相手方へのローン債権の配分に変化が生じる。
顧客との間で支払を清算するために輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの一環として締結された補足契
約は、これまではその他の資産およびその他の負債において報告されていた。新たな金融アーキテクチャへの移行
に伴い、かかる補足(ローン)契約は、現在はローン契約と一貫して顧客に対する貸出金等において報告されてい
る。
報告の変更は、連結利益に影響を及ぼさない。
注記 における事業部門の構成は、事業部門別セグメント報告に従い、国内事業における変更後の組織構成および
商品責任に合わせて遡及的に変更された。新たな事業部門である中小企業銀行および民間顧客事業部門、個別対応
金融および公的顧客事業部門ならびにKfWキャピタル事業部門は、従前の2つの事業部門である中小企業銀行事業部
門ならびに地方自治体および民間顧客銀行/信用機関事業部門に取って代わる。
また、金融保証は、注記において偶発債務とは別に遡って報告される。
対応する過年度の数値の調整に関する概要
下表は、2017年の包括利益計算書において影響を受けた各項目について、手法の変更による影響を示したもので
ある。
連結包括利益計算書
調整前 調整後
2017年1月1日から 2017年1月1日から
2017年12月31日まで 調整 2017年12月31日まで
(単位:百万ユーロ)
受取利息 7,296 –4,082 3,213
4,903 –4,082 821
支払利息
正味受取利息 2,393 0 2,393
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下表は、2017年12月31日現在影響を受けている財政状態計算書の各項目の簿価について、手法の変更による影響
を示したものである。
連結財政状態計算書
調整前 調整後
2017年12月31日 調整 2017年12月31日
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 274,296 195 274,491
顧客に対する貸出金等 127,951 –192 127,759
–168
その他の資産 872 704
資産 –164
銀行に対する債務 6,002 –13 5,990
顧客に対する債務 9,889 –▶ 9,886
–148
その他の負債 765 617
負債および資本 –164
B. 見積もりの変更による調整
ホイベック・エージーは、2018年10月5日現在の年金制度債務を計算するための新たなホイベックの2018年版G数
理計算表を公表した。この表は新たな見積もりを含んでいるため、現在の死亡率、障害、婚姻関係の有無および変
動確率を考慮するものとなっている。
KfW は、2018年12月31日現在の年金制度債務を測定する基準として新たな表を適用した。新たな表の適用は、引
当金の額に重大な影響を及ぼすものではない。
(4) 判断および会計上の見積もり
連結財務書類には、適用される会計基準に従い、最善を尽くして決定される経営陣の判断および/または見積も
りならびに仮定に基づく金額が含まれている。なお、将来において実現する実際の損益は、これらの見積もりと異
なることがある。特に、リスク引当金(偶発債務および取消不能貸出コミットメントに対する引当金を含む。)の
算定、(主に年金債務および法的なリスクに対する)引当金の認識および測定、評価モデルに基づく金融商品につ
いての公正価値の測定(活発な市場が存在するか否かの決定を含む。)、資産の減損についての評価および測定、
ならびに繰延税金資産の利用の評価に際して、重要な判断、見積もりおよび仮定が必要となる。見積もりおよびそ
の基礎となる仮定は、特に、過去の経験、または特定の状況下で起こることが見込まれる将来の事象を基に継続的
に見直されている。判断ならびに見積もりおよびその基礎となる仮定が必要となる場合、なされた仮定は関連する
注記において説明される。
KfW は、翌会計年度内に関連資産および負債へ重大な調整をもたらしうる、仮定からの逸脱および見積もりの不
確実性を見込んでいない。しかし、当該逸脱または不確実性が生じるかどうかは、経済および各金融市場の動向に
大きく左右されるため、これらを完全に排除することはできない。とはいうものの、当該リスクは低い。これは、
評価モデル、特に観察可能な市場データに基づかないインプットの使用を含むものが、一方では公正価値で測定さ
れる債権、有価証券、投資および借入金のごく一部のみを測定するため、他方ではリスクを経済的にヘッジするた
めに使用されている金融デリバティブのごく一部のみを測定するために適用されているにすぎないためである。
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(5) 連結会社グループ
重要な子会社、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社はすべて、連結財務書類に含まれている。
子会社とは、当グループが支配権を行使するすべての事業単位(組成された企業を含む。)をいう。グループが
その関係を通じて、変動キャッシュ・フローにさらされる場合または変動キャッシュ・フローに対する権利を有す
る場合およびかかるキャッシュ・フローの金額に影響を与える処分権を行使する機会を有する場合、支配権が存在
する。子会社は、支配権が当グループに移転した時点から、連結財務書類(完全連結)に含まれる。支配権が消滅
した場合、子会社は連結から除外される。
ジョイント・ベンチャーおよび関連会社は、共同協定が実施されている場合または当グループが強い影響力を持
つ場合、IFRS第11号/IAS第28号に従って連結財務書類に含まれる。KfWが単独支配権または共同支配権を有しない
場合であっても、関連会社に関する財務上および事業上の方針決定に加わることができるときは、強い影響力が存
在する。
連結グループの構成は本注記の「KfWグループの持分の一覧」に表示されている。
(6) 連結の基礎
連結には、保有する持分にかかわらず、取得日現在における子会社の総資産および総負債の再評価を行い、か
つ、連結財政状態計算書にそれらを盛り込むことが含まれる。隠れ準備金および債務による調整は、適用されてい
る基準に準拠して処理される。再評価調整の結果、取得価額に対して超過している場合には、当該超過額はのれん
として資産計上される。現在、認識されているのれんはない。
連結会社間の資産および負債、ならびに各グループ会社間での取引に伴う費用および収益は、相殺消去される。
完全連結会社間でのグループ内利益も相殺消去される。
関連会社への投資は持分法により会計処理される。関連会社の損益についての当グループの持分は、損益計算書
上で個別の勘定科目として認識される。
KfW グループにおいては少数株主持分はない。
(7) 金融商品
A. 分類および測定
金融商品は、一方の会社に金融資産を生じさせ、もう一方の会社に金融負債または資本性金融商品を生じさせる
契約である。IFRS第9号のルールは、金融商品の認識および測定の基礎となる。2018年3月22日付欧州委員会規則に
おいてIFRS第9号が改訂された結果、負の補償を伴う解約権は公正価値で測定する必要がなくなった。KfWは、2018
報告年度についてこの改訂を早期適用する選択権を行使した。
当初認識は、非デリバティブ金融商品については決済日、デリバティブについては取引日に行われる。その日
に、金融商品(金融資産および金融負債ならびにデリバティブ)をその以後の測定を決定する区分に割り当てなけ
ればならない。
負債性金融商品の分類および以後の測定は、ビジネスモデルおよび契約上のキャッシュ・フローの特性(元本お
よび利息の支払のみ、すなわちSPPI要件)に基づく。一方、資本性金融商品は、常に公正価値で測定しなければな
らない。
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IFRS 第9号は、4つの測定区分に区別している。
1 .償却原価で測定するもの
2 .損益を通じて公正価値で測定するもの(以下「FVTPL」という。)。強制および指定という2つの下位区分が
ある。
3 .その他の包括利益を通じて公正価値で測定するもの(以下「FVTOCI」という。)であって損益への振替が行
われないもの(KfWでは不使用。)
▶ .FVTOCIであって損益への振替が行われるもの(KfWでは不使用。)
金融商品は、ポートフォリオ単位で各ビジネスモデルに割当てられる。IFRS第9号は、金融資産を管理するため
の3つのビジネスモデルを規定している。
1 .回収のための保有-金融資産は契約上のキャッシュ・フローを回収するために保有される。
2 .回収および売却のための保有-金融資産は契約上のキャッシュ・フローを回収するとともに当該金融資産を
売却するために保有される(KfWでは不使用。)。
3 .売却のための保有-売却するために保有されるか、または「回収のための保有」要件および「回収および売
却のための保有」要件を満たさない金融資産
金融商品のキャッシュ・フローは、その後、個々の金融資産毎に、基本的な貸付契約と整合しており、元本およ
び未返済の貸付残高に対する利息の支払のみ(SPPI)で構成されているか否かについて評価されることとなる。支
払に元本および利息の支払のみ以外の支払が含まれる場合には、公正価値で測定しなければならない。IFRS第9号
は、利息を貨幣の時間価値および引き受けた信用リスクの対価と定義しているが、流動性リスクに対するプレミア
ムも含む可能性がある。この領域では一般的であるが、対価(例えば、資本コストまたは管理コストに対するも
の)および利ざやも含まれる場合がある。KfWは、SPPI要件について評価するにあたり、付随契約に関するグルー
プ全体のルールおよび標準化された分類を採用している。
償却原価で測定するためには、金融資産が「回収のための保有」ビジネスモデルを有するポートフォリオに割当
てられていなければならず、また、キャッシュ・フロー要件を満たさなければならない。KfWのビジネスモデル
は、長期的な持続可能性アプローチに重点が置かれている。KfWは短期的利益を上げることを意図して取引を行わ
ないため、執行理事会は、(下記の2例を除き)すべての信用ポートフォリオについて「回収のための保有」ビジ
ネスモデルに決定した。また、当グループの貸出事業は、基本的な貸付契約の定義と概ね整合しており、SPPI要件
を満たしている。貸出事業における「回収のための保有」ビジネスモデルの2つの例外とは、以下のとおりであ
る。
- 連邦共和国のための株式保有のアレンジメント:連邦共和国からの委任によりKfWが維持する持分は、KfWの
管理下にない。売却は、連邦政府の指示により行われることとなる。こうしたポジションがポートフォリオ
内に長期間残ることは想定できないため、KfWは「回収のための保有」という意向を有することができな
い。
- KfW IPEX銀行のシンジケート事業:この事業は短期売買を重視しており、資産の保有および売却を同程度と
するという目的を追求しない。
両事例は「売却のための保有」ビジネスモデルに割当てられ、FVTPLで測定される。
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有価証券ポートフォリオも「回収のための保有」ビジネスモデルに割当てられる。これはKfWの流動性ポート
フォリオにも当てはまる。KfWは流動性ポートフォリオについてECBの有価証券の適格性に関する最低要件を課して
いるため、流動性はレポ取引により担保される。したがって、流動性ポートフォリオの売却は不要ということにな
る。付随契約は、SPPI要件を確認するためにシステムに記録され、評価を受ける。証券化は、「契約上関連してい
る商品」に関する特別ルールに対応するために事案毎にチェックされる。その結果、貸出事業と同様に、KfWの有
価証券ポートフォリオは実効金利法を用いて概ね償却原価で測定される。
エクイティ・ファイナンスによるKfWの投資は、確定した元利払いのない資本性金融商品または負債性金融商品
のいずれかであるため、損益を通じて公正価値で会計処理される。KfWは、資本性金融商品についてはFVTOCIを用
いる選択権を行使しない。
その結果、KfWでは、金融資産について償却原価および損益を通じた公正価値という最初の2つの区分のみを適用
している。
IFRS 第9号は、金融負債については償却原価および損益を通じた公正価値という2つの区分のみを規定している。
金融負債は、トレーディング目的での保有に分類されるか、または公正価値オプションの適用により当初認識時点
において損益を通じた公正価値という測定区分に割当てられる場合には損益を通じた公正価値で会計処理され、そ
れ以外の場合には償却原価で会計処理される。分類は、当初認識時点において取消不能の形で決定しなければなら
ない。再分類は認められない。
KfW では、デリバティブ以外のすべての金融負債はトレーディング目的以外で保有される。公正価値オプション
が行使されていない金融負債は、償却原価による負債として分類される。したがって、これらは実効金利法を用い
て償却原価で測定される。この区分は、銀行および顧客に対する債務ならびに債務証書において報告される借入金
についてグループ全体で用いられる。手形貸付( Schuldscheindarlehen ) および債務証書等の一部の仕組債には公
正価値オプションを適用している。これは、区分処理構造を有する債務およびヘッジ会計の適用に関する要件を満
たさない限り会計上のミスマッチが存在する区分処理構造を有しない債務に関係する。公正価値オプションを適用
するにあたり、自己信用リスクの増減による評価への影響は、株主持分の再評価積立金において直接認識される。
デリバティブは、KfWにおいては専らヘッジ目的で締結され、損益を通じて公正価値で測定される。
デリバティブは取引日に、その他すべての金融資産は決済日に、認識される。資産に係る契約上の権利が失効
し、処分権または支配権が移転し、あるいはリスクおよび便益の大部分がKfWグループに関係のない第三者に移転
されたときに、それらは認識を中止する。金融負債は、契約に規定された債務が免除もしくは取消または失効した
ときに、認識を中止する。
KfW 法第2条第(4)項に従いドイツ連邦政府がKfWに委任する取引については、関連金融商品に関する当グループの
一般的な認識手続が適用される。測定は、リスク配分に関する関連する各契約の規定および条件に基づいている。
金融商品は、当初は公正価値で認識される。
償却原価で以後測定される金融商品は、当初認識時点の公正価値を基礎として、元本の返済、減損および該当す
る場合には契約の変更を考慮して測定される。プレミアム、ディスカウント、取引費用および手数料の償却は、契
約上のキャッシュ・フローに基づき、実効金利法に従って行われる。助成貸出事業においては、最初の固定金利期
間末まで(通常5年から10年)、ディスカウントが償却される。
財務書類上の認識または本注記における金融商品の開示のための公正価値による以後の測定については、下記
「D. 公正価値」に記載している。
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金融商品の分類は、(償却)原価で計上される、貸出事業を中心とする当グループのビジネスモデルに沿って決
定され、商品(例えば、短期金融市場取引と貸出金等を内訳とする銀行に対する貸出金等)または当該商品から成
る財政状態計算書の勘定科目に大部分が基づいている。このため、貸借対照表項目は、全般的に、銀行全体のレベ
ルにおける金利および通貨リスク管理(非デリバティブ金融商品とデリバティブ・ヘッジ取引との相互作用)を背
景に各項目が包含する重大なリスクに基づく観点を反映している。金融商品に関連するリスクの種類および程度に
関する情報は、「3) リスクの報告」も参照のこと。
B. 減損
KfW グループでは、貸倒損失引当金はIFRS第9号の要件に基づき会計処理され、以下の資産に充当される。
- 償却原価で測定される貸出金および債権ならびに第三者の有価証券
- 損益を通じて公正価値で測定されない貸出コミットメント
- 損益を通じて公正価値で測定されない金融保証
減損は、3段階のモデルに基づき算出される。すべての資産が当初認識時点においてステージ1に割当てられ、
12ヶ月の予想信用損失(以下「ECL」という。)に相当する減損が算出される。
その後は、当初認識以降の金融商品の信用リスクの増減に基づきECLが算出される。信用リスクの著しい悪化が
あった場合(ステージ2)または減損の客観的証拠が確認された場合(ステージ3)には、残りの残存期間にわたる
ECL(残存期間ECL)が算出されることとなる。これとは対照的に、信用リスクの著しい増加がなかった場合には、
金融商品は従前の通りステージ1に割当てられ、潜在的な損失事象により翌12ヶ月以内に生じる当該商品の存続期
間にわたるECLのみが考慮される。
残存期間ECLは、ステージ2の金融商品についてはリスクへの備えとして認識される。これは、PD、LGDおよびEAD
のパラメーター表示のための規制当局および内部の信用リスク・モデルに則したリスク・パラメーターに基づく。
ステージ2の金融商品に係る受取利息は、引き続き簿価総額に基づき実効金利法を用いて計上される。
残存期間ECLは、ステージ3の金融商品についてもリスクへの引き当てとして認識される。ステージ3への割当、
したがって減損としての分類は、CRR第178条に基づく「債務者のデフォルト」の定義を反映するグループ全体のデ
フォルトの定義に従って行われる。この定義は、90日の支払遅延という基準と返済見込みなしという基準を区別す
る。ステージ3の減損の算出にあたっては、重要な(リテール以外の)金融商品と重要でない(リテールの)金融
商品が区別される。ステージ3のリテール事業に係る減損は、リスク・パラメーターに基づき、PD1を適用して算出
される。 個別の減損は、発生損失に認識され、貸出事業における重要なポートフォリオについて個別の貸出金に基
づいて算出している。減損損失額は、貸出金の簿価と、金利や元本返済および担保からのキャッシュ・フローによ
る将来の予測キャッシュ・フローの現在価値との差額に等しい。個別の減損損失の戻入は、損益を通じて会計処理
される。これらの金融商品に係る受取利息は、正味簿価に基づき認識される。
貸出事業とは対照的に、デフォルトとなった有価証券の予想損失はキャッシュ・フローに基づき算出されず、そ
の代わりにステージ3の市場価値に基づき算出される。これは、減損の場合の市場価値は主として信用格付要因に
よる影響を受けるという前提による。
購入またはオリジネートした信用毀損金融資産(以下「POCI」という。)は、KfWのビジネスモデル上重要では
ない。そのため、銀行は、そうした特殊な要件については別途開示しないことを決定した。POCIの定義を満たす
個々の事例が存在する場合、当該資産は、デフォルト格付に基づきステージ3に割当てられる。
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KfW は、各ステージへの割当について、格付と定性的情報の双方を考慮するきめ細かなアプローチを採ってい
る。
銀行は、ある取引がステージ1からステージ2に推移しうるか否かを評価するために、測定時までの間に予想され
る推移を勘案した当初認識時点の格付(当初予想格付)を利用する。プライシングに関係するこの格付は、測定時
の格付と比較される。これにより、当初予想した推移からの大幅な乖離がある取引のみがステージ2に移されるよ
うになる。経済的または法的な理由(条件緩和)により債務者に対して行われた譲歩(契約の変更)も、次のス
テージへの移行に際して一要素として考慮される。
リテール事業では債務者独自の個別格付が存在しないため、ステージ1からステージ2への移行は、30日の支払遅
延 という状態や条件緩和に関する情報等の信用の悪化に関するその他の指標に基づく。
報告日において金融商品が「低い信用リスク」を有すると判断された場合であっても、KfWは、信用リスクの著
しい増加があったか否かに関する評価を免除する選択権(低信用リスクによる免除)を行使しない。
IFRS 第9号の減損モデルは、推移に対して釣合のとれたアプローチ(つまり、ステージ2またはステージ3への順
方向の推移ならびにステージ2およびステージ3からの逆戻りが起こりうることを意味する。)を採っている。逆方
向への推移については適切に管理されていた期間が考慮される。
ステージ1およびステージ2に係る ECL ならびにステージ3のリテール事業に係る ECL は、統計上のリスク・パラ
メーターを用いて個々の取引に基づき算出される。KfWがリスク管理上使用するPD、EADおよびLGDのパラメーター
表示のための規制当局および内部の信用リスク・モデルは、かかる算出の基礎となる。これらのパラメーターは、
IFRS第9号に基づく ECL を決定するために適切に調整される。これにより、範囲がそれぞれ若干異なる可能性がある
ものの監督法、リスク管理およびIFRSの要件に従った統一的な信用リスク・モデリングが可能になる。
1 年PDの算出は、デフォルトとなっていない取引(正常債権(PL))については18段階の格付等級、またデフォ
ルトとなった取引(不良債権)については2段階の格付等級に対応するPDスコアをすべてのエクスポージャーに割
り当てる内部格付システムに基づく。残存期間PDは、推移マトリックスによる1年PDから導き出される。IFRS第9号
に準拠したPDモデリングについては、ポイント・イン・タイム(以下「PIT」という。)の観点からマクロ経済要
因を一層重視することにより内部の信用リスク・パラメーターが調整される。かかるパラメーターは、規制当局に
よるPD(スルー・ザ・サイクルPD)に係るPDのプレミアムおよびディスカウントのセグメント別および格付別のモ
デリングを通じて調整される。これは、将来の見通しに関する情報を考慮した、各セクターおよび各国の経済状況
に関する専門家の見積もり(予想される影響に関する評価を含む。)に基づく。このアプローチは、計量経済学的
要因に基づく専門家のモデルを適用してプレミアムおよびディスカウントが算出されるリテール事業については異
なる。
LGD とは、担保を考慮してもデフォルト時に生じる損失率である。IFRS第9号の減損要件に基づき、内部コストを
考慮しない、また景気後退要因を含まない複数年の視点が一般に必要とされる。規制に基づくLGDパラメーター
は、IFRS第9号の内部コストおよび景気後退要因がECLの算定に含まれないよう、また複数年の視点が可能になるよ
う適宜調整される。
タイムバケット当たりのEADとは、未使用のクレジット・ラインに係る追加引出額を考慮した、デフォルト時に
予想されるローンの貸出額に相当する。オフバランス部分については、クレジット・コンバージョン・ファクター
(CCF)に基づき予想貸出額が算出される。
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資産は、当該資産またはその一部が回収不能と見積もられた場合に償却される。リテール以外の事業では、例え
ば、すべての担保が換価された、または倒産にあたり債権者への配分金額が分配されたか資産不足で倒産手続が中
断されたために現実的な回収見込みがなくなるまでかかる償却は行われない。リテール事業における償却は、倒産
や一定のデフォルト期間(両方ともローンの終了に関係する。)等の所定の基準に基づき実施される。回収は、経
済的に実施可能である限り続けられる。
償却の場合、簿価総額は償却額だけ減少する。現在ある貸倒損失引当金が先に充当され、残額は直接償却され
る。
当初認識時点のすべての関連資産およびオフバランス取引については、段階が遡及的に割当てられた。したがっ
て、当初認識時点および以後の各報告日時点で信用リスクが低い場合を除きすべての既存の金融商品に係る残存期
間のECLを決定するという選択権は使用されなかった。
C. 契約の変更
IFRS 第9号は、契約の変更を、市場動向または財政的困難による契約上のキャッシュ・フローの変更と定義して
いる。これらは市中金利または信用格付に連動する可能性がある。これとは対照的に、契約時に合意された契約上
の支払の調整は、決定済みであり、契約に本来規定されているものとして契約の変更とはみなされない。
償却原価で測定される金融資産の契約上の支払の変更については、当該資産が部分的または全面的な認識の中止
の対象となるか否かに関する評価が最初に行われる。部分的な認識の中止とは、(一部)免除や予定外の(一部)
元本返済等、特に金融資産の名目金額に影響を及ぼす事象によるものとして定義される。金融資産の認識が中止さ
れた場合、認識される新たな金融資産は、新たな取引として取り扱われる。以下のルールは、その他すべての契約
の変更に適用される。
同一の契約または変更後の契約が法的に有効に存続する場合であっても、大幅な契約の変更により金融資産の認
識の中止が生じる。変更後の金融商品は、IFRS第9号に基づき新たな契約として取り扱われ、一般的なIFRS第9号の
分類基準に基づき再分類される。大幅な変更による認識の中止は、「回収のための保有」ビジネスモデルには当て
はまらない。信用毀損金融資産(不良債権)の大幅な変更の場合、減損損失は、認識中止時点において調整され
る。調整額は、認識が中止された資産の従前の正味簿価と新たに計上された資産の公正価値との差額である。貸倒
損失引当金の減少は、認識中止時点で充当されたものとして以後記録される。認識の中止に伴う追加損益はない。
大幅でない契約の変更については認識の中止はなく、その代わりに変更後の金融商品の簿価総額の再評価が行わ
れる。再評価に伴う評価差額は、変更損益として損益において認識される。変更損益は、契約上合意されたキャッ
シュ・フローの変動が正味現在価値に及ぼす影響を反映するものとなる。キャッシュ・フローを割引く際には当初
実効金利が適用される。そして以後の報告日に、その時点で最新の(変更後)キャッシュ・フローとされるものに
当初実効金利が適用され、割引かれる。償却の結果は、この手法を用いて算出される償却原価を基に、前報告日の
償却原価に対する増加分として算出される。かかる結果は正味受取利息の一構成要素として報告される。したがっ
て、これにより当初のプレミアム/ディスカウントを一部表示する一方で変更損益の償却も含む償却額が生じる。
変更リストは、契約の変更を特定するためのグループ全体の基礎となる。大幅な変更と大幅でない変更の区別
は、キャッシュ・フロー基準に基づく定性分析により行われる。
- 契約の変更がキャッシュ・フロー基準を満たさない場合には、大幅な変更として分類される。これには、リ
ストラクチャリングの実施後における実績に基づく利息の支払や実績に基づく支払に関する合意等の契約の
変更が含まれる。かかる契約の変更は、一般に、複雑な条件変更に関連して行われる。
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- 借入人の変更および契約上の通貨変更オプションがない場合における通貨の変更も大幅な変更とみなされ
る。
- キャッシュ・フロー基準を満たすその他の契約の変更は、大幅な変更とはみなされない。これには、金利調
整、元本返済の繰延、利息および返済に関する条件緩和(金利が変更されないもの)等の複雑でない契約の
変更が含まれる。
大幅な変更はキャッシュ・フロー基準を満たさないことを一般に意味するため、新たに計上される金融資産は公
正価値で以後測定される。
大幅でない変更の場合には、信用リスクが著しく増加したか否か、またステージの移行が結果的に必要となりう
るか否かに関する評価を行わなければならない。信用リスクに関連する契約の変更により、早期の警告シグナルと
しての特別な格付、または少なくともリスクの早期発見に関する要件に基づく特別な格付の必要性についての文書
による検討が生じる。
KfW グループでは、関連する認識の中止のない変更損益は「貸出事業に係るリスク引当金」の独立した下位項目
において純額で報告される。
D. 公正価値
測定区分に応じて財政状態計算書上の認識または本注記における金融商品の開示のために定期的に決定される公
正価値による事後の測定は、KfWグループにおける以下の階層に基づいている。
活発な市場(「取引市場価格」レベルに配分)
公正価値の最適な客観的証拠は活発な市場において公表された市場価格によって示される。市場価格が容易にか
つ定期的に入手可能であり、これらの価格が直近(すなわち、報告日またはその直前に取引が行われている場
合)、かつ独立当事者間の定期的な市場取引を表している場合、金融商品は活発な市場において取引されていると
みなされる。名目取引量、契約規模および契約数とともに、この評価は、特に観察された売手と買手の希望する価
格差を考慮に入れる。当該価格差に大幅な拡大がみられる場合、それは活発な市場がないことを示す。
活発でない市場―評価技法(「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデル)」または「一部が市場にて観
察不能なデータに基づく評価技法」に配分)
活発な市場において市場価格を入手できない金融商品の場合、評価技法が使用される。適用される評価技法に
は、類似の特性を持つ金融商品の公正価値との比較(乗数基準モデル等)をはじめ、特に割引キャッシュ・フロー
(以下「DCF」という。)法やオプション・プライシング・モデルが含まれる。評価技法は、市場金利、無リスク
金利、信用スプレッドおよびスワップ・カーブ等、市場参加者が当該金融商品の値付けで用いるすべての入力パラ
メーターを考慮している。これらの入力パラメーターは、一般に市場で観察可能であり、通常、評価技法を用いて
行う金融商品の測定に唯一重要なパラメーターであるため、評価技法を用いて公正価値で測定する金融商品のレベ
ルは、通常、「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデル)」である。この配分は、通常、価格サービス機
関が公表する活発でない市場における取引価格についても適用される。
期待無リスク顧客マージンまたは資本コスト等、市場で観察不能な重要な入力パラメーターが評価技法に使用さ
れている場合、当該金融商品は、「一部が市場にて観察不能なデータに基づく評価技法」のレベルに含まれる。
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当初認識日において、市場に基づく取引価格と、観察不能なパラメーターを相当程度用いる評価技法によるモデ
ル価格との間に差額がある場合、この当初の差額に経済的理由(当該取引の主要な市場ではない市場における取引
の締結等)があるか否かを判断するために分析が行われる。かかる経済的理由は、輸出金融およびプロジェクト・
ファイナンス事業に係る顧客に対するヘッジ手段を構成するKfWグループのデリバティブ・ポートフォリオのごく
一部のみに当てはまる。これに関して、当該市場に沿ったOTC(店頭)デリバティブは、評価に関連する主要な市
場(OTCインターバンク市場)において締結されていない。当該市場において観察不能な評価パラメーターは評価
手続に関連するため、かかるデリバティブの締結時に決定された当初の差額は、当該金融商品の期間にわたって損
益を通じて償却される。この評価技法の信頼性は、定期的なモデル評価を通じて確保される。
この(評価)階層は、下記の通り、当グループにおいて適用される。
特に債券およびその他の確定利付証券(活発でない市場があるため評価技法または価格サービス機関が公表する
活発でない市場における取引価格が使用されるものを除く。)ならびに負債の部に計上される自己発行証券につい
ては、公正価値は活発な市場から算出される。ただし、銀行および顧客に対する貸出金等、株式投資、銀行および
顧客に対する債務において認識される非デリバティブ金融商品、ならびに債務証書において認識される一部の商品
については、公正価値は評価技法から算出される。また、OTCデリバティブについても評価技法が使用される。
特定の商品グループについては、以下に詳述される方法が取られる。
当グループでは、有価証券および投資の勘定科目における有価証券について、同種のポートフォリオに基づき、
金融商品に活発な市場での取引価格が存在するかどうかを検証している。市場の活発性は、以下の基準に基づき評
価される。
- 複数のマーケット・メーカーが存在する。
- 価格が定期的に設定される。
- マーケット・メーカー間の価格差がわずかである。
- 売手と買手の希望する価格差がわずかである。
報告日現在の当グループの資産に含まれる有価証券の公正価値を決定するためには、活発な市場における価格が
使用される。また、ポートフォリオの一部について、価格サービス機関が提供する価格が使用されるが、かかる価
格は活発な市場における取引価格として適格でない。個別の場合においてかかる価格が入手できない場合には、観
察可能な市場パラメーターを考慮して、公正価値を決定するために評価技法が使用されている。入力パラメーター
は、特に信用力や無リスク金利の変動を考慮しているが、流動性の低下に伴う全般的および金融商品に固有の市場
の緊縮も考慮に入れている。
OTC デリバティブの場合、利用可能な担保を考慮して、特に取引先別の債務不履行リスクに留意した評価技法が
使用されている。債務不履行リスクは、各取引毎に個別にではなく、枠組み契約が基づいている取引のポートフォ
リオについて算定される。KfWは、通常、締結された担保契約に従ってプラスの市場価値に対する担保を差し入れ
るため、当該算定の結果生じる信用リスク調整額は非常に少ない。市場の慣習に従って、担保化契約を伴うデリバ
ティブ・ポートフォリオの主要な部分の評価に無リスク翌日物金利が使用される。
銀行および顧客に対する貸出金等の公正価値は、リスク調整後のキャッシュ・フローを割り引くことによるDCF
法を使用して算定される。各報告日に算定された予想損失は、契約上のキャッシュ・フローを修正するために使用
される。
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連邦共和国のための株式保有のアレンジメントは、連邦政府に対する債権として会計処理される。この債権は、
KfWが資金を提供した連邦共和国のために保有する銘柄の購入代金および当該銘柄の売却代金からの追加的利益で
構成される。この債権は公正価値で測定され、追加的利益は、重要なバリュードライバーとして、保有する銘柄の
現在の市場価格を用いて会計処理される。
株式投資の評価については、DCF法に加えて、純資産価値に基づく評価手法も用いられる。
KfW 法第1a条に従って連邦共和国が特定のKfWの債務に対して負う責任は、KfWの自己資金調達能力に有利な影響
を与えている。KfWの債務の公正価値を決定する際にも、この明示的な直接の政府保証の影響が考慮される。当該
政府保証は独立した勘定単位を構成しない。
要求払いの現金準備高または債権および負債等の要求払いの金融商品の公正価値は、その簿価としている。
流動性のある市場における価格が入手できず、かつ、活発でない市場における価格を価格サービス機関が提供で
きない場合には、広く認められた評価モデルや手法が使用される。DCF法は有価証券、スワップ、ならびに組込オ
プションや複雑な利払いのない為替および短期金融市場取引に使用される。独立したオプションの他、オプション
やトリガー、金利保証および/または複雑な利払いの契約が組み込まれたデリバティブについても、証券取引所に
上場されていない限り、広く認められたモデル(ハル・ホワイト・モデル等)を使用して測定される。
上記モデルは、可能な限り、取引の種類、満期、および信用の質の観点から類似している金融商品の観察可能な
市場情報を用いて調整される。
E. 金融保証契約
金融保証契約は、一定の債務者が契約上の支払義務を履行しないために保有者が被る損失について保有者を補償
する一定の支払を行うよう保証人に求める契約である。当初認識時点の金融保証契約は、公正価値(公正価値契約
に係るプレミアムの評価額は保証債務の評価額と同額であるため、契約締結時点ではゼロである。)で測定するこ
ととなっている。金融保証契約が当初認識時点の公正価値による測定について指定されなかった場合には、IFRS第
9号の要件に基づき、以後の測定の一環として予想損失引当金が認識されることとなる。KfWグループは、公正価値
による測定について自ら金融保証契約を指定していない。
各引当金は、信用リスク引当金において報告される。
(8) デリバティブおよびヘッジ関係
A. ヘッジ取引/ヘッジ会計
KfW グループは、金利変動リスクおよび為替のリスク(とりわけ、資金調達、貸出および有価証券業務に関する
もの)を経済的にヘッジするために金融デリバティブを締結している。金利スワップ、金利通貨スワップおよび基
準通貨スワップは、主としてこうした目的のために利用される。金利スワップは、発行または貸出取引に係る固定
金利による利息の支払を変動金利による支払に転換するために利用される。外国通貨建てのリファイナンシングの
場合、支払は機能通貨(ユーロ)にも転換される。発行に係るヘッジ比率は通常1:1である。そのため、専ら取引
先リスク、期間リスクやベーシス・スプレッド・リスク等のヘッジされていないリスクから非効率性が生じる。
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経済的ヘッジ関係は、ヘッジ会計関係として指定されるか、またはIFRSの要件が満たされたときに公正価値オプ
ションを使用して損益を通じて公正価値で指定される。経済的ヘッジ関係はまた、損益を通じて会計処理され、負
債の部の分離可能な組込デリバティブの区分処理を通して、財務書類に認識される。このような場合、ヘッジが経
済的に有効であれば、ヘッジ対象リスクに関して、ヘッジ目的に用いられるデリバティブによる財務書類への影響
とヘッジ対象取引はそれぞれ実質的に相殺されるため、当グループの損益計算書は、これらヘッジ関係のリスク緩
和の影響を実質的に反映している。
しかし、すべてのデリバティブがヘッジ会計または公正価値オプションの対象となるわけではないことから、一
部の経済的ヘッジ・デリバティブは、そのリスク緩和の影響が原取引に伴うヘッジ対象リスクがIFRSに基づき損益
に認識されないため財務書類に反映されないにもかかわらず、財務書類に反映されることとなる。したがって、経
済的に有効なヘッジ関係であるにもかかわらず、適用する認識および測定の要件は、当グループの損益計算書にお
いてヘッジ目的に使用されたデリバティブにより一方的な評価損益(および損益の変動)をもたらす可能性があ
る。
当グループでは、ヘッジ会計は、経済的ヘッジ関係を認識するために、公正価値ヘッジの形でのみ使用される。
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計では初めに、個々の取引およびグループレベルで、また、次に、マクロ
ヘッジによる公正価値ヘッジ会計ではポートフォリオ・レベルでヘッジ関係が指定される。KfWは、ヘッジ会計に
関するIAS第39号のルールを適用するという選択権を行使した。デリバティブの評価に無リスク翌日物金利が使用
される場合、ヘッジ対象に関連するヘッジ対象リスクを測定する際には、当該市場の慣習がミクロヘッジによる公
正価値ヘッジ会計に使用される。マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計におけるヘッジ対象リスクは、デリバ
ティブ・ポートフォリオの変動金利に関係する。ヘッジ関係の有効性は、ドル・オフセット法および回帰分析(有
効性の評価については80%から125%の範囲)を用いて評価される。
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計において、有価証券および投資( 償却原価の区分 )に含まれる債券や、
とりわけ借入金( 償却原価の 区分 )から生じる金利および為替のリスクは、ヘッジされる。個々の取引レベルでの
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計において、ヘッジ対象リスクに起因する公正価値は、ヘッジ対象の簿価の
調整として計上され、これに対応する損益は、ヘッジ会計からの純損益に認識される。この目的で適用されるヘッ
ジ手段は、ヘッジ会計のために利用されるデリバティブに公正価値で認識される。ヘッジ手段の価値変動もヘッジ
会計からの純損益に認識され、ヘッジ対象の損益への影響の大部分を相殺している。
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計では、有価証券および投資(償却原価)に含まれる債券のうち資産負債
の動的管理の一環として金利リスクに対してヘッジされるものから主に生じる金利リスクがヘッジされる。償却原
価の区分のヘッジ対象ポートフォリオにおけるヘッジ対象リスクに起因する公正価値は、資産の部のマクロヘッジ
による公正価値ヘッジ会計に係る評価差額に計上される。ヘッジ対象ポートフォリオから生じる、ヘッジ対象リス
クに起因する公正価値の変動は、ヘッジ会計からの純損益に表示される。
ヘッジ手段は、ヘッジ会計のために利用されるデリバティブに公正価値で計上される。ヘッジ対象ポートフォリ
オの評価から生じる損益効果をほぼすべて相殺する影響を伴って、これらヘッジ手段の価値変動もまたヘッジ会計
からの純損益として認識される。
ヘッジ対象のポートフォリオは、ダイナミック・ヘッジの指定解除および指定の過程で毎月更新される。結果と
して生じる公正価値の調整は、満期までの残余期間にわたりヘッジ会計からの純損益において償却される。ヘッジ
対象ポートフォリオからの処分は、ヘッジ会計からの純損益における関連する公正価値の調整の比例償却をもたら
す。非デリバティブ金融商品に基づく経済的ヘッジが維持されている間にヘッジ手段からのキャッシュ・フローの
認識が中止された場合、ヘッジ対象ポートフォリオに関連する公正価値の調整は、正味受取利息において償却され
る。
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デリバティブと金融資産/負債とのヘッジ関係の指定に関する厳密なヘッジ会計の要件がKfWグループにおいて満
たされない場合、 公正価値オプション が特定の状況下で使用される。対応するヘッジ手段の公正価値は、その他の
デリバティブに表示され、公正価値の変動(KfWの自己信用リスクの増減によらない場合)は、損益を通じて公正
価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益に認識される。これらはヘッジ対象取引による評価の影響に
より大部分が相殺されている。KfWの自己信用リスクの増減から生じる公正価値の変動は、その他の包括利益にお
いて直接認識される。
さらに、デリバティブ金融商品もリスクをヘッジするために使用されるが、その経済的効果は、財務書類に反映
することができない。かかるヘッジ手段の公正価値は、その他のデリバティブ項目にも認識され、公正価値の変動
は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益に認識される。
KfW グループは、トレーディング目的でデリバティブを使用することはなく、また、第三者のためにブローカー
または仲介者として行為してデリバティブを締結することもない。
B. 組込デリバティブ
デリバティブ金融商品は、組込デリバティブとして複合(結合)金融負債の一部を構成することがある。特定の
条件下では、これらは独立したデリバティブと同様に、主契約から分離して会計処理される。組込デリバティブの
経済的特徴およびリスクが主契約の経済的特徴およびリスクに密接に関連していない場合、これらは区分処理され
なければならない。主契約は、開始時の区分に従って会計処理される。
KfW グループは、特に自身の資金調達に関して、分離可能な組込デリバティブを契約している。これらの商品に
ついては、組込デリバティブを区分処理しなければならない。公正価値の変動は、その後、損益を通じて公正価値
で測定されるその他の金融商品から生じる純損益の下位勘定科目であるヘッジ会計に非適格な金融デリバティブに
認識され、それらは経済的ヘッジ目的のデリバティブの評価を補う効果を持つ。
債務証書については公正価値オプションが選択され、区分処理される(組込)デリバティブが区分処理前に計上
された。
(9) 外貨換算
KfW およびその連結 子会社 の機能通貨は、ユーロである。外貨建 金融 資産 および金融 負債は、報告日現在の直物
レートで換算される。
外貨建非金融資産および非金融負債は、( 償却 ) 原価で測定される場合、通常、ヒストリカル・レートで換算さ
れる。 換算は、ECBの参照レートを使用して行われる。
外貨換算に伴う評価額の変動は、損益計算書上の損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じ
る純損益に計上される。
(10) 顧客との契約から生じる収益
IFRS 第15号は、顧客との契約からの収益の性質、金額および時期を定めている。かかる収益は、実効金利の不可
分な一部ではなく、かつ受取手数料に計上される手数料を含む。この関係において、5つのステップから構成され
る収益認識モデルが関連する顧客との契約に適用される。さらに、本注記に包括的かつ詳細な定量的情報および定
性的情報を含める。IFRS第15号は、IFRS第9号の範囲に含まれる実効金利の不可分の一部である手数料および賦課
金には適用されない。
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まず、IFRS第15号にいう発注当局としての連邦政府との委任契約上の取決めが存在する。これには、発展途上国
および新興経済国事業部門を推進するドイツの金融支援の管理のための手数料、連邦政府が補助金を支給する一定
のプログラムの管理のための手数料、ならびに一定の貸出金に係る債権回収のための手数料が含まれる。 KfW は、
その他の委任契約に関する管理業務、処理業務ならびに限られた範囲で貸出事業および信託事業に関する業務のた
めの手数料も請求する。個々の業務は、IFRS第15号にいう独立した履行義務として適格である各種業務にまとめら
れる場合がある。したがって、取引の評価額は分析されない。
履行義務はほとんどが一定期間にわたり充足されるため、顧客との契約から生じる収益は進捗度の測定値に応じ
て認識される。そのため、かかる収益は、通常は一定期間にわたり認識される。
KfW は、適用に向けてIFRS第15号C3(b)の移行ルールに関する選択権を行使しているため、部分的な遡及調整を適
用する。IFRS第15号は2018年に初度適用され、初度適用日現在の調整額は、開始財政状態計算書上の利益剰余金の
調整として累積的に認識される。したがって、比較数値の調整は行われない。
2018 年1月1日付でのIFRS第15号の初度適用は、KfWにはIAS第18号から大きな変更は生じず、結果として、利益剰
余金の調整を要しない。KfWグループには、資産として顧客獲得コストまたは契約コストを認識する必要のある項
目はない。配分される一時的な前払額は繰り延べられ、財政状態計算書上のその他の負債において契約負債として
認識される。
業務はすでに実施されたが手数料がまだ支払われていない場合または支払の請求がまだない場合、契約資産は、
財政状態計算書上のその他の資産において認識されることとなる。請求が無条件である場合、契約資産は、売掛債
権として再分類され、該当する場合には簿価が調整されることとなる。このルールは、連邦政府が補助金を支給す
る一定のプログラムの管理のための手数料に適用される。
ECL は、信用格付および短い残存期間に基づき算出されない。
(11)KfW の助成貸出事業
一般助成ローン市場は、一般的な貸出事業の市場と区別されており、KfWがその法定助成任務の一環として行う
助成貸出事業に関連する市場である。この市場の特徴は、助成銀行が、その法定任務の一環として、助成対象とな
る資金調達プロジェクトのすべての利益を、最終借入人に還元することである。該当する助成ローンの条件設定に
おいて、KfWは現行の期間別リファイナンス金利を利用する。
したがって、かかるローンの当初認識において、公正価値は取引価額に等しい。
また、KfWは、KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形で最初の固定金利期間中に供与する追加補助金を含
む助成ローンも供与している。したがって、この場合、金利が市場金利を下回るため、かかる助成ローンの公正価
値(一般助成ローン市場のパラメーターを用いて測定される。)は当初認識における取引価額と等しくならない。
かかる貸出コミットメントにより通常生じる差額(最初の固定金利期間中の名目上の予定金利引下げ額の現在価
値)は、支払利息として損益で認識され、銀行に対する貸出金等または顧客に対する貸出金等の項目の貸出金等に
おいて簿価の調整として会計処理される。この簿価の調整は、実効金利法を用いて正味受取利息において償却され
る。予定外の全額返済が行われた場合には、これは受取利息において損益で認識される。
取消不能貸出コミットメントに関連する差額は、引当金に計上される。ポートフォリオの変動は、資産の部に認
識されるすでに実行済みの助成ローンの簿価の調整を通じて相殺される。
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(12) 銀行および顧客に対する貸出金等
銀行に対する貸出金等は、主として助成貸出事業から構成され、通常、認定商業銀行および保険会社を通じて最
終の借り手に貸出金が提供される。これらの資産は、当該商業銀行が債務の一部を引き受けるときは、この勘定科
目に表示される。商業銀行が債務を引き受けないで転貸する助成ローンは、顧客に対する貸出金等に認識される。
銀行および顧客に対する貸出金等は、ERPによる経済的助成プログラムの下でKfWが供与する補助金(金利の引下
げ)を持つ貸出金も含んでいる。ERPの経済的助成プログラムを実行するために、ERP経済計画法( ERP-
Wirtschaftsplangesetz )に基づきERP特別基金を通じて毎年KfWに供与される助成目的の補助金は、繰延収益とし
てその他の負債に認識され、基礎となる資金調達費用が発生した時点で、損益において受取利息として償却され
る。
当期の利息および類似の収益は一般に、受取利息に計上される。低金利環境に伴い、金融資産からマイナス金利
が生じた場合、これらもマイナス記号を付けて受取利息に計上される。プレミアム、ディスカウント、手数料およ
び費用は、実効金利法を用いて受取利息にて償却される。実効金利法が適用されない手数料は、受取手数料に認識
される。
(13) 貸出事業に係るリスク引当金
貸出事業に係るリスク引当金には、貸出金等および短期金融市場への投資に対する貸倒引当金(財政状態計算書
の資産の部の個別の勘定科目として計上されるリバース・レポ取引を含む。)ならびに負債の部に引当金として会
計処理される信用リスクに対する引当金が含まれる。
オンバランスおよびオフバランスの貸出事業から生じる信用リスクは、1年の ECL (ステージ1)または残存期間
の ECL (ステージ2およびステージ3)の額により損益において認識される減損を通じて会計処理される。リスク引
当金の繰入額および戻入額は、損益計算書上で貸出事業に係るリスク引当金として認識される。
貸出金が回収不能と思われる場合、かかる貸出金は減損引当金勘定と相殺される。個別に減損が計上されていな
い回収不能貸出金は、直接償却される。すでに償却済みの貸出金の回収額および償却額は、貸出事業に係るリスク
引当金に収益として認識される。
(14) 有価証券および投資
有価証券および投資には、主に、株式投資とともにKfWおよびその子会社が所有する有価証券ポートフォリオに
保有する債券およびその他の確定利付証券が含まれる。
有価証券ポートフォリオは主にKfWの流動性の状態を支えること、ならびに当グループの長期的な助成能力を安
定および保全するために使用されている。
重要な影響を有する株式投資と重要な影響のない株式投資について会計上同一の取扱いにするため、助成任務の
一環としてエクイティ・ファイナンスを提供する個々のグループの事業分野は、関連する要件を満たす限り、会計
上、ベンチャー・キャピタル組織とみなされる。他の株式投資と同じく、これらの株式投資は、有価証券および投
資に認識される。
有価証券事業ではリスク引当金の割合が比較的小さいために、金融資産は純額ベースで報告される(すなわち、
簿価総額は、設定された有価証券事業におけるリスク引当金の額だけ報告日付で減額した後に報告される。)。
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損益を通じて公正価値で測定される金融資産 の公正価値の変動は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の
金融商品から生じる純損益に認識される。
当期の支払利息および配当金は受取利息に認識される。
(15) 買戻し条件付契約
KfW グループは、定型化されたレポ取引またはリバース・レポ取引として買戻し条件付契約を締結している。こ
れらは同じ取引相手に対する証券の直物・先渡取引を組合せたものである。担保に関する条件や方法およびその使
用は、一般的な市場の慣習に従っている。信用債権も公開市場取引における担保として適格である。
レポ取引(直物売り)による売却有価証券は、引き続き有価証券として認識され測定される。取引相手に対する
返済義務は、受領した現金対価額で、銀行または顧客に対する債務として計上される。利息は買戻し条件付契約の
該当条件に従い支払利息に計上される。
返済請求権は、リバース・レポ取引から発生するキャッシュ・アウトフローの金額で、銀行または顧客に対する
貸出金等として認識され測定される。受取有価証券(直物買い)は、認識されず測定もされない。利息は、リバー
ス・レポ取引の該当条件に従い受取利息に計上される。
(16) 有形固定資産
KfW グループにより報告される土地、建物、設備、および備品は、定額法による減価償却費および減損控除後の
取得原価で計上され、減価償却費および減損はいずれも一般管理費に認識される。IAS第36号の要件に従って、減
損の兆候があり、資産の簿価が回収可能額(すなわち、処分費用控除後の公正価値または使用価値のどちらか低い
額)を上回る場合、減損が認識される。耐用年数は予想される減耗に基づき決定される。KfWグループでは見積耐
用年数を、建物については40年から50年、ワークステーション・コンピュータ装置については4年、その他の有形
固定資産については5年から15年としている。有形固定資産の売却損益は、その他の正味営業収益に認識される。
前渡金および建設仮勘定は、その他の有形固定資産に認識されており、減価償却の対象外である。
(17) 無形固定資産
KfW グループは、購入または自社開発したソフトウェアの原価から定額法による償却費および減損を控除した金
額を無形固定資産に計上し、償却費および減損はいずれも一般管理費に認識される。耐用年数は、予想される減耗
を基に決定される。KfWグループは耐用年数を5年と見積もっている。
資産の簿価が回収可能価額を超過している資産については減損が認識される。減損は、今後の経済的便益が確認
できない場合に計上される。
自社開発中のソフトウェアはその他の無形固定資産に計上され、償却の対象外である。
(18) 銀行および顧客に対する債務ならびに債務証書
銀行および顧客に対する債務には、主に、償却原価で計上された借入金およびKfWグループの短期金融市場取引
が含まれる。債務証書には、発行済みの債券、手形、および短期金融市場商品が含まれる。公開市場における自己
発行証券の買戻しは、買戻日に負債から控除される。
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公正価値で測定することが指定された負債の公正価値の変動は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金
融商品から生じる純損益に認識され、経済的ヘッジ目的のデリバティブによる公正価値の変動との相殺効果を有す
る 。
金融負債から生じる当期の利息は支払利息に計上される。これは、低金利環境から生じるマイナス利息について
も当てはまる。プレミアムおよびディスカウントは、見積期間にわたり実効金利法を用いて支払利息において償却
される。
償却原価で測定される負債に区分される自己発行証券の買戻しにより生じる損益は、買戻日に、その他の正味営
業収益に認識される。
(19) 引当金
引当金には、年金および類似の約定の引当金、信用リスクに対する引当金、KfWが助成貸出事業において行い、
KfWの収益状況にマイナスの影響を与える取消不能貸出コミットメントに係る金利の引下げに対する引当金に加え
て、発生可能性の高い資金の流出に係る金額や時期が不確実なその他の債務に対する引当金も含まれる。
KfW グループの従業員は、退職金、長期障害休業手当および遺族給付を支給する企業年金制度に加入している。
KfWグループは、様々な年金制度を有しており、確定給付型年金制度のみで構成されている。給付額は主に会社勤
務期間と給与により変動する。1985年まで新規雇用に適用されていた年金制度においては、完全年金
( Totalversorgung )(以下「完全年金」という。)が支給され、その中では、年金支給開始年齢前に支払われた
所得の一定部分が給付金(公的年金控除後)として配分された。事業主が資金を出す年金制度とは別に、従業員が
拠出する制度も整備されている。
KfW グループの年金制度は、特に、長寿リスク、金利変動リスク、年金調整リスクおよび将来査定基準が変更さ
れるリスクにさらされている。
長寿リスクは、年金受給者が予想より長生きした場合に企業年金制度に係る費用が増加するリスクである。一般
に、このリスクは、年金受給者全体で相殺され、将来予想よりも速いペースで平均余命が伸長した場合にのみ影響
がある。
企業年金制度は長期間にわたる制度であるため、年金債務引当金は、一般的な金利変動リスクにさらされてい
る。
年金調整リスクは、主に、完全年金を支給する年金制度に関係している。かかる制度において、給付金は、年金
支給対象となる基準所得または相殺される公的年金に変動が生じるとすぐに給付金が算定し直される。定期的に、
予測および実際の年金調整の観点から別の年金制度を検討し、必要に応じてかかる調整を行う。
KfW グループの既存の年金制度の下で約束される給付金の金額は、特に、受給対象所得および社会保険の保険料
算定限度額( Beitragsbemessungsgrenze )の変動に左右される。査定基準が想定されたものと異なるものになるリ
スクがある。
年金債務は、年齢、会社勤務期間および給与といったグループ全体で統一したパラメーターに基づく予測単位積
増方式に従い、独立した適格年金数理人により算定される。年金引当金は、報告日現在の確定給付債務の現在価値
で認識される。割引率は年金債務と同等の満期日を有する優良社債/国際機関債のポートフォリオの市場利子率に
よる割引率である。ポートフォリオの定義は実際の市況を勘案する。追加的な人口統計学的要因(ホイベックの
2018年版G数理計算表を含む。)および数理計算上の仮定(昇給率、年金増加率、離職率等)も考慮される。
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KfW グループの年金債務に対する年金資産は存在しないため、関連する特別な会計規則は適用されていない。年
金および類似の債務に対する引当金は、対応する満期を有する十分な資産により内部で賄われる。
数理計算上の損益は、発生した時点で直ちに認識される。かかる損益は、期首に予測された数値と比較して報告
日現在の年金債務を再測定する結果として発生する。
年金引当金への追加は、勤務費用と支払利息とを区別している。勤務費用は一般管理費に計上され、支払利息は
その他の支払利息に計上される。株主持分に直接認識される年金引当金の変動は、再評価準備金に計上される数理
計算上の損益から成り、その他の包括利益に計上されている。
年金に類似した債務には、繰延報酬、早期退職および一時退職に対するコミットメントが含まれる。数理計算の
報告書が作成され、このような種類のコミットメントに対しても引当金が認識される。数理計算上の損益は発生し
ていない。
従業員に対する債務ならびに監査およびコンサルタント・サービスに係る引当金を含むその他の引当金は予想支
出額で認識されている。長期引当金は、その影響が大きい場合に割引かれる。この引当金には、公法に基づく機関
である、清算中の旧ドイツ民主共和国の国営保険会社(SinA- Staatliche Versicherung der Deutschen
Demokratischen Republik in Abwicklung )(以下「SinA」という。)の業務引受に伴う債務も含まれており、当
該債務は、その他の資産に計上されている東西ドイツ統一による特別業務に係る連邦政府機関(BvS-
Bundesanstalt f ü • vereinigungsbedingte Sonderaufgaben )(以下「BvS」という。)の同額債権により相殺され
ている。
(20) 株主持分
株主持分の構成は、特に、KfW法およびIFRSの要件により決定される。
KfW 法第10条第(2)項および第(3)項に従い、ドイツ商法に従って決定されたKfWの当期純利益は、準備金に振り替
えられ、IFRSに基づき当グループの株主持分に含まれる。
KfW グループは一般銀行業務上のリスクに対する積立金を設定した。この積立金の追加あるいは減少は、IFRSに
基づき連結損益の処分・充当として表示される。
IFRS に基づき、残余連結純利益は、同期間に係るその他の利益剰余金に配分される。
再評価準備金は、IFRSに従って株主持分に直接認識される取引から成る。再評価準備金には、損益を通じて公正
価値で測定される負債の自己信用リスクの増減からの評価損益および確定給付型年金約定について、数理計算上の
損益が含まれる。原取引に応じて、繰延税金も含まれうる。
(21) 信託事業
第三者のためにKfWグループ名義で保有する資産および負債は、認識されていない。これは、特に、発展途上国
を支援するドイツの金融支援による貸出に適用されている。ドイツの連邦予算が関連資金を提供し、引き受けてい
る。この取引に関連する稼得報酬は、受取手数料として認識される。
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IFRS 第9号への移行に関する報告
(22) 導入
金融商品の分類および測定に関するIFRS第9号の要件ならびに減損の認識に関する新たなガイドラインの初期導
入は、ともに財政状態計算書に影響を及ぼす。また、IFRS第7号の新たな定量的および定性的開示に関する要件、
ならびにIAS第1号に基づく財政状態計算書および包括利益計算書の内容に関する最低要件の変更により、2018年の
連結財務書類はさらに変更されることとなる。
開示される参考数値については、新たな測定基準および再分類のために一部の項目の内容が同じでないことに留
意するべきである。これは、例えば公正価値の測定結果および貸出事業に係るリスク引当金に影響を及ぼす。2018
会計年度の貸出事業に係る引当金には、重大でない契約の変更による結果も報告されている。実効金利法による受
取利息は、その他の受取利息とは別に報告される。償却原価で測定される金融商品の実現利益の影響が包括利益計
算書の独立した項目において報告されるとともに、売却可能商品のこれまでの測定区分による実現損益が適用され
なくなるため、有価証券および投資からの純損益は2018年から適用されなくなる。有価証券事業のリスク引当金
は、重要でないため別途表示されず、その代わりに財政状態計算書の有価証券および投資において報告される。再
評価準備金については、IFRS第9号の実施に伴い売却可能準備金が適用されなくなることに留意するべきである。
この関係上、損益を通じて公正価値で測定されるものとして指定された負債からの自己信用リスクの影響に対する
再評価準備金が追加されている。
KfW は参考数値を決定しないことを選択したため、IFRS第9号の免除により認められる過年度の数値の遡及調整を
行わない。かかる調整による2017年の数値との完全な比較はできない。
(23) 株主持分 の調整
IFRS 第9号の初期導入により連結株主持分に変動が生じる。つまり、これまで償却原価で計上されていた一部の
債権が公正価値で会計処理されることとなる。これは、金利減免措置の対象であった債権に主として当てはまる。
また、「売却可能」から「償却原価」への有価証券の再分類は、報告した株主持分を減少させる。
減損要件の変更に伴う影響もある。発生損失モデルから金融商品の当初認識以降の信用リスクの増減に基づきリ
スク引当金が測定される予想損失モデルへの移行により、引当金の増減が生じると予想される。
IFRS 第9号の要件を実施し、繰延税金を考慮することにより、当グループの株主持分は218百万ユーロ減少する。
株主持分の変動は、下表に示す通り、利益剰余金の236百万ユーロの増加および再評価準備金の454百万ユーロの減
少から成る。
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初度適用日におけるIAS第39号からIFRS第9号への移行に伴う利益剰余金および再評価準備金の調整
IAS第39号に基づく IFRS第9号に基づ
測定区分(1) く測定区分(2) 利益剰余金 再評価準備金
(単位:百万ユーロ)
2017 年12月31現在(IAS第39号) 15,500 –295
金融資産
銀行および顧客に対する貸出金等 LaR FVM 32
FVO ACO –5
第三者の有価証券 FVO ACO –6
AfS ACO –124
LaR ACO 6(3)
株式投資 AfS FVM 165 –165
金融負債 FVO ACO 5
FVO FVD 178 –178
貸出事業に係るリスク引当金
銀行および顧客に対する貸出金等 –118
第三者の有価証券 –5
信用リスク引当金 –24
15 6
繰延税金資産/負債
株主持分への影響-合計 236 –454
2018 年1月1日現在(IFRS第9号) 15,735 –749
(1) IAS 第39号に基づく測定区分の略称:
LaR = 貸出金および債権
FVO = 公正価値オプション
AfS = 売却可能金融資産
(2) IFRS 第9号に基づく測定区分の略称:
ACO = 償却原価で測定される金融商品
FVM = 公正価値で測定される金融商品
FVD = 公正価値で測定することが指定された金融負債
(3) 2008 年および2009年に第三者の有価証券をAfSからLaRに再割当したことに伴う再評価準備金の残高。
(24) 初度適用日におけるIAS第39号からIFRS第9号への測定区分の調整
2017 年12月31日現在の金融資産および金融負債の簿価は、IFRS第9号に基づく2018年1月1日現在の新たな簿価に
より調整される。
KfW のビジネスモデルは持続可能性および長期的アプローチに重点が置かれるため、コアビジネスは「回収のた
めの保有」ビジネスモデルに割当てられ、償却原価で測定される。
金融負債の要件には概ね変更がない。それにもかかわらず、公正価値オプションを利用することにより、自己信
用リスクの増減に伴う公正価値の変動は、現在は株主持分の再評価準備金において直接認識されている。
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調整表に記載する主な影響は、下記の通りである。
顧客に対する貸出金等:
- IAS第39号に基づき、KfWによる連邦共和国のための株式保有のアレンジメントは、担保付貸出として償却原
価で測定されていた。IFRS第9号に基づくと、かかる株式保有のアレンジメントはビジネスモデル基準によ
り公正価値で測定されることとなる。
- IAS第39号に基づき、KfWグループのエクイティ・ファイナンス事業において締結されたエクイティ・ファン
ディング契約は、損益を通じて公正価値で測定され、その他のデリバティブにおいて認識される分離可能な
組込デリバティブとして会計処理されていた。一方、ローン債権は、顧客に対する貸出金等において償却原
価で認識されていた。 IFRS第9号に基づくと、これまでIAS第39号により分離可能であったデリバティブは
SPPI要件を満たさない不利な付随契約となる。したがって、この金融商品全体がIFRS第9号に基づきFVMとい
う測定区分において公正価値で会計処理されることとなる。
- 金利減免ローンの一部は、基本的な貸付契約については、適格でなくなるためIFRS第9号に基づくSPPI要件
を満たさない契約上の取決めを有する。その場合、かかるローンは、IFRS第9号に基づき公正価値で測定さ
れた。
有価証券および投資:
- KfWグループが保有する株式投資ポートフォリオは、IAS第39号に基づき売却可能なものとして分類される
か、または公正価値での管理に基づき公正価値で指定されていた。IAS第32号およびIFRS第9号の新たなルー
ルに基づくと、一部の株式投資ポートフォリオは資本性金融商品として報告されなくなり、むしろ負債性金
融商品として報告される可能性がある。この再分類にかかわらず、かかる株式投資ポートフォリオはIFRS第
9号に基づくSPPI要件を満たさない。KfWはかかる資本性金融商品をその他の包括利益(OCI)を通じて株主
持分において直接認識する選択権を行使しないため、IFRS第9号への移行に伴い、株式投資はすべて損益を
通じて公正価値で会計処理される。
- IAS第39号に基づき売却可能なものとして分類されており、これまでOCIを通じて公正価値で測定されていた
第三者の有価証券は、「回収のための保有」ビジネスモデルに割当てられたため、IFRS第9号に基づきACOと
いう測定区分に再分類された。公正価値オプションからACOに再分類された持分の大部分は、2018会計年度
中に満期となった。
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PROMISE およびPROVIDEという証券化プラットフォームに関する業務:
- 助成貸出事業の一環として、KfWグループは、2つの標準化されたプラットフォームであるPROMISE(中小企
業向けローン証券化プログラム)およびPROVIDE(住宅ローン証券化プログラム)を通じたシンセティック
証券化取引において信用リスクを資本市場に転嫁する機会を商業銀行に提供した。第1段階において、KfWグ
ループは、ポートフォリオ・クレジット・デフォルト・スワップ(以下「CDS」という。)を通じて参照
ポートフォリオの債務不履行リスクを引き受けると同時にポートフォリオCDS/クレジット・リンク債を通じ
て当該リスクを第三者に移転した。したがって、これらは経済的にヘッジされたポジションである。クレ
ジット・デリバティブは金融保証に分類される。クレジット・デリバティブは、会計上のミスマッチを回避
するために公正価値で指定することにより会計処理されていた。公正価値は、銀行に対する貸出金等または
銀行もしくは顧客に対する債務として報告されていた。KfWは、IFRS第9号の実施にあたり公正価値での指定
を選択しなかかった。ポートフォリオCDSは、かかる金融商品に関して一般に適用される会計方針に基づき
提供されるまたは受ける金融保証として認識される。分離可能な組込金融保証を含まないクレジット・リン
ク債は、資金調達に関する会計方針に基づきACOで会計処理される。変更はヘッジ対象ポジションの全体に
ついて行われたため、IFRS第9号の初度適用による株主資本への影響は生じない。
リスク引当金:
- 減損の認識に関する新たなルールにより、IFRS第9号に基づき引き続き償却原価で計上される金融商品の正
味簿価の調整が従前の通り生じる可能性がある。
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測定区分の調整表
2017 年12月
31日現在の
2017 年12月 2018 年1月1 2018 年1月1
簿価総額 リスク リスク
31日現在の 日現在の正 日現在の簿
(1) 引当金 正味簿価 組替調整 再評価 味簿価 引当金 価総額
資産
(単位:百万ユーロ)
274,491 177 274,315 0 -6 274,309 192 274,500
銀行に対する貸出金等
測定区分別持分(IAS第39号)
274,491 177 274,315 –274,315
貸出金および債権(LaR) 274,486 177 274,310 –274,310
ACO (IFRS第9号)へ –274,282
FVM (IFRS第9号)へ –28
損益を通じて公正価値で測定
5 5 –5
するもの(FVTPL)
-5
ACO (IFRS第9号)へ
測定区分別持分(IFRS第9号)
274,315 -6 274,309 192 274,500
償却原価で測定される金融商
274,287 -7 274,280 192 274,472
品(ACO)
LaR (IAS第39号)から 274,282 -2 274,280
FVTPL (IAS第39号)から 5 -5 0
損益を通じて公正価値で測定
28 1 29 29
される金融商品(FVM)
28 1 29
LaR (IAS第39号)から
顧客に対する貸出金等 127,759 1,280 126,479 45 -84 126,440 1,381 127,821
測定区分別持分(IAS第39号)
127,759 1,280 126,479 –126,479
貸出金および債権(LaR) 127,759 1,280 126,479 –126,479
ACO (IFRS第9号)へ –116,881
FVM (IFRS第9号)へ –9,598
測定区分別持分(IFRS第9号)
126,524 -84 126,440 1,381 127,821
償却原価で測定される金融商
116,881 -115 116,766 1,381 118,147
品(ACO)
LaR (IAS第39号)から 116,881 -115 116,766
損益を通じて公正価値で測定
9,643 32 9,674 9,674
される金融商品(FVM)
LaR (IAS第39号)から 9,598 32 9,630
45 0 45
FVTPL (IAS第39号)から
その他のデリバティブ 5,145 5,145 -45 0 5,100 5,100
有価証券および投資 33,615 33,615 0 -131 33,484 33,484
測定区分別持分(IAS第39号)
33,615 33,615 –33,615
売却可能金融資産(AFS) 22,909 22,909 –22,909
ACO (IFRS第9号)へ –21,962
FVM (IFRS第9号)へ –947
損益を通じて公正価値で測定
1,876 1,876 –1,876
するもの(FVTPL)
ACO (IFRS第9号)へ -92
FVM (IFRS第9号)へ –1,784
満期保有投資(HtM) 2,587 2,587 –2,587
ACO (IFRS第9号)へ –2,587
貸出金および債権(LaR) 6,242 6,242 –6,242
–6,242
ACO (IFRS第9号)へ
測定区分別持分(IFRS第9号)
33,615 –131 33,484 33,484
償却原価で測定される金融商
30,884 –131 30,753 30,753
品(ACO)
LaR (IAS第39号)から 6,242 5 6,247
HtM (IAS第39号)から 2,587
FVTPL (IAS第39号)から 92 -7 85
AfS (IAS第39号)から 21,962 -128 21,834
損益を通じて公正価値で測定
2,731 2,731 2,731
される金融商品(FVM)
AfS (IAS第39号)から 947 947
1,784 1,784
FVTPL (IAS第39号)から
繰延税金資産 469 469 0 27 496 496
資産合計 0 -194
(1) 前年の数値の調整は、注記「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に説明されている。
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2017 年12月
31日現在の
2017 年12月 2018 年1月1 2018 年1月1
簿価総額 リスク リスク
31日現在の 日現在の正 日現在の簿
(1) 引当金 正味簿価 組替調整 再評価 味簿価 引当金 価総額
(単位:百万ユーロ)
負債および資本
5,990 5,990 0 -17 5,973 5,973
銀行に対する債務
測定区分別持分(IAS第39号)
5,990 5,990 -5,990
損益を通じて公正価値で測定
255 255 –255
するもの(FVTPL)
ACO (IFRS第9号)へ –17
FVD (IFRS第9号)へ –237
その他の負債 5,735 5,735 –5,735
–5,735
ACO (IFRS第9号)へ
測定区分別持分(IFRS第9号)
5,990 -17 5,973 5,973
償却原価で測定される金融商
5,752 -17 5,735 5,735
品(ACO)
FVTPL (IAS第39号)から 17 -17 0
その他の負債(IAS第39号)
5,735 0 5,735
から
公正価値で測定することが指
237 237 237
定されたもの(DFV)
237
FVTPL (IAS第39号)から
顧客に対する債務 9,886 9,886 0 12 9,898 9,898
測定区分別持分
9,886 9,886 –9,886
(IAS第39号)
損益を通じて公正価値で測定
1,835 1,835 –1,835
するもの(FVTPL)
ACO (IFRS第9号)へ -36
FVD (IFRS第9号)へ –1,798
その他の負債 8,051 8,051 –8,051
–8,051
ACO (IFRS第9号)へ
測定区分別持分
9,886 12 9,898 9,898
(IFRS第9号)
償却原価で測定される金融商
8,088 12 8,100 8,100
品(ACO)
FVTPL (IAS第39号)から 36 12 49
その他の負債(IAS第39号)
8,051
から
公正価値で測定することが指
1,798 1,798 1,798
定されたもの(DFV)
1,798 1,798
FVTPL (IAS第39号)から
引当金 2,877 2,877 0 24 2,901 2,901
繰延税金負債 257 257 0 5 262 262
負債および資本合計 0 25
資産および負債合計 0 -218
(1) 前年の数値の調整は、注記「重要な会計方針および会計上の見積もりの変更」に説明されている。
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(25) リスクおよびその他の引当金の調整
リスク引当金の調整
2017年12月31日
2018年1月1日
現在のIAS第39 簿価総額を
現在のIFRS第
号に基づく
償却原価(1) 9号に基づく
リスク引当金 で調整 組替調整 再評価 リスク引当金
(単位:百万ユーロ)
177 14 –1 2 192
銀行に対する貸出金等
償却原価で測定される金融商品
177 14 –1 2 192
(ACO)
LaR (IAS第39号)から 14 0 2
–1 0
FVM (IFRS第9号)へ
顧客に対する貸出金等 1,280 220 –235 116 1,381
償却原価で測定される金融商品
1,280 220 –235 116 1,381
(ACO)
220 0 116
LaR (IAS第39号)から
FVM (IFRS第9号)へ –235 0
有価証券および投資
2 0 0 5 7
償却原価で測定される金融商品
2 0 0 5 7
(ACO)
AfS (IAS第39号)から ▶
FVTPL (IAS第39号)から 1
信用リスクに対する引当金 61 0 0 24 85
(1) IAS 第39号の調整にかかわらず、IFRS第9号は、リスク引当金が実効金利を使用して割り引かれることを明確に要求している。結果として、リスク引
当金は、簿価と償却原価の両方が実効金利を使用して決定されるため、簿価と償却原価の差として計算される。IFRS第9号への移行のため、リスク
引当金から以前の残高を調整するための対応する明確な価額が必要とされる。
(26) 償却原価での測定に組替調整される金融商品
2018 年 12 月 31 日現在の初期導入時に償却原価での測定に組替調整される金融商品
金融商品が組替調整されなかった場合
の2018年包括利益計算書への影響
2018年12月31日 2018年12月31日 再評価準備金の
現在の簿価 現在の公正価値 損益計算書 変動
(単位:百万ユーロ)
金融資産
償却原価で測定される金融商品
(ACO)
AfS (IAS第39号)から 19,184 19,188 3 -122
28 31 1 0
FVTPL (IAS第39号)から
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包括利益計算書に対する注記
(27) 正味 受取 利息
正味受取利息の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息
6,768 n/a
および類似の収益
金融保証からの類似の収益 19 n/a
有価証券および投資からの受取利息 177 n/a
財政状態計算書に認識されるヘッジからの受取利息 -4,068 n/a
-60 n/a
その他の受取利息
実効金利法による受取利息 2,836 n/a
銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息
–17 n/a
および類似の収益
有価証券および投資からの受取利息 56 n/a
その他のデリバティブからの受取利息 812 n/a
851 n/a
その他の受取利息
受取利息 3,687 n/a
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息
n/a 6,980
および類似の収益
金融保証からの類似の収益 n/a 21
有価証券および投資からの受取利息 n/a 235
デリバティブからの受取利息 n/a -4,360(1)
n/a 338
その他の受取利息
受取利息 n/a 3,213
(1) 前期に計上されたデリバティブからの受取利息は、財政状態計算書に認識されるヘッジからの受取利息およびその他のデリバティブからの受取
利息から構成される。
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する債務に係る支払利息および
235 220
類似の費用
債務証書に係る支払利息 7,317 6,903
劣後負債に係る支払利息 0 2
デリバティブに係る支払利息 –6,314 -6,553
その他の支払利息 221 248
1,459 821
支払利息
正味受取利息 2,228 2,393
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(KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により)市場金利を下回る助成ローンを供与
するための費用は185百万ユーロ(前年は186百万ユーロ)となり、その他の支払利息に計上されている。その他の
支払利息項目は、新規貸出事業における名目上の予定金利引下げ額の現在価値に起因する費用に加えて、一定の実
効金利による償却から生じた費用も含む。また、銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息および類似の収
益は、かかる助成ローンに関する名目上の予定金利引下げ額を比例配分した金額で発生主義に基づき償却すること
による収益である313百万ユーロ(2017年は360百万ユーロ)を含む。
ステージ3の債権からの受取利息26百万ユーロは、銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息および類似
の収益に計上されている。前年は、取崩しから生じる収益24百万ユーロが、銀行および顧客に対する貸出金等から
の受取利息および類似の収益に計上された。
受取利息は、低金利環境によるマイナス金利の影響の合計187百万ユーロ(2017年は179百万ユーロ)を含む。か
かる影響は、中央銀行残高、銀行および顧客に対する貸出金等ならびに有価証券および投資によるものである。
支払利息は、低金利環境によるマイナス金利の影響の合計86百万ユーロ(2017年は68百万ユーロ)を含む。かか
る影響は、銀行および顧客に対する債務ならびに債務証書によるものである。
財政状態計算書に認識されるヘッジからの受取利息には、ヘッジ会計されるデリバティブからの受取利息と同様
に、ヘッジ会計による価値の調整の償却による受取利息も含まれる。ヘッジ会計のデリバティブからの受取利息
は、関連するヘッジ対象に応じて、関連金融資産についてのヘッジ会計関連からの受取利息に認識される。
デリバティブに係る支払利息は、ヘッジ会計に使用されるかどうかに関係なくすべてのデリバティブからの支払
利息が含まれる。ヘッジ会計のデリバティブに係る支払利息は、関連するヘッジ対象に応じて、関連金融負債につ
いてのデリバティブからの支払利息に認識される。
ヘッジ対象およびデリバティブからの受取利息またはそれらに係る支払利息をヘッジ会計に含むことで、表示
は、ヘッジ対象金融資産(変動利付金融資産)またはヘッジ対象金融負債(変動利付金融負債)の経済的な本質に
基づいている。
(28) 貸出 事業 に係るリスク引当金
取引別リスク引当金の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
リスク引当金への追加繰入額 883 529
31 52
直接償却
リスク引当金繰入額 914 581
リスク引当金の戻入による収益
839 266
77 107
過年度償却額の回収による収益
リスク引当金からの収益 916 373
重要でない契約上の変更から生じる純損益 5 n/a
貸出事業に係るその他のリスク引当金 –10 n/a
合計 –3 –209
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変更時にそのリスク引当金がステージ2または3に割り当てられ、かつ報告期間中にステージ1に移行した金融資
産の簿価総額は、報告日現在で55百万ユーロとなった。
(29) 正味 受取 手数料
受取手数料の内訳
2018年
(単位:百万ユーロ)
379
顧客との契約から生じる収益
うち連邦政府との委任契約上の取決めから生じる収益
335
委任契約、処理事業およびサービスからの手数料収益 13
貸出事業からの手数料収益 31
0
信託事業
その他の受取手数料 8
金融保証契約
2
5
その他
合計 387
報告年度中のセグメント別受取手数料
輸出金融
個別対応 発展途上国
および
中小企業銀行
金融 および
プロジェク
KfW
および KfW
および 公的 ト・ファイ 新興経済国
民間顧客 顧客 キャピタル ナンス 支援 金融市場 本部 グループ
2018 年
(単位:百万ユーロ)
145 14 0 18 208 1 0 387
受取手数料
うち連邦政府のもの
137 8 0 0 191 0 0 335
割合(%) 94% 56% 0% 0% 91% 0% 0% 87%
期間外の収益
2018 年
(単位:百万ユーロ)
前期になされたサービスに起因する当期の収益 5
2017 会計年度における受取手数料の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
貸出事業からの受取手数料 n/a 124
その他の受取手数料 n/a 207
n/a 0
信託事業からの収益
受取手数料 n/a 331
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支払手数料の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
貸出事業に係る支払手数料 14 17
クレジット・デリバティブに係る支払手数料 0 0
11 11
その他の支払手数料
支払手数料 25 29
正味受取手数料
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
受取手数料 387 331
25 29
支払手数料
合計 362 303
(30) ヘッジ会計からの純損益
ヘッジ会計からの純損益に関するヘッジ関係の種類別内訳
ヘッジの無効性
ヘッジの無効性
の事例を含む損
2018年 2017年
益計算書の項目
(単位:百万ユーロ)
ヘッジ会計から
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ 38 93
の純損益
金利リスク 31 n/a -
ヘッジ会計から
金利-通貨リスク 7 n/a
の純損益
442 498 -
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ
金利リスク 442 498 -
ヘッジ会計から
合計 480 591
の純損益
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの純損益は、ヘッジ手段の評価-713百万ユーロ(2017年は2,182百
万ユーロ)と、ヘッジ対象のポートフォリオに伴うヘッジ・リスクの評価から成る。これには、ダイナミック・
ヘッジの指定および指定の解除から生じる評価差額の償却ならびに対象となるポートフォリオからの金融商品の認
識の中止やヘッジ手段のデリバティブのプル・トゥ・パー効果による評価差額の按分された戻入も含まれる。
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ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの純損益に関するヘッジ対象別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ 3 0
銀行および顧客に対する債務のヘッジ 0 –1
債務証書のヘッジ 34 91
0 1
劣後負債のヘッジ
小計:ヘッジの有効性 37 92
評価差額の償却 1 1
合計 38 93
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの損益の評価に関する総分析:
2018 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ 100 –97 3
銀行および顧客に対する債務のヘッジ 50 –50 0
債務証書のヘッジ 57 –23 34
0 0 0
劣後負債のヘッジ
合計 207 –170 37
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの損益の評価に関する総分析:
2017 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ -198 198 0
銀行および顧客に対する債務のヘッジ 111 -112 -1
債務証書のヘッジ 2,109 -2,018 91
3 -2 1
劣後負債のヘッジ
合計 2,025 -1,933 92
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(31) 損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
銀行または顧客に対する貸出金等 3 0
113 –54
有価証券および投資
資産 116 –54
銀行および顧客に対する債務
30 74
315 74
債務証書
負債 345 148
ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブ
–500 –459
0 –11
クレジット・デリバティブ
デリバティブ金融商品 –500 –470
外貨換算 –14 –20
合計 –54 –397
資産からの純損益は、連邦共和国のための株式保有のアレンジメントからの純損益を含み、(KfWに起因するも
のである場合は)短期の募集、SPPI要件を満たさない貸出金(銀行および顧客に対する貸出金等)ならびに株式投
資(有価証券および投資)に焦点を置いたIPEXのシンジケーション事業も含む。
公正価値で測定される負債からの純損益は、手形貸付(銀行および顧客に対する債務)ならびに債券および手形
(債務証書)を含む。
ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブからの純損益は、経済的ヘッジのデリバティブに起因する。経済的ヘッ
ジは、主としてヘッジ対象の公正価値オプションを適用して認識される。このヘッジ対象には、とりわけ、債務証
書の形態での借入金ならびに銀行および顧客に対する債務が含まれる。
さらに、当該勘定科目には、金融負債に伴う区分処理された組込デリバティブからの損益が含まれるため、関連
するヘッジ手段のデリバティブの評価による純損益は相殺される。
公正価値で測定される銀行および顧客に対する貸出金等からの純損益の商品別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
3 0
貸出金等からの純損益
合計 3 0
公正価値で測定される有価証券および投資からの純損益の商品別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
債券およびその他の確定利付証券 0 -3
株式およびその他の不確定利付証券 8 0
105 -52
株式投資
合計 113 -54
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公正価値で測定される、クレジット・デリバティブおよび合成証券化プラットフォームの
PROMISEとPROVIDEによるクレジット・リンク債から生じる純損益の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
CDS n/a -11
n/a 11
発行済クレジット・リンク債
合計 n/a 0
経済的にヘッジされた借入金からの損益の総分析:ヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
借入金 345 137
-469 -349
ヘッジ手段
合計(経済的ヘッジの純効果) -124 -212
(32) 有価 証券 および投資からの純損益
有価証券および投資からの純損益の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
債券およびその他の確定利付証券 n/a 25
株式およびその他の不確定利付証券 n/a 0
株式投資 n/a -25
n/a 0
連結財務書類に含まれない子会社の株式
合計 n/a 0
前年の有価証券および投資からの純損益には、売却可能金融資産、貸出金および債権または満期保有投資に分類
された有価証券および投資の売却による実現損益やそれらの減損が含まれる。
2017報告年度に、公正価値が信頼性をもって算定できない簿価79百万ユーロの資本性金融商品が売却された。こ
れによる実現純利益12百万ユーロは、株式投資からの純損益に含まれて2017年に計上された。
有価証券および投資の減損の開示
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資 n/a 43
債券およびその他の確定利付証券 n/a 1
株式投資 n/a 42
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有価証券および投資からの減損損失の戻入の開示
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資 n/a 25
債券およびその他の確定利付証券 n/a 25
(33) 証券事業に係るリスク引当金
取引別リスク引当金の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
リスク引当金への追加繰入額 6 n/a
0 n/a
直接償却
リスク引当金繰入額 6 n/a
リスク引当金の戻入による収益
6 n/a
6 n/a
リスク引当金からの収益
貸出事業に係るその他のリスク引当金 0 n/a
合計 0 n/a
(34) 償却原価で測定される金融商品の処分による純損益
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される金融商品の処分による利益 2 n/a
0 n/a
償却原価で測定される金融商品の処分に係る費用
合計 2 n/a
売却による収益は、金融資産の売却に起因するものであった。
(35) 持分法により会計処理された投資からの純損益
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
22 22
持分法により会計処理された投資からの純損益
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(36) 一般 管理費
一般管理費 の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
賃金および給与 548 517
社会保険料負担額 75 73
148 78
年金引当金繰入額およびその他の従業員給付
人件費 771 668
その他の一般管理費
526 487
有形および無形固定資産の減価償却、償却および
122 92
減損
人件費以外の費用 647 579
合計 1,418 1,247
年金引当金繰入額およびその他の従業員給付は、KfWを近代化する手段に関連して計上された年金引当金を含
む。
その他の一般管理費には、オペレーティング・リースから生じる支払賃料16百万ユーロ(2017年は14百万ユー
ロ)が含まれる。
有形および無形固定資産の減価償却、償却および減損は、特に、規制要件を満たし、KfWのIT構造の近代化のた
めに必要な費用に起因し、2018年初めから減価償却または償却されている。
(37) その他の 正味 営業収益または損失
その他の正味営業収益または損失の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
その他の営業収益 52 36
47 39
その他の営業費用
合計 5 -2
その他の営業収益には、主にその他の引当金の戻入による収益33百万ユーロ(2017年は12百万ユーロ)が含まれ
る。
その他の営業費用には、KfW IPEX銀行が銀行の再編基金に支払うべき拠出金15百万ユーロ(2017年は13百万ユー
ロ)が含まれる。KfWは、銀行再編基金法( Restrukturierungsfondsgesetz - RStrukFG)第2条に従って当該基金
に拠出する義務を負わない。
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(38) 法人税
法人税の内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
当期法人税 61 36
-74 -10
繰延税金
合計 -13 26
繰延税金収益の大部分は、KfWの持株会社の繰越欠損金に係る繰延税金の計上によるものであった。
調整表は、当会計年度の算定上の法人税費用と報告上の法人税との関係を示している。
法人税額の調整表
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
営業活動による損益(税引前) 1,623 1,453
当グループの法人税率 0% 0%
算定上の法人税費用 0 0
当グループの税率差異による影響
62 32
税率変更の影響 0 0
当報告年度における前年度法人税の影響 -4 2
控除不能法人税の影響 ▶ 7
控除不能事業費用の影響 5 14
非課税所得の影響 -1 1
取引付加税/減税 1 1
永久差異 12 -2
-92 -29
認識された繰延税金資産の変動の影響
報告上の法人税 -13 26
KfWの適用法人税率0%は、調整額の基礎となり、非課税の公法機関であるKfWの課税状況および当該課税状況が
営業活動から生じる損益に与える主な影響を考慮している。
税率差異による影響は、課税対象の各グループ会社において関連する税率が異なることにより生じている。税率
の範囲は引き続き0%から32%である。
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(39) その他の 包括利益
その他の包括利益の科目別内訳
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
n/a 202
損益計算書に組替調整可能な金額
金融商品
n/a 208
債券およびその他の確定利付証券 n/a 44
株式およびその他の不確定利付証券 n/a 0
株式投資 n/a 165
金融商品に係る繰延税金 n/a –6
n/a 0
持分法により会計処理された投資
損益計算書に組替調整されない金額 155 79
損益を通じて公正価値で測定することが指定された
157 n/a
負債に係る自己信用リスクの増減
金融商品に係る繰延税金 0 n/a
確定給付債務 0 82
–1 –3
確定給付債務に係る繰延税金
合計 155 281
その他の包括利益は、株主持分の再評価準備金に直接認識される金額から成る。この金額には、損益を通じて公
正価値で測定することが指定された負債に係る自己信用リスクの増減および(2017年会計年度は)売却可能な金融
資産に分類される金融商品からの収益および費用、確定給付債務に係る数理計算上の損益の変動、ならびに原取引
に応じて計上される繰延税金の変動が含まれる。
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セグメント報告
(40) 事業部門別セグメント報告
IFRS第8号の規定に従い、セグメント報告は、内部管理報告体系に従って行われている。内部管理報告体系は、
当グループ内の主要な意思決定者が、各セグメントの業績を評価し、資源を各セグメントへ配分する目的で使用さ
れている。
KfWグループの事業部門の構成に沿ったセグメントならびにその商品およびサービスは、以下の通りである。
中小企業銀行および民間顧客 -起業融資
-企業による投資全般への融資ならびに技術革新、エネルギーお
よび環境保全への投資
-教育への融資
-住宅の建設、改築および改修への融資
個別対応金融および公的顧客 -地方自治体インフラおよび社会インフラへの融資
-株主資本および借入資本による企業への個別対応金融
-銀行および州立支援財団への個別対応金融
KfWキャピタル -ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよび
ベンチャー・デット・ファンドへの投資(2019年1月1日付でKfW
の既存のベンチャー・キャピタル事業をKfWキャピタルへ移転)
輸出金融およびプロジェクト・ -ドイツおよび欧州の輸出事業への融資
ファイナンス -ドイツおよび欧州が特別の利害関係を有するプロジェクトおよ
び投資への融資
発展途上国および新興経済国支援 -連邦政府を代理して、予算資金およびKfWが市場で調達した補完
的な資金により行う発展途上国および新興経済国支援
-DEG(ドイツ投資開発会社)が行う融資(民間部門の助成)
金融市場 -有価証券および短期金融市場への投資
-連邦共和国のための株式保有のアレンジメント
-連邦政府から委任された取引(対ギリシャ融資)
-資金調達
本部 -金利および為替の一括管理
-戦略的株式投資
事業部門の構造は、昨年の報告書の構造と比較して、再調整された組織構造および商品責任に合わせて2018年4
月1日より以下の通り調整された。
新事業部門である中小企業銀行および民間顧客事業部門、個別対応金融および公的顧客事業部門ならびにKfW
キャピタル事業部門は、過去の2事業部門である中小企業銀行事業部門ならびに地方自治体および民間顧客銀行/
信用機関事業部門に代わるものである。旧事業部門の商品は、すべて新事業部門に割り振られた。中小企業銀行お
よび民間顧客事業部門は、新興および中小企業、技術革新、環境および気候保護、住宅建築および近代化ならびに
教育の分野において、小売金融業を構成する。個別対応金融および公的顧客事業部門は、個別対応金融および地方
自治体のローン事業に加えて、既存のエクイティ・ファイナンス事業を構成する。KfWキャピタル事業部門は、以
前中小企業銀行事業部門に割り振られていたベンチャー・キャピタル商品を含む。2019年1月1日現在、KfWの既存
事業は、KfWキャピタルに譲渡された。
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新事業部門の構造は、2018会計年度を通して使用され、2017会計年度の比較数値を決定する基準として遡及的に
使用される。
各事業部門の業績は、連結利益への貢献額を基に測定される。各勘定科目は、以下の方法に基づいている。
注1)
- 正味受取利息(助成費用前)は、市場金利法 に基づき算定されるKfWの貸出事業からの利ざやを含んでい
る。この項目には、経済的資本使用量に基づく分析に伴う株主資本利益率も含まれている。本部には資金運
用損益も含んでおり、これは主に金利およびスプレッド管理に伴う損益から成る。KfWの資金調達からの利
注2)
益貢献額 は、金融市場事業部門に含まれている。
- 損益計算書上の利息、手数料および一般管理費に含まれる助成費用は、助成費用が管理上の変数として特に
重要であるため、内部管理報告書に従って別途計上されている。
注1)
KfW の内部リファイナンス・カーブを用いて同一の満期で行われる融資は、この方法による利ざやの算定の前提とする。
注2)
実際のリファイナンス金利と、内部で算定した満期が同一のリファイナンス金利の差異。
助成費用とは、KfWの助成目的の達成にプラスの影響を与える、中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに
個別対応金融および公的顧客事業部門の両事業部門の特定の費用を意味するものと理解されている。助成費用は、
注3)
主に、現在価値 で会計処理される金利の引下げについて新規コミットメントおよび複利計算の影響による追加
額から成る。追加される助成構成要素は、アップフロントフィーによる販売パートナー・インセンティブの費用
(支払手数料に含まれる。)および利用可能な商品関連マーケティングおよび販売手段に係る費用(一般管理費に
含まれる。)である。
注4)
- 一般管理費(助成費用前)の配分は、コストセンターによる活動基準会計の結果に基づく 。一般管理費
(助成費用前)には無形固定資産の償却および有形固定資産の減価償却費が含まれる。
- 貸出事業項目に係るリスク引当金において、正味減損費用、直接償却額、償却済み貸出金の回収額および重
要でない契約上の変更から生じる純損益が、対象となる貸出金に応じて各セグメント間で分配されている。
- 評価損益は、ヘッジ会計からの純損益、公正価値で計上されるその他の金融商品から生じる純損益、有価証
券および投資からの純損益、証券事業に係るリスク引当金からの純損益、償却原価で測定される金融商品の
処分による純損益、持分法により会計処理された投資からの純損益、ならびにその他の正味営業収益から成
る。
- 各事業部門(本部を除く。)への法人税の配賦時には、当期法人税のみが考慮される。繰延税金は本部へ配
分される。
- 報告書上の経済的資本要件は、グループ営業報告書のリスクの報告における経済的資本要件の定義に基づ
き、すべてのリスクの種類をカバーしている。
- 内部管理報告体系に従い、セグメント資産は、各セグメントの業績評価または各セグメントへの資源配分の
いずれにも用いられていないため、計上されていない。
- セグメントの収益および費用の表示は、連結上の数値に基づく。一般管理費や支払手数料、またKfWグルー
プ内でのサービス取引による受取手数料やその他の営業収益は、セグメント報告において調整されている。
連結へほとんど影響を及ぼさない残りの金額は、調整/連結欄に計上されている。
注3)
KfW の助成貸出事業における金利の引下げに関する詳細については、「KfWの助成貸出事業」に関する注記を参照のこと。損益において支払利息とし
て認識される、名目上の予定金利引下げ額の現在価値は、中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに個別対応金融および公的顧客事業部門に配分
されている。支払利息に含まれる現在価値に対する複利効果は、単純化するために本部に配分されている。
注4)
組織単位で発生した費用は、中核サービスにより商品に主として配分される。
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2018 会計年度における事業部門別セグメント報告
中小企業銀行 個別対応金融
輸出金融および
および および
プロジェクト・
民間顧客(1) 公的顧客(1) KfWキャピタル(1) ファイナンス(1)
(単位:百万ユーロ)
36,294 9,544 141 17,730
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
420 97 0 719
正味受取手数料(助成費用前) 145 11 0 18
388 85 7 253
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 178 24 –7 483
貸出事業に係るリスク引当金
–12 –▶ 0 21
▶ 22 9 68
評価損益
営業活動による損益(助成費用前) 170 42 2 572
助成費用
196 6 0 0
0 0 0 35
法人税
連結利益 –26 36 2 537
経済的資本要件 8,090 1,040 171 1,166
発展途上国
および
新興経済国
支援(1) 金融市場 本部 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
10,558 1,472 0 –245 75,495
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
374 308 500 –5 2,413
正味受取手数料(助成費用前) 202 –3 0 0 374
438 93 135 0 1,400
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 138 212 366 –6 1,387
貸出事業に係るリスク引当金
–14 1 5 0 –3
64 ▶ 278 5 455
評価損益
営業活動による損益(助成費用前) 188 218 648 0 1,839
助成費用
0 0 14 0 216
22 0 –70 0 –13
法人税
連結利益 165 218 703 0 1,636
経済的資本要件 1,698 1,035 5,168 0 18,369
(1) 事業部門の評価損益は、持分法により会計処理された投資からの純損益を以下の通り含んでいる。中小企業銀行および民間顧客は-7.6百万ユーロ、
KfWキャピタルは0.1百万ユーロ、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスは26.6百万ユーロ、ならびに発展途上国および新興経済国支援は3.3
百万ユーロ。
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2017 会計年度における事業部門別セグメント報告
中小企業銀行 個別対応金融
輸出金融および
および および
プロジェクト・
民間顧客(1) 公的顧客(1) KfWキャピタル(1) ファイナンス(1)
(単位:百万ユーロ)
42,388 9,319 105 13,751
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
463 107 1 798
正味受取手数料(助成費用前) 101 –3 0 21
376 74 10 238
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 188 29 –9 581
貸出事業に係るリスク引当金
–90 11 0 –89
–1 32 0 –2
評価損益
営業活動による損益(助成費用前) 97 72 –9 489
助成費用
188 5 0 0
0 1 0 21
法人税
連結利益 –91 66 –9 469
経済的資本要件 7,884 882 116 1,307
発展途上国
および
新興経済国
支援(1) 金融市場 本部 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
9,749 1,541 0 –372 76,481
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
381 235 596 –3 2,579
正味受取手数料(助成費用前) 198 0 0 0 316
389 88 58 0 1,234
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 189 147 539 –3 1,661
貸出事業に係るリスク引当金
–42 2 0 0 –209
–31 ▶ 209 3 214
評価損益
営業活動による損益(助成費用前) 117 152 748 0 1,667
助成費用
0 0 20 0 213
10 0 –5 0 26
法人税
連結利益 107 152 733 0 1,427
経済的資本要件 1,947 1,137 4,956 0 18,228
(1) 事業部門の評価損益は、持分法により会計処理された投資からの純損益を以下の通り含んでいる。中小企業銀行および民間顧客は-2.2百万ユーロ、
KfWキャピタルは-0.6百万ユーロ、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスは17.4百万ユーロ、ならびに発展途上国および新興経済国支援は7.2
百万ユーロ。
調整/連結欄には、セグメント情報をKfWグループの合算情報へ調整するために必要なすべての調整が含まれる。
「新規コミットメント額」に計上される連結上の影響額は、KfW IPEX銀行が転貸銀行として機能する中小企業銀行
および民間顧客ならびに個別対応金融および公的顧客の貸出プログラムのコミットメントに係るものである。この
欄のその他の金額は、連結上最低限の影響を及ぼす金額に基づくものである。
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(41) 地域別セグメント報告
正味受取利息および受取手数料は、顧客の地域に基づき配分される。正味受取利息に含まれる株主資本利益率、
KfWの融資からの利益への貢献額、および資金運用損益は、ドイツに配分される。KfWは、連邦政府の予算資金を用
いて行う発展途上国および新興経済国支援の対価として連邦政府から手数料を受け取っている。これらの資金は、
投資が行われる国が属する地域別に配分される。
有形固定資産と無形固定資産は、その額が僅少なものを除き、ドイツと関係のあるもののため、地域別に報告し
ていない。
2018 会計年度における地域別セグメント報告
欧州
ドイツ (ドイツを除く) その他の国々 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息 1,210 420 603 –5 2,228
148 22 191 0 362
正味受取手数料
セグメント収益 1,358 442 794 –5 2,590
2017 会計年度における地域別セグメント報告
欧州
ドイツ (ドイツを除く) その他の国々 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息 1,330 420 646 -3 2,393
87 30 185 0 303
正味受取手数料
セグメント収益 1,417 450 831 -3 2,695
調整/連結欄には、セグメント情報をKfWグループの合算情報へ調整するために必要なすべての調整が含まれる。
この欄の金額は、連結上最低限の影響を及ぼす金額のみに基づくものである。
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財政状態計算書に対する注記
(42) 現金準備 高
現金準備高の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
現金 0 0
17,465 11,087
中央銀行残高
合計 17,465 11,087
(43) 銀行に 対する 貸出金等
銀行に対する貸出金等 の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期金融市場取引 12,023 10,390
貸出金等 262,074 256,475
約束手形貸付け 22 0
その他の債権 6,293 7,626
合計 280,413 274,491
KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により支払われた助成ローンの金利が市場金利
を下回るため、合計1,030百万ユーロ(2017年12月31日現在は1,185百万ユーロ)の簿価の調整が貸出金等に計上さ
れている。
リバース・レポ取引および差し入れられた現金担保に係る債権は、その他の債権に含まれる。
銀行に対する貸出金等の引受債務の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する直接貸出金 73,472 72,306
転貸商業銀行が全面的に負債負担を引受ける、転貸
187,392 182,449
方式による顧客に対する貸出金
転貸商業銀行が部分的に負債負担を引受ける、転貸
1,974 2,191
方式による顧客に対する貸出金
直接転貸劣後ローン 267 714
KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での
–1,030 –1,185
追加助成資金により支払われた助成ローンの金利が
市場金利を下回ることによる簿価の調整
合計 262,074 256,475
銀行に対する直接貸出金には、特に国内の住宅建設および中小企業への融資の一環として供与されたグローバ
ル・ローンが含まれる。
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(44) 顧客に対する貸出金等
顧客に対する貸出金等 の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期金融市場取引 771 5,156
貸出金等 124,379 121,964
約束手形貸付け 1,131 0
596 639
その他の債権
合計 126,878 127,759
KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により支払われた助成ローンの金利が市場金利
を下回るため、合計84百万ユーロ(2017年12月31日現在は111百万ユーロ)の簿価の調整が貸出金等に計上されて
いる。
顧客に対する貸出金等の引受債務の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
顧客に対する直接貸出金 121,655 119,235
転貸商業銀行が負債負担を引受けない、転貸方式に
209 234
よる顧客に対する貸出金
転貸保険会社が全面的に負債負担を引受ける、保険
667 621
会社を通じて転貸された顧客に対する貸出金
直接劣後ローンならびに商業銀行および保険会社を
1,932 1,985
通じて転貸された劣後ローン
KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での
–84 -111
追加助成資金により支払われた助成ローンの金利が
市場金利を下回ることによる簿価の調整
合計 124,379 121,964
顧客に対する直接貸出金には、特に輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス、地方自治体融資ならびに教育
関連融資に基づき供与された貸出金が含まれる。当該項目には、KfW法に従って連邦政府から委任された特定の取
引に関連する貸出金も含まれる。
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(45) 貸出 事業に係るリスク引当金
貸出事業に係るリスク引当金の 科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 195 177
うちステージ1 122 n/a
うちステージ2 33 n/a
うちステージ3 39 n/a
顧客に対する貸出金等 1,350 1,280
うちステージ1 199 n/a
うちステージ2 176 n/a
975 n/a
うちステージ3
貸出金等に対する貸倒引当金 1,545 1,457
信用リスクに対する引当金 73 61
うちステージ1
40 n/a
うちステージ2 28 n/a
6 n/a
うちステージ3
合計 1,618 1,517
貸出金等に対する貸倒引当金には、短期金融市場への投資およびリバース・レポ取引に対するものも含まれてい
る。
2018 会計年度における貸出事業に係るリスク引当金の増減
銀行への貸出金等による 顧客への貸出金等による 引当金
予想損失に対する減損 予想損失に対する減損 (信用リスク)
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3
(単位:百万ユーロ)
2018年1月1日現在 120 32 40 219 200 962 34 42 9
ステージ2および3から
2 –2 0 24 –24 0 5 –5 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–▶ ▶ 0 –13 27 –15 –2 2 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–1 –6 6 –3 –34 37 0 –2 2
ステージ3への移行
追加 68 19 24 90 123 477 58 18 5
使用額 0 0 –14 0 –3 –177 0 0 0
戻入 –65 –15 –20 –122 –117 –406 –56 –28 –11
為替およびその他の変動 1 0 0 3 3 46 1 1 0
2018年12月31日現在 122 33 39 199 176 975 40 28 6
データ基準の改善により、リテール事業におけるデフォルトの確率およびLGDの再パラメータ化が行われた。こ
れによりリスク引当金の戻入額は、65百万ユーロとなった。
報告年度において、不良債権および借入金に対する54百万ユーロ(2017年12月31日現在は54百万ユーロ)の受取
利息は、回収されなかった。
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報告期間中に償却され、なお施行措置の対象となっている金融資産の契約上の貸付残高は、報告日現在、総額71
百万ユーロであった。
2017 会計年度における貸出事業に係るリスク引当金のリスク評価 別増減
ポートフォ
引当金
リオ毎に (ポートフ
引当金
貸出金等に
評価された (個別 ォリオ・
個別評価 対する
リスク リスク 貸倒引当金 リスク ) リスク ) 合計
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 1,064 546 1,610 9 35 1,654
追加 497 68 565 2 14 581
使用額 -328 0 -328 0 0 -328
戻入 -180 -82 -261 -3 -1 -266
取崩し -24 0 -24 0 0 -24
為替の変動 -67 -25 -92 0 -1 -94
連結グループにおける
-6 -6 -12 0 6 -6
変動
2017 年12月31日現在 956 500 1,456 8 53 1,517
(46) 貸出事業に係る簿価総額の増減
2018 会計年度における貸出事業に係るクラス別簿価総額の 分析
銀行への貸出金等の 顧客への貸出金等の 簿外貸出事業の
簿価総額 簿価総額 簿価総額
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3
(単位:百万ユーロ)
2018年1月1日現在 273,891 451 131 97,070 4,008 17,070 82,351 367 261
ステージ2および3から
63 –65 2 451 –451 0 3 –3 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–171 175 –▶ –2,098 2,126 –28 –73 73 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–33 –36 69 –421 –394 815 –8 0 8
ステージ3への移行
追加 158,981 41 5 23,635 150 255 1,268 25 1
うち最近取得または発行さ
116,350 29 0 14,646 7 13 1,044 5 1
れた金融資産
うち最近の事業 42,630 12 5 8,988 143 242 223 20 0
処分 –154,224 –115 –75 –23,346 –1,051 –951 –1,070 –60 –8
うち認識を中止された金融
–154,224 –115 –57 –23,337 –1,049 –798 –1,070 –60 –8
資産
うち受取勘定の不履行 0 0 –19 –9 –2 –153 0 0 0
重要でない契約上の変更 0 0 0 0 ▶ 0 0 0 0
1,310 2 0 358 53 0 2,951 –32 –51
為替およびその他の変動
2018年12月31日現在 279,816 453 127 95,650 4,445 17,159 85,421 370 211
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有価証券報告書
(47) マクロヘッジ による公正価値ヘッジ会計に係る評価差額
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に指定され
9,071 9,648
ている資産の評価差額
償却原価測定区分に含まれるヘッジ対象ポートフォリオのヘッジ対象リスクに起因する公正価値は、この項目に
含まれる。
(48) ヘッジ会計 に指定されたデリバティブ資産
ヘッジ会計に指定された正の公正価値を有するデリバティブのヘッジ関係別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 9,354 8,820
157 254
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計
合計 9,512 9,074
ヘッジ会計に指定された正の公正価値を有するデリバティブの種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 2,869 3,688
6,643 5,386
通貨関連デリバティブ
合計 9,512 9,074
金利関連デリバティブのみがマクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に指定されている。クロスカレンシー・ス
ワップは、通貨関連デリバティブに表示されている。
(49) その他のデリバティブ資産
正の公正価値を有するその他のデリバティブの種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 3,738 4,461
通貨関連デリバティブ 1,536 639
0 45
その他デリバティブ
合計 5,274 5,145
クロスカレンシー・スワップは、通貨関連デリバティブに表示されている。
その他のデリバティブには、区分処理された組込デリバティブによる200百万ユーロ(2017年12月31日現在は92
百万ユーロ)の正の公正価値を有するデリバティブがある。
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(50) 有価 証券 および投資
有価証券および投資の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
債券およびその他の確定利付証券 32,874 30,900
株式投資 2,818 2,672
43 43
非連結子会社株式
有価証券および投資の種類別合計 35,735 33,615
有価証券および投資のリスク引当金 –7 n/a
合計 35,729 33,615
2018 会計年度における有価証券および投資のリスク引当金の増減
有価証券および投資による
予想損失に対する減損
ステージ1 ステージ2 ステージ3
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 6 1 0
追加 5 0 0
–5 –1 0
戻入
2018 年12月31日現在 6 1 0
2018 会計年度における償却原価測定された有価証券および投資の簿価総額の増減
ステージ1 ステージ2 ステージ3
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 30,455 205 100
ステージ2および3からステージ1への移行 7 –7 0
追加 13,864 0 0
うち最近取得または発行された金融資産
13,719 0 0
うち最近の事業
145 0 0
処分 –11,662 –155 –9
うち 認識を中止された 金融資産
–11,662 –155 –9
68 –7 0
為替およびその他の変動
2018 年12月31日現在 32,732 35 91
(51) 持分法により会計処理された投資
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
514 415
持分法により会計処理された投資
合計 514 415
「持分の開示」に関する注記に、持分法により会計処理された投資の一覧が含まれている。
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(52) 有形 固定資産
有形固定資産の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
土地および建物 848 856
設備および備品 78 78
32 17
その他の有形固定資産
合計 958 950
前渡金および建設仮勘定は、その他の有形固定資産に計上されている。
2018 会計年度における有形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 の簿価 1,339 –388 950
追加/減損損失の戻入 59 0 59
売却 –18 17 -1
減価償却費 0 –49 -49
0 –1 -1
減損損失
2018 年12月31日現在 の簿価 1,379 –421 958
2017 会計年度における有形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 の簿価 1,278 –347 931
追加/減損損失の戻入 66 0 66
売却 –6 5 -1
減価償却費 0 –46 –46
0 0 0
減損損失
2017 年12月31日現在 の簿価 1,339 –388 950
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(53) 無形 固定 資産
無形固定資産の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ソフトウェア 171 206
購入ソフトウェア 117 138
自社開発ソフトウェア 54 68
54 46
その他の無形固定資産
合計 225 252
その他の無形固定資産には、特に開発中のソフトウェアが含まれる。
2018 会計年度における無形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 の簿価 397 –145 252
連結グループの変更 0 0 0
追加/減損損失の戻入 45 0 45
売却 –3 3 0
償却 0 –63 –63
0 –9 –9
減損損失
2018 年12月31日現在 の簿価 439 –214 225
償却額は、特に規制要件を満たすためおよびKfWのIT構造の包括的近代化のための費用償却の開始により、前年
比で増加した。
2017 会計年度における無形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 の簿価 338 -103 235
連結グループの変更 0 0 0
追加/減損損失の戻入 64 0 64
売却 -5 ▶ -2
償却 0 -39 -39
0 -7 -7
減損損失
2017 年12月31日現在 の簿価 397 -145 252
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(54) 税金資産
税金資産の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
未収法人税 21 29
559 469
繰延税金資産
合計 579 498
未収法人税は、控除可能税(投資収益課税/連帯付加税)および報告年度における税金の前払いに係る未収税金
によるものである。
繰延税金資産の大部分は、以下に挙げられる連結財政状態計算書項目に係る評価差額によるものである。
繰延税金資産の連結財政状態計算書項目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する貸出金等
69 59
(リスク引当金を含む。)
有価証券および投資 33 21
無形固定資産 15 15
その他のデリバティブ(負債) 251 255
引当金 58 58
その他の連結財政状態計算書項目 0 0
132 61
繰越欠損金
小計
559 469
0 0
繰延税金負債との相殺
合計 559 469
(55) その他 の資産
その他の資産の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
その他の資産および債権 670 667
46 37
前払費用および繰延費用
合計 716 704
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前払費用および繰延費用は、契約上の権利から生じる金融資産(IFRS第15号に従うと「契約資産」)を含む。か
かる資産は、以下の通り推移した。
契約上の権利から生じる資産の増減
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 0 n/a
追加 19 n/a
0 n/a
処分
12 月31日現在 19 n/a
(56) 銀行に 対する債務
銀行に対する債務の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期金融市場取引 0 6
手形貸付 1,931 1,864
6,288 4,120
その他の金融負債
合計 8,220 5,990
受領した現金担保に係る負債は、その他の金融負債に含まれる。
(57) 顧客に対する債務
顧客に対する債務の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期金融市場取引 2,312 289
手形貸付 4,514 5,188
5,478 4,409
その他の金融負債
合計 12,303 9,886
受領した現金担保に係る負債は、その他の金融負債に含まれる。
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(58) 債務 証書
債務証書の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期金融市場での発行 41,740 40,185
376,842 366,105
債券および手形
合計 418,581 406,290
(59) マクロヘッジ による公正価値ヘッジ会計に係る評価差額
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計による負債
98 119
に係る評価差額
償却原価測定における負債区分に含まれるヘッジ対象ポートフォリオの以前のヘッジ対象リスクに起因する公正
価値は、この項目に含まれる。
(60) ヘッジ 会計 に指定されたデリバティブ負債
ヘッジ会計に指定された負の公正価値を有するデリバティブのヘッジ関係別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 6,296 9,233
3,595 5,255
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計
合計 9,891 14,488
ヘッジ会計に指定された負の公正価値を有するデリバティブの種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 5,029 6,293
4,862 8,195
通貨関連デリバティブ
合計 9,891 14,488
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(61) その他 の デリバティブ 負債
負の公正価値を有するその他のデリバティブ の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 889 974
1,640 1,927
通貨関連デリバティブ
合計 2,529 2,902
クロスカレンシー・スワップは、通貨関連デリバティブに表示されている。
その他のデリバティブは、区分処理された組込デリバティブによる13百万ユーロ(2017年12月31日現在は18百万
ユーロ)の負の公正価値を有するデリバティブを含む。
(62) 引当金
引当金の種類別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
年金および類似の約定に対する引当金 2,148 2,024
信用リスクに対する引当金 73 61
807 793
その他の引当金
合計 3,028 2,877
2018 会計年度における年金および類似の約定に対する引当金の増減
確定給付債務 早期退職 部分退職 合計
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 1,981 29 14 2,024
追加 104 75 5 184
当期勤務費用 65 75 5 146
過去勤務費用 0 0 0 0
利息費用 39 0 0 39
その他の追加 0 0 0 0
数理計算上の損益 0 0 0 0
人口統計上の仮定の変動 15 0 0 15
財務上の仮定の変動 –77 0 0 –77
実績による修正の変動 61 0 0 61
使用額 –49 –11 -5 –65
戻入 0 0 0 0
振替 0 0 0 0
制度加入者による拠出
5 0 0 5
(株主持分に認識される)
0 0 0 0
連結グループの変更
2018 年12月31日現在 2,041 93 14 2,148
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追加の年金約定は、2018年に承認された。確定給付債務の予想平均残余期間は、2018年12月31日現在、19.0年
(2017年12月31日現在は19.3年)である。
2017 会計年度における年金および類似の約定に対する引当金の増減
確定給付債務 早期退職 部分退職 合計
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 2,002 34 14 2,050
追加 102 ▶ 5 110
当期勤務費用 68 ▶ 5 77
過去勤務費用 0 0 0 0
利息費用 33 0 0 33
その他の追加 0 0 0 0
数理計算上の損益 –82 0 0 –82
人口統計上の仮定の変動 –2 0 0 –2
財務上の仮定の変動 –100 0 0 –100
実績による修正の変動 20 0 0 20
使用額 –46 –9 –5 –60
戻入 0 0 0 0
振替 0 0 0 0
制度加入者による拠出
5 0 0 5
(株主持分に認識される)
0 0 0 0
連結グループの変更
2017 年12月31日現在 1,981 29 14 2,024
年金および類似の約定に対する引当金は、ホイベックの新RT2018年版G数理計算表および以下のその他の数理計
算上の仮定に基づいて算定されている。
数理計算上の仮定(年率)
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
技術的割引率
2.07% 1.88%
昇給率 2.20% 2.20%
年金増加率 2.50% 2.50%
離職率 1.83% 1.50%
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技術的割引率は、2018年12月31日現在、確定給付債務の平均残存期間に対する調整を反映しており、これは平均
自己資本コミットメント使用期間に対する調整に反映される。
2018 年12月31日現在の確定給付債務の感応度
差異 確定給付債務の変動 差異 確定給付債務の変動
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
平均余命 +1年 -1年
85 –85
技術的割引率 +0.25% –95 -0.25% 102
昇給率 +0.50% 17 -0.50% -16
年金増加率 +0.50% 132 -0.50% –80
離職率 +1.00% -4 -1.00% ▶
2017 年12月31日現在の確定給付債務の感応度
差異 確定給付債務の変動 差異 確定給付債務の変動
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
平均余命 +1年 -1年
83 -84
技術的割引率 +0.25% -93 -0.25% 100
昇給率 +0.50% 17 -0.50% -16
年金増加率 +0.50% 129 -0.50% -117
離職率 +1.00% -4 -1.00% 5
貸出事業に係るリスク引当金の増減
貸出事業に係るリスク引当金の増減については、「貸出事業に係るリスク引当金」に関する注記を参照のこと。
2018 会計年度におけるその他の引当金の増減
従業員に対する
債務 その他の引当金 合計
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 33 760 793
追加 3 85 88
金利費用 0 2 2
その他の追加 3 83 86
使用額 –3 –38 –41
戻入 0 –33 –33
2018 年12月31日現在 33 774 807
従業員に対する債務は、勤務年数に対する引当金を含む、その他の長期従業員給付を表示している。これらの債
務について対応する数理計算上の報告書が作成されている。
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KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により取消不能の助成貸出コミットメントの金
利が市場金利を下回るため、その他の引当金の1項目として合計59百万ユーロ(2017年12月31日現在は40百万ユー
ロ)が計上されている。既存の引当金の変動は、純繰入として、または、減少の場合には、資産の部において銀行
または顧客に対する貸出金等として認識される実行済み助成ローンの簿価の調整を通じて振替として表示されてい
る。
また、その他の引当金には、SinAの業務引受に伴う債務も含まれ、当該債務は、その他の資産に認識されている
東西ドイツ統一によるBvSに対し有する同額債権により相殺されている。
2017 会計年度におけるその他の引当金の増減
従業員に対する
債務 その他の引当金 合計
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 33 739 771
追加 5 80 86
金利費用 0 3 3
その他の追加 5 77 83
使用額 -4 -48 -53
-1 -11 -11
戻入
2017 年12月31日現在 33 760 793
(63) 税金負債
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
未払法人税 31 16
253 257
繰延税金負債
合計 284 272
2018年12月31日現在の未払法人税は、主にKfWグループ内の課税対象会社における税金引当金から成る。
繰延税金負債の大部分は、以下に挙げられる連結財政状態計算書に関する評価差額によるものであった。
繰延税金負債の連結財政状態計算書項目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
その他のデリバティブ(資産) 245 254
8 3
その他の連結財政状態計算書項目
合計 253 257
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(64) その他の負債
その他の負債の科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
その他の金融負債 437 460
104 157
繰延収益
合計 540 617
繰延収益は、契約上の権利から生じる負債(IFRS第15号に従うと「契約負債」)を含む。かかる負債は以下の通
り推移した。
契約上の権利から生じる負債の増減
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 40 n/a
追加 8 n/a
13 n/a
処分
12 月31日現在 35 n/a
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(65) 株主 持分
株主持分の内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
引受済資本 3,750 3,750
-450 -450
控除:未請求の未払込資本
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金
8,447 8,447
ERP 特別基金からの助成準備金 7,150 7,150
ERP特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 17,371 15,500
KfW 法第10条第(2)項に基づく法定準備金 1,875 1,875
KfW 法第10条第(3)項に基づく特別準備金 10,092 9,207
特別準備金
(ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4)項に基 21 21
づく引当による特別損失控除後)
その他の利益剰余金 5,383 4,396
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600 600
再評価準備金 –594 -295
売却可能金融資産から生じる評価損益(税引後) n/a 277
損益を通じて公正価値で測定することが指定され
た負債に係る自己信用リスクの増減からの評価損 –21 n/a
益
–573 -572
確定給付債務に係る数理計算上の損益(税引後)
合計 30,315 28,742
株主持分は、リスクをカバーするために利用可能な資本の基礎をなすものであり、内部管理の観点から必要な資
本の額に一致する。
リスク許容能力に係る株主持分に関する詳細については、グループ営業報告書のリスクの報告を参照のこと。
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金融商品に対する注記
金融商品に対する注記において、IFRS第9号に基づく異なる測定区分は、下記の通り省略される。
ACO =償却原価で測定される金融商品
FVM =公正価値で測定される金融商品
FVD =公正価値で測定することが指定された金融商品
(66) 測定区分別金融商品からの損益
以下の表は、包括利益計算書の異なる各項目に含まれる金融商品からの損益を測定区分別に示したものである。
為替換算からの損益は含まれない。
2018 会計年度における 金融商品からの測定区分別損益
ヘッジ会計に
指定されたデ
ACO 資産 ACO 負債 FVM 資産 FVM 負債 FVD 負債 リバティブ 合計
(単位:百万ユーロ)
受取利息 6,126 0 415 437 0 –3,290 3,687
支払利息 –185 –6,328 318 –204 –492 5,473 –1,419
貸出事業に係るリスク
–3 0 0 0 0 0 –3
引当金
受取手数料 8 0 0 0 0 0 8
支払手数料 –12 –6 0 0 0 0 –18
ヘッジ会計からの
312 136 0 0 0 32 480
純損益
損益を通じて公正価値
で測定されるその他の
0 0 –338 –47 345 0 –40
金融商品から生じる純
損益
償却原価で測定される
2 0 0 0 0 0 2
金融商品の処分による
純損益
その他の正味営業収益 0 –1 0 0 0 0 –1
再評価準備金の増減 0 0 0 0 157 0 157
合計 6,247 –6,199 395 185 11 2,214 2,853
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2017 会計年度における 金融商品からの測定区分別損益
損益を通じ
て公正価値
で測定され
貸出事業に るその他の
有価証券
係る
ヘッジ会計 および投資 その他の
金融商品か
リスク
正味受取 正味受取 からの からの 正味
ら生じる純
利息 手数料 純損益 純損益 営業収益 合計
引当金
損益
(単位:百万ユーロ)
貸出金および債権 6,349 –209 106 –3,412 0 ▶ 0 2,839
満期保有投資 –3 0 0 0 0 0 0 –3
その他の金融負債 –6,656 0 0 2,241 0 0 5 –4,410
売却可能金融資産 185 0 0 –169 0 –▶ 0 11
損益を通じて公正
価値で測定される 39 0 3 0 –54 0 0 –12
金融資産
損益を通じて公正
価値で測定される –587 0 –3 0 137 0 0 –453
金融負債
トレーディング目的で
の保有に分類される金 1,811 0 0 0 –459 0 0 1,352
融商品
ヘッジ会計に指定され
1,290 0 0 1,931 0 0 0 3,222
たデリバティブ
合計 2,427 –209 106 591 –377 0 5 2,545
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( 67) 金融商品の測定 区分 別財政状態計算書項目
以下の表は、異なる財政状態計算書項目に含まれる金融商品に係る資産および負債を、測定区分別に示したもの
である。
測定 区分別金融資産 ( 20 18 年 12 月 31 日現在 )
マクロ
ヘッジ
ヘッジ
による
会計に
公正価値 指定
貸出事業
ヘッジ された その他の
有価証券
銀行に 顧客に に係る デリバ デリバテ
会計に
および
対する 対する ィブ
リスク ティブ
係る
貸出金等 貸出金等 資産 資産(金融商品)
投資
引当金 資産
評価差額
(単位:百万ユーロ) %
ACO
280,395 117,254 –1,545 9,071 0 0 32,851 438,027 94.1
FVM 18 9,624 0 0 0 5,274 2,877 17,793 3.8
ヘッジ会計に指定され
0 0 0 0 9,512 0 0 9,512 2.0
たデリバティブ
合計 280,413 126,878 –1,545 9,071 9,512 5,274 35,729 465,332 100.0
測定 区分別金融負債 ( 20 18 年 12 月 31 日現在 )
マクロ
ヘッジ
ヘッジ
による
会計に
公正価値 指定
その他の
ヘッジ された
銀行に 顧客に デリバティ
デリバ
会計に
対する 対する ブ
ティブ
係る
債務 債務 債務証書 負債 負債(金融商品)
負債
評価差額
(単位:百万ユーロ) %
ACO
7,980 10,644 407,614 98 0 0 426,336 94.4
FVM 0 0 0 0 0 2,529 2,529 0.6
FVD 240 1,659 10,967 0 0 0 12,866 2.8
ヘッジ会計に指定された
0 0 0 0 9,891 0 9,891 2.2
デリバティブ
合計 8,220 12,303 418,581 98 9,891 2,529 451,622 100.0
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測定 区分別金融資産 ( 20 17 年 12 月 31 日現在 )
マクロ
ヘッジ
ヘッジ
による
会計に
公正価値
指定
貸出事業
された その他の
ヘッジ
に 係る
有価証券
銀行に 顧客に デリバ デリバ
会計に
および
対する 対する リスク ティブ
ティブ
係る
貸出金等 貸出金等 資産 資産(金融商品)
投資
引当金 資産
評価差額
(単位:百万ユーロ) %
貸出金および債権
274,486 127,759 –1,457 9,648 0 0 6,242 416,678 90.9
満期保有投資 0 0 0 0 0 0 2,587 2,587 0.6
売却可能金融資産 0 0 0 0 0 0 22,909 22,909 5.0
損益を通じて公正価値で
5 0 0 0 0 0 1,876 1,882 0.4
測定される金融資産
トレーディング目的
0 0 0 0 0 5,145 0 5,145 1.1
での保有に分類される金
融資産
ヘッジ会計に指定された
0 0 0 0 9,074 0 0 9,074 2.0
デリバティブ
合計 274,491 127,759 –1,457 9,648 9,074 5,145 33,615 458,276 100.0
測定 区分別金融負債 ( 20 17 年 12 月 31 日現在 )
マクロ
ヘッジ
ヘッジ
による
会計に
公正価値 指定
された その他の
ヘッジ
銀行に 顧客に デリバ デリバティ
会計に
対する 対する ブ
ティブ
係る
債務 債務 債務証書 負債 負債(金融商品)
負債
評価差額
(単位:百万ユーロ) %
その他の金融負債
5,735 8,051 394,599 119 0 0 408,504 92.9
損益を通じて公正価値で
255 1,835 11,691 0 0 0 13,780 3.1
測定される金融負債
トレーディング目的
0 0 0 0 0 2,902 2,902 0.7
での保有に分類される金
融負債
ヘッジ会計に指定された
0 0 0 0 14,488 0 14,488 3.3
デリバティブ
合計 5,990 9,886 406,290 119 14,488 2,902 439,674 100.0
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(68 ) 金融商品の 公正 価値
以下の表は、金融商品の公正価値と簿価の比較を示している。現金準備高に認識される中央銀行における追加残
高の公正価値は、その簿価である。貸出事業に係る既存のリスク引当金は、銀行および顧客ならびに有価証券およ
び投資に対する貸出金等の簿価から控除される。
金融商品の公正価値(2018年12月31日現在)
簿価
(財政状態
公正価値 差異
計算書)
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 287,081 280,218 6,862
顧客に対する貸出金等 129,100 125,528 3,572
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る評価
n/a 9,071 –9,071
差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ資産 9,512 9,512 0
その他のデリバティブ資産 5,274 5,274 0
35,740 35,729 12
有価証券および投資
資産 466,707 465,332 1,375
銀行に対する債務
8,334 8,220 114
顧客に対する債務 12,486 12,303 183
債務証書 419,738 418,581 1,157
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る評価
n/a 98 –98
差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ負債 9,891 9,891 0
2,529 2,529 0
その他のデリバティブ負債
負債 452,978 451,622 1,356
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利息関連の価値変動についても、金融商品の公正価値の測定時に考慮される。したがって、簿価との比較に際し
ては、マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計における貸出金等および借入金の認識から生じる(利息関連の)価
値の変動を考慮する必要がある。
金融商品の公正価値(2017年12月31日現在)
簿価
(財政状態
公正価値 計算書) 差異
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 284,945 274,315 10,631
顧客に対する貸出金等 128,567 126,479 2,088
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る評価
n/a 9,648 –9,648
差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ資産 9,074 9,074 0
その他のデリバティブ資産 5,145 5,145 0
33,682 33,615 67
有価証券および投資
資産 461,414 458,276 3,138
銀行に対する債務
6,110 5,990 120
顧客に対する債務 10,055 9,886 169
債務証書 409,187 406,290 2,897
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る評価
n/a 119 –119
差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ負債 14,488 14,488 0
2,902 2,902 0
その他のデリバティブ負債
負債 442,741 439,674 3,067
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(69 ) 金融商品を公正 価値 で測定するために使用された技法の開示
以下の表は、使用された評価技法に応じて、公正価値で測定されたかまたはその公正価値が注記に記載されてい
る金融商品を示している。
公正価値で測定された金融商品は、以下の評価技法に配分されている。
公正価値で測定されたかまたはその公正価値が注記に記載されている金融資産(2018年12月31日現在)
観察可能な 一部が市場にて
市場データに 観察不能な
基づく評価技法 データに基づく
取引市場価格 合計
(モデル) 評価技法
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定された金融資産
銀行に対する貸出金等-FVM 0 0 17 18
顧客に対する貸出金等-FVM 0 9,437 186 9,624
ヘッジ会計に指定されたデリバ
0 9,512 0 9,512
ティブ資産
その他のデリバティブ資産-FVM 0 4,700 575 5,274
21 2,079 778 2,877
有価証券および投資-FVM
公正価値で測定された金融資産
21 25,727 1,556 27,305
の小計
償却原価で計上された金融資産
の公正価値
銀行に対する貸出金等-ACO 0 17,890 269,172 287,063
顧客に対する貸出金等-ACO 0 771 118,705 119,476
26,128 6,654 76 32,859
有価証券および投資-ACO
償却原価で計上された金融資産
26,128 25,316 387,953 439,398
の公正価値の小計
合計 26,149 51,043 389,510 466,702
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公正価値で測定されたかまたはその公正価値が注記に記載されている金融負債(2018年12月31日現在)
観察可能な 一部が市場にて
市場データに 観察不能な
基づく評価技法 データに基づく
取引市場価格 合計
(モデル) 評価技法
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定された金融負債
銀行に対する債務-FVD 0 240 0 240
顧客に対する債務-FVD 0 1,659 0 1,659
債務証書-FVD 7,649 3,263 55 10,967
ヘッジ会計に指定されたデリバ
0 9,891 0 9,891
ティブ負債
0 2,432 97 2,529
その他のデリバティブ負債-FVM
公正価値で測定された金融負債
7,649 17,485 152 25,287
の小計
償却原価で計上された 金融負債
の公正価値
銀行に対する債務-ACO 0 8,094 0 8,094
顧客に対する債務-ACO 0 10,807 20 10,826
357,038 51,732 0 408,771
債務証書-ACO
償却原価で計上された金融負債
357,038 70,633 20 427,691
の公正価値の小計
合計 364,688 88,118 172 452,978
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公正価値で測定されたかまたはその公正価値が注記に記載されている金融資産(2017年12月31日現在)
観察可能な 一部が市場にて
市場データに 観察不能な
基づく評価技法 データに基づく
取引市場価格 合計
(モデル) 評価技法
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定された金融資産
銀行に対する貸出金等-損益を通じ
0 5 0 5
て公正価値で計上
顧客に対する貸出金等-トレーディ
0 0 0 0
ング目的での保有に分類
ヘッジ会計に指定されたデリバ
0 9,074 0 9,074
ティブ資産
その他のデリバティブ資産 0 4,472 673 5,145
有価証券および投資-売却可能 21,869 689 351 22,909
有価証券および投資-損益を通じて
92 1,447 338 1,876
公正価値で計上
公正価値で測定された金融資産
21,960 15,688 1,362 39,010
の小計
償却原価で計上された金融資産
の公正価値
銀行に対する貸出金等-貸出金およ
0 17,629 267,311 284,940
び債権
顧客に対する貸出金等-貸出金およ
0 5,156 123,410 128,567
び債権
有価証券および投資-貸出金および
651 5,636 7 6,293
債権
2,069 535 0 2,603
有価証券および投資-満期保有投資
償却原価で計上された金融資産
2,719 28,956 390,728 422,404
の公正価値の小計
合計 24,680 44,644 392,091 461,414
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公正価値で測定されたかまたはその公正価値が注記に記載されている金融負債(2017年12月31日現在)
観察可能な 一部が市場にて
市場データに 観察不能な
基づく評価技法 データに基づく
取引市場価格 合計
(モデル) 評価技法
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定された金融負債
銀行に対する債務-損益を通じて公
0 255 0 255
正価値で計上
顧客に対する債務-損益を通じて公
0 1,820 15 1,835
正価値で計上
債務証書-損益を通じて公正価値で
8,139 3,392 160 11,691
計上
ヘッジ会計に指定されたデリバ
0 14,488 0 14,488
ティブ負債
0 2,816 86 2,902
その他のデリバティブ負債
公正価値で測定された金融負債
8,139 22,770 261 31,170
の小計
償却原価で計上された 金融負債
の公正価値
銀行に対する債務-その他の負債 0 5,855 0 5,855
顧客に対する債務-その他の負債 0 8,203 18 8,220
346,519 50,978 0 397,496
債務証書-その他の負債
償却原価で計上された金融負債
346,519 65,035 18 411,572
の公正価値の小計
合計 354,658 87,805 278 442,741
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有価証券報告書
2018 会計年度における 「取引市場価格」レベルと「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデ
ル)」レベルの間の振替による、公正価値で測定された金融資産に使用された評価技法に伴う増減
「観察可能な市場データに
「取引市場価格」から「観察
基づく評価技法 (モデル)」
可能な市場データに基づく
評価技法(モデル)」への振替 から「取引市場価格」への振替
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資-FVM 9 0
有価証券および投資内における振替は、報告日現在における市場活動の変化の結果である。
2018 会計年度における 「取引市場価格」レベルと「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデ
ル)」レベルの間の振替による、公正価値で測定された金融負債に使用された評価技法に伴う増減
「取引市場価格」から「観察 「観察可能な市場データに
可能な市場データに基づく 基づく評価技法 (モデル)」
評価技法 (モデル)」への振替 から「取引市場価格」への振替
(単位:百万ユーロ)
債務証書-FVD 0 0
2017 会計年度における 「取引市場価格」レベルと「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデ
ル)」レベルの間の振替による、公正価値で測定された金融資産に使用された評価技法に伴う増減
「取引市場価格」から「観察 「観察可能な市場データに
可能な市場データに基づく 基づく評価技法 (モデル)」
評価技法 (モデル)」への振替 から「取引市場価格」への振替
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資-売却可能 0 222
有価証券および投資-損益を通じて
20 0
公正価値で計上
2017 会計年度における 「取引市場価格」レベルと「観察可能な市場データに基づく評価技法(モデ
ル)」レベルの間の振替による、公正価値で測定された金融負債に使用された評価技法に伴う増減
「取引市場価格」から「観察 「観察可能な市場データに
可能な市場データに基づく 基づく評価技法 (モデル)」
評価技法 (モデル)」への振替 から「取引市場価格」への振替
(単位:百万ユーロ)
債務証書-損益を通じて公正価値で
0 346
計上
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有価証券報告書
一部が観察不能なデータに基づく評価技法が用いられている、
2018会計年度における公正価値で測定された金融資産の増減
ヘッジ会計に
指定された
デリバティブ
資産および
有価証券
その他の
銀行に対する
顧客に対する および
デリバティブ
貸出金等-FVM 合計
貸出金等-FVM 資産
投資 -FVM
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 29 252 631 688 1,600
A. 損益計算書において認識された増減
正味受取利息および受取手数料 0 –▶ –3 0 –6
年度末現在有効な契約 0 0 –1 0 0
ヘッジ会計からの純損益 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定されるその他の
0 3 –70 18 –49
金融商品から生じる純損益
0 –26 –25 20 –31
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された増減合計
0 –1 –73 18 –56
B. 株主持分において直接認識された増減
使用された評価技法に伴う増減 0 0 0 66 66
「取引市場価格」および「観察可能な市場
データに基づく評価技法(モデル)」から 0 0 0 0 0
の振替
「取引市場価格」および「観察可能な市場
データに基づく評価技法(モデル)」への 0 0 0 66 66
振替
追加 0 52 0 32 84
–12 –118 0 –36 –166
売却
株主持分において直接認識された増減合計
–12 –67 0 63 –16
連結グループにおける増減 0 0 0 0 0
為替の変動 1 2 –3 6 5
0 0 19 3 22
その他の増減
2018 年12月31日現在 17 186 575 778 1,556
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一部が観察不能なデータに基づく評価技法が用いられている、
2017会計年度における公正価値で測定された金融資産の増減
銀行に 顧客に
銀行に 顧客に
ヘッジ
対する 対する 有価証券
対する 対する
貸出金等- 貸出金等- 会計に
および
貸出金等- 貸出金等-
損益を 損益を
指定
トレーディ トレーディ 投資 -損益
通じて 通じて
ング目的で ング目的で された その他の を通じて
有価証券
公正価値 で の保有に 公正価値 で の保有に デリバテ デリバテ
および投資 公正価値 で
計上 分類 計上 分類 ィブ資産 ィブ資産 -売却可能 計上 合計
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 0 0 0 0 0 864 825 432 2,123
A. 損益計算書において
認識された増減
正味受取利息および受取
0 0 0 0 0 -2 0 0 -2
手数料
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 -1 0 0 -1
ヘッジ会計からの純損益 0 0 0 0 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定
されるその他の金融商品から 0 0 0 0 0 -129 0 2 -127
生じる純損益
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 -126 0 3 -123
有価証券および投資からの純
0 0 0 0 0 0 -6 0 -6
損益
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0 -13 0 -13
再評価準備金の増減 0 0 0 0 0 0 165 0 165
0 0 0 0 0 0 165 0 165
年度末現在有効な契約
損益計算書において
0 0 0 0 0 -131 158 2 29
認識された増減 合計
B. 株主持分において直接
認識された増減
使用された評価技法に
0 0 0 0 0 0 -596 -71 -667
伴う増減
「取引市場価格」
および 「観察可能な市場
0 0 0 0 0 1 0 0 1
データに基づく評価技法
(モデル)」からの振替
「取引市場価格」および
「観察可能な市場データに
0 0 0 0 0 0 -596 -71 -668
基づく評価技法(モデ
ル)」への振替
追加 0 0 0 0 0 1 151 ▶ 156
0 0 0 0 0 -51 -101 -1 -153
売却
株主持分において直接
0 0 0 0 0 -50 -546 -68 -665
認識された増減 合計
連結グループにおける増減 0 0 0 0 0 0 -28 -29 -56
為替の変動 0 0 0 0 0 -8 -59 0 -67
0 0 0 0 0 -1 0 0 -1
その他の増減
2017 年12月31日現在 0 0 0 0 0 673 350 338 1,362
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一部が観察不能なデータに基づく評価技法が用いられている、
2018会計年度における公正価値で測定された金融負債の増減
ヘッジ会計に
指定された
デリバティブ
負債および
その他の
銀行に対する
顧客に対する
デリバティブ
債務-FVD 債務証書-FVD 合計
債務-FVD 負債
(単位:百万ユーロ)
2018 年1月1日現在 0 0 160 86 246
A. 損益計算書において認識された増減
正味受取利息および受取手数料 0 0 0 1 1
年度末現在有効な契約 0 0 0 1 1
ヘッジ会計からの純損益 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定されるその他の
0 0 –21 –15 –35
金融商品から生じる純損益
0 0 –5 –12 –17
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された増減合計
0 0 –21 –13 –34
B. 株主持分において直接認識された増減
再評価準備金における増減 0 0 –▶ 0 –▶
年度末現在有効な契約 0 0 –2 0 –2
使用された評価技法に伴う増減 0 0 –88 –1 –89
「取引市場価格」および「観察可能な市場
データに基づく評価技法(モデル)」から 0 0 ▶ 2 6
の振替
「取引市場価格」および「観察可能な市場
データに基づく評価技法(モデル)」への 0 0 –92 –3 –95
振替
追加 0 0 0 –1 –1
0 0 0 5 5
売却
株主持分において直接認識された増減合計
0 0 –92 3 –89
連結グループにおける増減 0 0 0 0 0
為替の変動 0 0 8 2 11
0 0 0 19 19
その他の増減
2018 年12月31日現在 0 0 55 97 152
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有価証券報告書
一部が観察不能なデータに基づく評価技法が用いられている、
2017会計年度における公正価値で測定された金融負債の増減
銀行に対する
顧客に対する
ヘッジ会計に
債務-損益を 債務証書 -損益
債務-損益を
その他の
指定された
通じて 公正価値 を通じて デリバティブ
通じて 公正価値 デリバティブ
負債 合計
負債
で計上 公正価値 で計上
で計上
(単位:百万ユーロ)
2017 年1月1日現在 0 32 114 3 90 240
A. 損益計算書において
認識された増減
正味受取利息および受取手数
0 0 0 0 0 0
料
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0
ヘッジ会計からの純損益 0 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定
されるその他の金融商品から 0 0 ▶ 0 5 9
生じる純損益
0 0 ▶ 0 5 9
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識
0 0 ▶ 0 5 9
された 増減合計
B. 株主持分において直接
認識された増減
使用された評価技法に伴う
0 0 49 0 0 49
増減
「取引市場価格」および
「観察可能な市場データに
0 0 70 0 1 71
基づく評価技法(モデ
ル)」からの振替
「取引市場価格」および
「観察可能な市場データに
0 0 -22 0 -1 -23
基づく評価技法(モデ
ル)」への振替
追加 0 0 0 0 0 0
0 -17 0 -2 -12 -31
売却
株主持分において直接認識
0 -17 49 -2 -12 17
された 増減合計
連結グループにおける増減 0 0 0 0 0 0
為替の変動 0 0 -7 -1 ▶ -4
0 0 0 0 -1 -1
その他の増減
2017 年12月31日現在 0 15 160 0 86 261
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有価証券報告書
以下の表は、観察不能な関連データを別の算定値(すなわち、最善のシナリオおよび最悪のシナリオに従った場
合の価値)とする場合、これがこのレベルに含まれる重要な金融商品の公正価値にどのような影響を与えるのかを
示したものである。
2018 年12月31日現在における観察不能なデータに関する情報
観察不能な関連データを
主要な商品 使用された評価技法 変動幅
別の算定値とする場合
-500 ベーシス・
ポイントから
信用スプレッド
+3,000 ベ ー シ
ス・ポイント
注1)
-45 ベーシス・ポ
顧客に対する貸出金等
DCF 法
イントから+25
内部スプレッド
ベーシスポイン
ト
リスク費用 +/-10%
0.5% から1.5%
資本コスト
(絶対的変動)
エクイティ・ファイナンス事業 5%
注2)
長期的な結果
DCF 法
からの有価証券および投資 (相対的変動)
リスク費用 +/-10%
正または負の公正価値を有する
デリバティブで、輸出金融およ
びプロジェクト・ファイナンス DCF 法 期待無リスク顧客マージン 7% から13%
に係る顧客のヘッジ手段を構成
するもの
オプション・プライシング・ +/-500 ベ ー シ
債務証書 相関関係
モデル ス・ポイント
注1)
信用スプレッドおよび内部スプレッドが評価目的で使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
注2)
資本コストおよび長期的な結果が評価に使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
2017 年12月31日現在における観察不能なデータに関する情報
観察不能な関連データを
主要な商品 使用された評価技法 変動幅
別の算定値とする場合
正または負の公正価値を有する
デリバティブで、輸出金融およ
びプロジェクト・ファイナンス DCF 法 期待無リスク顧客マージン 8% から14%
に係る顧客のヘッジ手段を構成
するもの
0.5% から1.5%
損益を通じて公正価値で会計処
資本コスト
(絶対的変動)
理されるエクイティ・ファイナ
DCF 法
ンス事業からの有価証券および
5%
長期的な結果
投資
(相対的変動)
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一部が観察不能なデータに基づく評価技法を用いて公正価値で測定された金融資産の、
2018年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
顧客に対する貸出金等-損益を通じて公正価値で
201 186 169
計上
その他のデリバティブ-正の公正価値を有する 580 575 569
876 778 709
有価証券および投資-損益を通じて公正価値で計上
合計 1,656 1,539 1,447
一部が観察不能なデータに基づく評価技法を用いて公正価値で測定された金融負債の、
2018年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
債務証書-損益を通じて公正価値で計上 55 55 55
96 97 98
その他のデリバティブ-負の公正価値を有する
合計 151 152 153
一部が観察不能なデータに基づく評価技法を用いて公正価値で測定された金融資産の、
2017年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
顧客に対する貸出金等-損益を通じて公正価値で計
0 0 0
上
その他のデリバティブ-正の公正価値を有する 682 673 664
399 338 290
有価証券および投資-損益を通じて公正価値で計上
合計 1,082 1,011 954
一部が観察不能なデータに基づく評価技法を用いて公正価値で測定された金融負債の、
2017年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
債務証書-損益を通じて公正価値で計上 158 160 162
85 86 87
その他のデリバティブ-負の公正価値を有する
合計 242 246 248
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(70) ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計の 開示
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ対象に関する リスクの種類別の 開示-2018年
ヘッジの無効性
を決定するヘッ
公正価値ヘッジ ジ対象における
会計に係る 償却される公正 ヘッジ公正価値
差額累計 価値ヘッジ会計 ヘッジ対象が計 の増減
(ヘッジ対象の に係る差額 上される (損益計算書へ
ヘッジ対象 ヘッジ対象リス (ヘッジ関係の 財政状態計算書 の影響-ヘッジ対
の簿価 クの公正価値) 中止) の項目 象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
有価証券
債券 23,880 224 0 99
および 投資
金利-通貨リスク
有価証券
債券 215 1 0 1
および 投資
負債および資本
金利リスク
銀行に対する
債務および
手形貸付 6,296 367 ▶ 50
顧客に対する
債務
債務証書 113,554 1,435 1,193 債務証書 –386
金利-通貨リスク
銀行に対する
債務および
手形貸付 0 0 0 0
顧客に対する
債務
債務証書 144,221 1,903 –2 債務証書 444
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ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクの種類別の 開示-2018年
ヘッジの無効性
を決定する公正
ヘッジ手段が計 価値の変動
上される (損益計算書へ
ヘッジ手段 ヘッジ手段 財政状態計算書 の影響-ヘッジ手 ヘッジ手段の
の額面価額 の簿価 の項目 段) 平均利率
(単位:
(単位:百万ユーロ) %
百万ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
92,950 2,712 –96 1.4
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
ヘッジ会計に指
通貨関連取引:
定された
84,707 6,643 –1 2.9
通貨金利スワップ
デリバティブ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
36,058 1,434 364 1.9
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
ヘッジ会計に指
通貨関連取引:
定された
163,884 4,862 –437 2.6
通貨金利スワップ
デリバティブ
ヘッジ手段の額面価額の2018年12月31日現在における残存期間に応じたヘッジ関係別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限
1ヶ月以内 5年超
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
3,200 2,915 3,392 43,246 40,197
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
36 3,953 18,833 47,347 14,538
通貨金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
302 659 3,863 17,991 13,242
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
1,317 4,072 35,524 104,880 18,091
通貨金利スワップ
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(71) マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 の開示
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計におけるヘッジ対象 に関する リスクの種類別の 開示-2018年
ヘッジの無効
ヘッジ対象が計上される
償却される 性を決定する
財政状態計算書の項目
マクロヘッジ ヘッジ対象に
による公正価 マクロヘッジ おけるヘッジ
マクロヘッジ 値ヘッジ会計 による公正価 公正価値の
マクロヘッジ
による公正価 に係る 値ヘッジ会計
による公正価 増減
値ヘッジ会計 に係る評価差
評価差額 値ヘッジ会計 (損益計算書
に係る 額計上前の
ヘッジ対象 (ヘッジ関係 に係る への影響-ヘッ
の簿価 評価差額 の中止) 簿価 評価差額 ジ対象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
金利リスク
銀行に対する マクロヘッジ
貸出金等 による公正価
および顧客に 値ヘッジ会計
資産 171,009 9,071 1,359 212
対する に係る
貸出金等 評価差額
マクロヘッジ
銀行に対する
による公正価
債務および
値ヘッジ会計
負債および資本 0 98 98 28
顧客に対する
に係る
債務
評価差額
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクの種類別の 開示-2018年
ヘッジの無効性を決
定するヘッジ手段に
おける公正価値の
ヘッジ手段が計上さ
れる 増減
財政状態計算書の
ヘッジ手段 ヘッジ手段 (損益計算書への影
の額面価額 の簿価 項目 響-ヘッジ手段)
(単位:百万
(単位:百万ユーロ)
ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
19,973 157 指定された –244
金利スワップ
デリバティブ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
165,288 3,595 指定された 446
金利スワップ
デリバティブ
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ヘッジ手段の額面価額の2018年12月31日現在における残存期間別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限
1ヶ月以内 5年超
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
0 9 1,275 6,437 12,253
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
957 800 9,085 79,415 75,031
金利スワップ
(72 ) デリバティブ に関する追加開示
デリバティブの種類別内訳
公正価値 公正価値
額面価額 2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
2018年 2017年
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 454,253 423,508 6,593 5,913 8,149 7,263
通貨関連デリバティブ 196,941 201,670 7,993 6,494 5,978 10,108
クレジット・
10 9 0 0 0 0
デリバティブ
合計 651,203 625,187 14,586 12,407 14,127 17,371
クロスカレンシー・スワップは、通貨関連デリバティブに表示されている。
デリバティブの取引相手別内訳
公正価値 公正価値
額面価額 2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
2018年 2017年
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
OECD銀行 638,428 612,782 13,987 12,165 13,474 17,050
非OECD銀行 441 741 0 14 0 48
その他の取引相手 9,966 8,798 586 74 597 64
2,369 2,865 13 154 55 210
公共機関
合計 651,203 625,187 14,586 12,407 14,127 17,371
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内訳には金融デリバティブおよびクレジット・デリバティブが含まれ、これらはヘッジ会計に指定されたデリバ
ティブ項目およびその他のデリバティブ項目に表示されている。分離可能な組込デリバティブは含まれていない。
元本総額が5,850億ユーロ(2017年12月31日現在は5,678億ユーロ)の金融デリバティブを用いた経済的ヘッジの
効果は財務書類に反映されており、残りの金融デリバティブのリスク軽減効果は財務書類に反映されていない。
2017年同様、KfWグループは、デリバティブ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売または再担保
に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
ただし、合計2,851百万ユーロ(2017年12月31日現在は6,227百万ユーロ)の流動性のある担保を提供しており、
これは銀行および顧客に対する貸出金等に認識されている。
2017年同様、KfWグループは、デリバティブ取引において、プロテクションの売り手による支払期限が過ぎてい
なくても随時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
ただし、合計4,978百万ユーロ(2017年12月31日現在は3,358百万ユーロ)の流動性のある担保を受け取ってお
り、これは銀行および顧客に対する債務に計上されている。
取引価格と、観察不能なデータを相当程度用いる評価技法を用いて算定した公正価値の当初の差額のうち、該当
金融商品の期間にわたる今後の償却予定額は、報告期間において以下の通り推移した。
初日利得または損失
2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 –91 –93
追加 –14 –12
戻入 13 9
–1 5
為替の変動
12 月31日現在 –93 –91
ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブの純損益は、償却の影響額である9百万ユーロ(2017年は10百万ユー
ロ)を含んでいる。
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(73) 銀行に対する債務に関する追加開示
損益を通じて公正価値で測定することが指定された
銀行に対する債務の開示
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
簿価 240 237
満期における返済額 245 245
差異 5 8
満期における返済額と簿価との差額のうち、0百万ユーロ(2017年12月31日現在も0百万ユーロ)は、利子期間に
わたり支払うべき利息が資産化される結果、返済金額が増加する借入金によるものである。
(74 ) 顧客に対する債務に関する追加開示
損益を通じて公正価値で測定することが指定された
顧客に対する 債務の開示
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
簿価 1,659 1,835
2,765 3,159
満期における返済額
差異 1,105 1,325
満期における返済額と簿価との差額のうち、1,105百万ユーロ(2017年12月31日現在は1,312百万ユーロ)は、利
子期間にわたり支払うべき利息が資産化される結果、返済金額が増加する借入金によるものである。
(75 ) 債務証書に 関する 追加開示
損益を通じて公正価値で測定することが指定された
債務 証書の開示
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
簿価 10,967 11,691
満期における返済額 12,905 13,887
差異 1,938 2,197
満期における返済額と簿価との差異のうち、3,115百万ユーロ(2017年12月31日現在は3,727百万ユーロ)は、利
子期間にわたり支払うべき利息が資産化される結果、返済金額が増加する借入金によるものである。
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有価証券報告書
(76) 買戻し条件付契約の開示
レポ取引の開示
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資において継続して認識される
126 11
レポ取引に基づく売却有価証券の簿価
銀行に対する債務(カウンターバリュー) 121 11
有価証券および投資において継続して認識されるレポ取引に基づく売却有価証券の公正価値は、合計125百万
ユーロ(2017年12月31日現在は11百万ユーロ)である。これに対応する払戻義務の公正価値は、121百万ユーロ
(2017年12月31日現在は11百万ユーロ)である。
さらに、2017年12月31日現在と変わらず、KfWグループは、レポ取引において、支払期限が過ぎていなくても随
時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
2017年同様、KfWグループは、レポ取引において、プロテクションの売り手による支払期限が過ぎていなくても
随時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
2017年同様、KfWグループは、いかなる流動性のある担保の差入れおよび受取りもしていない。
リバース・レポ取引の開示
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等(カウンターバリュー) 3,027 972
0 0
顧客に対する貸出金等(カウンターバリュー)
合計 3,027 972
認識されていないリバース・レポ取引により取得した有価証券の公正価値は、3,145百万ユーロ(2017年12月31
日現在は986百万ユーロ)である。
さらに、2017年同様、KfWグループは、リバース・レポ取引において、プロテクションの売り手による支払期限
が過ぎていなくても随時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
2017年同様、KfWグループは、リバース・レポ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売または再担
保に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
2017年同様、KfWグループは、いかなる流動性のある担保の差入れおよび受取りもしていない。
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(77) 金融商品の相殺の開示
KfWは、ユーレックス中央清算システムをデリバティブ取引の一部の決済に使用している。デリバティブ取引の
決済方法において、ユーレックスが中央清算機関(CCP)として関与することは、IFRSに規定される相殺要件のす
べてを満たすため、影響を受けた取引については、財政状態計算書上で純額が認識されることとなった。これは、
ユーレックスが中央清算機関を務めるデリバティブの正および負の公正価値は、対応する担保と相殺され、財政状
態計算書において純額項目に計上されることを意味する。
関連するIFRSの要件が充足される場合、ユーレックスが中央清算機関を務める債券レポ取引(リバース・レポ取
引およびレポ取引)については、債権および負債が相殺される。さらに、OTCデリバティブおよび債券レポ取引の
ためのネッティング契約を盛り込んだ枠組み契約が、KfWとその事業パートナーとの間で締結されている。
ネッティングの1つの形態として、クローズアウト・ネッティングがある。クローズアウト・ネッティングにお
いては、枠組み契約が契約パートナーにより解除された場合または契約パートナーが倒産した場合、当該枠組み契
約に基づく個別取引に関するすべての権利および義務は、解除された個別取引の正味再調達原価をその金額とする
単一の補償債権(または債務)に置き換えられることにより消滅する。これは、現時点において法的強制力のある
相殺権に相当しない。
クローズアウト・ネッティングを、通常の営業過程における支払の相殺と混同してはならない。当該枠組み契約
には、後者、すなわち、同一の期日に同一の通貨で行われるべき支払を相殺し、各個別の決済の代わりに差額の決
済を行うことができること(ペイメント・ネッティング)が定められている。これは、現時点において法的強制力
のある相殺権に相当する。
二国間OTCデリバティブ(中央清算されるものを除く。)に関するKfWの枠組み契約にはすべて、事業パートナー
との間のクローズアウト・ネッティング契約が含まれている。ペイメント・ネッティングは、当該契約において関
連する個別取引に限定されており、そのため、複数の取引に関するペイメント・ネッティングは行われていない。
したがって、かかる種類のKfWのOTCデリバティブについて、金融資産と金融負債の相殺要件は充足されていない。
レポ取引に関するKfWの枠組み契約には、クローズアウト・ネッティング契約が含まれており、また、事業パー
トナーとのペイメント・ネッティング契約が含まれている場合もある。しかし、KfWは、通常、レポ取引について
も複数の取引に関するペイメント・ネッティングを行わないため、KfWのレポ取引について、金融資産と金融負債
の相殺要件は充足されていない。
OTCデリバティブおよびレポ取引のために締結された担保契約に従い、クローズアウト・ネッティングにおける
単一の補償債権(または債務)の決定において、利用可能な担保の価値が使用される。現金および有価証券の両方
とも、KfWとその事業パートナーとの間の既存の担保契約の下で許可された担保の形態である。担保契約には、有
価証券が担保である場合には所有権が移転することが規定されている。その結果として、譲渡された有価証券は、
売却または担保差入れの制限を受けない。
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ネッティング契約の対象となっている金融資産の開示(2018年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融資産の 相殺不能な
金融負債の
計上 された
簿価 金融負債の
簿価 の数値 金融資産 受入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 16,795 2,778 14,017 8,997 4,830 190
3,027 0 3,027 121 2,893 12
リバース・レポ取引
合計 19,822 2,778 17,044 9,119 7,723 202
ネッティング契約の対象となっている金融負債の開示(2018年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融負債の 相殺不能な
金融資産の
計上 された
簿価 金融資産の
簿価 の数値 金融負債 差入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 18,820 6,641 12,179 8,997 2,835 347
121 0 121 121 0 0
レポ取引
合計 18,942 6,641 12,300 9,119 2,835 347
ヘッジ会計に指定されたデリバティブおよびその他のデリバティブの項目には、純額に加えて、区分処理された
組込デリバティブのうちネッティング契約の対象となっていないものも含まれる。
リバース・レポ取引に係る債権は銀行および顧客に対する貸出金等に計上されている。
ネッティング契約の対象となっている金融資産の開示(2017年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融資産の 相殺不能な
金融負債の
計上 された
簿価 金融負債の
簿価 の数値 金融資産 受入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 16,134 2,632 13,502 10,114 3,174 214
972 0 972 11 961 0
リバース・レポ取引
合計 17,106 2,632 14,474 10,125 4,135 214
ネッティング契約の対象となっている金融負債の開示(2017年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融負債の 相殺不能な
金融資産の
計上 された
簿価 金融資産の
簿価 の数値 金融負債 差入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 22,961 5,866 17,095 10,114 6,211 770
レポ取引 11 0 11 11 0 0
合計 22,972 5,866 17,106 10,125 6,211 770
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その他の注記
(78 ) 貸借対照表外の取引
科目別内訳
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
取消不能貸出コミットメント 84,116 80,082
金融保証契約 1,145 1,282
金融保証からの偶発債務 1,166 949
1,711 1,420
その他の偶発債務
合計 88,139 83,733
貸借対照表外の取引はすべて、関連する引当金控除後の額面価額で本注記に開示されている。
取消不能貸出コミットメントは、契約上合意した条件に従って、貸出を行うKfWグループによる確定した約定で
ある。これらは、主に国内助成事業、またシンジケート取引設定のための貸出に関するコミットメントに係るもの
である。
その他の偶発債務には、全額払込済となっていない、連結対象外の株式投資に帰属する支払債務が含まれる。
KfWは、2008年のIKBに対する持分の売却の一環として、特定の法的なリスクに伴う損失を一定額までIKBに補填
することで合意した。報告期間末現在、これに関連してIKBに対する係争中の訴訟はない。
IAS第37号92項に従い、偶発債務についてのさらなる開示は必要とされていない。
(79 ) 信託事業および管理融資
信託事業の科目別内訳(第三者勘定・KfW名義の取引)
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 912 931
顧客に対する貸出金等 11,297 11,502
4,623 3,737
有価証券および投資
信託に保有する資産 16,832 16,170
銀行に対する債務
0 0
16,832 16,170
顧客に対する債務
信託に保有する負債 16,832 16,170
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信託に保有する資産のうち、12,439百万ユーロ(2017年12月31日現在は11,597百万ユーロ)は、発展途上国およ
び新興経済国支援に関する事業部門に帰属するものである。
管理融資額(第三者勘定・第三者名義の貸出)
2018年12月31日 2017年12月31日
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
管理融資 17,975 15,524
(80 ) 借り手 としてのリース取引
リース契約の開示(2018年12月31日現在)
1年超
1年以内 5年超 合計
5年以内
(単位:百万ユーロ)
オペレーティング・リース
将来の最低リース支払額 16 58 6 80
リース契約の開示(2017年12月31日現在)
1年超
1年以内 5年超 合計
5年以内
(単位:百万ユーロ)
オペレーティング・リース
将来の最低リース支払額 13 52 41 106
リースは、資産の所有に関するリスクと便益により、オペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに
分類される。この分類により会計処理が決定される。
当グループが借り手となっている契約(不動産リースを含む。)は、オペレーティング・リースに分類され、こ
れに対応する支払賃料は一般管理費に含まれる。
KfWグループが貸し手の立場で締結している数少ないリース契約は、オペレーティング・リースに分類されてい
る。これに対応する賃料収入は、その他の営業収益に認識されている。
(81) 当会計年度 平均 職員数
2018年 2017年
女性職員
3,081 2,961
3,294 3,152
男性職員
合計 6,376 6,113
団体賃金契約に非加盟の職員
4,474 4,281
団体賃金契約に加盟の職員 1,902 1,832
平均職員数は、執行理事および研修中の職員を含まないが臨時職員を含み、各四半期末時点の水準に基づいて算
出されている。
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(82) 報酬に関する報告
報酬に関する報告においては、執行理事会および監事会を対象とする報酬制度の基本構造について記載されてお
り、各構成員の報酬も開示されている。
執行理事会および監事会への報酬合計の概要
2018年 2017年
(単位:千ユーロ)
執行理事 3,132.1 4,034.1
旧執行理事およびその生存扶養家族 4,767.7 4,236.2
185.0 191.8
監事
合計 8,084.8 8,462.1(1)
(1) 加えて、2017会計年度につき274,000ユーロに設定されたシュローダー博士に対する契約上合意された変動報酬は、2018会計年度において契約
に従い支払われた。
執行理事会への報酬
KfWの執行理事会を対象とする報酬制度は、執行理事に対しその責務や責任について適切な報酬を支給すること
を目的としている。執行理事会との契約は、1992年度版の連邦政府系金融機関の執行理事の雇用に関する方針
( Grundsätze für die Anstellung der Vorstandsmitglieder bei den Kreditinstituten des Bundes )をもとに
起草されている。これらの契約が起草される際は、連邦パブリック・コーポレート・ガバナンス法( Public
Corporate Governance Kodex des Bundes )(以下「PCGK」という。)が考慮されている。各契約は、これを踏ま
え、適切に個別に作成されている。
報酬内容
執行理事は、定額の報酬を毎月均等払いで受給する。
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以下の表は、報酬合計における、各執行理事の報酬部分およびその他の形態の報酬ならびに年金引当金への繰入
額部分の内訳を示したものである。
2018 年および2017年の執行理事会の年次報酬および年金引当金への繰入額(1)(4)
年金引当金への
固定報酬 その他の報酬 合計 繰入額(2)
(単位:千ユーロ)
ギュンター・ブロイニヒ博士 2018 760.4 30.7 791.1 280.6
(最高経営責任者) 2017 607.0 29.8 636.8 134.4
イングリッド・ヘングスター 2018 544.1 36.7 580.8 371.7
博士 2017 528.5 34.8 563.3 363.2
ベルント・レーヴェン 2018 597.6 39.4 637.0 123.2
2017 590.0 38.6 628.6 292.9
ヨアヒム・ナーゲル教授/博士 2018 526.7 35.1 561.8 376.5
2017 86.7(3) 7.2(3) 93.9(3) 456.1
ステファン・パイス博士 2018 534.6 26.8 561.4 72.9
2017 527.8 25.8 553.6 416.2
合計 2018 2,963.4 168.7 3,132.1 1,224.9
2017 2,340.0 136.2 2,476.2 1,662.8
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) 2018 年における年金債務の割引率は、長期の資本市場金利が増加したため、1.88%(2017年12月31日)から2.07%(2018年12月31日)に増加した。
(3) 2017 年11月1日より。
(4) 表中には、現在の執行理事のみを含む。シュローダー博士およびクロッペンバーグ博士は、2017年に執行理事を退任したため、含まれていない。
シュローダー博士は、2017年12月31日付でKfWの執行理事を退任し、2018会計年度の報酬を受け取っていない。
2017会計年度につき274,000ユーロと設定された契約上合意された変動報酬は、2018会計年度において契約に従い
支払われた。
責任
執行・指名委員会では、ドイツ銀行法第25d条の適用により当該委員会の構造が変化したため、執行理事会の報
酬制度について、契約内容を含めて協議し、当該報酬制度を承認し、かつ定期的に見直している。執行・指名委員
会は、当該事項について報酬委員会の提言を受け、一方の報酬委員会はリスク・信用委員会による報酬制度の奨励
効果に関する一定の分析結果を検討している。これと同様に、監事会は、報酬委員会と当該事項について相談した
後、執行理事会の報酬制度の基本構造を決定している。
執行・指名委員会では、報告年度中、2018年4月11日および2018年6月20日に報酬について議論を行った。
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現物給付
その他の報酬は、主に、契約上の現物給付から成る。執行理事は、運転手サービス付社用車を商用および私用で
使用する権利を有する。執行理事は、運転手付社用車を私用目的で使用した場合、適用される税法に従ってKfWに
払い戻しを行う。執行理事は、業務上必要な別宅の維持費を税法に基づき払い戻される。
執行理事は、団体傷害保険の被保険者である。健康保険および介護保険の給付金が支給されている。執行理事
は、会社役員賠償責任保険(執行理事としてその職能の範囲内で従事した活動に伴う金銭的な損失を補償する保
険)、および追加の法定費用保険に加入している。その権限内で活動をする限りにおいて、KfWの執行理事は、刑
事訴訟を補償する従業員向け特別法的費用補償団体保険による保護の対象にもなっている。
執行理事に対し、グループ会社における執行機関の役割を担うことによる報酬は支払われていない。
その他の経営幹部と同様に、執行理事も、繰延報酬制度(給与からの非課税拠出を原資とする補完的企業年金制
度)への参加を選択できる。また、執行理事は、KfWの一般的な企業方針に従い、特別賞与を受領する権利を有す
る。
さらに、現物給付には、執行理事の住宅におけるセキュリティシステムの費用が含まれる。これらの手当は、そ
の他の報酬としてではなく、人件費以外の費用として認識されている。
契約上の現物給付は、非課税扱いを受けることができない場合または当該取扱いが約定されている場合には、執
行理事に対する金銭等価物による給付として課税対象となる。
2018年において、執行理事に対する貸出はなかった。
いかなる執行理事も、過年度においてKfWの執行理事としての地位を勘案して、第三者から手当を提供されてお
らず、またその約束もされていない。
年金給付および早期退職の場合のその他の給付
KfWの定款第1条第(3)項に従って、執行理事の任命は、通常、法定退職年齢を超えて延長されない。満65歳また
は法定退職年齢に達し、かつ執行理事契約が終了すると、執行理事は年金の支払請求を行う権利を有し、また雇用
関係が恒久的な身体障害により終了した場合、年金給付を受ける権利を有する。それぞれ2006年および2007年に初
めて任命され、その後再任した2名の執行理事は、満63歳で自らの希望により早期退職できる権利も有している。
ノルベルト・クロッペンバーグ博士は、2017年11月1日から、契約上の、新法令の規定を除外する形での一次給付
を受給する。
執行理事およびその生存扶養家族の年金契約は、1992年度版の金融機関の執行理事の雇用に関する連邦政府の方
針に基づくものである。執行理事契約を起草する際は、PCGKが考慮された。
PCGKの勧告に従い、執行理事の契約には退職金の支払の上限額が設けられている。つまり、ドイツ民法
( Bürgerliches Gesetzbuch - BGB)第626条の規定に従って、もっともな理由なく執行理事の役割を早期終了する
場合の当該執行理事への支払は、2年分の給与に相当する額または契約の残余期間における報酬(現物給付を含
む。)のいずれか少ない方の額を超えないものとする。
給付金の全額は、どの契約の約定においても、報告年度の最終報酬の49%である。退職給付金は、最初の任命で
受給できる全額の70%になり、任務が終了する1年毎に契約に応じて0.98%ポイントから3.0%ポイントずつ増加す
る(最初の34.3%から最高は最終報酬の49%まで。)。
執行理事契約には、追加の個人規定、とりわけ年金給付の受給権についての規定が含まれている。新しい契約に
は年金支給が未だ定まっておらず、当該執行理事が未だ再任されていない遡及的年金拠出に関する条項も含まれて
いる。
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2018年および2017年における旧執行理事およびその生存扶養家族への年金支給額は以下の通りであった。
旧執行理事およびその生存扶養家族への年金支給額
2018年人数 2018年支給額 2017年人数 2017年支給額
(単位: (単位:
千ユーロ) 千ユーロ)
旧執行理事 19 20
3,875.7 3,510.4
10 892.0 8 725.8
生存扶養家族
合計 29 4,767.7 28 4,236.2
2018会計年度末において、旧執行理事およびその生存扶養家族への年金債務引当金69,601千ユーロ(前会計年度
末は65,932千ユーロ)が設定された。
2018会計年度において旧執行理事またはその生存扶養家族に対する貸出はなかった。
監事への報酬
監事への報酬額は、KfWの定款第7条第(10)項に従い、監督官庁が決定する。2010年5月に実施した前回の改定に
て、KfW法第7条第(1)項第1号および第2号に従い、KfWの監事を務める連邦政府構成員に対して支給される報酬額
は、0ユーロに設定された。
当報告年度において、KfW法第7条第(1)項第3号から第7号に基づくその他の監事の報酬額は、年間5,100ユーロで
あり、監事会の委員の報酬額は、標準額である1人当たり年間600ユーロであった。各委員長は、特別報酬を受給し
ていない。
当年度中に就任する監事は、比例配分により報酬を受領する。
また、請求次第、日当(会議日1日当たり200ユーロ)を受給できるほか、旅費および適用のある付加価値税(以
下「VAT」という。)の払い戻しも受けられる。
以下の表は、2018会計年度に監事へ支払われた報酬の詳細を示している。すべての金額は、千ユーロ単位の純額
である。旅費は、領収書の提出により払い戻され、この表には含まれない。
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2018 会計年度に監事へ支払われた報酬
監事会 委員会
番 2018年における
号 氏名 在任期間 日当 合計
構成員(1) 構成員(1)
(単位:千ユーロ)
1 ブリギッテ・ツィプリース 1月1日-3月14日
0.0 0.0 0.0 0.0
2 ペーター・アルトマイヤー(BMF) 1月1日-3月14日 0.0 0.0 0.0 0.0
ペーター・アルトマイヤー(ドイツ連邦
3 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
経済エネルギー省)
▶ オラフ・ショルツ 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
5 ゼーレン・バルトール 4月26日-12月31日 3.8 1.1 0.6 5.5
6 ホルガー・ビングマン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
7 フォルカー・ブフィエ(2) 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.0 6.3
8 ウーヴェ・ブランドル博士 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.2 5.3
9 フランク・ブジルスケ 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
10 ロベルト・フェイガー 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.4(3) 6.1(3)
11 クラウス=ペーター・フロスバッハ 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.0 6.7
12 ジグマール・ガブリエル 1月1日-3月14日 0.0 0.0 0.0 0.0
13 クリスチャン・ゴールケ(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
14 ルイス・ハーゲン博士 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.0 7.3
15 マティアス・ハース博士(2) 3月2日-12月31日 4.3 0.0 0.0 4.3
16 フベルトゥス・ハイル 1月1日-3月14日 1.3 0.5 0.0 1.8
17 モニカ・ハイノルド(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.0 5.7
18 バルバラ・ヘンドリクス博士 1月1日-3月14日 0.0 0.0 0.0 0.0
19 ラインホルド・ヒルバース(2) 2月2日-12月31日 4.7 1.1 0.4 6.2
20 ライナー・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.1 0.0 6.2
21 ゲルハルト・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.8 7.1
22 ブルーノ・ホリナーゲル博士 3月1日-12月31日 4.3 0.0 0.4 4.7
23 アンドレアス・イーベル 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
24 バルトロメウス・カルプ 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.0 6.7
25 ユリア・クロックナー 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
26 シュテファン・コルゼル 1月1日-12月31日 5.1 1.1 0.6 6.8
27 ヨアヒム・ラング博士 1月1日-12月31日 5.1 1.1 0.0 6.2
28 ルッツ・リネンカンペール(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.9 0.0 6.0
29 ハイコ・マース 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
30 ゲルト・ミュラー博士 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
31 ハンス=ヴァルター・ペータース博士 1月1日-12月31日 5.1 2.3 0.0 7.4
32 エックハルト・レーベルク 1月1日-12月31日 5.1 1.6 0.0 6.7
33 ヨハネス=ヨルグ・リーグラー博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
34 ヨアヒム・ルークヴィート 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.0 5.7
35 アンドレアス・ショイアー 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
36 ヘルムット・シュリーヴァイス 1月1日-12月31日 5.1 2.3 0.0 7.4
37 クリスティアン・シュミッド(BMEL) 1月1日-3月14日 0.0 0.0 0.0 0.0
38 クリスティアン・シュミッド(BMVI) 1月1日-3月14日 0.0 0.0 0.0 0.0
39 カルステン・シュナイダー 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.2 7.5
40 スヴェンニャ・シュルツ 3月14日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
41 ホルガー・シュワネッケ 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.0 6.9
42 エーディト・シーツマン(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
43 フローリアン・トンカー博士 3月1日-12月31日 4.3 0.7 0.4 5.4
マルティン・ヴァンスレーベン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.0 5.7
44
合計 150.2 25.2 9.6 185
(1) 2018 年12月31日の報告日現在、まだ金額が支払われていない。
(2) 州法に基づく金額。
(3) 当該金額は、2017年の支払を含む。
(4) 2018 会計年度の評価日までの金額。その後の請求は次の報告に含まれる。
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
2017 会計年度に監事へ支払われた報酬
監事会 委員会
番 2017年における
号 氏名 在任期間 日当 合計
構成員(1) 構成員(1)
(単位:千ユーロ)
1 ヴォルフガング・ショイブレ博士 1月1日-10月24日
0.0 0.0 0.0 0.0
2 ペーター・アルトマイヤー 10月24日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
3 ジグマール・ガブリエル 1月1日-1月27日 0.0 0.0 0.0 0.0
▶ ブリギッテ・ツィプリース 1月27日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
5 ケルスティン・アンドレーエ 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
6 ホルガー・ビングマン博士 12月13日-12月31日 0.4 0.0 0.0 0.4
7 アントン・F・ベルナー 1月1日-9月26日 3.8 0.5 0.0 4.3
8 フォルカー・ブフィエ(2) 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.0 6.3
9 ウーヴェ・ブランドル博士 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
10 ハンス=ディーター・ブレナー 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.4 7.1
11 フランク・ブジルスケ 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
12 アレクサンダー・ドブリント 1月1日-10月24日 0.0 0.0 0.0 0.0
13 ゲオルク・ファーレンショーン 1月1日-12月31日 5.1 2.5 0.4 8.0
14 ロベルト・フェイガー 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.4 6.1
15 クラウス=ペーター・フロスバッハ 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.2 6.9
ジグマール・ガブリエル
16 1月27日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
17 クリスチャン・ゴールケ(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
18 ルイス・ハーゲン博士 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.4 7.7
19 フベルトゥス・ハイル 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.0 6.9
20 モニカ・ハイノルド(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.0 5.7
21 バルバラ・ヘンドリクス博士 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
22 ライナー・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.0 6.3
23 ゲルハルト・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.6 6.9
24 アンドレアス・イーベル 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.6 5.7
25 バルトロメウス・カルプ 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.4 7.1
26 マルクス・ケルバー博士 1月1日-3月31日 1.3 0.3 0.0 1.6
27 シュテファン・コルゼル 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.2 6.5
28 ヨアヒム・ラング博士 4月1日-12月31日 3.8 0.9 0.0 4.7
29 ルッツ・リネンカンペール 9月22日-12月31日 1.7 0.0 0.0 1.7
30 ゲジーネ・レッチュ博士 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.6 6.9
31 ゲルト・ミュラー博士 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
32 エックハルト・レーベルク 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.0 6.3
33 ヨアヒム・ルークヴィート 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
34 クリスティアン・シュミッド 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
35 クリスティアン・シュミッド(BMVI) 10月24日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
36 アンドレアス・シュミッツ 1月1日-12月31日 5.1 2.5 1.8 9.4
37 カルステン・シュナイダー 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.0 7.3
38 ペーター=ユルゲン・シュナイダー(2) 1月1日-11月20日 4.7 1.1 0.4 6.2
39 ホルガー・シュワネッケ 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.0 6.9
40 エーディト・シーツマン(2) 1月1日-12月31日 5.1 0.1 0.0 5.2
フランク=ヴァルター・シュタインマイ
41 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
アー博士
42 ゲオルグ・アンランド教授/博士(2) 1月1日-12月28日 5.1 0.6 1.0 6.7
ノルベルト・ヴァルター-ボーヤンス
43 1月1日-7月8日 3.0 0.4 0.0 3.4
博士(2)
マルティン・ヴァンスレーベン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.0 5.7
44
合計 151.3 26.9 13.6 191.8
(1) 2017 年12月31日の報告日現在、まだ金額が支払われていない。
(2) 州法に基づく金額。
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監事に対する年金債務はない。
監事は、当報告年度において個人的な役務提供に対する対価は受け取っていない。
当報告年度において、監事に対する承認された直接貸出はなかった。
監事は、会社役員賠償責任保険(監事としてその職能の範囲内で従事した活動に伴う金銭的な損失を補償する保
険)、および追加の法定費用補償保険の被保険者でもある。控除免責額は現在合意されていない。その職能の範囲
内で行為しているKfWの監事は、監事会に対して提起された刑事訴訟を補償する従業員向け特別法的費用補償団体
保険および団体傷害保険による保護の対象にもなっている。
(83 ) 関連当事者情報の開示
IAS第24号に従い、KfWグループの関連事業体には、連結子会社、非連結子会社、ジョイント・ベンチャー、関連
会社および連邦政府の保有持分が含まれる。
IAS第24号に従い、関連当事者とみなされる自然人には、執行理事および監事、KfWの取締役、連結財務書類に含
まれているすべての子会社の運営理事、特定の連結子会社の監事ならびにその近親者が含まれる。
KfWは、連邦共和国(連邦政府)が80%を、連邦諸州が20%を所有する公法機関である。2018会計年度における
連邦政府および連邦諸州との取引は、KfW法に規定された規則および規制により取り扱われる。この取引には、連
邦共和国が国益を有し、連邦政府がKfWに委任した取引(KfW法第2条第(4)項に準拠する委任取引)も含まれる。
2018報告年度中、KfWは、連邦政府からの委任に基づき、KfW法第2条第(4)号に従い、ベルギーのエリア・システ
ム・オペレーター・エスエーから、ユーログリッドの株式の20%を取得した。ユーログリッドはドイツの送電シス
テム会社である50ヘルツの全株式を間接的に保有している。当該取引の機会およびリスクは、連邦政府の責務であ
る。KfWは実行された行為に対していかなる企業家的または戦略的な責任も負っていない。連邦政府は、参加権を
行使する。
委任取引に加えて、連邦政府は、KfWとの間で、主に個別の助成プログラムを管理する代理契約も有する。
KfWと、関連当事者とみなされる自然人との事業上の関係については、主にKfWの定款およびPCGKの原則を適用し
て判断される。条件および価格は、市況を反映しているか、または一般向け貸出プログラムのためのKfWの一般的
条件に従って締結される。
(84 ) 監査報酬
2018年 2017年
(単位:千ユーロ)
監査業務 5,209 4,418
その他の証明業務 854 285
税務アドバイザリー・サービス 0 0
0 3
その他のサービス
合計 6,064 4,706
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(85) 非連結の組成された企業情報の開示
KfWグループの非連結の組成された企業は、IFRS第12号に規定される範囲において、以下の事業部門に関与して
いる。
金融市場の事業部門における組成された企業
KfWは、中小企業による資金調達を促進するため、気候および環境保護プロジェクトの助成ならびに流動性の管
理の一環として、ABSおよびABCPの取引に出資している。金融市場の事業部門では、既存ポートフォリオも運用さ
れており、追加の取得は行われていない。当該ポートフォリオは、現在、2001年以降に発行された有価証券で構成
されている。KfWの投資額は、取引額の平均10%未満となる。助成目的の投資の場合、KfWの出資比率は高くなる
が、通常は、取引額の50%以下の金額となる。
2018年12月31日現在の保有の簿価は合計53億ユーロ(2017年12月31日現在は47億ユーロ)であった。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの事業部門における組成された企業
テイラード・リーシング/ファイナンシングの概念は、主に「航空および鉄道」ならびに「海運業」の輸出部門
における不動産賃貸事業の企業で形成される概念である。基本的には、取引毎に個別の企業が設立され、KfWグ
ループは融資者として参加する。これらの事業パートナーのうち、なかには出資者である銀行が信託会社のマネー
ジャーを務める場合もあるが、ほとんどの場合、これらの事業パートナーは個別の合法的な企業として設立され
る。KfWグループは、通常はその他の金融機関と合同でこれらの企業に貸付を行っている。KfWは、また、コモディ
ティ・ファイナンス事業の市場参加者である複数の組成された企業と信用を提供する関係を築いており、KfWグ
ループはこれらの顧客に対して輸出前貸融資ストラクチャーによる支援を行っている。
2018年12月31日現在の保有の簿価は合計37億ユーロ(2017年12月31日現在は35億ユーロ)であった。
発展途上国および新興経済国支援事業部門における組成された企業
金融機関およびアドバイザリー機関として、DEGは、開発マンデートの範囲内において、その事業活動指針に
沿って支援を行っている。DEGのマンデートは、a)発展途上国、b)中央および東ヨーロッパ諸国と新独立国家
(New Independent States(NIS)ならびにc)その他諸国における民間部門の発展をその株主であるKfWの承認を
得た上で連邦政府との合意に基づき推進することである。特定の個別の件では、組成された企業への株式投資およ
び貸付という形態の出資を通して実施される。適用されるリスク指針に従い、損失時のリスクはその投資額または
コミットメント額に限定される。
2018年12月31日現在の保有の簿価は合計2億ユーロ(2017年12月31日現在も2億ユーロ)であった。
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以下の表は、非連結の組成された企業に関連する資産の簿価およびそのエクスポージャーの結果生じる可能性の
ある最大損失予想額を示したものである。
2018 年12月31日現在の最大損害リスク
偶発債務および
顧客に対する 有価証券および 取消不能貸出
貸出金等 投資 その他の資産
コミットメント
(単位:百万ユーロ)
簿価 3,245 5,420 6 580
23 1 0 1
リスクおよびその他の引当金
損失時の最大リスク 3,222 5,420 6 579
2017 年12月31日現在の最大損害リスク
偶発債務および
顧客に対する 有価証券および 取消不能貸出
貸出金等 投資 その他の資産
コミットメント
(単位:百万ユーロ)
簿価 3,133 4,766 15 479
19 0 0 1
リスクおよびその他の引当金
損失時の最大リスク 3,114 4,766 15 478
損失時の最大リスクは、信用供与枠、(金融)保証およびその他の流動性ファシリティから財政状態計算書に認
識される信用リスクに係る引当金を控除した額に相当する。KfWグループの出資に係る損失時の最大リスクは、簿
価(純額)である。損失時の最大リスクには、損失時の最大リスクを軽減するためにKfWグループが行うヘッジ手
段の影響は含まれない。
KfWグループの組成された企業に対する支援は、各金融支援の枠を超えるものではない。
例外として、KfWグループは、持分を保有する組成された企業に対して、連邦政府との完全な信頼関係に基づ
き、連邦政府を代理して出資者を務めることがある。これらの組成された企業に対するリスクは、連邦政府が完全
に負うものである。このような場合において、KfWグループが連邦政府の代わりに事業体の立上げまたは組成によ
り、KfWグループが当該組成された企業の出資者としてみなされることとなる。
(86 ) 持分の開示
連結財務書類に含まれる子会社
IFRSに基づく持分 IFRSに基づく持分
2018年12月31日 2017年12月31日
商号/登録地 持分比率
現在 現在
% (単位:百万ユーロ)
KfW IPEX銀行(フランクフルト・アム・マイン)
100.0 3,395 4,297
DEG(ドイツ投資開発会社)(ケルン) 100.0 2,906 2,831
KfW持株有限責任会社(ボン) 100.0 3,188 2,937
インターコネクター有限責任会社( Interkonnektor
100.0 74 47
GmbH )(フランクフルト・アム・マイン)
KfWキャピタル有限合資会社(KfW Capital GmbH & Co.
100.0 24 n/a
KG)(フランクフルト・アム・マイン)
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KfWキャピタルは、2018会計年度に初めて連結財務書類に含まれた。
連結財務書類に含まれる持分法により会計処理された関連会社
持分 持分
2018年9月30日 2017年9月30日
商号/登録地 持分比率 現在 現在
% (単位:百万ユーロ)
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリ
ティ・エスエー(Microfinance Enhancement Facility
18.5 501 441
S.A.)(ルクセンブルク)
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイー
スト・ヨーロッパ・エスエー(Green for Growth
14.5 371 336
Fund, Southeast Europe S.A.)(ルクセンブルク)
ドイツ中小企業向けAF エクイティファンド有限合資会
社 ( AF Eigenkapitalfonds für deutschen
47.5 113 171
Mittelstand GmbH & Co. KG )(ミュンヘン)
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金( coparion
20.0 45 14
GmbH & Co. KG )(ケルン)
持分 持分
2018年12月31日 2017年12月31日
商号/登録地 持分比率 現在 現在
% (単位:百万ユーロ)
DC北海海底ケーブル有限合資会社( DC Nordseekabel
50.0 602 366
GmbH und Co. KG )(バイロイト)
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリティ・エスエー(MEF)は、2009年より持分法により会計
処理されている。KfWのマイクロファイナンス機関向けのリファイナンス・ファシリティへの投資であるMEFは、発
展途上国および新興経済国支援事業部門の一部である。事業部門の詳細や財務情報の概要は、同社のウェブサイト
(http://www.mef-fund.com/)にて入手可能である。
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイースト・ヨーロッパ・エスエー(GGF)は、2010年より持分
法により連結財務書類に含まれている。GGFは、中小企業および一般世帯によるバルカン半島西部地域およびトル
コにおける省エネおよび再生可能エネルギー事業への投資を促進するためのファンドである(KfWのGGFに対する投
資は、発展途上国および新興経済国を支援する事業部門でもある。)。事業部門の詳細や財務情報の概要は、同社
のウェブサイト(http://www.ggf.lu)にて入手可能である。
KfW(個別対応金融および公的顧客の事業部門)は、2010年7月にコメルツ銀行と共同でドイツ中小企業向けAF
エクイティファンド有限合資会社(ドイツ中小企業株式ファンド)を設立し、各々約100百万ユーロの資金を提供
している。同ファンドは、持分法により会計処理されている。同ファンドは、500百万ユーロを最高年間収益とす
る小規模および中規模の(同族)会社に重点的に投資している。同ファンドは、少数株主持分を取得し、特に成長
資金の提供を目的として当該会社に現実資本を提供している。
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DC北海海底ケーブル有限合資会社(DC北海海底ケーブル)はインターコネクター有限責任会社(輸出金融および
プロジェクト・ファイナンスの事業部門内の北海海底ケーブル・プロジェクト、ノードリンク)のジョイント・ベ
ンチャーとして2015会計年度、初めて持分法により会計処理された。ノードリンク・プロジェクトは、欧州のエネ
ルギー部門および企業における主要なプロジェクトの1つであり、約15億ユーロから20億ユーロの投資額がある。
主に再生可能エネルギーとして機能するため、海底ケーブルは、ドイツにおけるエネルギー変化の成功において重
要な役割を果たす。ノルウェー国有の送電網運営会社であるスタットネット(Statnett)、KfWおよび送電システ
ム会社であるテンネット(TenneT)は、2015年2月にドイツとノルウェー間に海底ケーブルを敷設する協力協定を
結んだ。テンネットは、北海のドイツ領海の責任を負う。ノードリンク・プロジェクトは、スタットネットおよび
DC北海海底ケーブルがそれぞれ50%の株式を保有するシンジケートによって実現されている。KfW(子会社である
インターコネクター有限責任会社を通じて保有する。)とテンネットはそれぞれDC北海海底ケーブルの株式を50%
保有しており、DC北海海底ケーブルは建設およびドイツの認可承認の責任を負う。
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金(KfWキャピタル事業部門)は、関連会社として2016会計年度、初め
て持分法により会計処理された。かかるKfWおよびドイツ連邦経済エネルギー省による共同投資基金は、ベン
チャー・キャピタルを提供することにより、民間リード投資家とともに、新しいテクノロジー企業に関与してい
る。
連結財務書類に含まれない会社
KfWグループの純資産、財政状態および経営成績の表示において重要性の低い、子会社4社、ジョイント・ベン
チャー5社、関連会社9社および特別目的会社8社(組成された企業を含む。)は連結対象外であるが、代わりに、
これらは財政状態計算書上の有価証券および投資または貸出金等に表示されている。これらの会社は、KfWグルー
プの総資産の約0.1%に相当する。
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2018 年12月31日現在のKfWグループの持分の一覧
為替レート
1.00ユーロ
= CU (2)
(2018年
持分 当期純利益
12月31日
持分
CC (1)
番号 名称 所在地 比率 (2)(3)
現在 )
(2)(3)
% (単位:TCU)
KfW の持分
A. 連結財務書類に含まれる完全連結子会社
DEG-Deutsche Investitions-
und Entwicklungsgesellschaft
1 ケルン 100.0 EUR 1.0000 2,521,629 59,891
mbH
(ドイツ投資開発会社)(6)
フランクフルト・
Interkonnektor GmbH(6)
2 100.0 EUR 1.0000 56,884 -12,981
アム・マイン
KfW Beteiligungsholding GmbH
3 ボン 100.0 EUR 1.0000 2,268,164 201,330
(KfW持株有限責任会社)(6)
KfW Capital GmbH & Co. KG
フランクフルト・
▶ 100.0 EUR 1.0000 24,225 0
(KfWキャピタル有限合資会
アム・マイン
社)(6)
B. 連結財務書類に含まれない子会社
Finanzierungs-und
5 Beratungsgesellschaft mbH ベルリン 100.0 EUR 1.0000 5,001 -93
(融資協議有限責任会社)(6)
tbg Technologie-
6 Beteiligungsgesellschaft mbH ボン 100.0 EUR 1.0000 60,040 2,102
(技術資本参加合資会社)(6)
C. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
Deutsche Energie-Agentur
7 ベルリン 26.0 EUR 1.0000 5,140 880
GmbH(dena)(5)
D. 持分を有するその他の会社(持分比率が少なくとも20%の会社のみ)
AF Eigenkapitalfonds für
deutschen Mittelstand GmbH &
Co. KG
8 ミュンヘン 47.5 EUR 1.0000 130,807 6,802
(ドイツ中小企業向けAF エク
イティファンド有限合資会社)
(5)
Berliner Energieagentur GmbH
9 ベルリン 25.0 EUR 1.0000 6,208 601
(5)
eCapital Technologies Fonds
10 ミュンスター 24.8 EUR 1.0000 17,500 -576
II GmbH & Co. KG(5)
Coparion GmbH & Co. KG
11 ケルン 20.0 EUR 1.0000 19,284 2,575
(公的ベンチャー・キャピタル
共同投資基金)(5)
KfW IPEX 銀行が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれない子会社
Bussard Air Leasing Ltd.i.L.
ダブリン、アイル
1 100.0 USD 1.1450 -2,152 0
ランド
(5)
Sperber Rail Holdings Inc.
ウィルミントン、
2 100.0 USD 1.1450 145 -4,642
米国
(5)
B. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
ダブリン、アイル
Canas Leasing Ltd.i.L.(5)
3 50.0 USD 1.1450 0 0
ランド
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為替レート
1.00ユーロ
= CU (2)
(2018年
持分 当期純利益
12月31日
持分
CC (1)
番号 名称 所在地 比率 (2)(3)
現在 )
(2)(3)
% (単位:TCU)
KfW 持株有限責任会社が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれる完全連結子会社
KfW IPEX-Bank GmbH
フランクフルト・
1 100.0 EUR 1.0000 3,396,155 65,544
(KfW IPEX銀行) アム・マイン
DEG- ドイツ投資開発会社が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
PCC-DEG Renewables GmbH
1 デュースブルク 40.0 EUR 1.0000 15,615 -2,913
B. 持分を有するその他の会社(持分比率が少なくとも20%の会社のみ)
エベネ サイバーシ
Aavishkaar Frontier Fund
2 20.8 USD 1.1450 13,881 -406
ティ、モーリシャ
ス
Ace Power Embilipitiya Pvt
コロンボ、スリラ
3 26.0 LKR 209.4390 3,867,134 1,278,407
ンカ
Ltd.
ACON Latin America
▶ トロント、カナダ 39.9 USD 1.1450 59,381 16,079
Opportunities Fund IV-A, L.P.
Acon Latin America
5 トロント、カナダ 40.0 USD 1.1450 51,363 -220
Opportunities Fund-A, L.P.
ACON Retail MXD, L.P.
6 トロント、カナダ 100.0 USD 1.1450 9,079 -4,987
モントリオール、
Adobe Mezzanine Fund II, L.P.
7 23.7 USD 1.1450 884 -261
カナダ
Adobe Social Mezzanine Fund
モントリオール、
8 24.8 USD 1.1450 11,095 1,329
I, L.P. カナダ
マナマ、バーレー
ADP Enterprises W.L.L.
9 23.3 EUR 1.0000 191,171 -19,807
ン
マンスバッハ、ル
ADP II Holding 11 S.A.R.L.
10 33.3 USD 1.1450 (4) (4)
クセンブルク
Advent Latin American Private
ウィルミントン、
11 100.0 USD 1.1450 1,521 777
Equity Fund III-B, L.P. 米国
エベネ サイバーシ
AEP China Hydro Ltd.
12 30.2 USD 1.1450 55,636 -4,759
ティ、モーリシャ
ス
ポートルイス、
AfricInvest III – SPV 1
13 21.8 EUR 1.0000 (4) (4)
モーリシャス
Agrofundo Brasil VI Fundo de
サンパウロ、ブラ
14 Investimento em Participações 29.9 BRL 4.4445 242,305 -97,180
ジル
Multiestratégia
エベネ サイバーシ
Apis Growth 2 Ltd.
15 25.6 USD 1.1450 37,513 970
ティ、モーリシャ
ス
Banque Nationale de
16 バマコ、マリ 21.4 XOF 655.9570 45,983,746 8,942,773
Développement Agricole S.A.
Banyan Tree Growth Capital,
モーリシャス、
17 27.0 USD 1.1450 72,837 -1,598
モーリシャス
LLC
ダッカ、バングラ
Benetex Industries Ltd.
18 28.3 BDT 95.7419 (5) (5)
デシュ
エベネ サイバーシ
Berkeley Energy Wind
19 25.8 EUR 1.0000 85,425 -14,783
ティ、モーリシャ
Mauritius Ltd.
ス
Bozano Investimentos Growth
ジョージタウン、
20 25.0 USD 1.1450 15,717 -1,536
Capital Fund I-B, L.P. ケイマン諸島
CGFT Capital Pooling GmbH &
21 ベルリン 40.0 EUR 1.0000 9,151 -3,270
Co. KG
226/298
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
為替レート
1.00ユーロ
= CU (2)
(2018年
持分 当期純利益
12月31日
持分
CC (1)
番号 名称 所在地 比率 (2)(3)
現在 )
(2)(3)
% (単位:TCU)
CoreCo Central America Fund
ウィルミントン、
22 USD 1.1450
22.0 26,305 874
I, L.P. 米国
Darby Latin American Private
23 トロント、カナダ 37.6 USD 1.1450 2,962 -410
Debt Fund IIIA, L.P.
Deep Catch Namibia Holdings
ウィントフック、
24 38.6 NAD 16.4494 124,629 13,329
(Pty) Ltd. ナミビア
エベネ サイバー
ECP Africa Fund IV LLC
25 51.9 USD 1.1450 140,663 20,397
シティ、モーリ
シャス
エベネ サイバー
Emerald Sri Lanka Fund I
26 23.5 USD 1.1450 9,399 -922
シティ、モーリ
Ltd.
シャス
Emerging Europe Leasing and
アムステルダム、
27 25.0 EUR 1.0000 (5) (5)
Finance (EELF) B.V. オランダ
EMF NEIF I (A), L.P.
28 フェアラム、英国 28.1 USD 1.1450 42,449 473
EMX Capital Partners, L.P.
29 トロント、カナダ 20.1 USD 1.1450 60,461 1,935
ジョージタウン、
Equis DFI Feeder, L.P.
30 37.0 USD 1.1450 23,902 9,628
ケイマン諸島
Forebright New Opportunities
ジョージタウン、
31 28.1 USD 1.1450 (4) (4)
Fund II, L.P. ケイマン諸島
ジョージタウン、
Frontier Bangladesh II, L.P.
32 20.0 USD 1.1450 6,761 -1,808
ケイマン諸島
Grassland Finance Ltd.
33 香港、香港 25.0 HKD 8.9675 418,456 -6,923
Kandeo Fund II (A), L.P.
34 トロント、カナダ 53.1 USD 1.1450 25,358 -553
Kendall Court Mezzanine
ジョージタウン、
35 (Asia) Bristol Merit Fund, 24.4 USD 1.1450 12,537 -244
ケイマン諸島
L.P.
アムステルダム、
Kibele B.V.
36 22.3 USD 1.1450 (5) (5)
オランダ
ブハラ、ウズベキ
Knauf Gips Buchara OOO
37 25.0 UZS 9,586.6700 148,030,888 8,297,498
スタン
Knauf Gypsum Philippines
マカティ、フィリ
38 25.0 PHP 60.1130 1,386,887 -75,038
ピン
Inc.
Leiden PE II, L.P.
39 トロント、カナダ 27.0 USD 1.1450 27,643 -2,426
Lereko Metier REIPPP Fund
サンドハースト、
40 32.3 ZAR 16.4594 526,716 105,743
Trust 南アフリカ
Lereko Metier Solafrica Fund
ヨハネスブルグ、
41 47.5 ZAR 16.4594 186,285 -4,736
I Trust 南アフリカ
ポドゴリツァ、モ
Lovcen Banka AD
42 28.1 EUR 1.0000 12,589 436
ンテネグロ
MC II Pasta Ltd.
43 コルミ、マルタ 36.1 EUR 1.0000 (5) (5)
Medisia Investment Holdings
シンガポール、シ
44 32.7 USD 1.1450 83,147 23,364
Pte Ltd. ンガポール
Metier Retailability en
サンドハースト、
45 23.8 ZAR 16.4594 557,146 -6,910
Commandite Partnership 南アフリカ
Navegar II (Netherlands)
アムステルダム、
46 29.2 USD 1.1450 (5) (5)
オランダ
B.V.
カガン、ウズベキ
47 OAO Bucharagips 24.9 EUR 1.0000 363 -2,462
スタン
Operadora de Servicios Mega,
サポパン、メキシ
48 23.5 MXN 22.5087 909,937 53,113
S.A. de C.V., SOFOM E.R. コ
Orilus Investment Holdings
シンガポール、シ
49 33.0 USD 1.1450 78,257 -235
Pte. Ltd. ンガポール
チェンナイ、イン
Phi Capital Trust
50 22.5 INR 79.7298 402,910 -86,076
ド
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為替レート
1.00ユーロ
= CU (2)
(2018年
持分 当期純利益
12月31日
持分
CC (1)
番号 名称 所在地 比率 (2)(3)
現在 )
(2)(3)
% (単位:TCU)
Russia Partners Technology
ジョージタウン、
51 USD 1.1450
21.6 113,095 -1,586(5)
Fund, L.P. ケイマン諸島
SEAF Central and Eastern
ウィルミントン、
52 23.9 USD 1.1450 945 -62
Europe Growth Fund LLC 米国
Sierra Madre Philippines I, ジョージタウン、
53 20.0 USD 1.1450 -69 -1,608
ケイマン諸島
L.P.
Stratus Capital Partners B,
エディンバラ、英
54 75.0 USD 1.1450 14,979 1,121
国
L.P.
Stratus SCP Fleet Fundo de
サンパウロ、ブラ
Investimento em Participações
55 39.7 BRL 4.4445 43,760 8,673
ジル
– Multiestratégia
Takura II Feeder Fund
ケープタウン、南
56 25.0 USD 1.1450 39,354 8,356
アフリカ
Partnership
サンパウロ、ブラ
Tolstoi Investimentos S.A.
57 31.1 BRL 4.4445 (5) (5)
ジル
インデルボルス
TOO Isi Gips Inder
58 キィ、カザフスタ 40.0 EUR 1.0000 1,662 284
ン
カプチャガイ、カ
TOO Knauf Gips Kaptschagaj
59 40.0 EUR 1.0000 20,228 5,357
ザフスタン
Triple P SEA Financial
シンガポール、シ
60 25.2 USD 1.1450 537 -1,183
Inclusion Fund LP ンガポール
Vietnam Opportunity Fund II
シンガポール、シ
61 32.0 USD 1.1450 (4) (4)
PTE. LTD. ンガポール
シンガポール、シ
Whitlam Holding PTE. Ltd.
62 38.7 USD 1.1450 53,064 24,125
ンガポール
チャールスタウ
ン、セントクリス
Worldwide Group, Inc
63 33.4 USD 1.1450 25,031 2,243
トファー・ネイビ
ス
Interkonnektor GmbH が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれるジョイント・ベンチャー
DC Nordseekabel GmbH & Co. KG
1 バイロイト 50.0 EUR 1.0000 601,635 52,063
B. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
DC Nordseekabel Beteiligungs
2 バイロイト 50.0 EUR 1.0000 -58 3
GmbH
DC Nordseekabel Management
3 バイロイト 50.0 EUR 1.0000 -111 1
GmbH
KfW キャピタル有限合資会社が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれない子会社
KfW Capital Verwaltungs GmbH
1 フランクフルト 100.0 EUR 1.0000 26 1
(1) ISO 通貨コード。
(2) CU= 各国の通貨単位、TCU=各国の通貨の千単位。
(3) 財務書類は、各国の会計基準に従って作成されている。
(4) この会社は創業まもない会社である。このため、まだ年次財務書類は作成されていない。
(5) 現在、入手可能な年次財務書類はない。
(6) 2018 年12月31日現在の速報値が入手可能である。当該データは、被投資会社の直近の年次財務書類(入手可能な場合)に基づいている。
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(1)
監 査 報 告 書
KfW 御中
連結財務書類およびグループ営業報告書監査に関する報告
意見
私共は、2018年12月31日現在の連結財政状態計算書、2018年1月1日から2018年12月31日までの年度の連結包括利
益計算書、連結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書、ならびに重要な会計方針の要約を含む財務
諸表注記から成る、KfW(フランクフルト・アム・マイン)およびその子会社(当グループ)の連結財務書類を監
査した。さらに、2018年1月1日から2018年12月31日までの年度のKfWのグループ営業報告書を監査した。
私共の監査結果に基づく意見は以下の通りである。
・ 添付の連結財務書類は、EUで採用されたIFRSおよびドイツ商法( Handelsgesetzbuch )第315e条に基づくド
イツ商法の追加要件に準拠し作成されており、またかかる要件に基づき、2018年12月31日現在の当グルー
プの純資産、負債および財政状態、ならびに2018年1月1日から2018年12月31日までの年度の財務成績を、
すべての重要な点において、真実かつ公正に表示していると考える。
・ 添付のグループ営業報告書は、その全体を通して、当グループの状態に関する適切な見解を提供している
と考える。グループ営業報告書は、連結財務書類と一貫してドイツの法定要件を遵守しており、すべての
重要な点において、将来の展開における機会およびリスクを適切に表示している。
私共の監査において、連結財務書類およびグループ営業報告書の法令遵守に関して、ドイツ商法第322条第(3)項
第1号に準じ、いかなる問題もないことを断言する。
意見の根拠
私共は、ドイツ商法第317条およびドイツ経済監査士協会(IDW - Institut der Wirtschaftsprüfer )(以下
「IDW」という。)により公布されたドイツで一般に採用されている財務諸表監査基準に従い、連結財務書類およ
びグループ営業報告書の監査を行った。これらの要件および規範に基づく私共の責任についての詳細は、本監査報
告書の「連結財務書類およびグループ営業報告書監査に関する監査法人の責任」の項に記載されている。私共は、
ドイツ商法および専門法の要件に従いグループ事業体から独立しており、これらの要件に従って自身のその他のド
イツ専門家義務を遵守している。私共は、自身の入手した監査証拠が、連結財務書類およびグループ営業報告書に
対する本意見の基盤を創るのに十分かつ適切であると考えている。
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有価証券報告書
その他の情報
KfWの定款第8条によると、監事会は、監事会の年次報告書を作成する責任がある。KfWの定款第19条によると、
執行理事会および監事会は、公共コーポレート・ガバナンス規約の認識およびコーポレート・ガバナンスに関する
報告書の一部としてコンプライアンスの公表を行うことを毎年義務付けられている。その他のあらゆる点におい
て、執行理事会は、その他の情報に対して責任がある。その他の情報は、私共が報告日以前に入手したコーポレー
ト・ガバナンスに関する報告書、コンプライアンスの公表、ならびに2018年度財務報告書の「親会社としてのKfW
およびKfWグループの非財務書類の要約」、「KfWグループの主要な数値」および「KfWの概要」の項に記載される
情報、さらに報告日以降に提供されることが見込まれる執行理事会の書簡、監事会の報告書、ならびに2018年度財
務報告書の「監事会の構成員およびその職務」、「KfWグループの取締役および運営理事」、「KfWの機能」、「事
実および数値」および「影響の波及」の項に記載される情報を含む。
連結財務書類およびグループ営業報告書に対する私共の意見は、かかるその他の情報を網羅しておらず、その結
果として、私共はそれらについていかなる意見その他の確証も表明していない。
私共の監査に関する私共の責任は、かかるその他の情報を精読し、その際に、以下について検討することであ
る。
・ かかるその他の情報が連結財務書類およびグループ営業報告書または監査により取得された私共の知識と
著しく矛盾していないかどうか
・ かかるその他の情報が重大な虚偽記載であると考えられないかどうか
連結財務書類およびグループ営業報告書に対する執行理事会および監事会の責任
執行理事会は、EUが採用したIFRSおよびドイツ商法第315e条第(1)項に基づくドイツ商法の追加要件に、すべて
の重要な点において従う連結財務書類の作成、ならびにこれらの要件に従った連結財務書類が、当グループの純資
産、負債、財政状態および財務成績を真実かつ公正に示すことに対して責任がある。さらに、不正または過失によ
る重大な虚偽記載のない連結財務書類を作成するために必要であると決断した、内部統制に対して責任がある。
執行理事会は、連結財務書類の作成において、当グループの継続企業の前提に関する評価に対して責任がある。
また、執行理事会は、適用ある場合、継続企業に関する事項を開示する責任がある。さらに、当グループを清算す
るか、もしくは業務を停止する意図がある限り、またはそれら以外の現実的な代替案が存在しない限り、執行理事
会は、継続企業の会計基準を使用した財務報告書作成に対して責任がある。
加えて、執行理事会は、その全体を通して当グループの状態に関する適切な見解を提供し、他のあらゆる点にお
いて、連結財務書類と一貫してドイツの法定要件を遵守しており、将来の展開における機会およびリスクを適切に
表示するグループ営業報告書の作成に対して責任がある。その上、執行理事会は、ドイツ商法の適用要件に準拠し
たグループ営業報告書の作成に必要であると決断した、準備および方策(システム)、ならびに当該報告書の主張
のための十分かつ適切な証拠提供を実現することに対して責任がある。
監事会は、連結財務書類およびグループ営業報告書作成のための、当グループの財務報告書作成行程に対する監
督責任がある。
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連結財務書類およびグループ営業報告書監査に関する監査法人の責任
私共の目的は、不正または過失によるものかを問わず、連結財務書類全体に重大な虚偽記載がないこと、ならび
にグループ営業報告書全体を通して当グループの状態に関する適切な見解を提供し、他のあらゆる点において、連
結財務書類および監査で得た情報と一貫してドイツの法定要件を遵守していること、また将来の展開における機会
およびリスクを適切に表示することについて合理的な確証を得て、連結財務書類およびグループ営業報告書に対す
る私共の意見を含む監査報告書を発行することである。
合理的な確証とは、高い水準の確証であるが、ドイツ商法第317条およびIDWにより公布されたドイツで一般に採
用されている財務諸表監査基準に従い実施されている監査が、重大な虚偽記載を常に検知することを保証するもの
ではない。虚偽記載は、不正または過失により生じることがあり、かかる連結財務書類およびグループ営業報告書
に基づくユーザーの経済的意思決定に個別にまたは全体的に影響を及ぼすと合理的に予測される場合、重大である
と考えられる。
私共は、監査全体にわたり専門的な判断を行い、職業的懐疑心を維持している。私共はまた、以下を行ってい
る。
・ 不正または過失によるものかを問わず、連結財務書類およびグループ営業報告書の重大な虚偽記載に関す
るリスクの特定および評価、かかるリスクに対応する監査手続の策定および実施、ならびに私共の意見の
根拠を提供するのに十分かつ適切な監査証拠を得ること。不正は、談合、偽造、意図的な不作為、虚偽表
示または内部統制の無効化を含むことがあるため、不正により生じた重大な虚偽記載を検知できないリス
クは、過失により生じるリスクよりも高い。
・ 状況に応じて適切な監査手続を策定するために、連結財務書類の監査に関連する内部統制、ならびにグ
ループ営業報告書の監査に関連する準備および方策(システム)の理解を得ること。ただし、これらのシ
ステムの内部統制の有効性に対し意見を表明することが目的ではない。
・ 執行理事会に採用された会計方針の適切性、ならびに執行理事会が行った見積および関連する開示の妥当
性を評価すること。
・ 執行理事会による継続企業の会計基準の使用の適切性について結論を下し、当グループの継続企業の前提
に重要な疑いを掛ける可能性のある事象または状況に関して重大な不確実性が存在するかどうかについ
て、得た監査証拠に基づき結論を下す。私共が重大な不確実性が存在すると結論を下した場合、私共は、
本監査報告書において関連する連結財務書類およびグループ営業報告書の開示について注意を促し、また
かかる開示が不十分である場合、私共の各意見を修正する義務を負う。私共の結論は、本監査報告書の日
付までに得られた監査証拠に基づいている。しかし、将来の事象または状況により、当グループが継続企
業であり続けることができなくなる可能性がある。
・ 開示書類を含む連結財務書類の全体の表示、構造および内容、ならびに連結財務書類が、EUで採用された
IFRSおよびドイツ商法第315e条第(1)項に基づくドイツ商法の追加要件に準拠し、当グループの純資産、負
債、財政状態および財務成績の公正な表示を達成する方法で、基本的な取引および事象を表示しているか
どうかについて評価すること。
・ 連結財務書類およびグループ営業報告書対して意見を述べるために、当グループ内の事業体および事業活
動の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を得ること。私共は、グループ監査において管理、監督お
よび成績に対して責任がある。私共の責任は、私共の意見に対してのみに留まる。
・ グループ営業報告書の連結財務書類およびドイツの法定要件との一貫性、ならびにかかる報告書が報告す
る当グループの財政状態について評価すること。
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有価証券報告書
・ グループ営業報告書に、執行理事会によって提供された予想される情報を元に監査手続を行うこと。私共
は、十分かつ適切な監査証拠に基づいて、特に、予想される情報の根拠として執行理事会に使用された重
要な仮定およびこれらの仮定からの予想される情報の正確な導出を評価する。私共は、根拠として使用さ
れた予想される情報および仮定に対し、独立した意見を述べない。予想される情報より未来事象が著しく
異なる、相当な回避不能リスクが存在する。
私共は、数ある事項の中で、監査の計画範囲および実施時期、ならびに私共が監査の中で特定した内部統制にお
ける重大な欠陥を含む監査上の重大な発見事項に関して、管理の役割を担う者に伝達している。
注1)
KfW (フランクフルト・アム・マイン)の執行理事会によりドイツ語で作成された連結財務書類における、ドイツ語で発行された独立監査人による
監査報告書の翻訳。ドイツ語の書類が決定力を有する。
エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン
2019年3月5日
Ernst & Young GmbH
Wirtschaftsprüfungsgesellschaft
ドイツ経済監査士( Wirtschaftsprüfer ) ドイツ経済監査士( Wirtschaftsprüfer )
ワーグナー ドムベック
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有価証券報告書
(6) 【その他】
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間の業績
EU により採用され、中間財務報告に適用される IFRS に準拠して中間財務書類を作成し、公表することを KfW に対
して 義務付ける法律はない。したがって、KfWは、完全な中間財務書類ではなく、要約した中間財務書類のみを作
成している。 以下の情報は、中間財務報告に適用されるIFRSの認識および測定の原則に基づいて、KfWにより作成
された、当該要約中間財務書類(未監査)に基づいている。かかる情報は、KfWグループの2019年12月31日に終了
する1年間の数値を必ずしも示唆するものではない。
2019 年3月31日現在のグループの総資産は、2018年12月31日現在の4,858億ユーロから4.7%(230億ユーロ)増加
して、5,088億ユーロとなった。2019年3月31日に終了した3ヶ月間のグループの評価および助成活動前営業損益
は、2018年同期の374百万ユーロに対し、392百万ユーロであった。2019年3月31日に終了した3ヶ月間のグループの
評価および助成活動前営業損益の主な要因は、正味受取利息であった。当グループの評価および助成活動前営業損
益は、(ⅰ)貸出事業に係るリスク引当金、(ⅱ)有価証券および投資から生じる純損益、(ⅲ)ヘッジ会計およ
び損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益、ならびに(ⅳ)助成活動に係る費用を
控除する前の営業損益である。かかる評価の影響は、主に以下で構成される。
・ 2019年3月31日に終了した3ヶ月間における、リスク引当金に係る14百万ユーロの費用( 2018 年同期は、リス
ク引当金に係る利益または費用はなかった)
・ 2019年3月31日に終了した3ヶ月間における、有価証券および株式投資の市場価格が増加したことによる21百
万ユーロのプラスの影響( 2018 年同期は、11百万ユーロのマイナスの影響)
・ 2019年3月31日に終了した3ヶ月間における、限定的リスク・ポジションにおけるヘッジ目的でのみ使用され
るデリバティブの公正価値の変化による22百万ユーロの正味費用( 2018 年同期は、11百万ユーロの正味費
注1)
用)
・ 2019年3月31日に終了した3ヶ月間の58百万ユーロの助成活動に係る費用( 2018 年同期は、84百万ユーロの費
用)
注1)
KfW は通常、その融資および資金調達に関連して金利および通貨リスクを経済的にヘッジするためにデリバティブ取引を行う。経済的ヘッジ関係の
中には、IFRSに基づくヘッジ会計または公正価値オプションの対象とならないものもある。これらの場合には、ヘッジ商品における公正価値の変動
のみが連結損益計算書において、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益として認識され、ヘッジ対象商品における
公正価値の変動についてはかかる認識はなされない。その結果、かかるヘッジ関係がもたらす経済リスク軽減効果は連結損益計算書には反映されて
いない。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のグループの連結利益は、2018年同期が228百万ユーロであったのに対し、295
百万ユーロであった。
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助成事業額
下表は、2018年3月31日に終了した3ヶ月間と比較した2019年同期の事業部門別コミットメント額の内訳である。
事業部門別助成事業額
2019年3月31日に 2018年3月31日に
前年比
終了した3ヶ月間 終了した3ヶ月間
(単位:百万ユーロ) (%)
中小企業銀行および民間顧客 (1) 9,099 12,657 -28
個別対応金融および公的顧客 (1)
1,721 2,229 -23
KfW キャピタル (旧エクイティ・
33 17 94
ファイナンス) (1)
輸出金融およびプロジェクト・
4,786 3,305 45
ファイナンス (KfW IPEX銀行)
発展途上国および新興経済国支援 971 468 107
このうちKfW開発銀行 815 414 97
このうちDEG(ドイツ投資開発会社) 156 54 188
321 185
金融市場 74
16,931 18,861
助成事業額の合計 (2)
-10
(1) 2018 年4月1日より、KfWは、以前は顧客グループ間の区分に基づき中小企業銀行事業部門ならびに地方自治体および民間顧客銀行/信用機関事
業部門を通じて行っていた国内助成事業を、異なる運営モデルにより特徴付けられる3つの事業部門へと再編した。かかる3つの事業部門に
は、中小企業銀行および民間顧客事業部門、個別対応金融および公的顧客事業部門ならびにKfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナ
ンス事業部門)が含まれる。2018年3月31日に終了した3ヶ月間の比較数値は、KfWの国内助成事業の再編を反映して修正再表示されている。
(2) コミットメント額とは、各期間の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンを除く。)につ
いてコミットされた資金額をいい、翌期以降貸し出される金額を含むが、前期までに行われたコミットメントに基づきその期間に貸し出され
た金額を含まない。州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンについては、コミットメント額とは、各期間に貸し出さ
れた実際の資金額をいう。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの助成事業総額は、2018年同期が189億ユーロであったのに対して、169
億ユーロであった。KfWの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門におけるコミットメント額は大幅
に増加したが、かかる増加はKfWの国内事業部門である中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに個別対応金
融および公的顧客事業部門におけるコミットメント額の大幅な減少により相殺された。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間の中小企業銀行および民間顧客事業部門におけるコミットメント額は、2018年
同期が127億ユーロであったのに対して、91億ユーロであった。かかる減少は主に、KfWの技術革新融資プログラム
および環境投資プログラムにおけるコミットメント額の減少によるものである。それと同時に、KfWの一般投資プ
ログラムおよび住宅投資プログラムにおけるコミットメント額は増加した。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間の個別対応金融および公的顧客事業部門におけるコミットメント額は、2018年
同期の22億ユーロから17億ユーロに減少した。かかる減少は主に、中小企業に対するリース契約のリファイナンス
のためのグローバル・ローンの減少および輸出ローンのリファイナンス・プログラムにおけるコミットメント額の
減少によるものである。それと同時に、2018年に開始した成長のためのKfWローン・プログラムに対し、122百万
ユーロがコミットされた。
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2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWキャピタル事業部門(旧エクイティ・ファイナンス事業部門)における
コミットメント額は、2018年同期の17百万ユーロから33百万ユーロに増加した。かかる増加は主に、ERPベン
チャー・キャピタル基金を通じたコミットメントの増加によるものである。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門におけるコミッ
トメント額は、2018年同期が33億ユーロであったのに対して、48億ユーロであった。かかる大幅な増加は主に、
KfW IPEX銀行のコミットメント額が様々な部門において増加したことによるものであるが、これには海運業部門が
最も大きく貢献している。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの発展途上国および新興経済国支援事業部門に関するコミットメント額
は、2018年同期の5億ユーロから10億ユーロに増加した。かかる増加は、KfW開発銀行のコミットメント額の全体的
な増加およびDEGによる民間部門における貢献によるものである。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの金融市場事業部門におけるコミットメント額は、ABSおよびABCPポート
フォリオにおけるコミットメント額がいずれも大幅に増加したことに起因して、2018年同期の185百万ユーロから
321百万ユーロに増加した。
資金源
2019 年4月30日に終了した4ヶ月間に資本市場から調達した資金額は合計413億ユーロであり、このうち51.0%は
ユーロ建、27.6%は米ドル建、残りはその他の9通貨で調達された。
KfW グループの資本および債務構成(2019年3月31日現在)
(単位:百万ユーロ)
借入金
短期資金 47,412
債券およびその他の確定利付証券 395,407
21,321
その他の借入金
借入金合計 464,140
株主持分
払込済資本 (1)
3,300
資本準備金 (2)
8,447
ERP特別基金からの準備金 1,191
利益剰余金 17,670
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 600
-779
再評価準備金
30,429
株主持分合計
494,569
資本構成合計
(1) KfW の自己資本(そのうち80%を連邦政府が所有し、残りの20%を連邦諸州が所有している。)は、2019年3月31日現在3,750百万ユーロであっ
た。そのうち、3,300百万ユーロは連邦政府および連邦諸州の所有割合に応じて払い込まれている。
(2) ERP 特別基金からの助成準備金( Förderrücklage )の形での自己資本7,150百万ユーロを含む。
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2019 年3月31日現在のKfWグループの資本構成は、2019年12月31日現在に計上される資本構成を必ずしも示唆する
ものではない。
2019 年3月31日現在の株主持分合計額は、2018年12月31日現在の30,315百万ユーロと比較して114百万ユーロ増加
して30,429百万ユーロとなったが、これは以下を反映したものである。
(ⅰ)2019年3月31日に終了した3ヶ月間における295百万ユーロのKfWグループの連結利益
(ⅱ)年金および自己信用リスクに関して評価損益が株主持分に直接認識されたことによる再評価準備金の185
百万ユーロの減少
(ⅲ)公正価値で測定された負債の処分により再評価準備金が利益剰余金に組替調整されたことに関連する利益
剰余金の4百万ユーロの増加
銀行監督法を段階的にKfWに準用させることに関連して、銀行がその業務を行う上で十分な自己資金
( Eigenmittel )を有することを求めるCRR(EU規則575/2013)、ドイツ銀行法およびドイツ支払能力規制
( Solvabilitätsverordnung )の規定は、2016年1月1日よりKfWにも準用されている。2017年6月、KfWは、2017年6
月30日現在のKfWの大部分のポートフォリオにつき、先進的IRBAに従って規制上の自己資本要件を計算することに
ついて、BaFinの承認を得た。KfWは、規制要件に従い、その他の副次的ポートフォリオ・セグメントについても
2022年までに追加承認を得る予定である。
2019 年3月31日に終了した3ヶ月間の業績によると、2019年3月31日現在のCRR第92条によるKfWの総自己資本比率
およびTier 1資本比率は、2018年12月31日現在がいずれも20.1%であったのに対して、20.0%であった(CRR第26
条第(2)項に基づき、2019年の最初の3ヶ月間の中間利益を考慮しない。)。かかるわずかな減少は主に、2018年下
半期の中間利益の認識により一部相殺された、デリバティブ・エクスポージャーの増加によるものであった。
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(7) 【発行者の属する国等の概況】
ドイツ連邦共和国
1) 概括
面積、位置および人口
BERLIN :ベルリン
Hamburg :ハンブルク
Munich :ミュンヘン
Cologne :ケルン
Frankfurt :フランクフルト
Stuttgart :シュトゥットガルト
Düsseldorf :デュッセルドルフ
Essen :エッセン
Bremen :ブレーメン
Hannover :ハノーファー
Leipzig :ライプチヒ
Dresden :ドレスデン
Nürnberg :ニュルンベルク
Duisburg :デュイスブルク
Bonn :ボン
Mannheim :マンハイム
Karlsruhe :カールスルーエ
Wiesbaden :ヴィースバーデン
連邦共和国は中央ヨーロッパに位置し、面積は約358,000k ㎡ (約138,000平方マイル)である。総人口は、2017
年末が8,280万人であったのに対し、2018年末は8,300万人まで増加したと推定される。この推定された増加は、過
去と同様に、ドイツの予想される入移民超過によるもので、この入移民超過は、自然減(すなわち、出生数と死亡
数の差がマイナスとなること)を上回るとされている。ドイツ連邦統計局の暫定データによると、2018年の入移民
超過は34万人から38万人の間であった。入移民超過は、2015年に極めて大人数の外国人の流入があった後、3年連
続で減少しており、2012年と同水準にまで減少した。2016年において、総人口のうち約16.7%は(人口の多い順
に)ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルンおよびフランクフルト・アム・マイン等の人口50万人超の都市部
に集中していた。
(出典:Statistisches Bundesamt, Statistisches Jahrbuch 2018, Tables 1.1.2, 2.1.9
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Querschnitt/Jahrbuch/statistisches-jahrbuch-2018-dl.pdf?
__blob=publicationFile&v=5); Statistisches Bundesamt, Estimate for 2018: population increased to 83.0 million,
press release of January 25, 2019
(https://www.destatis.de/EN/PressServices/Press/pr/2019/01/PE19_029_12411.html; German version:
https://www.destatis.de/DE/PresseService/Presse/Pressemitteilungen/2019/01/PD19_029_12411.html))
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下表は、連邦共和国の各年の主要な人口統計指標を示したものである。
人口
2017年(1) 2016年(1) 2015年 2014年 2013年
(単位:人)
総人口 82,792,351 82,521,653 82,175,684 81,197,537 80,767,463
年齢分布 (総人口に占める割合)(%)
20歳未満 18.4 18.4 18.3 18.2 18.2
20歳-40歳 24.6 24.5 24.5 24.1 24.0
40歳-60歳 29.1 29.4 29.8 30.3 30.7
60歳-80歳 21.7 21.6 21.6 21.8 21.8
80歳以上 6.2 6.0 5.8 5.6 5.4
増加率 (前年からの変動率)(%)
総人口 0.3 0.4 1.2 0.5 0.3
20歳未満 0.2 1.0 2.2 0.5 -0.3
20歳-40歳 0.7 0.6 2.6 1.1 0.9
40歳-60歳 -0.8 -0.9 -0.4 -0.6 -0.5
60歳-80歳 0.5 0.4 0.4 0.7 1.2
80歳以上 4.2 4.5 4.1 4.1 0.9
(1) 方法論の変更およびさらなる技術的な発展により、2017報告年度および2016報告年度の結果は、過去の報告年度の数値とある程度までしか比較でき
ない。特に2016年の結果の正確性が限定的な理由は、特に移民の増加および保護を求める人々についてのドイツの報告に関する法律に基づいた登録
過程に問題が生じていることに関連する不整合性である。
(出典:Statistisches Bundesamt, Bevölkerung, Bevölkerungsstand, Bevölkerung nach Altersgruppen (ab 1950),
Deutschland (https://www.destatis.de/DE/Themen/Gesellschaft-
Umwelt/Bevoelkerung/Bevoelkerungsstand/Tabellen/liste-altersgruppen.html#fussnote-2-249808); Statistisches
Bundesamt, Bevölkerung, Bevölkerungsstand, Bevölkerung nach Altersgruppen (ab 1950), Deutschland,
Veränderungsraten zum Vorjahr in % (https://www.destatis.de/DE/Themen/Gesellschaft-
Umwelt/Bevoelkerung/Bevoelkerungsstand/Tabellen/liste-altersgruppen.html#fussnote-2-249808))
ドイツの人口は、近年、入移民超過により増加したが、徐々に進む人口の高齢化により、減少に向かっている。
かかる状況は、今後数十年間にわたって継続し、さらに進むものと予想され、これにより、長期的にドイツの潜在
成長力が低下するおそれがある。ドイツ連邦統計局の推計によると、入移民のさらなる超過は長期的な人口趨勢に
限定的な影響しか持たず、高齢化への傾向を覆すことはできないとされている。
(出典:Statistisches Bundesamt, Bevölkerung Deutschlands bis 2060, 13. koordinierte Bevölkerungsvorausberechnung
2015 (https://www.destatis.de/DE/Themen/Gesellschaft-
Umwelt/Bevoelkerung/Bevoelkerungsvorausberechnung/Publikationen/Downloads-Vorausberechnung/bevoelkerung-
deutschland-2060-presse-5124204159004.pdf?__blob=publicationFile&v=3); Statistisches Bundesamt, Currently high
immigration cannot reverse population ageing, press release of January 20, 2016
(https://www.destatis.de/EN/PressServices/Press/pr/2016/01/PE16_021_12421.html))
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政府
連邦共和国は、1949年憲法( Grundgesetz )でその形成が成文化された連邦共和国である。首都はベルリンであ
り、16の連邦諸州( Länder )から成る。各州は、連邦共和国の立法、行政および司法機関に明示的に留保されてい
ない事項につき立法権を有する。
憲法は、連邦大統領( Bundespräsident )、二院制の国会(連邦議会( Bundestag )および16州の政府代表から成
る 連 邦 参 議 院 ( Bundesrat )) 、 連 邦 首 相 ( Bundeskanzler ) 、 お よ び 連 邦 憲 法 裁 判 所
( Bundesverfassungsgericht )について各々定めている。首相は、首相と連邦大臣から成る連邦政府
( Bundesregierung )の首長である。連邦大統領は国家元首として行為する。
連邦議会( Bundestag )の総選挙は比例代表制により、通常4年毎に行われる。直近の総選挙は2017年9月24日に
行われた。
政党は、総選挙で少なくとも投票総数の5%を獲得するかまたは最も多く得票した候補者が当選する小選挙区で3
名の当選議員を出さなければ、連邦議会( Bundestag )における議席を配分されない。首相は連邦議会
( Bundestag )により選出され、これに対し責任を負う。
政党
連邦議会( Bundestag )の現政党は、キリスト教民主同盟(CDU)およびそのバイエルンにおける姉妹政党である
キリスト教社会同盟(CSU)、社会民主党(SPD)、ドイツのための選択肢(AfD)、自由民主党(FDP)、左翼党
( Die Linke )(左翼党は、左翼党-民主社会党( Linkspartei.PDS )と労働と社会的公正のための選挙代案
(WASG)の合併により2007年に結成された。)、ならびに90年同盟/緑の党( B ü ndnis 90/Die Grünen )である。
1949 年以降、連邦共和国では19回の任期を8人の首相が務めてきた。長期にわたる交渉の後、2017年9月に行われ
た直近の総選挙では、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)による連立となった。2018年3
月14日、連邦議会( Bundestag )は、アンゲラ・メルケル首相(CDU)を4期目に再任した。メルケル氏は、2005年
以降、首相を務めているが、2018年10月20日、自身の首相としての任期は、今期が最後になるであろうと発表し
た。
(出典:The Federal Returning Officer, Official final result of the 2017 Bundestag Election, press release of
October 12, 2018 (https://www.bundeswahlleiter.de/en/info/presse/mitteilungen/bundestagswahl-
2017/34_17_endgueltiges_ergebnis.html); Koalitionsvertrag zwischen CDU, CSU und SPD Ein neuer Aufbruch für
Europa. Eine neue Dynamik für Deutschland. Ein neuer Zusammenhalt für unser Land, March 12, 2018
(https://www.bundeskanzlerin.de/Content/DE/_Anlagen/2018/03/2018-03-14-koalitionsvertrag.pdf?
__blob=publicationFile&v=1). The Federal Chancellor, Angela Merkel re-elected Chancellor, news of March 14,
2018 (https://www.bundeskanzlerin.de/Content/EN/Artikel/2018/03_en/2018-03-14-wahl-im-bundestag_en.html); CDU,
Angela Merkel verzichtet auf erneute Kandidatur für CDU-Vorsitz, press release of October 29, 2018
(https://www.cdu.de/artikel/angela-merkel-verzichtet-auf-erneute-kandidatur-fuer-cdu-vorsitz))
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下表は最近5回の連邦議会( Bundestag )の総選挙の結果である。
ドイツ連邦議会選挙結果
2017 年選挙 2013 年選挙 2009 年選挙 2005 年選挙 2002 年選挙
投票 投票 投票 投票 投票
総数に 総数に 総数に 総数に 総数に
占める 占める 占める 占める 占める
割合 割合 割合 割合 割合
(%) 議席 (%) 議席 (%) 議席 (%) 議席 (%) 議席
CDU/CSU ……………
33.0 246 41.5 311 33.8 239 35.2 226 38.5 248
SPD ………………… 20.5 153 25.7 193 23.0 146 34.2 222 38.5 251
AfD ………………… 12.6 94 4.7 ― ― ― ― ― ― ―
FDP ………………… 10.7 80 4.8 ― 14.6 93 9.8 61 7.4 47
左翼党(1) ………… 9.2 69 8.6 64 11.9 76 8.7 54 4.0 2
90 年同盟/緑の党 … 8.9 67 8.4 63 10.7 68 8.1 51 8.6 55
その他 ……………… ― ― ― ― ―
5.0 6.2 6.0 3.9 3.0
709 631 622 614 603
合計
(1) 2005 年より前は、民主社会党(PDS)の選挙結果である。
(出典:Der Bundeswahlleiter 2018 (https://www.bundeswahlleiter.de/bundestagswahlen/2017/ergebnisse/bund-99.html),
Statistisches Bundesamt, Statistisches Jahrbuch 2016, Tables 10.1.1 and 10.1.2; Statistisches Bundesamt,
Statistisches Jahrbuch 2011, Tables 4.3.1, 4.3.2 and 4.6)
国際機関
連邦共和国は、 EU に加え、国連、 IMF 、国際復興開発銀行 ( 以下「 IBRD 」という。)、国際開発協会 ( 以下
「 IDA 」という。)、欧州理事会、OECD、および北大西洋条約機構等の様々な主要国際機関の一員である。また、
連邦共和国は関税および通商に関する一般協定の批准国であり、世界貿易機関(World Trade Organization)(以
下「WTO」という。)のメンバーの一員でもある。さらに、EIB、欧州復興開発銀行(以下「EBRD」という。)、ア
ジアインフラ投資銀行および欧州原子力機構の出資者でもある。
EU と欧 州統合
連邦共和国は、1951年に設立され、その後EUに発展した欧州石炭鉄鋼共同体の設立メンバーであった。その設立
以来、EUの加盟国は6から28に増え、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和
国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリ
ア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバ
キア共和国、スロベニア、スペイン、スウェーデンおよび英国が加盟している(以下総称して「EU加盟国」または
「EU加盟諸国」という。)。英国のEUからの撤退の決断および離脱過程の現在の状況についての詳細は、下記「政
治的統合」を参照のこと。暫定的なデータによると、2018年1月1日現在のEU加盟諸国の総人口は、約5億1,200万人
であった。EUは、現在も変化し続けている。トルコ、モンテネグロおよびセルビアとは正式な加盟交渉が現在行わ
れている。北マケドニア(旧「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」)およびアルバニアには、加盟候補国の地位
が付与された。ボスニア・ヘルツェゴビナおよびコソボは潜在的加盟候補国である。
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(出典:European Union, The history of the European Union (http://europa.eu/about-eu/eu-history/index_en.htm);
European Union, The history of the European Union: 1945-1959 (https://europa.eu/european-union/about-
eu/history/1945-1959_en); European Union, The history of the European Union: 2010-today
(https://europa.eu/european-union/about-eu/history/2010-today_en); Statistical Office of the European
Communities, Total population (http://epp.eurostat.ec.europa.eu/tgm/table.do?
tab=table&language=en&pcode=tps00001&tableSelection=1&footnotes=yes&labeling=labels&plugin=1); European
Commission, Enlargement, Countries, Check current status (http://ec.europa.eu/enlargement/countries/check-
current-status/index_en.htm))
政治的統合
EU の主要機関は、欧州理事会(EU加盟国の政府を代表する。)、欧州議会(EU加盟国の市民により選出され、当
該市民を代表する。)および欧州委員会(EUの執行機関)の3つである。機関に関する問題について加盟国が政府
間会議において欧州委員会および欧州議会も交えて数年にわたり協議した後、リスボン条約が2009年12月1日に発
効した。これはEUの基礎となる既存の条約を修正および補足するもので、将来の課題への対処と加盟国市民のニー
ズへの対応に必要な法的枠組みと手段をEUに提供する。リスボン条約は、数ある課題の中でも、欧州議会と各国議
会の役割を強化し、市民が政策提案に関する情報を提供できる機会を増やし、EU加盟国およびEUの権限を明確に区
分し、またEU加盟国がEUを離脱する可能性を明示的に認めることにより、EUの民主性と透明性を高めることを目指
すものである。EUの拡大を反映し、その意思決定の有効性と効率を高めるために、この条約はさらにEUの制度を合
理化および現代化し、ならびに運営方法および議決規則を簡略化した。
(出典:European Commission, Europe in 12 lessons by Pascal Fontaine
(https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/a5ba73c6-3c6a-11e8-b5fe-01aa75ed71a1);
Europa.eu, EU treaties: Treaty of Lisbon (http://europa.eu/european-union/law/treaties_en))
英国国民は、2016年6月23日に、EUを離脱することを可決し、それに応じて、英国は、2017年3月29日に、欧州理
事会に離脱の意思を通知した。欧州連合条約第50条に基づき、EU加盟国の離脱の手配について定める合意の発効日
以降、または離脱意思の通知から2年以内に、EU条約は離脱加盟国に適用されなくなるが、その日(以下「第50条
の日」という。)は2019年3月29日であった。かかる期間を2年を超えて延長するためには、関連するEU加盟国との
協定に基づき、欧州理事会は、全会一致の決定をする可能性がある。EUと英国の交渉担当者間での離脱合意案に関
する合意後、欧州理事会は、2018年11月25日にEU27ヶ国で会合し、離脱合意案および将来のEUと英国の関係に関す
る政治宣言案を承認した。離脱合意案は、英国がEUから秩序立った離脱をするための取決めを含んでいる。欧州理
事会は、政治宣言に則して、将来的に英国との間で、可能な限り緊密なパートナーシップを維持していく決意を再
び表明した。
2019 年3月21日、欧州理事会は、第50条の日を2019年4月12日(英国下院が2019年3月29日までに提案された離脱
合意案を承認する場合は2019年5月22日)に移行することに合意した。英国下院が2019年3月29日までに提案された
離脱合意案を承認する場合に該当しなかったため、英国のEU加盟は、2019年4月12日に、離脱合意なしで終了する
おそれがあった。英国の要請に従って、欧州理事会は2019年4月10日に、離脱合意の承認を可能にするために、第
50条の日の2回目の延期を承認した。欧州理事会は、延期は、2019年10月31日までは必要な限り続くが、いかなる
事由があっても、2019年10月31日までとすると結論付けた。離脱合意がこの日までに双方により承認された場合、
離脱は、その次の月の最初の日に行われる。
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(出典:UK Government, Topic, EU referendum (https://www.gov.uk/government/topical-events/eu-referendum); Council
of the EU, Consolidated versions of the Treaty on European Union and the Treaty on the Functioning of the
European Union, Article 50, page 59-60 (http://data.consilium.europa.eu/doc/document/ST-6655-2008-REV-8/en/pdf);
European Commission, Statement by the European Council (Art. 50) on the UK notification, press release, March 29,
2017 (http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2017/03/29-euco-50-statement-uk-notification/);
European Council, European Council (Art.50) conclusions, 25 November 2018, press release of November 25, 2018
(https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2018/11/25/european-council-art-50-conclusions-25-
november-2018/); European Council Meeting (Art. 50), March 21, 2019
(https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/european-council/2019/03/21/art50/); Special European Council
Meeting (Art. 50), April 10, 2019 (https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/european-council/2019/04/10/))
経済統合
EU は創設当初から、その前身諸機関と同様に、EU加盟諸国の経済的な統合を基本的な目的としていた。長い統合
プロセスの最後を飾る形で、1993年1月1日、EU加盟諸国間の財およびサービス、人、ならびに資本の自由な移動を
可能にする単一市場が誕生した。EU加盟諸国の企業に平等な競争の場を与え、それにより経済効率を高めることを
目指す欧州の競争政策および欧州消費者政策は、EU加盟諸国の経済統合および単一市場の完成も促進している。こ
れに加えて、通信・エネルギー部門等で自由化と調和化に向けた様々な方策も実施されている。金融部門では、資
本の移動が自由化されたことと、「単一パスポート」(これにより、金融機関は、あるEU加盟国で取得した単一の
ライセンスに基づき、EU全域で金融サービスを提供することができる。)の下にEU全域で銀行業務を営むことが自
由化されたことにより、単一市場が促進されている。EUの経済統合を進めるため、地域支援策が講じられている。
これは、EUの全人口の中で不利な条件に置かれた一定の地域および区域に開発努力を集中する政策である。EUに
とってもう1つの重要な課題は、農業および水産業政策である。
EU の多年度財政枠組み(multiannual financial framework)(以下「MFF」という。)を定めた規則が、2013年
12月に正式に採択された。MFFでは、2014年から2020年までのコミットメント額の割当についてその上限額を定め
ており、当該上限額は一定の歳出項目に1年以上にわたって資金を投入するために提供されるコミットメント額を
補うに足るものである。さらにMFFでは、支払の割当について1年間の上限額を定義しており、当該上限額は当該会
計年度および/またはその前の会計年度中に契約した法定コミットメント額の引受を目的とした支払を補うに足る
ものである。欧州理事会および欧州議会によって2018年12月に採択され、2019年3月に公表された2019年EU予算で
は、コミットメント額の割当分は1,658億ユーロ、支払の割当分は1,482億ユーロとなっている。EU予算の全額はEU
国民総所得の約1%に相当する。
EU は、非加盟国との貿易問題について責任を負う。財の取引の分野においては、EUは独占的な権限をもってい
る。さらに、EUの責任範囲は、サービス貿易、知的財産(特許等)の商業的側面、公的調達および外国直接投資も
含む。特に、EUは、国際貿易協定の交渉および締結、貿易障害および貿易相手国による不公平な取引慣行の特定な
らびに適切な対応策の導入について責任を負う。貿易協定は、欧州理事会の承認を受けて、欧州委員会により交渉
される。欧州委員会が交渉を完了すると、欧州理事会および欧州議会は、最終的な交渉による合意を検討し、その
承認をもって決定する。EUおよびEU加盟国間の責任が混在している分野を規制する貿易協定については、すべての
EU加盟国による批准後にのみ締結することができる。
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(出典:European Commission, Europe in 12 lessons by Pascal Fontaine
(https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/a5ba73c6-3c6a-11e8-b5fe-01aa75ed71a1);
European Banking Authority, Topics, Passporting and supervision of branches (http://www.eba.europa.eu/regulation-
and-policy/passporting-and-supervision-of-branches); European Council, Council adopts the multiannual financial
framework 2014-2020, Press Release, December 2, 2013
(http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_Data/docs/pressdata/en/ecofin/139831.pdf); European Commission,
Budget, Library, Documents: Annual Budget, 2019 (https://ec.europa.eu/info/about-european-commission/eu-
budget/documents/annual-budget/2019_en); EUR-Lex, Budget 2019, General budget, Total revenue (https://eur-
lex.europa.eu/budget/data/General/2019/en/GenRev.pdf); European Commission, Business, Economy, Euro, Trade with
non-EU countries, EU trade policy-making (http://ec.europa.eu/trade/policy/policy-making); Federal Ministry for
Economic Affairs and Energy, Topics, Trade Policy, European Trade Policy
(http://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Dossier/trade-policy.html))
金融統合
連邦共和国は、1992年2月の欧州連合条約(別名「マーストリヒト条約」)の調印国であり、これを批准してい
る。マーストリヒト条約は、EMUの設立の基礎となった。そして、EMUは、1998年12月31日に、ユーロと当初のEU加
盟諸国の通貨との永久固定レートを採用し、1999年1月1日に、ユーロ圏内の単一欧州通貨としてユーロを導入し
た。2002年1月1日、当時ユーロ圏を構成していた12のEU加盟国(オーストリア、ベルギー、フィンランド、フラン
ス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガルおよびスペイン)で、
各国通貨に代わり、ユーロ建紙幣および硬貨が法定通貨として導入された。スロベニア、マルタ、キプロス、スロ
バキア、エストニア、ラトビアおよびリトアニアが、その後にユーロ圏に加わった。
ECB は、 1998 年 6 月 1 日、 ESCB の一部として設立された。マーストリヒト条約に従い、ESCBは、物価水準を一定に
保つことを主たる目的としている。物価を安定させるという目的を侵害することなく、ESCBはEU内の総合的な経済
政策を支援している。ECB、ESCBおよび欧州の金融制度の詳細については、「3)通貨・金融制度」を参照のこと。
ECBとユーロ通貨を使用するEU加盟国(以下「ユーロ圏加盟国」という。)の中央銀行から成るユーロシステム
は、1999年1月1日にユーロ圏の金融政策に関する責任を単独で担うこととなった。
(出典:European Union, EU treaties, Treaty on European Union – Maastricht Treaty (https://europa.eu/european-
union/law/treaties_en); European Central Bank, Economic and Monetary Union (EMU)
(http://www.ecb.int/ecb/history/emu/html/index.en.html); European Central Bank, Use of the euro
(https://www.ecb.europa.eu/euro/intro/html/index.en.html); European Central Bank, Monthly Bulletin, 10th
Anniversary of the ECB (https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/other/10thanniversaryoftheecbmb200806en.pdf))
EU 経済ガバナンス
EU 経済ガバナンス構想は、過剰な財政赤字または国債といった経済成長を妨げ、経済をリスクにさらすような問
題のある経済動向の察知、阻止および是正を目的としている。かかる構想は以下の主要な項目により構成される。
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SGP 国家 財政 ・経済政策 の 監視および協調を強化する ため、EU加盟国は 1997 年に安定成長協定(Stability and
Growth Pact)(以下「SGP」という。)を制定した。SGPが持つ予防的側面は、 EU 加盟国に 健全な 財政 政策へ の コ
ミットメントと 、各EU加盟国の中期的な歳出目標を 定めることによる協調を義務付けている。これらの予算赤字
(または黒字) 目標 は景気循環を考慮して 単発および暫定的施策の 影響を除外した構造的財政収支により定義され
る。 SGP の是正の側面は、過剰財政赤字手続(excessive deficit procedure)(以下「EDP」という。)により構
成される。 EDP は、過剰財政赤字(GDPの3%を超える赤字と定義される。)または過剰公的債務水準(債務比率が
十分な下降傾向もなく、GDPの60%を超過している状態と定義される。)の是正を保証する。SGPの予防または是正
規則 を尊重しないEU 加盟国は、 最終的に制裁を科される場合がある。 ユーロ圏加盟国 の場合、これらは、(予防ま
たは是正規則のいずれかに従わないEU加盟国に対して) GDP 比0.2% を上限とする制裁金を含め、警告や金銭的制裁
という形で実行される可能性がある。加えて、すべてのEU加盟国(英国を除く。)は、是正規則に従わなかった場
合、EUの構造的投資ファンドからの出資確定または支払実行を停止される 可能性がある。 EU 加盟国は毎年4月、SGP
に定められた経済ガバナンス規則に基づき、今後3年間の財政計画を策定することを義務付けられている。加え
て、ユーロ圏加盟国間の財政政策の協調を図るため、各国政府 は欧州 の経済ガバナンス規則により、毎年10月15日
までに翌年度の予算案を欧州 委員会に 提出しなければならない 。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic
governance ( https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-
governance-monitoring-prevention-correction_en); European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and
fiscal policy coordination, EU economic governance, Stability and Growth Pact (
https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-
monitoring-prevention-correction/stability-and-growth-pact_en); European Commission, Business, Economy, Euro,
Economic and fiscal policy coordination, EU economic governance, Stability and Growth Pact, Stability and
convergence programmes (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-
coordination/eu-economic-governance-monitoring-prevention-correction/stability-and-growth-pact/stability-and-
convergence-programmes_en); European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy
coordination, EU economic governance, Stability and Growth Pact, Annual draft budgetary plans (DBPs) of euro area
countries (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-
governance-monitoring-prevention-correction/stability-and-growth-pact/annual-draft-budgetary-plans-dbps-euro-
area-countries_en))
MIP 2011 年 に制定されたマクロ経済不均衡手続 ( macroeconomic imbalance procedure)( 以下「 MIP 」とい
う。)は、早期の段階で経済の潜在的リスクを特定し、悪質なマクロ経済不均衡の発生を防ぎ、既存の過剰な不均
衡を是正することを目的とする調査の仕組みである。MIPの予防的側面は、指標のスコアボードおよび徹底的な国
別調査を駆使した早期警告システムに依拠している。この予防的側面により、欧州委員会および欧州理事会は該当
するEU加盟国に対し、早期に予防的勧告を提案することができる。すでにEU加盟国において過剰なマクロ経済不均
衡が発生している場合、是正的側面により過剰不均衡手続が開始される場合がある。この場合、対象となったEU加
盟国は是正措置計画および定期経過報告書を提出しなければならない。MIPの施行制度は、再三にわたり義務を履
行しないユーロ圏加盟国に対する最大GDP比0.1%の制裁金を含む、ユーロ圏加盟国に対する金銭的制裁から構成さ
れている。直近の一連の調査では、ドイツを含む13のEU加盟国がMIPの一環として徹底的な調査の対象となった。
このうち10のEU加盟国においてマクロ経済不均衡が、3のEU加盟国において過剰な不均衡が生じていることが確認
された。欧州委員会の査定によると、ドイツではマクロ経済不均衡が生じているが、これらは過剰ではない。「2)
経済―国際的経済関係―ドイツの経常黒字およびMIP」を参照のこと。
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(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic
governance, Macroeconomic imbalance procedure, Dealing with macroeconomic imbalances (
https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-
monitoring-prevention-correction/macroeconomic-imbalance-procedure/dealing-macroeconomic-imbalances_en);
European Commission, European Semester 2019: Winter Package explained, press release of February 27, 2019
(http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-19-1368_en.htm))
EMU における TSCG 2012 年 3 月に調印され、 2013 年 1 月 1 日より施行された EMU における安定、調整およびガバナン
スに関する条約 ( Treaty on Stability, Coordination and Governance)( 以下「 TSCG 」という。)は、財政協定
を通じた参加EU加盟国の財政規律の促進を目的とするものである。ユーロ圏加盟国はかかる財政協定の規定に拘束
されることになるが、一方でその他の参加EU加盟国はユーロを採用した場合にのみ拘束され、当該条約の特定の規
定に拘束される意思を事前に表明しない限り拘束されない。TSCGは、参加国各国の中期財政目標(SGPにおいて定
義される。)の構造的赤字の下限をGDP比0.5%(または、TSCGの債務の対GDP比が60%を大きく下回る場合は、GDP
比1%)に統一するよう要求している。この要件から逸脱した場合は、自動是正メカニズムが働く。ただし、例外
的な状況のための適用除外も設けている。この財政に係る規則は、同条約の施行から1年以内、すなわち遅くとも
2014年1月1日までに、「法的拘束力があり恒久的な性質(望ましくは憲法的性質)を有する」規則を通じて、国内
法的効力を有するとされた。
(出典:European Council, Fiscal compact signed: Strengthened fiscal discipline and convergence in the euro area,
press release of March 2, 2012 (http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_Data/docs/pressdata/en/ec/128454.pdf);
Deutsche Bundesbank, Glossary: Treaty on Stability, Coordination and Governance in the EMU (TSCG)
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/homepage/glossary/729724/glossary?
firstLetter=T&contentId=653696#panel-653696); European Commission, The EU’s economic governance explained, press
release of November 26, 2015 (http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-6071_en.htm))
欧州ソブリン債務危機への対応
暫定的金融安定メカニズム EU および ユーロ圏 加盟国は、ユーロ圏の ソブリン債市場が深刻な緊張状態にある中
で金融情勢 の 安定を 維持 する ため、2010年5月、欧州金融安定化機構(European Financial Stabilization
Mechanism)(以下「EFSM」という。) および 欧州金融安定化ファシリティ(European Financial Stability
Facility)(以下「EFSF」という。) で構成される暫定的安定メカニズムを設置した。EFSMを通じて、欧州委員会
は、暗黙のEU予算による保証の下、EUに代わって最高600億ユーロまで借り入れることが許可されている。EFSFは
暫定的な機関として設置され、2013年7月1日以降は新規の融資プログラムを行っていない。2019年4月 現在、ユー
ロ圏 加盟国による総額7,240億ユーロの実質的な保証を裏付けとして、 EFSF のアイルランド、ポルトガルおよびギ
リシャ向け融資残高は約1, 750 億ユーロであった 。連邦共和国は、ECBの払込資本金における自国の払込金に基づ
き、EFSFに約2,110億ユーロの保証を確約しており、これは有効保証額の総額の約29%を占める。 EFSF は、ユーロ
圏加盟国に提供したすべての金融支援およびEFSFが発行したすべての資金調達商品が全額返済され次第、解散し清
算する予定である。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU financial
assistance, How is financial assistance given to EU countries? (http://ec.europa.eu/info/business-economy-
euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-assistance/how-financial-assistance-given-eu-
countries_en); European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU
financial assistance, Loan programmes, European Financial Stabilisation Mechanism (EFSM)
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/loan-programmes/european-financial-stabilisation-mechanism-efsm_en#support); European Financial
Stability Facility, Publications, Investor Presentation
(https://www.esm.europa.eu/sites/default/files/efsfesmnewinvestorpresentationapr2019v1.pdf))
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ESM 2012 年 10 月 より、国際公法の下で政府間機関として設立された欧州安定メカニズム ( European Stability
Mechanism)( 以下「 ESM 」という。)は、EMUの金融安定性の保護を支援してきた。ESMは2013年7月1日付で、EFSF
およびEFSMが遂行していた任務を引き継ぎ、現在は、深刻な金融危機に脅かされている、または直面しているユー
ロ圏加盟国に金融支援を提供することがユーロ圏全体の財政的安定の保護のために極めて重要とみなされた場合
の、主要な支援機関として機能している。ESMは、金融市場で公社債またはその 他の債券を発行し、ユーロ圏加盟
国に支援を提供するための資金を調達する。ユーロ圏加盟国からの 保証に基づく EFSF とは異なり、ESMはユーロ圏
加盟国 により 提供される 7,050 億ユーロの応募済み資本を有し、これが5,000億ユーロの有効貸出可能枠の元になっ
ている。応募済み資本のうち810億ユーロはユーロ圏加盟国により提供される払込資本金の形式をとり、残りの
6,240億ユーロは請求払資本の形式をとる。各ユーロ圏加盟国の拠出額はECBへの払込資本金額に基づく。これに基
づき、連邦共和国の拠出金額は、ESMへの拠出金総額の約27%となる。連邦共和国はESMに対し、約220億ユーロの
払込資本金を拠出した。
ESM の 金融支援 は、 EU加盟国から ESM 理事会の議長への要請に応じて発動され、選択される手段に適した条件に
従って実行される。ESMが最初に講じることのできる手段は、EFSFが実行可能な手段に基づきモデル化されてお
り、具体的 には、財政難にあるユーロ圏加盟国に対する融資、債券の発行市場および流通市場への介入、予防プロ
グラムに 基づく措置、ならび に政府 への 融資 、または 2014 年12月以降で あれば影響を受けている金融機関への資本
再構成を目的と した 直接融資等が含まれる。各手段は覚書と結びつけられ、覚書にはEU 加盟国 がECB と の連携の下
で欧州委員会と協議してきた 金融支援 の条件、ならびに 加盟国 が金融安定に向けて確実に進展できるよう定められ
た監視および監督の手続が規定されている。原則として、ESMの下で下される決定は相互合意によってなされる。
しかし、欧州委員会およびECBが、ユーロ圏の財政および経済の安定性が脅かされ、金融支援に関して緊急な決定
が必要であると判断した際は、相互合意の規則は85%の特定過半数に置換えられる。連邦共和国の議決権が約27%
であることを考慮すると、連邦共和国は、緊急時の投票規則の下においても、決定に対して拒否権を行使すること
ができる。2019年4月現在、ESMのスペイン、キプロスおよびギリシャに対する貸出金残高は約900億ユーロであっ
た。
(出典:European Stability Mechanism, History (https://www.esm.europa.eu/about-us/history); European Commission,
Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU financial assistance, How is financial
assistance given to EU countries? (http://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-
coordination/eu-financial-assistance/how-financial-assistance-given-eu-countries_en); European Commission,
Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU financial assistance, Loan programmes, ESM
(http://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/loan-programmes/european-stability-mechanism-esm_en); European Stability Mechanism, Financial
Assistance, Lending toolkit (https://www.esm.europa.eu/assistance/lending-toolkit); European Stability Mechanism,
Frequently Asked Questions on the ESM (https://www.esm.europa.eu/sites/default/files/faqontheesm.pdf); European
Financial Stability Facility, Publications, Investor Presentation
(https://www.esm.europa.eu/sites/default/files/efsfesmnewinvestorpresentationapr2019v1.pdf))
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ユーロ圏加盟国に対する金融支援
ギリシャ 2010 年 5 月 から2018年8月まで、ギリシャは財政難と経済面 の 課題 に 対処 するため、ユーロ圏加盟国 お
よびIMFから金融支援を受けた。この支援は経済調整プログラムという形で実施され、経済の不均衡の是正、社会
面の課題への対処に向けたギリシャ政府の取組みを支援する措置を含み、持続的な経済成長および雇用創出への下
準備となった。2010年5月、 ユーロ圏 加盟国は、 IMF に よる最高300億ユーロの融資と並行して、 第一次経済調整プ
ログラムの下 、 2010 年 5月から2013年6月の期間において 最高800億ユーロを支出する共同出資の二国間融資の形式
で、ギリシャに安定化支援を提供すること に合意した。 連邦共和国は最高約223億ユーロの拠出を確約し、かかる
拠出は連邦政府に代わってKfWにより行われることになっていた。2011年12月現在、ギリシャ融資制度の下で総額
730億ユーロが支払われ、そのうち約530億ユーロはユーロ圏加盟国から、200億ユーロはIMFから提供された。
2012 年 3月にユーロ圏加盟国により承認された第二次経済調整プログラムでは、EFSFおよびIMFは、第一次プログ
ラムにおいて未払いであった金額に2012年から2014年の間で1,300億ユーロを追加した金額の拠出を確約した。こ
のプログラムに基づく金融支援の実行は、特定の定量的な成果基準が遵守され、かつ政策基準面の進捗における好
ましい評価結果が得られることを条件としていた。第二次プログラムは4ヶ月の延長を経て、2015年6月末に終了し
た。第二次プログラムによるEFSFのギリシャ向け融資残高は約1,309億ユーロに上る。
2015 年 7月、ギリシャ政府はさらなる安定化支援を求めて、ESM理事会に申請書を提出した。ESM理事会の承認を
受け、欧州委員会はギリシャとの間で最高860億ユーロの融資額がESMによる拠出という形で設定された第三次経済
調整プログラムに関する覚書を締結した。かかる融資の実行は、ギリシャ政府が覚書に定められた通り、ギリシャ
経済を健全な財政、強化された競争力、高い雇用水準および金融安定に基づく持続可能な成長軌道に戻すための特
定の政策環境の実現に向けて前進することが条件であった。2018年8月20日、ギリシャはESMが実行した金融支援プ
ログラムを、使用可能な最大融資額を必要とせず、無事終了した。ギリシャに対するESM融資残高は599億ユーロで
あった。合意された改革の継続、完了および実行を支援するために、ギリシャは、ギリシャに適応したプログラム
終了後の枠組に従って、EUによるより厳しい監視下に置かれている。2019年2月末現在、ギリシャはすでに特別引
出権(Special Drawing Right)(以下「SDR」という。)による201億のローンをIMFに返済している。SDRの構想
の記載については、「5) 表および補足情報―Ⅲ.国際金融機関に対する債務」を参照のこと。
(出典:European Commission, Policies, Information and Services, Financial assistance to Greece
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/which-eu-countries-have-received-assistance/financial-assistance-greece_en); European Stability
Mechanism, Financial Assistance, Greece (https://www.esm.europa.eu/assistance/greece); European Stability
Mechanism, Greece successfully concludes ESM programme, press release of August 20, 2018
(https://www.esm.europa.eu/press-releases/greece-successfully-concludes-esm-programme); International Monetary
Fund, Greece: Transactions with the Fund from May 01, 1984 to February 28, 2019
(https://www.imf.org/external/np/fin/tad/extrans1.aspx?memberkey1=360&startdate=1984-01-01&endDate=2019-02-
28&tsvflag=Y))
アイルランド EFSM およびEFSFの支援を最初に受けたユーロ圏加盟国はアイルランドであった。2010年12月に合
意された金融支援は、経済調整プログラムを遵守することを条件に提供されており、EFSMを通じて出資される225
億ユーロ、EFSFを通じた177億ユーロ、およびIMFを通じた225億ユーロを含む合計850億ユーロの金融支援から成っ
ていた。アイルランドに対する金融支援プログラムは、2013年12月に計画通り終了した。アイルランドは、EUの金
融支援として受領した金額の少なくとも75%を返済するまでは、プログラム終了後の監督の対象となり、返済は
2031年より後となると予想される。アイルランドは、すでにIMFからのローンを全額返済している。
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(出典:European Commission, Policies, Information and Services, Financial Assistance in EU Member States, Ireland
(http://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/which-eu-countries-have-received-assistance/financial-assistance-ireland_en); International Monetary
Fund, Ireland: IMF Credit Outstanding as of February 28, 2019
(https://www.imf.org/external/np/fin/tad/exportal.aspx?memberKey1=470&date1key=2019-02-28&category=EXC))
ポルトガル 2011年4月上旬のポルトガル共和国による公式な支援申請に続き、2011年5月にポルトガルの当局と
欧州委員会、IMFおよびECB幹部の間で合意された経済調整プログラムに基づき、2011年から2014年半ばまでを対象
とした、ユーロ圏、EUおよびIMFによる金融支援が実施された。一連の金融支援の総額は780億ユーロに上り、
EFSM、EFSFおよびIMFが各々260億ユーロを拠出している。2014年6月、ポルトガル政府は、そのマクロ経済調整プ
ログラムを、これを引き継ぐ取決めなしに終了することを決定した。ポルトガルは、金融支援として受領した金額
の少なくとも75%を返済するまでは、プログラム終了後の監督の対象となり、返済は2026年より後となると予想さ
れる。ポルトガルはすでにIMFからのローンを全額返済している。
(出典:European Commission, Policies, Information and Services, Financial Assistance in EU Member States,
Portugal (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/which-eu-countries-have-received-assistance/financial-assistance-portugal_en); International Monetary
Fund, Portugal: Transactions with the Fund from May 01, 1984 to March 31, 2019
(http://www.imf.org/external/np/fin/tad/extrans1.aspx?
memberKey1=810&endDate=2099%2D12%2D31&finposition_flag=YES))
スペイン 2012年6月、スペイン政府は、一部の金融機関の資本再構成のために、ユーロ圏加盟国に対して金融
支援を要請した。2012年7月、ユーロ圏加盟国の各国財務大臣は、自己資本要件における推定不足額に安全マージ
ンを加えた金額をカバーすることを目的として、最大1,000億ユーロの金融支援を行うことで合意した。この金融
支援は、銀行部門を重視する政策条件を伴っていた。この金融支援は、最初、EFSFによって実施され、その後、
ESMに(優先的地位を与えることなしに)移管された。この金融支援プログラムは、2013年12月31日に終了した。
ESMは、スペインの銀行部門の資本再構成のために同国政府に対して総額413億ユーロを融資実行した。スペイン
は、金融支援として受領した金額の少なくとも75%を返済するまでは、プログラム終了後の監督の対象となる。
2019年3月末現在、スペインはすでに176億ユーロのローンを、一部は自主的にIMFに返済している。
(出典:European Commission, Policies, Information and Services, Financial Assistance in EU Member States, Spain
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/which-eu-countries-have-received-assistance/financial-assistance-spain_en); ESM, Financial
Assistance, Spain (https://www.esm.europa.eu/assistance/spain); European Stability Mechanism, Spain successfully
exits ESM financial assistance programme, press release of December 31, 2013 (https://www.esm.europa.eu/press-
releases/spain-successfully-exits-esm-financial-assistance-programme))
キプロス キプロスに対する経済調整プログラムは、2013年5月に正式に合意された。最大100億ユーロの資金調
達を補うよう設定された融資パッケージは、ESMが最大90億ユーロを提供し、IMFが約10億ユーロを拠出している。
同プログラムは、キプロスの金融部門の適正な規模への縮小、財政再建、構造改革および民営化を含め、同国の金
融部門の不均衡に対処したものである。かかる金融支援プログラムは、予定通り2016年3月に終了した。ESMの融資
パッケージのうち約27億ユーロは利用されていない。キプロスは金融支援として受領した金額の少なくとも75%を
返済するまでは、プログラム終了後の監督の対象となり、返済は2029年より後となると予想される。
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(出典:European Commission, Policies, Information and Services, Financial Assistance in EU Member States, Cyprus
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/which-eu-countries-have-received-assistance/financial-assistance-cyprus_en); ESM, Financial
Assistance, Cyprus (https://www.esm.europa.eu/assistance/cyprus); Eurogroup, Eurogroup Statement on Cyprus, press
release of March 7, 2016 (http://www.consilium.europa.eu/de/press/press-releases/2016/03/07-eurogroup-statement-
cyprus/))
統計基準
国民経済計算に関する統計基準
2014 年 8月以降、ドイツ連邦統計局は、国連の国民経済計算(SNA 2008)に基づく2010年欧州国民および地域経
済計算(European System of National and Regional Accounts 2010)(以下「ESA 2010」という。)に準拠して
ドイツ国民経済計算を作成している。1991年以降のすべての期間について再計算を実施している。
国際収支に関する統計基準
2014 年 7月以降、ドイツの国際収支統計に関する方法論的概念は、IMFの基準を改訂した国際収支・国際投資ポジ
ションマニュアル第6版(sixth edition of the Balance of Payments and International Investment Position
Manual)(以下「BPM6」という。)に従う。EU加盟国は、欧州委員会が採用する規則に基づき、BPM6の適用を義務
付けられている。1991年以降の国際収支データは、BPM6に従って計算し直された。
(出典:Bundesbank, Changes in the methodology and classifications of the balance of payments and the
international investment position, Monthly Report, June 2014
(https://www.bundesbank.de/resource/blob/622190/a6cfea65e258b014cd8edc85806b8c33/mL/2014-06-methodology-balance-
of-payments-data.pdf))
IMF の統計開示基準
2015 年 2月以降、連邦共和国は、経済に関するデータの範囲、定期性、発表の時期に関するIMFの特別データ開示
基準プラス(Special Data Dissemination Standard Plus)(以下「SDDSプラス」という。)を満たしている。
SDDSプラスは、既存の特別データ開示基準(SDDS-Special Data Dissemination Standard)の拡張版として2012年
に作成された。SDDSプラスは、経済および財政に関する比較可能なデータを提供することで、金融部門の透明性お
よび相互依存性を改善し、ひいては早期段階におけるリスクの特定に寄与するよう設計されている。加盟国による
SDDSプラスの遵守は任意だが、これを適用すると、加盟国には、経済および財政に関するデータ開示の慣行につい
て当該基準を守り、IMFに一定の情報を提供することが義務付けられる。
(出典:Bundesbank, Statistics, IMF related Data, SDDS Plus (Special Data Dissemination Standard)
(https://www.bundesbank.de/en/statistics/imf-related-data/sdds-plus/sdds-plus-622326))
2) 経済
概要
連邦共和国の経済システムは、1945年以来、個人の自由な活動と進歩的な社会主義を結合させた社会的市場経済
へと発展してきた。私企業の自由および私有財産について、ドイツ憲法は、かかる基本的権利が公益に反して行使
された場合を除き、これらを保証する。市場経済において国家が果たす主な規制的機能は、市場の営みの場となる
一般的条件の枠組みを設定することである。国家が価格設定に介入する産業は、ごく少数に限られている。
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主要な経済指標
ドイツ経済の規模は世界でも最大級に属している。現在価格で表したドイツのGDPは、2017年の3兆2,773億ユー
ロから3.3%増大して、2018年は3兆3,860億ユーロとなった。物価の影響を調整した後のGDPは2017年から1.4%増
加し、1991年の水準を45.9%上回った。1991年は、1990年10月3日のドイツ再統一後の初年度である。就労者1人当
たりの物価調整後GDPが1991年から26.2%増加し、生産性が向上したことが主因となって1991年以降のこのような
GDPの成長につながった。ドイツ連邦統計局は、物価調整後のGDPの算出に当たって、前年度の物価に基づく連鎖指
数を使用している。2018年の1人当たりGDP(現在価格)は40,852ユーロであり、就労者1人当たりGDP(現在価格)
は75,516ユーロであった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2018 (March 2019), Table 2.1.4)
連邦共和国では、他の多くの先進国の経済と同様、サービス部門がGDP中(粗付加価値に関して)最大の割合を
占めている。現在価格で測定した粗付加価値のうちサービスは、1991年に61.9%を占めたのに対し、2018年は
68.2%であった。最も重要な2つのサブセクターは、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」と「公共サービス・教
育・健康」であり、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」は、2018年に粗付加価値の16.2%(1991年は16.2%)を
占め、「公共サービス・教育・健康」は2018年に粗付加価値の18.2%(1991年は15.9%)を占めた。生産部門(建
設業を除く。)が粗付加価値に占める割合は、1991年の30.9%に対し、25.8%であった。また建設業が粗付加価値
に占める割合は、1991年の6.0%に対し、2017年は5.3%、農林水産業が粗付加価値に占める割合は、1991年の
1.2%に対し、2017年は0.8%であった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2018 (March 2019), Table 2.2.1)
2018 年 、GDP(現在価格)のうち民間最終消費支出は52.5%、総資本形成は20.8%、政府最終消費支出は19.6%
を占めた。財およびサービスの輸出および輸入がGDP(現在価格)に占める割合はそれぞれ47.0%および40.2%で
あり、2018年の貿易収支(国民経済計算に準ずる。)は、前年度より減少し、GDPの6.8%に相当する黒字となった
(2017年はGDPの7.6%)。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2018 (March 2019), Table 2.3.1)
2018 年 の物価調整後GDPは2017年と比べて1.4%増加した。物価と営業日数の両方による影響を調整した後のGDP
は、2017年と比べて1.5%増加した。2018年の物価調整後ベースの純輸出高は、経済成長にわずかにマイナスの影
響を与えた(経済成長寄与率:-0.4%ポイント)。輸出高は2.0%(2017年は4.6%)増加し、輸入高は3.3%
(2017年は4.8%)増加した(すべて物価調整後)。機械・設備における総固定資本形成は、物価調整後で、2018
年に4.2%増加したが(2017年は3.7%増加)、物価調整後の建設における総固定資本形成は2.4%増加した。2017
年と比較して、2018年の一般政府最終消費支出は、物価調整後で1.0%増加し、家計最終消費支出は、物価調整後
で1.0%増加した。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2018 (March 2019), Tables 2.1.1, 2.3.2, 2.3.5 and
2.3.10)
年間平均登録失業率 ( 連邦雇用庁 ( Bundesagentur für Arbeit ) の「国内定義」に基づいて計算したもの ) は
2017 年 の5.7%から減少して 2018 年 は5.2%であった。しかしながら、国際労働機関(International Labour
Organization)(以下「ILO」という。)が設定した国際比較が可能な計算方法(以下「ILO定義」という。)によ
れば、年間平均失業率は、2017年の3.5%から2018年の3.2%へと減少した。国内定義とILO定義との差異について
は、下記「雇用および労働力」を参照のこと。2018年のインフレ率(全国消費者物価指数(CPI)の上昇率で測定
される。)は、2017年の1.5%に対し、1.8%に増加した。エネルギー価格を除くと、当該指数の上昇は1.5%で
あった。一般政府総債務は、2017年末の2兆1,154億ユーロに対し、2018年末は2兆632億ユーロであった。
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(出典:Bundesagentur für Arbeit, Monatsbericht Februar 2019, Table 6.1
(https://statistik.arbeitsagentur.de/Statistikdaten/Detail/201902/arbeitsmarktberichte/monatsbericht-
monatsbericht/monatsbericht-d-0-201902-pdf.pdf) Statistisches Bundesamt, Statistisches Bundesamt, Fachserie 18,
Reihe 1.4 – 2018 (March 2019), Table 2.1.13; Statistisches Bundesamt, Fachserie 17, Reihe 7 (February 2019),
Table 1.1 and 1.2; Deutsche Bundesbank, Time series BBK01.BJ9059: General government debt as defined in the
Maastricht Treaty —Germany —overall (https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/statistics/time-series-
databases/time-series-databases/745582/745582?listId=www_v27_web011_21a&tsId=BBK01.BJ9059))
下表は、連邦共和国の各年の主要な経済指標を示したものである。
主要な経済指標
2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
(単位:10億ユーロ、別途記載がある場合を除く)
GDP-現在価格 3,386.0 3,277.3 3,159.8 3,048.9 2,938.6
(前年からの変動率)(%) 3.3 3.7 3.6 3.8 4.0
GDP-物価調整後、連鎖指数(2010年=100)、
115.3 113.7 111.3 108.8 107.0
営業日数による影響調整前
(前年からの変動率)(%) 1.4 2.2 2.2 1.7 2.2
GDP-物価調整後、連鎖指数(2010年=100)、
115.4 113.8 111.1 108.7 107.1
営業日数による影響調整後
(前年からの変動率)(%) 1.5 2.5 2.2 1.5 2.2
失業率(ILO定義)(%)(1) 3.2 3.5 3.9 4.3 4.7
インフレ率(総合消費者物価指数(HICP)の対前
1.9 1.7 0.4 0.7 0.8
年比変動率)(%)
経常収支 246.4 261.9 265.5 259.9 210.7
一般政府総債務(2) 2,063.2 2,115.4 2,165.9 2,182.0 2,212.3
(1) 就職可能かつ求職中の失業者。
(2) マーストリヒト条約の定義による。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2018 (February 2019), Tables 1.1 and
1.11; Statistisches Bundesamt, Preise, Verbraucherpreisindizes, Harmonisierter Verbraucherpreisindex,
Jahresdurchschnitte, Veränderung zum Vorjahr
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Wirtschaft/Preise/Verbraucherpreisindex/Tabellen/Harmonisierter-
Verbraucherpreisindex.html); Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2017, Table XII.2; Deutsche Bundesbank, Time
series BBK01.BJ9059: General government debt as defined in the Maastricht Treaty —Germany —overall
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/statistics/time-series-databases/time-series-
databases/745582/745582?listId=www_v27_web011_21a&tsId=BBK01.BJ9059))
経済見通し
連邦政府は、2019年4月に公表した予測において、民間消費が1.2%伸びて、ドイツのGDPは2019年に0.5%増大す
ると予測した(成長率はすべて物価調整後を表す。)。輸出および輸入は、2018年と比較して、それぞれ物価調整
後ベースで2.0%および3.8%拡大する見込みである。物価調整後の機械・設備の総固定資本形成は2.0%増加し、
建設投資の総固定資本形成は2.7%増加すると予測されている。連邦政府は、2019年の国内被雇用者数は、2018年
と比較して約480,000人(1.1%)増加し、2019年には4,520万人の記録に到達すると予測している。2019年におけ
る登録失業者( Arbeitslose ) は、2018年と比較して145,000人減少し、平均220万人になると予測されている。
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(出典:Federal Ministry for Economic Affairs and Energy, Minister Altmaier: Slow period is over, but should serve
as ▶ warning: we need to keep improving the business environment, press release of April 17, 2019
(https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Pressemitteilungen/2019/20190417-altmaier-slow-period-is-over.html))
経済政策
概要
連邦政府は、財政規律を維持する一方で、経済成長促進の戦略を継続している。それと同時に、公共投資の拡大
および民間投資環境の改善により、ドイツ経済の競争力を維持し、成長力を強化することによって、ドイツ経済の
長期的な実績を持続的に高める機会を拡大することを目的としている。最近の政治的イニシアチブの概略につい
て、以下にさらに詳細に記載する。
最近の政治的イニシアチブ
連邦政府は、(「債務抑制」( Schuldenbremse ) として知られる)憲法上の財政均衡化規則に規定された要件な
らびにSGPおよび財政協定等の欧州の枠組みを完全に遵守し、国家財政の整理統合を継続した。財政監視手続の詳
細については、「1) 概括―EUと欧州統合―EU経済ガバナンス」を参照のこと。2018年において、公共部門融資は
またもや黒字であり、一般政府の総貸出はGDP比1.7%であった。これは公共部門が5年連続黒字を達成したことを
意味し、この傾向は今後も継続していくと予想されている。現状の連邦予算計画では、2019年から2022年の間に新
たな純借入を必要としない。債務の対GDP比を70%未満に削減する計画は、2016年末までに達成された。連邦政府
は、債務比が早ければ2019年にも「マーストリヒト値」であるGDPの60%未満になると予測している。連邦共和国
の財政状況および見通しの詳細については、「4) 国家財政―ドイツの一般財政赤字/黒字および一般政府総債務」
および「4) 国家財政―財政見通し」を参照のこと。
2016 年 終盤、連邦政府および連邦諸州は、連邦および連邦諸州間の財政関係の再構築における主要な事項につい
て合意した。当該再構築は、収益共有の持続的かつ公平なシステムの構築において、政府のすべての水準が国家の
「債務抑制」についての要件に準拠することを可能とすることを目的としている。連邦は、2020年以降、追加的資
金調達(初年度は約97億ユーロ)を連邦諸州に対して提供する。これは、連邦諸州が国家の「債務抑制」に準拠す
ることならびに連邦諸州および地方自治体の水準において追加の公的投資の余剰を生むことの一助となると予想さ
れる。2020年に適用される収益共有の新しい規則は、VAT収益の現状の水平分布(より低い収益で連邦諸州に対し
て補足共有される。)と連邦諸州間の現状の財政調整とを合併するものである。2020年以降、すべての財政調整
は、連邦諸州のVAT収益共有からの削減およびVAT収益共有への補足を通して実現される。さらに、当該再構築は、
以下を提供する。
・ 政府の異なる水準の責任を合併する、高速道路およびその他の連邦幹線道路のための連邦のインフラ会社
の設立(目的は、計画、建設、維持、運営および幹線道路の資金調達における効率向上の可能性を得るこ
と、ひいては幹線道路のライフサイクルについてより早く廉価な投資を可能とさせることである。)
・ 連邦および連邦諸州の行政サービスにおける単一接続のITプラットフォームの導入
・ 特にコンピュータによる自動化分野における、税務管理についての連邦の影響力の強化
・ 安定評議会( Stabilit ä tsrat ) 、連邦の共同体および連邦諸州の強化
・ 連邦諸州の水準での共同資金調達分野における連邦会計検査院の検閲権の導入
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連邦政府は、特に公共部門への投資の増加に重点を置いている。現状の価格での連邦固定資本支出は、2013年か
ら2018年にわたり約54%増加し、2018年の連邦予算において380億ユーロとなった。公共投資は、輸送インフラ、
デジタルインフラ、超小型電子技術、 エレクトロモビリティの開発、建物の省エネ対策への支援および公営住宅の
促進に重点を置く。 連邦政府はまた、財政支援を提供し、地方自治体および連邦諸州の投資範囲を拡大させること
により、連邦諸州および地方自治体を支援している。例えば、財政基盤の弱い地方自治体は、地方自治体投資促進
基金( Kommunalinvestitionsförderungsfonds ) を通じて連邦政府により追加で提供された70億ユーロから利益を
得る。
デジタル時代のドイツ経済の長期的な成功を確実にするために、連邦政府は、デジタル化方針の目標を立て、優
先デジタル化プロジェクトを統合する「デジタル化形成」戦略を実施した。連邦政府は、デジタルのインフラを経
済の主要な戦略要因とみなしており、2025年までにドイツ国内全体での包括的なギガビットネットワークの展開を
目指している。特に地方におけるギガビットネットワークの拡大を支援し、学校のためのデジタルインフラを改善
するために、特別ファンドである「デジタルインフラ」が設立された。同ファンドは、24億ユーロの寄贈により設
立され、5Gスペクトルの譲渡から生じる手取金によって追加的に融資される予定である。
連邦政府は、ハイテク戦略の一環として、特にデジタル経済および社会、持続可能な経済活動およびエネル
ギー、革新的な労働環境、健康的な生活、インテリジェント・モビリティならびに民間の警備の分野における研究
開発に対し、インセンティブを提供する。連邦政府はまた、様々な政策を通し、ベンチャー・キャピタルおよびス
タートアップの促進を含む民間部門への投資の枠組みを改善した。連邦政府は、全般的な事業環境を改善するため
に、官僚主義を改め、会社のコンプライアンス費用を削減した。
連邦政府は、生産性、利益および雇用における成長のために、状況を改善し続けることにより、ドイツ経済の今
後の引き続きの成長を確かなものとすることを意図している。政府は、インフラ、教育および研究開発に対する公
共投資を強化すること、相互に補完し合う民間および公共投資を保証すること、事業の革新的能力を強化すること
ならびに熟練した労働者および資格認定の分野においてさらに尽力することにより、これを実現することを意図し
ている。というのも、ドイツにおける投資の約90%が、民間部門により行われており、連邦政府は、家計および法
人からの投資を促進させるために、引き続き状況を改善することを目指しているからである。
労働課税の分野では、特に世帯および低・中所得者層の可処分所得を増加するべきであるという幅広い合意があ
る。企業課税の分野では、国際開発は詳細に検討される。連邦政府は、研究開発に税優遇策を提供する等、目標を
定めた成長志向の救済法をより好む。コンプライアンス費用の削減および特に中小企業の障害を取り除くことは、
引き続き決定的に重要である。効果的な最低国際課税に向けた独仏共同のイニシアチブは、税源浸食および利益移
転という残された課題を取扱い、デジタル化経済に関連する課税上の問題を大幅に解決する予定である。
連邦政府は、できるだけ多くの労働者が堅調な労働市場から確実に利益を得られるようにし、適切な労働条件を
確保するため、多数の政策に着手している。2015年1月1日より、一般法定最低賃金(総額)が実施されている。最
低賃金は2年毎に査定され、適切であれば組合の代表者および経営者団体が同割合で構成する委員会が調整を提案
する。2019年1月1日、最低賃金が1時間当たり8.84ユーロから9.19ユーロへと引き上げられた。2020年1月1日、さ
らに1時間当たり9.35ユーロへと引き上げられる予定である。連邦政府は、長期の失業者が通常の労働市場へのア
クセスを回復する機会を増やすために、包括的概念において措置を講じた。連邦政府は、パートタイムおよび有期
契約に関する法律を改正し、一時的なパートタイム労働に対し、従前の労働時間に戻る権利を付与した。かかる法
律により、労働者のために、「呼び出し勤務」も規制され、より十分な計画および所得補償が付与された。
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変化しつつある労働社会に労働者が適応する上で、必要なスキルの取得を支援するため、連邦政府は、連邦雇用
庁による継続的な訓練カウンセリングを強化し、新たなデジタル技術により専門職が置き替えられるおそれのある
労働者や、構造変化によって脅かされるおそれのある労働者に対し、継続的な教育に対する既存の支援手段を拡大
した。将来的には、助成金は継続的な教育費用にとどまらず、賃金の一部も補填する予定である。これらの措置
は、2019年1月1日に施行された資格取得機会法( Qualifizierungschancengesetz ) の一部である。
連邦政府は、人口の変化が産業部門に与える影響を弱める戦略を策定中である。国内経済において熟練労働者の
潜在要員の層を強化および活性化し、他国の資格を有する専門家にとってドイツをより魅力的な国にすることがそ
の狙いである。家庭生活と労働生活をより両立可能なものとすることは、機会均等に寄与するだけでなく、企業に
とって追加的な技能の促進にも役立つ。そのため、連邦政府は、過去の政権期間中に、連邦諸州および地方自治体
に60億ユーロ超を支援した。かかる資金は、保育所の拡大、運営および改善ならびに語学教育のための連邦プログ
ラムに投資された。現政権期間中、全日制の学校および保育サービスの拡大、特に保育所の質の向上に向けた努力
( Gute Kita-Gesetz ) が強化された。連邦政府は、連邦諸州および地方自治体に100億ユーロ超を支援している。
生活の他の側面と調和する労働形態に対してより強力な支援を提供するため、労働生活から退職へのより柔軟な移
行に関する法的枠組みはフレキシブル年金法( Flexirentengesetz ) により改善された。
ドイツへの難民および亡命希望者の移住は、2015年および2016年は多く、新たな亡命申請者の数は、それぞれ
442,000人および722,000人であった。2017年には198,000人、2018年には162,000人へと減少した。しかしながら、
移民の融合については、引き続き重大な社会的および経済的課題である。2017年、連邦政府は、移民が社会および
労働市場にうまく融合できるように、多くの新たな政策を行った。連邦政府は、質の高い語学コースや融合コース
の提供を増加するほかに、移民によるこれらのコースの政策の遵守をさらに監視することを可能にする法律を制定
した。難民の労働市場への融合については、著しい進歩を遂げた。しかしながら、過去にドイツに到着した難民の
経験から、さらなる労働市場への融合には時間がかかるであろう。
2011 年 3月、日本の福島にある原子力発電所が被害を受けた原子力災害の後、連邦政府は、継続中のより持続可
能なエネルギー構成( Energiewende ) への移行を加速化することを決定した。とりわけ、気候保護、省エネ、およ
び再生可能エネルギーの利用増加を重要なエネルギー目標として行う一方で、2022年までにドイツのすべての原子
力発電所の停止を定めた法律を制定した。連邦政府は、1990年の水準と比較して、80%から95%の温室効果ガスの
排出削減を2050年までに達成するという長期目標を設定している。このため、当該エネルギー構想は、再生可能な
エネルギー源を主要なドイツのエネルギー供給源とし、その生産および使用を増やすとともに、エネルギー需要を
2050年までに50%削減することを予定している。今後のエネルギー改革の実施における包括的な原則となるのは、
安定的、経済的および環境に配慮したエネルギー供給という「エネルギー政策の三角形」である。
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再生可能エネルギーからの発電を促進する上で最も重要な法的手段は、引き続き2000年より施行されている再生
可能エネルギー源法( Erneuerbare Energien Gesetz ) である。2017年に施行された再生可能エネルギー源法の改
正により、再生可能エネルギー源の今後の拡大は、再生可能エネルギーの報酬を決定する上で、特定の技術のオー
クションを導入することにより、費用効率化を図っている。2014年12月に採択された国家エネルギー効率行動計画
は、連邦政府の効率化戦略を定めており、現行の政権中において、今後改正および強化される予定である。当該計
画は、部門横断的な基盤における効率的な措置の経済的実行可能性への認識を高め、効率向上の可能性を最大限活
かすための条件を整備することを目指している。2016年におけるその他の重要な改革は、電力市場( Strommarkt
2.0) に関するものであった。再生可能エネルギーは、現在のドイツにおいて最も重要な電力資源であり、総電力
発電の40%近くを占めている。二酸化炭素のほぼ出ないエネルギーを供給するという長期的な目標を達成するため
に、すべての部門においてエネルギーの必要総量をさらに削減し、エネルギー制度をさらに柔軟にする努力が一層
必要とされる。
2018 年 、連邦政府は、再生可能エネルギーの拡大に向けた新たな目標を定めており、これによって2030年まで
に、電力消費量の65%を供給する予定である。かかる再生可能エネルギーの拡大には、送電系統の近代化および著
しい拡大が必要とされる。2018年6月、連邦政府は、すべての石炭ベースの発電の段階的廃止に関する提言に対応
するため、様々な利害関係者の代表者に向けて「成長、構造改革および雇用」に関する取組みを指示した。2019年
初めに、委員会は、2038年をそれぞれの終了日として提言し、石炭地域の構造的発展に関する提案を含む報告書を
提出した。連邦政府は、委員会の提言を現在検討しており、これらに基づく法的措置の速やかな実施を発表した。
かかる措置のほかにも、炭素除去のために、暖房、輸送および産業における部門の結合、すなわち再生可能電力の
効率利用が重要な貢献をすることが予想される。
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ドイツの金融制度を安定化させるための最近の政府の施策については、「3) 通貨・金融制度―金融制度―ドイ
ツの金融制度」を参照のこと。政府予算については、「4) 国家財政」を参照のこと。欧州ソブリン債務危機への
対応については、「1) 概括―EUと欧州統合―欧州ソブリン債務危機への対応」および「1) 概括―EUと欧州統合―
EU経済ガバナンス」を参照のこと。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Annual Economic Report 2018
(https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Publikationen/jahreswirtschaftsbericht-2018.pdf?__blob=publicationFile&v=3);
Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Jahreswirtschaftsbericht 2019
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Publikationen/Wirtschaft/jahreswirtschaftsbericht-2019.pdf?
__blob=publicationFile&v=12); Statistisches Bundesamt, 2018: general government achieved record surplus of
58 billion euros, press release of February 22, 2019
(https://www.destatis.de/EN/PressServices/Press/pr/2019/02/PE19_065_813.html); Bundesministerium der Finanzen,
Draft 2019 budget and financial plan to 2022: forwardlooking, fair and responsible, press release of July 6, 2018
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/EN/Pressemitteilungen/2018/2018-07-27-2019-budget.html);
Bundesministerium der Finanzen, Bundeshaushalt 2018, press release of June 28, 2017
(http://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2017/06/2017-06-28-PM20-
bundeshaushalt-2018.html); Bundesministerium der Finanzen, Die Neuordnung der Bund-Länder-Finanzbeziehungen
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Monatsberichte/2017/08/Inhalte/Kapitel-3-Analysen/3-1-Neuordnung-Bund-
Laender-Finanzbeziehungen.html) Bundesministerium der Finanzen, Entwicklung der öffentlichen Finanzen, February
2017 (http://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Standardartikel/Themen/Oeffentliche_Finanzen/
Entwicklung_Oeffentliche_Finanzen/entwicklung-oeffentliche-finanzen.html); Federal Ministry of Education and
Research, Wissenswertes zum DigitalPakt Schule (https://www.bmbf.de/de/wissenswertes-zum-digitalpakt-schule-
6496.html); Bundesregierung, Ab 2017 beträgt der Mindestlohn 8,84 Euro
(https://www.bundesregierung.de/Content/DE/Artikel/2016/10/2016-10-26-neuer-mindestlohn2017.html); Bundesamt für
Migration und Flüchtlinge: Asylgeschäftsstatistik, Schlüsselzahlen Asyl 2018
(http://www.bamf.de/SharedDocs/Anlagen/DE/Publikationen/Flyer/flyer-schluesselzahlen-asyl-2018.pdf?
__blob=publicationFile); Bundesministerium für Arbeit und Soziales, Verkündung der Zweiten
Mindestlohnanpassungsverordnung (https://www.bmas.de/DE/Presse/Meldungen/2018/verkuendung-der-zweiten-
mindestlohnanpassungsverordnung.html); Federal Office for Migration and Refugees (BAMF), Aktuelle Zahlen zu Asyl
(02/2019) (http://www.bamf.de/SharedDocs/Anlagen/DE/Downloads/Infothek/Statistik/Asyl/aktuelle-zahlen-zu-asyl-
februar-2019.pdf;jsessionid=F7EC6355FB47C51699E829556E767DA2.1_cid359?__blob=publicationFile);
Bundesministerium für Arbeit und Soziales, Brückenteilzeit
(https://www.bmas.de/DE/Schwerpunkte/Brueckenteilzeit/brueckenteilzeit-artikel.html) und Qualifizierungsoffensive
am Arbeitsmarkt (https://www.bmas.de/DE/Schwerpunkte/Qualifizierungsoffensive/qualifizierungsoffensive-
artikel.html); Climate Action Plan 2050, Executive Summary (www.bmub.bund.de/ N53483/); German Environment Agency
(UBA), Erneuerbare Energien in Zahlen (https://www.umweltbundesamt.de/themen/klima-energie/erneuerbare-
energien/erneuerbare-energien-in-zahlen?sprungmarke=strom#textpart-1); Bundesministerium für Wirtschaft und
Energie, Nationales Reformprogramm 2018 (https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Publikationen/Europa/nationales-
reformprogramm-2018.pdf?__blob=publicationFile&v=4))
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国内総生産 ( GDP )
下表は、連邦共和国の現在価格に基づく GDP の構成を、各年の用途および源泉により、前年からの変化とともに
示したものである。
GDP の構成 ― 用途
2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
( 単位 :10 億ユーロ ) ( 変動率 )(%)
国内使用
3,156.8 3,029.5 2,912.3 2,804.7 2,735.1 4.2 4.0 3.8 2.5
最終民間消費 1,776.7 1,732.2 1,675.6 1,630.9 1,594.1 2.6 3.4 2.7 2.3
最終政府消費 662.2 638.9 615.5 587.4 564.0 3.6 3.8 4.8 4.2
総固定資本形成 703.3 665.7 634.0 605.5 587.5 5.6 5.0 4.7 3.1
機械・設備 225.7 215.2 206.5 201.2 191.7 4.9 4.2 2.6 5.0
建設 350.5 326.6 307.1 290.7 289.7 7.3 6.4 5.6 0.4
その他の製品 127.1 123.9 120.4 113.6 106.2 2.6 2.9 6.0 6.9
在庫の変動 (1) 14.6 -7.2 -12.8 -19.1 -10.5 — — — —
輸出純額 (1) 229.2 247.8 247.5 244.1 203.5 — — — —
輸出 1,590.2 1,541.9 1,450.2 1,428.7 1,341.3 3.1 6.3 1.5 6.5
1,360.9 1,294.1 1,202.8 1,184.6 1,137.8 5.2 7.6 1.5 4.1
輸入
3,386.0 3,277.3 3,159.8 3,048.9 2,938.6 3.3 3.7 3.6 3.8
国内総生産 (GDP)
(1) 純持高は潜在的に変化する可能性があるため、変動率 (%) は表示しない。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2018 (February 2019), Tables 3.1 and
3.9)
GDP の構成―源泉
2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
(単位:10億ユーロ) (変動率)(%)
粗付加価値
3,053.2 2,954.7 2,847.7 2,745.3 2,646.4 3.3 3.8 3.7 3.7
(全経済部門)
農林水産業 23.2 25.5 21.1 19.9 25.7 -9.0 21.0 5.8 -22.5
生産部門(建設業
786.9 772.5 747.8 710.1 681.8 1.9 3.3 5.3 4.2
を除く)
建設業 160.4 144.3 133.9 125.8 120.0 11.2 7.8 6.5 4.8
流通・運送・宿
496.0 478.4 456.2 440.4 417.9 3.7 4.9 3.6 5.4
泊・飲食サービス
情報・通信 143.9 137.2 133.2 128.8 125.2 4.9 3.0 3.4 2.9
金融・保険サービ
112.6 113.3 113.1 111.6 109.4 -0.6 0.2 1.3 2.0
ス
不動産業 324.7 316.2 308.3 302.4 293.4 2.7 2.6 2.0 3.1
企業向けサービス 330.3 319.4 308.7 301.4 289.1 3.4 3.4 2.4 4.3
公共サービス・教
555.3 531.3 512.3 493.0 476.4 4.5 3.7 3.9 3.5
育・健康
その他のサービス 119.8 116.6 113.2 112.1 107.7 2.7 3.0 1.0 4.0
商品への助成金に対
332.8 322.6 312.0 303.5 292.1 3.2 3.4 2.8 3.9
して相殺される商品
課税
3,386.0 3,277.3 3,159.8 3,048.9 2,938.6 3.3 3.7 3.6 3.8
国内総生産(GDP)
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2018 (February 2019), Tables 1.14 and
2.1)
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経済部門
生産部門
1990 年 のドイツ再統一後、東部各州(すなわち、旧ドイツ民主共和国)の産業は再編の波を耐えてきた。現在、
ドイツの生産部門は、小・中・大規模企業がバランスよくミックスされていることを特徴としており、そのほとん
どすべてが私企業である。付加価値に占める比率により測定すると、生産部門の約59%は、地域でいえば、ドイツ
西部のバイエルン、バーデン-ビュルテンベルクおよびノルトライン-ヴェストファーレンの各州に集中してい
る。生産部門の主要セグメントは、自動車製造、機械・設備、電気・光学機器、卑金属および組立金属製品、なら
びに化学品および化学製品である。粗付加価値(現在価格)に占める生産部門全体の割合は、2018年は25.8%(建
設業を除く。)および31.0%(建設業を含む。)であった。当該部門の物価調整後の粗付加価値(建設業を除
く。)は、2017年の2.4%の増加の後、2018年は前年比で0.8 %増加した 。
(出典:Volkswirtschaftliche Gesamtrechnungen der Länder, Reihe 1, Länderergebnisse Band 1 (February 2019), Table
2.3; Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2018 (February 2019), Tables 2.2.1 and 2.2.2. and 3.2.1.)
生産部門の生産高(1)
(2015年=100)
2018年 2017年 2016年 2015年
生産部門合計
106.0 104.9 101.5 99.7
工業(2) 106.1 104.7 101.1 99.7
内訳:
中間財(3) 105.7 104.9 100.9 99.8
資本財(4) 106.1 105.0 101.3 99.7
耐久消費財(5) 106.1 106.9 102.6 99.6
非耐久消費財(6) 107.1 103.0 101.0 99.8
エネルギー(7) 97.0 98.8 98.7 100.1
建設業(8) 109.7 108.7 105.3 99.6
(1) 営業日数の差異を考慮した調整後。
(2) 製造業(エネルギーの項に割り当てられたもの、鉱業および採石業を除く。)。
(3) エネルギー生産品以外の鉱業および採石業を含む。
(4) 自動車・部品製造を含む。
(5) 消費財のうち、家具等、耐用期間が長いもの。
(6) 消費財のうち、食品等、耐用期間が短いもの。印刷業および印刷関連サービス業を含む。
(7) 電力、ガス、蒸気および温水の供給、エネルギー生産品の鉱業および採石業、ならびに特に石油精製品の製造。
(8) 経済分類上の「敷地造成」および「完全または部分建設および土木工学作業」から成る。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2019, Table XI.2)
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サービス部門
他のほとんどの工業国と同様、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」、「情報・通信」、「金融・保険サービ
ス」、「不動産業」、「企業向けサービス」、「公共サービス・教育・健康」および「その他のサービス」から成
るサービス部門は、近年急速に拡大しており、現在では粗付加価値に占める割合は最大となっている。2018年に
サービス部門が粗付加価値(現在価格)に占める割合は、1991年のわずか61.9%に比べ、前年の68.1%をわずかに
超える68.2%になった。サービス部門の中でも「公共サービス・教育・健康」が粗付加価値(現在価値)の合計に
占める割合は最も大きく、2017年の18.0%を経て2018年は18.2%であった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2018 (March 2019), Tables 2.2.1. and 3.2.1.)
雇用および労働力
経済成長が持続した2018年に、労働市場はさらに改善した。2018年の国内定義による平均失業率は、2017年の
5.7%に対して、5.2%であった。ILO定義による平均失業率は、2017年の3.5%に対して、2018年は3.2%で、1991
年以来の最も低い水準の失業率まで低下した。2018年のドイツ国内に居住する被雇用者および自営業者の総数は
4,470万人で、2017年と比べて1.3%増加した。
(出典:Bundesagentur für Arbeit, Monatsbericht Februar 2019, Table 6.1
(https://statistik.arbeitsagentur.de/Statistikdaten/Detail/201902/arbeitsmarktberichte/monatsbericht-
monatsbericht/monatsbericht-d-0-201902-pdf.pdf); Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2018 (March
2019), Table 2.1.13)
下表は、各年の雇用および失業に関する情報を示すものである。職業訓練、雇用機会創出制度および早期退職
等、失業者を減らす目的で立てられたプログラムに参加している者は、失業者として扱われないため、以下に示す
失業率には含まれていない。
雇用および失業の状況
2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
被雇用者数(ILO定義)(単位:千人)
44,714 44,155 43,550 42,993 42,607
失業者数(ILO定義)(1)(単位:千人) 1,471 1,621 1,774 1,950 2,090
失業率(ILO定義)(%) 3.2 3.5 3.9 4.3 4.7
失業者数(国内定義)(2)(単位:千人) 2,340 2,533 2,691 2,795 2,898
失業率(国内定義)(3)(%) 5.2 5.7 6.1 6.4 6.7
(1) 就業可能で求職中の失業者。
(2) 就業可能で求職中の登録失業者(週15時間までの労働者を含む。)。
(3) 総労働人口(軍隊を除く。)に対する割合(%)。
(出典:Bundesagentur für Arbeit, Der Arbeits- und Ausbildungsmarkt in Deutschland: Dezember und das Jahr 2018,
Table 10.1; Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2018 (February 2019), Table 1.11)
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下表は、2017年および2007年の性別および年齢別の雇用率に関する情報を示すものである。
雇用率―性別・年齢別
合計 男性 女性
(年齢) 2017年 2007年 2017年 2007年 2017年 2007年
(同年代・同性の総人口に対する被雇用者の割合(%))
15歳-19歳 26.9 28.2 28.5 30.5 25.2 25.8
20歳-24歳 64.6 63.2 64.7 65.7 64.4 60.7
25歳-29歳 78.3 73.2 80.9 77.6 75.4 68.9
30歳-34歳 82.6 79.1 88.3 87.0 76.7 71.0
35歳-39歳 84.2 81.9 90.2 89.4 78.0 74.3
40歳-44歳 86.1 83.4 90.4 89.2 81.7 77.4
45歳-49歳 87.7 82.4 90.9 87.6 84.5 77.3
50歳-54歳 85.7 78.2 89.3 83.9 82.0 72.5
55歳-59歳 80.1 66.5 84.4 74.4 75.8 58.8
60歳-64歳 58.4 32.8 63.7 41.1 53.3 24.8
7.0 3.6 9.8 5.2 4.7 2.4
65歳以上
合計(15歳以上) 58.9 53.6 63.9 60.4 54.0 47.2
(出典:Statistisches Bundesamt, Erwerbsbeteiligung, Erwerbstätige und Erwerbstätigenquote nach Geschlecht und
Alter 2007 und 2017, Ergebnis des Mikrozensus
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Arbeit/Arbeitsmarkt/Erwerbstaetigkeit/Tabellen/erwerbstaetige-
erwerbstaetigenquote.html))
下表は、2018年および2008年の経済部門別の雇用形態に関する情報を示すものである。
雇用形態―経済部門別
2018年 2008年
(全体に対する割合(%))
農林水産業 1.4 1.6
生産部門(建設業を除く) 18.6 19.6
内訳:製造業 17.3 18.3
建設業 5.6 5.6
流通・運送・宿泊・飲食サービス 22.7 23.2
情報・通信 2.9 3.0
金融・保険サービス 2.5 3.0
不動産業 1.1 1.2
企業向けサービス 13.6 12.2
公共サービス・教育・健康 24.8 23.4
6.7 7.2
その他のサービス
合計(1) 100.0 100.0
(1) 四捨五入により合計が一致しない場合がある。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2018 (March 2019), Table 2.2.9)
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下表は、各年の被雇用者 1 人当たりの年間賃金水準および実働 1 時間当たりの単位労働コストの変化を示したもの
である。
賃金動向および労働コスト
2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
被雇用者1人当たりの総賃金および給与
35,229 34,145 33,309 32,524 31,641
(ユーロ)
前年からの変動率(%) 3.2 2.5 2.4 2.8 2.8
実働1時間当たり単位労働コスト
指数(2010年=100) 114.2 111.3 109.7 108.4 106.5
前年からの変動率(%) 2.6 1.5 1.2 1.8 1.1
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2018 (February 2019), Tables 2.17 and
2.20)
ドイツの労働者の約 6 分の 1 は 労働組合に加入しており、ドイツ労働組合同盟 ( Deutscher Gewerkschaftsbund )
が 8 つの労働組合を統括している。2018年には、約600万人がドイツ労働組合同盟の傘下の組合に加入しており、そ
の数は2013年以来ほぼ変動していないが、ドイツ再統一後の初年度であった1991年の1,180万人と比較すると、大
幅に少ない。かかる1991年以来の大幅な減少は主に、再統一後、東部の連邦諸州における製造業の雇用が著しく下
落したことによるものである。
各労働組合には通常、個人の職種に関係なく、ある産業の全労働者が加入している(「一業種一組合」の原
則)。その結果、雇用者側は通常、各特定産業の労働者側を代表する単一の交渉相手と交渉を行うこととなる。各
特定産業の労働組合と雇用者側は、政府の干渉を受けずに、労働協約( Tarifverträge ) を締結する。雇用者がそ
の産業の雇用者協会の会員であれば(ほとんどの場合がこれに該当する。)、被雇用者が労働組合に加入している
か否かを問わず、大抵は当該産業の全労働者に労働協約が適用される。その拘束力にもかかわらず、労働協約には
多くの場合、オプトアウト条項( Öffnungsklauseln ) が含まれ、雇用者と労使協議会間で会社独自の調整を協議す
ることが認められている。さらに、労働協約の条項から逸脱するさらなる可能性が広く認められている。また東部
各州では多くの雇用者が雇用者協会の会員ではなく、賃金は個別交渉に委ねられるため、労働協約で定められてい
るよりも賃金水準が低くなるのが通常である。
(出典:Deutscher Gewerkschaftsbund, DGB-Mitgliederzahlen ab 2010 (http://www.dgb.de/uber-uns/dgb-
heute/mitgliederzahlen/2010); Deutscher Gewerkschaftsbund, Mitgliederzahlen 1950-1993 (http://www.dgb.de/uber-
uns/dgb-heute/mitgliederzahlen/1950-1993); European Trade Union Institute, National Industrial Relations,
Countries, Germany, Trade Unions (http://www.worker-participation.eu/National-Industrial-
Relations/Countries/Germany); Bundeszentrale für politische Bildung, Tarifautonomie
(http://www.bpb.de/nachschlagen/lexika/handwoerterbuch-politisches-system/202193/tarifautonomie))
社会保障、社会的保護および社会政策
現在連邦共和国で実施されている社会保障および社会的保護の総合的制度には、特に、健康保険、長期介護保
険、退職・高度障害年金、参加給付および医学的リハビリテーションのための給付、強制的労働災害保険による労
働災害および疾病の影響に対する保護、失業手当、家族給付、障害者のための給付およびリハビリテーション、孤
児手当、扶養独身者手当および貧困者に対する一般公的補助が含まれている。ドイツの人口の大半は強制的法定退
職年金および健康保険の対象者となっている。児童や障害者向けの病院および施設は地方自治体、教会、慈善団体
および民間業者によって運営されている。
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これらの社会サービスの大部分に必要な資金は、特に各社会サービスが拠出金により賄われる保険に基づく制度
により提供されているのか、または税金により賄われる社会扶助類似のプログラムにより提供されているのかに応
じて、主に雇用者および被雇用者からの社会保障制度拠出金で賄われ、一部は連邦共和国、連邦諸州、地方自治
体、その他の公的機関からの直接拠出金によって賄われている。
連邦共和国の法定退職保険制度は賦課方式で実施されており、現役の雇用者と被雇用者からの拠出金をすでに退
職した者への支払に充てている。一般に、すべての被雇用者ならびに一部の自営業者およびその他の者は、法定退
職制度における強制保険の対象である。特定の専門職(一部の自由契約の専門職を含む。)の被雇用者等は、法定
退職年金保険制度の強制加入に対する免除申請を行うことができる一方、その他の者は、公務員の場合と同様に、
自動的に当該強制加入を免除される。免除された者達は、代わりに、職種別年金制度または公的年金制度に拠出し
なければならず、公務員およびこれに類似するグループについては、公務員向け特別年金制度から給付を受ける。
さらに、退職基金法( Altersvermögensgesetz ) は、縮小が予測される法定退職年金保険からの支払を相殺するこ
とを視野に入れて、一定の賞与の支払や税制上の優遇措置を受けられる、指定された個人積立年金制度または法人
積立年金制度にも登録するように被保険者に推奨することで、法定退職年金保険制度の長期にわたる実現可能性の
確保を目指している。
法定健康保険による補償は、適用される適格基準を満たした者すべてに対して引き続き提供されなければならな
い。法定健康保険制度においては、被保険者は長年事業を展開してきた数多くの法定健康保険基金の中から、加入
先を選択することができる。総所得が一定の基準値を上回る者や、公務員、自営業者および一定の専門職に該当す
る者は、法定制度に加入せず、民間健康保険を選択することができる(法定制度に加入しない場合には、民間健康
保険への加入が義務付けられている。)。法定健康保険制度への拠出金は、被保険者の所得状況のみに基づいて決
定され、被保険者の性別、年齢および健康上のリスクとは無関係であるが、これに対して、民間健康保険に対する
拠出金は、主に年齢、健康上のリスクおよび希望する補償範囲を基に計算されている。
2018 年 の国民経済計算に示される社会保障収入の総額は6,614億ユーロ、支出は6,464億ユーロであった。した
がって、2018年の社会保障予算は、2017年の101億ユーロの黒字の後、149億ユーロの黒字であった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2018 (March 2019), Table 3.4.3.7)
人口構成の変化に照らして、連邦政府は、長期にわたる社会保障制度の持続可能性を確保するために法定年金制
度の構造改革をすでに実行している。さらに、ドイツにおいては、法定年金保険の改革が実施され、2012年から定
年を段階的に2歳引き上げて67歳とすることになった。例えば、1964年の出生コホートは、2031年に通常の定年を
迎えることになる。
健康保険制度の持続可能性を高めるために、ドイツにおいては、医療サービスの効率性および質を改善すること
を目的として医療提供者の間の競争を強化するための複数の構造改革策が実施されている。
(出典:Bundesministerium der Gesundheit, Gesundheitsfonds
(http://www.bmg.bund.de/themen/krankenversicherung/finanzierung/gesundheitsfonds.html); Bundesministerium für
Arbeit und Soziales, Pensions from age 67 (http://www.bmas.de/EN/Our-Topics/Pensions/pensions-from-age-67.html))
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国際的経済関係
国際的経済関係は、ドイツ経済にとって極めて重要である。2018年の財およびサービスの輸出および輸入は、現
在価格に基づくGDPのそれぞれ47.0%および40.2%を構成している。連邦共和国は、EUが関税その他の貿易障壁を
取り除くことを目的とした自由貿易政策を推進できるよう支援している。EUにおける貿易問題(特に自由貿易協定
の交渉)の責任は、欧州委員会にある。貿易問題に関するEUの責任の詳細については、「1) 概括―EUと欧州統合
―経済統合」を参照のこと。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 —2018 (March 2019), Table 2.3.1)
連邦共和国の経済は輸出に依存しているため、特に保護関税等の貿易障壁から被害を受けやすい。そこで連邦政
府は、現在行われているドーハ開発アジェンダに基づくWTOの枠組み内の交渉等で、貿易障壁を取り除くための取
組みを支援している。また、連邦政府は、欧州とカナダとの間で締結された貿易契約である、包括的経済貿易協定
(以下「CETA」という。)を支援している。この協定は2017年2月に欧州議会に承認された。2017年9月21日、CETA
が暫定的に発効した。すなわち、投資保護、資産運用投資に対する投資市場のアクセスおよび投資法廷制度を除く
大半の契約は、すでに発効済みである。CETAは、すべてのEU加盟国による批准後、完全に発効する。2017年12月、
EUは、日本との自由貿易合意(経済連携協定)を最終化し、これにより大半の義務および規制による障害が解消す
ることが見込まれる。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, WTO-Welthandelsrunde “Doha Development Agenda”
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Artikel/Aussenwirtschaft/wto-doha.html); Bundesministerium für Wirtschaft und
Energie, CETA – Das europäisch-kanadische Wirtschafts- und Handelsabkommen
(http://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Dossier/ceta.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Europäisches
Parlament stimmt CETA zu, press release of February 15, 2017
(http://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2017/20170215-europaeisches-parlament-stimmt-ceta-zu.html);
European Commission, CETA explained (http://ec.europa.eu/trade/policy/in-focus/ceta/ceta-explained/); European
Commission, EU and Japan finalise Economic Partnership Agreement, press release of December 8, 2017
(http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1767&title=EU-and-Japan-finalise-Economic-Partnership-
Agreement))
国際収支
連邦共和国は、財の取引について概ね黒字を達成している。かかる黒字は従来、サービスおよび第二次所得等の
その他の分野の赤字により一部相殺されてきた。2018年の経常黒字の総額は、2017年の2,619億ユーロに対して155
億ユーロ減少し、2,464億ユーロであった。これにより、現在の経常黒字は、名目GDPの7.3%に減少した。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2019, Table XII.2.)
ドイツ中央銀行が作成したデータによれば、消費者物価指数に基づき、56の貿易相手国と比較したドイツの価格
競争力の一般的な月別指標の年間平均を適用すると、ドイツの価格競争力は、1999年以降比較的安定を保ってお
り、1999年から2019年初めの間では平均指標値の約10%の範囲内で推移している。2018年の価格競争力は主に、米
ドル、英ポンド、中国人民元、デンマーククローネ、スウェーデンクローナおよびノルウェークローネを含む複数
通貨に対するユーロ高により2017年と比較して2.3%悪化した。しかし、為替レートの変動の影響を検討する際に
は、ユーロ圏加盟国がドイツ輸出の大部分(2018年は37.4%)を占めるという事実を考慮に入れなければならな
い。
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EDINET提出書類
ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
ユーロ導入以来、対米ドルの為替レートは、激しく変動している。2001年6月から2008年7月までの間に米ドルに
対して約85%ユーロ高になった後、2008年7月から2010年6月にかけてユーロは米ドルに対して約23%と大幅にユー
ロ安になった。多くの変動を経て、2014年半ばには、ユーロの長期的な下落が始まった。2015年および2016年にわ
たって、ユーロは、平均1ユーロ当たり1.1米ドルの水準で比較的安定した。2017年は、米ドルに対するユーロの平
均価格は、2016年の平均より2.1%高かった。2018年は、2017年の平均と比較してユーロはさらに4.5%高かった。
2019年2月における米ドルに対するユーロの平均価格は、2018年の平均より3.9%低かった。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2019, Tables XII.3, XII.10 and XII.12.)
下表は、各年の連邦共和国の国際収支を示したものである。
国際収支
2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
(単位:百万ユーロ)
経常収支
財の貿易(1) 221,740 253,111 252,581 248,394 219,629
サービス(2) -19,551 -21,938 -20,967 -18,296 -25,029
第一次所得 91,666 80,276 74,743 68,316 57,014
-47,619 -49,554 -40,868 -38,494 -40,880
第二次所得
経常収支合計
246,236 261,894 265,489 259,920 210,735
資本収支(3) 1,858 -1,947 2,138 -48 2,936
金融収支
ドイツの海外投資純額(増加をプラス値
349,234 376,599 401,354 276,422 308,446
で表す。)
他国のドイツへの投資純額(増加をプラ
123,637 93,652 141,635 42,018 68,329
ス値で表す。)
金融収支 純額
225,597 282,947 259,720 234,404 240,117
(純貸出(+)/純借入(-))
誤差脱漏(4) -22,497 23,000 -7,908 -25,467 26,446
(1) 補足的貿易品目を含む。
(2) 外国貿易に関する運賃および保険料を含む。
(3) 非生産非金融資産の取得・処分を含む。
(4) 金融収支の残高と、経常収支および資本収支の残高との差額により生じる統計的な誤差脱漏。
(出典:Deutsche Bundesbank, Zahlungsbilanzstatistik, Stand vom 11.4.2019, Table I.1. Wichtige Posten der
Zahlungsbilanz (https://www.bundesbank.de/resource/blob/649646/d4735d41ebbae935fd90cf748bea19d3/